説明

シャッタ素子、これを備える撮像装置、シャッタ装置およびカメラ

【課題】 液晶を用いたシャッタと比べて、シャッタを開放した光透過時の光量損失を小さくすること。
【解決手段】 一対のガラス基板11,19にそれぞれ透明電極12,18を設け、透明電極12上に透明な絶縁層13を設け、絶縁層13の表面に親油性処理層14と撥水性処理層15を並置して成る遮光調節層100を設ける。遮光調節層100上には遮光性油膜16を形成し、遮光性油膜16と透明電極18との間隙に電解液17を充填する。このような構成のシャッタ素子10の透明電極12,18間に電圧を印加すると、遮光調節層100の作用により遮光性油膜16の厚さ分布が変り、遮光性油膜16の厚さがほぼ零の部分領域を入射光が透過する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタ素子およびこのシャッタ素子を備えるカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラのシャッタには、遮光部材を機械式で作動させる機械式シャッタや液晶の遮光性を利用する液晶シャッタなどがある。液晶シャッタは、液晶セルを偏光方向が直交する2枚の偏光フィルタで挟んだ構造であり、液晶分子の配向方向を電界で制御することにより遮光と透過の動作を行うものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−212639号公報(第2頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の液晶シャッタは、偏光フィルタを用いるので、光透過時に光量損失が生じるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明のシャッタ素子は、第1の透明電極が形成された第1の透明基板と、第1の透明電極を覆って形成された絶縁層と、絶縁層の表面に、撥水性処理層と親油性処理層とを並置して形成された遮光調節層と、遮光調節層の表面に形成された遮光性の油膜と、第2の透明電極が形成された第2の透明基板と、油膜と第2の透明電極が対向配置されて形成される間隙に充填された電解液とを有することを特徴とする。
【0006】
(2)請求項2に係る発明のシャッタ素子は、請求項1のシャッタ素子において、遮光調節層は、撥水性処理層と親油性処理層とを所定のピッチで縞状に配列して形成することが好ましい。
請求項3に係る発明の撮像装置は、請求項2のシャッタ素子と、第1または第2の透明基板に近接して対向配置され、2次元配列された画素を有する撮像素子とを備え、縞状の撥水性処理層の配列方向のピッチと寸法は、撮像素子の配列方向の画素のピッチと寸法に応じた値であることが好ましい。
請求項4に係る発明の撮像装置は、請求項2のシャッタ素子と、第1または第2の透明基板に近接して対向配置され、2次元配列された画素を有する撮像素子とを備え、縞状の撥水性処理層の配列方向のピッチは、撮像素子の配列方向の画素のピッチと、撥水性処理層に入射する光の入射角とに応じて設定され、縞状の撥水性処理層の配列方向の寸法は、撮像素子の配列方向の画素の寸法と、撥水性処理層に入射する光の入射角とに応じて設定されてもよい。
【0007】
(3)請求項5に係る発明のシャッタ素子は、請求項1のシャッタ素子において、遮光調節層は、撥水性処理層と親油性処理層とを所定のピッチで格子状に配列して形成することが好ましい。
請求項6に係る発明の撮像装置は、請求項5のシャッタ素子と、第1または第2の透明基板に近接して対向配置され、2次元配列された画素を有する撮像素子とを備え、格子状の撥水性処理層の第1の配列方向のピッチと寸法は、撮像素子の第1の配列方向の画素のピッチと寸法に応じた値であり、格子状の撥水性処理層の第1の配列方向と直交する第2の配列方向のピッチと寸法は、撮像素子の第2の配列方向の画素のピッチと寸法に応じた値であることが好ましい。
請求項7に係る発明の撮像装置は、請求項5のシャッタ素子と、第1または第2の透明基板に近接して対向配置され、2次元配列された画素を有する撮像素子とを備え、格子状の撥水性処理層の第1の配列方向のピッチは、撮像素子の第1の配列方向の画素のピッチと、撥水性処理層に入射する光の入射角とに応じて設定され、格子状の撥水性処理層の第1の配列方向の寸法は、撮像素子の第1の配列方向の画素の寸法と、撥水性処理層に入射する光の入射角とに応じて設定され、格子状の撥水性処理層の第1の配列方向と直交する第2の配列方向のピッチは、撮像素子の第2の配列方向の画素のピッチと、撥水性処理層に入射する光の入射角とに応じて設定され、格子状の撥水性処理層の第2の配列方向の寸法は、撮像素子の第2の配列方向の画素の寸法と、撥水性処理層に入射する光の入射角とに応じて設定されてもよい。
【0008】
