説明

シャフトフィーダ

【課題】小規模で操作方法が簡明なシャフトフィーダを提供する。
【解決手段】垂直方向に可動に支持された板状体であってその上端がシャフトの送給先側が低く傾斜した可動保持面である突上手段と、突上手段を垂直方向に往復動する駆動手段と、突上手段に沿って設けられた板状体であってその上端がシャフトの送給先側が低く傾斜した固定保持面である保持手段と、シャフトを貯留し可動保持面に供給する貯留手段と、固定保持面に送給されたシャフトを排出位置に保持する排出手段とを備え、突上手段の垂直方向の往復動における上死点付近において可動保持面と固定保持面とが同一平面となったときに、可動保持面が保持するシャフトが固定保持面に転がって送給され保持されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパーツフィーダの技術分野に属する。特に、軸長が10cm程度にもなるインクリボンカセットに使用されるシャフトのような、寸法が比較的大きく軸形状または棒形状を有するパーツを、貯蔵する低い位置から受渡しする高い位置に、一本づつに分離して突上げて送給し、定位置に位置決めするためのシャフトフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
円筒状の容器(ボウル)を振動することでシャフトのようなパーツを供給及び整列させるボウルフィーダタイプのパーツフィーダが知られている(特許文献1)。しかし、そのパーツの寸法が大きい場合には、容器(ボウル)の寸法を大きくする必要があるためにパーツフィーダそのものが巨大な装置となる。そのため、必要な設置スペースを確保することが困難であるという問題があった。
また、パーツを突上げる昇降板とパーツを整列させる整列レールとを備えるパーツフィーダが知られている(特許文献2)。しかし、その昇降板の機能としては、パーツのフィードおよびブリッジ崩しに重点を置いたものである。その昇降板により、パーツを確実にフィードすることはできるものの、供給されるパーツの本数を制御することまでは不可能である。パーツの本数および位置決めのためには、昇降板によるフィード後に、別途、他動力を付加させることが必要であるという問題がある。
【0003】
また、ネジ・ボルトのような有頭形状のパーツを供給する多段式突上げ式のパーツフィーダ装置(特許文献3、特許文献4)が知られている。これらの装置においては、パーツを1本ずつ供給することが可能である。しかしながら、前記装置(特許文献2)と同様であって、供給後のパーツが定位置に位置決めされるように供給する機能を有していない。すなわち、現状においては、供給後にパーツを位置決めするためには、整列レール等を別途設けることが必要である。したがって、装置の規模(大きさ)、動力源の数、装置の価格、装置に消費されるエネルギーの面からも多くの問題を含んでいた。
また、従来のパーツフィーダのほとんどが、自動化ラインの組立工程への部材供給を目的として開発されたもので、装置の操作方法が複雑なものも多く、工場の作業者が操作するためには、一定の知識を取得する必要があった。このため、近年の組立工程において主流となっているセル生産システム(一人または少人数の作業者が一つの製品を最初から最後まで作り上げる自己完結性の高い生産方式)のように人と機械が共存した自働化ラインへの融合を目的に開発されたものは存在しない。
【特許文献1】実開昭60−110317
【特許文献2】特開2002−302237
【特許文献3】特開平11−59869
【特許文献4】特開昭61−166418
