説明

ショーケース

【課題】冷気流通ダクトの構造を簡素化して取付け作業を容易に行うことができるとともに、誤操作を防止することのできるショーケースを提供する。
【解決手段】冷気流通ダクト40によって仕切られる通風路30を前後方向の寸法Lが上下方向に亘って同一となるように形成したので、従来のように通風路30を仕切る部材を冷気流通ダクトに別途伸縮自在に連結する必要はなく、仕切部42が固定された冷気流通ダクト40を取付けることにより通風路30を確実に仕切ることができ、冷気流通ダクト40の構造を簡素化することにより取付け作業を容易に行うことができるとともに、誤操作を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却する商品と加熱する商品を同時に収納可能なショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のショーケースとしては、前面に開口部を有するショーケース本体と、ショーケース本体内に形成された商品収納部と、商品収納部に配置された上下複数段の商品棚と、商品収納部の少なくとも背面側に上下方向に延びるように形成された通風路と、通風路内に配置された冷却器及び送風機と、通風路の上下方向所定位置を上下方向に仕切るとともに、冷気を前方に流通可能な冷気流通ダクトとを備え、冷気流通ダクトによって冷気を通風路の上下方向所定位置から前方に流通させ、商品収納部内に吐出することにより、冷気流通ダクトの下方に位置する商品棚に陳列された商品を冷却し、冷気流通ダクトの上方に位置する商品棚に陳列された商品を商品棚に設けられたヒータによって加熱するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−286433
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のショーケースでは、商品収納部と通風路とを仕切る仕切板の傾斜により、通風路の前後方向の寸法が上下方向に亘って異なるため、冷気流通ダクトを商品収納部に取付ける際に、冷気流通ダクトの後端側に伸縮自在に連結された仕切部材を通風路の前後方向の寸法に応じて移動させて通風路を仕切らなければならず、冷気流通ダクトの構造が複雑になるとともに、取付け作業が繁雑となるという問題点があった。
【0004】
また、仕切部材の誤操作によって通風路を仕切ることなく運転を行った場合には、加熱運転及び冷却運転それぞれの負荷が増加して消費エネルギーが増大するという問題点があった。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冷気流通ダクトの構造を簡素化して取付け作業を容易に行うことができるとともに、誤操作を防止することのできるショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、前面に開口部を有するショーケース本体と、ショーケース本体内に形成された商品収納部と、商品収納部に配置された上下複数段の商品棚と、商品収納部の少なくとも背面側に上下方向に延びるように形成された通風路と、通風路内に配置された冷却器及び送風機と、通風路の上下方向所定位置を上下方向に仕切るとともに、冷気を前方に流通可能な冷気流通ダクトとを備えたショーケースにおいて、前記冷気流通ダクトによって仕切られる通風路を前後方向の寸法が上下方向に亘って同一となるように形成している。
【0007】
これにより、通風路の前後方向の寸法が上下方向に亘って同一となるように形成されていることから、冷気流通ダクトを通風路の上下方向何れの位置に取付けても通風路が確実に上下方向に仕切られる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来のように通風路を仕切る部材を冷気流通ダクトに別途伸縮自在に連結する必要はなく、仕切部材を固定した冷気流通ダクトを取付けることにより通風路を確実に仕切ることができるので、冷気流通ダクトの構造を簡素化することにより取付け作業を容易に行うことができるとともに、誤操作を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1乃至図7は本発明の一実施形態を示すもので、図1はショーケースの全体斜視図、図2はショーケースの正面図、図3はショーケースの側面断面図、図4は冷気流通ダクトの全体斜視図、図5は冷気流通ダクトの下面側を示す斜視図、図6及び図7は冷気流通ダクトの取付け動作を示すショーケースの要部側面断面図である。
