説明

シス,トランス−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル基を含む熱硬化性ポリウレタン

シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含む熱硬化性ポリウレタン。シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂の付加物を、ポリイソシアネートとの反応に用いて、熱硬化性ポリウレタンを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分(moiety)を含む熱硬化性ポリウレタンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱硬化性ポリウレタン及びそれらの製造方法は種々の文献、例えば非特許文献1〜3に記載されている。
【0003】
ポリウレタン製品の形成において1,4−シクロヘキサンジメタノールを一成分として使用することは当業界でも知られている。例えば特許文献1は軟質ポリウレタンフォームの製造に低分子量架橋剤として1,4−シクロヘキサンジメタノールを使用することを教示している。特許文献2は1,4−シクロヘキサンジメタノールを連鎖延長剤として用いて第二ヒドロキシル含量が高いポリオールから製造された熱可塑性ポリウレタンを教示している。特許文献3は硬質熱可塑性ポリウレタンにジオール連鎖延長剤として1,4−シクロヘキサンジメタノールを使用することを教示している。非特許文献4はシス及びトランス1,4−シクロヘキサンジメタノール及びメチレンビス(4−フェニルイソシアネート)から製造されたポリウレタンを記載している。
【0004】
しかし、先行技術においては、シス、トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテルを含む熱硬化性ポリウレタンを教示する開示も示唆もなされていない。
【0005】
先行技術に開示された、ポリウレタンの形成に一成分として使用される1,4−シクロヘキサンジメタノールは、ポリウレタン形成反応に関して二官能性であり、従って、熱硬化性ポリウレタン製品の物理的機械的性質を向上させる能力が限られている。1,4−シクロヘキサンジメタノールはシス、トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分のような多官能性分子が示すことができる架橋性能を示すことができない。二官能性分子は直鎖を連鎖延長できるだけである。熱硬化を引き起こす架橋は、多くの性質の向上に、例えばガラス転移温度の上昇、耐熱性の増加、曲げ弾性率(剛さ/剛性)の増加及び/又は硬度の増加に直接的に関与する。架橋は耐湿性にも影響を及ぼし(加水分解安定性を増加させ)、ある種の腐蝕媒体(例えば酸、塩基)及び有機溶剤に対する耐性に影響を及ぼす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,167,612号
【特許文献2】米国特許第6,734,273号
【特許文献3】WO/1997/011980
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Polyurethane Handbook,Macmillan Publishing Co.,Inc.(1985)
【非特許文献2】Polyurethanes:Chemistry and Technology,Part I,Chemistry,High Polymers,volume XVI,pages32-61,Interscience Publishers(1965)
【非特許文献3】Flexible Urethane Foams Chemistry and Technology,pages27-43,Applied Science Publishers(1982)
【非特許文献4】D.J.Lyman,Polyurethanes.II.Effect of cis-trans isomerism on properties of polyurethanes,Journal of Polymer Science,volume 55,issue 162,pages 507-514(March 10,2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、ポリウレタンマトリックスを架橋すると共に、非常に望ましいシクロヘキシル部分を提供する成分として使用するための、ポリウレタン形成反応に関して多官能性であるシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノール組成物があれば非常に有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂付加物を用いてポリイソシアネートと反応させて熱硬化性ポリウレタンを製造する。
【0010】
本発明の一面は、(a)少なくとも1個のシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含み且つ分子当たり2個超のツェレウィチノフ(Zerewitinoff)活性水素原子を有する付加物と(b)ポリイソシアネートを含んでなるポリウレタン組成物に関する。
【0011】
本発明の別の面は、少なくとも1個のシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含む熱硬化性ポリウレタンを対象とする。
【0012】
本発明の更なる面は少なくとも1個のシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含む熱硬化性ポリウレタンを含んでなる物品を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明において、本発明の具体的態様は、その好ましい態様と関連して記載する。しかし、以下の説明は、本発明の技術の特定の態様又は特定の用途に限定される限りにおいては、例示に過ぎず、典型的な態様についての簡潔な説明を単に提供するものとする。従って、本発明は、下記の具体的態様に限定するものではなく、添付した特許請求の範囲の真の範囲内に入る全ての選択肢、変更形態及び均等物を含む。
【0014】
特に断らない限り、物質、化合物又は成分への言及は、物質、化合物又は成分自体及びそれと他の材料、化合物又は成分との組合せ、例えば化合物の混合物又は組合せを含む。
【0015】
本明細書中で使用する単数形(a,an,the)は、前後関係からそうでないことが明白に示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0016】
前述のように、本発明の熱硬化性ポリウレタンは、少なくとも1個のシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含む。熱硬化性ポリウレタンは、(a)付加物及び(b)ポリイソシアネートを含むポリウレタン組成物から製造し、前記付加物はシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含み且つ分子当たり2個超のツェレウィチノフ活性水素原子を有する。
【0017】
本発明によれば、本発明のポリウレタン組成物はシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含む少なくとも1種の付加物を含むことができる。
【0018】
本明細書中で使用する用語「付加物(adduct)」は、単一の反応生成物を生じる2種又はそれ以上の異なる分子の直接付加による生成物を意味する。得られる反応生成物又は付加物は反応体とは異なる分子種と考えられる。
【0019】
本明細書中で使用する用語「シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分」は、エポキシ樹脂内の構造、即ちエポキシ樹脂内の4種の幾何異性体、シス−1,3−シクロヘキサンジメチルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメチルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテルを含む化合構造のブレンドを意味する。これら4種の幾何異性体は下記構造で示される。
【0020】
【化1】

【0021】
本発明の付加物はシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂材料(A)と分子当たり2個又はそれ以上の反応性水素原子(反応性水素原子はエポキシ基と反応性である)を有する化合物を含む反応性化合物(B)との少なくとも1種の反応生成物を含む。
【0022】
好ましくは、シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂材料(A)は、以下のエポキシ樹脂:
(1)シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル(シス,トランス−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテルとも称する)を含むエポキシ樹脂;
(2)シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル及びそれらの1種若しくはそれ以上のオリゴマーを含むエポキシ樹脂;
(3)シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテルを含むエポキシ樹脂;又は
(4)シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、シス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びそれらの1種若しくはそれ以上のオリゴマーを含むエポキシ樹脂
の1つを含むことができる。
【0023】
前記エポキシ樹脂(3)及び(4)は、制御された量のシス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル及びトランス−1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテル(シス,トランス−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのモノグリシジルエーテルとも称する)を含むことができる。例えばモノグリシジルエーテルの量は、エポキシ樹脂材料(A)の総重量に基づき、約0.1〜約90重量%;好ましくは約0.1〜約20重量%;より好ましくは約0.1〜約10重量%の範囲であることができる。
【0024】
シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含む前記エポキシ樹脂及びその製造方法についての詳細な説明は、同時係属出願の米国特許出願第 号(代理人整理番号第64833)に示されている。この特許出願を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0025】
同時係属出願の米国特許出願第 号及び第 号(代理人整理番号はそれぞれ第64833及び第64916)(引用することによって本明細書中に組み入れる)に開示されるように、シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂の付加物はシス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分のみを含むエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂の付加物に比較して、室温で結晶化しない、粘度がより低いというような改善された性質を有することが判明した。これらの改善された性質は、より高い固形分を受容するようにエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂の付加物の能力を増大させる。更に、前記同時係属特許出願に開示されたシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含む一部のエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂の付加物は塩化物(イオン性塩化物、加水分解性塩化物及び総塩化物を含む)の含量が非常に低く且つジグリシジルエーテル含量が高い。そのため、これらのエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂の付加物は、従来のエポキシ樹脂硬化剤に対する反応性が増大し、電位腐蝕性(potential corrosivity)が低下し且つ電気的性質が改善される。シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含むエポキシ樹脂の一部の付加物は、エポキシ樹脂用の硬化剤として用いた場合に、シス,トランス−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分のみを含むエポキシ樹脂の付加物に比べて、高い反応性、改善された相容性及び改善されたガラス転移温度プロフィールを示すことができる。
【0026】
本発明において有用な付加物を形成するためにエポキシ樹脂材料(A)と反応させるのに使用する反応性化合物(B)は、分子当たり2個又はそれ以上の反応性水素原子を有する少なくとも1種の化合物を含む。反応性水素原子は、エポキシ樹脂材料(A)に含まれるエポキシ基のようなエポキシ基と反応性である。本明細書中で使用する用語「反応性水素原子」は水素原子がエポキシ基と反応性であることを意味する。
【0027】
反応性化合物(B)の例としては、(a)ジ−及びポリフェノール、(b)ジ−及びポリカルボン酸、(c)ジ−及びポリメルカプタン、(d)ジ−及びポリアミン、(e)第一モノアミン、(f)スルホンアミド、(g)アミノフェノール、(h)アミノカルボン酸、(i)フェノール性ヒドロキシル含有カルボン酸、(j)スルファニルアミドのような化合物及び(k)このような化合物の任意の2種又はそれ以上の任意の組合せなどが挙げられる。
【0028】
シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含む付加物及びその製造方法についての詳細な説明は、同時係属出願の米国特許出願第
号(代理人整理番号第64916)に示されている。この特許出願を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0029】
本発明によれば、ポリウレタン組成物は分子当たり2個超のツェレウィチノフ活性水素原子を有する少なくとも1種の有機物質(Z)を更に含むことができる。有機物質(Z)は、本発明のポリウレタン組成物の形成に使用する前記付加物とは異なる。
【0030】
有機物質(Z)は、一般に、2個超のツェレウィチノフ活性水素原子及び少なくとも1個のイソシアネート反応性官能基を含み、ツェレウィチノフ活性水素原子はイソシアネート反応性官能基に結合している。イソシアネート反応性官能基の例としては−OH、−SH、−COOH又は−NHR[式中、Rは水素又はアルキル部分である]が挙げられる。
【0031】
有機物質(Z)の例としては、ポリオール、好ましくはジオールが挙げられる。ポリアミン、アルカノールアミン又はポリスルフヒドリル含有化合物のような他の例も、ポリオールの代わりに又はポリオールに加えて、使用できる。
【0032】
有機物質(Z)のより具体的な例としては、ポリエーテルポリオール;アミンキャップされたポリエーテルポリオール;ヒドロキシル含有ポリエステル;脂肪族ヒドロキシル含有ポリカーボネート;ヒドロキシル含有ポリチオエーテル;ヒドロキシル含有ポリオレフィン;例えばジイソシアネートと化学量論的過剰のジオールとの反応によって又はジイソシアネートと化学量的過剰のジアミンとの反応によって製造されたヒドロキシル含有ウレタン及び尿素;ヒドロキシル及び/又はアミノ含有ポリエステルアミド;アミノ含有ポリアミド;アルカノールアミン;脂肪族、脂環式、多脂環式ジオール及びポリオール;ポリアミン;メルカプトアルコール;メルカプトアミン;ポリマー改質ポリオール(即ちビニルポリマー又はコポリマーでグラフト化されたポリオール、ビニルポリマー又はコポリマー及び未反応ポリオールを含む);分散ポリ尿素粒子を含むポリオール、即ちポリ尿素分散ポリオール(polyharnstoff dispersion polyols);並びにそれらの任意の混合物が挙げられる。
【0033】
有機物質(Z)の他の例は、前述のPolyurethane Handbook,42〜60ページ、Polyurethanes:Chemistry and Technology,Part I,Chemistry,High Polymers,volume XVI,32〜61ページ,Interscience Publishers(1965);及びFlexible Urethane Foams Chemistry and Technology,27〜43ページ,Applied Science Publishers(1982)に記載されており、これらの文献は、全て、引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0034】
有機物質(Z)のより好ましい例としては、平均分子量が約250〜約6000g/mol及び分子当たりのヒドロキシル基が約2〜約8g/molのポリエーテルポリオール;又はこれらのポリエーテルポリオールと下記のような連鎖延長剤とのブレンドが挙げられる。
【0035】
有機物質(Z)はまた、連鎖延長剤、例えば総炭素数2〜約20の有機ジオール又はグリコール、例えばアルカンジオール、芳香族ジオール、アルキル芳香族ジオール、脂環式ジオール、多脂環式ジオール及びそれらの任意の組合せ;並びにグリコール、例えばジアルキレンエーテルグリコール、芳香族グリコール及びそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0036】
連鎖延長剤として有用な適当なアルカンジオールの例は、合計約2〜約6の炭素数原子を有し、例えば1,2−エタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール及びそれらの混合物を含むことができる。
【0037】
連鎖延長剤として有用な適当なアルキル芳香族ジオールの例としては、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ジメチロールベンゼン及びそれらの混合物が挙げられる。
【0038】
連鎖延長剤として有用な適当な脂環式グリコールの例としては、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジメタノール;ノルボルナンジメタノール;1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール;及びそれらの混合物が挙げられる。
【0039】
連鎖延長剤として有用な適当な多脂環式ジオールの例としては、ジシクロペンタジエンジメタノール、ポリシクロペンタジエンジメタノール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
連鎖延長剤として有用な適当なジアルキレンエーテルグリコールの例としては、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0041】
連鎖延長剤として有用な適当な芳香族グリコールの例としては、1,4−ベンゼンジメチロール、トルエンジメチロール及びそれらの混合物が挙げられる。
【0042】
例えば3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェノルメタン又は4,4’−メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)のような芳香族アミンも連鎖延長剤として働くことができる。1種又はそれ以上の連鎖延長剤の混合物も本発明において使用できる。
【0043】
有効量の連鎖延長剤はポリウレタンの分子量を増大させる役割をすることができる。一般に、連鎖延長剤の有効量は、付加物及び有機物質(Z)の総重量に基づき、約1〜約50重量%;好ましくは約2〜約25重量%;より好ましくは約3〜約15重量%の範囲内であることができる。
【0044】
本発明によれば、付加物と有機物質(Z)との比は付加物約1〜約99重量%及び有機物質(Z)約99〜約1重量%の範囲;好ましくは付加物約10〜約75重量%及び有機物質(Z)約90〜約25重量%の範囲;より好ましくは付加物約10〜約50重量%及び有機物質(Z)約90〜約50重量%の範囲であることができる。
【0045】
ポリウレタン組成物が、任意的に、分子当たり1個のイソシアネート反応性官能基を有する1種又はそれ以上の一官能性反応体を含むことは、本発明の範囲内である。分子当たり1個のイソシアネート反応性官能基は−OH、−SH、−COOH又は−NHR[Rは水素又はアルキル部分である]であることができる。
【0046】
一官能性反応体の例としては、モノオール、モノスルフヒドリル含有化合物、モノカルボン酸及び第一又は第二モノアミンが挙げられる。
【0047】
一官能性反応体は、所望の性質を有するポリウレタン生成物を得るのに有効な量で、例えば分子量、取扱いやすさ又は機械的性質を制御するために形成ポリウレタンマトリックス中に望ましい量の鎖を得るのに有効な量で、使用できる。
【0048】
