シューズのソール構造体
【課題】 シューズのクッション性を確保しつつ横方向の安定性を向上させる。
【解決手段】 シューズのソール構造体1において、上方に配設された上部プレート2と、上部プレート2との間に空隙Sを形成しつつ下方に配設され、その踵部中央部位において上方に凸状に膨出する膨出部32を有する下部プレート3と、上下部プレート2,3間において空隙Sの形成個所に対応して内甲側縁部または外甲側縁部に配設され、上下部プレート2,3を連結する連結部とを設ける。連結部を、上部プレート2の張出部22とこれに連結される下部プレート3の巻上げ部31とから構成する。上下部プレート2,3間において踵中央部位には、上下方向に延びる支柱40が配設されている、
【解決手段】 シューズのソール構造体1において、上方に配設された上部プレート2と、上部プレート2との間に空隙Sを形成しつつ下方に配設され、その踵部中央部位において上方に凸状に膨出する膨出部32を有する下部プレート3と、上下部プレート2,3間において空隙Sの形成個所に対応して内甲側縁部または外甲側縁部に配設され、上下部プレート2,3を連結する連結部とを設ける。連結部を、上部プレート2の張出部22とこれに連結される下部プレート3の巻上げ部31とから構成する。上下部プレート2,3間において踵中央部位には、上下方向に延びる支柱40が配設されている、
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シューズのソール構造体に関し、詳細には、シューズのクッション性を確保しつつとくに踵部の横方向の安定性を向上させるための構造の改良に関し、とくにインドアシューズに好適のソール構造体を提供する。
【背景技術】
【0002】
シューズのソール構造において、クッション性を向上させるものとして、たとえば国際公開第2006/070549号パンフレットに示すようなものが提案されている。同パンフレットに示すソール構造体は、ソール構造体の上方に配設された上部プレートと、上部プレートとの間に一定の空隙を隔てて下方に配設された下部プレートと、上下部プレート間の空隙に設けられ、上下部プレートを上下方向に連結するクッションバーとから構成されている。クッションバーは、上下部プレートの幅方向全長にわたって延設されているか、または上下部プレートの幅方向両端に配置されている。
【0003】
このような従来のソール構造体において、シューズの着地時にソール構造体に衝撃荷重が作用した際には、上下部プレート間に形成された空隙によって、クッション性が確保される。
【0004】
しかしながら、前記従来のソール構造では、空隙による開口が上下部プレートの内甲側端および外甲側端に形成されており、このため、サイドステップやターンなどの動作の際にシューズのとくに踵部に横方向の荷重が作用した場合に、上下部プレートの内甲側端および外甲側端が上下方向に過度に変形する結果、踵部の横方向の安定性が確保できなくなる恐れがある。前記従来構造では、上下部プレート間において幅方向全長または幅方向両端にクッションバーを配置しているが、このようなクッションバーのみでは、踵部の横方向の安定性が確保するには限界があることがその後の研究で明らかになってきた。
【特許文献1】国際公開第2006/070549号パンフレット(第1A図、第1B図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シューズのクッション性を確保しつつ、とくに踵部の横方向の安定性を向上させることができるソール構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係るシューズのソール構造体は、シューズの少なくとも踵部において、上方に配設された板状の上部プレートと、上部プレートとの間に空隙を形成しつつ下方に配設されるとともに、その踵部中央部位において上方に凸状に膨出する膨出部を有する板状の下部プレートと、上下部プレート間において空隙の形成個所に対応してシューズの内甲側縁部または外甲側縁部に配設され、上下部プレートを連結する少なくとも一つの連結部とを備えている。
【0007】
請求項2の発明では、請求項1において、下部プレートが、膨出部による凹部を通って前後方向に延びる第1の溝を下面に有している。
【0008】
請求項3の発明では、請求項2において、下部プレートが、幅方向に延びる1つまたは2つ以上の第2の溝を下面に有している。
【0009】
請求項4の発明では、請求項3において、下部プレートが、幅方向に延びる稜線を有しかつ前後方向に進む波形状を有しており、第2の溝が、波形状の山の部分により形成されている。
【0010】
請求項5の発明では、請求項3において、下部プレートが、第1および第2の溝により3つ以上の領域に区画されており、下部プレートの下面には、各領域に対応して3つ以上のアウトソール部またはクリーツ部が設けられている。
【0011】
請求項6の発明では、請求項5において、上下部プレートを連結する連結部が各領域に対応して3つ以上の個所に設けられている。
【0012】
請求項7の発明では、請求項1において、膨出部により下部プレートの下面の踵部中央部位に形成される凹部が、実質的に前後方向に延びる長穴形状を有しており、長穴形状の長軸方向と直交する線がシューズの内甲側縁部または外甲側縁部と交差する位置に前記連結部が配置されている。
【0013】
請求項8の発明に係るシューズのソール構造体は、シューズの少なくとも踵部において、上方に配設された板状の上部プレートと、上部プレートとの間に空隙を形成しつつ下方に配設された板状の下部プレートと、上下部プレート間において空隙の形成個所に対応してシューズの内甲側縁部または外甲側縁部に配設され、上下部プレートを連結する少なくとも一つの連結部と、下部プレートの踵部下面において、幅方向に分離してシューズの内甲側および外甲側にそれぞれ設けられたアウトソール部またはクリーツ部とを備えている。
【0014】
請求項9では、請求項8において、下部プレートが、前後方向に延びる第1の溝を踵部下面の幅方向中央に有している。
【0015】
請求項10の発明では、請求項9において、下部プレートが、幅方向に延びる1つまたは2つ以上の第2の溝を踵部下面の前後方向中央に有している。
【0016】
請求項11の発明では、請求項10において、下部プレートが、幅方向に延びる稜線を有しかつ前後方向に進む波形状を有しており、第2の屈曲溝が、波形状の山の部分により形成されている。
【0017】
請求項12の発明では、請求項10において、下部プレートが、第1および第2の溝により3つ以上の領域に区画されており、下部プレートの下面には、各領域に対応して3つ以上のアウトソール部またはクリーツ部が設けられている。
【0018】
請求項13の発明では、請求項12において、上下部プレートを連結する連結部が各領域に対応して3つ以上の個所に設けられている。
【0019】
請求項14の発明では、請求項1または8において、踵中央部位において上下部プレート間には、上下方向に延びる弾性部材製の支柱が配設されている。
【0020】
請求項15の発明では、請求項1または8において、踵中央部位において上下部プレートが一体的に連結されている。
【0021】
請求項16の発明では、請求項14において、上部プレートの上方には、軟質弾性部材製のミッドソールが配設されており、ミッドソールの一部が、上部プレートの前記踵中央部位に形成された貫通孔を通って下方に延設されることにより支柱が形成されており、支柱の先端が前記下部プレートの上面に当接している。
【0022】
請求項17の発明では、請求項2、3、9または10のいずれかにおいて、第1または第2の溝に対応する位置、あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置において、上下部プレート間には、上下方向に延びる弾性部材製の支柱が配設されている。
【0023】
請求項18の発明では、請求項2、3、9または10のいずれかにおいて、第1または第2の溝に対応する位置、あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置において、上下部プレートが一体的に連結されている。
【0024】
請求項19の発明では、請求項17において、上部プレートの上方には、軟質弾性部材製のミッドソールが配設されており、ミッドソールの一部が、上部プレートの踵部に形成された貫通孔を通って下方に延設されることにより支柱が形成されており、支柱の先端が前記下部プレートの上面に当接している。
【0025】
請求項20の発明では、請求項1または8において、連結部が、下部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から上方に一体に延設された延設部と、上部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から側方に張り出すとともに延設部の外側面を外側から保持する張出部とから構成されており、延設部が張出部の内側面に固着されている。
【0026】
請求項21の発明では、請求項1または8において、連結部が、上部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から下方に一体に延設された延設部と、下部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から側方に張り出すとともに延設部の外側面を外側から保持する張出部とから構成されており、延設部が張出部の内側面に固着されている。
【0027】
請求項22の発明では、請求項20または21において、連結部の延設部が、弾性部材を介して前記張出部に固着されている。
【0028】
請求項23の発明では、請求項22において、弾性部材が、下部プレートの下面に配設されたアウトソール部を上方に延設して設けられている。
【0029】
請求項24の発明では、請求項1または8において、連結部が、シューズの踵部の内甲側縁部および外甲側縁部に前後方向の間隔を隔ててそれぞれ2つずつ設けられている。
【0030】
請求項1の発明によれば、上下部プレート間の空隙の形成個所に対応して内甲側縁部または外甲側縁部に、上下部プレートの連結部が設けられているので、サイドステップやターンなどの動作の際にシューズの踵部の周縁部に横方向の荷重が作用したとき、ソール外周部が上下方向に過度に変形するのを防止でき、これにより、シューズの踵部の横方向の安定性を向上できる。さらに、この場合には、上下部プレート間の少なくとも踵部に空隙が形成されているので、シューズ着地時のクッション性を確保できるとともに、下部プレートの踵部中央部位に上方への凸状膨出部が形成されていることにより、言い換えれば、この凸状膨出部の形成によって下部プレートの下面の踵部中央部位に凹部が形成されていることにより、シューズの踵部の周縁部から着地した際には、下部プレートが上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性を一層向上できる。
【0031】
請求項2の発明では、請求項1において、下部プレートが、膨出部による凹部を通って前後方向に延びる第1の溝を下面に有しているので、シューズの踵部の内甲側部分または外甲側部分から着地した際には、第1の溝を挟んで下部プレートの踵部の左右いずれかの部分から接地することになり、このとき、下部プレートの当該部分が上下方向に変形しやすくなっているので、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。なお、本明細書中において「前後方向」とは、ラスト(靴型)中心線と一致する方向のみならず、これと角度をなす実質的な足長方向を含む趣旨である。これは、内甲側または外甲側のいずれかの側に偏った荷重を中心側に戻すようにするためである。
【0032】
請求項3の発明では、請求項2において、下部プレートが、幅方向に延びる1つまたは2つ以上の第2の溝を下面に有しているので、シューズの踵後端から着地した際には、第2の溝を挟んで踵後端側の部分が上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。なお、本明細書中において「幅方向」とは、ラスト中心線と直交する方向のみならず、これと角度をなす実質的な足幅方向を含む趣旨である。
【0033】
請求項4の発明では、請求項3において、下部プレートが、幅方向に延びる稜線を有しかつ前後方向に進む波形状を有しており、第2の溝が、波形状の山の部分により形成されている。
