説明

シミュレーション装置およびシミュレーション方法

本発明は、カスケード通信システムのためのシミュレーション装置およびシミュレーション方法に係わる。カスケード通信システムは、送信器から受信器に向かって連続する番号1〜Nが付与される複数のノードを備える。本方法は、カスケード通信システムのシミュレーションを行うために必要なシミュレーションパラメータを取得し、各ノードの逆伝達関数を計算し、N番目のノードから1番目のノードに向かって順番に現ノードを決定し、現ノードにおいて付加されるべき雑音を現ノードの前ノードのシミュレーション信号に付加し、現ノードにおいて付加されるべき雑音が付加された前ノードのシミュレーション信号を利用することにより、現ノードの逆伝達関数に基づいて、現ノードのシミュレーションを行ってシミュレーション信号を生成し、すべてのノードのシミュレーションが終了したか判定し、すべてのノードのシミュレーションが終了していなければ、付加する工程および現ノードのシミュレーション信号のためのシミュレーションを行う工程を繰り返し、すべてのノードのシミュレーションが終了していれば、現ノードのシミュレーション信号に基づいてカスケード通信システムのコストを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムのシミュレーションに係わる。また、本発明は、カスケード通信システムのシミュレーションを行うシミュレーション装置およびシミュレーション方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
光通信システムの容量および柔軟性に係わる要求が徐々に高まるにつれて、コヒーレント光通信技術がより一段と重要になってきている。偏波多重システムは、2つの光直交偏波状態(h、v)を利用することで、同じ帯域で同時に2つの独立した信号を送信できるので、スペクトラム効率が2倍になる。偏波多重コヒーレント通信システムは、次世代の光通信システムのための主要技術であると広く考えられている。
【0003】
従来の光ファイバリンクにおいては、分散または偏波の影響で生じるシステムコストまたはシステムペナルティ(例えば、ビット誤り率の増加、Q値の低下など)は、受信端末における高速デジタル信号処理技術に基づく様々な等化アルゴリズムにより除去または低減される。光ファイバリンクのダメージおよびシステム上の様々な等化アルゴリズムの影響を評価するため、全体システムのシミュレーションを行うためにコンピュータシミュレーションが使用される。
【0004】
図1は、カスケード通信システムのための従来のシミュレーション方法の原理を概略的に示す。図1に示すように、N(N≫1)個のカスケードノードを有する光通信システムに対して、従来のシミュレーション方法は、まず送信器101のシミュレーションを行う。すなわち、ある長さの信号系列を生成し、送信器による様々な処理のシミュレーションを行う。次に、従来のシミュレーション方法は、実際の伝送リンクのシミュレーションを行う。すなわち、光通信システムの光ノード1〜N(102〜105)のシミュレーションを順番に行う。各光ノードは、伝送光ファイバ107、伝送ノード108、光増幅器109を順番に含むようにシミュレーションが行われる。伝送ノード108は、分散補償モジュールおよびフィルタを備え、光増幅器は、理想的なパワー増幅器110および雑音加算器111で表わすことができる。伝送光ファイバ107および伝送ノード108の伝送特性は、まとめて伝達関数Hで表わすことができる。伝達関数Hは、システムパフォーマンスを劣化させる様々なメカニズムを含む。最後に、従来のシミュレーション方法は、受信器106のシミュレーションを行う。まず受信器のフロント部分のシミュレーションを行い、次にイコライザのシミュレーションを行い、続いて位相再生器、周波数差制御などのシミュレーションを行い、最後にビット誤りをカウントすることによりビット誤り率を計算するか、雑音の統計的特性を用いることにより信号対雑音比(SNR)を推定する。シミュレーションが行われた受信器106は、典型的なデジタル光コヒーレント通信受信器とすることができ、その内部構成は、E. Ip et al. “Coherent detection in optical fiber system” Optics Express Vol. 16, No. 2, pp.753-791, January 2008に記載されている。
【0005】
発明者は、本発明を検討する過程で、従来技術のシミュレーション方法は以下の欠点を有していることを見出した。
第1に、ビット誤り率を計算するまたはSNRを推定するためには、シミュレーション方法は、長い信号系列を生成する必要がある。また、いずれかの光ノードのシミュレーションが行われるときに、その長い信号系列は処理されることになる。よって、処理負荷が増加し、シミュレーション時間が長くなる。
【0006】
偏波により生じるシステムコストを考慮する場合、上述の問題は特に厳しくなる。偏波効果は、偏波モード分散(PMD)、偏波依存損失(PDL)を含む。光偏波状態は、光ファイバ伝送中に連続的にかつランダムに変化するので、通常、特定の切断確率の下でのパフォーマンスコストが、上述の2つの偏波効果により生じるシステムパフォーマンスの劣化を表すために適用される。実際のシステムにおいて、要求される切断確率の典型的な値は、4.5e−4および5.7e−5であり、要求されるシミュレーション時間は、1e6よりも長くなり、従来のシミュレーション方法の時間効率の低さが増幅されてしまう。
【0007】
シミュレーションの効率を高めるために、現在は、リンクの近似が行われている。”Impact of polarization dependent loss on coherent POLMUX-NRZ-DQPSK” in Proc. Optical Fiber Communication Conference and National Fiber Optic Engineers Conference (OFC/NFOEC), San Diego, California, 2008, Paper OThU5, T. Duthel et al. は、リンク上のすべてのノードを1つのノードに等化する方法を提供する。一方、”Impact of polarization dependent loss and cross-phase modulation on polarization multiplexed DQPSK signals” in Proc. Optical Fiber Communication Conference and National Fiber Optic Engineers Conference (OFC/NFOEC), San Diego, California, 2008, Paper OThU6, O. Vassilieva et al. は、複雑な統計的な問題を偏波効果の確定性を計算するシステムコストに単純化するために、各光ノードにおけるランダムな偏波回転効果を無視する方法を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“Coherent detection in optical fiber system”, E. Ip et al. Optics Express Vol. 16, No. 2, pp.753-791, January 2008
【非特許文献2】”Impact of polarization dependent loss on coherent POLMUX-NRZ-DQPSK” in Proc. Optical Fiber Communication Conference and National Fiber Optic Engineers Conference (OFC/NFOEC), San Diego, California, 2008, Paper OThU5, T. Duthel et al.
