説明

シャシダイナモメータの性能評価方法とその装置

【課題】電気慣性補償機能を有するシャシダイナモメータにおいては、試験時における負荷状態の精度の高い性能評価ができない。
【解決手段】速度検出器とトルク検出器にて測定された速度検出信号Vmとトルク信号FLCをシャシダイナモメータから別設される評価装置に直接導入し、予め設定された走行抵抗のパラメータとメカニカルロス信号FMLを入力し、これら走行抵抗のパラメータとメカニカルロス信号FML及び前記速度検出信号Vmを用いて車両モード運転状態における駆動力、仕事率、仕事量の何れかを評価値演算部にて演算し、求められた演算値に基づいてダイナモメータの負荷状態を評価するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャシダイナモメータの性能評価方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャシダイナモメータシステムでは、完成車の駆動輪をローラ上に載置し、所定の運転指令にて車両を制御すると共に、ローラの回転軸に連結されたダイナモメータを動力吸収体として車両の性能試験や耐久試験を室内で可能としている。その時における車両の走行抵抗は、タイヤ転がり抵抗と機械損失及び空気抵抗からなる平坦路定常走行に、慣性抵抗、登降坂抵抗を加え合わせたものになり、ダイナモメータでは走行抵抗成分の係数変換によるトルク信号によって制御される。この走行抵抗のうち、慣性抵抗は実車と等価な慣性に設定されるフライホイールを使用することがあるが、フライホイールは設置スペースが大きくなること等の理由によって、ダイナモメータの吸収トルク分として調整する等価慣性補償が採用されている。
【0003】
ところで、等価慣性質量の付加方法には、フライホイール方式、電気慣性方式及びフライホイール方式と電気慣性方式との併用が存在するが、以下では電気慣性方式を使用したシャシダイナモメータを例として説明する。
シャシダイナモメータの性能評価に関する文献としては、非特許文献1〜4が公知となっており、また、シャシダイナモメータの負荷状態を模擬するための等価慣性補償が適切に調整されているか否かの検証のための等価慣性補償の評価方法としては、特許文献1が公知となっている。
非特許文献1〜4、及び特許文献1には、車両における目標駆動力と実測駆動力との相関関係や差分を統計的に評価することが記載されている。また、欧州規格ECE15が存在し、総慣性量I=I0+Fi/γ(ただし、I0は固定慣性、Fiは電気慣性、γは加速度)を演算することで等価慣性補償の応答速度や精度を評価している。
【非特許文献1】平成8年度特定研究成果集「4WD車の排出ガス・燃費評価用シャシダイナモメータの性能要件に関する研究」野田他、運輸省交通安全公害研究所発行
【非特許文献2】平成9年度特定研究成果集「4WD車の排出ガス・燃費評価用シャシダイナモメータの性能要件に関する試験調査」野田他、運輸省交通安全公害研究所発行
【非特許文献3】平成10年度特定研究成果集「15.4WD車の排出ガス・燃費評価用シャシダイナモメータの性能要件に関する試験調査」野田他、運輸省交通安全公害研究所発行
【非特許文献4】平成10年度交通安全公害研究所研究発表会講演概要「4WD車用シャシダイナモメータに関する研究」野田他、運輸省交通安全公害研究所発行
【特許文献1】特開2004−219185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シャシダイナモメータから車両に与える負荷を正しく評価するためには、モード運転中の走行抵抗や電気慣性の精度検証を行う必要がある。シャシダイナモメータに車両を搭載した状態で検証を行うためには、車両の燃費や排ガス等の検査状態と同じ状態での走行抵抗や電気慣性の制御精度、応答速度等を調査して性能評価することが不可欠となっており、それらの評価方法及び評価装置が要望されている。上記した非特許文献1〜4には、評価方法についての記載はあるが、それを具現化するための技術に関する記載はない。特許文献1については、シャシダイナモメータの負荷状態を模擬するための等価慣性補償が適切に調整されているか否かの検証手段については記載されているが、実測駆動力、目標駆動力がシャシダイナモシステムで演算されているため、信号を安定化するために挿入するフィルタ要素等の影響によってシャシダイナモメータ毎に位相遅れが発生し、且つ加速度演算のために設ける微分演算方式も統一されてないため、シャシダイナモメータ単体での評価は可能であるが、絶対的な評価はできなかった。