(4)請求項8に係る発明のシャッタ装置は、請求項1、2または5のシャッタ素子と、シャッタ素子を駆動制御する駆動制御手段とを備えることを特徴とする。
請求項9に係る発明のカメラは、被写体光を入射させ、被写体像を形成する撮像レンズと、請求項3,4,6または7の撮像装置とを備え、シャッタ素子により被写体光を選択的に撮像素子に結像させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシャッタ素子によれば、偏光フィルタが不要となり、液晶を用いたシャッタに比べて光量損失を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態によるシャッタ素子およびこれを備えるカメラについて、図1〜7を参照しながら説明する。
〈第1の実施の形態〉
図1は、本発明の第1の実施の形態によるシャッタ素子が搭載される一眼レフカメラの構成を模式的に示す構成図である。一眼レフカメラ1は、交換レンズをカメラボディに装着するためのレンズマウント2と、クイックリターンミラー3と、ペンタプリズム4と、接眼レンズ5と、光学ローパスフィルタ6と、シャッタ素子10と、ドライバ20と、撮像素子7とを備える。ドライバ20は、シャッタ素子10へ電力を供給する電源回路20aと、この電源回路20aの電力供給動作を制御する制御回路20bとを有する。シャッタ素子10は、光学ローパスフィルタ6と撮像素子7との間に配置され、撮像素子7に近接または接触している。少なくともシャッタ素子10と撮像素子7とから撮像装置が構成され、少なくともシャッタ素子10とドライバ20とからシャッタ装置が構成される。
【0011】
被写体から発せられた被写体光L1は、不図示の交換レンズを介してクイックリターンミラー3へ入射する。クイックリターンミラー3で上方に反射された被写体光L1は、ペンタプリズム4で反射され、接眼レンズ5により被写体像として観察される。
【0012】
また、レリーズ操作によりクイックリターンミラー3が上方に跳ね上げられると、不図示の交換レンズを通った被写体光L1は、そのまま直進し、光学ローパスフィルタ6を透過してシャッタ素子10へ入射する。レリーズ操作をすると、ドライバ20により、シャッタ素子10が光を透過する状態に制御されるので、被写体光L1は、撮像素子7の撮像面に結像する。
【0013】
次に、図2および図3を参照して、本実施の形態のシャッタ素子10について詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態によるシャッタ素子10の構造を模式的に示す断面図である。図3は、図2のI−Iから見た断面を模式的に示す図である。ガラス基板11,19には、それぞれ透明電極12,18が設けられ、一対のガラス基板11,19は、透明電極12,18が対向するように平行配置されている。一対のガラス基板11,19は、封止部材10aの厚さにより所定間隔に保持され、この封止部材10aにより、後述する液状の遮光性油膜16と電解液17が外部に漏洩することを阻止している。透明電極12,18は、例えばITO(Indium-Tin Oxide)膜で形成される。
【0014】
ガラス基板11の透明電極12が設けられた表面は、透明な絶縁層13により全面が覆われ、絶縁層13の表面には、親油性処理層14と撥水性処理層15を並置して成る遮光調節層100が形成されている。親油性処理層14と撥水性処理層15は、図3(a)に示されるように、y方向に延在するストライプとして交互に配設されている。親油性処理層14は、無極性で油との親和性が強く、例えば、油脂、鉱油等の脂肪族、芳香族炭化水素が用いられる。撥水性処理層15は、表面張力が小さいため水との界面張力が大きく、例えば、パラフィン、ワックス等の炭化水素誘導体、脂肪酸誘導体、フルオロカーボン誘導体が用いられる。
【0015】
遮光調節層100の表面には遮光性油膜16が形成されている。遮光性油膜16は、例えば常温で液状の油脂であり、親油性処理層14とは相溶性に富むが、撥水性処理層15とは濡れ性が低い。遮光性油膜16と透明電極18との間隙には、電解液17が充填されている。遮光性油膜16と電解液17とは相溶しないので、その界面は、明瞭な境界面を形成する。
【0016】
なお、図3(a)のように、撥水性処理層15をストライプ状に配設するのに代えて、図3(b)のように、撥水性処理層15を格子状に配設してもよい。図3(b)では、遮光調節層100の撥水性処理層15以外の領域には親油性処理層14が設けられている。図3(a)と図3(b)では、撥水性処理層15のパターン形状が異なるだけで、シャッタ素子10における他の構成は同じである。
【0017】
図4は、本発明の実施の形態によるシャッタ素子10の作用を説明するための部分断面図であり、図4(a)は、電圧無印加時の状態を示す部分断面図、図4(b)は、電圧印加時の状態を示す部分断面図である。図4(a),(b)に示されるように、透明電極12は、電源回路20aのプラス側に、透明電極18は、電源回路20aのマイナス側に接続されている。