【非特許文献3】”Impact of polarization dependent loss and cross-phase modulation on polarization multiplexed DQPSK signals” in Proc. Optical Fiber Communication Conference and National Fiber Optic Engineers Conference (OFC/NFOEC), San Diego, California, 2008, Paper OThU6, O. Vassilieva et al.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明者は、上述の方法は、シミュレーション速度を高めるが、いくつかの近似条件を導入し、その結果が正確でないことを見出した。また、これらの改良された方法は、長い信号系列を生成する必要があり、各光ノードのシミュレーションが行われているときにその信号系列が処理されることになるので、時間効率の改善は限定的である。
【0010】
上述した従来技術の限定および欠点を考慮し、本発明の実施形態は、従来技術の1以上の問題を取り除き、または緩和し、そして少なくとも1つの有益な選択を与える。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態は、下記の態様を提供する。
態様1:送信器から受信器に向かって連続する番号1〜N(Nは、1以上)が付与される複数のノードを備えるカスケード通信システムのシミュレーションを行うシミュレーション装置であって、この装置は、シミュレーションパラメータ取得部、逆伝達関数取得部、現ノード決定部、雑音付加部、現ノードシミュレーション部、制御部、コスト決定部を備える。前記シミュレーションパラメータ取得部は、前記カスケード通信システムのシミュレーションを行うために必要なシミュレーションパラメータを取得し、前記逆伝達関数取得部は、前記シミュレーションパラメータに基づいて、各ノードの逆伝達関数を計算し、前記現ノード決定部は、N番目のノードから1番目のノードに向かって順番に現ノードを決定し、前記雑音付加部は、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音を、前記現ノードの前ノードのシミュレーション信号に付加し、前記現ノードシミュレーション部は、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音が付加された前記前ノードのシミュレーション信号を利用することにより、前記現ノードの逆伝達関数に基づいて、前記現ノードのシミュレーションを行ってシミュレーション信号を生成し、前記制御部は、すべてのノードのシミュレーションが終了したか判定し、すべてのノードのシミュレーションが終了していなければ、前記現ノードシミュレーション部のシミュレーション信号が前記雑音付加部へ出力されるように制御し、すべてのノードのシミュレーションが終了していれば、前記現ノードのシミュレーション信号が前記コスト決定部へ出力されるように制御し、前記コスト決定部は、前記現ノードシミュレーション部からのシミュレーション信号に基づいて、前記カスケード通信システムのコストを決定する。
【0012】
態様2:態様1に記載のシミュレーション装置であって、前記雑音付加部は、パワーまたはベクトルで表わされる雑音を付加し、前記現ノードシミュレーション部は、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音が付加された前記前ノードのシミュレーション信号に、前記現ノードの逆伝達関数を乗算することにより、前記現ノードのシミュレーションを行う。
【0013】
態様3:態様1に記載のシミュレーション装置であって、乱数時系列の形式の雑音を生成する雑音生成装置をさらに備え、前記雑音付加部は、乱数時系列の形式の雑音を前記前ノードのシミュレーション信号に付加し、前記現ノードシミュレーション部は、フィルタ係数調整部およびフィルタを備え、前記フィルタ係数調整部は、前記現ノードの逆伝達関数に基づいて前記フィルタによって使用されるフィルタ係数を決定し、前記フィルタは、前記フィルタ係数調整部により決定されたフィルタ係数に基づいて、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音が付加された前記前ノードのシミュレーション信号をフィルタリングする。
【0014】
態様4:態様3に記載のシミュレーション装置であって、前記コスト決定部は、前記現ノードシミュレーション部からのシミュレーション信号のパワーを決定することにより、前記カスケード通信システムのコストを決定する。
【0015】
態様5:態様1に記載のシミュレーション装置であって、前記シミュレーション装置は、前記カスケード通信システムのPDLによって生じるシステムコストのシミュレーションを行うものであり、前記逆伝達関数取得部は、前記シミュレーションパラメータに基づいて各ノードの利得因子を決定し、さらに前記利得因子を対応するノードの伝達関数に乗算することにより、各ノードの逆伝達関数を決定する。
【0016】
