説明

ショーケース

【課題】陳列室の商品を見やすい冷蔵用のショーケースを提供する。
【解決手段】透光性の前壁11と、この前壁11を通して見ることができる陳列室5と、陳列室5の外側に設けられ、陳列室の内部を照明するための蛍光灯51と、外気を吸引して蛍光灯51を冷却し、その排気59を、前壁11の外面71に沿って流れるように放出するためのファン52とを有するショーケース10を提供する。さらに、ショーケース10は、前壁11の内面72に沿って流れるように冷気39を放出し、陳列室5の内部を冷却するための熱交換器33およびファン34を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透性の壁を有するショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、透明扉を有するショーケースが開示されている。このショーケースにおいては、保冷室内の上部に蒸発器を設け、蒸発器で熱交換された冷却空気を保冷室内の背面側から前面側を経由して循環させている。このため、透明扉のガラス板の裏面には、熱交換直後の冷たい空気が接触することがない。つまり、透明扉のガラス板の裏面には、冷蔵または冷凍食品に冷熱を奪われた後の比較的暖かい空気が接触することになるため、外気の温度及び湿度が高い環境下でも、ガラス板の表面側(外気)と裏面側(保冷室)との温度差を低減して、ガラス板の表面における結露を防止するようにしている。
【特許文献1】特開平10−253229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
保冷室あるいは陳列室と称される空間は、商品を収納すると共に、顧客に商品を見せるために、より多くの面が透明あるいは透光性であることが要求される。そのような透明あるいは透光性の部分は、ガラス板、アクリルなどのプラスチック製の透光性の部材により形成される。このため、他の非透明な部分には発泡スチロールなどの断熱性の高い素材を使用できるのに対し、透明な部分は断熱性が低い。ガラス板などを2重あるいは多重に組み合わせて断熱性を向上させたとしても、非透明な部分に比較すると断熱性は低く、透明な部分からの熱侵入は大きい。
【0004】
したがって、庫内を冷却している陳列室において、陳列室内の温度を一定に保つためには、熱侵入の大きな透明な部分を積極的に冷却し、庫内に熱が侵入するのをできるだけ防ぐことが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載のショーケースにおいては、結露を防止するために、ガラス板の近傍に比較的暖かい空気を導いている。このため、庫内の断熱材に覆われた背面側は温度が下がりやすく、前面は温度が上がり易い状態になる。したがって、庫内の温度差は大きく、特に、顧客が商品を取り出す前面の側に配置された商品が冷え難いので、冷蔵あるいは冷凍食品を所望の条件で顧客に提供することが難しい。また、庫内前方に配置された冷蔵あるいは冷凍食品を十分に冷却しようとすると、庫内後方を、それ以上の条件に冷却する必要があり、エネルギー効率は低い。さらに、庫内前方の温度を下げようとすると、前面のガラス板は結露し易くなり、ショーケースの重要な要求である、顧客に商品を見せるという機能が低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、透光性の第1の壁と、第1の壁を通して外側から内部を見ることができる陳列室と、陳列室の外側に設けられ、陳列室の内部を照明する手段と、外気を吸引して照明する手段を冷却し、その排気が第1の壁の外面の少なくとも一部に沿って流れるように放出する手段とを有するショーケースである。このショーケースにおいては、陳列室を照明するための蛍光灯などの手段を陳列室の外側に配置することにより、陳列室を冷却する際に、照明による熱負荷を低減できる。さらに、外気により照明する手段を冷却することにより、照明する手段の温度上昇を低減し、熱伝達による熱負荷も低減できる。さらに、照明する手段を冷却することにより温度が上昇した排気を、透光性の第1の壁の外面の少なくとも一部に沿って流れるように放出する。排気は温度が上昇することにより相対湿度が低下し、乾燥している。したがって、排気を第1の壁の外面に沿って流すことにより、第1の壁が冷えた状態で外気に接する場合よりも、第1の壁の外面が結露することを抑制できる。
