説明

シャッター装置及び該シャッター装置におけるチェーンテンション調整方法

【課題】 チェーンの弛みを簡素な構造でもって精度よく検知する。
【解決手段】 上下方向へ開閉動作する開閉体10と、開閉体10をその上方側で巻き取ったり繰り出したりする巻取軸20と、巻取軸20を回転可能に支持する軸受ブラケット30と、巻取軸20に対しその開閉体厚さ方向側に略平行に設けられた開閉機40と、巻取軸20の端部側に設けられた従動スプロケット50と、開閉機40の出力軸40aの端部側に設けられた駆動スプロケット60と、従動スプロケット50及び駆動スプロケット60に巻かれたチェーン70とを備え、開閉体10を巻取軸20の反開閉機側に吊持するようにしたシャッター装置において、従動スプロケット50と駆動スプロケット60の間におけるチェーン70の下側部分70aの下方に、前記チェーン70の下側部分70aが所定量弛んだ際に、その弛んだ部分を感知するように感知部80を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉機の回転力をチェーンを介して巻取軸に伝達するようにしているシャッター装置及び該シャッター装置におけるチェーンテンション調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャッター装置における動力伝達用チェーンの弛み(緩み)は、歯飛びの原因となる上、放置すると、チェーン切断やスプロケットの損傷、シャッターカーテンの落下等に至るおそれがある。そこで、例えば、特許文献1に示される従来技術では、駆動スプロケットと従動スプロケットの間におけるチェーンの上方側に、該チェーンを下方向きに付勢するテンショナーを設け、該テンショナーの揺動を感知することによってチェーンの緩みを検知し、駆動源を停止するようにしている。
【0003】
ところで、前記従来技術によれば、駆動スプロケットと従動スプロケットの間におけるチェーンの上側部分は、従動スプロケットと一体的な巻取軸に吊持された開閉体の重量によって引き張られる。そのため、前記チェーンに伸びが生じたとしても、前記チェーンの上側部分は弛み難く、前記テンショナーによる感知が行われないおそれがある。また、前記従来技術では、揺動自在な前記テンショナーをチェーンに対し常時接触させる構造であるため、その接触に起因して騒音や振動等の問題を生じるおそれもある。
また、チェーンの弛みを検知した後は、その弛みを速やかに解消することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−188236号公報
【特許文献2】特開平3−68299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、チェーンの弛みを簡素な構造でもって精度よく検知すること、通常状態でチェーンとの接触による騒音や振動等を生じにくくすること、チェーンの弛みを検知した後にその弛みを速やかに解消すること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための技術的手段は、上下方向へ開閉動作する開閉体と、該開閉体をその上方側で巻き取ったり繰り出したりする巻取軸と、前記巻取軸を回転可能に支持する軸受ブラケットと、前記巻取軸に対しその開閉体厚さ方向側に略平行に設けられた開閉機と、前記巻取軸の端部側に設けられた従動スプロケットと、前記開閉機の出力軸の端部側に設けられた駆動スプロケットと、前記従動スプロケット及び前記駆動スプロケットに巻かれたチェーンとを備え、前記開閉体を前記巻取軸の反開閉機側に吊持するようにしたシャッター装置において、前記従動スプロケットと前記駆動スプロケットの間における前記チェーンの下側部分の下方に、前記チェーンの下側部分が所定量弛んだ際に、その弛んだ部分を感知するように感知部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
チェーンに伸びが生じた場合、従動スプロケットと駆動スプロケットの間におけるチェーンの上側部分は、巻取軸の反開閉機側に吊持された開閉体の重量により、引き張られた状態になる。一方、従動スプロケットと駆動スプロケットの間におけるチェーンの下側部分には、弛みを生じる。そして、この弛んだ部分は、感知部によって感知される。よって、チェーンの弛みを簡素な構造でもって精度よく感知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るシャッター装置の一例を示す要部側面図であり、(a)は通常状態を示し、(b)は弛んだチェーンを感知した状態を示す。
