説明

システム構築支援方法

【課題】
企業情報システムの開発のプロジェクトにおいて開発機やテスト機等の環境を構築する際、計算機やソフトウェアの員数、組合せ、配置の設計、計算機間の連携方式等のシステム構成設計作業は人手で行っており時間がかかっている。
本発明では、過去に実施したプロジェクトの中で現プロジェクトと類似しているシステム構成を抽出し、そのシステム構成を流用する事で、システム構成設計の作業を軽減する。
【解決手段】
現プロジェクトと過去プロジェクトのシステム要件の類似度と過去プロジェクトの計算機環境を流用した場合の手作業工数とを算出するプロジェクト評価部103と、現プロジェクトと類似している過去プロジェクトの候補を抽出し、計算機環境構築手順書を表示する入出力部101とを備えるシステム構築支援方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピューティングシステムの構築に関する。その中でも特に、金融分野を含む所定の業務を実行するコンピューティングシステムを、過去の構築ないし構築を検討した結果を利用して構築する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
企業情報システムの開発では、本番環境以外にも開発機、テスト機等、工程ごとにさまざまな環境を構築する必要がある。そのため、環境構築に多大な時間がかかってしまうという課題が発生している。
【0003】
これを解決するための従来技術として、特許文献1や非特許文献1がある。特許文献1では、OSインストールスクリプトの配布と実行とを自動化することで、環境構築時間を低減している。また、非特許文献1では、OS、データベース、TPモニタ等を組み合わせた雛型を作成し、そのディスクイメージを他の計算機にコピーすることで、環境構築時間を低減している。
【0004】
これらの技術により、作業者が計算機個々の環境構築手順書を作成すれば、その手順書に従って自動的に環境を構築可能なため、環境構築時間の低減が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2010-503074号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IBM Tivoli Provisioning Managerhttp://www-06.ibm.com/software/jp/tivoli/products/prov_mng/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、先行技術文献においては、各工程のシステム構成設計はいまだ人手(手作業)で行っており、時間がかかっている。例えば、計算機やソフトウェアの員数、組合せ、配置の設計、計算機間の連携方式の設計等に手間が掛かるとの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では、構築するシステムについてのプロジェクトに類似する過去のプロジェクトを特定し、特定されたプロジェクトを比較し、この結果と当該プロジェクトの手作業工数から、構築するシステムにおける手作業工数を算出するものである。また、本発明では、算出した手作業工数に基づいて、構築の手順を示す手順書を出力し、これに基づいて構築することが可能になり、より容易に構築作業を実行できる。なお、「類似」とは、所定の類似度(以下)の関係を有するものを指す。より詳細には、本発明では、以下の構成を有する。
【0009】
作業者の作成した環境構築手順書に基づいて計算機個々の環境を構築する手段を備え、現プロジェクトと類似している過去プロジェクトの候補を抽出し表示する手段と、現プロジェクトと過去プロジェクトとを比較しシステム要件の類似度を算出する手段と、現プロジェクトと過去プロジェクトとを比較し過去プロジェクトの計算機環境を流用した場合の手作業工数の見積もりを算出する手段と、過去プロジェクトの計算機環境構築手順書を表示する手段とを特徴とするシステム構築支援方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業量を算出することないし手順書を出力することで、システム構成設計の作業を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一の実施の形態における計算機の構成を示す図である。
【図2】プロジェクト一覧111を示す図である。
【図3】プロジェクトグループ一覧112を示す図である。
【図4】環境構築指示書一覧113を示す図である。
【図5】システム要件類似度重みづけテーブル114を示す図である。
【図6】手作業工数重みづけテーブル115を示す図である。
【図7】プロジェクト評価結果116を示す図である。
【図8】プロジェクトグループ評価結果117を示す図である。
【図9】現プロジェクトの情報を受け付けて類似した過去プロジェクトを評価し結果を表示する処理を説明するフローチャートである。