【0010】
このショーケースは、前面に開口部を有するショーケース本体10と、ショーケース本体10内に設けられた上下複数段の商品棚20と、ショーケース本体10内の底面側、背面側及び上面側に沿って形成された通風路30と、通風路30の背面側の上下方向所定位置から前方に延びる冷気流通ダクト40とを備えている。
【0011】
ショーケース本体10は上面側、背面側及び底面側が断熱壁11によって形成されている。また、ショーケース本体10の左右両側面側は、上面側、背面側及び底面側が断熱壁12によって形成されるとともに、断熱壁12の上面側と底面側の間はガラス板13によってそれぞれ覆われている。ショーケース本体10内には、断熱壁11の内面と間隔をおいて上面側、背面側及び底面側にそれぞれ上面板14、背面板15及び底板16が設けられ、その内部に商品収納部17が形成されている。
【0012】
各商品棚20は、商品を載置可能な棚板21と棚板21を支持する一対の棚受22とからなり、棚受22の後端側が商品収納部17の上下方向任意の位置に支持されるようになっている。棚板21は、棚受22の前端側に回動自在に連結されており、棚板21の上面を水平とする他、前下りに傾斜させることが可能となっている。また、棚板21には電気ヒータ23が設けられ、電気ヒータ23に通電することにより棚板21に載置された商品を加熱することが可能となっている。更に、棚板21の下面側には冷気流通ダクト40を取付け可能な幅方向一対の上レール部24が棚板21と平行に設けられ、上レール部24の傾斜角度は棚板21の傾斜角度と同一となるようになっている。最下段に位置する商品棚20は、他の商品棚20よりも前方に配置され、使用しない冷気流通ダクト40が収納可能となっている。
【0013】
通風路30は、断熱壁11の内面と上面板14、背面板15及び底板16との間に形成され、ショーケース本体10の開口部の下端には空気吸入口31が設けられるとともに、上端には空気吐出口32が設けられている。背面側の通風路30は、背面板15と平行に上下方向に延びる断熱壁11側に設けられたダクト当接板33によって上下方向に亘って前後方向の寸法Lが同一になるように形成され、最下段以外の商品棚20に取付けられる冷気流通ダクト40の後端側が当接可能となっている。また、背面板15には冷気流通ダクト40の後端側を挿入可能な幅方向に延びるダクト挿入孔34が互いに上下方向に間隔をおいて複数設けられ、各ダクト挿入孔34はそれぞれ開閉板35によって開閉自在に設けられている。開閉板35の上端側には各ダクト挿入孔34の上方に位置する背面板15の背面側に回動自在に連結される連結部35aが設けられ、開閉板35の下端側には各ダクト挿入孔34の下方に位置する背面板15の背面側に吸着可能な磁石からなる吸着部35bが設けられている。また、開閉板35の上下方向中央部には商品収納部17内に冷気を吐出する空気吐出口35cが幅方向に複数設けられている。更に、底面側の通風路30には空気を流通させるための送風機36が設けられ、背面側の通風路30の下部には空気を冷却するための冷却器37が設けられている。また、冷却器37の前面側には最下段に位置する商品棚20に取付けられる冷気流通ダクト40の後端側が当接するダクト当接板38が設けられている。
【0014】
冷気流通ダクト40は、空気を前方に流通させるダクト部41と、通風路30を上下方向に仕切ることにより上方の通風路30への空気の流通を規制する仕切部42とを有し、これらは一体に形成されている。ダクト部41は、幅方向に延びる断面四角形状に形成され、前端側から冷気を下方に向かって吐出するようになっている。また、ダクト部41の下面には全面に亘って複数の空気吐出孔41aが設けられ、空気吐出孔41aから冷気を下方に向かって吐出するようになっている。仕切部42は、下面及び前面が開放され、通風路30内を下方から上方に向かって流通する空気をダクト部41に流通させるようになっている。また、仕切部42の後端側には幅方向に亘って気密部材42aが設けられ、気密部材42aをダクト当接板33に当接させることにより上方の通風路30への空気の漏洩を防止するようになっている。更に、ダクト部41の上面側の幅方向両端側には前後方向に延びる板状の下レール部43が外側に張り出すようにそれぞれ設けられ、各下レール部43が各商品棚20の上レール部24と摺動可能に係合することにより、各商品棚20に冷気流通ダクト40を着脱自在に取付けられるようになっている。
