説明

シュープレス用の可撓性スリーブを有する圧力シリンダ

【課題】 シュープレス用の可撓性スリーブを有する圧力シリンダを提供すること。
【解決手段】 スリーブ固定機構は、少なくとも2つの取付け用セグメント16を含む。セグメントは、対応端板4に結合され、動作位置Tと、退避または後退位置Rとの間で、端板に関して径方向に移動可能である。スリーブ固定機構は、動作位置と退避位置の間で、セグメントを移動させる手段を有する。このスリーブ固定機構はさらに、スリーブ2を平坦にするカラー35を含む。カラーは、対応端板に脱着可能に固定され、動作位置におけるセグメントによって画定される保持延長部のレベルでスリーブの外面に押し付けられる円筒状内部延長部36を有する。端板に固定されたカラーの受け延長部36と、動作位置におけるセグメントとの径方向間隔は、スリーブを構成する材料の厚さe以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に紙またはカードを製作する分野で使用されるシュープレスまたはニッププレスの技術分野に関するものであるが、この応用例に限定されるとみなすべきではない。
【背景技術】
【0002】
シュープレスは、可撓性スリーブを有する圧力シリンダを含み、その中に、この可撓性スリーブを剛体の対抗シリンダの表面に当てるシューを配置して、製作工程において紙片またはカード片などの可撓性シートに加える圧力の延長ゾーンを画定し、それによって、この紙片またはカード片から水分を圧搾する。実際、シューの凹形状と対抗ローラの凸形状が組み合わされて、2つの剛体圧力シリンダを使用するプレスシステムに比べて、処理中のシートに圧力を加える時間を長くすることができる。
【0003】
本発明は、可撓性スリーブを有する圧力シリンダを作製する方法に関するものである。
【0004】
一般に、このような圧力シリンダは、可撓性筒状スリーブと、受けシャフトと、この可撓性スリーブが軸Δに関して回転する際にそれを保持し、案内するための2枚の端板とを含む。これらの端板は、受けシャフトに装着され、各端板は、対応するスリーブ端部を取り付ける機構を含む。
【0005】
より詳細には、本発明は、端板に可撓性スリーブを取り付ける機構を生成するのに用いる方法に関するものである。
【0006】
実際、この固定機構の設計は、スリーブが摩耗し易いためにそれを定期的に交換できるようにすることが必要である限り、比較的重要である。ここで、この交換動作は、シュープレスを組み込む据付け停止時間をできるだけ短くするために、できりだけ迅速に行わなければならない。
【0007】
可撓性スリーブを保持するために、様々な取付け手段が考えられてきた。
【0008】
そのため、欧州特許EP 0442257号は、固定ジョーおよび可動ジョーの機構によってスリーブの一番端の縁部をクランプすることを提案している。これらの可動ジョーが有するテーパ付き延長部は、相補的な形状の斜面とともに働き、そのため、可動ジョーの軸方向の動きにより、前記可動ジョーと固定ジョーの間で、可撓性スリーブをクランプする動作が誘導される。
【0009】
実際、このような固定機構を使用して可撓性スリーブの端部を保持することができるが、これらのジョーに対する相対的なスリーブの滑りを完全になくすことができず、そのため、ある期間使用すると、シュープレスを停止して、スリーブを交換し、締め直すことが必要であるという欠点がある。ここで、先に述べたように、停止すると作業者の収入が減るので、特に保守について、停止の原因をできるだけ減らすことが不可欠である。
【0010】
スリーブに加えられる負荷の影響下で、ジョーとスリーブの間で相対的な滑りが生じるというこの現象を克服するために、国際特許出願WO 02/064885号は、ピンに取り付けられる小穴を備えたトングを使用することによって、スリーブを確実に固定することを提案している。そのため、この文献によれば、各固定機構はまず、外部ジョーに関連するテーパ付き形状の内部固定ジョーを含む。この外部ジョーも、内部ジョーの相補的延長部とともにスリーブをクランプするためのものであるテーパ付き延長部を有する。この外部ジョーは、スリーブ取付け用ウェッジを備える一連のスロットも有する。このように、この装置では、スリーブをクランプする動作と、ウェッジによってスリーブを確実にクランプすることとを組み合わせることを提案している。この場合、プレス動作中にスリーブに加えられる引張りは、このクランプ動作を強める傾向がある。
【0011】