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、小規模の装置であって設置スペースを容易に確保でき、供給するパーツの本数と定位置への位置決めを1つの機構で制御でき、装置の操作方法が簡明でセル生産システムに適するシャフトフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係るシャフトフィーダは、突上手段と、駆動手段と、保持手段と、貯留手段と、排出手段を具備するシャフトフィーダであって、 前記突上手段は垂直方向に可動に支持された板状体であって、その上端はシャフトの送給先側が低い傾斜面となっていてシャフトを保持する可動保持面であり、 駆動手段は前記突上手段を垂直方向に往復動し、 前記保持手段は前記突上手段に沿って設けられた板状体であってその上端はシャフトの送給先側が低い傾斜面となっていてシャフトを保持する固定保持面であり、 前記貯留手段は前記シャフトを貯留し前記可動保持面にシャフトを供給し、 前記排出手段は前記固定保持面に送給されたシャフトを排出位置に保持する部材であり、 前記突上手段の垂直方向の往復動における上死点付近において前記可動保持面と前記固定保持面とが同一平面となったときに、前記可動保持面が保持するシャフトが前記固定保持面に転がって送給され保持されるようにしたものである。
また、本発明の請求項2に係るシャフトフィーダは、請求項1に係るシャフトフィーダにおいて、 前記突上手段は第1突上手段と第2突上手段と第3突上手段の3つの突上手段から構成され、また前記保持手段は第1保持手段と第2保持手段と第3保持上手段の3つの保持手段から構成され、 前記第1突上手段の垂直方向の往復動における上死点付近において前記第1突上手段の可動保持面と前記第1保持手段の固定保持面とが同一平面となり、前記可動保持面が保持するシャフトが前記固定保持面に転がって送給され保持され、 前記第2突上手段の垂直方向の往復動における下死点付近において前記第2突上手段の可動保持面と前記第1保持手段の固定保持面とが同一平面となり、前記固定保持面が保持するシャフトが前記可動保持面に転がって送給され保持され、 前記第2突上手段の垂直方向の往復動における上死点付近において前記第2突上手段の可動保持面と前記第2保持手段の固定保持面とが同一平面となり、前記可動保持面が保持するシャフトが前記固定保持面に転がって送給され保持され、 前記第3突上手段の垂直方向の往復動における下死点付近において前記第3突上手段の可動保持面と前記第2保持手段の固定保持面とが同一平面となり、前記固定保持面が保持するシャフトが前記可動保持面に転がって送給され保持され、 前記第3突上手段の垂直方向の往復動における上死点付近において前記第3突上手段の可動保持面と前記第3保持手段の固定保持面とが同一平面となり、前記可動保持面が保持するシャフトが前記固定保持面に転がって送給され保持され、 前記排出手段は前記第3保持手段の固定保持面に送給されたシャフトを排出位置に保持するようにしたものである。
また、本発明の請求項3に係るシャフトフィーダは、請求項1または2に係るシャフトフィーダにおいて、 前記傾斜面である可動保持面と固定保持面における傾斜角度は垂直面に対して40度〜50度の範囲であるようにしたものである。
また、本発明の請求項4に係るシャフトフィーダは、請求項1〜3のいずれかに係るシャフトフィーダにおいて、 前記板状体である突上手段および保持手段の板厚はシャフトの直径よりも大きく、シャフトの直径の1.35倍よりも小さいことを特徴とするシャフトフィーダ。
また、本発明の請求項5に係るシャフトフィーダは、請求項1〜4のいずれかに係るシャフトフィーダにおいて、 前記貯留手段はすくなくとも前側面と、後側面と、左側面と、右側面を備え、前記前側面はすくなくともその一部が前記板状体である突上手段と保持手段の表面であり、かつ前記後側面は前記前側面の側が低い傾斜面であり、かつ前記左側面と前記右側面のいずれか一方は垂直面であり他方は前記垂直面の側が低い傾斜面となっているようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に係るシャフトフィーダによれば、垂直方向に可動に支持された板状体である突上手段の上端がシャフトを保持する可動保持面であり、その突上手段に沿って設けられた板状体である保持手段の上端がシャフトを保持する固定保持面となっている。それら可動保持面と固定保持面とは、シャフトの送給先側が低い傾斜面となっている。また、貯留手段はシャフトを貯留し、重力の作用によりシャフトが転がることで可動保持面にシャフトが供給される。また、排出手段は固定保持面に送給されたシャフトを排出位置に保持する部材である。