【0006】
このため、このショーケースにおいては、第1の壁の内側の少なくとも一部に沿って流れるように冷気を放出し、陳列室の内部を冷却する手段を、さらに有することが望ましい。熱侵入の大きな透光性の第1の壁の内側を積極的に冷やすことにより、第1の壁の内側の温度が上昇することを抑制でき、陳列室内に温度差が発生することを抑制できる。第1の壁の外側は、比較的乾燥した空気を流しているので、第1の壁の内側を冷やしても第1の壁の外側は結露し難い。したがって、第1の壁の近傍に配置された商品を比較的容易に冷却(冷蔵または冷凍)できる。特に、第1の壁の側が顧客に対して商品を提供する側である場合は、庫内の第1の壁側を十分に冷却できるので、顧客に対して十分に冷えた、あるいは凍った状態の商品を提供できる。また、ショーケースの重要な要求である、顧客に商品を見せるという機能も良好に発揮できる。
【0007】
第1の壁の典型的なものは、顧客に面する陳列室の前壁の少なくとも一部である。照明する手段は、陳列室の天井の前方、または前壁の上方に設けられ、放出する手段は、排気を第1の壁の上方から下方に向かって放出し、冷却する手段は、冷気を第1の壁の上方から下方に向かって放出することが望ましい。上方に設けられた照明する手段により、陳列室内の商品を上方、すなわち、ユーザが見る方向から照明できる。また、冷気は上方から下方に向かって放出することにより自然対流による循環を促進できる。この場合、第1の壁の内側上方が最も温度が低下しやすいが、第1の壁の外側上方には最も相対湿度の小さな排気が流れるので、結露を防止しやすい。
【0008】
第1の壁は、陳列室の前壁のみならず、左右の側壁に含まれていても良い。このケースでは、照明する手段を、陳列室の天井の前方に設け、放出する手段は、排気を、左右の側壁に含まれる第1の壁の上方から下方に向かって放出し、冷却する手段は、冷気を第1の壁の上方から下方に向かって放出することが望ましい。壁面タイプのショーケースでは、前方が透光性であることが重要である。スタンドアロン、卓上型あるいはカウンタ搭載型のショーケースにおいては、顧客はショーケースの横から陳列室内の商品を見るケースも多い。したがって、左右の側壁の一部、特に、前方を透光性にし、天井に配置された照明する手段を冷やした排気を前壁のみならず左右の側壁の外面にも流すことにより、横方向からの視認性も良いショーケースを提供できる。
【0009】
ショーケースの一形態は、陳列室はドアにより開閉可能な密閉式である。密閉式の陳列室の庫内温度は下がり易いので、店舗内の外気(店舗室内の空気)との温度差があり、結露し易い。これに対し、上述したように、蛍光灯などの照明する手段を冷却した排気を流すことにより、密閉式であっても、庫内の商品を見やすいショーケースを提供できる。ドアの典型的なものは、陳列室の後方に設けられているものである。後方から商品を出し入れし易い。また、陳列室の後方に加え、または後方とは別に、陳列室の前方を透光性のドアにすることにより、顧客が商品を自ら取り易いショーケースを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態のショーケースを前方から見た斜視図である。図2は、ショーケースを後方から見た斜視図である。さらに、図3は、ショーケースの内部の概略構成を示す断面図である。このショーケース10は、全体として、上下に長く、上方が若干細くなった直方体である。ショーケース10は、透光性の前壁11と、前方10aが透光性の右側壁12および左側壁13とを備えている。前壁11は、上方が後方10bに傾斜した2重ガラスの壁である。右側壁12および左側壁13は前方10aが上方に狭くなるように傾斜した片台形であり、右側壁12の前側12aおよび左側壁13の前側13aは、2重ガラスである。右側壁12の後側12bおよび左側壁13の後側13bは非透光性のフレームである。
【0011】
