説明

シャワーヘッド及びシャワー装置

【課題】各散水孔から散水される水の勢いを略均一にできると共に、不均一な水の勢いのシャワー水が注がれることにより使用者に与える不快感を低減できるシャワーヘッド及びシャワー装置を提供すること。
【解決手段】シャワーヘッド31は、散水板65の上面に階段状の内壁部110が形成されており、散水板65と蓋体66の上壁90との間の高さh1〜h5が、中央挿通部86(軸心O)から径方向外側に段々に低くなり、水の通る断面積も段々に小さくなる。よって、OHシャワー吐水部18のように下面の面積が大きな場合であっても、シャワーヘッド31の外周部近傍の流速が中央挿通部86近傍の流速に比べて極端に遅くなることを防止できるので、散水孔83から散水される水の勢いをシャワーヘッド31の下面全体として略均一にでき、不均一な水の勢いのシャワー水が注がれることにより使用者に与える不快感を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッド及びシャワー装置に関し、特に、各散水孔から散水される水の勢いを略均一にできると共に、不均一な水の勢いのシャワー水が注がれることにより使用者に与える不快感を低減できるシャワーヘッド及びシャワー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、散水板に複数の散水孔が穿設され、その複数の散水孔からシャワー水を散水するシャワーヘッドが知られている。例えば、シャワーヘッドは、散水板の下面が水平に位置した状態で、残水を効率良く排水するために、散水板の外周部から中央に向かって緩やかに突出した曲面状に形成されている(特許文献1参照)。この特許文献1のシャワーヘッドは、散水板に対向する面が凸凹状に形成されているので、散水板と対向する面との距離は、周方向および径方向ともに不均一に構成されている。
【0003】
また、シャワーヘッドの散水板を、外周部から中央に向かって階段状に突出して形成する技術も知られている(特許文献2参照)。なお、特許文献2のシャワーヘッドには、散水板に対向する面の形状についての記載および図示はされていない。
【特許文献1】実開平5−9659号公報(図4等)
【特許文献2】特開昭59−123545(図7等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
まず、浴室の上部に設置され、使用者の頭上からシャワー水を散水するオーバーヘッドシャワーの一例について説明する。オーバーヘッドシャワーは、使用者の頭上から水を勢いよく散水すると共に広範囲に散水する必要があるので、他のシャワーヘッド(例えば、使用者が手に持って自由に位置を変えることのできるハンドシャワーなど)に比べて下面の面積が大きい薄板状に形成される。そして、オーバーヘッドシャワーは、軸心を通る中央から水を内部に供給することで、中央から径方向外側に放射状に流れる水流が形成され、下面の全体から散水されるように構成されている。
【0005】
一方、特許文献1又は2のシャワーヘッドは、上述したように、外周部から中央に向かって緩やかな曲面状または階段状に突出して散水板が形成されると共に、散水板に対向する面の形状が凸凹状に形成され、散水板と対向する面との距離が周方向および径方向ともに不均一に構成されている。よって、中央から径方向外側に向かい水が通る断面積も、径方向および周方向ともに不均一になる。
【0006】
ここで、散水孔から散水される水の勢いは、散水孔が位置する部分の流速に比例する。この流速は、散水孔が位置する部分を流れる水の流量と、その水が通る断面積とで算出することができ、例えば、流量が同一であれば、断面積の大きさによって定められる。具体的には、水の通る断面積が小さければ流速の低下を抑制でき、水の通る断面積が大きければ流速の低下を逃れられない。
【0007】
よって、特許文献1又は2に記載される技術を、下面の面積が大きい薄板状のオーバーヘッドシャワーに適用した場合には、中央から径方向外側に向かう水が通る流路の断面積が周方向および径方向ともに不均一になるので、シャワーヘッド内部の流速も不均一になる。従って、シャワーヘッドから散水される水の勢いは、各散水孔毎にバラバラになるので、全体として不均一な水の勢いのシャワー水になってしまうという問題点があった。
【0008】
なお、不均一な水の勢いのシャワー水が使用者に注がれると、浴び心地が悪く、使用者に対して不快感を与える。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、各散水孔から散水される水の勢いを略均一にできると共に、不均一な水の勢いのシャワー水が注がれることにより使用者に与える不快感を低減できるシャワーヘッド及びシャワー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために請求項1記載のシャワーヘッドは、外形が略円盤状に形成され、内部に供給された液体を外部に散水するものであり、前記シャワーヘッドの下面部を構成する散水板と、前記シャワーヘッドの外周部を構成する側壁と、前記シャワーヘッドの上面部を構成し、前記散水板に対向配置される蓋体と、前記散水板、側壁および蓋体により形成され、前記シャワーヘッドの内部に供給される液体を貯留する内部空間と、その内部空間に貯留された液体を外部に散水すると共に、前記散水板に穿設される複数の散水孔と、前記シャワーヘッドの軸心を通る位置で且つ前記散水板と蓋体との間に配置され、前記内部空間内に液体を流入する流入部材とを備え、前記流入部材により前記内部空間内に液体が流入されると、前記軸心から径方向外側に向かって放射状に流れる水流が形成され、前記散水板または蓋体の少なくとも一方の内側面には、前記散水板または蓋体の他方の内側面との距離を、前記軸心から径方向外側に向かって徐々に短くする内壁部が設けられている。
【0011】
請求項2記載のシャワーヘッドは、請求項1記載のシャワーヘッドにおいて、前記蓋体の内側面は略平面に形成されると共に、前記散水板の内側面に前記内壁部が設けられ、前記内壁部は、前記軸心から径方向外側に向かって、前記蓋体の内側面との距離が段々短くなる階段状に形成されている。