この構成において、駆動手段により突上手段が垂直方向に往復動したときに、突上手段の垂直方向の往復動における上死点付近において可動保持面と固定保持面とが同一平面となったときに、可動保持面が保持するシャフトが固定保持面に転がって送給され、排出手段によりそのシャフトが保持される。すなわち、往復動する板状体である突上手段を基本機構としてシャフトが供給され、排出手段によりシャフトは排出位置に位置決めされる。また、可動保持面と固定保持面の寸法(板状体の厚さ)により保持するシャフトの本数を決めることが可能である。したがって、小規模の装置であって設置スペースを容易に確保でき、供給するパーツの本数と定位置への位置決めを1つの機構で制御でき、装置の操作方法が簡明でセル生産システムに適するシャフトフィーダが提供される。
また、本発明の請求項2に係るシャフトフィーダによれば、請求項1に係るシャフトフィーダにおいて、突上手段は第1突上手段と第2突上手段と第3突上手段の3つの突上手段から構成され、また保持手段は第1保持手段と第2保持手段と第3保持上手段の3つの保持手段から構成される。3枚の板状体である第1〜3突上手段板は、たとえば下側で各々が連結され垂直方向に往復動し、シャフトが3段階で段送りされることになる。まず、その往復動により貯留手段に一番近く低い位置の第1突上手段の可動保持面がブリッジ崩しの役割を果たし、シャフトの供給を確実にする。次の2段目へのシャフトの段送りは、可動保持面と固定保持面の寸法(板状体の厚さ)により、たとえば、1本のシャフトだけが供給される。極稀なケースとして、2本のシャフトが2段目へ段送りされたとしても、次の3段目へのシャフトの段送りによって、複数本の排出位置への供給を確実に回避することができる。
また、本発明の請求項3に係るシャフトフィーダによれば、請求項1または2に係るシャフトフィーダにおいて、前記傾斜面である可動保持面と固定保持面における傾斜角度は垂直面に対して40度〜50度の範囲である。この角度の範囲のときに、ブリッジ崩しの役割が効果的であり、またシャフトを確実に保持することができる。
また、本発明の請求項4に係るシャフトフィーダは、請求項1〜3のいずれかに係るシャフトフィーダにおいて、前記板状体である突上手段および保持手段の板厚はシャフトの直径よりも大きく、シャフトの直径の1.35倍よりも小さい。この板厚の範囲のときに、ブリッジ崩しの役割が効果的であり、またシャフトを確実に1本だけ保持することができる。
また、本発明の請求項5に係るシャフトフィーダによれば、請求項1〜4のいずれかに係るシャフトフィーダにおいて、前記貯留手段はすくなくとも前側面と、後側面と、左側面と、右側面を備え、前記前側面はすくなくともその一部が前記板状体である突上手段と保持手段の表面であり、かつ前記後側面は前記前側面の側が低い傾斜面であり、かつ前記左側面と前記右側面のいずれか一方は垂直面であり他方は前記垂直面の側が低い傾斜面となっている。すなわち、前面側と平行するように投入されたシャフトは重力の作用により傾斜面から力を受けるが、その方向は前側面と垂直面に向いている。したがって、突上手段の可動保持面に対してシャフトを所定の姿勢で自然と供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明のシャフトフィーダにおける構成の一例を図1〜図3に示す。図1は側面図であり、図2は部分拡大図、図3は正面図である。図1〜図3において、1a,1b,1cは可動突上板、11a,11b,11cは可動保持面、2a,2b,2cは固定保持板、21a,21b,21cは固定保持面、3はエアシリンダ、4は貯留部、5は排出部、100,100a,100b,100c,100dはシャフトである。
可動突上板1a,1b,1cは垂直方向に可動に支持された板状体であって、その上端はシャフトの送給先側が低い傾斜面となっていてシャフトを保持する可動保持面11a,11b,11cとなっている。すなわち、可動突上板1a,1b,1cは突上手段の具体例である。
なお、ここで垂直方向とは重力の作用する方向と一致する方向のことである(勿論、厳密な一致ではなくシャフトフィーダの動作において許容される程度の幅を有する)。また、傾斜面とは水平面に対して傾斜した面のことである。