【0018】
図4(a)に示されるように、電圧無印加時では、遮光性油膜16と電解液17との界面Fは、平坦になっており、遮光性油膜16の厚さは、親油性処理層14との接触部分でも撥水性処理層15との接触部分でも同じであり、均一分布となっている。一方、図4(b)の電圧印加時では、遮光性油膜16は、親油性処理層14との接触部分で厚く分布し、撥水性処理層15との接触部分ではほとんど存在せず、厚さはほぼ零である。これは、透明電極12に移動したプラス電荷と、透明電極18から注入されて電解液17を経て界面Fまで到達したマイナス電荷とが電気的に引き合い、その力により液状の遮光性油膜16を親油性処理層14へ集中させるために生じたものである。界面Fが彎曲面となるのは、主として、遮光性油膜16および電解液17の粘性や表面張力によるものである。この彎曲面形状は、紙面に垂直ないずれの断面でも同様であり、遮光性油膜16の厚さがほぼ零である部分領域のみが光を透過する。なお、図3(b)のような格子状パターンの場合は、遮光性油膜16は、撥水性処理層15との接触部分だけが凹んだシート状となる。
【0019】
上述したような構成、作用を有するシャッタ素子10をカメラに組み込んだ場合のシャッタ機能について説明する。
図5は、本発明の実施の形態によるシャッタ素子10と撮像素子7の配置を模式的に示す断面図であり、図5(a)は、電圧無印加時の状態を示す断面図であり、図5(b)は、電圧印加時の状態を示す断面図である。シャッタ素子10のガラス基板11が撮像素子7の撮像面に対向するように配置され、被写体光L1は、図中、左から右へ進む。電源回路20aは図示を省略するが、レリーズ操作時に、設定されたシャッタスピードに応じた時間だけ電源回路20aから透明電極12,18へ直流電圧が印加される。
【0020】
ここで、図6を参照して撮像素子7の平面構造を説明する。図6は、撮像素子7の構造を模式的に示す平面図である。撮像素子7は、公知のインターライン型CCDと呼ばれる光電変換デバイスであり、画素と呼ばれる受光部7a、垂直転送部7bおよび水平転送部7cから成る。受光部7aは、格子状に多数配列され、照射された光の強弱に応じた信号電荷を生成し、その信号電荷は、先ず垂直転送部7bへ移行し、順次、水平転送部7cへ移行して信号電圧として外部に出力される。受光部7a以外は、光が入らないように、アルミニウム膜などで遮光されている。
【0021】
図5(a)に示されるように、電圧無印加状態では、遮光性油膜16がシャッタ素子10の板面方向(x−y方向)に均一厚さで分布しているため、平行光束の被写体光L1は、ガラス基板19、透明電極18および電解液17を透過するが、遮光性油膜16により遮蔽される。つまり、シャッタが閉じた状態である。
【0022】
一方、図5(b)に示される電圧印加状態では、遮光性油膜16の厚さ分布が不均一になり、遮光性油膜16がほとんど存在しない部分領域Aが生じる。この部分領域Aは、上述したように、遮光性油膜16が撥水性処理層15と接触していた領域であり、撥水性処理層15の分布にしたがって板面方向(x−y方向)に分布している。平行光束の被写体光L1がシャッタ素子10に入射すると、被写体光L1は、部分領域Aを透過した後、絶縁層13、撥水性処理層15、透明電極12およびガラス基板11を順次透過して撮像素子7の撮像面に到達する。つまり、シャッタが開いた状態である。部分領域A以外は、遮光性油膜16が厚く存在しているので被写体光L1は透過しない。
【0023】
被写体光L1が平行光束の場合は、図5(b)に示される断面では、部分領域Aのx方向の位置と長さを撮像素子7の受光部7aのx方向の位置と入射開口の長さにそれぞれ等しくなるように設定する。すなわち、部分領域Aのx方向の配列ピッチdと長さaを受光部7aの配列ピッチpと寸法(開口径)sにそれぞれ等しく設定しているので、x方向では、被写体光L1を受光部7a以外の場所へ導くことなく受光部7aへ入射させることができ、その結果、適正な画像を取得できる。なお、本実施の形態では、部分領域Aのx方向について説明したが、y方向については、部分領域Aを透過した被写体光L1の光束断面の長手方向、すなわち、撮像素子7の画素が連なっている方向であるから、上記のような1画素毎の設定は不要である。また、図3(b)のように、撥水性処理層15が格子状パターンである場合は、y方向についてもx方向と同様に設定すれば、x方向、y方向ともに被写体光L1を受光部7a以外の場所へ導くことなく受光部7aへ入射させることができるので、シャッタ素子10を通過した被写体光L1をすべて受光部7aへ入射させることができる。
【0024】