【0015】
以上のように構成されたショーケースにおいて、商品収納部17に収納された商品全てを冷却する場合には、送風機36によって開口部の下端の空気吸入口31から通風路30内に吸入した空気は冷却器37によって冷却され、開口部の上端の空気吐出口32と各開閉板35に設けられた空気吐出口35cから冷気が吐出されることにより、商品収納部17が冷却される。
【0016】
また、商品収納部17の上部側に位置する商品棚20に載置された商品を加熱すると同時に、下部側に位置する商品棚20に載置された商品を冷却する場合には、次のように行う。加熱する商品が載置されている商品棚20のうち最下段に位置する商品棚20の上レール部24に冷気流通ダクト40の下レール部43を前面側から係合し、下レール部43を摺動させながら冷気流通ダクト40を後方へ移動させる。このとき、冷気流通ダクト40は、後端側が開閉板35と接触し、開閉板35を吸着部35bの吸着力に抗して後方に回動させてダクト挿入孔34を開放した後、ダクト当接板33に当接する。これにより、仕切部42によって通風路30が上下方向に仕切られることから、通風路30を流通する空気は、冷気流通ダクト40に流通してダクト部41の前端側及び下面に設けられた空気吐出孔41aから吐出されるとともに、冷気流通ダクト40よりも下方に位置する開閉板35に設けられた空気吐出口35cから冷気が吐出されることにより、商品収納部17の下部が冷却される。また、冷気流通ダクト40よりも上方に位置する商品棚20は電気ヒータ23によって棚板21の上面が加熱される。
【0017】
このとき、ダクト部41の下面に設けられた空気吐出孔41aと開閉板35に設けられた空気吐出口35cから冷気が吐出されるために、ダクト部41の内部とダクト部41の下方との間の温度差は小さく、ダクト部41の下面に結露を生じることはない。また、ダクト部41の前端側は電気ヒータ23によって加熱された棚板21に近いため、ダクト部41の前端側が加熱されて結露の発生を防止することが可能となる。
【0018】
また、商品棚20から冷気流通ダクト40を取外す場合には、冷気流通ダクト40を前方に引出すことにより取外すことができる。このとき、開閉板35は、自重及び吸着部35bの吸着力によって下端側が前方に回動し、ダクト挿入孔34を閉鎖する。
【0019】
また、商品収納部17の商品を全て冷却または加熱するとき等、冷気流通ダクト40を使用しない場合には、最下段に位置する商品棚20に冷気流通ダクト40を取付ける。このとき、冷気流通ダクト40の仕切部42は、通風路30を仕切ることなく後端側が冷却器37の前面側に設けられたダクト当接板38に当接するため、冷気流通ダクト40を使用しない場合にも収納しておくことが可能となる。また、冷却器37の前面側に設けられたダクト当接板38は冷却器37の上方のダクト当接板33よりも前面側に位置しているが、最下段に位置する商品棚20が前方に配置されているため、冷気流通ダクト40が商品棚20の前方に張り出すことはない。
【0020】
このように、本実施形態のショーケースによれば、冷気流通ダクト40によって仕切られる通風路30を前後方向の寸法Lが上下方向に亘って同一となるように形成したので、従来のように通風路30を仕切る部材を冷気流通ダクト40に別途伸縮自在に連結する必要はなく、仕切部42が固定された冷気流通ダクト40を取付けることにより通風路30を確実に仕切ることができ、冷気流通ダクト40の構造を簡素化することにより取付け作業を容易に行うことができるとともに、誤操作を防止することができる。
【0021】
また、冷気流通ダクト40を各商品棚20に着脱自在に構成したので、冷却する商品棚20の数を任意に設定することができ、商品収納部17のスペースを有効に利用することができる。
【0022】
また、冷気流通ダクト40を商品棚20の棚板21と平行に延びるように各商品棚20に配置したので、棚板21を傾斜させた場合に棚板21上の上下方向のスペースが小さくなることはなく、高さ寸法の大きい商品を収納することが可能となる。
【0023】
また、冷気流通ダクト40のダクト部41の下面に冷気を吐出する複数の空気吐出口41aを設けたので、ダクト部41の内部とダクト部41の下方との間で温度差を小さくすることができ、防露ヒータを用いることなくダクト部41の下面の結露を防止することができる。
【0024】