一般に、一官能性反応体を用いる場合には、その有効量は、付加物及び有機物質(Z)の約0.1〜約25重量%;好ましくは約.1〜10重量%;より好ましくは約0.1〜約5重量%の範囲であることができる。
【0049】
本発明のポリウレタン組成物の製造には、任意のポリイソシアネートを使用できる。適当なポリイソシアネートの例は、分子当たり平均1個超のイソシアネート基を含むポリイソシアネート、例えばジイソシアネートであることができる。
【0050】
本発明に適当なポリイソシアネートのより具体的な例としては、脂肪族、脂環式、多脂環式、アリール置換脂肪族、芳香族又は複素環式ポリイソシアネート並びにそれらの任意のプレポリマー及びオリゴマーが挙げられる。
【0051】
ポリイソシアネートの代表例としては、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート;1,3−シクロヘキサンジイソシアネート;2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート;ペルヒドロ−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン;ペルヒドロ−2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン;ペルヒドロ−2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタン;ペルヒドロ−3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート;2,4−トルエンジイソシアネート;2,6−トルエンジイソシアネート;4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン;2,4’−ジイソシアナトジフェニルジイソシアネート;2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタン;2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン;ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート;ナフタレン−1,5−ジイソシアネート;4,4’−ジイソシアナトトリメチルシクロヘキサン;ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート;4,4’−ジイソシアナトビフェニル;3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニル;3,3’、5,5’−テトラメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニル;2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニル;4,4’−ジイソシアナトジスチルベン;4,4’−ジイソシアナトジフェニルアセチレン;4,4’−ジイソシアナトアゾベンゼン;4,4’−ジイソシアナトアゾキシベンゼン;4,4’−ビス(4−イソシアナト)フェノキシ)ジフェニル;4,4−ジイソシアナトベンズアニリド;4’−イソシアナトフェニル−4−イソシアナトベンゾエート;4,4’−ジイソシアナト−α−メチルスチルベン;4,4’−ジイソシアナト−α−シアノスチルベン;4,4’−ジイソシアナト−α−エチルスチルベン;4,4’−ジイソシアナトジフェニルアゾメチン;イソホロンジイソシアネート;及びそれらの任意の混合物が挙げられる。
【0052】
ポリイソシアネート及びその製造方法についての詳細は、例えばEncyclopedia of Chemical Technology,third edition,volume 13,pages 789-818,John Wiley and Sons(1981)に、及びSiefkenによってJustus Leibegs Annalen der Chemie,562,pages 75-136に記載されており、これらを引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0053】
本発明のポリウレタン組成物の製造に有用な更なるポリイソシアネートとしては、ウレタン基を含むポリイソシアネート、カルボジイミド基を含むポリイソシアネート、アロファネート基を含むポリイソシアネート、イソシアヌレート基を含むポリイソシアネート、尿素基を含むポリイソシアネート、ビウレット基を含むポリイソシアネート、アシル化尿素基を含むポリイソシアネート、エステル基を含むポリイソシアネート及びそれらの任意の混合物が挙げられる。
【0054】
ウレタン基を含むポリイソシアネートの例としては、例えばPolyurethane Handbook,pages77-79,Macmillan Publishing Co.,Inc.(1985)に記載されたトルエンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応生成物、又は米国特許第3,394,164号に記載されたポリイソシアネートが挙げられる(これらを引用することによって本明細書中に組み入れる)。
【0055】
カルボジイミド基を含むポリイソシアネートの例としては、例えば米国特許第3,152,162号等に記載されたもの、及びOzakiによってChemical Reviews,72,pp.486-558(1972)に記載されたものが挙げられる(これらの文献を引用することによって本明細書中に組み入れる)。
【0056】
アロファネート基を含むポリイソシアネートの例としては、英国特許第994,890号、ベルギー特許第761,626号及び前記Polyurethane Handbook,page81に記載されたものが挙げられる(これらを引用することによって本明細書中に組み入れる)。
【0057】
イソシアヌレート基を含むポリイソシアネートの例としては、例えば米国特許第3,001,973号及び第3,154,522号;ドイツ特許第1,002,789号、第1,027,394号及び1,222,067号;並びに前記Polyurethane Handbook,page79-80に記載されたものが挙げられる(これらを引用することによって本明細書中に組み入れる)。
【0058】
尿素基を含むポリイソシアネートの例としては、例えば、Polyurethane Handbook,page81-82に記載されたものが挙げられる(これを引用することによって本明細書中に組み入れる)。
【0059】
ビウレット基を含むポリイソシアネートの例としては、例えば米国特許第3,124,605号及び第3,201,372号;英国特許第889,050号;並びに前記Polyurethane Handbook,page82に記載されたものが挙げられる(これらを引用することによって本明細書中に組み入れる)。
【0060】
アシル化尿素基を含むポリイソシアネートの例としては、例えばドイツ特許第1,230,778号に記載されたものが挙げられる(これを引用することによって本明細書中に組み入れる)。
【0061】
エステル基を含むポリイソシアネートの例としては、例えば米国特許第3,567,763号;英国特許第965,474号及び第1,072,956号;並びにドイツ特許第1,231,688号に記載したものが挙げられる(これらを引用することによって本明細書中に組み入れる)。
【0062】
市販されているポリイソシアネートも本発明において使用できる。その例としては、トルエンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化ジイソシアナトジフェニルメタン及びそれらの任意の混合物又は任意の異性体混合物が挙げられる。
【0063】
前述のように、本発明の付加物はエポキシ樹脂材料(A)と反応性化合物(B)との少なくとも1種の反応生成物を含む。エポキシ樹脂材料(A)はシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含む。この反応はエポキシ樹脂材料(A)と反応性化合物(B)との開環反応であることができる。
【0064】
本発明の付加物は分子当たり少なくとも4個のイソシアネート水素原子を含むこともできる。これらのイソシアネート反応性水素原子のうち2個はエポキシ樹脂材料(A)と反応性化合物(B)との開環反応によって生じた第二ヒドロキシル基に由来する水素原子であることができる。残りの2個又はそれ以上のイソシアネート反応性水素原子は、反応性化合物(B)中に存在する未反応イソシアネート反応性水素原子であることができる。ポリウレタン組成物中における付加物とポリイソシアネートの比は一般に約1:0.90〜約1.0:1.25、好ましくは約0.95:1〜約1.1:1.0[(ポリイソシアネート中に存在するイソシアネート基の当量)]対(付加物中に存在する分子当たりのイソシアネート反応性水素原子の当量)]である。
【0065】
本発明のポリウレタン組成物は1種又はそれ以上の触媒を含むこともできる。イソシアネートと反応性水素原子含有化合物との反応を触媒するために従来使用されている又はイソシアネートと反応性水素原子含有化合物との反応を触媒することが当業界で知られている触媒をこの目的で使用できる。
【0066】
このような触媒としては、例えばビスマス、錫、鉄、アンチモン、コバルト、トリウム、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン及びジルコニウム並びにホスフィン類及び第三有機アミン類の、有機及び無機酸塩並びに有機金属誘導体、更にそれらの混合物が挙げられる。
【0067】
錫触媒の代表的な有機金属誘導体としては、オクタン酸第一錫、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0068】
代表的な第三有機アミン触媒としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N.N−ジエチルエタノールアミン及びそれらの任意の組合せが挙げられる。本発明において有用な好ましい触媒としては、例えばオクタン酸第一錫、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0069】
本発明において使用する触媒の量は、一般に、ポリウレタン組成物の総重量の約20〜約500重量ppmの範囲内である。最少量の触媒を用いて、副反応を最小限に抑えることができる。
【0070】
本発明の熱硬化性ポリウレタン樹脂は付加物とポリイソシアネートとの反応生成物及び、任意的に、有機物質(Z)を含む。
【0071】
この反応は、段階的に若しくは増量しながら又は一段法として実施できる。本発明の熱硬化性ポリウレタン組成物の製造に適当な反応条件、反応時間、反応温度及び任意選択の触媒は当業者によく知られたものであり、前記Polyurethanes:Chemistry and Technology,129〜217ページ及び前記Encyclopedia of Chemical Technology,576〜608ページに記載されており、これらを引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0072】
