説明

シミュレーション装置、シミュレーションプログラム及びシミュレーション方法

【課題】タイヤ・ホイール組立体と、タイヤ・ホイール組立体に連結される回転シャフトをモデル化してシミュレーションを実行する場合において、シミュレーション結果の精度を向上し得るシミュレーション装置、シミュレーションプログラム及びシミュレーション方法を提供する。
【解決手段】シミュレーション装置300はタイヤ・ホイール組立体モデル40、回転シャフトモデル220及びベアリングモデル230を用いてシミュレーションを実行する。ベアリングモデル230は、回転シャフトモデル220に直交するx軸方向、回転シャフトモデル220と平行なy軸方向に、回転シャフトモデル220が変位可能なばね要素としてモデル化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ・ホイール組立体のシミュレーションを実行するシミュレーション装置、シミュレーションプログラム及びシミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両に装着されるタイヤや、タイヤに組み付けられるリムホイールを有限個の要素に分割したモデルを用いて、タイヤ、或いはタイヤにリムホイールが組み付けられたタイヤ・ホイール組立体の性能のシミュレーションを実行する方法が広く知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このようなタイヤ・ホイール組立体のシミュレーションを実行する場合、タイヤ・ホイール組立体に連結される回転シャフトの固定状態は、回転軸に直交する方向(x軸方向及びz軸方向)、回転シャフトと平行な方向(y軸方向)とも全く変位・回転できない完全拘束状態、または自由に変位できるフリー状態の何れかに設定されることが一般的である。
【0004】
一方、タイヤ・ホイール組立体の実際の試験では、回転シャフトを回転可能に支持するベアリングと、回転シャフトの末端に連結されるハブとを備えるタイヤスタンドが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−161945号公報(第8頁、第1−1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のシミュレーションには、次のような問題があった。すなわち、タイヤ・ホイール組立体の回転シャフトを含むシミュレーションの結果は、タイヤスタンドを用いたタイヤ・ホイール組立体の実際の試験結果と乖離することが多い問題があった。このため、このようなシミュレーション結果の精度向上が強く望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、タイヤ・ホイール組立体と、タイヤ・ホイール組立体に連結される回転シャフトをモデル化してシミュレーションを実行する場合において、シミュレーション結果の精度を向上し得るシミュレーション装置、シミュレーションプログラム及びシミュレーション方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、タイヤ(タイヤ20)にリムホイール(リムホイール30)が組み付けられたタイヤ・ホイール組立体(タイヤ・ホイール組立体10)を有限個の要素に分割したタイヤ・ホイール組立体モデル(タイヤ・ホイール組立体モデル40)と、前記タイヤ・ホイール組立体に連結される回転シャフト(回転シャフト120)を有限個の要素に分割した回転シャフトモデル(回転シャフトモデル220)とを用いて、前記タイヤ・ホイール組立体の性能のシミュレーションを実行するシミュレーション装置(シミュレーション装置300)であって、前記タイヤ・ホイール組立体モデル、前記回転シャフトモデル、及び前記回転シャフトを回転可能に支持するベアリング(ベアリング130)を有限個の要素に分割したベアリングモデル(ベアリングモデル230)を保持するモデル保持部(スタンドモデル記憶部301、TW組立体モデル記憶部303)と、前記モデル保持部が保持する前記タイヤ・ホイール組立体モデル、前記回転シャフトモデル及び前記ベアリングモデルを用いてシミュレーションを実行するシミュレーション実行部(シミュレーション実行部307)とを備え、前記ベアリングモデルは、少なくとも前記回転シャフトに直交するx軸方向、前記回転シャフトと平行なy軸方向に、前記回転シャフトが変位可能なばね要素としてモデル化されていることを要旨とする。
【0009】
上述した本発明の特徴において、前記ベアリングモデルは、前記x軸方向及び前記y軸方向に直交するz軸方向にさらに変位可能なばね要素としてモデル化されていることが好ましい。
【0010】