【0012】
請求項3記載のシャワーヘッドは、請求項2記載のシャワーヘッドにおいて、前記散水孔は、前記内壁部に階段状に形成された段における前記シャワーヘッドの軸心から径方向外側に向かう方向の中央を基準とした場合、その段の中央に対して前記シャワーヘッドの径方向外側に、前記シャワーヘッドの軸心側に位置する開口の縁が位置している。
【0013】
請求項4記載のシャワー装置は、外形が略円盤状に形成され、内部に供給された液体を外部に散水するシャワーヘッドを備えており、前記シャワーヘッドは、前記シャワーヘッドの下面部を構成する散水板と、前記シャワーヘッドの外周部を構成する側壁と、前記シャワーヘッドの上面部を構成し、前記散水板に対向配置される蓋体と、前記散水板、側壁および蓋体により形成され、前記シャワーヘッドの内部に供給される液体を貯留する内部空間と、その内部空間に貯留された液体を外部に散水すると共に、前記散水板に穿設される複数の散水孔と、前記シャワーヘッドの軸心を通る位置で且つ前記散水板と蓋体との間に配置され、前記内部空間内に液体を流入する流入部材とを備え、前記流入部材により前記内部空間内に液体が流入されると、前記軸心から径方向外側に向かって放射状に流れる水流が形成され、前記散水板または蓋体の少なくとも一方の内側面には、前記散水板または蓋体の他方の内側面との距離を、前記軸心から径方向外側に向かって徐々に短くする内壁部が設けられている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のシャワーヘッドによれば、シャワーヘッドは、下面部が散水板、上面部が蓋体、外周部が側壁で構成され、その散水板、蓋体および側壁により内部に供給された液体を貯留する内部空間が形成される。内部空間へは、シャワーヘッドの軸心を通る位置で且つ散水板と蓋体との間に配置される流入部材により液体が流入され、流入部材により内部空間内に液体が流入されると、軸心から径方向外側に向かって放射状に流れる水流が形成される。そして、内部空間内の液体を外部に散水する複数の散水孔が散水板に穿設されているので、シャワーヘッド内部に供給された液体は、内部空間を通り径方向外側に流れつつ散水孔から外部に散水される。
【0015】
また、散水板または蓋体の少なくとも一方の内側面には、散水板または蓋体の他方の内側面との距離を、軸心から径方向外側に向かって徐々に短くする内壁部が設けられているので、軸心から径方向外側に向かって徐々に液体が通る断面積が小さくなる。上述した通り、散水孔から散水される水の勢いは、散水孔が位置する部分の流速に比例し、流量と断面積の大きさとによって定められる。内部空間には、軸心から径方向外側に向かって放射状に流れる水流が形成されるので、通常、軸心近傍より外周部近傍の流速が低下する。しかし、軸心から径方向外側に向かうほど散水板と蓋体との距離を短くすることで、軸心から径方向外側に向かうほど液体が通る断面積を小さくできるので、外周部近傍の流速が軸心近傍の流速に比べて極端に低下することを抑制できる。よって、軸心に近い散水孔と、外周部に近い散水孔との流速の差を小さくできるので、内部空間内の径方向における流速を略均一にすることができ、散水孔から散水される水の勢いも略均一にすることができる。従って、シャワーヘッドの下面から散水されるシャワー水の勢いを略均一にできると共に、不均一な水の勢いのシャワー水が注がれることにより使用者に与えられる不快感を低減できるという効果がある。
【0016】
請求項2記載のシャワーヘッドによれば、請求項1記載のシャワーヘッドの奏する効果に加え、蓋体の内側面は略平面に形成されると共に、散水板の内側面に、軸心から径方向外側に向かって、蓋体の内側面との距離が段々短くなる階段状に形成される内壁部が設けられている。内壁部が階段状に形成されていると、散水板の上面を軸心から径方向外側に向かって流れる液体は、その段差と接触し、蓋体方向へ向かう。そして、内部空間には、軸心から径方向外側に向かう水流が形成されているので、段差への接触が連続的に発生し、その結果、階段状の段差部分に蓋体方向に向かう水流が形成される。また、蓋体方向に向かう水流は、軸心から径方向外側に向かう水流の影響により、例えば、渦状などの水流となる。よって、階段状の段差部分に形成される蓋体方向への水流(例えば、渦状の水流)によって、散水板と蓋体との間に、実際の距離より更に短い仮想的な距離を形成することができる。従って、蓋体の内側面近傍の液体が通る断面積を実際の断面積より更に小さい仮想的な断面積にすることができるので、その分、流速の低下を抑えることができる。
【0017】
ここで、内壁部を段差の無い傾斜面のみで構成した場合には、階段状の段差により仮想的に形成される断面積と同様の断面積にしようとすると、傾斜面の傾斜角度を急勾配にしなければならないので、散水板が厚くなり、シャワーヘッド全体の外形も大規模化してしまう。
【0018】
しかし、請求項2によれば、散水板に設けられた内壁部を階段状に形成し、水が通る実際の断面積より更に小さい仮想的な断面積を形成でき、流速の低下を抑えることができるので、散水板が厚くなることを抑制できる。よって、シャワーヘッドの下面から散水されるシャワー水の勢いを略均一にしつつ、シャワーヘッド全体の外形が大規模化し美観を損ねることを抑制できるという効果がある。
【0019】
請求項3記載のシャワーヘッドによれば、請求項2記載のシャワーヘッドの奏する効果に加え、散水孔のシャワーヘッドの軸心側に位置する開口の縁は、散水板の内壁部に階段状に形成された段におけるシャワーヘッドの軸心から径方向外側に向かう方向の中央を基準とした場合、その段の中央に対してシャワーヘッドの径方向外側に位置している。つまり、散水孔のシャワーヘッドの軸心側に位置する開口の縁は、階段状の段差によって蓋体方向に形成される水流(例えば、渦状の水流)から離れて位置する。ここで、蓋体方向に向かう水流が形成された部分は、軸心から径方向外側に向かう水流に対して乱れた水流となり、その乱れた水流部分に散水孔のシャワーヘッドの軸心側の開口の縁が位置すると、液体が散水孔を通り過ぎて散水され難くなり、散水孔から散水されるシャワー水が不均一になる場合がある。しかし、段差によって蓋体方向に形成される水流から離れて散水孔のシャワーヘッドの軸心側に位置する開口の縁が位置するので、液体が散水孔を通り過ぎて散水され難いなどの弊害の発生を抑制でき、散水孔から散水されるシャワー水が不均一になることを抑制できるという効果がある。