このような簡単な固定機構により、クランプによって固定する機構に見られる相対的な滑りの現象の解決策が得られる。しかし、このような機構にスリーブを合わせることは、内部ジョーの外径が、静止状態のスリーブの内径にほぼ等しい場合には、極めて厄介なことがわかる。
【0012】
スリーブにクランプ動作を加えるこれらの固定機構と並んで、以前の設計では、米国特許第4878281号に記載されているものなど、他の固定機構も提案されている。この特許では、シリンダの回転軸にある程度直交する対応する外部端板面のレベルで、一連のピンを使用する。これらのピンをトング内に生成された小穴に取り付けて、対応するスリーブ端部を固定する。
【0013】
このような機構は、取付けピンの回転軸に直交する面上の位置により、操作者にとってトングの係合がより容易になる場合には、先に述べたシステムに比べて極めて容易に実施されるという利点を有する。しかし、先に述べた機構に比べて、この固定機構は、直径がスリーブの内径にほぼ等しい延長部にスリーブを係合させることを必要とし、そのため係合させることが極めて難しくなるという欠点を有する。
【0014】
さらに、米国特許第4878281号による固定機構は、スリーブに張力をかける間、各端板の近くに一連のしわが現れるという欠点を有する。これらのしわは、スリーブの端部からある程度離れないとなくならず、そのため、圧力ゾーンに対応するプレスの有効長に比べて、スリーブおよび圧力シリンダの長さを長くすることが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そのため、依然としてスリーブを確実に固定する固定部の信頼性を確保しながら、第1にスリーブの装着をより簡単に行うことができ、第2にこのスリーブの端部にしわが現れる恐れをなくし得る新しい固定機構が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するために、本発明は、シュープレス用の可撓性スリーブを有する圧力シリンダを対象とする。この圧力シリンダは、
−可撓性筒状スリーブであって、その2つの端部のそれぞれのレベルで、一連の可撓性固定用トングを有し、各トングが少なくとも1つの取付け用小穴を備えるスリーブと、
−受けシャフトと、
−スリーブが軸Δに関して回転する際にそれを保持し、案内する2枚の端板であって、受けシャフトに装着され、それぞれ対応するスリーブ端部を取り付ける機構を含む端板とを備え、各固定機構は、シリンダの回転軸にある程度直交する外面上に、対応するスリーブ端部を固定するのに使用するトングの小穴用の一連の取付けピンを含む。
【0017】
本発明によれば、この圧力シリンダは、各スリーブ固定機構が、
・対応する端板に連結された少なくとも2つの取付け用セグメントであって、
−これらのセグメントが、径方向に最も延びた位置にあり、公称動作径でスリーブを保持する円筒状延長部を画定する動作位置として知られる位置と、
−それぞれスリーブの取付けピンの一部を有するセグメントが、後退位置にあり、公称動作径未満の径の円筒状延長部を画定する退避位置または後退位置として知られる位置との間で、前記端板に関して少なくとも径方向に移動可能な取付け用セグメントと、
・固定用セグメントを、それらの動作位置と後退位置の間で移動させる手段と、
・対応する端板に脱着可能に固定された、スリーブを平坦にするカラーであって、動作位置における固定用セグメントによって画定される保持延長部のレベルでスリーブの外面に押し付けられる円筒状内部延長部を有するカラーとを含み、シリンダの使用中にスリーブが受けやすい最大軸方向引張応力をスリーブが受けるときに、端板に固定されたカラーの受け延長部と、動作位置における固定用セグメントとの径方向間隔が、スリーブを構成する材料の厚さ以上であることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、少なくとも径方向に移動可能なセグメントを使用すると、スリーブを装着する間、前記スリーブ用の円筒状受け延長部の径が小さくなり、そのため、スリーブがより容易に装着され、その結果、スリーブを、取付け用セグメントによって画定される延長部のレベルに通すためにスリーブに大きな引張力を加える必要がない。
【0019】
さらに、退避位置に取付け用セグメントを置くことによって径が小さくなると、スリーブにいくらかの遊びを設けることによって、対応する取付けピンに固定用トングの小穴を合わせることが容易になる。この場合、この合わせ作業は、特定の道具によらず、かつ操作者の側の労力なしで実施し得る。
【0020】
さらに、スリーブを平坦にするカラーを装着すると、前記スリーブに張力をかける間、しわがなくなり、そのため、平坦化カラーがない場合には必要になる、スリーブの取付けゾーンからスリーブの活動部分を離すためにスリーブの寸法を大きくすることが不要になる。