【図10】入出力部101が作業者から受け付ける現プロジェクトの情報を示す図である。
【図11】プロジェクトグループ評価部102がプロジェクトグループのシステム要件類似度を算出する処理を説明するフローチャートである。
【図12】プロジェクトグループ評価部102がプロジェクトグループの手作業工数を算出する処理を説明するフローチャートである。
【図13】プロジェクト評価部103がプロジェクトのシステム要件類似度を算出する処理を説明するフローチャートである。
【図14】プロジェクト評価部103がプロジェクトの手作業工数を算出する処理を説明するフローチャートである。
【図15】入出力部101が作業者に結果を表示する画面を示す図である。
【図16】入力された環境構築指示書に従い計算機の環境を構築する処理を説明するフローチャートである。
【図17】過去プロジェクトを登録する処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、第一の実施の形態の全体図である。現プロジェクト(これからシステムを構築しようとするプロジェクト)と類似している過去プロジェクトの情報を表示する計算機1と環境構築指示書に従って計算機の環境を構築する計算機2と現プロジェクトのシステム開発で利用される計算機3とからなり、これらはネットワーク等を介して接続される。この構成は第一の実施の形態の例であり、ひとつの計算機の中に現プロジェクトと類似している過去プロジェクトの情報を表示する機能と環境構築指示書に従って計算機の環境を構築する機能とが存在する場合、計算機1、計算機2、計算機3が複数存在する場合もあり得る。
【0013】
現プロジェクトと類似している過去プロジェクトの情報を表示する計算機1は、CPU10、メインメモリ11、記憶装置12、入力装置13、出力装置14、及び通信インタフェース15とからなる計算機であり、これらは内部バス等により接続される。CPU10は、記憶装置12に格納されている部(プログラム)をメインメモリ11に読み込み、実行することにより、種々の処理を行う。言い換えるとは各部(101〜104)はいわゆるコンピュータプログラムとして実現可能である(以下、他の計算機も同様である)。記憶装置12は、作業者から入力されるデータと計算機から出力するデータを管理する入出力部101、作業者から入力された現プロジェクトの情報と過去プロジェクトのグループを比較しシステム要件の類似度と手作業工数との概算を算出するプロジェクトグループ評価部102、現プロジェクトの情報と過去プロジェクトを比較しシステム要件の類似度と手作業工数との詳細を算出するプロジェクト評価部103、計算機1に過去プロジェクトの情報を登録するプロジェクト情報登録部104、過去プロジェクトの情報を格納するプロジェクト一覧111、過去プロジェクトをグルーピングした結果を格納するプロジェクトグルーピング一覧112、過去プロジェクトにおいて使用された環境構築指示書を格納する環境構築指示書一覧113、システム要件類似度を算出する際に利用する重み係数を格納したシステム要件類似度重みづけテーブル114、手作業工数を算出する際に利用する重み係数を格納した手作業工数重みづけテーブル115、過去プロジェクトと現プロジェクトを比較し、評価した結果を格納するプロジェクト評価結果116、プロジェクトグループと現プロジェクトを比較し、評価した結果を格納するプロジェクトグループ評価結果117を格納している。なお、以下、プロジェクトをPJとも称する。
【0014】
環境構築指示書に従って計算機の環境を構築する計算機2は、CPU20、メインメモリ21、記憶装置22、入力装置23、出力装置24、及び通信インタフェース25とからなる計算機であり、これらは内部バス等により接続される。記憶装置22は、作業者から入力される環境構築指示書を受けつける環境構築指示書受付部201、受け付けた環境構築書に基づき適切なディスクイメージを転送する環境構築制御部202、ディスクイメージを格納したディスクイメージ一覧211を格納している。
【0015】
現プロジェクトのシステム開発で利用される計算機3は、CPU30、メインメモリ31、記憶装置32、入力装置33、出力装置34、及び通信インタフェース35とからなる計算機であり、これらは内部バス等により接続される。記憶装置32は、環境構築制御部202から転送されたディスクイメージを利用して環境を構築する環境構築実行部301を格納している。
【0016】
なお、本実施の形態では、ディスクイメージを転送しコピーする事で計算機環境を構築しているが、その他の計算機環境の構築手段を用いてもよい。
【0017】