態様6:送信器から受信器に向かって連続する番号1〜N(Nは、1以上)が付与される複数のノードを備えるカスケード通信システムのシミュレーションを行うシミュレーション方法であって、前記カスケード通信システムのシミュレーションを行うために必要なシミュレーションパラメータを取得し、各ノードの逆伝達関数を計算し、N番目のノードから1番目のノードに向かって順番に現ノードを決定し、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音を、前記現ノードの前ノードのシミュレーション信号に付加し、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音が付加された前記前ノードのシミュレーション信号を利用することにより、前記現ノードの逆伝達関数に基づいて、前記現ノードのシミュレーションを行ってシミュレーション信号を生成し、すべてのノードのシミュレーションが終了したか判定し、すべてのノードのシミュレーションが終了していなければ、前記付加する工程および前記現ノードのシミュレーション信号のためのシミュレーションを行う工程を繰り返し、すべてのノードのシミュレーションが終了していれば、前記現ノードのシミュレーション信号に基づいて前記カスケード通信システムのコストを決定する。
【0017】
態様7:態様6に記載のシミュレーション方法であって、前記付加する工程は、パワーまたはベクトルで表わされる雑音を付加し、前記シミュレーションを行う工程は、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音が付加された前記前ノードのシミュレーション信号に、前記現ノードの逆伝達関数を乗算することにより、前記現ノードのシミュレーションを行う。
【0018】
態様8:態様6に記載のシミュレーション方法であって、乱数時系列の形式の雑音を生成する工程をさらに備え、前記付加する工程は、乱数時系列の形式の雑音を付加し、前記シミュレーションを行う工程は、前記現ノードの逆伝達関数に基づいてフィルタ係数を決定し、前記決定されたフィルタ係数に基づいて、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音が付加された前記前ノードのシミュレーション信号をフィルタリングする。
【0019】
態様9:態様8に記載のシミュレーション方法であって、前記カスケード通信システムのコストは、前記現ノードのシミュレーション信号のパワーを決定することにより決定される。
【0020】
態様10:態様6に記載のシミュレーション方法であって、前記カスケード通信システムのPDLによって生じるシステムコストのシミュレーションを行うものであり、前記計算する工程は、前記シミュレーションパラメータに基づいて各ノードの利得因子を決定し、さらに前記利得因子を対応するノードの伝達関数に乗算することにより、各ノードの逆伝達関数を決定する。
【0021】
従来の方法を使用するシミュレーション装置と比較して、本発明の実施形態のシミュレーション装置は、実質的に同じ正確さで、シミュレーション効率を大幅に高め、シミュレーション時間を削減する。また、他の者によって提供される改良されたアルゴリズムのシミュレーション装置に対して、発明の実施形態のシミュレーション装置は、より高い正確さを有する。
【0022】
以下の記載および図面を参照すれば、上述のおよび更なる態様、実施形態、および特徴は、より明確になる。明細書および図面は、本発明の特有の実施形態を具体的に開示し、本発明の原理およびそれを適用可能な方法を特定する。ただし、それらによって本発明の実施形態が限定されるものではない旨は理解されるべきである。添付するクレームの精神および条件の範囲において、本発明の実施形態は、様々な変形、変更、およびその均等なものを含む。
【0023】
1つの実施形態について記載されたおよび/または表わされた特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることにより又は他の実施形態の特徴と置き換えることにより、同一または類似の方法で1または複数の他の実施形態において使用できる。
【0024】
なお、強調すべきこととして、文中の「含む/備える」または「含んでいる/備えている」という語は、1または複数の他の特徴、全体、ステップ、部品の存在または追加を排除するものではなく、特徴、全体、ステップ、部品が存在することを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】カスケード通信システムのための従来のシミュレーション方法の原理を概略的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態によるカスケード通信システムためのシミュレーション方法の原理を概略的に示す図である。
【図3】本発明の実施形態のシミュレーション装置の概略ブロック図である。
【図4】本発明の他の実施形態のシミュレーション装置の概略ブロック図である。
【図5】本発明の実施形態によるカスケード通信システムためのシミュレーション方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の調査をする過程で、発明者は、通信システムにおける雑音および信号の導入および再生について検討した。送信器により送信される伝送信号sおよび光増幅器により与えられる雑音nは、いずれも2×1ベクトルで表わすことができる。すなわち、下記の通りである。
【0027】
【数1】

hおよびvは、互いに直交する2つの偏波状態であり、ベクトルの各成分は、複素数である。N個のノードを介して伝送された後、受信器の直前における信号s、雑音nは、下記の式(1)(2)で示される。Hは、i番目のノードの伝達関数であり、nは、i番目のノードにおいて与えられる雑音である。