また、ECE15においては、加速度の割り算が演算内に出現するため、慣性演算値が安定しにくく、特にMT車両などの変速時や車速モードの変極点等、加速度が0クロスする部分では、分母であるγが0となるため安定しなくなる等の問題点を有している。
【0005】
そこで、本発明が目的とするところは、何れのシャシダイナモシステムにおいても安定し、且つ絶対的な評価を可能にする性能評価方法とその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1は、車の被試験等価慣性質量が設定されるシャシダイナモメータであって、このシャシダイナモメータに車両を搭載し、速度検出器とトルク検出器より検出された信号を用いてシャシダイナモメータから車両に与える負荷を評価装置を介して評価するものにおいて、
前記速度検出器とトルク検出器にて測定された速度検出信号とトルク信号をシャシダイナモメータから評価装置に直接導入し、予め設定された走行抵抗のパラメータと機械損失信号を入力し、これら走行抵抗のパラメータと機械損失信号及び前記速度検出信号を用いて車両モード運転状態における駆動力、仕事率、仕事量の何れかを評価値演算部にて演算し、求められた演算値に基づいてダイナモメータの負荷状態を評価することを特徴としたものである。
本発明の第2は、前記評価装置に負荷評価部を設け、この負荷評価部に駆動力若しくは仕事率の目標値と実測値との差値を表示すると共に、負荷評価部に良否判定用のバンド幅を表示し、前記目標値と実測値との差値がこのバンド幅内にあるか否かをリアルタイムで評価することを特徴としたものである。
本発明の第3は、車の被試験等価慣性質量が設定されるシャシダイナモメータであって、計測のための速度検出器とトルク検出器及び走行抵抗設定部、機械損失設定部を備えたシャシダイナモメータにおいて、
前記速度検出器によって検出された信号を導入して速度検出信号Vmに変換する速度信号変換部と、この変換された速度変換信号Vmを導入して加速度信号dVm/dtに変換する最小2乗近似微分演算部と、前記トルク検出器にて検出されたトルク信号導入してローラ表面換算値FLCとするトルク信号変換部と、予め設定された値が入力される走行抵抗のパラメータと前記速度検出信号Vmを用いて目標とする走行抵抗FRL*を演算する目標走行抵抗演算部と、車両質量IW*とシャシダイナモメータの車重相当慣性力IMの信号を入力し、各信号にそれぞれ前記加速度信号dVm/dtを乗算してIW*・dVm/dt及びIM・dVm/dt信号を得る演算部と、これらFLC,dVm/dt,FRL*,IW*・dVm/dt,IM・dVm/dt及び入力される機械損失のローラ表面換算値信号FMLをそれぞれ導入して少なくとも車両の駆動力、仕事率及び仕事量の何れかの評価値を演算する評価値演算部を備えたことを特徴としたものである。
本発明の第4は、前記評価値演算部にて演算された駆動力、仕事率及び仕事量の何れかの評価値を評価するためのシャシダイナモメータの負荷評価部を備えたことを特徴としたものである。
本発明の第5は、前記負荷評価部に駆動力若しくは仕事率の目標値と実測値との差値を表示すると共に、負荷評価部に良否判定用のバンド幅を表示し、前記目標値と実測値との差値がこのバンド幅内にあるか否かをリアルタイムで評価できるよう構成したことを特徴としたものである。
本発明の第6は、前記性能評価装置は、前記シャシダイナモメータシステムとは別体で構成されることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のとおり、本発明の評価装置によれば、車両搭載状態でのシャシダイナモメータにおいて安定し、且つ絶対的な評価が可能となるものである。また、シャシダイナモメータシステム内の演算に依存せず、評価装置自体での演算に基づく評価のため、シャシダイナモメータ毎にリアルタイムでの評価が可能となり、しかも、統計評価した結果データの絶対評価があらゆるシャシダイナモメータで比較可能となるものである。さらに、評価装置の加速度信号の演算に最小2乗近似微分法を用いることにより、車両に与えるシャシダイナモメータ負荷の精度、応答速度等を評価するとき、トルクと加速度とを同期して得ることができる。この同期した信号を用いて演算された目標駆動力、実測駆動力を採用することにより安定し、且つ絶対的な評価が可能となるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の構成図を示したものである。1はシャシダイナモメータのローラで、車両の駆動輪が載置される。2はパルス発生器(速度検出器)で、検出信号は走行抵抗設定部4、機械損失設定部5、電気慣性設定部6にそれぞれ出力される。7は加算器で、走行抵抗設定部4、機械損失設定部5、及び電気慣性設定部6の各出力信号がこの加算器7において加算されてトルク制御部8に出力される。3はトルク検出器でロードセルなどよりなってトルク制御部8に出力される。トルク制御部8は入力された各信号に基づいてトルク値を演算し、シャシダイナモメータを制御する。