【0020】
請求項4記載のシャワー装置は、シャワーヘッドを有しており、そのシャワーヘッドは、下面部が散水板、上面部が蓋体、外周部が側壁で構成され、その散水板、蓋体および側壁により内部に供給された液体を貯留する内部空間が形成される。内部空間へは、シャワーヘッドの軸心を通る位置で且つ散水板と蓋体との間に配置される流入部材により液体が流入され、流入部材により内部空間内に液体が流入されると、軸心から径方向外側に向かって放射状に流れる水流が形成される。そして、内部空間内の液体を外部に散水する複数の散水孔が散水板に穿設されているので、シャワーヘッド内部に供給された液体は、内部空間を通り径方向外側に流れつつ散水孔から外部に散水される。
【0021】
また、散水板または蓋体の少なくとも一方の内側面には、散水板または蓋体の他方の内側面との距離を、軸心から径方向外側に向かって徐々に短くする内壁部が設けられているので、軸心から径方向外側に向かって徐々に液体が通る断面積が小さくなる。上述した通り、散水孔から散水される水の勢いは、散水孔が位置する部分の流速に比例し、流量と断面積の大きさとによって定められる。内部空間には、軸心から径方向外側に向かって放射状に流れる水流が形成されるので、通常、軸心近傍より外周部近傍の流速が低下する。しかし、軸心から径方向外側に向かうほど散水板と蓋体との距離を短くすることで、軸心から径方向外側に向かうほど液体が通る断面積を小さくできるので、外周部近傍の流速が軸心近傍の流速に比べて極端に低下することを抑制できる。よって、軸心に近い散水孔と、外周部に近い散水孔との流速の差を小さくできるので、内部空間内の径方向における流速を略均一にすることができ、散水孔から散水される水の勢いも略均一にすることができる。従って、シャワーヘッドの下面から散水されるシャワー水の勢いを略均一にできると共に、不均一な水の勢いのシャワー水が注がれることにより使用者に与えられる不快感を低減できるシャワーヘッドを備えたシャワー装置を提供できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。本実施形態は、シャワー装置10の最上部に取り付けられるシャワーヘッドであり、外部に散水されるシャワー水の勢いを略均一にし、不均一な水の勢いのシャワー水が注がれることにより使用者に与える不快感を低減できるオーバーヘッドシャワー吐水部18に関するものである。
【0023】
まず、図1を参照して、シャワー装置10の概略について説明する。図1は、本発明の一実施形態のオーバーヘッドシャワー吐水部18を備えるシャワー装置10の正面図および各種操作部44,46,48,50の拡大図である。なお、図1において、矢印Xは、シャワー装置10の上下方向を示し、矢印Yは、シャワー装置10の左右(幅)方向を示している。
【0024】
図1に示すように、シャワー装置10は、浴室の壁面(図示せず)に設置される縦長の箱体状のケース12により表面が覆われている。ケース12は、上面、下面、側面および背面を覆うケース本体14と、前面を覆う前面カバー16とで構成されている。
【0025】
なお、本実施形態のシャワー装置10は、浴室の床面(水平面)から所定距離上方に配置され、ケース12の下端から上端までの上下方向(図1矢印X方向)寸法が約1700mmに形成されている。よって、シャワー装置10は、その上端が、床面からの高さが1700mm以上となるので、浴室の天井近傍に位置する。
【0026】
シャワー装置10は、主に、前面カバー16の上端部に設けられるオーバーヘッドシャワー(以下「OHシャワー」と略す)吐水部18と、前面カバー16の中段部に設けられるボデーシャワー(以下「Bシャワー」と略す)吐水部20と、ケース12の下端に設けられる吐水管(カラン)22と、ケース12の側方(図1矢印Y方向左側)に設けられるハンドシャワー(以下「Hシャワー」と略す)吐水部24と、吐水量や水温などを調整する各種操作部44,46,48,50とを備えている。
【0027】
OHシャワー吐水部18は、使用者に向けて頭上から下向きにシャワー水(なお、ミスト状ではない)を噴射するものであり、前面カバー16から前方にほぼ水平に延び出したパイプ30(図2参照)と、パイプ30の先端部に取り付けられる略円盤状のシャワーヘッド31とを備えている。また、OHシャワー吐出部18は、シャワーヘッド31の下面が手前側から奥側に向かって下降傾斜して取り付けられている。
【0028】
Bシャワー吐水部20は、シャワー装置10の左右方向(図1矢印Y方向)に複数列で且つ、シャワー装置10の上下方向(図1矢印X方向)に複数箇所に設けられている。本実施形態では、左右方向に2列で且つ上下方向に5箇所ずつの合計10個の吐水部が設けられている。具体的には、最上部にBシャワー吐水部20a1,20b1が設けられ、その下方に向かって順番に、Bシャワー吐水部20a2,20b2,20a3,20b3,20a4,20b4,20a5,20b5が設けられている。
【0029】
また、Bシャワー吐水部20は、使用者の頭部より低い位置でミスト状のシャワーを前方(図1手前側)に向かって噴射するものであり、Bシャワー吐水部20a1,20b1は、使用者の胸部にミスト状のシャワーを噴射し、Bシャワー吐水部20a2〜20a4,20b2〜20b4は、使用者の腰部を中心にミスト状のシャワーを噴射し、Bシャワー吐水部20a5,20b5は、使用者の足下にミスト状のシャワーを噴射するものである。
【0030】
吐水管22は、ケース12の下端に水平方向に回転可能に取り付けられ、主に、使用者が洗い場に座った状態で使用するものである。また、先端には、吐水口34が設けられ、その吐水口34から吐水を1本の直流束で下向きに吐出する。
【0031】
Hシャワー吐水部24は、ケース12の側面に垂直方向に回転可能な取り付けるエルボ状の継手42にシャワーホース26を介して連結されており、そのシャワーホース26の先端に、グリップ36と、ヘッド38とが連結されている。
