説明

シャワーヘッドの収納構造

【課題】ケース全体の形成材料を変更することなく、ケースとシャワーヘッドのそれぞれ対向する部分の表面の傷付きを防止する。
【解決手段】吐水を行うシャワーヘッド4をシャワーヘッド収納部20を有するケース5内部に着脱自在に収納する。シャワーヘッド収納部20におけるシャワーヘッド4と対向する部分、及び、シャワーヘッド4におけるシャワーヘッド収納部20と対向する部分を、それぞれ、ケース5の形成材料よりも硬い材料で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッドの収納構造に関し、詳しくは吐水を行うシャワーヘッドと、吐水の流量と温度の調節を行う水栓本体とを、ホースを介して接続したシャワーヘッドの収納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、シャワーヘッドを出し入れ自在に収納するヘッド保持部を水平カウンターの下方に設けたシャワー装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来例では、洗顔などの作業時にシャワーヘッドが邪魔になるなど、使い勝手が悪いものである。
【0004】
他の従来例として、シャワーヘッドを洗面化粧台のバックパネルの一部に設けた取付孔の内部に取り出し自在に収納するようにしたシャワー装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
ところがこの従来例では、シャワーヘッドをバックパネルの取付孔から出し入れするたびに、バックパネルの取付孔周辺部分にシャワーヘッドが繰り返し衝突して、バックパネルの表面部分或いはシャワーヘッドの表面部分に傷が付きやすくなり、外観が損なわれるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−117476号公報
【特許文献2】特開2008−55113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、ケース全体の形成材料を変更することなく、ケースとシャワーヘッドとの対向する部分の表面の傷付きを防止できるようにしたシャワーヘッドの収納構造を提供することにあり、さらにシャワーヘッド収納部側に設けられるバンパー部材の前端縁の内反りや変形の発生を防止した状態で当該バンパー部材の外れを防止できるようにしたシャワーヘッドの収納構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、吐水を行うシャワーヘッド4をシャワーヘッド収納部20を有するケース5内部に着脱自在に収納したシャワーヘッドの収納構造であって、上記シャワーヘッド収納部20におけるシャワーヘッド4と対向する部分、及び、シャワーヘッド4におけるシャワーヘッド収納部20と対向する部分を、それぞれ、ケース5の形成材料よりも硬い材料で形成したことを特徴としている。
【0009】
このような構成とすることで、ケース5に設けたシャワーヘッド収納部20からシャワーヘッド4を出し入れする際にシャワーヘッド4とシャワーヘッド収納部20とが繰り返し衝突しても、ケース5とシャワーヘッド4との互いに対向する部分の表面の傷付きを防止できる。
【0010】
また、上記シャワーヘッド収納部20におけるシャワーヘッド4と対向する部分が、シャワーヘッド収納部20の内面に沿って嵌め込まれる前方及び下方に開口した中空形状のバンパー部材25で構成されており、バンパー部材25の前端縁25aに、ケース5の前面部5aに設けた凹溝26aに対して前方から引掛係止される引掛係止部26を設け、バンパー部材25の後端部25bに、シャワーヘッド4のホース23を案内保持するホースホルダ21に対して固定ネジ16で固定される固定ボス70を突設させてなるのが好ましく、この場合、バンパー部材25の前端縁25aがケース5の凹溝26aに引掛係止されることで、バンパー部材25の前端縁25aに内反りや変形が生じるのを防止できるようになり、一方、バンパー部材25の後端部25bをホースホルダ21を利用して固定できるので、バンパー部材25の外れを防止できる。また引掛係止部26を備えることで固定ネジ16による固定箇所を削減でき、バンパー部材25の取り付け作業がはかどる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、シャワーヘッド収納部とシャワーヘッドとの互いに対向する部分をケースの形成材料よりも硬い材料で形成したことにより、ケース全体の形成材料を変更することなく、シャワーヘッド収納部とシャワーヘッドとのそれぞれの表面の傷付きを防止できるものである。