そして、これら1〜8によってシャシダイナモメータシステム9が構成される。
【0009】
10は評価装置、11はエリアジングフィルタで、このフィルタは入力信号の同期性を損なわぬよう最低限のノイズを除去するためのもので、評価演算時にはこのフィルタには検出されたトルク信号が入力されてノイズ除去が行なわれる。12はA/D変換部で、アナログ信号をディジタル信号に変換してトルク値(検出トルクのローラ表面換算値)FLCとし、この11と12によってトルク信号変換部が構成される。13は速度信号変換部で、パルス信号をディジタル信号に変換するP/D変換部よりなって、評価演算時には速度検出器2によって検出されたダイナモメータの速度信号をディジタル信号に変換することで速度検出信号Vmとする。14は最小2乗近似微分演算部で、速度検出信号Vmを入力して加速度信号dVm/dtに変換する。速度信号を微分するために最小2乗近似微分法を利用したことは、現時点の微分値を演算するために、現在に対して例えば過去にてサンプリングされた4点の信号と、未来値4点を確保し、現時点のサンプリング値を含む9点で2次関数に近似させ、この近似したカーブについて現時点での微分演算を施した結果が得られる。したがって、未来値を使用していることによって位相遅れが発生せず、信号の平滑化のみが実行される。サンプリング間隔を細かくし、未来値分をシフトした結果を用いればリアルタイム演算も可能となる。
【0010】
15は11と同様なエリアジングフィルタで、評価演算時にはこのフィルタには機械損失設定部5からの機械損失分が入力されてノイズが除去される。16はA/D変換部で、アナログ信号をディジタル信号に変換して機会損失相当のトルク値(機械損失トルクのローラ表面換算値)FMLとする。このエリアジングフィルタ15とA/D変換部16は必ずしも必要とするものではなく、機械損失演算部25を設け、この演算部25にキーボード等の入力手段を介して入力された機械損失のパラメータ(a',b',c'‥‥)と速度検出信号Vmを用いて機械損失相当のトルク値FMLを演算してもよい。17、18及び21、22はそれぞれ乗算部、19は2乗演算部である。加算部20には、走行抵抗のパラメータであるa項(タイヤ転がり抵抗分)が入力手段を介して直接印加されるが、乗算部17では、走行抵抗のパラメータであるb項(機械損失分)が入力手段を介して入力されて速度検出信号Vmとの乗算が行われる。乗算部18では走行抵抗のパラメータであるc項(路面抵抗分)が入力手段を介して入力され、2乗された速度信号との乗算が行われる。乗算部17、18よりの出力はそれぞれ加算部20において加算されて目標とする走行抵抗値FRL*(a+bVm+cVm2)が得られる。また、乗算部21には、入力手段を介して入力された目標とする車両の等価慣性質量IW*が印加されてIW*・dVm/dtが求められる。乗算部22には、入力手段を介して入力されたシャシダイナモメータの機械慣性値IMが印加されてIM・dVm/dtが演算される。
【0011】
上記した各演算値は、それぞれ評価値演算部23に入力されて評価値FV,FV*,WS,WS*,W,W*がそれぞれ演算された後、シャシダイナモメータの負荷評価部24に出力されて駆動力、仕事率の目標値を指標としてX−Yプロットし、1次回帰処理が実行され、その結果は図示省略された負荷評価部24の表示部に表示される。そして、これら11〜25によってシャシダイナモメータシステム若しくはシャシダイナモメータシステムの制御部とは別体に評価装置10が構成される。この評価装置10は、評価作業実行時にはシャシダイナモメータシステム9とはそれぞれ入力端子を介して速度検出器2とトルク検出器3と接続(場合によっては機械損失設定部とも接続)され、速度信号とトルク信号を入力する。他の演算パラメータ等は入力手段を介して評価装置に入力される。
評価値演算部23においては、シャシダイナモメータから計測される試験車両の駆動力FVは(1)式によって求めることができる。
【0012】
【数1】