【0032】
Hシャワー吐水部24のヘッド38の下面には、散水板が取り付けられ、その散水板に複数のシャワー孔40が分散状に設けられており、そのシャワー孔40からシャワー水が噴射される。なお、Hシャワー吐水部24は、ケース12の側面(図1矢印Y方向左側面)に設けられたシャワーフック28によって脱着可能に掛止される。
【0033】
操作部44は、OHシャワー吐水部18用の操作部であり、拡大図に示すように、操作部周りに設けられた表示部の差し位置を示す指示部52が設けられている。操作部44は、シャワー吐水状態、シャワー止水状態、及び、温度確認位置の3位置に切替操作可能に構成されると共に、回転角度に応じて流量を調整可能に構成されている。
【0034】
操作部46は、Bシャワー吐水部24用の操作部であり、拡大図に示すように、操作部周りに設けられた表示部の差し位置を示す指示部54が設けられている。操作部46は、シャワー吐水状態、シャワー止水状態、及び、温度確認位置の3位置に切替操作可能に構成されると共に、回転角度に応じて流量を調整可能に構成されている。
【0035】
操作部48は、温水と冷水との混合水の温度調整用の操作部であり、拡大図に示すように、操作部周りに設けられた表示部の差し位置を示す指示部56が設けられている。操作部50は、吐水管22とHシャワー吐水部24との吐水を切り替える操作部であり、拡大図に示すように、操作部周りに設けられた表示部の差し位置を示す指示部58が設けられている。また、操作部50は、回転角度に応じて流量を調整可能に構成されている。
【0036】
次に、図2から図4を参照して、OHシャワー吐水部18について詳細に説明する。まず、図2を参照して、OHシャワー吐水部18の外観について説明する。図2は、OHシャワー吐水部18の外観を示した側面図である。なお、図2では、シャワーヘッド31と、パイプ30との接続部分のみ断面図で図示している。また、図2において、矢印Xは、シャワー装置10の上下方向を示し、矢印Zは、シャワー装置10の奥行き方向を示している。
【0037】
図2に示すように、OHシャワー吐水部18のシャワーヘッド31は、ケース12の前面カバー16(図1参照)から前方(図2矢印Z方向左方)にほぼ水平に延出したパイプ30に対して、30度程度傾斜して連結されている。よって、シャワーヘッド31の下面は、シャワー装置10の前方側に向いており、その結果、使用者の全身にシャワーを散水できる。
【0038】
シャワーヘッド31は、薄板の円盤状に形成されている。これは、薄板の円盤状に形成することで、シャワーヘッド31の内部に供給される水の水圧を高めて、シャワーヘッド31から散水される水の勢いを保つためである。
【0039】
また、シャワーヘッド31は、前面カバー16(図1参照)から前方にほぼ水平に延出したパイプ30に対して、ボールジョイント33を介して連結されている。ボールジョイント33は、シャワーヘッド31の上下方向の傾斜角度および左右方向の傾斜角度を変更可能にするものである。本実施形態では、上下上方(図2矢印X方向)に10度および左右方向(図1矢印Y方向)に10度の範囲で、傾斜角度を変更可能に構成されている。
【0040】
ボールジョイント33の外表面とシャワーヘッド31側との当接面には、Oリング34が配置されている。よって、シャワーヘッド31の傾斜角度が変更されたとしても、ボールジョイント33の外表面とシャワーヘッド31との連結部分から水漏れが発生することを防止できる。
【0041】
次に、図3を参照して、OHシャワー吐水部18のシャワーヘッド31を構成する各種部品について説明する。図3は、OHシャワー吐水部18のシャワーヘッド31を構成する各種部品の分解斜視図である。なお、図3には、シャワーヘッド31の軸心Oが図示されている。
【0042】
図3に示すように、OHシャワー吐水部18は、側面を覆う化粧リング61と、下面を覆う化粧板62と、その化粧板62の上部に配置される下板63と、下板63の上部に配置される中間層64と、その中間層64の上部に配置される散水板65と、側面および上面を形成する蓋体66と、ボールジョイント33(図2参照)が内挿されるジョイント67と、そのジョイント67(即ち、ジョイント67が内挿される蓋体66)と散水板65との間に配置され内部空間X(図4参照)に水を流入(供給)する流入部材68と、ジョイント67に螺着されるナット69と、下板63と蓋体66とを螺着するネジ70とを主に備えている。
【0043】
化粧リング61は、シャワーヘッド31の側面部の一部を形成するものであり、化粧板62は、シャワーヘッド31の下面部の一部を形成するものである。この化粧リング61及び化粧板62は、シャワーヘッド31の外観を装飾するものであり、樹脂材やステンレス材などで構成される。また、化粧板62には、複数の散水孔71が穿設されている。
【0044】
下板63は、シャワーヘッド31の下面部の一部を形成し、中間層64及び散水板65を位置決めすると共に中間層64及び散水板65を下方から支持するものであり、樹脂材などから構成されている。下板63には、後述する中間層64の下方突起部77が嵌挿される複数の散水孔73と、上方(図3上方向)に向かって突起しネジ70が螺着されるネジ突起部74と、上方(図3上方向)に向かって突起し略中心(軸心を通る位置)に設けられた中央突起部75とが設けられている。この中央突起部75は、中空状に形成されており、内部空間X内に空気を供給する供給路として作用する。
【0045】
中間層64は、シャワーヘッド31の下面部の一部を形成し、散水される水の流路を形成するものであり、ゴム状などの弾性材で構成されている。中間層64には、下板63の散水孔73に挿通され下方(図3下方向)に突起した複数の下方突起部77と、その下方突起部77に貫通形成され水の流路を形成する散水流路78と、下板63のネジ突起部74が挿通される貫通孔79と、下板63の中央突起75が挿通される貫通孔80と、位置決め用の突起であり上方に突起した上方突起部81とが設けられている。
【0046】