【0012】
また本発明は、引掛係止部と固定ネジとの組み合わせにより、バンパー部材の前端縁の内反りや変形の発生を防止した状態でバンパー部材の外れを防止できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図であり、(a)はシャワーヘッドをケースのシャワーヘッド収納部に収納した状態を示し、(b)はシャワーヘッドを取り出した状態を示す図である。
【図2】同上の混合水栓を取り付けた洗面化粧台の正面図である。
【図3】同上の混合水栓を取り付けた洗面化粧台の側面図である。
【図4】(a)は同上のバンパー部材とケースの分解斜視図であり、(b)はバンパー部材の取り付け状態を説明する一部破断した斜視図である。
【図5】同上のシャワーヘッドにホースを接続した状態の断面図である。
【図6】(a)は同上のシャワーヘッドの斜視図であり、(b)はヘッド本体とヘッドカバーの分解斜視図であり、(c)はヘッド本体に対してヘッドカバーを取り付けた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0015】
本発明のシャワーヘッド4は、例えば図2、図3に示すように、洗面化粧台10に設けた混合水栓1に取り付けられている。洗面化粧台10は、前面に照明ランプ11及びミラー12を有し、内部に収納棚(図示せず)を有するミラーキャビネット13と、上面に洗面ボウル15を設けた下部キャビネット14とを備えたもので、ミラーキャビネット13の背面板18に対して、混合水栓1を収納するケース5が取り付けられている。
【0016】
上記ケース5の前面部5aは、図4に示すように、真正面向きよりも斜め上向きに傾斜しており、その中央部に人感センサーの情報に基づく自動吐水モードと操作レバー2による手動吐水モードとを切り替える切替スイッチ19が設けられている。切替スイッチ19の片側に、ケース5の下方に突出した操作レバー2の操作部2bの操作により吐水の流量と温度をそれぞれ調節する水栓カートリッジ(図示せず)が組み込まれており、反対側に、シャワーヘッド4を着脱自在に収納するシャワーヘッド収納部20が設けられている。
【0017】
ここで本発明においては、シャワーヘッド収納部20におけるシャワーヘッド4と対向する部分、及び、シャワーヘッド4におけるシャワーヘッド収納部20と対向する部分を、それぞれ、ケース5の形成材料よりも硬い材料で形成してある。
【0018】
本例では、シャワーヘッド収納部20の内面に、図4に示すようにバンパー部材25が取り付けられる。
【0019】
一方、シャワーヘッド4は、図5、図6に示すように、ヘッド本体28と、ヘッド本体28の外周を覆うヘッドカバー27とで構成されている。ヘッド本体28には、吐水口4bと、直流水とシャワー水を切替えるハンドル部4aと、ホース23との接続部とが設けられている。ヘッドカバー27は、ヘッド本体28の外周側面を覆うもので、ストップリング29を用いてヘッド本体28に係止されている。
【0020】
ここにおいて、上記バンパー部材25及び上記ヘッドカバー27は、それぞれ、ケース5の形成材料よりも硬い材料で形成されている。例えば、ケース5が軟質樹脂の成形材料の場合、バンパー部材25及びヘッドカバー27は、当該成形材料よりも硬い硬質樹脂材料或いはアルミなどの軽金属材料等で形成されている。
【0021】
上記バンパー部材25の前端縁25aには、側面断面コ字状に折り返した引掛係止部26が設けられ、この引掛係止部26がケース5の前面部5aに設けた前方に開口した凹溝26aに対して前方から引掛係止されるようになっている。
【0022】
バンパー部材25の後端部25bにはホースホルダ21が貫通する貫通孔25cが開口しており、貫通孔25cの外周側に後方に向かって固定ボス70が突設されており、固定ボス70がシャワーヘッド収納部20の後壁面20aに設けたボス挿通穴20bを貫通してホースホルダ21の外周のフランジ部21aに向けて突出している。図4に示す例では、シャワーヘッド収納部20の後壁面20aとフランジ部21aとの間にはパッキン50が介在されている。フランジ部21aの後方から固定ネジ16がフランジ部21aとパッキン50とをそれぞれ貫通して上記固定ボス70にネジ込まれることにより、バンパー部材25の後端部25bがシャワーヘッド収納部20の後壁面20aを介してホースホルダ21に固定されている。