【0013】
ここで、FLCCはシャシダイナモメータで負荷される力で、(2)式によって求められ、トルク検出器のローラ表面換算値FLCと機械損失トルクのローラ表面換算値FMLとの和によって求められる。
【0014】
【数2】

【0015】
(3)式は目標車両駆動力FV*の演算式で、目標とする車両の等価慣性質量IW*・dVm/dtの和である。
【0016】
【数3】

【0017】
【数4】

【0018】
【数5】

【0019】
【数6】

【0020】
【数7】

【0021】
(4)式は、目標駆動力FV*と速度検出値Vm積によって目標仕事率WS*を求めたものであり、(5)式は、実測駆動力FVと速度検出値Vmからシャシダイナモメータで実行された仕事率WSを求めたものである。また、(6)式(7)式は、(4)式(5)式によって求められた目標仕事率及び実測仕事率からそれぞれ目標仕事量W*とシャシダイナモメータの仕事量Wを求めた式である。
【0022】
評価装置10では、シャシダイナモメータによって計測された信号(速度信号とトルク信号)と予め設定した定数等を用いて、評価値演算部23において駆動力、仕事率の目標値と実測値を演算する。求められた目標値と実測値とを負荷評価部24に入力し、この評価部おいて1次回帰処理を行うと共に、目標値と実測値との差値を求めて表示し、車両モード運転状態におけるシャシダイナモメータの負荷状態の良否評価を行う。
被試験車の走行に必要なエネルギーは、燃費や排出ガス量と密接に関連する物理量であると考えられることから、単位時間あたりのエネルギー量(仕事率)に注目し、各走行モードを運転したときの被試験車に対する仕事率からシャシダイナモメータの負荷状態がどの程度正確に働いているかを評価しようとするものである。
すなわち、各走行モード、各走行抵抗設定値及び設定慣性量に対する目標仕事量と実測した仕事量とを比較すると、どの走行モード、走行抵抗設定値及び設定慣性量においても、目標値と実測値とがほぼ一致していた場合には、シャシダイナモメータの負荷状態が全体として正確に働いていると推定される。
図2は、評価演算部23にて求めた目標駆動力と実測駆動力による1次回帰の図、図3は、目標仕事率と実測仕事率による1次回帰の図である。駆動力及び仕事率における1次回帰評価項目としては、標準偏差や相関係数、回帰直線の傾き及び回帰直線y切片等が考慮されており、例えば、相関係数と回帰直線傾きについては、試験時におけるエンジンの状態がホット状態か、コールド状態かによって区分されて図2,3上にプロットされ、回帰直線傾きと一致するか否かで負荷状態の良否が判断される。
プロットのばらつきと標準偏差で負荷状態の応答性が評価でき、回帰直線の傾斜と相関係数で性能が判断される。
【0023】
図4は、市販のソフトウェアを用いて被試験車モデルを作成し、シミュレーションによる1次回帰評価を実施して本発明の妥当性を検証した例を示したものである。図4は、車重2500kgの場合を示したもので、(a)図は電気慣性応答0.1s、(b)図は0.5s、(c)図は1s時の場合の各波形で、各図とも上段から車速、目標値と実測駆動力、及び目標値と実測駆動力との差値をそれぞれ示し、このシミュレーション結果から目標駆動力と実測駆動力、及び目標仕事率と実測仕事率とをX−Yとしてプロットしたものが図5,図6である。
図5は駆動力、図6は仕事率で、各図における(a)は電気慣性応答を0.1sとした場合、(b)図は電気応答を0.5sとした場合、(c)図は電気応答を1sとした場合をそれぞれ示し、且つ破線イ、ロは車両モード運転中にリアルタイムによる評価を可能とするために負荷評価部に表示させたバンド幅で、プロットがこのバンド幅に入っている場合は良とし、外れた場合には否とする。
すなわち、図4(a)における電気慣性応答0.1s時には、目標値−実測駆動値による差値は、最大でも500N以内にはいっているが、電気慣性応答0.5s以上では500Nを大きく超えている。破線イ、ロで示すバンド幅は、例えば500Nに相当する幅で設定される。したがって、図5、図6から明らかなように、電気慣性応答が0.1s時のプロットが最も回帰直線の傾きと一致し、且つバンド幅内に入っており、電気慣性応答時間が遅くなるほどプロットのばらつきが多くてバンド幅からはみ出た状態となっている。この結果からシャシダイナモメータの負荷要素の一つである電気慣性の応答性の確認が可能となる。
以上のように本発明によれば、駆動力、仕事率の観念を導入し、それらの1次回帰式を求めて統計的に評価を行うことで、負荷吸収機能の正確なる評価が実行できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態を示す構成図。
【図2】目標駆動力―検出駆動力による1次回帰評価図。
【図3】目標仕事率―検出仕事率による1次回帰評価図。
【図4(a)】シミュレーションによる1次回帰評価時の波形図で、電気慣性応答0.1s時
【図4(b)】シミュレーションによる1次回帰評価時の波形図で、電気慣性応答0.5s時