散水板65は、シャワーヘッド31の下面部の一部を形成し、蓋体66との間で水を貯留する内部空間Xの下面(底面)を形成するものであり、プラスチックなどの樹脂材で構成されている。散水板65には、中間層64の散水流路78に連通する散水孔83と、下板63のネジ突起部74が挿通される貫通孔84と、中間層64の上方突起部81が挿通される貫通孔85と、下板63の中央突起部75が挿通される中央挿通部86とが設けられている。
【0047】
蓋体66は、シャワーヘッド31の上面部および側面部の一部を形成するものであり、樹脂材などで構成されている。この蓋体66は、下板63と、中間層64と、散水板65と、ジョイント67の一部と、流入部材68とを内側に収納し、化粧リング61の内側に螺着される。
【0048】
また、蓋体66は、散水板65との間で水を貯留する内部空間Xの上面を形成する上壁90(各請求項の蓋体)と、側面を形成する側壁91(各請求項の側壁)とで構成されている。蓋体66の上壁90には、ネジ70の軸部70aのみが挿通可能な貫通孔と、ネジ70の頭部70bが支持されるざくり部からなるネジ孔88と、ジョイント67の一部が挿通される貫通孔89とが設けられている。
【0049】
ジョイント67は、パイプ30側と連結される部分であると共に、パイプ30から供給される水をシャワーヘッド31の内部に供給する流路を形成するものであり、金属材で構成されている。ジョイント67には、下方(図3下方向)に蓋体66の内側面と当接しジョイント67の抜けを防止する皿部93と、ボールジョイント33が内挿される筒部92とで構成されている。
【0050】
流入部材68は、ジョイント67から供給される水を、散水板65と蓋体66との間に形成される内部空間Xに流入するものであり、プラスチックなどの樹脂材で構成されている。流入部材68は、下面(図3下側の面)が開放された筒状に形成されており、上面(図3上側の面)に複数の貫通孔94が形成され、上面の中央から下方に突出した突出部95が形成されている。
【0051】
以上のように構成された各種部品を組み付けてシャワーヘッド31を製作する場合には、下板63のネジ突起部74及び中央突起部75に、中間層64の貫通孔79,80をそれぞれ挿通させると共に、下板63の散水孔73に中間層64の下方突起部77を嵌挿して、下板63に対して中間層64を位置決めしつつ固定する。
【0052】
次に、中間層64の上方突起部81を散水板65の貫通孔85に挿通させると共に、下板63の中央突起75を散水板65の中央挿通部86に挿通させて、下板63及び中間層64に対して散水板65を位置決めしつつ固定する。
【0053】
そして、流入部材68の突出部95を、散水板65の中央挿通部86(下板63の中央突起部75)内に緩挿し、ジョイント67をナット69により固定した状態の蓋体66を被せ、ネジ70により蓋体66と下板63とを螺着する。
【0054】
その後、化粧リング61内に化粧板62をセットし、下板63、中間層64、散水板65、蓋体66、ジョイント67、流入部材68が一体に組み付けられた部材を、化粧リング61内にねじ込み、シャワーヘッド31が完成する。
【0055】
なお、OHシャワー吐水部18内を流動する水は、図3の矢印Aで示すように、パイプ30(図2参照)の内部、ボールジョイント33(図2参照)の内部、ジョイント67の内部、流入部材68の貫通孔94、散水板65と蓋体66との間に形成される内部空間X、散水板65の散水孔83、中間層64の散水流路78(下板63の散水孔73を通過)、化粧板62の散水孔71を通り、外部へ散水されることになる。
【0056】
また、流入部材68の貫通孔94を通過する水は、下板63の中央突起部75の内路を通って供給される空気を引き込みつつ、散水板65の上面に勢いよく流入されるので、散水板65の中央挿通部86近傍で泡立ち微少な気泡が生成され、その微少な気泡を含む水が外部に散水される。即ち、使用者に対して、浴び心地の良い水を生成できる。
【0057】
また、中間層64をゴム状の弾性材で構成することにより、製品の歩留まりを向上することができる。これは、中間層64を硬い部材で構成した場合には、下方突起部77及び上方突起部79の配置位置の精密な精度が必要となり、その分、製品不良が発生し易いのに対し、中間層64をゴム状の弾性材で構成することにより、極端に精密な精度を必要としないからである。
【0058】
次に、図4及び図5を参照して、散水板65について詳細に説明する。図4は、散水板65及び蓋体66の一部の断面を示した断面図であり、図4(a)は、図3のIVa−IVa線における散水板65及び蓋体66の断面図であり、図4(b)及び図4(c)は、図4(a)の散水板65及び蓋体66の一部を拡大して示した図である。また、図5(a)は、図3のIVa−IVa線における散水板65及び蓋体66の断面図であり、図5(b)は、図3のIVb−IVb線における散水板65及び蓋体66の断面図である。
【0059】
図4(a)に示すように、散水板65の内側部分(蓋体66に対向する部分)である内壁部110は、中央挿通部86近傍の板厚が一番薄く、軸心から径方向外側(図4(a)右方向)に向かうほど厚みが厚くなる階段状に形成されている。
【0060】
本実施形態では、5段階の階段状に構成されており、内壁部110の1段目(最下段)の上面111の径方向の幅t1が短く(約5mm)、内壁部110の2段目〜4段目(中段)までの上面112〜114の径方向の幅t2からt4は略同等で且つ1段目の上面111の幅t1より長く(約13mm)、内壁部110の5段目(最上段)の上面115の径方向の幅t5が最も長く幅t2の略2倍(約26mm)に構成されている。
【0061】
また、蓋体66の上壁90の下面であり、散水板65に対向する面は平面に構成されているので、散水板65の各段の上面111〜115と蓋体66の上壁90の下面との間の高さh1〜h5は、1段目から5段目に向かうほど低くなるように構成されている。
【0062】
散水孔83を介して外部に散水される水の勢いは、散水孔83が位置する部分の流速に比例し、その流速は、散水孔83が位置する部分の流量と断面積の大きさとによって定められる。よって、本実施形態では、軸心O(図3参照)から径方向外側に向かうほど高さh1〜h5を低くし、各段を流れる水の水路の断面積を段々に小さくすることで、シャワーヘッド31の外周部近傍の流速が、中央挿通部86近傍の流速(軸心O近傍の流速)に比べて、極端に低下する(遅くなる)ことを防止している。その結果、散水孔83から散水される水の勢いを、シャワーヘッド31の下面全体として略均一にできる。