s=H・・・HHs (1)
n=H・・・HHn + H・・・Hn + H・・・Hn +・・・
+HnN−1 +n (2)
【0028】
受信器において、イコライザの応答は、チャネル伝達関数の逆関数なので、等化された信号sおよび雑音nは、下記の式(3)(4)で与えられる。
s=(H・・・HH)−1H・・・HHs=s (3)
n=(H・・・HH)−1[HHn + H・・・Hn + H・・・Hn +・・・+ HnN−1 + n]
=n+H−1n+ H−1H−1n +・・・+ H−1H−1・・・H−1n (4)
【0029】
このように、信号は、理想的な条件の下であっても或いは理想的でない条件の下であっても、完全に再生することができる。しかし、雑音は状況が異なる。システムがダメージを受けていないとき(理想的な条件)は、伝達関数H=1であり、等化された雑音は、各ノードによって与えられる雑音のパワーの和である。理想的でない条件の下では、上述の式(4)に示すように、等化された雑音は、理想的な条件下での雑音よりも強くなる。よって、発明者は、システムのシミュレーションを実行するときは、雑音のみを考慮すべきであり、信号は考慮する必要はないと考える。本発明の実施形態は、この技術思想に基づいて考えられている。
【0030】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳しく記載する。
図2は、本発明の実施形態によるカスケード通信システムためのシミュレーション方法の原理を概略的に示す図である。
【0031】
図2に示すように、本発明の実施形態のシミュレーション方法においては、シミュレーションは、シミュレーションを行うべき通信リンク上のノードに対して逆の順番で実行される。すなわち、シミュレーションを行うべき通信システムが、送信器→光ノード1(205)→・・・→光ノードN−3(204)→光ノードN−2(203)→光ノードN−1(202)→光ノードN(201)→受信器である場合、最初に光ノードN(201)がシミュレーションされ、つづいて光ノードN−1(202)がシミュレーションされ、・・・、最後に光ノード1(205)がシミュレーションされる。そして、すべての光ノードがシミュレーションされた後、計算モジュール206により雑音(雑音パワー)が計算される。
【0032】
また、各光ノードがシミュレーションされるとき、最初に雑音111がシミュレーションされ、続いて伝送ノード207がシミュレーションされ、最後に伝送光ファイバ208がシミュレーションされる。この順番は、図1のノードのシミュレーション順と異なっている。本発明の実施形態においては、伝送光ファイバ208および伝送ノード207の伝送特性は、組み合わされ、システムパフォーマンスにダメージを与える様々なメカニズムを含む逆伝達関数H−1によって表わされる。
【0033】
詳しくは、本発明の実施形態によれば、まず、雑音111が各ノードにおいて付加される。すなわち、既にシミュレーションされている前の光ノードから送信される雑音信号に雑音111が付加される。そして、雑音が付加された雑音信号に、逆伝達関数H−1が乗算される。
【0034】
よって、シミュレーション過程全体において、雑音特性のみが考慮され、長い信号系列を生成する必要はなく、各ノードのシミュレーションを行うときにその長い信号系列が処理されることもないので、シミュレーション効率が高くなる。また、送信器のシミュレーションは行わなくてもよい。さらに、リンク全体についての伝達関数の逆演算が取り除かれているので、計算モジュール206の処理は、受信器のシミュレーションと比較して大幅に単純になり、よって、シミュレーション効率はさらに高くなる。
【0035】
以下、計算モジュール206について記載する。
計算モジュール206は、例えば、システムのパフォーマンスコストQpenaltyを得るために使用される。式(5)は、パフォーマンスコストQpenaltyを計算するための式である。SNRは、ダメージが無いときのシステムのSNRである。SNRCalは、ダメージが発生したときのシステムのSNRである。Sは、信号の当初のパワー(予め決められたシミュレーションパラメータである送信器の送信パワー、SNRの計算のために使用される)である。nは、i番目のノードのおける雑音パワーである。nCalは、計算モジュール206によって計算される雑音パワーである。
【0036】
【数2】

【0037】
図3は、本発明の実施形態のシミュレーション装置の概略ブロック図である。図3に示すように、本発明の実施形態のシミュレーション装置は、シミュレーションパラメータ取得部31、ノードシミュレーション部32、コスト決定部33を備える。ノードシミュレーション部32は、逆伝達関数取得部321、乗算部322、雑音付加部323、制御部324を備える。制御部324は、逆の順番で、現在のシミュレーションノードを決定してゆき、逆伝達関数取得部321、乗算部322、雑音付加部323の動作を互いに整合するように調整する。制御部324は、本発明の実施形態の現ノード決定部に対応するようにしてもよい。
【0038】