【図4(c)】シミュレーションによる1次回帰評価時の波形図で、電気慣性応答1s時
【図5】シミュレーション結果による目標駆動力―検出駆動力による1次回帰図で、(a)は電気慣性応答0.1s時、(b)は電気慣性応答0.5s時、(c)は電気慣性応答1s時。
【図6】シミュレーション結果による目標仕事率―検出仕事率による1次回帰図で、(a)は電気慣性応答0.1s時、(b)は電気慣性応答0.5s時、(c)は電気慣性応答1s時。
【符号の説明】
【0025】
1…ローラ
2…速度検出器
3…トルク検出器
4…走行抵抗設定部
5…機械損失設定部
6…電気慣性設定部
7…加算部
8…トルク制御部
10…評価装置
11,15…エリアジングフィルタ
12,16…A/D変換部
14…最小2乗微分演算部
17、18、21、22…乗算部
23…評価値演算部
24…負荷評価部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車の被試験等価慣性質量が設定されるシャシダイナモメータであって、このシャシダイナモメータに車両を搭載し、速度検出器とトルク検出器より検出された信号を用いてシャシダイナモメータから車両に与える負荷を評価装置を介して評価するものにおいて、
前記速度検出器とトルク検出器にて測定された速度検出信号とトルク信号をシャシダイナモメータから評価装置に直接導入し、予め設定された走行抵抗のパラメータと機械損失信号を入力し、これら走行抵抗のパラメータと機械損失信号及び前記速度検出信号を用いて車両モード運転状態における駆動力、仕事率、仕事量の何れかを評価値演算部にて演算し、求められた演算値に基づいてダイナモメータの負荷状態を評価することを特徴としたシャシダイナモメータの性能評価方法。
【請求項2】
前記評価装置に負荷評価部を設け、この負荷評価部に駆動力若しくは仕事率の目標値と実測値との差値を表示すると共に、負荷評価部に良否判定用のバンド幅を表示し、前記目標値と実測値との差値がこのバンド幅内にあるか否かをリアルタイムで評価することを特徴とした請求項1記載のシャシダイナモメータの性能評価方法。
【請求項3】
車の被試験等価慣性質量が設定されるシャシダイナモメータであって、計測のための速度検出器とトルク検出器及び走行抵抗設定部、機械損失設定部を備えたシャシダイナモメータにおいて、
前記速度検出器によって検出された信号を導入して速度検出信号Vmに変換する速度信号変換部と、この変換された速度変換信号Vmを導入して加速度信号dVm/dtに変換する最小2乗近似微分演算部と、前記トルク検出器にて検出されたトルク信号導入してローラ表面換算値FLCとするトルク信号変換部と、予め設定された値が入力される走行抵抗のパラメータと前記速度検出信号Vmを用いて目標とする走行抵抗FRL*を演算する目標走行抵抗演算部と、車両質量IW*とシャシダイナモメータの車重相当慣性力IMの信号を入力し、各信号にそれぞれ前記加速度信号dVm/dtを乗算してIW*・dVm/dt及びIM・dVm/dt信号を得る演算部と、これらFLC,dVm/dt,FRL*,IW*・dVm/dt,IM・dVm/dt及び入力される機械損失のローラ表面換算値信号FMLをそれぞれ導入して少なくとも車両の駆動力、仕事率及び仕事量の何れかの評価値を演算する評価値演算部を備えたことを特徴とするシャシダイナモメータの性能評価装置。
【請求項4】
前記評価値演算部にて演算された駆動力、仕事率及び仕事量の何れかの評価値を評価するためのシャシダイナモメータの負荷評価部を備えたことを特徴とした請求項3記載のシャシダイナモメータの負荷状態評価装置。
【請求項5】
前記負荷評価部に駆動力若しくは仕事率の目標値と実測値との差値を表示すると共に、負荷評価部に良否判定用のバンド幅を表示し、前記目標値と実測値との差値がこのバンド幅内にあるか否かをリアルタイムで評価できるよう構成したことを特徴とした請求項4記載のシャシダイナモメータの性能評価装置。
【請求項6】
前記性能評価装置は、前記シャシダイナモメータシステムとは別体で構成されることを特徴とした請求項3乃至5記載のシャシダイナモメータの性能評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図4(c)】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−90795(P2006−90795A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275292(P2004−275292)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(301028761)独立行政法人交通安全環境研究所 (55)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【出願人】(000145806)株式会社小野測器 (230)