本実施の形態のシャッタ素子10によれば、液晶シャッタでは必要とされる偏光フィルタは不要であるので、光透過時の光量損失を小さく抑えることができる。また、シャッタ素子10には、偏光フィルタは不要であるので、入射光が偏光光であっても通常光であっても、そのための部品を付加することなく対応できる。さらに、シャッタ素子10は、液晶シャッタと比べて、遮光性油膜16、電解液17という安価な材料を使用するので、素子全体の製造コストを低く抑えることができる。
【0025】
〈第2の実施の形態〉
図7は、本発明の第2実施の形態によるシャッタ素子10Aと撮像素子7の配置を模式的に示す断面図である。図7は、電圧印加状態において、被写体光L1が拡がり角をもってシャッタ素子10Aに入射する場合を示す。被写体光L1は、光軸AX上ではシャッタ素子10Aおよび撮像素子7に入射角0°で垂直入射するが、光軸AXから離れるに連れて入射角が大きくなり、斜めに入射する度合いが大きくなる。
【0026】
本実施の形態のシャッタ素子10Aは、第1の実施の形態のシャッタ素子10と比較して、撥水性処理層15の分布状態、換言すれば部分領域Aの位置や寸法が異なるだけで、これ以外の構成は同じである。従って、シャッタ素子10と同じ構成部品、領域などには同一符号を付し、異なる点のみを説明する。
【0027】
図7に示される断面では、光軸AXを原点とすると、光軸AXから周辺(+x方向および−x方向)に向かって部分領域Aの配列ピッチをd1〜d4、長さをa0〜a4とする。一方、撮像素子7では、いずれの受光部7aでも配列ピッチpと寸法sは同一である。
【0028】
本実施の形態のシャッタ素子10Aでは、部分領域Aの配列ピッチd1〜d4を受光部7aの配列ピッチpと同じには設定しない。部分領域Aの配列ピッチd1〜d4はいずれも、受光部7aの配列ピッチpに対して一定であるので、d1=d2=d3=d4となる。これを配列ピッチd´と置き換え、d´=d1=d2=d3=d4とすると、配列ピッチd´は、d´=α×pで表される。比例係数αは、1以下の数値であり、被写体光L1の各受光部7aに対する光の入射角に応じて設定する。
【0029】
また、部分領域Aの長さa0〜a4については、光軸AX上ではa0=sとすればよいが、光軸AXから離れた部分領域Aの長さa1〜a4は、受光部7aの寸法sと同じには設定しない。光軸AXからの距離に比例して被写体光L1の入射角は大きくなるので、受光部7aの光量損失を避けるために、部分領域Aの長さa1〜a4を被写体光L1の各受光部7aに対する光の入射角に応じて設定する。
【0030】
上述したように部分領域Aの配列ピッチd1〜d4および長さa0〜a4を設定することにより、部分領域Aによって被写体光L1がけられることなく撮像素子7の受光部7aへ入射させることができ、光量損失がなくなる。その結果、適正な画像を取得できる。なお、光学ローパスフィルタ6は、シャッタ素子10Aの前方(撮像レンズ側)に配置されている。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態のシャッタ素子10Aによれば、第1の実施の形態のシャッタ素子10と同様の作用効果を奏する。
なお、第1及び第2の実施の形態では、シャッタ素子10,10Aのガラス基板11が撮像素子7の撮像面に対向するように配置されているが、ガラス基板19が撮像素子7の撮像面に対向するように配置されていてもよい。この場合でも、第1及び第2の実施の形態のシャッタ素子10,10Aと同様の作用効果を奏する。本発明は、その特徴を損なわない限り、以上説明した実施の形態に何ら限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシャッタ素子が搭載される一眼レフカメラの構成を模式的に示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るシャッタ素子10の構造を模式的に示す断面図である。
【図3】図2のI−Iから見た断面を模式的に示す図であり、図3(a)は、撥水性処理層15がストライプ状に配設されている図であり、図3(b)は、撥水性処理層15が格子状に配設されている図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るシャッタ素子10の作用を説明するための部分断面図であり、図4(a)は、電圧無印加時の状態を示す部分断面図、図4(b)は、電圧印加時の状態を示す部分断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るシャッタ素子10と撮像素子7の配置を模式的に示す断面図であり、図5(a)は、電圧無印加時の状態を示す断面図であり、図5(b)は、電圧印加時の状態を示す断面図である。
【図6】撮像素子7の構造を模式的に示す平面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るシャッタ素子10Aと撮像素子7の配置を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1:一眼レフカメラ