図1〜図3に示す一例において、可動突上板は3つの板状体、すなわち可動突上板1aと可動突上板1bと可動突上板1cからなる3つの板状体である。3つの可動突上板1a,1b,1cは可動保持面11a,11b,11cの反対側の辺の近くにおいて一体に結合固定されている。したがって、3つの可動突上板1a,1b,1cは一体となって垂直方向に往復動する。可動突上板1aの可動保持面11aの位置に対して、可動突上板1bの可動保持面11bの位置は高い位置となっている。また、可動突上板1bの可動保持面11bの位置に対して、可動突上板1cの可動保持面11cの位置は高い位置となっている。3つの可動保持面11a,11b,11cの各位置の差異は、3つの可動突上板1a,1b,1cが垂直方向に往復動したときの振幅にほぼ等しい。
【0008】
固定保持板2a,2b,2cは可動突上板1a,1b,1cに沿って設けられた板状体であってその上端はシャフトの送給先側が低い傾斜面となっていてシャフトを保持する固定保持面21a,21b,21cとなっている。すなわち、固定保持板2a,2b,2cは保持手段の具体例である。
図1〜図3に示す一例において、固定保持板は3つの板状体、すなわち固定保持板2aと可動突上板2bと可動突上板2cからなる3つの板状体である。3つの固定保持板2a,2b,2cの各々はシャフトフィーダのフレーム等に固定されている。固定保持板2aの固定保持面21aの位置に対して、固定保持板2bの固定保持面21bの位置は高い位置となっている。また、固定保持板2bの固定保持面21bの位置に対して、固定保持板2cの固定保持面21cの位置は高い位置となっている。3つの固定保持面21a,21b,21cの各位置の差異は、3つの可動突上板1a,1b,1cが垂直方向に往復動したときの振幅にほぼ等しい。
【0009】
図1〜図3に示すように、可動突上板1a,1b,1cと固定保持板2a,2b,2cとは互い違いに重ね合わさっている。垂直方向に立てられシャフトフィーダのフレーム等に固定されている板状体の固定保持板2a,2b,2cの表面に、板状体の可動突上板1a,1b,1cの表面が接触している。その接触により可動突上板1a,1b,1cは垂直方向に可動に支持される。
【0010】
可動突上板1a,1b,1cが往復動することにより、可動保持面11a,11b,11cと固定保持面21a,21b,21cとは同一平面に含まれるときがある。図1〜図3に示す一例においては、可動突上板1a,1b,1cが往復動における上死点付近において、可動保持面11aと固定保持面21aとが、また可動保持面11bと固定保持面21bとが、また可動保持面11cと固定保持面21cとが同一平面となる。このように同一平面となることにより、可動突上板の垂直方向の往復動における上死点付近において可動保持面が保持するシャフトが固定保持面に転がって送給される。
同様に、図1〜図3に示す一例においては、可動突上板1a,1b,1cが往復動における下死点付近において、可動保持面11bと固定保持面21aとが、また可動保持面11cと固定保持面21bとが同一平面となる。このように同一平面となることにより、可動突上板の垂直方向の往復動における下死点付近において固定保持面が保持するシャフトが可動保持面に転がって送給される。
【0011】
前述において、可動保持面11a,11b,11cと固定保持面21a,21b,21cとが厳密に同一平面とならなくても、断面が円形のシャフトは重力の作用により転がることは明らかである。しかし、転がる元の傾斜面の位置に対して転がる先の傾斜面の位置が高いときには、シャフトは転がり難く、転がらないこともあり得る。その反対に、転がる元の傾斜面の位置に対して転がる先の傾斜面の位置が一致しているか低いときには、シャフトは転がり易く、確実に転がることができる。したがって、3つの可動突上板1a,1b,1cが垂直方向に往復動したときの振幅は、3つの可動保持面21a,21b,21cおよび3つの固定保持面21a,21b,21cの各位置の差異に対して若干小さくすると好適である。それにより可動突上板と固定保持板との間におけるシャフトの受け渡しを円滑かつ確実に行なうことができる。