【図2】同シャッター装置の要部斜視図である。
【図3】本発明に係るシャッター装置の他例を示す要部側面図である。
【図4】(a)と(b)の各々にスペーサの一例を示す図である。
【図5】本発明に係るテンション調整方法の一例を示す要部平面図であり、(a)はテンション調整前の状態、(b)はテンション調整のために開閉機を動かしスペーサを挿入している状態を示す。
【図6】本発明に係るテンション調整方法の一例を示す要部平面図であり、(c)は開閉機を押し戻した状態、(d)はテンション調整を完了した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の一形態のシャッター装置では、上下方向へ開閉動作する開閉体と、該開閉体をその上方側で巻き取ったり繰り出したりする巻取軸と、前記巻取軸を回転可能に支持する軸受ブラケットと、前記巻取軸に対しその開閉体厚さ方向側に略平行に設けられた開閉機と、前記巻取軸の端部側に設けられた従動スプロケットと、前記開閉機の出力軸の端部側に設けられた駆動スプロケットと、前記従動スプロケット及び前記駆動スプロケットに巻かれたチェーンとを備え、前記開閉体を前記巻取軸の反開閉機側に吊持するようにしたシャッター装置において、前記従動スプロケットと前記駆動スプロケットの間における前記チェーンの下側部分の下方に、前記チェーンの下側部分が所定量弛んだ際に、その弛んだ部分を感知するように感知部を設けた。
【0010】
さらに、より感知精度を向上するためには、前記感知部を、前記従動スプロケットと前記駆動スプロケットの間における前記チェーンの下側部分の下方であって駆動スプロケット寄りに配置する。
【0011】
さらに、前記感知部を前記軸受ブラケットに固定する作業を容易にするためには、前記感知部を、磁石により前記軸受ブラケットに固定する。
【0012】
さらに、前記感知部の位置合わせを容易にするためには、前記軸受ブラケットには、前記感知部を取り付けるための取付案内部が設けられ、該取付案内部は、前記感知部の下端を受ける第1の受部と、前記感知部の開閉体厚さ方向の端部を受ける第2の受部とを有する。
【0013】
また、より感知性能を向上するとともに、チェーン接触による感知部の損傷を防ぐためには、前記感知部は、前記チェーンの下側部分の長手方向に沿って長尺状に設けられるとともにその端部側を前記軸受ブラケットに固定した撓み片部と、該撓み片部の撓み方向側に設けられて撓んだ際の前記撓み片部を検知するスイッチ部とを具備してなる。
【0014】
また、前記シャッター装置におけるチェーンテンション調整方法としては、前記開閉機を巻取軸側から支持する支持部材を備え、前記感知部により前記チェーンの弛みを感知した場合に、前記開閉機の反スプロケット側を前記支持部材から引き離し、前記開閉機と前記支持部材の隙間にスペーサを挿入し、前記開閉機の反スプロケット側を前記支持部材側へ押し戻すようにする。
【0015】
さらに、テンション調整作業を容易にするためには、前記開閉機が複数本の軸状部材によって前記支持部材に固定され、前記スペーサが、前記複数本の軸状部材を挿通可能な単数又は複数の切欠部を有する一体の部材とされる。
【0016】
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態における上記開閉体の厚みの方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、上記開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0017】
以下、上記形態の好ましい具体例を図面に基づいて詳細に説明する。
シャッター装置1は、図1及び図2に示すように、上下方向へ開閉動作する開閉体10と、該開閉体10の幅方向端部を囲んで上下方向へ案内するガイドレール(図示せず)と、該開閉体10をその上方側で巻き取ったり繰り出したりする巻取軸20と、前記巻取軸20を回転可能に支持する軸受ブラケット30と、前記巻取軸20に対しその開閉体厚さ方向側に略平行に設けられた開閉機40と、前記巻取軸20の端部側に設けられた従動スプロケット50と、前記開閉機40の出力軸の端部側に設けられて従動スプロケット50よりも小径の駆動スプロケット60と、前記従動スプロケット50及び前記駆動スプロケット60に巻かれたチェーン70とを備え、前記開閉体10を前記巻取軸20の反開閉機側(図1によれば右側)に吊持するようにしている。