【0063】
なお、図4(a)に示すように、散水板65の内壁部110の5段目より更に径方向外側となる外周部(図4(c)に示す範囲w1)には、排水溝101が形成されている。また、図4(c)に示すように、散水板65には、排水溝101を含むように散水孔83fが穿設されている。この散水孔83fは、散水板65の外周部において同心円上で且つ周方向に並んで穿設されている(図3参照)。
【0064】
即ち、排水溝101は、シャワーヘッド31をシャワー装置10に取り付けた状態で、散水孔83fのうち最も下方に位置する散水孔83fに連通すると共に、蓋体66の側壁91の内側面に連通して形成されることになる。よって、使用者がシャワーの使用を中止した場合に、シャワーヘッド31の内部空間X内に残る残水のうち、排水溝101内を流れる残水は、散水板65の外周部に穿設された散水孔83fから排出されつつ、最下方に位置する散水孔83fに案内されて外部に排水される。
【0065】
また、排水溝101の水路の断面積は、散水板65の上面を流れる水の水路の断面積に比べて大きくなるので、散水板65の上面を流れる水の流れより速くなる。その結果、散水板65の上面を流れる水は、排水溝101の流れに巻き込まれ易くなり、全体の流れとして最下方に位置する散水孔83に案内され易くなるので、使用者がシャワーの使用を中止した場合に、残水を早く外部に排水することができる。
【0066】
また、本実施形態では、高さh5が0.5mmから3mmの間になるように構成されている。高さh5を0.5mmから3mmの間に構成すると、流入部材68から水が流入されていない状態で、5段目の上面と蓋体66の上壁90との間の水が表面張力により保持される。また、5段目の上面と蓋体66の上壁90との間の水を保持する表面張力は、その5段目の上面と蓋体66の上壁90との間で保持されている水が、排水溝101を流れる水の流れに巻き込まれつつ下方へ流れ出す場合に生じる力より小さくなるように構成されている。
【0067】
次に、図4(b)及び図4(c)を参照して、散水板65と蓋体66との間を流れる水の流れについて説明する。図4(b)に示すように、流入部材68(図3参照)から流入される水は、散水板65の中央挿通部86が径方向外側(図4(b)右側)へ下降傾斜した傾斜面86aを有しているので、その傾斜面86aの傾斜により径方向外側方向へ流れる水流が形成される(図4(b)の矢印Bで示す水流)。つまり、シャワーヘッド31全体としては、軸心O(図3参照)を通る中央部分から径方向外側に向かって放射状に流れる水流が形成される。
【0068】
矢印Bで示される水流のうち、散水板65の上面近傍を流れる水流は、各段の上面111〜115の段差部分に衝突すると、その衝突により上方(蓋体66の上壁90)に向かう水流となる。その上方に向かう水流は、矢印Bで示す水流によって径方向外側(図4(b)右側)に押される力が生じるので、上方へ向かった後に径方向外側に向かう水流となる(図4(b)の矢印Cで示す水流)。
【0069】
矢印Cに示す水流が形成されると、上面111と上面112との段差部分のうち、上段(径方向外側に位置する段)の上面112部分は、径方向外側に向かう水の流れが生じないために、図4(b)に示すように、負圧領域が形成される。
【0070】
図4(c)に示すように、上面112部分に負圧領域が形成されると、図4(b)の矢印Cで示した水流の一部が、軸心Oから径方向外側に向かう水流に逆らうように、負圧領域に引っ張られ(図4(c)の矢印C1で示す水流)、その後、軸心Oから径方向外側方向に流れる(図4(c)の矢印C2で示す水流)。
【0071】
その結果、各段の上面111〜115の段差部分には、図5(a)に示すような、渦状の水流が形成される。散水板65の各段の上面111〜115の段差部分に、矢印Cで示す渦状の水流が形成されると、その段差部分の散水板65と蓋体66の上壁90との間の高さh12〜h15が、実際の高さh2〜h5より仮想的に低くなる。矢印Cで示す渦状の水流と蓋体66の上壁90との間の仮想的な高さは、1段目と2段目との段差部分がh12であり、2段目と3段目との段差部分がh13であり、3段目と4段目との段差部分がh14であり、4段目と5段目との段差部分がh15である。
【0072】
具体的には、高さh12〜h15は、それぞれ、h2>h12、h3>h13、h4>h14、h5>h15の関係が成立しており、仮想的に散水板65側と蓋体66の上壁90側との間の高さが低くなっている。
【0073】
矢印Cで示す渦状の水流と蓋体66との間の仮想的な高さh12〜h15が低くなると、その段差部分における水が通る断面積も実際の断面積より小さくなるので、その分、矢印Dで示す水流の流速の低下をより効果的に抑えることができる。よって、OHシャワー吐水部18のシャワーヘッド31の下面の面積が、他のシャワー吐水部(例えば、Hシャワー吐水部24の散水板)より大きく形成されていても、外周部近傍の流速が軸心O近傍の流速から極端に遅くなることを抑制できるので、散水孔83を介して外部に散水される水の勢いを略均一にできる。
【0074】
次に、図5(b)を参照して、散水孔83の穿設位置について説明する。なお、図5(b)では、6個の散水孔83を、軸心O(図3参照)から径方向外側(図5(b)右側)に向かって、それぞれ散水孔83a〜83fとして図示する。
【0075】
図5(b)に示すように、散水孔83a〜83fは、軸心Oから径方向外側に略等間隔に穿設されると共に、各段に設けられた複数の散水孔83は、同心円上に位置し(図3参照)、シャワーヘッド31の下面の全面から略均等の間隔で散水されるように構成されている。
【0076】