本発明の好ましい方法においては、付加物及び任意の有機物質(Z)を化学量論的過剰のポリイソシアネートと反応させて、イソシアネートを末端基とするプレポリマーを形成する。付加物及び任意の有機物質(Z)に対するポリイソシアネートの好ましい比は約2:1〜約20:1、より好ましくは約2.5〜約8:1[(ポリイソシアネート中に存在するイソシアネート基のモル数)対(付加物中に存在するイソシアネート反応性水素原子のモル数)]である。
【0073】
このプレポリマーに1種又はそれ以上の有機物質(Z)を組み入れる場合には、付加物と合してからポリイソシアネートと反応させるのが好ましい。得られる生成物は、その後のポリウレタン形成反応に使用するための分子当たり1個より多くのイソシアネートを有する物質として使用できる過剰のポリイソシアネートを含む、イソシアネートを末端基とするプレポリマーである。
【0074】
本発明の別の態様において、付加物は、単独で又は別のイソシアネート反応性化合物、有機物質(Z)と混合して、化学量論量よりかなり少ない量の1種又はそれ以上のポリイソシアネートと反応させて、ヒドロキシル基のような活性水素基を末端基とするプレポリマーを形成する。付加物に対するポリイソシアネートの比は、好ましくは約0.05:1〜約0.60:1、より好ましくは約0.20:1〜約0.50:1[(ポリイソシアネート中に存在するイソシアネート基のモル数)対(付加物中に存在するイソシアネート反応性水素原子のモル数)]である。
【0075】
プレポリマー生成物はイソシアネート反応性水素原子を含み、そして次に、分子当たり1個より多くのイソシアネート基を有する材料と反応させてポリウレタン生成物を形成できる。あるいは、プレポリマーを前述のような化学量論的過剰のポリイソシアネートと反応させて別のプレポリマー(この場合はイソシアネートを末端基とする)を形成することができる。
【0076】
本発明の熱硬化性ポリウレタンの製造には他のプロセス構成も使用でき、それらは当業者には容易にわかるであろう。
【0077】
本発明の熱硬化性ポリウレタンは、気泡質(フォーム)又は非気泡質であることができ、1種又はそれ以上の添加剤、例えば充填剤、顔料、染料、離型剤、強化材及びそれらの任意の混合物を更に含むことができる。
【0078】
本発明の熱硬化性ポリウレタンは注型品、成形品、コーティング、構造用フォーム、軟質フォーム、硬質フォーム、断熱材などの製造において有用である。
【0079】
ポリイソシアヌレートフォームは、本発明の付加物を用いて製造できる特殊な硬質フォームである。ポリイソシアヌレートフォームは、一般に、本発明の付加物及び本明細書中で既に詳述したようなポリイソシアネートの接触(触媒による)三量化によって製造する。
【0080】
本発明のポリイソシアヌレートフォーム組成物は、(1)本発明の付加物;(2)前述の有機物質(Z)(有機物質(Z)は例えば1種又はそれ以上のポリオールを含むことができる);(3)界面活性剤、例えばシリコーン界面活性剤;及び(4)発泡剤などを含む。ポリイソシアヌレートフォーム組成物から製造されたポリイソシアヌレートフォームは、ポリイソシアヌレート−ポリウレタン構造又はポリイソシアヌレート−ポリウレタン−ポリ尿素構造を含むことができる。
【0081】
ポリイソシアヌレートフォームの形成を促進するために、三量化触媒を使用できる。このような触媒は、例えば米国特許出願公開公報第2007/0259983A1号(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)によって教示されたものを含む。
モノカルボキシレート触媒が好ましい。
【0082】
三量化触媒の代表例としては、Air Products,Inc.から市販されているもの、例えばDABCO TMR(登録商標)(エチレングリコール中2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムオクテートの75%溶液);及びDABCO K15(登録商標)(ジエチレングリコール中2−エチルヘキサン酸カリウムの70%溶液)が挙げられる。
【0083】
三量化触媒は、一般に、ポリイソシアヌレートフォーム組成物中に存在するポリイソシアネートの約0.1〜約5.0重量%の範囲の、イソシアネート基を三量化する量で使用する。
【0084】
発泡剤の量は、目的とするフォーム(発泡体)特性、例えば密度及び剛性に基づいて選択できる。一般に、ポリイソシアヌレートフォーム組成物中に存在するポリイソシアネートの重量に基づき、約1〜約30重量%の範囲の量を使用できる。
【0085】
発泡剤は約100℃未満の沸点を有する有機液体であることができる。発泡剤の例としては、脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素;非フッ素化ハロゲン化又は部分ハロゲン化脂肪族炭化水素;部分ハロゲン化脂肪族炭化水素(ハロゲンはフッ素を含むことができる);及びそれらの混合物が挙げられる。これまではクロロフルオロカーボンが発泡剤として使用されてきたが、環境への懸念から本発明においてはこれらを使用しない。
【0086】
本発明において有用な発泡剤の代表例としては、n−ペンタン、イソ−ペンタン、n−ヘキサン、ヘプタン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチルブテン、3−メチルブテン、1−ヘキセン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキセン、シクロペンテン、塩化n−プロピル、臭化n−プロピル、フッ化n−プロピル、ジクロロメタン、臭化エチレン、臭化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、二塩化エチレン及びそれらの任意の混合物が挙げられる。
【実施例】
【0087】
以下の実施例及び比較実験は、本発明を更に詳述に説明するが、本発明を限定するものと解してはならない。
【0088】
実施例1
A.塩化錫(IV)を用いたエピクロロヒドリンとシス,トランス−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)のルイス酸触媒カップリングとそれに続くエポキシ化
3リットルの5口丸底ガラス製モルトン(Morton)反応器に、窒素下でCHDM(865.26g,6.00モル,ヒドロキシル当量12.0)を装填した。使用したCDHMは商用グレード製品、UNOXOL(登録商標)Diol(The Dow Chemical Companyによって製造販売)である。CHDMのガスクロマトグラフ(GC)分析は、99.5面積%(4つの異性体について、それぞれ、22.3、32.3、19.6及び25.3面積%)の存在を示し、残りの0.5面積%は単一の微量不純物であった。反応器に更に、凝縮器(0℃に保持)、温度計、クライゼン(Claisen)アダプター、オーバーヘッド窒素入口(1 LPM N2を使用)及びスターラーアセンブリ(Teflon(登録商標)パドル、ガラスシャフト、変速モーター)を装着した。エピクロロヒドリン(1313.9g,14.2モル)を、サイドアーム付きのベント式(side arm vented)添加漏斗に加え、次いで反応器に取り付けた。サーモスタット制御加熱マントルを用いて加熱すると同時に撹拌を開始した。撹拌CHDMが50℃に達したら、塩化錫(IV)(4.69g,0.018モル)を反応器に加えた。温度が50℃の平衡に保たれたら、エピクロロヒドリンの最初のアリコート(106.1g,総エピクロロヒドリンの8.07重量%)を38分間にわたって滴加した。反応温度を次の6分間観察し、加熱と反応器外部の冷却ファンによる冷却を繰り返すことによって50℃に制御した。残りのエピクロロヒドリン(1207.8g)の滴加を開始し、温度を50℃に保持しながら、259分かけて滴加を完了させた。エピクロロヒドリンの添加完了の1時間後に、カップリング生成物のアリコートをGCによって分析すると、エピクロロヒドリンが0.16面積%であり、未反応CHDMがなく、CHDMモノクロロヒドリンが5.86面積%(4つの異性体が全て観察された)、CHDMジクロロヒドリンが65.48面積%(4つの異性体が全て観察された)、及びオリゴマー前駆体が28.23面積%であることが示された。この時点で、撹拌反応器に脱イオン(DI)水(820ミリリットル)及びメチルイソブチルケトン(566g)を添加した。
【0089】
70℃への加熱を開始し、DI水(528g)中水酸化ナトリウム(528g、13.2モル)の溶液の滴加を開始し、次いで温度を70℃に保持しながら、次の181分にわたって滴加を完了させた。水酸化ナトリウム水溶液の添加完了の2時間後、エポキシ化生成物のアリコートをGCによって分析すると、未反応CDHMが示されず、CHDMモノグリシジルエーテルが3.93面積%(4つの異性体が全て観察された)、CHDMジグリシジルエーテル(4つの異性体が全て観察された)が52.97面積%、オリゴマーが42.17面積%であることが示された。この時点で、DI水(446ミリリットル)を反応器に加え、続いて撹拌を停止し、反応器内容物を1対の分離漏斗中に注入した。水性層を分け、廃棄物として廃棄した。残りの有機層をそれぞれ、新鮮なDI水(400ミリリットル)で洗浄した。回収した有機層を反応器中に戻し、続いて70℃に再加熱し、DI水(160g)中水酸化ナトリウム(80g,2.0モル)の溶液を添加した。水酸化ナトリウムの添加の2時間後、撹拌を停止し、反応器の内容物を1対の分離漏斗中に注入した。水性層を分け、廃棄物として廃棄した。残りの有機層をそれぞれ、新鮮なDI(400ミリリットル)で洗浄した。回収有機層を、反応器中に戻し、続いて水酸化ナトリウム水溶液による前記処理を繰り返した。新鮮なDI水(800ミリリットル)で更に最終的な洗浄を行った後、70℃の最高油浴温度で回転蒸発を行って揮発分の大部分を除去し、続いて110℃及び0.5mmHgの真空に4時間保持して、無色の液体1702.18gを得た。得られた生成物を、中間フリットのガラス濾過器中に充填された珪藻土のパッドに通して濾過した。GC分析はCHDM0.06面積%(4つの異性体が全て観察された)、CHDMモノグリシジルエーテル4.19面積%(4つの異性体が全て観察された)、CHDMジグリシジルエーテル58.73面積%(4つの異性体が全て観察された)及びオリゴマー36.79面積%の存在を示した。生成物のアリコートの滴定により、エポキシドが27.42%(エポキシ当量156.93)であることが示された。生成物のアリコートの粘度(25℃)を、I.C.I.コーンプレート粘度計で測定した。4回の個別測定により、66.25、66.25、66.25及び65センチポアズの粘度が得られ、平均は66センチポアズであった。回転蒸発によって得られた粗製生成物のアリコートを、イオン性塩化物、加水分解性塩化物及び総塩化物について分析すると、以下の結果が得られた:加水分解性Cl=検出せず,イオン性Cl=検出せず,総塩化物=3.52%。