また、背面板15に設けられ、冷気流通ダクト40の仕切部42が挿入可能なダクト挿入孔34と、上端を背面板15に回動自在に連結する連結部35aと、下端を背面板15に吸着可能な吸着部35bとを有し、ダクト挿入孔34を開閉可能な開閉板35とを備えたので、冷気流通ダクト40を後方に移動させることにより開閉板35を後方に回動させてダクト挿入孔34を開放するとともに、冷気流通ダクト40を取外すことにより開閉板35の吸着部35bによってダクト挿入孔34を閉鎖することができ、冷気流通ダクト40の着脱作業を容易に行うことができる。
【0025】
また、冷気を前面側に吐出する複数の空気吐出口35cを開閉板35に設けたので、冷気流通ダクト40のダクト部41の内部とダクト部41の下方との間で温度差を小さくすることができ、防露ヒータを用いることなくダクト部41の下面の結露を防止することができる。
【0026】
また、冷気流通ダクト40を第下段に位置する商品棚20に通風路30を仕切ることなく収納可能に構成したので、商品収納部17の商品を全て冷却または加熱するときなど、冷気流通ダクト40を使用しない場合にも取外す必要はなく、冷気流通ダクト40を保管する場所を別途必要としないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態を示すショーケースの全体斜視図
【図2】ショーケースの正面図
【図3】ショーケースの側面断面図
【図4】冷気流通ダクトの全体斜視図
【図5】冷気流通ダクトの下面側を示す斜視図
【図6】冷気流通ダクトの取付け動作を示すショーケースの要部側面断面図
【図7】冷気流通ダクトの取付け動作を示すショーケースの要部側面断面図
【符号の説明】
【0028】
10…ショーケース本体、15…背面板、17…商品収納部、20…商品棚、21…棚板、24…上レール部、30…通風路、33…ダクト当接板、34…ダクト挿入孔、35…開閉板、35a…連結部、35b…吸着部、35c…空気吐出口、36…送風機、37…冷却器、40…冷気流通ダクト、41…ダクト部、41a…空気吐出孔、42…仕切部、42a…気密部材、43…下レール部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口部を有するショーケース本体と、ショーケース本体内に形成された商品収納部と、商品収納部に配置された上下複数段の商品棚と、商品収納部の少なくとも背面側に上下方向に延びるように形成された通風路と、通風路内に配置された冷却器及び送風機と、通風路の上下方向所定位置を上下方向に仕切るとともに、冷気を前方に流通可能な冷気流通ダクトとを備えたショーケースにおいて、
前記冷気流通ダクトによって仕切られる通風路を前後方向の寸法が上下方向に亘って同一となるように形成した
ことを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記冷気流通ダクトを各商品棚に着脱可能に構成した
ことを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【請求項3】
前記冷気流通ダクトを商品棚の棚板と平行に延びるように各商品棚に配置した
ことを特徴とする請求項2記載のショーケース。
【請求項4】
前記冷気流通ダクトの下面に冷気を吐出する複数の空気吐出口を設けた
ことを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【請求項5】
前記商品収納部と通風路を仕切る仕切板に設けられ、冷気流通ダクトを通風路内に挿入可能なダクト挿入孔と、
ダクト挿入孔を開閉可能な開閉板とを備え、
開閉板には、上端を仕切板に回動自在に連結する連結部と、下端を仕切板に吸着可能な吸着部とを設けた
ことを特徴とする請求項1記載のショーケース。
【請求項6】
前記開閉板に冷気を前方に吐出する複数の空気吐出口を設けた
ことを特徴とする請求項5記載のショーケース。
【請求項7】
前記冷気流通ダクトを最下段に位置する商品棚に通風路を仕切ることなく収納可能に構成した
ことを特徴とする請求項1記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−271823(P2006−271823A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98343(P2005−98343)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】