説明

シャワーホースの収納構造

【課題】 シャワーホースの収納構造において、長いシャワーホースをキャビネットの内
部でコンパクトに収め、しかも引き出し及び収納を円滑に行えるようにする。
【解決手段】シャワーヘッド34が接続されたシャワーホース32をカウンター20の下部でキャビネット10の内部に収納し、必要に応じてシャワーヘッド34をシャワーホース32と共にカウンター20から引き出して湯水を吐水するシャワーホース32の収納構
造において、前記キャビネット10には支持部材40を取り付け、この支持部材40は前
記シャワーホース32が挿通する引掛孔44,44a,44bが横方向に互いに間隔を設
けて複数個穿設され、各引掛孔44,44a,44bにシャワーホース32を順に挿通さ
せることで、シャワーホース32をキャビネット10の内部で撓ませた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗面化粧台又は流し台等で、シャワーヘッドが接続されるシャワーホースの収納構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面化粧台又は流し台等のカウンターに取り付けられた水栓が、シャワーヘッドをシャワーホースと共に引き出して使用するものである場合、水栓本体とシャワーヘッドとを接続するシャワーホースは、カウンターの下部に形成されたキャビネット内部の空間に落とし込まれ、略U字状に撓ませて収納させているが、キャビネットの内部空間には洗面化粧台等で使用する様々な物品が収納されているため狭く、水栓の使用時の作業性を良好とするためシャワーホースを長くするほど、キャビネットの内部で他の物品にシャワーホースが接触してしまい、シャワーホースの収納及び引き出しをスムーズに行うことができないという問題があった。
そこで特許文献1では、キャビネットの内部に突出部材が配設され、水栓本体とシャワーヘッドとを接続するシャワーホースを、不使用時にはこの突出部材の外周に対し巻きつけるようにしておき、使用するときは必要な長さだけ引き出すようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−32057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1においては、シャワーホースは突出部材に対し重なり合うようにして巻回状に配設されているため、キャビネットの内部の狭いスペースにシャワーホースを収納することができるが、シャワーヘッドの吐出管からの引き出し時に、シャワーホースが重なり合って干渉していることで摩擦抵抗となり、円滑な引き出し及び収納を行うことができなかったり、異常音が発生し不快感を与えるという問題があった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その課題は、シャワーホースの収納構造において、長いシャワーホースをキャビネットの内部でコンパクトに収め、しかも引き出し及び収納を円滑に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、請求項1記載の発明では、シャワーヘッドが接続されたシャワーホースをカウンターの下部でキャビネットの内部に収納し、必要に応じてシャワーヘッドをシャワーホースと共にカウンターから引き出して湯水を吐水するシャワーホースの収納構造において、前記キャビネットには支持部材を取り付け、この支持部材は前記シャワーホースが挿通する引掛孔が横方向に互いに間隔を設けて複数個穿設され、各引掛孔にシャワーホースを順に挿通させることで、シャワーホースをキャビネットの内部で撓ませたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明では請求項1記載のシャワーヘッドにおいて、前記シャワーホースには錘が装着されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1記載の発明では、シャワーホースはキャビネットの内部で支持部材の引掛孔に順に挿通しているので、シャワーホースが重なり合って接触することがないようにカウンターからの引き出し及び収納を円滑に行うことができ、しかもシャワーホースが劣化したり損傷することがない。
【0009】
請求項2に記載の発明では、シャワーホースには錘が装着されているので、この錘が床板に配置されている状態ではシャワーホースの重みを錘が吸収し、錘より先端側のシャワーホースの引き出し及び収納を軽快に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施例を図に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1に示すように、洗面化粧台や流し台(本実施例では洗面化粧台A)は内部を収納空間11としたキャビネット10と、このキャビネット10の上面に配設されたカウンター20と、このカウンター20に装着された水栓22とを備えている。前記カウンター20には3個の取付孔21が互いに間隔を設けて穿設され、各取付孔21に対し水栓本体23とホルダー26とからなる水栓22が取り付けられている。前記水栓本体23は湯水の温度を調節する温度調節部24と、温度調節部24から供給される湯水の流量を調節する流量調節部25とを備えている。
【0012】
前記温度調節部24はその外周面に給水管27と給湯管28とが接続され、上部には温度調節ハンドル29がカウンター20の上部に露出した状態で設けられ、温度調節ハンドル29の操作により、給水管27から供給される水と給湯管28から供給される湯とを温度調節部24で混合し、混合された湯水を適宜の温度に調節できるように構成されている。
【0013】
前記流量調節部25は、カウンター20の下部で温度調節部24と連結管30により接続され、その外周面には接続部31が形成されており、この接続部31にカウンター20の下部でシャワーホース32が接続される。流量調節部25はカウンター20の上部に露出した流量調節ハンドル33と連繋し、流量調節ハンドル33の操作により、温度調節部24及び連結管30から供給される湯水をシャワーホース32に供給するものである。
【0014】