【0090】
B.n−ブチルアミンとシス,トランス−1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂との付加物の製造及び特性決定
2リットルの3口丸底ガラス反応器に、窒素下でn−ブチルアミン(877.7g,12モル,アミン水素当量24)を装入した。使用したn−ブチルアミンは、純度規格値(purity specification)が99.5%の商用グレード製品(Aldrich Chemical Comapnyから入手)である。反応器に更に、凝縮器(0℃に保持)、温度計、クライゼンアダプター、オーバーヘッド窒素入口(1 LPM N2を使用)及びスターラーアセンブリ(Teflon(登録商標)パドル、ガラスシャフト、変速モーター)を装着した。前記パートAからのCHDMのエポキシ樹脂の一部(156.9g,エポキシ当量1.0)を、サイドアーム付きのベント式添加漏斗に加え、次いで反応器に取り付けた。撹拌とサーモスタット制御加熱マントルを用いた加熱を開始して、40℃の溶液を生成した。40℃の反応温度を保持しながら、CHDMのエポキシ樹脂の滴加を開始した。7.4時間後、滴加を完了させた。無色透明な撹拌溶液を次の61.5時間40℃に保持し、続いて回転蒸発によって過剰n−ブチルアミンの大部分を除去した。油浴温度110℃において2時間にわたって回転蒸発を完了させることによって、付加生成物(104.08g)が透明なペールイエローの液体として得られた。付加生成物のアリコートのGC分析から、CHDMのエポキシ樹脂の完全な反応が起こったことが示された。付加生成物のアリコートの滴定により、275.29の平均アミン水素当量が示された。ヒドロキシル当量に関する滴定は行わなかった。付加生成物の理論構造及び単離収率に基づいて算出したヒドロキシル当量231.1を用いた。
【0091】
C.指数調整を行わなかった、シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂のn−ブチルアミン付加物を用いたポリウレタンフォームの製造
イソシアネート当量137のポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PAPI(登録商標)580N,The Dow Chemical Company)(400部);KOHとしてのヒドロキシル価(ASTM D−4274)が287〜384mg/gである、ポリオール、N,N−ジメチルベンジルアミン触媒、トリエチルホスフェート難燃剤及び発泡剤としての水を含むブレンド生成物(Voracor(登録商標)CD897,The Dow Chemical Company)(220部);並びに前記パートBからのシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂のn−ブチルアミン付加物(31部)を用いて、硬質フォームを製造した。
【0092】
フォームの製造は、下記方法によって行った:ポリオール+付加物配合物及びポリイソシアネート配合物をそれぞれ充分に混合し、73°Fに平衡化させた。発泡の前に、12インチ×12インチ×高さ6インチの段ボール箱を用意した。ポリオール+付加物配合物及びポリイソシアネート配合物がいずれも73°Fに平衡化されたら、ポリオール+付加物配合物をポリイソシアネート配合物に加え、高速圧縮空気駆動式ミキサーによる系の混合を開始し、10秒間続ける。10秒間の混合後すぐに、系を段ボール箱中に注入して、フォームを成長させた。クリーム時間及びファームタイム(firm time)を観察することによって、フォームの反応性を測定した。クリーム時間及びファームタイムは、ブレードが化学物質に接触し始めた時点から開始した。クリーム時間は、混合物が変色し始めた時点で、一般には上昇の直前に記録した。ファームタイムは、フォームが硬いインナーコアを獲得した時間とする。フォーム生成物は、物理的性質の試験前に7日間放置した。K−ファクター、密度及び気泡サイズを試験するための試験片を、最終フォーム生成物から切り取った。K−ファクターは、75°Fの平均温度を用いて標準試験法ASTM C−518によって測定した。密度は、評価する1対の別個のサンプルに関して標準試験法ASTM D−1622によって測定した。気泡サイズの分析は、評価する1対の別個のサンプルに対して、走査電子顕微鏡法(SEM)を用いて行った。試験結果を表Iに示す。
【0093】
実施例2−指数調整を行った、シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂のn−ブチルアミン付加物を用いたポリウレタンフォームの製造
イソシアネート当量137のポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PAPI(登録商標)580N,The Dow Chemical Company)(459.43部);KOHとしてのヒドロキシル価(ASTM D−4274)が287〜384mg/gである、ポリオール、N,N−ジメチルベンジルアミン触媒、トリエチルホスフェート難燃剤及び発泡剤としての水を含むブレンド生成物(Voracor(登録商標)CD897,The Dow Chemical Company)(220部);並びに前記パートBからのシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂のn−ブチルアミン付加物(31部)を用いて、実施例1のパートCの方法によって硬質フォームを製造した。試験結果を表Iに示す。
【0094】
比較実験A−標準ポリウレタンフォームの製造
イソシアネート当量137のポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PAPI(登録商標)580N,The Dow Chemical Company)(400部);並びにKOHとしてのヒドロキシル価(ASTM D 4274)が287〜384mg/gである、ポリオール、N,N−ジメチルベンジルアミン触媒、トリエチルホスフェート難燃剤及び発泡剤としての水を含むブレンド生成物(Voracor(登録商標)CD897,The Dow Chemical Company)(220部)を用いて、実施例1のパートCの方法によって硬質フォームを製造した。試験結果を表Iに示す。
【0095】
【表1】

【0096】
実施例3
A.ルイス酸触媒カップリング及びエポキシ化プロセスからのオリゴマー成分を含むシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂の特性決定
ルイス酸触媒カップリング及びエポキシ化プロセスからの、オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂のGC分析から、シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールが0.12面積%、シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールモノグリシジルエーテルが7.88面積%(4つの異性体について、それぞれ2.91、1.41、2.61及び0.95面積%)、シス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルが50.48面積%(4つの異性体について、それぞれ10.07、18.16、5.35及び16.90面積%)、オリゴマーが40.60面積%であり、残りが微量不純物であることが示された。エポキシ樹脂のアリコートの滴定により、エポキシドが25.71%,EEW167.39)であることが示された。
【0097】
B.ルイス酸触媒カップリング及びエポキシ化プロセスからのオリゴマー成分を含むシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂とアンモニアとの付加物の製造及び特性決定
5リットルの3口丸底ガラス反応器に、水酸化アンモニウム(1474.6g,アミン水素当量約75)及びイソプロパノール(1474.6g)を装入した。使用した水酸化アンモニウムは、%NH3としての純度規格値が28〜30の商用グレード製品(Aldrich Chemical Companyから入手)である。反応器に更に、凝縮器(0℃に保持)、温度計、クライゼンアダプター及びスターラーアセンブリ(テフロン(登録商標)パドル、ガラスシャフト、変速モーター)を装着した(反応は窒素下ではなく、空気下で行った)。前記パートAからのオリゴマー成分を含むシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂の一部(167.39g,エポキシ当量1.00)を、サイドアーム付きのベント式添加漏斗に加え、次いで反応器に取り付けた。撹拌及びサーモスタット制御加熱マントルを用いた加熱を開始して、35℃の溶液を生成した。35℃の反応温度を保持しながら、オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂の滴加を開始した。17.5時間後、滴加を完了させた。無色透明な撹拌溶液を次の22.6時間、35℃に保持し、続いて中間フリットのガラス濾過器に通して濾過し、次いで回転蒸発を行って、過剰水酸化アンモニウムの大部分を除去した。110℃及び0.4mmHgにおいて2時間にわたって回転蒸発を完了させることによって、付加生成物(182.6g)が無色透明の、非常に粘稠な液体として得られた。付加生成物のアリコートのGC分析から、ジグリシジルエーテル(及び微量のモノグリシジルエーテル)の完全な反応が起こったことが示された。付加生成物のアリコートの滴定により、258.3の平均アミン水素当量が示された。ヒドロキシル当量に関する滴定は行わなかった。ヒドロキシル当量は292.74と算出された。
【0098】
C.ルイス酸触媒カップリング及びエポキシ化プロセスからの、オリゴマー成分を含むシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂とアンモニアとの付加物を用いた熱硬化性ポリウレタンの製造
ヒドロキシル及びアミン官能性反応体溶液の調製