そして、このシャッター装置1において、従動スプロケット50と駆動スプロケット60の間における前記チェーン70の下側部分70aの下方には、前記チェーン70の下側部分70aが所定量弛んだ際に、その弛んだ部分を感知するように感知部80が設けられている。
【0018】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなる所謂スラットを、開閉体開閉方向へ複数接続することで開閉体本体11を構成し、該開閉体本体11の閉鎖方向端部側(図示例によれば下端側)に、床面や地面、枠部材等の着座対象部位に当接させるための座板12を接続している。
この開閉体10の開放方向側の端部は、巻取軸20の巻取体21外周面に止着され、開閉体10の幅方向側の端部は、巻取体21の軸方向の端部から所定量突出している。
【0019】
巻取軸20は、略円筒状の巻取体21と、該巻取体21の径方向の中心側に固定されるとともに軸方向の両端側をそれぞれ軸受ブラケット30によって回転自在に支持された軸本体22とからなる。
【0020】
軸受ブラケット30は、端部側に補強のための曲げ部分を有する金属製の平板状部材であり、その中央側の貫通孔に巻取軸20の軸本体22を挿通するとともに、前記貫通孔の周囲に装着したベアリング31(図4参照)によって軸本体22を回転自在に支持する。
この軸受ブラケット30は、磁性体(例えば亜鉛鋼板や、フェライト系ステンレス、その他の磁性鋼板)によって形成される。
【0021】
この軸受ブラケット30の外側面(図1によれば手前側面)には、感知部80を取り付けるための取付案内部32が設けられる。
この取付案内部32は、軸受ブラケット30を部分的に切欠して前記外側へ折り曲げることで略L字状に形成され、感知部80の下端を受ける第1の受部32aと、同感知部80の開閉体厚さ方向の端部を受ける第2の受部32bとを有する。
【0022】
軸受ブラケット30の内側部(巻取体21側の面)には、開閉機40が設けられている。
この開閉機40は、出力軸40aを駆動回転するモータと、該モータの回転を制動するブレーキ装置とを具備する略長尺円筒状に構成され、その出力軸40a側における巻取軸20側の部分に基台40bを有し、該基台40bを、支持部材41に止着固定している。
【0023】
前記支持部材41は、軸受ブラケット30に略直立する取付面41aを有する部材であり、前記取付面41aに複数本の軸状部材42(図4参照)を挿通している。前記軸状部材42は、図示例によればボルトであり、そのネジ部分を開閉機40の基台40bに螺合するとともに、その頭部を前記支持部材41の取付面41aに係止して締め付けられている。
【0024】
また、開閉機40の基台40bと前記支持部材41の間には、チェーン70のテンション調整のために必要に応じて、スペーサ200又は200’が設けられる。
図4(a)に示すスペーサ200は、開閉機40と支持部材41との隙間に対し上方又は下方から挿入するようにしたタイプであり、軸状部材42(ボルト)を挿通可能な開口を上方又は下方(図示例によれば下方)へ向けた切欠部210を有する。
【0025】
また、図10(b)に示すスペーサ200’は、開閉機40と支持部材41との隙間に対し横方向から挿入するようにしたタイプであり、軸状部材42(ボルト)を挿通可能な開口を横方へ向けた切欠部210’を有する。後述するチェーンテンション調整方法では、このスペーサ200’を用いる。
【0026】
軸受ブラケット30の外側部(反巻取体21側の面)には、従動スプロケット50、駆動スプロケット60及びチェーン70が設けられている。
【0027】
従動スプロケット50は、軸受ブラケット30の外側(図1によれば手前側)において、軸本体22の外周に固定される。
駆動スプロケット60は、開閉機40の出力軸40aに固定される。
チェーン70は、金属製のローラーチェーンであり、駆動スプロケット60の回転力を従動スプロケット50に伝達するように、これら両スプロケットに巻かれている。
【0028】