【0012】
シャフトが転がるために傾斜面となっている可動保持面11a,11b,11cと固定保持面21a,21b,21cにおける傾斜角度は垂直面に対して40度〜50度の範囲とすると好適である。この角度の範囲のときに、ブリッジ崩しの役割が効果的であり、またシャフトを確実に保持することができる。「ブリッジ崩し」とはシャフトが積み重なっている結合状態を崩して離散状態とする意味である。
板状体である可動突上板1a,1b,1cおよび固定保持体2a,2b,2cの板厚はシャフトの直径よりも大きく、シャフトの直径の1.35倍よりも小さくすると好適である。この板厚の範囲のときに、ブリッジ崩しの役割が効果的であり、またシャフトを確実に1本だけ保持することができる。
【0013】
エアシリンダ3は可動突上板1a,1b,1cを垂直方向に往復動するためのアクチュエータである。すなわち、駆動手段の具体例である。
図1〜図3に示すように、3つの可動突上板1a,1b,1cは可動保持面11a,11b,11cの反対側の辺の近くで一体に結合固定されている。エアシリンダ3の出力軸はその結合固定されている部位の近くで可動突上板1a,1b,1cと結合している。 当然ながら、エアシリンダ3はその出力軸の移動方向が可動突上板1a,1b,1cの往復動する方向と一致し垂直方向となっている。また、可動突上板1a,1b,1cが垂直方向に往復動したときの振幅とエアシリンダ3の出力軸のストロークとは位置している。エアシリンダー3にはその動力源である高圧エア供給手段(図示せず)とその往復動のを制御する制御手段(図示せず)とが付属している。
【0014】
貯留部4はシャフト100を貯留し可動保持面にシャフト100を供給する。すなわち、貯留部4は貯留手段の具体例である。
貯留部4はシャフト100を貯留しており、そのシャフト100は重力の作用により貯留部4の側面(壁)に押付けられている。その側面の一部が可動突上板1a,1b,1cとなっている。そのため、側面(壁)に押付けられているシャフト100の一部は可動保持面11a,11b,11cに押付けられている。その状態が可動保持面にシャフト100を供給する状態である。可動保持面11a,11b,11cの中で、シャフト100が供給されるのは、主として可動保持面11aである。供給されて可動保持面11aが保持するシャフトはシャフト100a,100d(図4参照)である。しかし、貯留部4が貯留するシャフト100の量が多いときには、貯留したシャフト100は高い位置に達するため、可動保持面11b,11cにシャフト100が供給されることもあり得る。
【0015】
貯留部4は、図1〜図3に示すように、すくなくとも前側面と、後側面と、左側面と、右側面を備え、前側面はすくなくともその一部が板状体である可動突上板1aと固定保持板2aの表面である。また、後側面は前側面の側が低い傾斜面である。また、かつ左側面と右側面のいずれか一方は垂直面であり他方は垂直面の側が低い傾斜面となっている。すなわち、前面側と平行するように投入されたシャフトは重力の作用により傾斜面から力を受けるが、その方向は前側面と垂直面に向いている。したがって、突上手段の可動保持面に対してシャフトを所定の姿勢で自然と供給することができる。
【0016】
排出部5は固定保持面21a,21b,21cに送給されたシャフト(100a,100b,等)を排出位置に保持する部材である。すなわち、排出部5は排出手段の具体例である。
図1〜図3に示す一例においては、排出部5は固定保持板2cに重ね合わせた板状体である。その板状体の上端はシャフトの送給先側が高い傾斜面となっている。すなわち、固定保持板2cの固定保持面21cに対して、排出部5の上端は逆方向の傾斜面となっている。排出部5の上端の傾斜面(逆傾斜面)と固定保持面21cの傾斜面とによって断面がV字の谷部を形成し、その谷部にシャフトが保持される。そのシャフトが保持される位置がシャフトの排出位置である。排出位置に保持されたシャフトは、ロボットハンド、等によって別の場所、たとえば組立ラインにおける組立対象物に移し替えが行なわれる。
【0017】