【0023】
しかして、上記構成の洗面化粧台10のミラーキャビネット13の下端面に沿わせて取り付けられるケース5のシャワーヘッド収納部20内部にシャワーヘッド4を納まりよく収納できる。しかもシャワーヘッド収納部20からシャワーヘッド4を出し入れする際は、バンパー部材25とヘッドカバー27とが互いに衝突するが、これらはケース5の形成材料よりも硬い材料でそれぞれ形成されているので、シャワーヘッド収納部20やヘッド本体28の表面に傷が付いたり、磨耗したりすることを防止でき、良好な外観を長期にわたって維持できるものである。
【0024】
しかもバンパー部材25は下方にも開口しているため、使用後のシャワーヘッド4をバンパー部材25内部にセットしたときは、シャワーヘッド4の水滴が下方に滴下して洗面ボウル15に流れ落ちるようになる。従って、シャワーヘッド4の水滴がホース23を伝ってケース5内部や背面板18の背後に流れ落ちることがなく、ケース5内部や背面板18の背後が水滴で汚れたり、不潔になったりすることがない。
【0025】
また本例では、薄肉形状のバンパー部材25の前端縁25aに設けた引掛係止部26を、ケース5の前面部5aの凹溝26aに対して前方から引掛係止しているので、特にシャワーヘッド4が当たりやすいバンパー部材25の前端縁25aの内反りや変形の発生を防止できるものであり、一方、バンパー部材25の後端部25bをシャワーヘッド収納部20の後壁面20a(図4(b))を介してホースホルダ21に対してネジ固定しているので、バンパー部材25の外れを防止できる。また引掛係止部26を備えることで固定ネジ16による締結箇所を削減できるので、バンパー部材25の取り付け作業を簡単に行うことができる。
【0026】
さらに、ケース5及びヘッド本体28は軟質樹脂材料等で比較的安価に形成できる。そのうえ、バンパー部材25は固定ネジ16を外すだけで簡単にシャワーヘッド収納部20から取り出すことができ、ヘッドカバー27はストップリング29を取り外すだけで簡単にヘッド本体28から取り外すことができるので、バンパー部材25及びヘッドカバー27の交換やメンテナンスにもコストがかからないものである。
【0027】
さらに本例では、ミラーキャビネット13の背面板18に対してケース5を取り付けているので、既存の洗面ボウル15側に従来のようなカラン取付穴やレバー取付穴等を設ける必要がなくなる利点もある。
【符号の説明】
【0028】
4 シャワーヘッド
5 ケース
5a 前面部
16 固定ネジ
20 シャワーヘッド収納部
21 ホースホルダ
23 ホース
25 バンパー部材
25a 前端縁
25b 後端部
26 引掛係止部
26a 凹溝
70 固定ボス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水を行うシャワーヘッドをシャワーヘッド収納部を有するケース内部に着脱自在に収納したシャワーヘッドの収納構造であって、上記シャワーヘッド収納部におけるシャワーヘッドと対向する部分、及び、シャワーヘッドにおけるシャワーヘッド収納部と対向する部分を、それぞれ、上記ケースの形成材料よりも硬い材料で形成したことを特徴とするシャワーヘッドの収納構造。
【請求項2】
上記シャワーヘッド収納部におけるシャワーヘッドと対向する部分が、シャワーヘッド収納部の内面に沿って嵌め込まれる前方及び下方に開口した中空形状のバンパー部材で構成されており、バンパー部材の前端縁に上記ケースの前面部に対して前方から引掛係止される引掛係止部を設け、バンパー部材の後端部に、シャワーヘッドのホースを案内保持するホースホルダに対して固定ネジで固定される固定ボスを突設させてなることを特徴とする請求項1記載のシャワーヘッドの収納構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−270456(P2010−270456A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121257(P2009−121257)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】