感知部80は、アクチュエータ部が押動されることにより接点をONにする一般的なリミットスイッチ(マイクロスイッチともいう)であり、その側面部分(軸受ブラケット30との接触面)に永久磁石81を固定している。
この感知部80は、駆動スプロケット60寄りに配置される。より詳細に説明すれば、この取付案内部32は、チェーン70の下側部分70aにおける長さ方向の略中央部よりも駆動スプロケット60側において、該下側部分70aの下方側に配置される。
そして、この感知部80は、チェーン70の下側部分70aにその下方側から前記アクチュエータ部を近接させるように、軸受ブラケット30の取付案内部32により位置決めされ、前記永久磁石81によって軸受ブラケット30に吸着固定される。
【0029】
次に、上記構成のシャッター装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
上記シャッター装置1において、チェーン70が長期間の使用等に起因して延びた場合、従動スプロケット50と駆動スプロケット60の間におけるチェーン70の下側部分70aに弛みを生じる。
すなわち、従動スプロケット50には、巻取軸20の反開閉機40側に吊持された開閉体10の重量により、チェーン70の上側部分70bを引き張る方向(図1によれば時計方向)の回転力が生じる。したがって、チェーン70の上側部分70bは弛み難いが、同チェーン70の下側部分70aは弛みを生じ易い。
【0030】
また、チェーン70の下側部分70aにおいては、駆動スプロケット60寄りに偏って弛みを生じ易い傾向にある。
つまり、開閉機40によって駆動スプロケット60を開閉体巻取り方向(図1によれば反時計方向)へ回転させた場合には、その回転方向が開閉体10の重力方向に対向することから、駆動スプロケット60を開閉体繰出し方向(図1によれば時計方向)へ回転させた場合と比較し、チェーン70の下側部分70aの弛みが大きくなる。そして、この回転方向(反時計方向)において、チェーン70の下側部分70aは、従動スプロケット50側よりも駆動スプロケット60に近い位置の方が早く弛みを生じ易い傾向にある。
【0031】
そこで、本実施の形態のシャッター装置1では、感知部80を、駆動スプロケット60と従動スプロケット50の間におけるチェーン70の下側部分70aの下方であって、且つ駆動スプロケット60寄りに配置することで、チェーン70の弛みを感知する際の感知精度を良好にしている。
特に好ましくは、図1に示すように、感知部80は、軸受ブラケット30面上に投影した場合において、出力軸40a中心からの距離が、軸本体22中心と出力軸40a中心との間の距離の2分の1よりも短い距離になるように、駆動スプロケット60寄りに配置される。
更に好ましくは、感知部80は、出力軸40a中心からの距離が、軸本体22中心と出力軸40a中心との間の距離の3分の1よりも短い距離になるように、駆動スプロケット60寄りに配置される。
また、図1に示されるように、感知部80は、駆動スプロケット60外周部の下端よりも下方であって、従動スプロケット50外周部の下端よりも上方に配置されるのが好ましい。
【0032】
なお、上記実施の形態では、感知部80を常時有効にしたが、他の好ましい態様としては、駆動スプロケット60を開閉体巻取り方向(図1によれば反時計方向)へ回転させた時のみ、感知部80の出力信号を有効にし、駆動スプロケット60を開閉体繰り出し方向(図1によれば時計方向)へ回転させた時には感知部80の出力信号を無効にするようにしてもよい。
この構成によれば、上述したように、チェーン70の下側部分70aが弛み易い状態で、感知部80による感知が行われるため、より感知精度を向上することができる上、チェーン70の弛みを効果的に感知することができる。
【0033】
次に、本発明に係わるシャッター装置の他例について説明する。なお、以下に示すシャッター装置は、上述したシャッター装置1の一部分を変更したものであるため、主にその変更部分についてのみ詳細に説明し、上述したシャッター装置1と略同様の構成については、シャッター装置1と同一の符号を用いるとともに、重複する詳細説明を省略する。
【0034】
図3に示すシャッター装置2は、上述した感知部80を、感知部90に置換したものである。