以上、構成について説明した。次に、本発明のシャフトフィーダにおける動作について説明する。図4は本発明のシャフトフィーダにおけるシャフトを送給する動作についての説明図である。図4を参照しながら動作の順を追って説明する。
まず、図4(A)において、エアシリンダ3によって駆動された可動突上板1a,1b,1cは垂直方向に上昇を行なっている。このとき、可動保持面11aは貯留部4から供給されたシャフト100aを保持しながら上昇を行なう。
次に、図4(B)において、その上昇によって往復動の上死点付近に達すると可動保持面11aは固定保持面21aと同一平面となる。このとき、シャフト100aは転がって可動保持面11aから固定保持面21aに送給され、固定保持面21aによって保持される。
次に、図4(C)において、エアシリンダ3によって駆動された可動突上板1a,1b,1cは垂直方向に下降を行なっている。このとき、固定保持面21aは可動保持面11aから送給されたシャフト100aを保持しながら留まっている。
次に、図4(D)において、その下降によって往復動の下死点付近に達すると可動保持面11bは固定保持面21aと同一平面となる。このとき、シャフト100aは転がって固定保持面21aから可動保持面11bに送給され、可動保持面11bによって保持される。また、可動保持面11aには貯留部4からシャフト100dが供給される。
【0018】
次に、図4(A)において、エアシリンダ3によって駆動された可動突上板1a,1b,1cは垂直方向に上昇を行なっている。このとき、可動保持面11bは固定保持面21aから送給されたシャフト100b(図4(D)のシャフト100aに相当する)を保持しながら上昇を行なう。
次に、図4(B)において、その上昇によって往復動の上死点付近に達すると可動保持面11bは固定保持面21bと同一平面となる。このとき、シャフト100bは転がって可動保持面11bから固定保持面21bに送給され、固定保持面21bによって保持される。
次に、図4(C)において、エアシリンダ3によって駆動された可動突上板1a,1b,1cは垂直方向に下降を行なっている。このとき、固定保持面21bは可動保持面11bから送給されたシャフト100bを保持しながら留まっている。
次に、図4(D)において、その下降によって往復動の下死点付近に達すると可動保持面11cは固定保持面21bと同一平面となる。このとき、シャフト100bは転がって固定保持面21bから可動保持面11cに送給され、可動保持面11cによって保持される。
【0019】
次に、図4(A)において、エアシリンダ3によって駆動された可動突上板1a,1b,1cは垂直方向に上昇を行なっている。このとき、可動保持面11cは固定保持面21bから送給されたシャフト100c(図4(D)のシャフト100bに相当する)を保持しながら上昇を行なう。
次に、図4(B)において、その上昇によって往復動の上死点付近に達すると可動保持面11cは固定保持面21cと同一平面となる。このとき、シャフト100cは転がって可動保持面11cから固定保持面21cと排出部5による谷部すなわち排出位置に送給され、排出位置に保持される。この図4(B)に示すときの直後から、次の図4(B)に示すときの直前までの間に、そのシャフト100cはロボットハンド、等によって別の場所に移し替えが行なわれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のシャフトフィーダにおける構成の一例を示す図(側面図)である。
【図2】本発明のシャフトフィーダにおける構成の一例を示す図(部分拡大図)である。
【図3】本発明のシャフトフィーダにおける構成の一例を示す図(正面図)である。
【図4】本発明のシャフトフィーダにおけるシャフトを送給する動作についての説明図である
【符号の説明】
【0021】
1a,1b,1c 可動突上板
11a,11b,11c 可動保持面
2a,2b,2c 固定保持板
21a,21b,21c 固定保持面
3 エアシリンダ
4 貯留部
5 排出部
100,100a,100b,100c,100d シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