【0034】
請求項5の発明では、請求項3において、下部プレートが、第1および第2の溝により3つ以上の領域に区画されており、下部プレートの下面には、各領域に対応して3つ以上のアウトソール部またはクリーツ部が設けられている。
【0035】
請求項6の発明では、請求項5において、上下部プレートを連結する連結部が各領域に対応して3つ以上の個所に設けられている。
【0036】
請求項7の発明では、請求項1において、膨出部により下部プレートの下面の踵部中央部位に形成される凹部が、実質的に前後方向に延びる長穴形状を有しており、長穴形状の長軸方向と直交する線がシューズの内甲側縁部または外甲側縁部と交差する位置に前記連結部が配置されている。
【0037】
この場合には、シューズの着地時には、長穴形状を挟んで左右両側の部分が上下方向に変形しやすくなっており、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できるとともに、サイドステップ等の横方向の動きによるソール外周部分の過度の沈み込みを連結部によって規制できる。
【0038】
請求項8の発明に係るシューズのソール構造体は、シューズの少なくとも踵部において、上方に配設された板状の上部プレートと、上部プレートとの間に空隙を形成しつつ下方に配設された板状の下部プレートと、上下部プレート間において空隙の形成個所に対応してシューズの内甲側縁部または外甲側縁部に配設され、上下部プレートを連結する少なくとも一つの連結部と、下部プレートの踵部下面において、幅方向に分離してシューズの内甲側および外甲側にそれぞれ設けられたアウトソール部またはクリーツ部とを備えている
請求項8の発明では、上下部プレート間の少なくとも踵部に空隙が形成されているので、シューズ着地時のクッション性が確保される。しかも、この場合には、下部プレートの踵部下面の内甲側および外甲側にアウトソール部またはクリーツ部が幅方向に分離して設けられているので、シューズの内甲側または外甲側から着地した際には、下部プレートが上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性を一層向上できる。さらに、この場合には、上下部プレート間の空隙の形成個所に対応して内甲側縁部または外甲側縁部に、上下部プレートの連結部が設けられているので、サイドステップやターンなどの動作の際にシューズの踵部に横方向の荷重が作用したとき、上下部プレートが上下方向に過度に変形するのを防止でき、これにより、シューズの踵部の横方向の安定性が向上できる。
【0039】
請求項9の発明では、請求項8において、下部プレートが、前後方向に延びる第1の溝を踵部下面の幅方向中央に有しているので、シューズの着地時には、第1の溝を挟んで左右両側の部分が上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。
【0040】
請求項10の発明では、請求項9において、下部プレートが、幅方向に延びる1つまたは2つ以上の第2の溝を踵部下面の前後方向中央に有しているので、シューズの踵後端から着地した際には、第2の溝を挟んで踵後端側の部分が上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。
【0041】
請求項11の発明では、請求項10において、下部プレートが、幅方向に延びる稜線を有しかつ前後方向に進む波形状を有しており、第2の溝が、波形状の山の部分により形成されている。
【0042】
請求項12の発明では、請求項10において、下部プレートが、第1および第2の溝により3つ以上の領域に区画されており、下部プレートの下面には、各領域に対応して3つ以上のアウトソール部またはクリーツ部が設けられている。
【0043】
請求項13の発明では、請求項12において、上下部プレートを連結する連結部が各領域に対応して3つ以上の個所に設けられている。
【0044】
請求項14の発明では、請求項1または8において、上下方向に延びる弾性部材製の支柱が上下部プレート間の踵中央部位に配設されているので、シューズの着地時においてソール構造体の踵部に荷重が作用した際には、上部プレートからの下方への荷重が支柱を介して下部プレートの踵中央部位に作用する。これにより、下部プレートの膨出部が下方に押圧され、このとき、上下部プレートの内甲(または外甲)側縁部の連結部が踵内方に変形しようとする。その結果、上下部プレートの連結部の剛性が向上して、ソール外周部分が下方に沈み込むのを防止できる。また、この場合には、シューズの着地時において上下部プレートが変形する際には、上下部プレートの踵中央部位が互いに接触して底付きを起こすのを防止でき、これにより、シューズ踵部位のクッション性を向上できる。
【0045】
なお、請求項15の発明に記載されているように、上下部プレートは、支柱を介さずに、踵中央部位において一体的に連結されていてもよい。この場合、シューズの着地時にソール構造体の踵部に荷重が作用した際には、上部プレートからの下方への荷重が直接下部プレートの踵中央部位に作用して、下部プレートの膨出部が下方に押圧され、このとき、上下部プレートの内甲(または外甲)側縁部の連結部が踵内方に変形しようとする。その結果、上下部プレートの連結部の剛性が向上して、ソール外周部分が下方に沈み込むのを防止できる。
【0046】
また、弾性部材製の支柱は、請求項16の発明に記載されているように、上部プレートの上方に配設された軟質弾性部材製のミッドソールの一部を、上部プレートの踵中央部位に形成された貫通孔を通って下方に延設することにより形成するようにしてもよい。
【0047】
請求項17の発明では、請求項2、3、8、9または10のいずれかにおいて、上下方向に延びる弾性部材製の支柱が、上下部プレート間において第1または第2の溝に対応する位置(あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置)に配設されているので、シューズの着地時においてソール構造体の踵部に荷重が作用した際には、上部プレートからの下方への荷重が支柱を介して下部プレートの踵部の各溝に対応する位置(あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置)に作用する。これにより、下部プレートが下方に押圧され、このとき、上下部プレートの内甲(または外甲)側縁部の連結部が踵内方に変形しようとする。その結果、上下部プレートの連結部の剛性が向上して、ソール外周部分が下方に沈み込むのを防止できる。また、この場合には、シューズの着地時において上下部プレートが変形する際には、上下部プレートが互いに接触して底付きを起こすのを防止でき、これにより、シューズ踵部位のクッション性を向上できる。
【0048】
なお、請求項18の発明に記載されているように、上下部プレートは、支柱を介さずに、踵部の第1または第2の溝に対応する位置(あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置)において、一体的に連結されていてもよい。この場合、シューズの着地時にソール構造体の踵部に荷重が作用した際には、上部プレートからの下方への荷重が直接下部プレートの踵部の各溝に対応する位置(あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置)に作用して、下部プレートが下方に押圧され、このとき、上下部プレートの内甲(または外甲)側縁部の連結部が踵内方に変形しようとする。その結果、上下部プレートの連結部の剛性が向上して、ソール外周部分が下方に沈み込むのを防止できる。
【0049】
また、弾性部材製の支柱は、請求項19の発明に記載されているように、上部プレートの上方に配設された軟質弾性部材製のミッドソールの一部を、上部プレートの踵部に形成された貫通孔を通って下方に延設することにより形成するようにしてもよい。
【0050】
請求項20の発明では、請求項1または8において、連結部が、下部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から上方に一体に延設された延設部と、上部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から側方に張り出すとともに延設部の外側面を外側から保持する張出部とから構成されており、延設部が張出部の内側面に固着されている。
【0051】
請求項21の発明では、請求項1または8において、連結部が、上部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から下方に一体に延設された延設部と、下部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から側方に張り出すとともに延設部の外側面を外側から保持する張出部とから構成されており、延設部が張出部の内側面に固着されている。
【0052】
請求項22の発明では、請求項20または21において、連結部の延設部が、弾性部材を介して前記張出部に固着されている。
【0053】
請求項23の発明では、請求項22において、弾性部材が、下部プレートの下面に配設されたアウトソール部を上方に延設して設けられている。
【0054】
請求項24の発明では、請求項1または8において、連結部が、シューズの踵部の内甲側縁部および外甲側縁部に前後方向の間隔を隔ててそれぞれ2つずつ設けられている。
【発明の効果】
【0055】
以上のように本発明に係るソール構造体によれば、上下方向の空隙を隔てて板状の上下部プレートを配設し、上下部プレートの内甲側縁部または外甲側縁部において空隙の形成個所に対応して上下部プレートの連結部を設けるとともに、下部プレートの踵部中央部位に上方への凸状膨出部を形成する(または下部プレートの踵部下面の内甲側および外甲側にアウトソール部またはクリーツ部を幅方向に分離して設ける)ようにしたので、シューズのクッション性を確保しつつとくに踵部の横方向の安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0057】
図1ないし図9は、本発明の一実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図1はソール構造体の底面図、図2はソール構造体の外甲側側面図、図3はソール構造体の内甲側側面図、図4はソール構造体のIV-IV線断面図(ラスト中心線縦断面図)、図5は図1のV-V線断面図、図6は図1のVI-VI線断面図、図7は図1のVII-VII線断面図、図8はソール構造体の斜視側面図、図9はソール構造体の斜視底面図である。
【0058】
図1ないし図9に示すように、ソール構造体1は、上方(図8上方)に配設された、たとえば硬質樹脂製の板状上部プレート2と、上部プレート2との間に上下方向の空隙Sを形成しつつ下方(同図下方)に配設された、たとえば硬質樹脂製の板状下部プレート3とを有している。上部プレート2の上には、軟質弾性部材製のミッドソール4が設けられている。上部プレート2および下部プレート3は、いずれもソール構造体1の少なくとも踵部Hに設けられており、本実施例では、いずれも踵部Hから中足部Mを通って前足部Fの先端近傍まで延設されている。
【0059】
図4ないし図7に示すように、上部プレート2は、踵部Hから前足部Fまで概ね平坦状に延びる底壁部20と、底壁部20の内甲側縁部および外甲側縁部から上方に巻き上げられた側壁部21とを有している。底壁部20の踵中央部位には、開孔20aが形成されている。一方、ミッドソール4の踵中央部位には、下方に突出する支柱40が形成されている。支柱40は、たとえば載頭円錐台形状を有しており、上部プレート2の底壁部20の開孔20aを挿通しつつ下方に延びている。支柱40の先端40aは、下部プレート3に当接している。
【0060】
また、上部プレート2の踵部Hには、図2、図3、図5、図6および図8に示すように、側方に張り出す張出部22が内甲側縁部および外甲側縁部に形成されている。ここでは、張出部22は、上部プレート2の内甲側縁部および外甲側縁部にそれぞれ2つずつ設けられている。各張出部22は、上部プレート2の側壁部21から側方に膨出形成されている。
【0061】