感知部90は、チェーン70の下側部分70aの長手方向に沿って長尺状に設けられるとともにその端部側を前記軸受ブラケットに固定した撓み片部91と、該撓み片部91の撓み方向側に設けられて撓んだ際の前記撓み片部91を検知するスイッチ部92とを具備してなる。
【0035】
撓み片部91は、バネ材等の弾性的に撓むことが可能な長尺板状の部材であり、チェーン70における下側部分70aの下面に近接して、該下側部分70aの長手方向に沿って配設され、その先端側に下方向きの曲げ部分91a(図3の一例によれば略へ字状の部分)を有し、その基端側部分を軸受ブラケット30に止着している。前記曲げ部分91aは、チェーン70の下側部分70aが撓み片部91先端に引っ掛かり、撓み片部91が変形や破損等するのを防ぐものである。
【0036】
スイッチ部92は、感知部80と略同様のリミットスイッチであり、撓み片部91の下方側に配置されて、上述した取付案内部32により位置決めされ、軸受ブラケット30側の面に設けられる永久磁石(図示せず)の磁力によって軸受ブラケット30に吸着固定される。
【0037】
上記構成のシャッター装置2によれば、従動スプロケット50と駆動スプロケット60の間においてチェーン70の下側部分70aが弛むと、その弛んだ部分が撓み片部91に当接し、撓み片部91の先端側が下方へ撓む。したがって、撓んだ撓み片部91がスイッチ部92に当接し、スイッチ部92が作動して感知信号を出力する。
【0038】
このシャッター装置2によれば、撓み片部91をチェーン70における下側部分70aの長手方向へわたって長尺状に配置しているため、チェーン70の下側部分70aが長手方向の何れの部分で弛んだ場合にも、その弛みを感知することができる。
また、弛んだ際のチェーン70がスイッチ部92に直接当接しないようにしているため、スイッチ部92の損傷等を防ぐことができる。
【0039】
次に、前記感知部80(又は90)によりチェーン70の弛みを感知した場合に行う、チェーンテンション調整方法について説明する。
【0040】
感知部80の感知信号によるシャッター装置1の停止や警報等に基づき、チェーン70のテンション調整を行う場合、先ず、開閉機40の基台40bを支持部材41の取付面41aに止着している複数の軸状部材42(ボルト)が緩められる。
【0041】
次の工程では、開閉機40における反スプロケット側(図5によれば左側)へ延設された部分を支持部材41から引き離す。この際、基台40bのスプロケット側(図5によれば右端側)を支点とした梃子の原理により、開閉機40を容易に動かすことができる(図5(b)参照)。
【0042】
そして、次の工程では、前記工程で検知されたチェーン70の弛みに応じて、開閉機40の基台40bと支持部材41との間に、その側方側からスペーサ200’が挿入される(図5(b)参照)。
【0043】
この際、必要に応じてスペーサ200’の厚み又は枚数を変更する。
すなわち、チェーン70の弛みが比較的小さい場合には、比較的薄いスペーサ200’を用いるか、スペーサ200’の枚数を比較的少なくする。
また、チェーン70の弛みが比較的大きい場合には、比較的厚いスペーサ200’を用いるか、スペーサ200’の枚数を比較的多くする。
【0044】
次の工程では、開閉機40の反スプロケット側を支持部材41側へ押し戻す(図6(c)参照)。この際、上記した梃子の原理により、開閉機40を容易に動かすことができる。
【0045】
そして、前記のようにして開閉機40の反スプロケット側を支持部材41側へ押し戻しながら、あるいは押し戻した後に、スペーサ200’を、その左右端部が、基台40bの左右端部と略一致する定位置となるまで押し込む(図6(d)参照)。
【0046】
そして、次の工程として、緩めていた複数の軸状部材42(ボルト)を全て締め付ける。
【0047】
よって、上記方法によれば、チェーン70の弛みの検知を感知部90によって個人差なく簡単に行える上、チェーン70の弛みを検知した後にその弛みを速やかに解消することができる。
【0048】
なお、上記実施の形態によれば、感知部80を該感知部80に設けられた永久磁石81の磁力によって軸受ブラケット30に吸着固定したが、他例としては、軸受ブラケット30側に磁石を設けるとともに感知部80には磁性体を設け、これら磁石と磁性体の吸引力によって感知部80を軸受ブラケット30に吸着固定するようにしてもよい。さらに他例としては、感知部80を両面テープや接着剤、ネジ等により軸受ブラケット30に固定することも可能である。