ポリウレタンの合成には、オーブン中で100℃において48時間超、予備乾燥した16オンスガラスボトルを用いた。予備乾燥ボトルをオーブンから取り出し、小数第4位の精度を有する秤に載せ、ポリ(エチレングリコール)(10.3792g,ヒドロキシル当量0.00453)、及び前記パートBからのオリゴマー成分を含むシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂のアンモニア付加物(0.0646g,アミン水素当量0.00025+算出ヒドロキシル当量0.00022)を装入し、次いで窒素でガスシールし、キャップでシールし、続いて絶縁テープでテープシールした。ポリ(エチレングリコール)は、Sigma-Aldrich Chemical Co.から商用グレード製品として入手したものである。カール・フィッシャー滴定による水分分析により、水が0.10%であることが示された。ゲル透過クロマトグラフ(GPC)分析により、Mn=4583であった。粘度は210°Fにおいて169.2センチストークであった。次いで、シールしたボトルを乾燥窒素グローブボックス中に導入した。グローブボックスは、酸素0.20ppm未満、水1ppm未満及び20℃に保持し続けた。グローブボックス内部に入れたら、ボトルを開封し、小数第2位の精度を有する秤に載せ、次いで無水N,N−ジメチルホルムアミド(50.01g)を装入し、前述のようにしてシールした。無水N,N−ジメチルホルムアミド(99.8%)は、Sigma-Aldrich Chemical Co.から入手したものである。Sure Seal(登録商標)1Lボトルに、Schlenkライン上で乾燥窒素をスパージしてから、これをグローブボックス中に導入した。グローブボックス中に入れたら、0.6mmHgの真空下で150℃において52時間乾燥させた無水分子篩(Davidson Type 4A,グレード514)をN,N−ジメチルホルムアミドボトルに加えた。N,N−ジメチルホルムアミドは、使用前に、グローブボックス中の分子篩上に48時間超保持した。シールしたら、ボトルをグローブボックスから取り出した。
【0099】
ヒドロキシ及びアミン官能性反応体溶液中の微量の水の分析
水の定量のために、シールしたボトルを、70℃に保持したオーブン中に入れ、溶液が形成されるまで、定期的に取り出し且つ振盪した。サンプル(1.0908g)を、予め秤量した使い捨てポリプロピレンシリンジを用いてボトルから取り出し、カール・フィッシャー装置(Mettler Toledo DL39 Karl Fischer Coulometer)で水に関して滴定した。滴定装置は最初に、DI水の0.0044gのサンプルの滴定によって標準化した。98.70%の回収率が達成された(この装置及び方法を用いたDI水標準の許容回収率は90〜110%である)。化学天秤上でサンプルを小数第4位まで秤量した。カール・フィッシャー滴定装置中に注入したサンプル(1.0629g)は、水が855.32ppm(0.085532重量%)と分析された。ヒドロキシル及びアミン官能性反応体溶液の重量で、カール・フィッシャー滴定のために除去したサンプルの重量を差し引いたこの溶液の重量を割ることによって、サンプリング補正係数(0.98196)を算出した。
【0100】
トルエンジイソシアネートとの反応によるポリウレタン溶液の形成
使用したトルエンジイソシアネートは、商用グレード製品VORNATE(登録商標)T−80 Type I TDI(The Dow Chemical Company)として入手したものである。この製品は名目上、2,4−異性体を79〜81%及び2,6−異性体を19〜21%含み、トルエンジイソシアネートの含有率は最小で99.5重量%である。トルエンジイソシアネートのサンプルを乾燥窒素雰囲気(グローブボックス)下で無水メタノールに加えた。4時間後、高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析のために、この溶液の一部をアセトニトリルに加えた。メタノールとトルエンジイソシアネートとの反応によって形成されたビス(メチルカルバメート)は、3.38分及び3.81分に、それぞれ、14.58面積%及び84.15面積%で検出された。数種の微量成分が更に検出され、0.09、0.20、0.41及び0.58面積%であった(これらの微量成分が、トルエンジイソシアネート中の微量不純物に由来するものであるか、トルエンジイソシアネートとメタノールとの前記反応によって副生物として形成されるものであるかは不明である)。
【0101】
トルエンジイソシアネートと反応させるために、シールしたボトルを、70℃に保持したオーブン中に入れ、溶液が再形成されるまで、定期的に取り出し且つ振盪した。溶液が形成されたら、ボトルを1時間平衡化させた。次いで、ボトルをオーブンから取り出し、開封し、内容物上に窒素ブランケットを保持し、小数第4位の精度を有する秤で予め秤量したジブチル錫ジラウレート触媒(0.0022g,200ppm)をキャピラリースポイト(capillary dropper)から加えた。次いで、ボトルをシールし、激しく振盪した。次に、ボトルを、排気フード中で二次爆発防止シールド(secondary explosion proof shield)(これは、秤を気流から遮蔽することによって、秤量における偏差を最小限に抑える)の後方において、小数第2位の精度を有する秤に載せ、開封し、内容物上に窒素ブランケットを保持した。秤量直後に、窒素パージを止め、秤を再び零点調整した。トルエンジイソシアネート(0.92g,イソシアネート当量0.01057)をボトル中に秤取した。直ちに窒素パージを再開して、ボトルから空気を追い出した。次いで、ボトルをシールし、防爆シールドの後方で激しく振盪した。キャップを外して圧力を全て解放し、続いて窒素で再びガスシールし、再びシール及び振盪を行った。キャップを再び外し、続いて窒素で再びガスシールし、シールし、振盪し、次の6時間の間、70℃のオーブン中に入れた。オーブン中における6時間の反応中に、ボトルを定期的に数回振盪した。
【0102】
トルエンジイソシアネート反応体に関する計算
補正係数0.98196×[ポリ(エチレングリコール)及びアミン付加物によってもたらされる総ヒドロキシル及びアミン水素当量0.0050]×[87.069g/トルエンジイソシアネート中のイソシアネート当量]によって、ヒドロキシル及びアミン水素との反応に必要なトルエンジイソシアネートを算出すると、0.4275gであった。ヒドロキシル及びアミン官能性反応体溶液の原重量から、カール・フィッシャー滴定のために除去されたサンプルの重量を差し引いてこの溶液の正味重量を求めることによって、ヒドロキシル及びアミン官能性反応体溶液中の滴定された微量の水との反応に必要なトルエンジイソシアネートを算出した。次いで、[滴定による水の重量%]÷100×[反応体溶液の正味重量]によって、存在する水の量を求めた(0.050775g)。水の分子量で割ることによって、存在する水のモル数を求めた(0.002818モル)。イソシアネート部分と水のとの周知の反応によるポリ尿素の形成では水当量当たりイソシアネート2当量が消費されるので、水のモル数を2倍する。トルエンジイソシアネートのイソシアネート当量(87.069g/当量)を掛けることによって、反応体溶液中の水との反応に必要なトルエンジイソシアネートの量が0.4908gと算出された。従って、必要な総トルエンジイソシアネートは0.9183gであった。
【0103】
ジブチル錫ジラウレート触媒に関する計算
使用するジブチル錫ジラウレート触媒を、補正係数0.98196×[ポリ(エチレングリコール)(10.3792g)+アミン付加物(0.0646g)の総重量]+[使用したトルエンジイソシアネートの総重量(0.92g)]によって計算して、反応体の正味重量(11.1588g)を求めることによって算出した。反応体の正味重量×0.0002により、200ppmを得るのに必要なジブチル錫ジラウレートの重量を求めた(0.0022g)。
【0104】
ポリウレタン生成物の単離
ジャーから生成物を全て洗い流すために、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて、ライトイエローの透明な液体生成物溶液を0.5リットルの一口丸底フラスコに移した。75℃の油浴温度を用いて回転蒸発を行ってN,N−ジメチルホルムアミド溶媒の大部分を除去し(2.75時間)、続いて125℃において0.49mmHgの最終真空まで回転蒸発を行った(0.92時間)。生成物(10.98g)が室温(約25℃)で固化して、ライトイエローの硬質固体となった。
【0105】
D.ルイス酸触媒カップリング及びエポキシ化プロセスからのオリゴマー成分を含むシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂とアンモニアとの付加物を用いて製造した熱硬化性ポリウレタンエラストマーの特性決定
DSC 2910 Modulated DSC(TA Instruments)を使用して、45cm3/分で流れる窒素流下で−60℃から200℃まで7℃/分の加熱速度を用いた後に200℃から−60℃まで冷却することによって、示差走査熱量測定法を行った。DSC分析は、前記パートCからのポリウレタンの20.50mg及び24.80mgの部分を用いて行った。結果を表IIに要約する。
【0106】
実施例4
A.ルイス酸触媒カップリング及びエポキシ化プロセスからのオリゴマー成分を含むシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂とアンモニアとの付加物を増加量で用いた熱硬化性ポリウレタンの製造
ヒドロキシル及びアミン官能性反応体溶液の調製
ポリウレタンの合成には、オーブン中で100℃において48時間超、予備乾燥した16オンスガラスボトルを用いた。予備乾燥ボトルをオーブンから取り出し、小数第4位の精度を有する秤に載せ、ポリ(エチレングリコール)(9.3008g,ヒドロキシル当量0.0040588)及び実施例3のパートBからのオリゴマー成分を含むシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂のアンモニア付加物(0.1292g,アミン水素当量0.00050+算出ヒドロキシル当量0.00044)を装入し、次いで窒素でガスシールし、キャップでシールし、続いて絶縁テープでテープシールした。使用したポリ(エチレングリコール)は、実施例3のパートCに記載したものである。次に、シールしたボトルを乾燥窒素グローブボックス中に導入した。グローブボックスは、酸素0.20ppm未満、水1ppm未満及び20℃に保持し続けた。グローブボックス内部に入れたら、ボトルを開封し、小数第2位の精度を有する秤に載せ、次いで無水N,N−ジメチルホルムアミド(50.17g)を装入し、前述のようにしてシールした。無水N,N−ジメチルホルムアミドは、実施例3のパートCに記載したものである。シールしたら、ボトルをグローブボックスから取り出した。
【0107】
ヒドロキシ及びアミン官能性反応体溶液中の微量の水の分析