図4ないし図7に示すように、下部プレート3は、踵部Hから前足部Fまで延びる底壁部30と、踵部Hにおいて底壁部30の内甲側縁部および外甲側縁部に形成され、上方に延設された複数の巻上げ部31とを有している。ここでは、巻上げ部31は、下部プレート3の内甲側縁部および外甲側縁部にそれぞれ2つずつ設けられている。また、各巻上げ部31は、上部プレート2の各張出部22にそれぞれ対応する位置に配置されている。各巻上げ部31の上部は、上部プレート2の各張出部22の内側に挿入されている。言い換えれば、上部プレート2の各張出部22は、各巻上げ部31の上部外側面を覆うように配置されている。
【0062】
また、下部プレート3の底壁部30の踵部中央部位は、図4、図6および図7に示すように、上方に凸状に膨出する膨出部32を有している。膨出部32の上面には、上部プレート2の開孔20aを挿通しつつ下方に延びる、ミッドソール4の支柱40の先端が固着されている。下部プレート3の下面側の踵部中央部位には、膨出部32による凹部32’が形成されている(図1、図4、図6および図7参照)。
【0063】
図1および図9に示すように、下部プレート3の下面には、凹部32’を通って前後方向に延びる第1の溝33が形成されている。第1の溝33は、踵部H後端から中足部Mにかけて延設されている。また、下部プレート3の下面には、凹部32’を通って幅方向に延びる第2の溝34が形成されている。第2の溝34は、踵部Hの内甲側縁部から外甲側縁部まで延設されている。下部プレート3は、図4に示すように、踵部Hにおいて、前後方向に進む概略波形状を有している。この波形状は、2つの「下に凸」の部分(つまり谷の部分)と、これらの間に形成された「上に凸」の部分(つまり山の部分)とから形成されており、波形状の山の稜線は幅方向に延びている。また、波形状の山の部分により、第2の溝34が形成されている。
【0064】
図1ないし図3、図5、図6および図9に示すように、下部プレート3の下面には、種々のトレッドパターンが形成された、たとえばラバー製のアウトソール5が接着されている。踵部Hに配置された4つのアウトソール5A,5B,5C,5Dは、下部プレート3の下面において第1および第2の溝33,34によって区画された4つの領域に対応して設けられている。すなわち、踵部Hに配置されたアウトソール5は、幅方向のみならず、前後方向にも分離して設けられている。各アウトソール5A,5B,5C,5Dは、図5および図6に示すように、下部プレート3の巻上げ部31に沿って上方に延設されており、その上部は、上部プレート2の張出部22および巻上げ部31間の空隙内に挿入されるとともに、張出部22の内面に固着されている。
【0065】
このようにして、上部プレート2の各張出部22および下部プレート3の各巻上げ部31が、各アウトソール5の上方への延設部を介して互いに固着されており、これにより、上下部プレート2,3を連結する連結部が構成されている。
【0066】
また、図1ないし図3および図9に示すように、下部プレート3は、前足部Fにおいて、幅方向の溝36および実質的に前後方向の溝37を有している。下部プレート3に装着されるアウトソール5は、これらの溝36,37によって、複数のアウトソール5Eに分割されている。
【0067】
図2および図4に示すように、上下部プレート2,3間において、中足部Mには弾性ブロック6が設けられ、前足部Fには弾性ブロック7が設けられている。弾性ブロック7には、幅方向に貫通するクッション孔7aが形成されている。
【0068】
図4に示すように、ミッドソール4は、上面40bを有する底壁部40と、底壁部40の左右両側部に形成された上方への立上げ部41とから構成されている。上面40bには、図示しないシューズの甲被部の底部が固着される。
【0069】
上述のように構成されるソール構造体1においては、上下部プレート2,3間の少なくとも踵部Hに空隙Sが形成されているので、シューズ着地時にソール構造体1に衝撃荷重が作用した際には、この空隙Sにより、シューズのクッション性が確保される。
【0070】
しかも、下部プレート3の踵部中央部位に上方への凸状膨出部32が形成されていることにより、言い換えれば、この凸状膨出部32の形成によって下部プレート3の下面の踵部中央部位に凹部32’が形成されていることにより、シューズの踵部の周縁部から着地した際に下部プレート3が上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性を一層向上できる。
【0071】
なお、この場合には、シューズの踵部のアウトソール5A,5Bおよび5C,5Dが幅方向に分離されていることにより、シューズの踵部の内甲側または外甲側周縁部から着地した際には、下部プレート3が上下方向により変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性が助長されている。
【0072】
しかも、この場合には、上下部プレート2,3間の空隙Sに対応する位置(図5、図6参照)において内甲側縁部または外甲側縁部に、上下部プレート2,3を連結する少なくとも一つの連結部が設けられているので、サイドステップやターンなどの動作の際にシューズの踵部に横方向の荷重が作用したとき、上下部プレート2,3が上下方向に過度に沈み込むのを防止でき、これにより、シューズの踵部の横方向の安定性が向上できる。
【0073】
また、下部プレート3の下面には、凹部32’を通って前後方向に延びる第1の溝33が形成されているので、シューズの踵部の内甲側部分または外甲側部分から着地したとき、すなわち、第1の溝33を挟んで下部プレート3の踵部Hの左右いずれかの部分から接地したとき、下部プレート3の当該部分が第1の溝33の形成によって上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。
【0074】
さらに、下部プレートの下面には、凹部32’を通って幅方向に延びる第2の溝34が形成されているので、シューズの踵部の後端側部分から着地した際には、下部プレート3の踵部Hの後端側部分が上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。
【0075】
また、上下部プレート2,3間の踵中央部位には、上下方向に延びる弾性部材製の支柱40が配設されているので、シューズの着地時においてソール構造体1の踵部Hに荷重が作用した際には、上部プレート2からの下方への荷重が支柱40を介して下部プレート3の踵中央部位に作用する。
【0076】
これにより、下部プレート3の膨出部32が下方に押圧され、このとき、上下部プレート2,3の連結部が踵内方に変形しようとする(図6矢印参照)。その結果、上下部プレート2,3の連結部の剛性が向上して、上下部プレート2,3が下方に沈み込むのを防止できる。また、この場合には、シューズの着地時において上下部プレート2,3が変形する際には、上下部プレート2,3の踵中央部位が互いに接触して底付きを起こすのを防止でき、これにより、シューズ踵部位のクッション性を向上できる。
〔変形例1〕
前記実施例では、支柱40がミッドソール4と一体に設けられた例を示したが、本発明の適用はこれには限定されず、支柱40は、ミッドソール4とは別個に設けられた弾性部材から構成されていてもよい。
〔変形例2〕
前記実施例では、上下部プレート2,3が、踵中央部位において、支柱40を介して互いに連結された例を示したが、本発明は、上下部プレート2,3が、支柱40を介さずに直接接触して互いに固着されることにより、上下部プレート2,3が一体的に連結されているものにも適用可能である。
【0077】
この場合、シューズの着地時にソール構造体1の踵部Hに荷重が作用した際には、上部プレート2からの下方への荷重が直接下部プレート3の踵中央部位に作用して、下部プレート3の膨出部32が下方に押圧され、このとき、上下部プレート2,3の内甲(または外甲)側縁部の連結部が踵内方に変形しようとする。その結果、上下部プレート2,3の連結部の剛性が向上して、上下部プレート2,3が下方に沈み込むのを防止できる。
〔変形例3〕
前記実施例では、踵部Hにおいて、各アウトソール5を上方に延設した延設部を介して、上部プレート2の各張出部22および下部プレート3の各巻上げ部31が互いに連結された例を示したが、本発明の適用はこれには限定されない。
【0078】
各アウトソール5を上方に延設することなく、各張出部22の内側において各アウトソール5とは別個に弾性部材を設け、当該弾性部材を介して各張出部22および各巻上げ部31を連結するようにしてもよい。
【0079】
また、張出部22および巻上げ部31は、アウトソール5などの弾性部材を介することなく、直接固着されていてもよい。この場合には、張出部22の内側面が巻上げ部31の上部外側面を保持するように配置されるとともに、これらの面が直接接触して互いに固着されることになる。
〔変形例4〕
前記実施例では、上部プレート2に張出部22を形成し、張出部22の内側に配置されるように下部プレート3に巻上げ部31を形成するとともに、巻上げ部31の上部外側面に張出部22の内側面を連結するようにした例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0080】
上部プレート2の底壁部20の内甲側縁部または外甲側縁部から下方に延びる延設部を形成し、当該延設部の外側に配置されるように下部プレート3に巻上げ部を形成するとともに、延設部の外側面に巻上げ部の上部内側面を直接または間接的に(つまり弾性部材を介して)連結するようにしてもよい。
〔変形例5〕
前記実施例では、上下部プレート2,3を連結する連結部が、踵部Hにおいて内甲側縁部および外甲側縁部に前後方向の間隔を隔ててそれぞれ2つずつ計4個設けられた例を示したが、本発明の適用はこれには限定されない。
【0081】
連結部は、踵部Hの前側において内甲側縁部および外甲側縁部にそれぞれ1つずつ配置するとともに、踵部Hの後側縁部の中央に1つ配置することにより、計3個設けるようにしてもよい。より具体的には、下部プレート3に形成される前後方向の第1の溝33の後側終端位置を前記実施例のように踵部後端縁ではなく凹部32’の位置にするとともに、アウトソール5Cおよび5Dをつなげて一つのアウトソールにする。すなわち、この場合には、下部プレート3が、第1、第2の溝33,34によって3つの領域に区画されており、これら3つの領域にそれぞれ対応して3つのアウトソールが設けられている。そして、アウトソール5A,5Bの位置に前記実施例と同様の連結部をそれぞれ設けるとともに、アウトソール5C,5Dをつなげたアウトソールの踵部後側縁部に前記実施例と同様の連結部を設けるようにする。
【0082】
または、連結部は、踵部Hにおいて内甲側縁部および外甲側縁部に前後方向の間隔を隔ててそれぞれ3つずつ計6個設けるようにしてもよい。この場合には、下部プレート3の踵部中央部位を通る前後方向の第1の溝33を下部プレート3に形成するとともに、下部プレート3の踵部中央部位を挟んで前側および後側に前後方向の間隔を隔てて2本の第2の溝34を形成する。これにより、下部プレート3が6つの領域に区画されており、これら6つの領域にそれぞれ対応して6つのアウトソールが設けられている。そして、各アウトソールの位置に対応してそれぞれ連結部を設けるようにする。
【0083】
あるいは、連結部は、踵部Hの内甲側縁部および外甲側縁部にそれぞれ1つずつ計2個設けるようにしてもよい。この場合には、下部プレート3の踵部中央部位を通る前後方向の第1の溝33を下部プレート3に形成することにより、下部プレート3を第1の溝33を挟んで2つの領域に区画する。そして、これら2つの領域にそれぞれ対応して2つのアウトソールを設けるとともに、各アウトソールの位置に対応してそれぞれ連結部を設ける。
〔変形例6〕
前記実施例では、上部プレート2の張出部22が上部プレート2を側方に単に張り出すことにより構成された例を示したが、この張出部22の内側面または外側面に複数のリブを設けることにより、張出部22の剛性を高めるようにしてもよい。これらのリブは、たとえば、張出部22に一体に形成された、実質的に上下方向に延びる複数の凸条部から形成される。あるいは、張出部22として、カーボンまたはグラスファイバー入りの樹脂を用いるようにしてもよい。
〔変形例7〕
前記実施例では、下部プレート3の踵中央部位に形成される膨出部32(したがって凹部32’)の平面形状が概略円形状である場合を示したが(図1参照)、本発明の適用はこれには限定されない。
【0084】