ここで、上述したように、各段の上面111〜115の段差部分の径方向外側には、渦状の水流(図5(a)矢印Cで示す水流)が形成されると共に、その上方では、実際の高さh2〜h5より低い仮想的な高さh12からh15が形成され、流速の低下が抑制されるので、各段差部分の径方向外側の水流は、矢印Bで示す他の水流に比べて乱れているし、上述したように、負圧領域(図4(b)参照)が形成されている。よって、各段の上面111〜115の段差部分の直ぐ外側(径方向外側)に散水孔が穿設されていると、水流の乱れや負圧領域の影響から散水孔83a〜83dを通り過ぎて散水され難い場合がある。
【0077】
そこで、本実施形態では、少なくとも散水孔83a〜83dの開口の一部(軸心O側の縁)が、矢印Cで示す渦状の水流より軸心O側に位置するように構成している。つまり、散水孔83a〜83dは、その散水孔83a〜83dの開口の軸心O側の縁が、各段の上面111〜115の軸心Oから径方向外側に向かう方向の中央(段の中央)を基準とした場合に、軸心O側より径方向外側(上段側、図5(b)右側に位置する段)に位置することになる。
【0078】
よって、各段の上面111〜115の段差部分に渦状の水流が形成されて水流が乱れた状態でも、散水孔83a〜83dの開口を水が通り過ぎ散水され難くなるなどの弊害の発生を抑制できる。従って、径方向に略等間隔で且つ同心円上に位置する散水孔83から略均一に散水されるので、シャワーヘッド31の下面の全体から略均一な水の勢いとなるシャワー水を散水することができる。
【0079】
以上、説明したように、本実施形態のシャワーヘッド31は、散水板65の上面に階段状の内壁部110が形成されており、散水板65と蓋体66との間の高さh1〜h5が、中央挿通部86(軸心O)から径方向外側に段々に低くなるように構成されている。よって、シャワーヘッド31の内部空間Xにおいて、水の通る水路の断面積が、中央挿通部86から径方向外側に向かうほど小さくなるので、OHシャワー吐水部18のように下面の面積が大きな場合であっても、シャワーヘッド31の外周部近傍の流速が中央挿通部86近傍の流速に比べて極端に遅くなることを防止できる。従って、散水孔83から散水される水の勢いをシャワーヘッド31の下面全体として略均一にできるので、不均一な水の勢いのシャワー水が注がれることにより使用者に与える不快感を低減できる。
【0080】
また、散水板65の上面111〜115の段差により渦状の水流(図4(b)の矢印Cで示す水流)を形成し、その段差部分の高さh12〜h15を実際の高さh2〜h5より仮想的に低くできるので、薄板状のシャワーヘッド31の少ないスペース内であっても、径方向外側に向かう流速の低下を効果的に抑制できる。更に、シャワーヘッド31を薄板状に形成しつつ、散水孔83から散水される水の勢いを略均一にできるので、外観のデザイン性(美観)を向上することもできる。
【0081】
次に、図6を参照して、第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態の散水板265及び蓋体66の断面を示した断面図である。第1実施形態では、散水板65の内壁部110を階段状に構成するものとしたが、これに代えて、第2実施形態では、散水板265の内壁部210を傾斜面を有する構成とした。なお、第1実施形態と同一の部分には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0082】
図6に示すように、第2実施形態の散水板265の内壁部210は、中央挿通部86から径方向外側(図6右側)に向かうほど、蓋体66の上壁90の下面との距離が短くなる傾斜面を有して構成されている。つまり、シャワーヘッド31の内部空間X内の高さが、軸心O(図3参照)から径方向外側に向かうほど低くなるように構成されている。また、散水孔283は、軸心Oから径方向外側に略等間隔となる位置に貫通形成されている。
【0083】
よって、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、シャワーヘッド31の内部空間Xにおいて、水が通る水路の断面積を軸心Oから径方向外側に向かうほど徐々に小さくできるので、シャワーヘッド31の外周部近傍の流速が中央挿通部86近傍の流速に比べて極端に遅くなることを防止できる。従って、散水孔83から散水される水の勢いをシャワーヘッド31の下面全体として略均一にできるので、不均一な水の勢いのシャワー水が注がれることにより使用者に与える不快感を低減できる。
【0084】
なお、第2実施形態では、第1実施形態のように、段差部分に渦状の水流を形成できず仮想的に水の通る断面積を小さくすることができない分、傾斜面の傾斜角度を急勾配にする必要が生じ、散水板265の厚みが増す傾向にある。しかしながら、シャワーヘッド31が増す厚みは、第1実施形態に比べて若干(例えば、2mmから5mm)であるので、デザイン性が極端に低下することはない。
【0085】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0086】
例えば、上記第1実施形態では、散水板65の内壁部110の上面111〜115の各段差部分に亘って(即ち、下段と上段とに亘って)、散水孔83aから83dを穿設するものとしたが、各段の上面111〜115の軸心Oから径方向外側に向かう方向の中央を基準とした場合に、軸心O側より各段における径方向外側(上段側)に位置するものであれば、どの位置に穿設するものとしても良い。この構成であれば、段差部分に形成される渦状の水流(図5(a)の矢印Cで示す水流)による水流の乱れや負圧領域による影響を少なくできるので、散水孔83の開口を通り過ぎて水が散水されないなどの弊害の発生を抑制できる。
【0087】
また、上記第1実施形態では、散水板65の上面に階段状の内壁部110を形成するものとしたが、散水板65の上面を略平面とし、蓋体66の下面に階段状の内壁部を形成するものとしても良いし、散水板65の上面および蓋体66の下面の両方に階段状の内壁部を形成するものとしても良い。
【0088】
一方、上記第2実施形態では、散水板265の上面に傾斜面を有する内壁部210を形成するものとしたが、散水板265の上面を略平面とし、蓋体66の下面に傾斜面を有する内壁部を形成するものとしても良いし、散水板265の上面および蓋体66の下面の両方に傾斜面を有する内壁部を形成するものとしても良い。
【0089】