6:光学ローパスフィルタ
7:撮像素子
7a:受光部
10,10A:シャッタ素子
10a:封止部材
11,19:ガラス基板
12,18:透明電極
13:絶縁層
14:親油性処理層
15:撥水性処理層
16:遮光性油膜
17:電解液
20:ドライバ
20a:電源回路
20b:制御回路
100:遮光調節層
A:部分領域
L1:被写体光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の透明電極が形成された第1の透明基板と、
前記第1の透明電極を覆って形成された絶縁層と、
前記絶縁層の表面に、撥水性処理層と親油性処理層とを並置して形成された遮光調節層と、
前記遮光調節層の表面に形成された遮光性の油膜と、
第2の透明電極が形成された第2の透明基板と、
前記油膜と前記第2の透明電極が対向配置されて形成される間隙に充填された電解液とを有することを特徴とするシャッタ素子。
【請求項2】
請求項1に記載のシャッタ素子において、
前記遮光調節層は、撥水性処理層と親油性処理層とを所定のピッチで縞状に配列して形成したことを特徴とするシャッタ素子。
【請求項3】
請求項2に記載のシャッタ素子と、
前記第1または第2の透明基板に近接して対向配置され、2次元配列された画素を有する撮像素子とを備え、
前記縞状の撥水性処理層の配列方向のピッチと寸法は、前記撮像素子の前記配列方向の画素のピッチと寸法に応じた値であることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項2に記載のシャッタ素子と、
前記第1または第2の透明基板に近接して対向配置され、2次元配列された画素を有する撮像素子とを備え、
前記縞状の撥水性処理層の配列方向のピッチは、前記撮像素子の前記配列方向の画素のピッチと、前記撥水性処理層に入射する光の入射角とに応じて設定され、
前記縞状の撥水性処理層の配列方向の寸法は、前記撮像素子の前記配列方向の画素の寸法と、前記撥水性処理層に入射する光の入射角とに応じて設定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載のシャッタ素子において、
前記遮光調節層は、撥水性処理層と親油性処理層とを所定のピッチで格子状に配列して形成したことを特徴とするシャッタ素子。
【請求項6】
請求項5に記載のシャッタ素子と、
前記第1または第2の透明基板に近接して対向配置され、2次元配列された画素を有する撮像素子とを備え、
前記格子状の撥水性処理層の第1の配列方向のピッチと寸法は、前記撮像素子の前記第1の配列方向の画素のピッチと寸法に応じた値であり、
前記格子状の撥水性処理層の第1の配列方向と直交する第2の配列方向のピッチと寸法は、前記撮像素子の前記第2の配列方向の画素のピッチと寸法に応じた値であることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項5に記載のシャッタ素子と、
前記第1または第2の透明基板に近接して対向配置され、2次元配列された画素を有する撮像素子とを備え、
前記格子状の撥水性処理層の第1の配列方向のピッチは、前記撮像素子の前記第1の配列方向の画素のピッチと、前記撥水性処理層に入射する光の入射角とに応じて設定され、
前記格子状の撥水性処理層の第1の配列方向の寸法は、前記撮像素子の前記第1の配列方向の画素の寸法と、前記撥水性処理層に入射する光の入射角とに応じて設定され、
前記格子状の撥水性処理層の第1の配列方向と直交する第2の配列方向のピッチは、前記撮像素子の前記第2の配列方向の画素のピッチと、前記撥水性処理層に入射する光の入射角とに応じて設定され、
前記格子状の撥水性処理層の第2の配列方向の寸法は、前記撮像素子の前記第2の配列方向の画素の寸法と、前記撥水性処理層に入射する光の入射角とに応じて設定されることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1、2または5に記載のシャッタ素子と、
前記シャッタ素子を駆動制御する駆動制御手段とを備えることを特徴とするシャッタ装置。
【請求項9】
被写体光を入射させ、被写体像を形成する撮像レンズと、
請求項3,4,6または7に記載の撮像装置とを備え、
前記シャッタ素子により前記被写体光を選択的に前記撮像素子に結像させることを特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−106397(P2006−106397A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−293593(P2004−293593)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】