【0021】
本発明によれば、平坦化カラーは、クランプによってスリーブを固定するために使用するのではなく、単にしわをなくすために使用すると言えよう。
【0022】
本発明の別の特徴によれば、平坦化カラーにかかる挿入力をできるだけ小さくするために、端板に固定されたカラーの受け延長部と、動作位置における固定用セグメントとの径方向間隔を、静止状態のスリーブを構成する材料の厚さ以上にする。
【0023】
本発明の別の特徴によれば、スリーブの外面で油が漏れないようにし、したがって、本発明による圧力シリンダを使用するシュープレスによって処理中のシートが汚染される危険をなくすために、平坦化カラーは、その受け延長部のところに、スリーブの外面に合わせるためのものである環状シールリングを有する。
【0024】
本発明の別の特徴によれば、スリーブ端部の小穴を、対応するピンに取り付けることがさらに容易になるように、固定用セグメントは、対応する端板に関して、軸方向および径方向の合成運動で移動可能である。
【0025】
そのため、スリーブには、動作位置に移行する間の装着プロセスが容易になるようにさらに大きな遊びが設けられ、セグメントが軸方向および径方向に動くと、スリーブの長さおよびその径に関してこの遊びが使われる。
【0026】
本発明によれば、固定用セグメントは、様々なやり方で、すなわち、好ましいが、必ずしも厳密に実現する必要はない形で操作することができる。この目的のため、以下のことを提案する。
・端板は、軸Δに関して、シリンダの内部に向かって収斂するテーパ付き環状斜面を含むべきである。
・各取付け用セグメントは、この端板の環状斜面に合わせるためのものである斜面を含むべきである。
・固定用セグメントを移動させる手段は、
−動作位置と、退避または後退した位置として知られる2つの位置の間で、端板に関して軸方向に移動可能に端板に合わされる環状トロリーであって、軸方向の移動に関して各固定用セグメントに結合され、そのため、このトロリーが動くと、各固定用セグメントが軸方向および径方向に合成運動し、トロリーが動作位置にくると、これらのセグメントは、径方向に最も延びた位置、すなわち動作位置にくる環状トロリーと、
−このトロリーを駆動して移動させる手段とを含むべきである。
【0027】
環状トロリーの軸方向の動きは、様々なやり方で実施することができ、例えば、端板の周辺部に配置され、それぞれシリンダの回転軸に平行な向きの1組の2重効果液圧ジャッキを使用することによって実現し得ることに留意されたい。
【0028】
好ましい実施形態では、トロリーの動きに不可逆性を付与するために、環状トロリーの動きを駆動する手段は、
・環状トロリー上に生成された少なくとも1つのらせんねじと、
・軸Δに関して回転方向に移動可能になるように端板に装着されたキャップであって、環状トロリーのらせんねじに合わせるためのものであるらせんねじを有し、そのため、このキャップが回転すると、トロリーが直線的に動くキャップと、
・このキャップに結合した歯付き部分と係合する歯車を含む、キャップを回転方向に操作する手段とを含む。
【0029】
本発明によれば、各固定機構は、少なくとも2つの取付け用セグメントを含む。ただし、この取付け機構が、少なくとも3つの取付け用セグメントを含むときに、より良好なスリーブの幾何形状が得られることがわかっている。取付け用セグメントの数は、スリーブ径の関数として選択し得ることに留意されたい。
【0030】
同様に、スリーブに加えられる力は、スリーブの各端部に含まれる固定用トングの数が12個以上28個未満のときに、より良好に分散することがわかっている。また、固定用トングの数は、動作状態において実現し得る最良の幾何形状をスリーブに付与するために、スリーブの寸法に応じて最適化されることになる。
【0031】
本発明の別の特徴によれば、スリーブの装着および取外しの操作を容易にするために、端板の少なくとも1つは、固定用セグメントに関する係合が解除される位置で、対応する平坦化カラーを支持する脱着可能な手段を含む。そのため、これらの脱着可能な支持手段を使用することによって、対応する平坦化カラーを完全に取り外すことを必要とせずに、ストッパを退避させることが可能になる。
【0032】
また、本発明は、上記で説明したスリーブを有する圧力シリンダと、このスリーブを有する圧力シリンダに合わせるために、かつ、湿った繊維状シートを処理するゾーンまたはそれに圧力を加えるゾーンを画定するために、スリーブを有する圧力シリンダの反対側に位置決めされた対抗圧力シリンダとを含むシュープレスに関するものである。