上述した本発明の特徴において、前記y軸方向における前記ベアリングモデルの剛性は、前記x軸方向及び前記z軸方向における前記ベアリングモデルの剛性よりも低いことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の特徴によれば、タイヤ・ホイール組立体と、タイヤ・ホイール組立体に連結される回転シャフトをモデル化してシミュレーションを実行する場合において、シミュレーション結果の精度を向上し得るシミュレーション装置、シミュレーションプログラム及びシミュレーション方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るシミュレーション装置においてモデル化されるタイヤ・ホイール組立体10及びタイヤスタンド100の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るシミュレーション装置の外観図及びシミュレーション装置において用いられるモデルの概略図である。
【図3】本発明の実施形態に係るシミュレーション装置300の機能ブロック構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係るシミュレーション装置300の動作フローを示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るシミュレーション装置300によるシミュレーション結果の一例を示す図である。
【図6】図5に示したシミュレーションにおける設定条件を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るタイヤスタンド100Aの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係るシミュレーション装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0014】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0015】
(1)タイヤ・ホイール組立体及びタイヤスタンドの概略構成
図1は、本実施形態に係るシミュレーション装置においてモデル化されるタイヤ・ホイール組立体10及びタイヤスタンド100の概略構成図である。
【0016】
図1に示すように、タイヤ・ホイール組立体10は、タイヤ20とリムホイール30とによって構成される。タイヤ20は、自動車などの車両に装着される空気入りタイヤであり、カーカス、ビード、トレッド及びサイドウォール(不図示)などによって構成される。タイヤ20は、リムホイール30に組み付けられる。リムホイール30は、車両に設けられたハブに装着できる形状を有している。本実施形態では、タイヤ・ホイール組立体10は、タイヤ・ホイール組立体10の性能を評価するため、タイヤスタンド100に装着される。
【0017】
タイヤスタンド100は、タイヤ・ホイール組立体10を回転可能に支持する。タイヤスタンド100は、支持台110、回転シャフト120、ベアリング130及びハブ140を備える。
【0018】
支持台110は、回転シャフト120、ベアリング130及びハブ140を支持する。回転シャフト120は、支持台110及びベアリング130によって回転可能に支持される。回転シャフト120の末端には、ハブ140が固定される。
【0019】
ハブ140にはハブボルト150が設けられる。ハブボルト150は、リムホイール30に形成されたボルト孔(不図示)に挿通される。ハブボルト150が挿通されたリムホイール30は、ホイールナット(不図示)を用いてハブ140に固定される。
【0020】
(2)シミュレーション装置で用いられるモデル
図2(a)及び(b)は、シミュレーション装置の外観図及びシミュレーション装置において用いられるモデルの概略図である。シミュレーション装置300は、CPU、メモリ及びハードディスクなどから構成されるコンピュータシステムである。シミュレーション装置300は、タイヤ・ホイール組立体モデル40、及びスタンドモデル200、具体的には回転シャフトモデル220を用いて、タイヤ・ホイール組立体10(図1参照)の性能(例えば、共振周波数)のシミュレーションを実行する。シミュレーション装置300は、FEM(Finite Element Method)に従い、タイヤ・ホイール組立体モデル40及びスタンドモデル200を用いたタイヤ・ホイール組立体10の固有値を解析する。
【0021】
タイヤ・ホイール組立体モデル40は、タイヤ・ホイール組立体10を有限個の要素に分割されたものであり、シミュレーション装置300によるタイヤ・ホイール組立体10のシミュレーションを実現するために準備される。同様に、スタンドモデル200は、タイヤスタンド100を有限個の要素に分割されたものであり、シミュレーション装置300によるタイヤスタンド100のシミュレーションを実現するために準備される。
【0022】
スタンドモデル200は、タイヤスタンド100の各部のモデルによって構成される。具体的には、スタンドモデル200は、回転シャフトモデル220、ベアリングモデル230、ハブモデル240及びボルトモデル250によって構成される。回転シャフトモデル220、ベアリングモデル230、ハブモデル240及びボルトモデル250は、回転シャフト120、ベアリング130、ハブ140及びハブボルト150にそれぞれ対応する。