水の定量のために、シールしたボトルを、70℃に保持したオーブン中に入れ、溶液が形成されるまで、定期的に取り出し且つ振盪した。サンプル(1.0651g)を、予め秤量した使い捨てポリプロピレンシリンジを用いてボトルから取り出し、カール・フィッシャー装置(Mettler Toledo DL39 Karl Fischer Coulometer)で水に関して滴定した。滴定装置は最初に、DI水の0.0044gのサンプルの滴定によって標準化した。98.70%の回収率が達成された(この装置及び方法を用いたDI水標準の許容回収率は90〜110%である)。化学天秤上でサンプルを小数第4位まで秤量した。カール・フィッシャー滴定装置中に注入したサンプル(1.0345g)は、水が918.58ppm(0.091858重量%)と分析された。ヒドロキシル及びアミン官能性反応体溶液の重量で、カール・フィッシャー滴定のために除去したサンプルの重量を差し引いた、この溶液の重量を割ることによって、サンプリング補正係数(0.98213)を算出した。
【0108】
トルエンジイソシアネートとの反応によるポリウレタン溶液の形成
使用したトルエンジイソシアネートは、実施例3のパートCに記載したものである。トルエンジイソシアネートと反応させるために、シールしたボトルを、70℃に保持したオーブン中に入れ、溶液が再形成されるまで、定期的に取り出し且つ振盪した。溶液が形成されたら、ボトルを1時間平衡化させた。次いで、ボトルをオーブンから取り出し、開封し、内容物上に窒素ブランケットを保持し、小数第4位の精度を有する秤で予め秤量したジブチル錫ジラウレート触媒(0.0020g,200ppm)をキャピラリースポイトから加えた。次いで、ボトルをシールし、激しく振盪した。次に、ボトルを、排気フード中で二次爆発防止シールド(これは、秤を気流から遮蔽することによって、秤量における偏差を最小限に抑える)の後方において、小数第2位の精度を有する秤に載せ、開封し、内容物上に窒素ブランケットを保持した。秤量直後に、窒素パージを止め、秤を再び零点調整した。トルエンジイソシアネート(0.95g,イソシアネート当量0.01091)をボトル中に秤取した。直ちに窒素パージを再開して、ボトルから空気を追い出した。次いで、ボトルをシールし、防爆シールドの後方で激しく振盪した。キャップを外して圧力を全て解放し、続いて窒素で再びガスシールし、再びシール及び振盪を行った。キャップを再び外し、続いて窒素で再びガスシールし、シールし、振盪し、次の6時間の間、70℃のオーブン中に入れた。オーブン中における6時間の反応の間に、ボトルを定期的に数回振盪した。
【0109】
トルエンジイソシアネート反応体に関する計算
補正係数0.98213×[ポリ(エチレングリコール)及びアミン付加物によってもたらされる総ヒドロキシル及びアミン水素当量0.0050]×[87.069g/トルエンジイソシアネート中のイソシアネート当量]によって、ヒドロキシル及びアミン水素との反応に必要なトルエンジイソシアネートを算出すると、0.4276gであった。ヒドロキシル及びアミン官能性反応体溶液の原重量から、カール・フィッシャー滴定のために除去されたサンプルの重量を差し引いてこの溶液の正味重量を求めることによって、ヒドロキシル及びアミン官能性反応体溶液中の滴定された微量の水との反応に必要なトルエンジイソシアネートを算出した。次いで、[滴定による水の重量%]÷100×[反応体溶液の正味重量]によって、存在する水の量を求めた(0.053768g)。水の分子量で割ることによって、存在する水のモル数を求めた(0.0029845モル)。イソシアネート部分と水のとの周知の反応によるポリ尿素の形成では水当量当たりイソシアネート2当量が消費されるので、水のモル数を2倍する。トルエンジイソシアネートのイソシアネート当量(87.069g/当量)を掛けることによって、反応体溶液中の水との反応に必要なトルエンジイソシアネートの量が0.5197gと算出された。従って、必要な総トルエンジイソシアネートは0.9473gであった。
【0110】
ジブチル錫ジラウレート触媒に関する計算
使用するジブチル錫ジラウレート触媒を、補正係数0.98213×[ポリ(エチレングリコール)(9.3008g)+アミン付加物(0.1292g)の総重量]+[使用したトルエンジイソシアネートの総重量(0.95g)]によって計算して反応体の正味重量(10.3800g)を求めることによって算出した。反応体の正味重量×0.0002により、200ppmを得るのに必要なジブチル錫ジラウレートの重量を求めた(0.0020g)。
【0111】
ポリウレタン生成物の単離
ジャーから生成物を全て洗い流すために、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて、ライトイエローの透明な液体生成物溶液を0.5リットルの一口丸底フラスコに移した。75℃の油浴温度を用いて回転蒸発を行ってN,N−ジメチルホルムアミド溶媒の大部分を除去し(2.17時間)、続いて125℃において0.49mmHgの最終真空まで回転蒸発を行った(0.7時間)。生成物(10.06g)が室温で固化して、ライトイエローの硬質固体となった。
【0112】
B.ルイス酸触媒カップリング及びエポキシ化プロセスからのオリゴマー成分を含むシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂とアンモニアとの付加物を用いて製造した熱硬化性ポリウレタンの特性決定
DSC2910 Modulated DSC(TA Instruments)を使用して、45cm3/分で流れる窒素流下で−60℃から200℃まで7℃/分の加熱速度を用いた後に200℃から−60℃まで冷却することによって、示差走査熱量測定法を行った。DSC分析は、前記パートAからのポリウレタンの21.60mg及び23.00mgの部分を用いて行った。結果を表IIに要約する。
【0113】
比較実験B
A.熱硬化性ポリウレタン標準の製造
ヒドロキシル官能性反応体溶液の調製
ポリウレタンの合成には、オーブン中で100℃において48時間超、予備乾燥した16オンスガラスボトルを用いた。予備乾燥ボトルをオーブンから取り出し、小数第4位の精度を有する秤に載せ、ポリ(エチレングリコール)(11.4600g,ヒドロキシル当量0.0050)を装入し、次いで窒素でガスシールし、キャップでシールし、続いて絶縁テープでテープシールした。使用したポリ(エチレングリコール)は実施例3のパートCに記載したものである。次に、シールしたボトルを乾燥窒素グローブボックス中に導入した。グローブボックスは酸素0.20ppm未満、水1ppm未満及び20℃に保持し続けた。グローブボックス内部に入れたら、ボトルを開封し、小数第2位の精度を有する秤に載せ、次いで無水N,N−ジメチルホルムアミド(50.02g)を装入し、前述のようにしてシールした。無水N,N−ジメチルホルムアミドは実施例3のパートCに記載したものである。シールしたら、ボトルをグローブボックスから取り出した。
【0114】
ヒドロキシ及びアミン官能性反応体溶液中の微量の水の分析
水の定量のために、シールしたボトルを、70℃に保持したオーブン中に入れ、溶液が形成されるまで、定期的に取り出し且つ振盪した。サンプル(2.2387g)を、予め秤量した使い捨てポリプロピレンシリンジを用いてボトルから取り出し、カール・フィッシャー装置(Mettler Toledo DL39 Karl Fischer Coulometer)で水に関して滴定した。滴定装置は最初に、DI水の0.0044gのサンプルの滴定によって標準化した。98.70%の回収率が達成された(この装置及び方法を用いたDI水標準の許容回収率は90〜110%である)。化学天秤上でサンプルを小数第4位まで秤量した。カール・フィッシャー滴定装置中に注入したサンプル(1.0888g)は、水が903.33ppm(0.090333重量%)と分析された。ヒドロキシル官能性反応体溶液の重量で、カール・フィッシャー滴定のために除去したサンプルの重量を差し引いた、この溶液の重量を割ることによって、サンプリング補正係数(0.96359)を算出した。
【0115】
トルエンジイソシアネートとの反応によるポリウレタン溶液の形成
使用したトルエンジイソシアネートは、実施例3のパートCに記載したものである。トルエンジイソシアネートと反応させるために、シールしたボトルを、70℃に保持したオーブン中に入れ、溶液が再形成されるまで、定期的に取り出し且つ振盪した。溶液が形成されたら、ボトルを1時間平衡化させた。次いで、ボトルをオーブンから取り出し、開封し、内容物上に窒素ブランケットを保持し、小数第4位の精度を有する秤で予め秤量したジブチル錫ジラウレート触媒(0.0024g,200ppm)をキャピラリースポイトから加えた。次いで、ボトルをシールし、激しく振盪した。次に、ボトルを、排気フード中で二次爆発防止シールド(これは、秤を気流から遮蔽することによって、秤量における偏差を最小限に抑える)の後方において、小数第2位の精度を有する秤に載せ、開封し、内容物上に窒素ブランケットを保持した。秤量直後に、窒素パージを止め、秤を再び零点調整した。トルエンジイソシアネート(0.94g,イソシアネート当量0.010796)をボトル中に秤取した。直ちに窒素パージを再開して、ボトルから空気を追い出した。次いで、ボトルをシールし、防爆シールドの後方で激しく振盪した。キャップを外して圧力を全て解放し、続いて窒素で再びガスシールし、再びシール及び振盪を行った。キャップを再び外し、続いて窒素で再びガスシールし、シールし、振盪し、次の6時間の間、70℃のオーブン中に入れた。オーブン中における6時間の反応中に、ボトルを定期的に数回振盪した。
【0116】
トルエンジイソシアネート反応体に関する計算
補正係数0.96359×[ポリ(エチレングリコール)によってもたらされる総ヒドロキシル水素当量0.0050]×[87.069g/トルエンジイソシアネート中のイソシアネート当量]によって、ヒドロキシル水素との反応に必要なトルエンジイソシアネートを算出すると、0.4195gであった。ヒドロキシル及びアミン官能性反応体溶液の原重量から、カール・フィッシャー滴定のために除去されたサンプルの重量を差し引いてこの溶液の正味重量を求めることによって、ヒドロキシル及びアミン官能性反応体溶液中の滴定された微量の水との反応に必要なトルエンジイソシアネートを算出した。次いで、[滴定による水の重量%]÷100×[反応体溶液の正味重量]によって、存在する水の量を求めた(0.0535144g)。水の分子量で割ることによって、存在する水のモル数を求めた(0.0029704モル)。イソシアネート部分と水のとの周知の反応によるポリ尿素の形成では水当量当たりイソシアネート2当量が消費されるので、水のモル数を2倍する。トルエンジイソシアネートのイソシアネート当量(87.069g/当量)を掛けることによって、反応体溶液中の水との反応に必要なトルエンジイソシアネートの量が0.5173gと算出された。従って、必要な総トルエンジイソシアネートは0.9368gであった。
【0117】
ジブチル錫ジラウレート触媒に関する計算