【0033】
以下の説明を、本発明による可撓性スリーブを有する圧力シリンダおよびこのような圧力シリンダを使用するシュープレスを形成する非限定的な形態を示す添付の図面と併せ読むと、本発明の他の様々な特徴が明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1に示すようなシュープレスは、複合線で描かれた支持構造Sを含む。支持構造Sには、全体として参照数字1で参照する可撓性スリーブを有する圧力シリンダと、対抗圧力シリンダCとが据え付けられる。このようなシュープレスの全体的な設計は、本特許の一部を形成するものではなく、特に紙またはカードを製作かつ処理する機械の設計に関わる技術者にすでに広く知られている。しかし、可撓性スリーブを有する圧力シリンダ1は、スリーブ2に加えて、このスリーブが軸Δに関して回転する際にそれを保持し、案内するための2枚の端板4を備えた受けシャフト3を含むことが想起されよう。受けシャフト3は固定されていることと、端板4は、軸受5によってシャフト3に装着され、そのため軸Δの周りで回転可動であることに留意されたい。シャフト3は、対抗シリンダCにスリーブ2を押し付けるためのものであるシュー6も備える。最後に、スリーブ2に軸方向張力をかけるために、端板4がシャフト3に関して軸方向に移動可能になるように、このシャフトに端板4を装着することを指定することができる。シャフト3は、スリーブ2に軸方向張力を加えることができる液圧ジャッキ7も備える。
【0035】
より具体的には、本発明は、端板4にスリーブを固定するのに用いる方法に関するものである。
【0036】
そのため、本発明の本質的な特徴によれば、可撓性筒状スリーブ2は、一連の可撓性トング12を有する。図2では、スリーブ2の各端部10のところで、可撓性トング12の一部が見えている。
【0037】
図に示す例によれば、スリーブ2に軸方向張力をかける間、引張力を良好に配分されるようにするために、好ましくは、端部10はそれぞれ、少なくとも20個のトングを有する。ただし、スリーブの径が小さい場合には、使用するトングの数をより少なくし得るが、トングの数は12個よりも多いままであることが好ましい。図に示す例によれば、このスリーブは、24個の固定用トング12を含む。図2には、これらのうち、6個のトングだけが見えている。トング12の数は、24個よりも多くすることもできるはずであるが、特に、スリーブの寸法およびスリーブが受ける応力に応じて、28個未満に留めることが好ましい。
【0038】
本発明によれば、これらのトング12はそれぞれ、少なくとも1つの、図に示す例によれば、厳密に1つの取付け用小穴13も備える。以下、取付け用小穴13の機能をより具体的に説明する。
【0039】
本発明によれば、各端板4は、スリーブ2の対応する端部10を固定する機構15を含む。そのため、図3および図4により具体的に示すように、各スリーブ固定機構2は、少なくとも2つの、図に示す例によれば、対応する端板4に連結され、端板4の周辺部の周りに分配された6つの取付け用セグメント16を含む。図に示す例によれば、セグメント16は、図3に示す退避位置と、図4に示す動作位置との間で、軸方向および径方向の合成運動の形で移動可能である。
【0040】
取付け用セグメント16を移動させるために、各固定機構15は、移動手段として、軸方向に移動可能になるように対応する端板4に装着された環状トロリー17を含み、この上に、環状トロリー17に関して径方向に移動可能になるようにセグメント16が固定される。各取付け用セグメント16は、部分円錐の形の内側斜面18を含む。内側斜面18は、対応する端板4によって提供される環状外側斜面19に押し付けられる。端板4の環状斜面19は、軸Δに関する円錐台の形状になっている。この円錐台は、圧力シリンダ1の内部に向かって収斂する。当然のことながら、環状斜面19および取付け用セグメント16の斜面18の形状は相補的である。
【0041】
そのため、環状トロリー17の軸方向の動きは、セグメント16の軸方向および径方向の合成運動に対応する。
【0042】
この動きを実現するために、各固定機構15は、トロリー17の動きを駆動する手段として、図に示す例によれば、環状トロリーの外側周辺部に生成された少なくとも1つのらせんねじ20を含む。環状トロリーを移動させる手段は、軸Δに関して回転方向に移動可能になるように対応する端板4に装着されたキャップ21も含む。キャップ21は、環状トロリー17のねじ20に合わせるためのものである少なくとも1つのらせんねじ22を有し、そのため、キャップ21が回転すると、トロリー17が動く。