図10に示すように、凹部32’(したがって膨出部32)は、実質的に前後方向に延びる長穴形状を有していてもよい。この場合、長穴形状の長軸方向Lと直交しつつ当該長穴形状の中心Oを通る線がシューズの内甲側縁部および外甲側縁部と交差する位置P,Qに連結部を配置するのが好ましい。あるいは、長穴形状の長軸Lと直交する線が、点P,Qの前側および(または)後側において、シューズの内甲側縁部および外甲側縁部と交差する位置に連結部を配置するようにしてもよい。
【0085】
これらの場合、シューズの着地時には、長穴形状を挟んで左右両側の部分が上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。
〔変形例8〕
前記実施例では、最も好ましい態様として、下部プレート3の踵部中央部位に上方への膨出部32を設けるとともに、下部プレート3の踵部下面においてアウトソール5を幅方向に分離して設けるようにした例を示したが、本発明は、膨出部32のみを設けるか、または幅方向に分離したアウトソール5のみを設ける場合にも同様に適用可能である。
【0086】
この場合には、下部プレートの踵部下面の内甲側および外甲側にアウトソール部またはクリーツ部が幅方向に分離して設けられているので、シューズの内甲側または外甲側から着地した際には、下部プレートが上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性を一層向上できる。さらに、この場合には、上下部プレート間の空隙Sに対応する位置において内甲側縁部または外甲側縁部に、上下部プレートの連結部が設けられているので、サイドステップやターンなどの動作の際にシューズの踵部に横方向の荷重が作用したとき、上下部プレートが上下方向に過度に変形するのを防止でき、これにより、シューズの踵部の横方向の安定性が向上できる。
〔変形例9〕
前記実施例では、支柱40を下部プレート3の踵部中央部位に配置した例を示したが、支柱40の位置は、踵部中央部位に限らず、下部プレート3の第1の溝33が形成された前後方向の領域、または第2の溝34が形成された幅方向の領域に対応する位置に配置するようにしてもよい。また、上下部プレート2,3を一体的に連結する位置も踵部中央部位に限らず、下部プレート3の第1の溝33が形成された前後方向の領域、または第2の溝34が形成された幅方向の領域に対応する位置において、上下部プレート2,3を連結するようにしてもよい。あるいは、第1、第2の溝33,34が設けられることなく、アウトソール5が幅方向(および前後方向)に分離して設けられている場合において、隣り合う各アウトソール5の間の位置に支柱を配設し、または隣り合う各アウトソール5の間の位置で上下部プレート2,3を連結するようにしてもよい。
〔変形例10〕
前記実施例では、支柱40の先端40aが下部プレート3に当接している例を示したが、本発明は、図11に示すように、支柱40の先端40aと下部プレート3との間に隙間が形成されているものにも同様に適用できる。この場合には、下部プレート3の上下方向の変形量が増えるので、クッション性をさらに向上できる。
〔変形例11〕
前記実施例および前記各変形例では、下部プレートの下面に複数のアウトソールが設けられた例を示したが、本発明は、アウトソールの代わりにクリーツ(スタッド)が設けられたクリーツシューズにも同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施例によるシューズ用ソール構造体の底面図である。
【図2】ソール構造体(図1)の外甲側側面図である。
【図3】ソール構造体(図1)の内甲側側面図である。
【図4】図1のIV-IV線断面図である。
【図5】図1のV-V線断面図である。
【図6】図1のVI-VI線断面図である。
【図7】図1のVII-VII線断面図である。
【図8】ソール構造体(図1)の斜視側面図である。
【図9】ソール構造体(図1)の斜視底面図である。
【図10】ソール構造体(図1)において、膨出部の変形例を示す底面概略図である。
【図11】図6の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
1: ソール構造体
2: 上部プレート
20a: 開孔(貫通孔)
22: 張出部
3: 下部プレート
31: 巻上げ部
32: 膨出部
32’: 凹部
33: 第1の溝
34: 第2の溝
4: ミッドソール
40: 支柱
5: アウトソール
5A〜5E: アウトソール
S: 空隙
F: 前足部
M: 中足部
H: 踵部
【技術分野】
【0001】
本発明は、シューズのソール構造体に関し、詳細には、シューズのクッション性を確保しつつとくに踵部の横方向の安定性を向上させるための構造の改良に関し、とくにインドアシューズに好適のソール構造体を提供する。
【背景技術】
【0002】
シューズのソール構造において、クッション性を向上させるものとして、たとえば国際公開第2006/070549号パンフレットに示すようなものが提案されている。同パンフレットに示すソール構造体は、ソール構造体の上方に配設された上部プレートと、上部プレートとの間に一定の空隙を隔てて下方に配設された下部プレートと、上下部プレート間の空隙に設けられ、上下部プレートを上下方向に連結するクッションバーとから構成されている。クッションバーは、上下部プレートの幅方向全長にわたって延設されているか、または上下部プレートの幅方向両端に配置されている。
【0003】
このような従来のソール構造体において、シューズの着地時にソール構造体に衝撃荷重が作用した際には、上下部プレート間に形成された空隙によって、クッション性が確保される。
【0004】
しかしながら、前記従来のソール構造では、空隙による開口が上下部プレートの内甲側端および外甲側端に形成されており、このため、サイドステップやターンなどの動作の際にシューズのとくに踵部に横方向の荷重が作用した場合に、上下部プレートの内甲側端および外甲側端が上下方向に過度に変形する結果、踵部の横方向の安定性が確保できなくなる恐れがある。前記従来構造では、上下部プレート間において幅方向全長または幅方向両端にクッションバーを配置しているが、このようなクッションバーのみでは、踵部の横方向の安定性が確保するには限界があることがその後の研究で明らかになってきた。
【特許文献1】国際公開第2006/070549号パンフレット(第1A図、第1B図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シューズのクッション性を確保しつつ、とくに踵部の横方向の安定性を向上させることができるソール構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明に係るシューズのソール構造体は、シューズの少なくとも踵部において、上方に配設された板状の上部プレートと、上部プレートとの間に空隙を形成しつつ下方に配設されるとともに、その踵部中央部位において上方に凸状に膨出する膨出部を有する板状の下部プレートと、上下部プレート間において空隙の形成個所に対応してシューズの内甲側縁部または外甲側縁部に配設され、上下部プレートを連結する少なくとも一つの連結部とを備えている。
【0007】
請求項2の発明では、請求項1において、下部プレートが、膨出部による凹部を通って前後方向に延びる第1の溝を下面に有している。
【0008】
請求項3の発明では、請求項2において、下部プレートが、幅方向に延びる1つまたは2つ以上の第2の溝を下面に有している。
【0009】
請求項4の発明では、請求項3において、下部プレートが、幅方向に延びる稜線を有しかつ前後方向に進む波形状を有しており、第2の溝が、波形状の山の部分により形成されている。
【0010】
請求項5の発明では、請求項3において、下部プレートが、第1および第2の溝により3つ以上の領域に区画されており、下部プレートの下面には、各領域に対応して3つ以上のアウトソール部またはクリーツ部が設けられている。
【0011】
請求項6の発明では、請求項5において、上下部プレートを連結する連結部が各領域に対応して3つ以上の個所に設けられている。
【0012】
請求項7の発明では、請求項1において、膨出部により下部プレートの下面の踵部中央部位に形成される凹部が、実質的に前後方向に延びる長穴形状を有しており、長穴形状の長軸方向と直交する線がシューズの内甲側縁部または外甲側縁部と交差する位置に前記連結部が配置されている。
【0013】
請求項8の発明に係るシューズのソール構造体は、シューズの少なくとも踵部において、上方に配設された板状の上部プレートと、上部プレートとの間に空隙を形成しつつ下方に配設された板状の下部プレートと、上下部プレート間において空隙の形成個所に対応してシューズの内甲側縁部または外甲側縁部に配設され、上下部プレートを連結する少なくとも一つの連結部と、下部プレートの踵部下面において、幅方向に分離してシューズの内甲側および外甲側にそれぞれ設けられたアウトソール部またはクリーツ部とを備えている。
【0014】
請求項9では、請求項8において、下部プレートが、前後方向に延びる第1の溝を踵部下面の幅方向中央に有している。
【0015】
請求項10の発明では、請求項9において、下部プレートが、幅方向に延びる1つまたは2つ以上の第2の溝を踵部下面の前後方向中央に有している。
【0016】
請求項11の発明では、請求項10において、下部プレートが、幅方向に延びる稜線を有しかつ前後方向に進む波形状を有しており、第2の屈曲溝が、波形状の山の部分により形成されている。
【0017】
請求項12の発明では、請求項10において、下部プレートが、第1および第2の溝により3つ以上の領域に区画されており、下部プレートの下面には、各領域に対応して3つ以上のアウトソール部またはクリーツ部が設けられている。
【0018】
請求項13の発明では、請求項12において、上下部プレートを連結する連結部が各領域に対応して3つ以上の個所に設けられている。
【0019】
請求項14の発明では、請求項1または8において、踵中央部位において上下部プレート間には、上下方向に延びる弾性部材製の支柱が配設されている。
【0020】
請求項15の発明では、請求項1または8において、踵中央部位において上下部プレートが一体的に連結されている。
【0021】
請求項16の発明では、請求項14において、上部プレートの上方には、軟質弾性部材製のミッドソールが配設されており、ミッドソールの一部が、上部プレートの前記踵中央部位に形成された貫通孔を通って下方に延設されることにより支柱が形成されており、支柱の先端が前記下部プレートの上面に当接している。
【0022】
請求項17の発明では、請求項2、3、9または10のいずれかにおいて、第1または第2の溝に対応する位置、あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置において、上下部プレート間には、上下方向に延びる弾性部材製の支柱が配設されている。
【0023】
請求項18の発明では、請求項2、3、9または10のいずれかにおいて、第1または第2の溝に対応する位置、あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置において、上下部プレートが一体的に連結されている。
【0024】
請求項19の発明では、請求項17において、上部プレートの上方には、軟質弾性部材製のミッドソールが配設されており、ミッドソールの一部が、上部プレートの踵部に形成された貫通孔を通って下方に延設されることにより支柱が形成されており、支柱の先端が前記下部プレートの上面に当接している。
【0025】
請求項20の発明では、請求項1または8において、連結部が、下部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から上方に一体に延設された延設部と、上部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から側方に張り出すとともに延設部の外側面を外側から保持する張出部とから構成されており、延設部が張出部の内側面に固着されている。
【0026】
請求項21の発明では、請求項1または8において、連結部が、上部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から下方に一体に延設された延設部と、下部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から側方に張り出すとともに延設部の外側面を外側から保持する張出部とから構成されており、延設部が張出部の内側面に固着されている。