シミュレーションパラメータ取得部31は、例えば、ユーザにより入力されるシミュレーションパラメータを受信する入力部を備える。入力部は、ディスプレイ、キーボード、マウス等を備えてもよく、ユーザは、入力部を介してシミュレーションパラメータを入力する。また、シミュレーションパラメータ取得部31は、例えば、装置内にまたは装置の外に格納されている、シミュレーションを行うべき通信システムに係わるシミュレーションパラメータを読み込む読込み部である。シミュレーションパラメータ取得部31は、有線または無線伝送でサーバからシミュレーションパラメータを受信する受信部であってもよい。これらのパラメータは、逆伝達関数または伝達関数を計算するためのパラメータ、例えば、シミュレーションを行うべき通信システム内の各伝送ノードおよびその伝送ノードに関連する伝送光ファイバセグメントの伝送特性を反映するパラメータ、および、分散値およびPDL値、を含む。また、これらのパラメータは、伝送ノードで付加される雑音を表すパラメータも含む。さらに、シミュレーションパラメータは、信号の当初のパワー(送信器の出力パワー)を含むようにしてもよい。
【0039】
本発明の実施形態においては、伝送ノードおよび伝送ノードに関連する伝送光ファイバセグメントを総称して、ノードと呼び、また、本発明の実施形態は光通信システムについて記載するので、光ノードと呼ぶこともある。ただし、本発明の実施形態は、他の通信システムに適用することも可能である。
【0040】
制御部324は、逆の順番で(N番目の光ノードから1番目の光ノードへ)、現在のシミュレーションノードを決定する。
【0041】
逆伝達関数取得部321は、各光ノードについて入力されるシミュレーションパラメータ(例えば、分散値およびPDL値)に基づいて、各光ノードの逆伝達関数H−1(伝達関数Hの逆関数)を計算する。本発明の実施形態においては、制御部324の制御下で、まず、送信器から受信器に向かって1〜Nの連続する番号が付された光ノードを備える、シミュレーションを行うべき通信システム内のN番目の光ノードの逆伝達関数H−1を計算する。この計算は、1番目の光ノードの逆伝達関数H−1が計算されるまで、逆の順番で、連続して実行される。また、各光ノードの逆伝達関数は、他の順番で計算されてもよく、制御部324の制御の下で、制御部324により決定される現光ノードに対応する逆伝達関数は、乗算部に送信される。
【0042】
雑音付加部323は、現光ノードで付加されるべき雑音を付加する。シミュレーションされるシステムおよびそのシステムにおける効果がスカラーである場合(例えば、シミュレーションされるシステムが単一偏波状態であるか、偏波状態の影響を受けない状況)、雑音パワーのみを考慮する必要がある。しかし、シミュレーションされるシステムおよびそのシステムにおける効果がベクトルである場合は(例えば、シミュレーションされるシステムが偏波多重システムである状況)、雑音は、対応するベクトルで記述される必要がある。
【0043】
乗算部322は、雑音付加部323からの信号に、逆伝達関数取得部321によって取得された対応する逆伝達関数を乗算し、制御部324の制御の下、1または複数の光ノードが未だ処理されていないときは、乗算結果(現ノードのシミュレーション信号)を雑音付加部323に送信し、すべての光ノードが処理されているときは、乗算結果(シミュレーション信号)をコスト決定部33に送信する。
【0044】
逆伝達関数取得部321は、以下のようにして逆伝達関数を取得することができる。リンク効果がスカラーであるときは、逆伝達関数は、伝達関数の逆数である。リンク効果がベクトルであるときは、伝達関数は行列であり、逆伝達関数は、その伝達関数の逆行列である。
【0045】
また、PDLにより生じるシステムコストを評価するとき、各光ノードは、PDLベクトルユニットおよび直列に接続される(雑音)増幅器と考えることができる。逆伝達関数取得部321は、伝送行列に対してある固定された係数を乗算することにより、逆伝達関数を取得できる。詳しくは、以下の通りである。
【0046】
PDLベクトルユニットは、2つのランダムな偏波回転ユニットのカスケードおよび固定された方向のPDLユニットと等価であり、固定された方向のPDLユニットは、2つのランダムな偏波回転ユニット間に設けられる。PDLベクトルの方向は偏波回転の方向に依存し、PDLベクトルの大きさは固定された方向のPDLユニットに依存する。伝送行列UおよびVは、それぞれ2つのランダムな偏波回転ユニットに対応する。伝送行列

は、固定された方向のPDLユニットに対応し、トータル損失はゼロである。γは、PDLベクトルのDB値に基づいて取得することができる(PDLベクトルのDB値は、

で表わすことができる。)。なお、各光ノードのPDLベクトルのDB値は、シミュレーションパラメータとしてシミュレーションパラメータ取得部31によって取得され、シミュレーションを行うべき通信システムにおける各伝送ノードおよび伝送ノードに関連する伝送光ファイバセグメントの伝送特性、例えば分散値およびPDL値、を反映する上述したパラメータに対応する。光ノードの伝達関数Hは、式(6)に示すように、U、Γ、Vの積である。
H=UΓV (6)
【0047】
逆伝送方法においては、H−1は、まず、式(7)に示すようにして得られる。
−1=V−1Γ−1−1 (7)
ここで、ランダム回転行列の逆行列は、やはりランダム回転行列であり、固定された方向のPDLユニットの逆行列

は、伝送行列に基づく利得因子

を導入すると同時に2つの偏波方向を交換することと等価である。ランダム回転行列の存在を考慮する際、2つの偏波方向の交換は、ランダム回転行列において吸収され得る。よって、光ノードの逆行列は、統計的に、光ノード伝達関数自身に対応する利得因子