図2は、プロジェクト一覧111の例であり、過去に実施されたプロジェクトの情報を格納している。プロジェクトID1111は、過去に実施されたプロジェクトに対して一意になるように付けられたIDである。システム構築パターン1112は、システム基盤の標準的なパターンのことであり、作業者が事前に定義したパターンである。本実施例では、OLTP(on-line transaction processing)システム、Webシステム、バッチシステム、バックアップシステムなどを想定しているが、口座管理業務や融資業務などといった業務観点でパターン分けしてもよい。システム要件1113は、各プロジェクトにて定められた要件である。本実施例では、継続性、耐障害性、業務処理量、性能目標値を例としているが、実際には保守性や安全性等の多数の項目が存在する。システム要件の各項目は1から3のレベルが設定されており、値が高いほどシステム要件の要求度が高い。例えば、継続性におけるレベル3は障害発生時において60秒未満で業務を再開するであり、レベル1は24時間以内で業務を再開するである。各システム要件のレベルは事前に作業者が定義する。ソフトウェアスタック1114は各プロジェクトで利用したOSやミドルウェアの名称及びそのバージョン情報である。本実施例では、OSとデータベースを例としているが、実際にはTPモニタ製品や開発環境製品等の多数のソフトウェアスタックが存在する。ツール1115は各プロジェクト利用したツールの名称及びそのバージョン情報である。本実施例では、電文投入ツールとカバレッジツールを例としているが、実際にはファイル転送ツールやデータ変換ツール等の多数のツールが存在する。各レコードは過去に実施したプロジェクトと対応しており、図2では1つのプロジェクトが登録されている。
【0018】
図3は、プロジェクトグルーピング一覧112の例であり、過去プロジェクトをグルーピングした結果を格納している。プロジェクトグループID1121は、各プロジェクトグループに対して一意になるように付けられたIDである。システム構築パターン1122は、プロジェクトグループに属しているプロジェクトのシステム構築パターンである。システム大要件1123は、プロジェクトのシステム要件を集約したものである。本実施例では、可用性と性能を例としており、可用性は継続性と耐障害性を集約した項目、性能は業務処理量と性能目標値を集約した項目である。システム大要件1123の各項目も1から3のレベルが設定されており、値が高いほどシステム要件の要求度が高い。ソフトウェアスタック1124はプロジェクトグループに属しているプロジェクトのソフトウェアスタックである。ツール1125はプロジェクトグループに属しているプロジェクトで利用しているツールである。プロジェクトID1126は、プロジェクトグループに属しているプロジェクトのIDである。各レコードはグループングしたプロジェクトグループと対応しており、図3では、1つのプロジェクトグループが登録されている。
【0019】
図4は、環境構築指示書一覧113の例であり、過去プロジェクトにおいて使用された環境構築指示書を格納している。プロジェクトID1131は、その指示書を使用したプロジェクトのIDである。環境構築指示書1132は、過去プロジェクトで使用された環境構築指示書であり、計算機環境を自動的に構築する計算機2の入力情報である。本実施の形態では、ディスクイメージ一覧211に格納されているどのディスクイメージを使用して環境を構築するかが記述されている。
【0020】
図5は、システム要件類似度重みづけテーブル114の例であり、システム要件類似度を算出する際に利用する重み係数を格納している。システム要件1141は、重みづけを行うシステム要件の項目を格納しており、システム要件1113とシステム大要件1123の項目である。本実施の形態の場合、継続性、耐障害性、業務処理量、性能目標値、可用性、性能の6つの項目となる。図5は、6つの項目の中で継続性に関するレコードを記述している。現PJ要件1142と過去PJ要件1143の組合せにより重み係数であるシステム要件類似度1144を定義する。例えば、継続性の場合、現プロジェクトのシステム要件がレベル3、過去プロジェクトのシステム要件がレベル1の場合、重み係数は10となる。現PJ要件1142と過去PJ要件1143の組合せが登録されていない場合、重み係数は0とする。
【0021】
図6は、手作業工数重みづけテーブル115の例であり、手作業工数を算出する際に利用する重み係数を格納している。作業対象1151は、重みづけを行うソフトウェアやツールの項目を格納しており、プロジェクト一覧111のソフトウェアスタック1114とツール1115の項目である。本実施の形態の場合、OS、DB、電文投入ツール、カバレッジツールの4つである。図6では4つの項目の中でDBに関するレコードを記述している。現PJ 名称1152、現PJ Ver1153、過去PJ 名称1154、過去PJ Ver1155の組合せにより重み係数である手作業見積もり工数1157とその作業内容である更新手順1156を抽出する。例えば、現プロジェクトのDBがDB_Aでバージョンが7.0、過去プロジェクトのDBがDB_Aでバージョンが8.0の場合、手作業見積もり工数は1、更新手順は手動アップデートとなる。また、各ソフトウェアスタックとツールに関して、現PJと過去PJのバージョンの組合せが登録されていない場合や現PJと過去PJの名称が異なる場合の重み係数も登録する。例えば、5番目のレコードに同じDBでバージョンの組合せが登録されていない場合、6番目のレコードにDBが異なる場合、の更新手順と手作業見積もり工数を登録する。