さらに、散水板65の上面に階段状の内壁部110を形成し、蓋体66の下面に傾斜面を有する内壁部を形成しても良いし、散水板265の上面に傾斜面を有する内壁部210を形成し、蓋体66の下面に階段状の内壁部を形成しても良い。
【0090】
つまり、散水板65の上面および蓋体66の下面は、軸心Oから径方向外側に向かうほど、散水板65と蓋体66との間の高さを低くし、外周部近傍の流速が軸心O近傍の流速に比べて極端に低下することを抑制できる構成であれば、その組み合わせ(階段状および傾斜面の組み合わせ)は、どのようにしても良い。
【0091】
また、上記各実施形態では、蓋体66が、シャワーヘッド31の内部空間Xの側面および上面を形成するように構成したが、蓋体66を平板状に構成し散水板65により内部空間Xの底面および側面を形成するように構成しても良いし、蓋体66及び散水板65を平板状に形成し、別体として外周の側面を覆う側壁を設けるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態のオーバーヘッドシャワー吐水部を備えるシャワー装置の正面図および各種操作部の拡大図である。
【図2】オーバーヘッドシャワー吐水部の外観を示した側面図である。
【図3】OHシャワー吐水部のシャワーヘッドを構成する各種部品の分解斜視図である。
【図4】散水板及び蓋体の一部の断面を示した断面図であり、(a)は、図3のIVa−IVa線における散水板及び蓋体の断面図であり、(b)及び(c)は、(a)の散水板及び蓋体の一部を拡大して示した図である。
【図5】(a)は、図3のIVa−IVa線における散水板及び蓋体の断面図であり、(b)は、図3のIVb−IVb線における散水板及び蓋体の断面図である。
【図6】第2実施形態の散水板及び蓋体の断面を示した断面図である。
【符号の説明】
【0093】
10 シャワー装置
31 シャワーヘッド
61 化粧リング(シャワーヘッドの一部、外周部の一部)
62 化粧板(シャワーヘッドの一部、下面部の一部)
63 下板(シャワーヘッドの一部、下面部の一部)
64 中間層(シャワーヘッドの一部、下面部の一部)
65 散水板(シャワーヘッドの一部、下面部の一部)
66 蓋体(シャワーヘッドの一部、上面部の一部)
67 ジョイント(シャワーヘッドの一部)
68 流入部材(シャワーヘッドの一部)
69 ナット(シャワーヘッドの一部)
70 ネジ(シャワーヘッドの一部)
83、283 散水孔
90 上壁(蓋体の一部、上面部の一部、蓋体)
91 側壁(蓋体の一部、外周部の一部、側壁)
110、210 内壁部
111〜115 各段の上面
A、B、C、D 水の流れ
O 軸心
h1〜h5 散水板と蓋体の上壁との間の高さ(散水板または蓋体の一方の内壁面と散水板または蓋体の他方の内壁面との距離)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が略円盤状に形成され、内部に供給された液体を外部に散水するシャワーヘッドにおいて、
前記シャワーヘッドの下面部を構成する散水板と、
前記シャワーヘッドの外周部を構成する側壁と、
前記シャワーヘッドの上面部を構成し、前記散水板に対向配置される蓋体と、
前記散水板、側壁および蓋体により形成され、前記シャワーヘッドの内部に供給される液体を貯留する内部空間と、
その内部空間に貯留された液体を外部に散水すると共に、前記散水板に穿設される複数の散水孔と、
前記シャワーヘッドの軸心を通る位置で且つ前記散水板と蓋体との間に配置され、前記内部空間内に液体を流入する流入部材とを備え、
前記流入部材により前記内部空間内に液体が流入されると、前記軸心から径方向外側に向かって放射状に流れる水流が形成され、
前記散水板または蓋体の少なくとも一方の内側面には、前記散水板または蓋体の他方の内側面との距離を、前記軸心から径方向外側に向かって徐々に短くする内壁部が設けられていることを特徴とするシャワーヘッド。
【請求項2】
前記蓋体の内側面は略平面に形成されると共に、前記散水板の内側面に前記内壁部が設けられ、
前記内壁部は、前記軸心から径方向外側に向かって、前記蓋体の内側面との距離が段々短くなる階段状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のシャワーヘッド。
【請求項3】
前記散水孔は、前記内壁部に階段状に形成された段における前記シャワーヘッドの軸心から径方向外側に向かう方向の中央を基準とした場合、その段の中央に対して前記シャワーヘッドの径方向外側に、前記シャワーヘッドの軸心側に位置する開口の縁が位置していることを特徴とする請求項2記載のシャワーヘッド。
【請求項4】
外形が略円盤状に形成され、内部に供給された液体を外部に散水するシャワーヘッドを備えたシャワー装置において、
前記シャワーヘッドは、
前記シャワーヘッドの下面部を構成する散水板と、
前記シャワーヘッドの外周部を構成する側壁と、
前記シャワーヘッドの上面部を構成し、前記散水板に対向配置される蓋体と、
前記散水板、側壁および蓋体により形成され、前記シャワーヘッドの内部に供給される液体を貯留する内部空間と、
その内部空間に貯留された液体を外部に散水すると共に、前記散水板に穿設される複数の散水孔と、
前記シャワーヘッドの軸心を通る位置で且つ前記散水板と蓋体との間に配置され、前記内部空間内に液体を流入する流入部材とを備え、
前記流入部材により前記内部空間内に液体が流入されると、前記軸心から径方向外側に向かって放射状に流れる水流が形成され、
前記散水板または蓋体の少なくとも一方の内側面には、前記散水板または蓋体の他方の内側面との距離を、前記軸心から径方向外側に向かって徐々に短くする内壁部が設けられていることを特徴とするシャワー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−279058(P2009−279058A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131869(P2008−131869)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】