【0023】
回転シャフトモデル220は、連結部221を有する。連結部221は、回転シャフトモデル220とハブモデル240とを連結、つまり、回転シャフト120とハブ140とを連結する。回転シャフトモデル220は、シミュレーションにおいて「はり要素」として規定される。回転シャフトモデル220の具体的な設定例としては、断面積1,200mm、慣性モーメント120,000kgf・m、ねじり定数250,000mm、密度7.8g/cmを用いることができる。また、連結部221は、回転シャフトモデル220とハブモデル240とを多点(例えば、7点)で拘束するモデルとして規定される。連結部221の具体的な設定例としては、MPC(Multiple Point Constraint)を用いることができる。
【0024】
ベアリングモデル230は、支持点231を有する。ベアリングモデル230は、シミュレーションにおいて「ばね要素」として規定される。ベアリングモデル230の具体的な設定例としては、kx=kz=150,000kgf/mm、ky=30,000kgf/mmを用いることができる。また、支持点231は、ベアリングモデル230を支持、つまり拘束する点として規定される。支持点231の具体的な設定例としては、完全拘束を用いることができる。
【0025】
ベアリングモデル230は、回転シャフトモデル220(回転シャフト120)に直交するx軸方向、回転シャフトモデル220と平行なy軸方向に、回転シャフトモデル220が変位可能なばね要素としてモデル化されている。さらに、本実施形態では、ベアリングモデル230は、x軸方向及びy軸方向に直交するz軸方向にさらに変位可能なばね要素としてモデル化されている。また、y軸方向におけるベアリングモデル230の剛性は、x軸方向及びz軸方向におけるベアリングモデル230の剛性よりも低い。
【0026】
ハブモデル240は、一対のハブディスク241と、一対のハブディスク241を連結する連結ボルト242とを有する。ハブディスク241は、シミュレーションにおいて「シェル要素」として規定される。ハブディスク241の具体的な設定例としては、厚さ15mm、密度7.8g/cmを用いることができる。連結ボルト242は、シミュレーションにおいて「はり要素」として規定される。連結ボルト242の具体的な設定例としては、断面積100mm、慣性モーメント700kgf・mm、ねじり定数1,500mm、密度7.8g/cmを用いることができる。
【0027】
ボルトモデル250は、シミュレーションにおいて「はり要素」として規定される。ボルトモデル250の具体的な設定例としては、断面積175mm、慣性モーメント2,500kgf・mm、ねじり定数5,000mm、密度7.8g/cmを用いることができる。
【0028】
(3)シミュレーション装置の機能ブロック構成
図3は、シミュレーション装置300の機能ブロック構成図である。図3に示すように、シミュレーション装置300は、スタンドモデル記憶部301、タイヤ・ホイール組立体モデル記憶部303(以下、TW組立体モデル記憶部303)、シミュレーション条件設定部305、シミュレーション実行部307及びシミュレーション結果出力部309を備える。
【0029】
スタンドモデル記憶部301は、上述したスタンドモデル200を記憶する。スタンドモデル記憶部301は、各要素の設定値が異なる複数のスタンドモデル200を記憶することができる。
【0030】
TW組立体モデル記憶部303は、上述したタイヤ・ホイール組立体モデル40を記憶する。TW組立体モデル記憶部303は、タイヤ20またはリムホイール30のシミュレーションにおける要素の設定値が異なる複数のタイヤ・ホイール組立体モデル40を記憶することができる。本実施形態では、スタンドモデル記憶部301及びTW組立体モデル記憶部303によってモデル保持部が構成される。
【0031】
シミュレーション条件設定部305は、シミュレーションを実行する際の各種条件を設定する。例えば、シミュレーション条件設定部305は、タイヤ・ホイール組立体モデル40への入力(加振力)の大きさや、モデル化された節点の自由度を拘束するか否か、つまり、拘束モードや不拘束モードなどを設定する。
【0032】
シミュレーション実行部307は、タイヤ・ホイール組立体モデル40及びスタンドモデル200、具体的には回転シャフトモデル220及びベアリングモデル230を用いてシミュレーションを実行する。具体的には、シミュレーション実行部307は、シミュレーション条件設定部305によって設定されたシミュレーション条件に基づいて、タイヤ・ホイール組立体モデル40及びスタンドモデル200を用いたシミュレーションを実行する。
【0033】
シミュレーション結果出力部309は、シミュレーション実行部307によって実行されたシミュレーションの結果を出力する。具体的には、シミュレーション結果出力部309は、シミュレーションの結果をディスプレイ(不図示)上に表示したり、所定のデータ形式で外部媒体に記憶したりすることができる。
【0034】