【0022】
図7は、プロジェクト評価結果116の例であり、過去プロジェクトと現プロジェクトを比較し、評価した結果を格納している。プロジェクトID1161は比較対象となった過去プロジェクトのIDである。システム要件類似度(詳細)1162は、過去プロジェクトと現プロジェクトのシステム要件の類似度の詳細値である。手作業工数(詳細)1163は過去プロジェクト流用時において必要な手作業工数の詳細値である。これらの値はプロジェクト評価部103が算出する。図7では5つのプロジェクトの評価結果を格納している。
【0023】
図8は、プロジェクトグループ評価結果117の例であり、プロジェクトグループと現プロジェクトを比較し、評価した結果を格納している。プロジェクトグループID1171は比較対象となったプロジェクトグループのIDである。システム要件類似度(概算)1172は、プロジェクトグループと現プロジェクトのシステム要件の類似度の概算値である。手作業工数(概算)1173はプロジェクトグループに属している過去プロジェクト流用時において必要な手作業工数の概算値である。これらの値はプロジェクト評価部103が算出する。これらの値はプロジェクトグループ評価部102が算出する。図8では、3つのプロジェクトグループの評価結果を格納している。
【0024】
次に、本の形態における処理の流れについて述べる。
第一に、作業者が現プロジェクトの情報を計算機1に入力し、計算機1が登録された過去プロジェクトを評価し、評価した結果を作業者に表示する処理について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0025】
まず、S11では、入出力部101を介して、作業者からの入力を受付け、現プロジェクトの情報を登録する。登録する情報の例を図10に示す。図10では、現プロジェクトで構築予定のシステム構築パターン、現プロジェクトで期待されるシステム要件、インストール予定であるソフトウェアスタックの名称とバージョン、開発工程やテスト工程において利用予定であるツールの名称とバージョンが格納されている。
【0026】
S12では、プロジェクトグループ評価部102が、入力された現プロジェクトの情報とプロジェクトグループ一覧112を比較し、各プロジェクトグループのシステム要件類似度(概算)を算出する。S12の詳細のフローチャートを図11に示す。
【0027】
まず、入力された現プロジェクトのシステム大要件を算出する(S121)。システム大要件の値は集約しているシステム要件の中で最大の値とする。例えば、継続性のレベルが3、耐障害性のレベルが2の場合、可用性のレベルは3とする。次に、プロジェクトグループ一覧112からシステム構築パターン1112が現プロジェクトと一致するプロジェクトグループを1件取り出す(S122)。次に、プロジェクトグループと現プロジェクトのシステム大要件の項目を比較する(S123)。比較した項目が異なっていた場合、システム要件類似度重みづけテーブル114を参照し、該当するシステム要件類似度1144の値を取得する(S124)。各システム大要件を比較した後(S125)、プロジェクトグループ評価結果117にプロジェクトグループID1171とシステム要件類似度(概算)1172を更新する(S126)。システム要件類似度(概算)の値はS124で取得したシステム要件類似度の値を合算した値である。各プロジェクトグループを比較した後(S127)、次のステップに進む。
【0028】
S13では、プロジェクトグループ評価部102が、入力された現プロジェクトの情報とプロジェクトグループ一覧112を比較し、各プロジェクトグループの手作業工数(概算)を算出する。S13の詳細のフローチャートを図12に示す。
【0029】
最初に、プロジェクトグループ一覧112からシステム構築パターン1112が現プロジェクトと一致するプロジェクトグループを1件取り出す(S131)。次に、プロジェクトグループと現プロジェクトのソフトウェアスタックとツールの項目を比較する(S132)。比較した項目が異なっていた場合、手作業工数見積もりテーブル115を参照し、該当する手作業見積もり工数1157の値を取得する(S133)。全てのソフトウェアスタックとツールを比較した後(S134)、プロジェクトグループ評価結果117にプロジェクトグループID1171と手作業工数(概算)1173を更新する(S135)。手作業工数(概算)の値はS133で取得した手作業見積もり工数の値を合算した値である。全てのプロジェクトグループを比較した後(S136)、次のステップに進む。
【0030】