【0027】
請求項22の発明では、請求項20または21において、連結部の延設部が、弾性部材を介して前記張出部に固着されている。
【0028】
請求項23の発明では、請求項22において、弾性部材が、下部プレートの下面に配設されたアウトソール部を上方に延設して設けられている。
【0029】
請求項24の発明では、請求項1または8において、連結部が、シューズの踵部の内甲側縁部および外甲側縁部に前後方向の間隔を隔ててそれぞれ2つずつ設けられている。
【0030】
請求項1の発明によれば、上下部プレート間の空隙の形成個所に対応して内甲側縁部または外甲側縁部に、上下部プレートの連結部が設けられているので、サイドステップやターンなどの動作の際にシューズの踵部の周縁部に横方向の荷重が作用したとき、ソール外周部が上下方向に過度に変形するのを防止でき、これにより、シューズの踵部の横方向の安定性を向上できる。さらに、この場合には、上下部プレート間の少なくとも踵部に空隙が形成されているので、シューズ着地時のクッション性を確保できるとともに、下部プレートの踵部中央部位に上方への凸状膨出部が形成されていることにより、言い換えれば、この凸状膨出部の形成によって下部プレートの下面の踵部中央部位に凹部が形成されていることにより、シューズの踵部の周縁部から着地した際には、下部プレートが上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性を一層向上できる。
【0031】
請求項2の発明では、請求項1において、下部プレートが、膨出部による凹部を通って前後方向に延びる第1の溝を下面に有しているので、シューズの踵部の内甲側部分または外甲側部分から着地した際には、第1の溝を挟んで下部プレートの踵部の左右いずれかの部分から接地することになり、このとき、下部プレートの当該部分が上下方向に変形しやすくなっているので、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。なお、本明細書中において「前後方向」とは、ラスト(靴型)中心線と一致する方向のみならず、これと角度をなす実質的な足長方向を含む趣旨である。これは、内甲側または外甲側のいずれかの側に偏った荷重を中心側に戻すようにするためである。
【0032】
請求項3の発明では、請求項2において、下部プレートが、幅方向に延びる1つまたは2つ以上の第2の溝を下面に有しているので、シューズの踵後端から着地した際には、第2の溝を挟んで踵後端側の部分が上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。なお、本明細書中において「幅方向」とは、ラスト中心線と直交する方向のみならず、これと角度をなす実質的な足幅方向を含む趣旨である。
【0033】
請求項4の発明では、請求項3において、下部プレートが、幅方向に延びる稜線を有しかつ前後方向に進む波形状を有しており、第2の溝が、波形状の山の部分により形成されている。
【0034】
請求項5の発明では、請求項3において、下部プレートが、第1および第2の溝により3つ以上の領域に区画されており、下部プレートの下面には、各領域に対応して3つ以上のアウトソール部またはクリーツ部が設けられている。
【0035】
請求項6の発明では、請求項5において、上下部プレートを連結する連結部が各領域に対応して3つ以上の個所に設けられている。
【0036】
請求項7の発明では、請求項1において、膨出部により下部プレートの下面の踵部中央部位に形成される凹部が、実質的に前後方向に延びる長穴形状を有しており、長穴形状の長軸方向と直交する線がシューズの内甲側縁部または外甲側縁部と交差する位置に前記連結部が配置されている。
【0037】
この場合には、シューズの着地時には、長穴形状を挟んで左右両側の部分が上下方向に変形しやすくなっており、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できるとともに、サイドステップ等の横方向の動きによるソール外周部分の過度の沈み込みを連結部によって規制できる。
【0038】
請求項8の発明に係るシューズのソール構造体は、シューズの少なくとも踵部において、上方に配設された板状の上部プレートと、上部プレートとの間に空隙を形成しつつ下方に配設された板状の下部プレートと、上下部プレート間において空隙の形成個所に対応してシューズの内甲側縁部または外甲側縁部に配設され、上下部プレートを連結する少なくとも一つの連結部と、下部プレートの踵部下面において、幅方向に分離してシューズの内甲側および外甲側にそれぞれ設けられたアウトソール部またはクリーツ部とを備えている
請求項8の発明では、上下部プレート間の少なくとも踵部に空隙が形成されているので、シューズ着地時のクッション性が確保される。しかも、この場合には、下部プレートの踵部下面の内甲側および外甲側にアウトソール部またはクリーツ部が幅方向に分離して設けられているので、シューズの内甲側または外甲側から着地した際には、下部プレートが上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性を一層向上できる。さらに、この場合には、上下部プレート間の空隙の形成個所に対応して内甲側縁部または外甲側縁部に、上下部プレートの連結部が設けられているので、サイドステップやターンなどの動作の際にシューズの踵部に横方向の荷重が作用したとき、上下部プレートが上下方向に過度に変形するのを防止でき、これにより、シューズの踵部の横方向の安定性が向上できる。
【0039】
請求項9の発明では、請求項8において、下部プレートが、前後方向に延びる第1の溝を踵部下面の幅方向中央に有しているので、シューズの着地時には、第1の溝を挟んで左右両側の部分が上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。
【0040】
請求項10の発明では、請求項9において、下部プレートが、幅方向に延びる1つまたは2つ以上の第2の溝を踵部下面の前後方向中央に有しているので、シューズの踵後端から着地した際には、第2の溝を挟んで踵後端側の部分が上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。
【0041】
請求項11の発明では、請求項10において、下部プレートが、幅方向に延びる稜線を有しかつ前後方向に進む波形状を有しており、第2の溝が、波形状の山の部分により形成されている。
【0042】
請求項12の発明では、請求項10において、下部プレートが、第1および第2の溝により3つ以上の領域に区画されており、下部プレートの下面には、各領域に対応して3つ以上のアウトソール部またはクリーツ部が設けられている。
【0043】
請求項13の発明では、請求項12において、上下部プレートを連結する連結部が各領域に対応して3つ以上の個所に設けられている。
【0044】
請求項14の発明では、請求項1または8において、上下方向に延びる弾性部材製の支柱が上下部プレート間の踵中央部位に配設されているので、シューズの着地時においてソール構造体の踵部に荷重が作用した際には、上部プレートからの下方への荷重が支柱を介して下部プレートの踵中央部位に作用する。これにより、下部プレートの膨出部が下方に押圧され、このとき、上下部プレートの内甲(または外甲)側縁部の連結部が踵内方に変形しようとする。その結果、上下部プレートの連結部の剛性が向上して、ソール外周部分が下方に沈み込むのを防止できる。また、この場合には、シューズの着地時において上下部プレートが変形する際には、上下部プレートの踵中央部位が互いに接触して底付きを起こすのを防止でき、これにより、シューズ踵部位のクッション性を向上できる。
【0045】
なお、請求項15の発明に記載されているように、上下部プレートは、支柱を介さずに、踵中央部位において一体的に連結されていてもよい。この場合、シューズの着地時にソール構造体の踵部に荷重が作用した際には、上部プレートからの下方への荷重が直接下部プレートの踵中央部位に作用して、下部プレートの膨出部が下方に押圧され、このとき、上下部プレートの内甲(または外甲)側縁部の連結部が踵内方に変形しようとする。その結果、上下部プレートの連結部の剛性が向上して、ソール外周部分が下方に沈み込むのを防止できる。
【0046】
また、弾性部材製の支柱は、請求項16の発明に記載されているように、上部プレートの上方に配設された軟質弾性部材製のミッドソールの一部を、上部プレートの踵中央部位に形成された貫通孔を通って下方に延設することにより形成するようにしてもよい。
【0047】
請求項17の発明では、請求項2、3、8、9または10のいずれかにおいて、上下方向に延びる弾性部材製の支柱が、上下部プレート間において第1または第2の溝に対応する位置(あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置)に配設されているので、シューズの着地時においてソール構造体の踵部に荷重が作用した際には、上部プレートからの下方への荷重が支柱を介して下部プレートの踵部の各溝に対応する位置(あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置)に作用する。これにより、下部プレートが下方に押圧され、このとき、上下部プレートの内甲(または外甲)側縁部の連結部が踵内方に変形しようとする。その結果、上下部プレートの連結部の剛性が向上して、ソール外周部分が下方に沈み込むのを防止できる。また、この場合には、シューズの着地時において上下部プレートが変形する際には、上下部プレートが互いに接触して底付きを起こすのを防止でき、これにより、シューズ踵部位のクッション性を向上できる。
【0048】
なお、請求項18の発明に記載されているように、上下部プレートは、支柱を介さずに、踵部の第1または第2の溝に対応する位置(あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置)において、一体的に連結されていてもよい。この場合、シューズの着地時にソール構造体の踵部に荷重が作用した際には、上部プレートからの下方への荷重が直接下部プレートの踵部の各溝に対応する位置(あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置)に作用して、下部プレートが下方に押圧され、このとき、上下部プレートの内甲(または外甲)側縁部の連結部が踵内方に変形しようとする。その結果、上下部プレートの連結部の剛性が向上して、ソール外周部分が下方に沈み込むのを防止できる。
【0049】
また、弾性部材製の支柱は、請求項19の発明に記載されているように、上部プレートの上方に配設された軟質弾性部材製のミッドソールの一部を、上部プレートの踵部に形成された貫通孔を通って下方に延設することにより形成するようにしてもよい。
【0050】
請求項20の発明では、請求項1または8において、連結部が、下部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から上方に一体に延設された延設部と、上部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から側方に張り出すとともに延設部の外側面を外側から保持する張出部とから構成されており、延設部が張出部の内側面に固着されている。
【0051】
請求項21の発明では、請求項1または8において、連結部が、上部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から下方に一体に延設された延設部と、下部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から側方に張り出すとともに延設部の外側面を外側から保持する張出部とから構成されており、延設部が張出部の内側面に固着されている。
【0052】
請求項22の発明では、請求項20または21において、連結部の延設部が、弾性部材を介して前記張出部に固着されている。
【0053】
請求項23の発明では、請求項22において、弾性部材が、下部プレートの下面に配設されたアウトソール部を上方に延設して設けられている。
【0054】
請求項24の発明では、請求項1または8において、連結部が、シューズの踵部の内甲側縁部および外甲側縁部に前後方向の間隔を隔ててそれぞれ2つずつ設けられている。
【発明の効果】
【0055】