を乗算した結果と考えることができる。PDLはランダムなので、それによって生じるシステムコストもランダムである。したがって、PDLによって生じるシステムコストは、統計的な範囲、例えばシステムコストが特定の切断確率に従う場合、においても評価される。統計的なシステムコストを得るためには、PDLの統計的な特性のみが一定に保持される必要がある。よって、光ノードの逆行列を処理する方法は、柔軟性がある。
【0048】
言い換えると、シミュレーションシステムが、通信システムのPDLによって生じるシステムコストを評価するために使用されるときは、係数

は、光ノードの雑音要求に基づいて計算することができ、その係数に光ノードの伝達関数が乗算される。この計算は逆伝達関数であるが、伝達関数の直接的な反転は排除されており、計算速度を上げることができ、逆伝達関数取得部321の計算負荷を減らすことができる。
【0049】
PDLによって生じるシステムコストを計算するとき、モジュール31に入力されるパラメータは、光ノードのPDLのDB値、光ノードの雑音パワー、送信器の出力パワーを含む。
【0050】
コスト決定部33は、式(5)に基づいて、乗算部322からからの雑音信号を利用してシステムコストを計算する。
PDLによって生じるシステムコストを評価するとき、コスト決定部33は、2つの偏波成分の雑音のパワーnh/vを取得し、式(8)に基づいてシステムコストを計算する。
【0051】
【数3】


は、乗算部から受信する雑音信号に基づいて決定されるSNRであり、その計算は、例えば、式(9)に示す通りである。Sは、信号のパワーである。PDLの無いシステムの

は、式(10)に基づいて得られる。nは、i番目のノードにおける雑音パワーである。SNRの低下は、システムパフォーマンスの劣化である。
【0052】
【数4】

式(5)は、すべての要因(分散、偏波モード分散、PDLを含む)によって生じるシステムコストを計算する。式(10)は、PDLによって生じるシステムコストを計算する。
【0053】
図3の乗算部は、本発明の実施形態の現ノードシミュレーション部に対応する。
従来の方法を使用するシミュレーション装置と比較して、本発明の実施形態のシミュレーション装置は、実質的に同じ正確さで、シミュレーション効率を大幅に高め、シミュレーション時間を削減する。また、他の者によって提供される改良されたアルゴリズムのシミュレーション装置に対して、発明の実施形態のシミュレーション装置は、より高い正確さを有する。
【0054】
図4は、本発明の他の実施形態のシミュレーション装置の概略ブロック図である。図4に示すように、本発明の実施形態のシミュレーション装置は、シミュレーションパラメータ取得部31、ノードシミュレーション部42、コスト決定部43を備える。ノードシミュレーション部42は、逆伝達関数取得部321、フィルタ係数調整部421、フィルタ422、雑音付加部423、雑音生成器424、制御部425を備える。
【0055】
制御部425は、逆の順番で(N番目の光ノードから1番目の光ノードへ)、現在のシミュレーションノードを決定してゆき、逆伝達関数取得部321、フィルタ係数調整部421、フィルタ422、雑音付加部423、雑音生成器424の動作を互いに整合するように調整する。
【0056】
上述したように、逆伝達関数取得部321は、入力されるシミュレーションパラメータに基づいて、現ノードの伝達関数の逆関数、すなわち逆伝達関数を決定する。フィルタ係数調整部421は、現ノードの逆伝達関数に基づいてフィルタ係数を決定する。フィルタ係数は、例えば、逆伝達関数の逆フーリエ変換から直接的に得ることができる。制御部425の制御の下で、雑音付加部423は、現光ノードにおいて付加されるべき雑音(予め決められた雑音)を付加する。
【0057】
フィルタ422は、フィルタ係数調整部421によって決定されたフィルタ係数に基づいて、雑音が付加された信号をフィルタリングし、制御部425の制御の下で、1または複数の光ノードが未だ処理されていないときは、フィルタリングされた信号を次ノードのシミュレーションのために雑音付加部423に送信し、すべての光ノードが処理されているときは、フィルタリング結果をコスト決定部43に送信する。
【0058】
雑音生成装置424は、付加すべき雑音パワーに基づいて、シミュレーション雑音(乱数時系列)を生成する。そのシミュレーション雑音は雑音付加部423に送信され、そこで前ノードからの雑音信号(すなわち、フィルタの出力)に付加される。雑音付加部423は、雑音が付加された雑音信号をフィルタ422へ送信する。雑音信号は時間領域の系列なので、雑音の付加は、対応する時刻における加算演算である。
【0059】
コスト決定部43は、フィルタの出力の分散を計算する。ここで、コスト決定部43はパワー計算部で実現するようにしてもよい。パワーは、出力される時間領域の雑音信号の分散Sum((s(t)−s0))である。s(t)は、時間領域信号であり、s0は、平均である。分散が計算されると、式(5)(8)に基づいてシステムコストが計算される。
フィルタ係数調整部421およびフィルタ422は、本発明の実施形態の現ノードシミュレーション部に対応する。
【0060】
図3との組み合わせで先に記載した装置と同様に、従来の方法を使用するシミュレーション装置と比較して、本発明の実施形態のシミュレーション装置は、実質的に同じ正確さで、シミュレーション効率を大幅に高め、シミュレーション時間を削減する。また、他の者によって提供される改良されたアルゴリズムのシミュレーション装置に対して、発明の実施形態のシミュレーション装置は、より高い正確さを有する。