S14では、プロジェクトグループ評価部102がプロジェクトグループ評価結果117を参照し、詳細な評価を実施するプロジェクトの候補を選定する。システム要件類似度(概算)1172と手作業工数(概算1173)の値が高いものを候補として選定する。選定方法の例として、システム要件類似度(概算)1172もしくは手作業工数(概算1173)のどちらかの値が全プロジェクトの上位100%に該当する、どちらかの値が上位100件に該当する等が挙げられる。
【0031】
S15では、プロジェクト評価部103がS14で選定した各プロジェクトに対し、現プロジェクトと比較を行い、システム要件類似度(詳細)を算出する。S15の詳細のフローチャートを図13に示す。
【0032】
比較対象とするプロジェクトを1件取り出し(S151)、プロジェクトと現プロジェクトのシステム要件の項目を比較する(S152)。比較した項目が異なっていた場合、システム要件類似度重みづけテーブル114を参照し、該当するシステム要件類似度1144の値を取得する(S153)。各システム要件を比較した後(S154)、プロジェクト評価結果116にプロジェクトID1161とシステム要件類似度(詳細)1162を更新する(S155)。システム要件類似度(詳細)1162の値はS153で取得したシステム要件類似度の値を合算した値である。各プロジェクトを比較し(S156)、次のステップ(S16)に進む。
【0033】
S16では、プロジェクト評価部103がS14で選定した各プロジェクトに対し、現プロジェクトと比較を行い、手作業工数(詳細)を算出する。S16の詳細のフローチャートを図14に示す。
【0034】
比較対象とするプロジェクトを1件取り出し(S161)、プロジェクトと現プロジェクトのソフトウェアスタックとツールの名称とバージョンを比較する(S162)。比較した名称とバージョンが異なっていた場合、手作業工数見積もりテーブル115を参照し、該当する手作業見積もり工数1157の値を取得する(S163)。全てのソフトウェアとツールを比較した後(S164)、プロジェクト評価結果116にプロジェクトID1161と手作業工数(詳細)1163を更新する(S165)。手作業工数(詳細)1163の値はS163で取得した手作業見積もり工数の値を合算した値である。各プロジェクトを比較し(S166)、次のステップ(S17)に進む。
【0035】
S17では、入出力部101がプロジェクト評価結果116と環境構築指示書一覧113を参照し、結果を作業者に表示する。表示の例を図15に示す。
【0036】
図15は、システム要件類似度の上位3件と手作業工数の上位3件のプロジェクトを表示しており、各プロジェクトのシステム要件類似度、手作業工数、プロジェクトで使用した環境構築指示書を表示している。作業者は、表示されたプロジェクトを確認し、どのプロジェクトの環境構築指示書を流用するかを判断する。
【0037】
第二に、作業者が計算機1にて表示された結果を計算機2に入力し、計算機2が計算機3の環境を構築する処理について、図16のフローチャートを用いて説明する。なお、ここでは、上位3件としたが、これは2件、3件以上など他の件数でもよいし、所定の類似度以上の件数としても構わない。
【0038】
S21では、環境構築指示書受付部201が作業者から環境構築手順書1132を受け付ける。例えば、作業者がP001のプロジェクトを流用してシステム構築を行うと判断した場合、作業者はSE001、SE002、SE003、SE004の4つの環境構築手順書を環境構築指示書受付部に登録する。S22では、環境構築制御部202が環境構築手順書1132に従って、該当するディスクイメージをディスクイメージ一覧211から参照し、環境構築実行部301に送付する。S23では、環境構築実行部301が送付されたディスクイメージを記憶装置32にコピーする。
【0039】
第三に、作業者が過去に実施したプロジェクトの情報を計算機1に登録する処理について、図17のフローチャートを用いて説明する。
【0040】
まず、プロジェクト情報登録部104が作業者から過去に実施したプロジェクトの情報を受け付ける(S31)。作業者は入力する情報は、図10で示したプロジェクト情報とプロジェクトで使用した環境構築手順書とである。具体的には、システム構築パターン、システム要件、ソフトウェアスタックの名称とバージョン、ツールの名称とバージョン、プロジェクトで使用した環境構築手順書である。
【0041】
次に、プロジェクト情報登録部104は、受け付けたプロジェクトのIDを付与した後、プロジェクト一覧111にレコードを追加する(S32)。次に、環境構築指示書一覧113にプロジェクトで使用した環境構築手順書と該当するプロジェクトIDを登録する(S33)。次に、入力されたプロジェクト情報のシステム大要件を算出する(S34)。システム大要件の値は集約しているシステム要件の中で最大の値とする。例えば、継続性のレベルが3、耐障害性のレベルが2の場合、可用性のレベルは3とする。次に、プロジェクトグループ一覧112に格納している全てのプロジェクトグループに対し、システム大要件、ソフトウェアスタックの名称、ツールの名称を比較し、全て一致しているプロジェクトグループが存在するかを確認する(S35)。存在しない場合、新たにプロジェクトグループを作成し、プロジェクトグループ一覧112に追加する(S36)。存在する場合、プロジェクトグループ一覧112のプロジェクトID1126のプロジェクトIDを更新する(S37)。
