説明

ショーケースの照明制御システム

【課題】店舗内に複数台設置されるもので、温度制御装置を標準搭載し、また照明装置を有するショーケースを集中管理装置で一括して管理制御する場合に、照明装置の電力が低減され、ショーケースのランニングコストをより一層削減することが可能なものである。
【解決手段】人感センサー26及び照度センサー27を一個或いは複数個設け、これらの検知出力を温度制御装置24に導入し、温度制御装置24にて適切な照度を演算、あらかじめ設定された照度パターンと近似したものを選択後、集中管理装置23に通信線を介し照度データを送信し、集中管理装置23は対象ショーケースの温度制御装置24に照度データを送信し、温度制御装置24は照明装置25に電圧変換した信号を送信し、照明装置25は入力電圧に基づき照度出力を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどに設置されるショーケースの照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ショーケースのうち冷凍冷蔵オープンショーケースは、周知のごとく例えば図3に示すように、前面に商品出し入れ用の開口2を有し、断熱壁で形成されるショーケース本体1の内部をダクト板3で商品収納庫4と冷気循環ダクト5とに区画し、該冷気循環ダクト5内に冷却器9を配設し、冷気循環ダクト5の下端を空気の吸込口6に、上端を冷気の吹出口7に形成し、該吹出口7から吹き出す冷気で開口2に冷気エアカーテンを形成し商品収納庫4内を冷却するとともに、庫内への外気の侵入を防いでいる。
【0003】
この場合、吹出口7に吹き出す冷気の温度を検知する温度センサー8を設けるとともに、冷却器9に吹き出す冷気の温度を設定する温度制御装置10を接続し、温度センサー8で検知される冷気の吹き出し温度が温度制御装置10に設定した温度になるよう別途設置した制御装置で冷却器9のオンオフを制御している。
【0004】
そして、夜間などの閉店時には開口2の上部に巻き取り収納してあるナイトカバー11を引き下ろして、庫内への外気の侵入を防ぐ。図中12は、商品収納庫4内に設置した商品の陳列棚13の下面に取り付けた庫内を照明する蛍光灯等の照明灯を示しこの照明灯12は夜間には消灯する。
【0005】
下記特許文献にもあるが、図4に示すように、複数台連結された冷凍冷蔵オープンショーケースでは、照明灯12は、蛍光灯を制御する照明装置15に接続される。16は各ショーケース本体1の蛍光灯等の照明器具へ電力を供給すると共に信号を供給する信号線としての渡り線、17は所定時間にこの渡り線16に対してAC100V/200Vの電圧を投入するタイマである。
【特許文献1】特開平6−325874号公報
【0006】
このシステムにおいては、例えば、予め決められた客の少ない時間帯にタイマ17により電圧が信号線に供給され、渡り線16を介して各ショーケース本体1の照明装置15が一斉にオンとなって、複数台連結されたショーケース本体1内の照明器具の光量を一斉に調光(減光)している。
【0007】
しかしながら、上記例のように予め決められた時間に調光を行っていたのでは、店舗内に人はいないのにショーケースの照明が点灯しているといった、無駄な運転をする問題があった。また、複数台のショーケースを一斉に調光する制御を行っているので、人のいるショーケースと人のいないショーケース毎の適切な運用が行われないという問題もあった。
【0008】
そこで下記特許文献は、急激な客の増減のようなイレギュラーな時間対変化に対応可能で、また、それぞれのショーケースが自律分散で最適な運転を行うことができるショーケースシステムを提供するもので、商品を展示するショーケース18、展示商品を照明する照明手段19及び前記照明手段19の制御を行う照明制御手段20を有するショーケースシステムにおいて、人間の存在を検出する人間検知手段21を備え、前記人間検知手段21により得られる信号に基づき、前記照明制御手段20がショーケースの照明手段19を制御するようにした。
【特許文献2】特開平11−260570号公報
【0009】
前記特許文献2によれば、人間検知手段を設け、人間の存在の有無に基づいて照明手段を制御するようにしたので、無駄のない効率的な照明運転が可能になる。また、各ショーケースが自律分散で照明運転を行うことができ、それぞれのショーケースで最適な照明運転を行うことができる。また、人間検知手段からの信号はリアルタイムで受信できるので急激な負荷変動に追随が容易となり、事前にショーケースの運転時間を決めるスケジュール運転の場合と比較して、負荷の変化に対応する柔軟な運転を行うことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、前記特許文献2では、人間の存在の有無に基づいて照明手段を制御するようにしただけであり、店舗に併設されているショーケースには、庫外・庫内及び棚に照明を設置し陳列商品を照らしているが、人がいる場合は、店舗の照明が非常に明るい場合でも常時一定の明るさで商品を照らしている。
【0011】
また、24時間営業の店舗では夜間客が少ない時間帯でも、人間検知手段が作動し、同様に一定の明るさである為、ランニングコストがかさむものである。
【0012】
本発明は前記不都合を解消し、照明装置の電力が低減され、ショーケースのランニングコストをより一層削減することが可能であるショーケースの照明制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため請求項1記載の本発明は、店舗内に複数台設置されるもので、温度制御装置を標準搭載し、また照明装置を有するショーケースを集中管理装置で一括して管理制御する場合に、人感センサー及び照度センサーを一個或いは複数個設け、人感センサー及び照度センサーの検知出力を温度制御装置に導入し、温度制御装置にて適切な照度を演算、あらかじめ設定された照度パターンと近似したものを選択後、集中管理装置に通信線を介し照度データを送信し、集中管理装置は対象ショーケースの温度制御装置に照度データを送信し、温度制御装置は照明装置に電圧変換した信号を送信し、照明装置は入力電圧に基づき照度出力を調整することを要旨とするものである。