以上のように本発明に係るソール構造体によれば、上下方向の空隙を隔てて板状の上下部プレートを配設し、上下部プレートの内甲側縁部または外甲側縁部において空隙の形成個所に対応して上下部プレートの連結部を設けるとともに、下部プレートの踵部中央部位に上方への凸状膨出部を形成する(または下部プレートの踵部下面の内甲側および外甲側にアウトソール部またはクリーツ部を幅方向に分離して設ける)ようにしたので、シューズのクッション性を確保しつつとくに踵部の横方向の安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0057】
図1ないし図9は、本発明の一実施例によるシューズ用ソール構造体を説明するための図であって、図1はソール構造体の底面図、図2はソール構造体の外甲側側面図、図3はソール構造体の内甲側側面図、図4はソール構造体のIV-IV線断面図(ラスト中心線縦断面図)、図5は図1のV-V線断面図、図6は図1のVI-VI線断面図、図7は図1のVII-VII線断面図、図8はソール構造体の斜視側面図、図9はソール構造体の斜視底面図である。
【0058】
図1ないし図9に示すように、ソール構造体1は、上方(図8上方)に配設された、たとえば硬質樹脂製の板状上部プレート2と、上部プレート2との間に上下方向の空隙Sを形成しつつ下方(同図下方)に配設された、たとえば硬質樹脂製の板状下部プレート3とを有している。上部プレート2の上には、軟質弾性部材製のミッドソール4が設けられている。上部プレート2および下部プレート3は、いずれもソール構造体1の少なくとも踵部Hに設けられており、本実施例では、いずれも踵部Hから中足部Mを通って前足部Fの先端近傍まで延設されている。
【0059】
図4ないし図7に示すように、上部プレート2は、踵部Hから前足部Fまで概ね平坦状に延びる底壁部20と、底壁部20の内甲側縁部および外甲側縁部から上方に巻き上げられた側壁部21とを有している。底壁部20の踵中央部位には、開孔20aが形成されている。一方、ミッドソール4の踵中央部位には、下方に突出する支柱40が形成されている。支柱40は、たとえば載頭円錐台形状を有しており、上部プレート2の底壁部20の開孔20aを挿通しつつ下方に延びている。支柱40の先端40aは、下部プレート3に当接している。
【0060】
また、上部プレート2の踵部Hには、図2、図3、図5、図6および図8に示すように、側方に張り出す張出部22が内甲側縁部および外甲側縁部に形成されている。ここでは、張出部22は、上部プレート2の内甲側縁部および外甲側縁部にそれぞれ2つずつ設けられている。各張出部22は、上部プレート2の側壁部21から側方に膨出形成されている。
【0061】
図4ないし図7に示すように、下部プレート3は、踵部Hから前足部Fまで延びる底壁部30と、踵部Hにおいて底壁部30の内甲側縁部および外甲側縁部に形成され、上方に延設された複数の巻上げ部31とを有している。ここでは、巻上げ部31は、下部プレート3の内甲側縁部および外甲側縁部にそれぞれ2つずつ設けられている。また、各巻上げ部31は、上部プレート2の各張出部22にそれぞれ対応する位置に配置されている。各巻上げ部31の上部は、上部プレート2の各張出部22の内側に挿入されている。言い換えれば、上部プレート2の各張出部22は、各巻上げ部31の上部外側面を覆うように配置されている。
【0062】
また、下部プレート3の底壁部30の踵部中央部位は、図4、図6および図7に示すように、上方に凸状に膨出する膨出部32を有している。膨出部32の上面には、上部プレート2の開孔20aを挿通しつつ下方に延びる、ミッドソール4の支柱40の先端が固着されている。下部プレート3の下面側の踵部中央部位には、膨出部32による凹部32’が形成されている(図1、図4、図6および図7参照)。
【0063】
図1および図9に示すように、下部プレート3の下面には、凹部32’を通って前後方向に延びる第1の溝33が形成されている。第1の溝33は、踵部H後端から中足部Mにかけて延設されている。また、下部プレート3の下面には、凹部32’を通って幅方向に延びる第2の溝34が形成されている。第2の溝34は、踵部Hの内甲側縁部から外甲側縁部まで延設されている。下部プレート3は、図4に示すように、踵部Hにおいて、前後方向に進む概略波形状を有している。この波形状は、2つの「下に凸」の部分(つまり谷の部分)と、これらの間に形成された「上に凸」の部分(つまり山の部分)とから形成されており、波形状の山の稜線は幅方向に延びている。また、波形状の山の部分により、第2の溝34が形成されている。
【0064】
図1ないし図3、図5、図6および図9に示すように、下部プレート3の下面には、種々のトレッドパターンが形成された、たとえばラバー製のアウトソール5が接着されている。踵部Hに配置された4つのアウトソール5A,5B,5C,5Dは、下部プレート3の下面において第1および第2の溝33,34によって区画された4つの領域に対応して設けられている。すなわち、踵部Hに配置されたアウトソール5は、幅方向のみならず、前後方向にも分離して設けられている。各アウトソール5A,5B,5C,5Dは、図5および図6に示すように、下部プレート3の巻上げ部31に沿って上方に延設されており、その上部は、上部プレート2の張出部22および巻上げ部31間の空隙内に挿入されるとともに、張出部22の内面に固着されている。
【0065】
このようにして、上部プレート2の各張出部22および下部プレート3の各巻上げ部31が、各アウトソール5の上方への延設部を介して互いに固着されており、これにより、上下部プレート2,3を連結する連結部が構成されている。
【0066】
また、図1ないし図3および図9に示すように、下部プレート3は、前足部Fにおいて、幅方向の溝36および実質的に前後方向の溝37を有している。下部プレート3に装着されるアウトソール5は、これらの溝36,37によって、複数のアウトソール5Eに分割されている。
【0067】
図2および図4に示すように、上下部プレート2,3間において、中足部Mには弾性ブロック6が設けられ、前足部Fには弾性ブロック7が設けられている。弾性ブロック7には、幅方向に貫通するクッション孔7aが形成されている。
【0068】
図4に示すように、ミッドソール4は、上面40bを有する底壁部40と、底壁部40の左右両側部に形成された上方への立上げ部41とから構成されている。上面40bには、図示しないシューズの甲被部の底部が固着される。
【0069】
上述のように構成されるソール構造体1においては、上下部プレート2,3間の少なくとも踵部Hに空隙Sが形成されているので、シューズ着地時にソール構造体1に衝撃荷重が作用した際には、この空隙Sにより、シューズのクッション性が確保される。
【0070】
しかも、下部プレート3の踵部中央部位に上方への凸状膨出部32が形成されていることにより、言い換えれば、この凸状膨出部32の形成によって下部プレート3の下面の踵部中央部位に凹部32’が形成されていることにより、シューズの踵部の周縁部から着地した際に下部プレート3が上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性を一層向上できる。
【0071】
なお、この場合には、シューズの踵部のアウトソール5A,5Bおよび5C,5Dが幅方向に分離されていることにより、シューズの踵部の内甲側または外甲側周縁部から着地した際には、下部プレート3が上下方向により変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性が助長されている。
【0072】
しかも、この場合には、上下部プレート2,3間の空隙Sに対応する位置(図5、図6参照)において内甲側縁部または外甲側縁部に、上下部プレート2,3を連結する少なくとも一つの連結部が設けられているので、サイドステップやターンなどの動作の際にシューズの踵部に横方向の荷重が作用したとき、上下部プレート2,3が上下方向に過度に沈み込むのを防止でき、これにより、シューズの踵部の横方向の安定性が向上できる。
【0073】
また、下部プレート3の下面には、凹部32’を通って前後方向に延びる第1の溝33が形成されているので、シューズの踵部の内甲側部分または外甲側部分から着地したとき、すなわち、第1の溝33を挟んで下部プレート3の踵部Hの左右いずれかの部分から接地したとき、下部プレート3の当該部分が第1の溝33の形成によって上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。
【0074】
さらに、下部プレートの下面には、凹部32’を通って幅方向に延びる第2の溝34が形成されているので、シューズの踵部の後端側部分から着地した際には、下部プレート3の踵部Hの後端側部分が上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。
【0075】
また、上下部プレート2,3間の踵中央部位には、上下方向に延びる弾性部材製の支柱40が配設されているので、シューズの着地時においてソール構造体1の踵部Hに荷重が作用した際には、上部プレート2からの下方への荷重が支柱40を介して下部プレート3の踵中央部位に作用する。
【0076】
これにより、下部プレート3の膨出部32が下方に押圧され、このとき、上下部プレート2,3の連結部が踵内方に変形しようとする(図6矢印参照)。その結果、上下部プレート2,3の連結部の剛性が向上して、上下部プレート2,3が下方に沈み込むのを防止できる。また、この場合には、シューズの着地時において上下部プレート2,3が変形する際には、上下部プレート2,3の踵中央部位が互いに接触して底付きを起こすのを防止でき、これにより、シューズ踵部位のクッション性を向上できる。
〔変形例1〕
前記実施例では、支柱40がミッドソール4と一体に設けられた例を示したが、本発明の適用はこれには限定されず、支柱40は、ミッドソール4とは別個に設けられた弾性部材から構成されていてもよい。
〔変形例2〕
前記実施例では、上下部プレート2,3が、踵中央部位において、支柱40を介して互いに連結された例を示したが、本発明は、上下部プレート2,3が、支柱40を介さずに直接接触して互いに固着されることにより、上下部プレート2,3が一体的に連結されているものにも適用可能である。
【0077】
この場合、シューズの着地時にソール構造体1の踵部Hに荷重が作用した際には、上部プレート2からの下方への荷重が直接下部プレート3の踵中央部位に作用して、下部プレート3の膨出部32が下方に押圧され、このとき、上下部プレート2,3の内甲(または外甲)側縁部の連結部が踵内方に変形しようとする。その結果、上下部プレート2,3の連結部の剛性が向上して、上下部プレート2,3が下方に沈み込むのを防止できる。
〔変形例3〕
前記実施例では、踵部Hにおいて、各アウトソール5を上方に延設した延設部を介して、上部プレート2の各張出部22および下部プレート3の各巻上げ部31が互いに連結された例を示したが、本発明の適用はこれには限定されない。
【0078】
各アウトソール5を上方に延設することなく、各張出部22の内側において各アウトソール5とは別個に弾性部材を設け、当該弾性部材を介して各張出部22および各巻上げ部31を連結するようにしてもよい。
【0079】
また、張出部22および巻上げ部31は、アウトソール5などの弾性部材を介することなく、直接固着されていてもよい。この場合には、張出部22の内側面が巻上げ部31の上部外側面を保持するように配置されるとともに、これらの面が直接接触して互いに固着されることになる。
〔変形例4〕
前記実施例では、上部プレート2に張出部22を形成し、張出部22の内側に配置されるように下部プレート3に巻上げ部31を形成するとともに、巻上げ部31の上部外側面に張出部22の内側面を連結するようにした例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0080】
上部プレート2の底壁部20の内甲側縁部または外甲側縁部から下方に延びる延設部を形成し、当該延設部の外側に配置されるように下部プレート3に巻上げ部を形成するとともに、延設部の外側面に巻上げ部の上部内側面を直接または間接的に(つまり弾性部材を介して)連結するようにしてもよい。
〔変形例5〕
前記実施例では、上下部プレート2,3を連結する連結部が、踵部Hにおいて内甲側縁部および外甲側縁部に前後方向の間隔を隔ててそれぞれ2つずつ計4個設けられた例を示したが、本発明の適用はこれには限定されない。
【0081】