【符号の説明】
【0042】
101 入出力部
102 プロジェクトグループ評価部
103 プロジェクト評価部
104 プロジェクト情報登録部
111 プロジェクト一覧
112 プロジェクトグループ一覧
113 環境構築指示書一覧
114 システム要件類似度重みづけテーブル
115 手作業工数重みづけテーブル
116 プロジェクト評価結果
117 プロジェクトグループ評価結果
201 環境構築指示書受付部
202 環境構築制御部
211 ディスクイメージ一覧
301 環境構築実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の業務を実行するシステムの開発において当該システム構築を支援するシステム構築支援装置であって、
作業者の作成した環境構築手順書に基づいて計算機個々の環境を構築する手段と、
前記システムに関する現プロジェクトと過去プロジェクトとを比較する手段と、
前記比較の結果を用いて、前記システムのシステム要件の類似度を算出する手段と、
前記比較の結果を用いて、前記過去プロジェクトの計算機環境を流用した場合の手作業工数の見積もりを算出する手段とを有することを特徴とするシステム構築支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシステム構築支援装置において、
前記見積もりに基づいて、前記過去プロジェクトの計算機環境構築手順書を出力する手段を更に有することを特徴とするシステム構築支援装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステム構築支援装置において、
前記見積もりを算出する手段は、前記過去プロジェクトのシステムでインストールされているソフトウェアスタックとツールの名称とバージョンから前記手作業工数を見積もることを特徴とするシステム構築支援装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のシステム構築支援装置において、
前記過去プロジェクトのシステム要件とインストールされているソフトウェアスタックとツールに基づいて、当該過去プロジェクトのグループングする手段を更に有し、
前記比較する手段は、前記グルーピングした情報と前記現プロジェクトの情報を比較することを特徴とするシステム構築支援装置。
【請求項5】
所定の業務を実行するシステムの開発において当該システム構築を支援するシステム構築支援方法であって、
作業者の作成した環境構築手順書に基づいて計算機個々の環境を構築するステップと、
前記システムに関する現プロジェクトと過去プロジェクトとを比較するステップと、
前記比較の結果を用いて、前記システムのシステム要件の類似度を算出するステップと、
前記比較の結果を用いて、前記過去プロジェクトの計算機環境を流用した場合の手作業工数の見積もりを算出するステップとを有することを特徴とするシステム構築支援方法。
【請求項6】
請求項5に記載のシステム構築支援方法において、
前記見積もりに基づいて、前記過去プロジェクトの計算機環境構築手順書を出力するステップを更に有することを特徴とするシステム構築支援方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載のシステム構築支援方法において、
前記見積もりを算出するステップは、前記過去プロジェクトのシステムでインストールされているソフトウェアスタックとツールの名称とバージョンから前記手作業工数を見積もることを特徴とするシステム構築支援方法。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載のシステム構築支援方法において、
前記過去プロジェクトのシステム要件とインストールされているソフトウェアスタックとツールに基づいて、当該過去プロジェクトのグループングするステップを更に有し、
前記比較するステップは、前記グルーピングした情報と前記現プロジェクトの情報を比較することを特徴とするシステム構築支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−114437(P2013−114437A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259709(P2011−259709)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】