【0043】
各固定機構15は、キャップ21の回転手段として、キャップに結合した歯状部分24と係合するピニオン23も含む。ピニオン23は、対応する端板4の外面に、手動クランクあるいは電気または空気圧による操作装置を受ける頭部26を有するシャフト25によって操作する。
【0044】
トング12の小穴13を取り付けることができるように、各セグメント16は、図に示す例によれば、図2に示すように4本のピン27を含む。当然のことながら、各セグメント16に装着されるピン27の数は、第1に小穴13の全数の、したがってトングの全数の関数であり、第2に、セグメント16の全数の関数である。ピン27は、各セグメント16の、軸Δに直交する面上で位置決めされ、スリーブ2の外側を向くことに留意されたい。
【0045】
先に述べたスリーブ2の端部を固定する各機構15は、以下のやり方で構成される。
【0046】
スリーブを装着するために、セグメント16は、図3に示すように退避位置Rに置かれ、その結果、セグメント16は、それらの外面30によって、スリーブの公称動作径未満であり、かつ、スリーブの内径未満の径を有する円筒状延長部を画定する。
【0047】
この構成では、圧力シリンダ1の端部の一方、例えば図1の右端部からスリーブ2を係合させ、スリーブ2の第1端部を、右側端板を通過して左側端板のレベルにもっていくことが特に簡単になる。
【0048】
この段階で、スリーブ2の各端部10は、対応する端板4のレベルで配置され、各小穴13は、ピン27と係合し得る。この動作は、具体的には、スリーブの内径と、退避または後退した位置Rにあるセグメント16によって画定される延長部の外径との差によってもたらされるスリーブ2の遊びによって特に容易になる。
【0049】
ピン27への小穴13の取付けが完了した後で、ここでは示さないコッタピンを、ピン27の端部にこの目的で作られた穴32に取り付けて、ピン27と小穴13とが望まれないのに外れることを防ぐことができる。
【0050】
次いで、頭部26から、各固定機構15のピニオン23を回転駆動して軸Δの周りでキャップ21を旋回させ、それによって環状トロリー17が、矢印Fの方向に変位し、そのため、セグメント16が、軸方向および径方向の合成運動を受け、それによって図4に示すように、セグメント16が動作位置Tにもっていかれる。この位置で、セグメント16の外面により、スリーブ2を保持する円筒状延長部が、静止状態のスリーブの内径以上の公称動作径に画定される。
【0051】
セグメント16を動かすために採られた動力学からすると、この動きは不可逆的であり、そのため、スリーブに加えられる軸方向の引張りにより、セグメント16の動きを誘発される可能性は少ないことに留意されたい。ただし、当然のことながら、安全上の理由から、各固定機構15のピニオン23の回転が係止されるように構成することが可能である。
【0052】
動作位置Tに達すると、本発明の別の本質的な特徴により、カラー35が定位置に置かれて、スリーブ2を平坦にする。このカラー35の目的は、セグメント16に押し付けてスリーブをクランプすることではなく、スリーブ2に軸方向張力を加える間、現れやすいしわを伸ばすことである。そのため、カラー35は、シリンダ2の使用中にスリーブ2が受ける可能性がある最大軸方向引張応力をスリーブ2が受けるときに、第1に、動作位置にあるセグメント16の表面30と、第2に、カラー35の受け延長部36との径方向間隔dが、スリーブ2を構成する材料の厚さe以上になるように生成される。好ましくは、間隔dは、図4に示すように、静止状態のスリーブを構成する材料の厚さe以上になるように選択することになる。
【0053】
スリーブの端部における密封を保証するために、各カラー35は、溝37も含む。その中に、スリーブ2の外面に適用するガスケット38を配置して、そこで静的なシールを形成する。各カラー35は、対応する端板4の環状ウィング39で固定されることに留意されたい。ウィング39の外径は、退避位置Rでのセグメントの外面30で画定される延長部の径以下であり、そのため、スリーブ2の装着が妨げられることはない。
【0054】
さらに、図に示す例によれば、環状トロリー17は、その動作位置Tで、斜面19に当たり、そのため、この動作位置は、セグメント16が径方向に最大に延びた位置に対応する。
【0055】
スリーブ2を取り外すことが望まれるときには、逆の手順を用いる。このことについて、カラー35を完全に取り外さずにカラー35を取り外すことができるように、具体的には、スリーブの導入および取外しを行う端部の反対側の圧力シリンダ端部のところで、図3に示すように、カラーを支持する脱着可能な手段として、固定用セグメントとの係合が解除される位置でカラー35を支持するロッドを使用することができる。