【0014】
請求項1記載の本発明によれば、人感センサー及び照度センサーの検知出力を温度制御装置を介して照明装置に反映させるものであり、店舗の照明の明るさと、客の有無の両方の状態において、照明装置の電力を制御し、ショーケースのランニングコストを削減することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように本発明のショーケースの照明制御システムは、店舗内に複数台設置されるもので、温度制御装置を標準搭載し、また照明装置を有するショーケースを集中管理装置で一括して管理制御する場合に、照明装置の電力が低減され、ショーケースのランニングコストをより一層削減することが可能なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明のショーケースの照明制御システムの1実施形態を示すブロック図で、スーパーマーケットなどの店舗内にショーケースが複数台設置され、図中23は集中管理装置で、これらのショーケースの庫内温度や照明点灯などの設定を各ショーケースごとに行わずに信号線を介して一括して集中制御する。
【0017】
各ショーケースは、庫内の温度を検出する温度センサーと、検知温度や運転状況をデータとした各種データを所定の送信データに変換して所定のタイミングでもって出力する温度制御装置24と、温度制御装置24で出力された送信信号を信号線に伝送するためのインターフェースとを備え、一方、集中管理装置23は、各ショーケースからの伝送されてきた各種データの内容に応じ、ショーケースの運転状況を表示したり、必要に応じて管理を表示する装置を備えている。
【0018】
温度制御装置24は、前記図3で説明したように、吹出口7に吹き出す冷気の温度を検知する温度センサー8等(冷気吸込口に吸い込まれた冷気の温度を検出する吸気温度センサーと、陳列室内の温度を測定する温度測定手段とを含む場合もある)で検知される冷気の吹き出し温度が設定した温度になるよう別途設置した制御装置で冷却器9のオンオフを制御するものである。
【0019】
温度制御装置24には検知出力信号が導入されるものとして、人感センサー26及び照度センサー27を一個或いは複数個設けた。
【0020】
人感センサー26は、人間を検知する人間検知手段で、例えば赤外線センサーを用い、それをショーケース本体1の前面に設けている。
【0021】
照度センサー27は、店舗内の照度を検知するもので、店舗内の任意の箇所に設置されるものである。
【0022】
温度制御装置24は、照度センサー27からの検知出力を受け、適切な照度を演算、あらかじめ設定された照度パターンと近似したものを選択する。
【0023】
このようにして、本発明は、ショーケースの島ごとに、人感センサー26及び照度センサー27を一個或いは複数個設け、店舗内照度及び人の有無を検知
し、ショーケースに標準搭載している温度制御装置24にて適切な照度を演算、あらかじめ設定された照度パターンと近似したものを選出する。
【0024】
温度制御装置24にて適切な照度を演算、あらかじめ設定された照度パターンと近似したものを選出された結果は、集中管理装置23に通信線を介して照度データが送られる。
【0025】
集中管理装置23は対象ショーケースの温度制御装置24に照度データを送信する。
【0026】
集中管理装置23から照度データを送信された温度制御装置24は照明装置25に電圧変換した信号を送信し、照明装置25は入力電圧に基づき図3における照明灯12等の照度出力を調整する。
【0027】
なお、集中管理装置23からも個々のショーケースの島ごとにマニュアルで照度データを送信することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のショーケースの照明制御システムの1実施形態を示すブロック図である。
【図2】従来例を示すブロック図である。
【図3】冷凍冷蔵オープンショーケースの縦断側面図である。
【図4】従来例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ショーケース本体 2 開口
3 ダクト板 4 商品収納庫
5 冷気循環ダクト 6 吸込口
7 吹出口 8 温度センサー
9 冷却器 10 温度制御装置
11 ナイトカバー 12 照明灯
13 陳列棚 14 温度センサー
15 照明装置 16 渡り線
17 タイマ 18 ショーケース
19 照明手段 20 照明制御手段
21 人間検知手段 23 集中管理装置
24 温度制御装置 25 照明装置
26 人感センサー 27 照度センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗内に複数台設置されるもので、温度制御装置を標準搭載し、また照明装置を有するショーケースを集中管理装置で一括して管理制御する場合に、
人感センサー及び照度センサーを一個或いは複数個設け、人感センサー及び照度センサーの検知出力を温度制御装置に導入し、
温度制御装置にて適切な照度を演算、あらかじめ設定された照度パターンと近似したものを選択後、
集中管理装置に通信線を介し照度データを送信し、
集中管理装置は対象ショーケースの温度制御装置に照度データを送信し、
温度制御装置は照明装置に電圧変換した信号を送信し、照明装置は入力電圧に基づき照度出力を調整することを特徴とするショーケースの照明制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−250990(P2011−250990A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126768(P2010−126768)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(510146137)三菱電機冷熱応用システム株式会社 (33)
【Fターム(参考)】