突上手段と、駆動手段と、保持手段と、貯留手段と、排出手段を具備するシャフトフィーダであって、
前記突上手段は垂直方向に可動に支持された板状体であって、その上端はシャフトの送給先側が低い傾斜面となっていてシャフトを保持する可動保持面であり、
駆動手段は前記突上手段を垂直方向に往復動し、
前記保持手段は前記突上手段に沿って設けられた板状体であってその上端はシャフトの送給先側が低い傾斜面となっていてシャフトを保持する固定保持面であり、
前記貯留手段は前記シャフトを貯留し前記可動保持面にシャフトを供給し、
前記排出手段は前記固定保持面に送給されたシャフトを排出位置に保持する部材であり、
前記突上手段の垂直方向の往復動における上死点付近において前記可動保持面と前記固定保持面とが同一平面となったときに、前記可動保持面が保持するシャフトが前記固定保持面に転がって送給され保持されることを特徴とするシャフトフィーダ。
【請求項2】
請求項1記載のシャフトフィーダにおいて、前記突上手段は第1突上手段と第2突上手段と第3突上手段の3つの突上手段から構成され、また前記保持手段は第1保持手段と第2保持手段と第3保持上手段の3つの保持手段から構成され、
前記第1突上手段の垂直方向の往復動における上死点付近において前記第1突上手段の可動保持面と前記第1保持手段の固定保持面とが同一平面となり、前記可動保持面が保持するシャフトが前記固定保持面に転がって送給され保持され、
前記第2突上手段の垂直方向の往復動における下死点付近において前記第2突上手段の可動保持面と前記第1保持手段の固定保持面とが同一平面となり、前記固定保持面が保持するシャフトが前記可動保持面に転がって送給され保持され、
前記第2突上手段の垂直方向の往復動における上死点付近において前記第2突上手段の可動保持面と前記第2保持手段の固定保持面とが同一平面となり、前記可動保持面が保持するシャフトが前記固定保持面に転がって送給され保持され、
前記第3突上手段の垂直方向の往復動における下死点付近において前記第3突上手段の可動保持面と前記第2保持手段の固定保持面とが同一平面となり、前記固定保持面が保持するシャフトが前記可動保持面に転がって送給され保持され、
前記第3突上手段の垂直方向の往復動における上死点付近において前記第3突上手段の可動保持面と前記第3保持手段の固定保持面とが同一平面となり、前記可動保持面が保持するシャフトが前記固定保持面に転がって送給され保持され、
前記排出手段は前記第3保持手段の固定保持面に送給されたシャフトを排出位置に保持することを特徴とするシャフトフィーダ。
【請求項3】
請求項1または2記載のシャフトフィーダにおいて、前記傾斜面である可動保持面と固定保持面における傾斜角度は垂直面に対して40度〜50度の範囲であることを特徴とするシャフトフィーダ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のシャフトフィーダにおいて、前記板状体である突上手段および保持手段の板厚はシャフトの直径よりも大きく、シャフトの直径の1.35倍よりも小さいことを特徴とするシャフトフィーダ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のシャフトフィーダにおいて、前記貯留手段はすくなくとも前側面と、後側面と、左側面と、右側面を備え、前記前側面はすくなくともその一部が前記板状体である突上手段と保持手段の表面であり、かつ前記後側面は前記前側面の側が低い傾斜面であり、かつ前記左側面と前記右側面のいずれか一方は垂直面であり他方は前記垂直面の側が低い傾斜面となっていることを特徴とするシャフトフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−302986(P2008−302986A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148771(P2007−148771)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】