【0056】
先に示し説明した例によれば、セグメント16の軸方向および径方向の合成運動により、可撓性スリーブ2の通過を容易になるように端板4の径を小さくすることができるだけでなく、動作位置に比べて退避位置での2枚の端板4の2つの固定機構15の取付け用セグメントの間隔を狭くすることができ、そのため、スリーブを装着するためのいくらかの追加の遊びを設けることにより、スリーブの装着がさらに容易になる。この遊びは、動作位置に移行する間に自動的に使われる。
【0057】
ただし、本発明によれば、このような合成運動が絶対に必要なわけではなく、最も重要なことは、取付け用セグメントのレベルで端板の外径を一時的に小さくし、それによって、スリーブ2の通過を容易にすることであることに留意されたい。この場合、この一時的な外径の減少は、セグメントの径方向の動きに対応する。そのため、径方向の軸上で液圧ジャッキを使用することによってこの径方向の動きを実現して、各取付け用セグメント16を作動させることを想起し得るはずである。
【0058】
当然のことながら、本発明の基準の枠組みから逸脱することなく、本発明に他の様々な変更を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による可撓性スリーブを有するシリンダを使用するシュープレスの概略断面図である。
【図2】図1の線II−IIの沿った部分断面図である。
【図3】図1のゾーンAの軸方向直交詳細断面図であり、退避位置におけるスリーブ固定機構の一部を示す。
【図4】図1のゾーンAの軸方向直交詳細断面図であり、動作位置におけるスリーブ固定機構の一部を示す。
【符号の説明】
【0060】
1 圧力シリンダ
2 スリーブ
3 受けシャフト
4 端板
5 軸受
6 シュー
7 液圧ジャッキ
10 端部
12 トング
13 取付け用小穴
15 固定機構
16 取付け用セグメント
17 環状トロリー
18 内側斜面
19 環状外側斜面
20 らせんねじ
21 キャップ
22 らせんねじ
23 ピニオン
24 歯状部分
25 シャフト
26 頭部
27 ピン
30 セグメントの外面
32 穴
35 カラー
36 受け延長部
37 溝
38 ガスケット
39 環状ウィング
40 脱着可能な手段
C 対抗圧力シリンダ
d セグメントの表面30とカラーの受け延長部の径方向間隔
e スリーブ2を構成する材料の厚さ
環状トロリーの変位方向
R 退避位置
S 支持構造
T 動作位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュープレス用の可撓性スリーブを有する圧力シリンダであって、
2つの端部のそれぞれに一連の可撓性固定用トング(12)を有し、各トング(12)が少なくとも1つの取付け用小穴(13)を含む、可撓性筒状スリーブ(2)と
受けシャフト(3)と、
スリーブ(2)が軸Δに関して回転する際にそれを保持し案内する2枚の端板(4)であり、受けシャフト(3)に装着され、かつ、それぞれがスリーブ(2)の対応する端部(10)を固定する機構(15)を含むものであり、更に各固定機構(15)が、前記シリンダの回転軸にある程度直交する面上に、前記スリーブの前記対応する端部を固定するのに使用するトング(12)の小穴(13)を取り付ける一連のピン(27)を含む、2枚の端板(4)と
を備える圧力シリンダにおいて、
各スリーブ固定機構は、
対応する端板(4)に連結された少なくとも2つの取付け用セグメント(16)を含み、取付け用セグメント(16)は、
セグメント(16)が、径方向に最も延びた位置にあり、公称動作径でスリーブ(2)を保持する円筒状延長部を画定する動作位置として知られる位置(T)と、
それぞれスリーブ(2)の取付けピン(27)の一部を有するセグメント(16)が、後退位置にあり、前記公称動作径未満の径の円筒状延長部を画定する退避位置として知られる位置(R)との間で、前記端板(4)に関して少なくとも径方向に移動可能であり、各スリーブ固定機構はさらに、
固定用セグメント(16)を、それらの動作位置(T)と退避または後退した位置(R)の間で移動させる手段と、
対応する端板(4)に脱着可能に固定された、スリーブ(2)を平坦にするカラー(35)とを含み、