使用するジブチル錫ジラウレート触媒を、補正係数0.96359×[ポリ(エチレングリコール)の重量(11.4600g)]+[使用したトルエンジイソシアネートの総重量(0.94g)]によって計算して、反応体の正味重量(11.9827g)を求めることによって算出した。反応体の正味重量×0.0002により、200ppmを得るのに必要なジブチル錫ジラウレートの重量を求めた(0.0024g)。
【0118】
ポリウレタン生成物の単離
ジャーから生成物を全て洗い流すために、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて、ライトイエローの透明な液体生成物溶液を0.5リットルの一口丸底フラスコに移した。75℃の油浴温度を用いて回転蒸発を行ってN,N−ジメチルホルムアミド溶媒の大部分を除去し(2.1時間)、続いて125℃において0.36mmHgの最終真空まで回転蒸発を行った(1.43時間)。生成物(11.69g)が室温で固化して、ライトイエローの硬質固体となった。
【0119】
B.熱硬化性ポリウレタン標準の特性決定
DSC 2910 Modulated DSC(TA Instruments)を使用して、45cm3/分で流れる窒素流下で−60℃から200℃まで7℃/分の加熱速度を用いた後に200℃から−60℃まで冷却することによって、示差走査熱量測定法を行った。DSC分析は、前記パートAからのポリウレタンの19.80mg及び19.10mgの部分を用いて行った。結果を表IIに要約する。
【0120】
【表2】

【0121】
実施例5−ルイス酸触媒カップリング及びエポキシ化プロセスからのオリゴマー成分を含むシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメタノールのエポキシ樹脂とアンモニアとの付加物を用いて製造したポリウレタンのゲル透過クロマトグラフ(GPC)分析
50℃に保持したカラム3つ1組のPolymer Labs Mixed Bを、示差屈折率検出器(Waters 410)と共に用いて、GPC分析を行った。N,N−ジメチルホルムアミドを溶離剤として1mL/分の流速で用いた。注入容量は100ミリリットルとした。サンプルをN,N−ジメチルホルムアミド中で0.23〜0.28%の濃度まで稀釈した。Polymer Laboratories Polyethylene Glycol Calibrant、PEG 10[ポリ(エチレングリコール)]及びPEO−10[ポリ(エチレンオキシド)]を用いて、較正を行った。Mn、Mw、及びMw/Mnの相対標準偏差は1.5%未満であり;Mpの相対標準偏差は6.5%未満であり;Mz及びMz+1の相対標準偏差は5%未満であった。前記の各測定値の単位は、多分散度(Mw/Mn)以外は、g/モルである。
【0122】
実施例3のパートC及び実施例4のパートAからのポリウレタンの一部をテトラヒドロフランに加えたが、不溶性であることがわかった。実施例3のパートCからのポリウレタンのサンプルは80℃においてN,N−ジメチルホルムアミド中に溶解されたが、実施例4のパートAからのポリウレタンは80℃においてN,N−ジメチルホルムアミド中に不溶であることがわかった。実施例3のパートCからのポリウレタンのGPC分析から、以下の結果が得られた:Mn=35500,Mw=123000,Mw/Mn=3.45,Mp=64000,Mz=385000,Mz+1=780000。
【0123】
比較実験C−ポリウレタン標準のGPC分析
比較実験Bからのポリウレタンの一部をテトラフドロフランに加えたが、不溶性であることがわかった。比較実験Bからのポリウレタンのサンプルを80℃においてN,N−ジメチルホルムアミド中に溶解させた。ポリウレタンのGPC分析から以下の結果が得られた:Mn=21200,Mw=72000,Mw/Mn=3.38,Mp=32900,Mz=219000,Mz+1=440000。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1個のシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含み且つ分子当たり2個超のツェレウィチノフ活性水素原子を有する付加物と(b)ポリイソシアネートとを含んでなるポリウレタン組成物。
【請求項2】
分子当たり2個超のツェレウィチノフ活性水素原子を有する少なくとも1種の、前記有機物質(Z)が前記付加物とは異なる有機物質(Z)を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有機物質(Z)が、2個超のツェレウィチノフ活性水素原子及び少なくとも1個のイソシアネート反応性官能基を含み;前記有機物質(Z)がポリオールであり;前記有機物質(Z)がポリアミン含有化合物、アルカノールアミン含有化合物、ポリスルフヒドリル含有化合物又はそれらの組合せを更に含み;前記有機物質(Z)が、約250〜約6000の平均分子量及び分子当たり約2〜約8個のヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオールを含み;且つ/又は前記有機物質(Z)が、連鎖延長剤とブレンドされた約250〜約6000の平均分子量及び分子当たり約2〜約8個のヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオールを含む請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記イソシアネート反応性官能基が−OH、−SH、−COOH又は−NHR[ここでRは水素又はアルキル部分である]を含む請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリオールがジオールである請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記有機物質(Z)が連鎖延長剤を含み;且つ前記連鎖延長剤が総炭素数2〜約20のジオール又はグリコールを更に含む請求項2に記載の組成物。
【請求項7】
前記連鎖延長剤がアルカンジオール、芳香族ジオール、アルキル芳香族ジオール、脂環式ジオール、多脂環式ジオール若しくはそれらの任意の組合せを含むか;又は前記連鎖延長剤がジアルキレンエーテルグリコール、芳香族グリコール若しくはそれらの任意の組合せを含む請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記付加物と前記有機物質(Z)の比が付加物約1〜約99重量%及び有機物質(Z)約99〜約1重量%である請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリイソシアネートが分子当たり平均1個超のイソシアネート基を有する化合物を含み;前記ポリイソシアネートが脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、多脂環式ポリイソシアネート、アリール置換脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、複素環式ポリイソシアネート及びそれらの任意の混合物、プレポリマー又はそれらの任意のオリゴマーの少なくとも1種を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリイソシアネートがウレタン基を含むポリイソシアネート、カルボジイミド基を含むポリイソシアネート、アロファネート基を含むポリイソシアネート、イソシアヌレート基を含むポリイソシアネート、尿素基を含むポリイソシアネート、ビウレット基を含むポリイソシアネート、アシル化尿素基を含むポリイソシアネート、エステル基を含むポリイソシアネート及びそれらの任意の混合物のうち少なくとも1種を含む請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリイソシアネートがトルエンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化ジイソシアナトジフェニルメタン及びそれらの任意の混合物又は任意の異性体混合物を含む請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記付加物が分子当たり少なくとも4個のイソシアネート反応性水素原子を含み且つ前記ポリイソシアネート対前記付加物の比が約0.9:1〜約1.25:1[(ポリイソシアネート中イソシアネート基の当量):(付加物中の分子当たりのイソシアネート反応性水素原子の当量)]である請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
触媒を更に含み;且つ前記触媒が有機塩、無機酸塩、有機金属誘導体又はそれらの混合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記触媒がビスマス、錫、鉄、アンチモン、コバルト、トリウム、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、ホスフィン類、第三有機アミン類の有機塩若しくはそれらの混合物を含み;前記触媒がビスマス、錫、鉄、アンチモン、コバルト、トリウム、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、ホスフィン類、第三有機アミン類の無機塩若しくはそれらの混合物を含み;又は前記触媒がビスマス、錫、鉄、アンチモン、コバルト、トリウム、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、ホスフィン類、第三有機アミン類の有機金属誘導体若しくはそれらの混合物を含む請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1個のシス,トランス−1,3−及び−1,4−シクロヘキサンジメチルエーテル部分を含む熱硬化性ポリウレタン。
【請求項16】
注型品、成形品、コーティング、構造用フォーム、軟質フォーム、硬質フォーム及び断熱構造の少なくとも1種である請求項15に記載の熱硬化性ポリウレタンを含む物品。
【請求項17】
前記物品がポリイソシアヌレートフォームであり;且つ前記ポリイソシアヌレートフォームがポリイソシアヌレート−ポリウレタン構造又はポリイソシアヌレート−ポリウレタン−ポリ尿素構造を含む請求項16に記載の物品。

【公表番号】特表2011−521074(P2011−521074A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510551(P2011−510551)
【出願日】平成21年5月4日(2009.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/042644
【国際公開番号】WO2009/142899
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エル エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】