【0061】
図5は、本発明の実施形態によるカスケード通信システムためのシミュレーション方法のフロー図を示す。図5に示すように、まず、ステップS51においてシミュレーションパラメータ、例えば各光ノードのPDLユニットの雑音、分散、付加されるべき雑音、送信器の送信パワー、を取得する。ステップS52において、ステップS51で取得したシミュレーションパラメータに基づいて、逆伝達関数を取得する。ステップS53において、制御部(現ノード決定部)が、逆の順番に基づいて、現ノードを決定する。ステップS54において、現在の雑音を付加する。このとき、雑音パワーまたはベクトルで表わされる雑音を直接的に付加することができる。他の実施形態では、乱数時系列の形式の雑音を付加してもよい。この場合、乱数時系列は、まず付加すべき雑音パワーに基づいて生成される。そして、ステップS55において、現ノードのシミュレーションを実行する。実施形態では、乗算部は、現ノードのシミュレーションを行うために、現ノードの逆伝達関数に、現ノードの雑音が付加された前ノードの雑音信号を乗算する。付加される雑音が乱数時系列の形式であるときは、逆伝達関数に基づいてフィルタ係数が調整される。そして、調整された係数を有するフィルタは、現ノードの雑音が付加された前ノードの雑音信号をフィルタリングする。
【0062】
次に、ステップS56において、全てのノードがシミュレーションされたか判定する。全てのノードがシミュレーションされていれば(ステップS56、Yes)、ステップS57においてシステムコストを決定する。全てのノードがシミュレーションされていなければ(ステップS56、No)、別の現ノードを決定するためにステップS53に戻り、ステップS53〜S57を繰り返す。
【0063】
従来の方法と比較して、本発明の実施形態のシミュレーション方法は、実質的に同じ正確さで、シミュレーション効率を大幅に高め、シミュレーション時間を削減する。また、他の者によって提供される改良されたアルゴリズムに対して、発明の実施形態のシミュレーション方法は、より高い正確さを有する。
【0064】
上述した本発明の装置および方法は、ハードウェアで、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せで実装することができる。本発明は、論理ユニットにより実行されたときに、その論理ユニットに、先に記載した装置または部品の機能を実装させる、或いは、先に記載した方法またはステップを実装させる、コンピュータ読取り可能プログラムに係わる。本発明は、上述のプログラムを記憶する記憶媒体、例えば、ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD、フラッシュメモリ、にも係わる。
【0065】
本発明は、上述の実施形態との組合せにおいて記載された。しかし、この技術分野の当業者は、明細書の記載は単なる例であり、本発明が保護すべき範囲を限定するものではないことを理解するであろう。また、この技術分野の当業者は、本発明の精神および原理に基づいて、本発明の様々な変更および変形を創造することができ、そのような変更および変形も本発明の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信器から受信器に向かって連続する番号1〜N(Nは、1以上)が付与される複数のノードを備えるカスケード通信システムのシミュレーションを行うシミュレーション装置であって、
前記シミュレーション装置は、シミュレーションパラメータ取得部、逆伝達関数取得部、現ノード決定部、雑音付加部、現ノードシミュレーション部、制御部、コスト決定部を備え、
前記シミュレーションパラメータ取得部は、前記カスケード通信システムのシミュレーションを行うために必要なシミュレーションパラメータを取得し、
前記逆伝達関数取得部は、前記シミュレーションパラメータに基づいて、各ノードの逆伝達関数を計算し、
前記現ノード決定部は、N番目のノードから1番目のノードに向かって順番に現ノードを決定し、
前記雑音付加部は、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音を、前記現ノードの前ノードのシミュレーション信号に付加し、
前記現ノードシミュレーション部は、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音が付加された前記前ノードのシミュレーション信号を利用することにより、前記現ノードの逆伝達関数に基づいて、前記現ノードのシミュレーションを行ってシミュレーション信号を生成し、
前記制御部は、すべてのノードのシミュレーションが終了したか判定し、すべてのノードのシミュレーションが終了していなければ、前記現ノードシミュレーション部のシミュレーション信号が前記雑音付加部へ出力されるように制御し、すべてのノードのシミュレーションが終了していれば、前記現ノードのシミュレーション信号が前記コスト決定部へ出力されるように制御し、
前記コスト決定部は、前記現ノードシミュレーション部からのシミュレーション信号に基づいて、前記カスケード通信システムのコストを決定する
ことを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項2】
前記雑音付加部は、パワーまたはベクトルで表わされる雑音を付加し、