連結部は、踵部Hの前側において内甲側縁部および外甲側縁部にそれぞれ1つずつ配置するとともに、踵部Hの後側縁部の中央に1つ配置することにより、計3個設けるようにしてもよい。より具体的には、下部プレート3に形成される前後方向の第1の溝33の後側終端位置を前記実施例のように踵部後端縁ではなく凹部32’の位置にするとともに、アウトソール5Cおよび5Dをつなげて一つのアウトソールにする。すなわち、この場合には、下部プレート3が、第1、第2の溝33,34によって3つの領域に区画されており、これら3つの領域にそれぞれ対応して3つのアウトソールが設けられている。そして、アウトソール5A,5Bの位置に前記実施例と同様の連結部をそれぞれ設けるとともに、アウトソール5C,5Dをつなげたアウトソールの踵部後側縁部に前記実施例と同様の連結部を設けるようにする。
【0082】
または、連結部は、踵部Hにおいて内甲側縁部および外甲側縁部に前後方向の間隔を隔ててそれぞれ3つずつ計6個設けるようにしてもよい。この場合には、下部プレート3の踵部中央部位を通る前後方向の第1の溝33を下部プレート3に形成するとともに、下部プレート3の踵部中央部位を挟んで前側および後側に前後方向の間隔を隔てて2本の第2の溝34を形成する。これにより、下部プレート3が6つの領域に区画されており、これら6つの領域にそれぞれ対応して6つのアウトソールが設けられている。そして、各アウトソールの位置に対応してそれぞれ連結部を設けるようにする。
【0083】
あるいは、連結部は、踵部Hの内甲側縁部および外甲側縁部にそれぞれ1つずつ計2個設けるようにしてもよい。この場合には、下部プレート3の踵部中央部位を通る前後方向の第1の溝33を下部プレート3に形成することにより、下部プレート3を第1の溝33を挟んで2つの領域に区画する。そして、これら2つの領域にそれぞれ対応して2つのアウトソールを設けるとともに、各アウトソールの位置に対応してそれぞれ連結部を設ける。
〔変形例6〕
前記実施例では、上部プレート2の張出部22が上部プレート2を側方に単に張り出すことにより構成された例を示したが、この張出部22の内側面または外側面に複数のリブを設けることにより、張出部22の剛性を高めるようにしてもよい。これらのリブは、たとえば、張出部22に一体に形成された、実質的に上下方向に延びる複数の凸条部から形成される。あるいは、張出部22として、カーボンまたはグラスファイバー入りの樹脂を用いるようにしてもよい。
〔変形例7〕
前記実施例では、下部プレート3の踵中央部位に形成される膨出部32(したがって凹部32’)の平面形状が概略円形状である場合を示したが(図1参照)、本発明の適用はこれには限定されない。
【0084】
図10に示すように、凹部32’(したがって膨出部32)は、実質的に前後方向に延びる長穴形状を有していてもよい。この場合、長穴形状の長軸方向Lと直交しつつ当該長穴形状の中心Oを通る線がシューズの内甲側縁部および外甲側縁部と交差する位置P,Qに連結部を配置するのが好ましい。あるいは、長穴形状の長軸Lと直交する線が、点P,Qの前側および(または)後側において、シューズの内甲側縁部および外甲側縁部と交差する位置に連結部を配置するようにしてもよい。
【0085】
これらの場合、シューズの着地時には、長穴形状を挟んで左右両側の部分が上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性をより一層向上できる。
〔変形例8〕
前記実施例では、最も好ましい態様として、下部プレート3の踵部中央部位に上方への膨出部32を設けるとともに、下部プレート3の踵部下面においてアウトソール5を幅方向に分離して設けるようにした例を示したが、本発明は、膨出部32のみを設けるか、または幅方向に分離したアウトソール5のみを設ける場合にも同様に適用可能である。
【0086】
この場合には、下部プレートの踵部下面の内甲側および外甲側にアウトソール部またはクリーツ部が幅方向に分離して設けられているので、シューズの内甲側または外甲側から着地した際には、下部プレートが上下方向に変形しやすくなっており、これにより、シューズ着地時のクッション性を一層向上できる。さらに、この場合には、上下部プレート間の空隙Sに対応する位置において内甲側縁部または外甲側縁部に、上下部プレートの連結部が設けられているので、サイドステップやターンなどの動作の際にシューズの踵部に横方向の荷重が作用したとき、上下部プレートが上下方向に過度に変形するのを防止でき、これにより、シューズの踵部の横方向の安定性が向上できる。
〔変形例9〕
前記実施例では、支柱40を下部プレート3の踵部中央部位に配置した例を示したが、支柱40の位置は、踵部中央部位に限らず、下部プレート3の第1の溝33が形成された前後方向の領域、または第2の溝34が形成された幅方向の領域に対応する位置に配置するようにしてもよい。また、上下部プレート2,3を一体的に連結する位置も踵部中央部位に限らず、下部プレート3の第1の溝33が形成された前後方向の領域、または第2の溝34が形成された幅方向の領域に対応する位置において、上下部プレート2,3を連結するようにしてもよい。あるいは、第1、第2の溝33,34が設けられることなく、アウトソール5が幅方向(および前後方向)に分離して設けられている場合において、隣り合う各アウトソール5の間の位置に支柱を配設し、または隣り合う各アウトソール5の間の位置で上下部プレート2,3を連結するようにしてもよい。
〔変形例10〕
前記実施例では、支柱40の先端40aが下部プレート3に当接している例を示したが、本発明は、図11に示すように、支柱40の先端40aと下部プレート3との間に隙間が形成されているものにも同様に適用できる。この場合には、下部プレート3の上下方向の変形量が増えるので、クッション性をさらに向上できる。
〔変形例11〕
前記実施例および前記各変形例では、下部プレートの下面に複数のアウトソールが設けられた例を示したが、本発明は、アウトソールの代わりにクリーツ(スタッド)が設けられたクリーツシューズにも同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施例によるシューズ用ソール構造体の底面図である。
【図2】ソール構造体(図1)の外甲側側面図である。
【図3】ソール構造体(図1)の内甲側側面図である。
【図4】図1のIV-IV線断面図である。
【図5】図1のV-V線断面図である。
【図6】図1のVI-VI線断面図である。
【図7】図1のVII-VII線断面図である。
【図8】ソール構造体(図1)の斜視側面図である。
【図9】ソール構造体(図1)の斜視底面図である。
【図10】ソール構造体(図1)において、膨出部の変形例を示す底面概略図である。
【図11】図6の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
1: ソール構造体
2: 上部プレート
20a: 開孔(貫通孔)
22: 張出部
3: 下部プレート
31: 巻上げ部
32: 膨出部
32’: 凹部
33: 第1の溝
34: 第2の溝
4: ミッドソール
40: 支柱
5: アウトソール
5A〜5E: アウトソール
S: 空隙
F: 前足部
M: 中足部
H: 踵部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シューズのソール構造体であって、
シューズの少なくとも踵部において、上方に配設された板状の上部プレートと、
前記上部プレートとの間に空隙を形成しつつ下方に配設されるとともに、その踵部中央部位において上方に凸状に膨出する膨出部を有する板状の下部プレートと、
前記上下部プレート間において前記空隙の形成個所に対応してシューズの内甲側縁部または外甲側縁部に配設され、前記上下部プレートを連結する少なくとも一つの連結部と、
を備えたシューズのソール構造体。
【請求項2】
請求項1において、
前記下部プレートの下面には、前記膨出部による凹部を通って前後方向に延びる第1の溝が形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項3】
請求項2において、
前記下部プレートの下面には、幅方向に延びる1つまたは2つ以上の第2の溝が形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項4】
請求項3において、
前記下部プレートが、幅方向に延びる稜線を有しかつ前後方向に進む波形状を有しており、前記第2の溝が、前記波形状の山の部分により形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項5】
請求項3において、
前記下部プレートが、前記第1および第2の溝により3つ以上の領域に区画されており、前記下部プレートの下面には、前記各領域に対応して3つ以上のアウトソール部またはクリーツ部が設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項6】
請求項5において、
前記上下部プレートを連結する前記連結部が前記各領域に対応して3つ以上の個所に設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項7】
請求項1において、
前記膨出部により前記下部プレートの下面の前記踵部中央部位に形成される凹部が、実質的に前後方向に延びる長穴形状を有しており、前記長穴形状の長軸方向と直交する線がシューズの内甲側縁部または外甲側縁部と交差する位置に前記連結部が配置されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項8】
シューズのソール構造体であって、
シューズの少なくとも踵部において、上方に配設された板状の上部プレートと、
前記上部プレートとの間に空隙を形成しつつ下方に配設された板状の下部プレートと、
前記上下部プレート間において前記空隙の形成個所に対応してシューズの内甲側縁部または外甲側縁部に配設され、前記上下部プレートを連結する少なくとも一つの連結部と、
前記下部プレートの踵部下面において、幅方向に分離してシューズの内甲側および外甲側にそれぞれ設けられたアウトソール部またはクリーツ部と、
を備えたシューズのソール構造体。
【請求項9】
請求項8において、
前記下部プレートが、前後方向に延びる第1の溝を踵部下面の幅方向中央に有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項10】
請求項9において、
前記下部プレートが、幅方向に延びる1つまたは2つ以上の第2の溝を踵部下面の前後方向中央に有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項11】
請求項10において、
前記下部プレートが、幅方向に延びる稜線を有しかつ前後方向に進む波形状を有しており、前記第2の溝が、前記波形状の山の部分により形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項12】
請求項10において、
前記下部プレートが、前記第1および第2の溝により3つ以上の領域に区画されており、前記下部プレートの下面には、前記各領域に対応して3つ以上のアウトソール部またはクリーツ部が設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項13】
請求項12において、
前記上下部プレートを連結する前記連結部が前記各領域に対応して3つ以上の個所に設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項14】
請求項1または8において、
前記踵中央部位において前記上下部プレート間には、上下方向に延びる弾性部材製の支柱が配設されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項15】
請求項1または8において、
前記踵中央部位において前記上下部プレートが一体的に連結されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項16】
請求項14において、
前記上部プレートの上方には、軟質弾性部材製のミッドソールが配設されており、前記ミッドソールの一部が、前記上部プレートの前記踵中央部位に形成された貫通孔を通って下方に延設されることにより前記支柱が形成されており、前記支柱の先端が前記下部プレートの上面に当接している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項17】