(4)シミュレーション装置300の動作
図4は、シミュレーション装置300の動作フローを示す。図4に示すように、ステップS10において、シミュレーション装置300は、シミュレーションに用いるタイヤ・ホイール組立体モデル40及びスタンドモデル200を選択する。具体的には、シミュレーション装置300のユーザが、シミュレーション装置300に対してシミュレーションに用いるタイヤ・ホイール組立体モデル40及びスタンドモデル200を入力する。
【0035】
ステップS20において、シミュレーション装置300は、選択したタイヤ・ホイール組立体モデル40及びスタンドモデル200を用いて、タイヤ・ホイール組立体10の性能のシミュレーションを実行する。例えば、シミュレーション装置300は、タイヤ・ホイール組立体10に加振力が与えられたときの軸力応答のシミュレーションを実行することができる。
【0036】
ステップS30において、シミュレーション装置300は、シミュレーション結果を出力する。
【0037】
(4)シミュレーション結果
図5は、上述したシミュレーション装置300によるシミュレーション結果の一例を示す。また、図6は、図5に示したシミュレーションにおける設定条件を示す。
【0038】
図5は、タイヤ・ホイール組立体モデル40に対する入力(加振力)と、軸力応答との関係とを示す。当該シミュレーションでは、路面に接地していない非接地状態のタイヤ・ホイール組立体モデル40のトレッドセンター部に所定周波数(例えば、1〜500Hz)の加振力が与えられる(図4の横軸参照)。また、当該加振力が与えられたときの軸力応答、具体的には、周波数応答関数(FRF:Frequency Response Function)が演算される。
【0039】
図5は、スタンドモデル200を用いた場合と、スタンドモデル200を用いない場合(回転シャフト120を固定した状態)とのシミュレーション結果を示す。さらに、図5は、実際にタイヤスタンド100を用いた周波数応答関数の試験結果も示す。なお、図6に示すように、当該試験及びシミュレーションでは、タイヤ・ホイール組立体10(タイヤ・ホイール組立体モデル40)の転動方向Rの拘束がない状態(フリー状態)とした。
【0040】
図5の楕円Pで囲んだ部分に示すように、スタンドモデル200を用いない場合、試験結果とシミュレーション結果とが乖離している。一方、スタンドモデル200を用いた場合、試験結果とシミュレーション結果とは近似している。すなわち、スタンドモデル200を用いた場合、実際の状況に即した正確なシミュレーションが実行されていることが解る。
【0041】
(5)作用・効果
上述したシミュレーション装置300によれば、タイヤスタンド100の回転シャフト120を回転可能に支持するベアリング130を有限個の要素に分割したベアリングモデル230を用いたシミュレーションが実行される。また、ベアリングモデル230は、少なくとも回転シャフト120に直交するx軸方向、回転シャフト120と平行なy軸方向に、回転シャフト120(回転シャフトモデル220)が変位可能な「ばね要素」としてモデル化されている。
【0042】
このため、図4に示したように、実際のタイヤスタンド100を用いた試験結果に近い正確なシミュレーションを実行できる。すなわち、シミュレーション装置300によれば、タイヤ・ホイール組立体の回転シャフトを含むシミュレーションの場合でも、実際の試験結果と乖離することがなく、シミュレーション結果の精度向上を図り得る。
【0043】
本実施形態では、ベアリングモデル230は、x軸方向及びy軸方向に直交するz軸方向にさらに変位可能な「ばね要素」としてモデル化されている。また、y軸方向におけるベアリングモデル230の剛性は、x軸方向及びz軸方向におけるベアリングモデル230の剛性よりも低く設定される。
【0044】
このため、実際のタイヤスタンド100における回転シャフト120の挙動のより正確なシミュレーションが実行され、シミュレーション結果を実際のタイヤスタンド100を用いた試験結果にさらに近似させることができる。
【0045】
(6)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0046】
例えば、上述した実施形態では、ベアリングモデル230は、x軸方向、y軸方向及びz軸方向に変位可能なばね要素として規定されていたが、必ずしもz軸方向には変位可能でなくても構わない。また、上述した実施形態では、y軸方向におけるベアリングモデル230の剛性は、x軸方向及びz軸方向におけるベアリングモデル230の剛性よりも低く設定されていたが、このような設定は必ずしも必要ない。
【0047】
さらに、シミュレーションの対象とするタイヤスタンドは、タイヤスタンド100以外の形状であっても構わない。図6は、タイヤスタンド100と形状が異なるタイヤスタンド100Aの概略構成図である。
【0048】
図6に示すように、回転シャフト120Aの外径は、ハブ140に向かって徐々に太くなる。つまり、回転シャフト120Aは、細径部121と、太径部122とを有する。また、ベアリング130Aは、細径部121及び太径部122を回転可能にそれぞれ支持する。