前記現ノードシミュレーション部は、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音が付加された前記前ノードのシミュレーション信号に、前記現ノードの逆伝達関数を乗算することにより、前記現ノードのシミュレーションを行う
ことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
乱数時系列の形式の雑音を生成する雑音生成装置をさらに備え、
前記雑音付加部は、乱数時系列の形式の雑音を前記前ノードのシミュレーション信号に付加し、
前記現ノードシミュレーション部は、フィルタ係数調整部およびフィルタを備え、
前記フィルタ係数調整部は、前記現ノードの逆伝達関数に基づいて前記フィルタによって使用されるフィルタ係数を決定し、
前記フィルタは、前記フィルタ係数調整部により決定されたフィルタ係数に基づいて、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音が付加された前記前ノードのシミュレーション信号をフィルタリングする
ことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記コスト決定部は、前記現ノードシミュレーション部からのシミュレーション信号のパワーを決定することにより、前記カスケード通信システムのコストを決定する
ことを特徴とする請求項3に記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記シミュレーション装置は、前記カスケード通信システムの偏波依存損失によって生じるシステムコストのシミュレーションを行うものであり、
前記逆伝達関数取得部は、前記シミュレーションパラメータに基づいて各ノードの利得因子を決定し、さらに前記利得因子を対応するノードの伝達関数に乗算することにより、各ノードの逆伝達関数を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項6】
送信器から受信器に向かって連続する番号1〜N(Nは、1以上)が付与される複数のノードを備えるカスケード通信システムのシミュレーションを行うシミュレーション方法であって、
前記カスケード通信システムのシミュレーションを行うために必要なシミュレーションパラメータを取得し、
各ノードの逆伝達関数を計算し、
N番目のノードから1番目のノードに向かって順番に現ノードを決定し、
前記現ノードにおいて付加されるべき雑音を、前記現ノードの前ノードのシミュレーション信号に付加し、
前記現ノードにおいて付加されるべき雑音が付加された前記前ノードのシミュレーション信号を利用することにより、前記現ノードの逆伝達関数に基づいて、前記現ノードのシミュレーションを行ってシミュレーション信号を生成し、
すべてのノードのシミュレーションが終了したか判定し、
すべてのノードのシミュレーションが終了していなければ、前記付加する工程および前記現ノードのシミュレーション信号のためのシミュレーションを行う工程を繰り返し、すべてのノードのシミュレーションが終了していれば、前記現ノードのシミュレーション信号に基づいて前記カスケード通信システムのコストを決定する
ことを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項7】
前記付加する工程は、パワーまたはベクトルで表わされる雑音を付加し、
前記シミュレーションを行う工程は、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音が付加された前記前ノードのシミュレーション信号に、前記現ノードの逆伝達関数を乗算することにより、前記現ノードのシミュレーションを行う
ことを特徴とする請求項6に記載のシミュレーション方法。
【請求項8】
乱数時系列の形式の雑音を生成する工程をさらに備え、
前記付加する工程は、乱数時系列の形式の雑音を付加し、
前記シミュレーションを行う工程は、前記現ノードの逆伝達関数に基づいてフィルタ係数を決定し、前記決定されたフィルタ係数に基づいて、前記現ノードにおいて付加されるべき雑音が付加された前記前ノードのシミュレーション信号をフィルタリングする
ことを特徴とする請求項6に記載のシミュレーション方法。
【請求項9】
前記カスケード通信システムのコストは、前記現ノードのシミュレーション信号のパワーを決定することにより決定される
ことを特徴とする請求項8に記載のシミュレーション方法。
【請求項10】
前記シミュレーション方法は、前記カスケード通信システムの偏波依存損失によって生じるシステムコストのシミュレーションを行うものであり、
前記計算する工程は、前記シミュレーションパラメータに基づいて各ノードの利得因子を決定し、さらに前記利得因子を対応するノードの伝達関数に乗算することにより、各ノードの逆伝達関数を決定する
ことを特徴とする請求項6に記載のシミュレーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−501982(P2013−501982A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524077(P2012−524077)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【国際出願番号】PCT/CN2009/073272
【国際公開番号】WO2011/017852
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】