前記ホルダー26は中空の略円筒状で、その上部開口部にはシャワーヘッド34が着脱自在に支持されている。シャワーヘッド34の基端には前記シャワーホース32が接続されている。シャワーホース32は金属製の蛇腹ホース、樹脂製のホース等屈曲可能なもので形成され、ホルダー26の内部を上下に挿通し、キャビネット10の内部でカウンター20と床面Bとの間に収納され、その他端は水栓本体23の接続部31に接続されている。シャワーホース32の全長は、洗面化粧台Aでの利便性を確保するのに十分な長さで、その中途部の垂れ下がった場所には錘35が装着されている。図2に示すように、この錘35は金属製の略正方体に形成され、略中央には丸孔35aが設けられ、この丸孔35aにシャワーホース32が挿通されている。錘35は床板Bから浮き上がった状態で、シャワーヘッド34がホルダー26に支持されており、床板Bに配置されている錘受け36の上面に位置させることで、シャワーヘッド34のホルダー26からの引き出し及びホルダー26への収納を軽快に行うものである。シャワーヘッド34はシャワーホース32と共にホルダー26から取り外すと、適宜の位置で使用することができる。
【0015】
図2に示すように、前記キャビネット10の内壁面でホルダー26の下部には支持部材40が取り付けられている。この支持部材40は、キャビネット10の内壁面に固定される固定部41と、固定部41から水平方向に突出する横長の水平部43とを備えている。前記固定部41はビス等の固定手段42によりキャビネット10の内壁面に固定される。前記水平部43は横長の板状で、固定部41側から順に第1引掛孔44,第2引掛孔44a,第3引掛孔44bが横方向へ3個穿設されており、互いの引掛孔44,44a,44bの間には、シャワーホース32が撓んだ状態でその外周面同士が互いに接触しないように、適宜の間隔が設けられている。この引掛孔44,44a,44bはシャワーホース32の外径より大径に穿設され、シャワーホース32を支持部材40で折り返し向きを変えるように、各引掛孔44,44a,44bに対し順に挿通させることで、長いシャワーホース32は重なり合って接触することなく支持部材40の下部に撓ませることができる。なお、支持部材の引掛孔は、本実施例では3個としているが、その個数は複数個であればいくつでもよい。
【0016】
前記シャワーホース32は各引掛孔44,44a,44bに対し基端側から順に挿通され、錘35は第1引掛孔44と第2引掛孔44aとの間で撓んでいるシャワーホース32の垂れ下がった場所である折り返し部32aに装着されている。このように錘35は長いシャワーホース32の基端側で撓んでいる折り返し部32aに装着することで、シャワーホース32をホルダー26から引き出す際に、錘35より基端側のシャワーホース32の荷重は錘35で吸収され、第2引掛孔44aと第3引掛孔44bとの間で撓んでいるシャワーホース32を軽い力で引き上げることができる。
【0017】
上記の構成において、水栓22の操作でシャワーヘッド34から湯水を吐水する場合、図2に示すシャワーヘッド34を手に持ってホルダー26から上方へ引っ張れば、図3及び図4に示すように、キャビネット10の内部に収納されているシャワーホース32がホルダー26から必要な長さだけ引き出される。この場合、キャビネット10の内部に収納されているシャワーホース32は、支持部材40の各引掛孔44,44a,44bを挿通して向きを変えているが、各引掛孔44,44a,44b同士は何れもシャワーホース32同士が接触しない程度に間隔が設けられているので、撓んだ状態で垂れ下がっているシャワーホース32は、互いの外周面同士が接触することがなく、円滑にホルダー26から引き出すことができる。また、シャワーホース32の中途部で垂れ下がった折り返し部32aには錘35が装着されており、図3に示すように錘35が錘受け36に位置している状態では、錘35より基端側のシャワーホース32の荷重が錘35に加わり、錘35より先端側のシャワーホース32を軽い力で引き出すことができる。そして、図4に示すように、シャワーヘッド34と共にシャワーホース32を引き上げることで、錘35が錘受け36から浮き上がると、シャワーホース32を引き出すには錘35の重量が加わり、重い力で引き上がる。次に図1に示す水栓本体23の各ハンドル29,33を操作すれば、温度調節部24及び流量調節部25で調節された適温の湯水がシャワーホース32を通過して、シャワーヘッド34から供給される。
【0018】
以上のように、この実施例によるシャワーホースの収納構造においては、シャワーホースはキャビネットの内部で支持部材の引掛孔に順に挿通しているので、シャワーホースが重なり合って接触することがないようにカウンターからの引き出し及び収納を円滑に行うことができ、しかもシャワーホースが劣化したり損傷することがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明のシャワーホース収納構造を備えた洗面化粧台の説明図。
【図2】シャワーホースを支持する支持部材の説明図。
【図3】シャワーホースを引き出した状態の説明図。
【図4】シャワーホースを引き出し、錘が錘受けから浮きあがった状態の説明図。
【符号の説明】
【0020】
10 : キャビネット
20 : カウンター
32 : シャワーホース
34 : シャワーヘッド
35 : 錘
40 : 支持部材
44 : 第1引掛孔
44a: 第2引掛孔
44b: 第3引掛孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーヘッドが接続されたシャワーホースをカウンターの下部でキャビネットの内部に収納し、必要に応じてシャワーヘッドをシャワーホースと共にカウンターから引き出して湯水を吐水するシャワーホースの収納構造において、前記キャビネットには支持部材を取り付け、この支持部材は前記シャワーホースが挿通する引掛孔が横方向に互いに間隔を設けて複数個穿設され、各引掛孔にシャワーホースを順に挿通させることで、シャワーホースをキャビネットの内部で撓ませたことを特徴とするシャワーホースの収納構造。
【請求項2】
前記シャワーホースには錘が装着されていることを特徴とする請求項1記載のシャワーホースの収納構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−348603(P2006−348603A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−176628(P2005−176628)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(000141451)株式会社喜多村合金製作所 (65)
【Fターム(参考)】