【0049】
また、タイヤスタンド100及びタイヤスタンド100Aでは、回転シャフトが用いられていたが、ハブ140に組み込まれたスピンドルをベアリングで回転可能に支持するようなタイヤスタンドを用いても構わない。このようなタイヤスタンドでも、ベアリングを「ばね要素」として規定すればよい。
【0050】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0051】
10…タイヤ・ホイール組立体
20…タイヤ
30…リムホイール
40…タイヤ・ホイール組立体モデル
100,100A…タイヤスタンド
110…支持台
120,120A…回転シャフト
121…細径部
122…太径部
130,130A…ベアリング
140…ハブ
150…ハブボルト
200…スタンドモデル
220…回転シャフトモデル
221…連結部
230…ベアリングモデル
231…支持点
240…ハブモデル
241…ハブディスク
242…連結ボルト
250…ボルトモデル
300…シミュレーション装置
301…スタンドモデル記憶部
303…TW組立体モデル記憶部
305…シミュレーション条件設定部
307…シミュレーション実行部
309…シミュレーション結果出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤにリムホイールが組み付けられたタイヤ・ホイール組立体を有限個の要素に分割したタイヤ・ホイール組立体モデルと、
前記タイヤ・ホイール組立体に連結される回転シャフトを有限個の要素に分割した回転シャフトモデルと
を用いて、前記タイヤ・ホイール組立体の性能のシミュレーションを実行するシミュレーション装置であって、
前記タイヤ・ホイール組立体モデル、前記回転シャフトモデル、及び前記回転シャフトを回転可能に支持するベアリングを有限個の要素に分割したベアリングモデルを保持するモデル保持部と、
前記モデル保持部が保持する前記タイヤ・ホイール組立体モデル、前記回転シャフトモデル及び前記ベアリングモデルを用いてシミュレーションを実行するシミュレーション実行部と
を備え、
前記ベアリングモデルは、少なくとも前記回転シャフトに直交するx軸方向、前記回転シャフトと平行なy軸方向に、前記回転シャフトが変位可能なばね要素としてモデル化されているシミュレーション装置。
【請求項2】
前記ベアリングモデルは、前記x軸方向及び前記y軸方向に直交するz軸方向にさらに変位可能なばね要素としてモデル化されている請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記y軸方向における前記ベアリングモデルの剛性は、前記x軸方向及び前記x軸方向及び前記z軸方向における前記ベアリングモデルの剛性よりも低い請求項1または2に記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
タイヤにリムホイールが組み付けられタイヤ・ホイール組立体を有限個の要素に分割したタイヤ・ホイール組立体モデルと、
前記タイヤ・ホイール組立体に連結される回転シャフトを有限個の要素に分割した回転シャフトモデルと
を用いて、前記タイヤ・ホイール組立体の性能のシミュレーションをコンピュータに実行させるシミュレーションプログラムであって、
前記タイヤ・ホイール組立体モデル、前記回転シャフトモデル、及び前記回転シャフトを回転可能に支持するベアリングを有限個の要素に分割したベアリングモデルを用いてシミュレーションを実行するシミュレーション実行処理を備え、
前記ベアリングモデルは、少なくとも前記回転シャフトに直交するx軸方向、前記回転シャフトと平行なy軸方向に、前記回転シャフトが変位可能なばね要素としてモデル化されているシミュレーションプログラム。
【請求項5】
タイヤにリムホイールが組み付けられたタイヤ・ホイール組立体を有限個の要素に分割したタイヤ・ホイール組立体モデルと、
前記タイヤ・ホイール組立体に連結される回転シャフトを有限個の要素に分割した回転シャフトモデルと
を用いて、前記タイヤ・ホイール組立体の性能のシミュレーションを実行するシミュレーション方法であって、
前記タイヤ・ホイール組立体モデル、前記回転シャフトモデル、及び前記回転シャフトを回転可能に支持するベアリングを有限個の要素に分割したベアリングモデルを選択するステップと、
前記モデル保持部が保持する前記タイヤ・ホイール組立体モデル、前記回転シャフトモデル及び前記ベアリングモデルを用いてシミュレーションを実行するステップと
を備え、
前記ベアリングモデルは、少なくとも前記回転シャフトに直交するx軸方向、前記回転シャフトと平行なy軸方向に、前記回転シャフトが変位可能なばね要素としてモデル化されているシミュレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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