カラー(35)は、動作位置(T)における固定用セグメント(16)によって画定される保持延長部のレベルで、前記スリーブの外面に押し付けられる円筒状内部延長部(36)を有し、前記シリンダの使用中にスリーブ(2)が受けやすい最大軸方向引張力をスリーブ(2)が受けるときに、端板(4)に固定されたカラー(35)の受け延長部(36)と、動作位置(T)における固定用セグメント(16)との径方向間隔は、スリーブ(2)を構成する材料の厚さ(e)以上であることを特徴とする、圧力シリンダ。
【請求項2】
端板(4)に固定されたカラー(35)の受け延長部(36)と、動作位置(T)における固定用セグメント(16)との径方向間隔(d)は、静止状態のスリーブ(2)を構成する材料の厚さ(e)以上であることを特徴とする、請求項1に記載の圧力シリンダ。
【請求項3】
平坦化カラー(35)は、その受け延長部のレベルで、スリーブ(2)の外面に合わせるためのものである環状シールガスケットOリング(38)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の圧力シリンダ。
【請求項4】
前記平坦化カラーは、その受け延長部のレベルで、シールガスケット(38)を受ける溝(37)を有することを特徴とする、請求項3に記載の圧力シリンダ。
【請求項5】
固定用セグメント(16)は、端板(4)に関して、軸方向および径方向の合成運動で移動可能であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧力シリンダ。
【請求項6】
端板(4)は、軸Δに関して、前記シリンダの内部に向かって収斂するテーパ付き環状斜面(19)を含み、
各取付け用セグメント(16)は、端板(4)の環状斜面(19)に合わせるためのものである斜面(18)を含み、
固定用セグメント(16)を移動させる手段は、
前記動作位置と、退避または後退した位置として知られる2つの位置の間で、端板(4)に関して軸方向に移動可能に端板(4)に装着される環状トロリー(17)を含み、環状トロリー(17)は、軸方向の移動に関して各固定用セグメント(16)に結合され、そのため、トロリー(17)が動くと、各固定用セグメント(16)は軸方向および径方向に合成運動し、トロリー(17)が前記動作位置にあるときに、前記セグメントは、径方向に最も延びた位置、すなわち動作位置(T)にあり、前記移動させる手段はさらに、
トロリー(17)を移動させる手段を含むことを特徴とする、請求項5に記載の圧力シリンダ。
【請求項7】
前記トロリーを移動させる手段は、
環状トロリー(17)上に生成された少なくとも1つのらせんねじ(20)と、
軸Δに関して回転方向に移動可能になるように端板(4)に装着されたキャップ(21)であって、環状トロリー(17)の前記らせんねじに合わせるためのものであるらせんねじ(22)を有し、そのため、キャップ(21)が回転すると、トロリー(17)が移動するキャップ(21)と、
キャップ(21)に結合した歯付き部分(24)と係合するピニオン(23)を含む、前記キャップを回転方向に操作する手段とを含むことを特徴とする、請求項6に記載の圧力シリンダ。
【請求項8】
少なくとも3つの取付け用セグメント(16)を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の圧力シリンダ。
【請求項9】
可撓性スリーブ(2)の各端部に含まれる固定用トング(12)の数は、12個以上28個未満であることを特徴とする、請求項8に記載の圧力シリンダ。
【請求項10】
端板(4)の少なくとも1つは、固定用セグメント(16)に関する係合が解除される位置で、対応する平坦化カラー(35)を支持する脱着可能な手段(40)を含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の圧力シリンダ。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の可撓性スリーブを有する圧力シリンダと、スリーブを有する圧力シリンダ(1)に合わせるために、かつ、湿った繊維状シートを処理するゾーンを画定するために、スリーブを有する圧力シリンダ(1)の反対側に位置決めされた対抗シリンダ(C)とを備える、シュープレス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−169811(P2007−169811A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−366739(P2005−366739)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(505469665)
【Fターム(参考)】