【0049】
また、上記感知部80は、弛んだ際のチェーン70を接触感知する構成としたが、この感知部の他例としては、弛んだ際のチェーン70を非接触感知する構成(具他的には、光電管スイッチや、近接スイッチ等)とすることも可能である。
同様に、上記感知部90は、撓んだ際の撓み片部91を接触感知する構成としたが、この感知部の他例としては、撓んだ際の撓み片部91を非接触感知する構成(具他的には、光電管スイッチや、近接スイッチ等)とすることも可能である。
【0050】
また、上記チェーン70は、上記実施の形態によれば、金属製のローラーチェーンとしているが、ゴム製チェーンやその他の材質のチェーン、あるいはベルト等とすることも可能である。
【0051】
また、上記実施の形態において、開閉体10は複数のスラットを連接してなる態様としたが、開閉体の他例としては、シート状部材、ネット状部材、パイプ、あるいはパネルを開閉方向へ連設してなる態様等、さらには、これらシート状部材、ネット状部材、スラット、パイプ、パネル等を適宜に組み合わせてなる態様等とすることも可能である。
【符号の説明】
【0052】
1,2:シャッター装置 10:開閉体
20:巻取軸 30:軸受ブラケット
32:取付案内部 32a:第1の受部
32b:第2の受部 40:開閉機
50:従動スプロケット 60:駆動スプロケット
70:チェーン 70a:下側部分
80:感知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向へ開閉動作する開閉体と、該開閉体をその上方側で巻き取ったり繰り出したりする巻取軸と、前記巻取軸を回転可能に支持する軸受ブラケットと、前記巻取軸に対しその開閉体厚さ方向側に略平行に設けられた開閉機と、前記巻取軸の端部側に設けられた従動スプロケットと、前記開閉機の出力軸の端部側に設けられた駆動スプロケットと、前記従動スプロケット及び前記駆動スプロケットに巻かれたチェーンとを備え、前記開閉体を前記巻取軸の反開閉機側に吊持するようにしたシャッター装置において、前記従動スプロケットと前記駆動スプロケットの間における前記チェーンの下側部分の下方に、前記チェーンの下側部分が所定量弛んだ際に、その弛んだ部分を感知するように感知部を設けたことを特徴とするシャッター装置。
【請求項2】
前記感知部を、前記従動スプロケットと前記駆動スプロケットの間における前記チェーンの下側部分の下方であって駆動スプロケット寄りに配置したことを特徴とする請求項1記載のシャッター装置。
【請求項3】
前記感知部を、磁石により前記軸受ブラケットに固定したことを特徴とする請求項1又は2記載のシャッター装置。
【請求項4】
前記軸受ブラケットには、前記感知部を取り付けるための取付案内部が設けられ、該取付案内部は、前記感知部の下端を受ける第1の受部と、前記感知部の開閉体厚さ方向の端部を受ける第2の受部とを有することを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載のシャッター装置。
【請求項5】
前記感知部は、前記チェーンの下側部分の長手方向に沿って長尺状に設けられるとともにその端部側を前記軸受ブラケットに固定した撓み片部と、該撓み片部の撓み方向側に設けられて撓んだ際の前記撓み片部を検知するスイッチ部とを具備してなることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載のシャッター装置。
【請求項6】
前記開閉機を巻取軸側から支持する支持部材を備え、前記感知部により前記チェーンの弛みを感知した場合に、前記開閉機の反スプロケット側を前記支持部材から引き離し、前記開閉機と前記支持部材の隙間にスペーサを挿入し、前記開閉機の反スプロケット側を前記支持部材側へ押し戻すようにしたことを特徴とする請求項5記載のシャッター装置におけるチェーンテンション調整方法。
【請求項7】
前記開閉機が複数本の軸状部材によって前記支持部材に固定され、前記スペーサが、前記複数本の軸状部材を挿通可能な単数又は複数の切欠部を有する一体の部材であることを特徴とする請求項6記載のチェーンテンション調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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