請求項2、3、8、9または10のいずれかにおいて、
前記上下部プレート間において、前記第1または第2の溝に対応する位置、あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置には、上下方向に延びる弾性部材製の支柱が配設されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項18】
請求項2、3、8、9または10のいずれかにおいて、
前記上下部プレートが、前記第1または第2の溝に対応する位置において、あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置において、一体的に連結されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項19】
請求項17において、
前記上部プレートの上方には、軟質弾性部材製のミッドソールが配設されており、前記ミッドソールの一部が、前記上部プレートの前記踵部に形成された貫通孔を通って下方に延設されることにより前記支柱が形成されており、前記支柱の先端が前記下部プレートの上面に当接している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項20】
請求項1または8において、
前記連結部が、前記下部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から上方に一体に延設された延設部と、前記上部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から側方に張り出すとともに前記延設部の外側面を外側から保持する張出部とから構成されており、前記延設部が前記張出部の内側面に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項21】
請求項1または8において、
前記連結部が、前記上部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から下方に一体に延設された延設部と、前記下部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から側方に張り出すとともに前記延設部の外側面を外側から保持する張出部とから構成されており、前記延設部が前記張出部の内側面に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項22】
請求項20または21において、
前記連結部の前記延設部が、弾性部材を介して前記張出部に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項23】
請求項22において、
前記弾性部材が、前記下部プレートの下面に配設されたアウトソール部を上方に延設して設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項24】
請求項1または8において、
前記連結部が、シューズの踵部の内甲側縁部および外甲側縁部に前後方向の間隔を隔ててそれぞれ2つずつ設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項1】
シューズのソール構造体であって、
シューズの少なくとも踵部において、上方に配設された板状の上部プレートと、
前記上部プレートとの間に空隙を形成しつつ下方に配設されるとともに、その踵部中央部位において上方に凸状に膨出する膨出部を有する板状の下部プレートと、
前記上下部プレート間において前記空隙の形成個所に対応してシューズの内甲側縁部または外甲側縁部に配設され、前記上下部プレートを連結する少なくとも一つの連結部と、
を備えたシューズのソール構造体。
【請求項2】
請求項1において、
前記下部プレートの下面には、前記膨出部による凹部を通って前後方向に延びる第1の溝が形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項3】
請求項2において、
前記下部プレートの下面には、幅方向に延びる1つまたは2つ以上の第2の溝が形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項4】
請求項3において、
前記下部プレートが、幅方向に延びる稜線を有しかつ前後方向に進む波形状を有しており、前記第2の溝が、前記波形状の山の部分により形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項5】
請求項3において、
前記下部プレートが、前記第1および第2の溝により3つ以上の領域に区画されており、前記下部プレートの下面には、前記各領域に対応して3つ以上のアウトソール部またはクリーツ部が設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項6】
請求項5において、
前記上下部プレートを連結する前記連結部が前記各領域に対応して3つ以上の個所に設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項7】
請求項1において、
前記膨出部により前記下部プレートの下面の前記踵部中央部位に形成される凹部が、実質的に前後方向に延びる長穴形状を有しており、前記長穴形状の長軸方向と直交する線がシューズの内甲側縁部または外甲側縁部と交差する位置に前記連結部が配置されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項8】
シューズのソール構造体であって、
シューズの少なくとも踵部において、上方に配設された板状の上部プレートと、
前記上部プレートとの間に空隙を形成しつつ下方に配設された板状の下部プレートと、
前記上下部プレート間において前記空隙の形成個所に対応してシューズの内甲側縁部または外甲側縁部に配設され、前記上下部プレートを連結する少なくとも一つの連結部と、
前記下部プレートの踵部下面において、幅方向に分離してシューズの内甲側および外甲側にそれぞれ設けられたアウトソール部またはクリーツ部と、
を備えたシューズのソール構造体。
【請求項9】
請求項8において、
前記下部プレートが、前後方向に延びる第1の溝を踵部下面の幅方向中央に有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項10】
請求項9において、
前記下部プレートが、幅方向に延びる1つまたは2つ以上の第2の溝を踵部下面の前後方向中央に有している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項11】
請求項10において、
前記下部プレートが、幅方向に延びる稜線を有しかつ前後方向に進む波形状を有しており、前記第2の溝が、前記波形状の山の部分により形成されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項12】
請求項10において、
前記下部プレートが、前記第1および第2の溝により3つ以上の領域に区画されており、前記下部プレートの下面には、前記各領域に対応して3つ以上のアウトソール部またはクリーツ部が設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項13】
請求項12において、
前記上下部プレートを連結する前記連結部が前記各領域に対応して3つ以上の個所に設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項14】
請求項1または8において、
前記踵中央部位において前記上下部プレート間には、上下方向に延びる弾性部材製の支柱が配設されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項15】
請求項1または8において、
前記踵中央部位において前記上下部プレートが一体的に連結されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項16】
請求項14において、
前記上部プレートの上方には、軟質弾性部材製のミッドソールが配設されており、前記ミッドソールの一部が、前記上部プレートの前記踵中央部位に形成された貫通孔を通って下方に延設されることにより前記支柱が形成されており、前記支柱の先端が前記下部プレートの上面に当接している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項17】
請求項2、3、8、9または10のいずれかにおいて、
前記上下部プレート間において、前記第1または第2の溝に対応する位置、あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置には、上下方向に延びる弾性部材製の支柱が配設されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項18】
請求項2、3、8、9または10のいずれかにおいて、
前記上下部プレートが、前記第1または第2の溝に対応する位置において、あるいは隣り合う各アウトソール部または各クリーツ部の間に対応する位置において、一体的に連結されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項19】
請求項17において、
前記上部プレートの上方には、軟質弾性部材製のミッドソールが配設されており、前記ミッドソールの一部が、前記上部プレートの前記踵部に形成された貫通孔を通って下方に延設されることにより前記支柱が形成されており、前記支柱の先端が前記下部プレートの上面に当接している、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項20】
請求項1または8において、
前記連結部が、前記下部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から上方に一体に延設された延設部と、前記上部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から側方に張り出すとともに前記延設部の外側面を外側から保持する張出部とから構成されており、前記延設部が前記張出部の内側面に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項21】
請求項1または8において、
前記連結部が、前記上部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から下方に一体に延設された延設部と、前記下部プレートの踵部の内甲側縁部または外甲側縁部から側方に張り出すとともに前記延設部の外側面を外側から保持する張出部とから構成されており、前記延設部が前記張出部の内側面に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項22】
請求項20または21において、
前記連結部の前記延設部が、弾性部材を介して前記張出部に固着されている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項23】
請求項22において、
前記弾性部材が、前記下部プレートの下面に配設されたアウトソール部を上方に延設して設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【請求項24】
請求項1または8において、
前記連結部が、シューズの踵部の内甲側縁部および外甲側縁部に前後方向の間隔を隔ててそれぞれ2つずつ設けられている、
ことを特徴とするシューズのソール構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−48894(P2008−48894A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228011(P2006−228011)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【Fターム(参考)】
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