ショーケース10は、さらに、前壁11および左右の側壁12および13を支持するベース部20と、前壁11および左右の側壁12および13の上に設けられたルーフ部30と、前壁11、左右の側壁12および13、ベース部20およびルーフ部30に囲われた陳列室5に後方からアクセスするための開閉可能なドア15とを有する。陳列室5には、上下に陳列棚6aおよび6bが配置されている。
【0012】
ドア15は、図2および図3に示すように、上下2段の横に細長いスリット状の2重ガラスまたはアクリル製の窓16aおよび16bを除き、発泡スチロールなどの断熱材15aにより陳列室5を外界から遮断できる構造となっている。スリット状の窓16aおよび16bは、陳列室5の陳列棚6aおよび6bにそれぞれ対応した位置に設けられている。このため、窓16aおよび16bを通して、陳列室5に並べられた商品の状況を見ることができる。このドア15は、スイング式であり、ハンドル15hを持って旋回することにより、陳列室5の後方を開放できる。
【0013】
ベース部20は、平断面がほぼ四角形の機械室29を含む。この機械室29は、陳列室5の下方に位置し、陳列室5とは断熱性の床壁7により隔てられている。図4に、機械室29の内部の平面的な配置を示している。機械室29には、液冷媒方式のペルチェユニット40と、ペルチェユニット40の放熱側の液冷媒を循環するための第1のポンプ21と、ペルチェユニット40の吸熱側の液冷媒を循環するための第2のポンプ22と、放熱側の熱交換器23と、機械室29を換気するための換気ファン24aおよび24bと、電源基板25aおよび25bと、制御基板26とが配置されている。
【0014】
放熱側の熱交換器23は、液冷媒、本例では水が通過するチューブを備えたラジエータタイプの熱交換器であり、ベース部20の周面を構成する壁の一部に沿ってL字型に配置されている。ベース部20の前壁および右側壁のうち、熱交換器23に面する部分には、グリル状の開口27が形成されている。換気ファン24aおよび24bが動くと、外気が機械室29の前方および右側から機械室29の内部に吸込まれ、熱交換器23を流れる水を冷却する。さらに、機械室29に吸い込まれた外気は、機械室29の内部を換気し、機械室29の後方から排出される。
【0015】
この機械室29に構成された冷却サイクルは、液冷媒方式のペルチェユニットを用いたサイクルである。コンプレッサーにより気化した冷媒を循環する冷却サイクルを採用しても良い。このショーケース10においては、コンプレッサーに対して、コンパクトな液冷媒方式のペルチェユニット40を採用することにより、機械室29の高さを低くしている。
【0016】
液冷媒の典型的なものは、水またはブライン(不凍液)であり、このショーケース10においては水を液冷媒として採用している。液冷媒方式のペルチェユニット40は、ペルチェ素子45を含み、第1のポンプ21により循環される放熱側の液冷媒とペルチェ素子の放熱側のヒートシンク41とが熱交換する。また、第2のポンプ22により循環される吸熱側の液冷媒と吸熱側のヒートシンク42とが熱交換する。熱容量の大きな液冷媒と熱交換することにより、放熱側および吸熱側のヒートシンクは小さくなり、液冷媒方式のペルチェユニット40は、コンパクトで冷却能力が高い。
【0017】
さらに、液冷媒方式のペルチェユニット40は、放熱側および吸熱側の熱交換器を分離できるので、熱交換器の配置の自由度が高まる。本例のショーケース10においては、放熱側の熱交換器23を機械室29に配置し、吸熱側の熱交換器33をルーフ部30に配置している。さらに、液冷媒である水を循環するためのパイプ61および62を側壁のフレーム12bに配置して、ペルチェユニット40とルーフの熱交換器33とを接続している。
【0018】
図5に、ルーフ部30の内部の平面的な配置を示している。図3に示すように、ルーフ部30は、陳列室5に面した天井パネル(天井面)31と、屋根を構成する断熱素材を含む上壁32と、天井パネル31および上壁32との間の空間に、天井パネル31の一部に沿うように配置された吸熱側の熱交換器33とを含む。さらに、熱交換器33の後方には、冷気を循環させるためのクロスフロータイプの循環ファン34が配置されている。陳列室5の内部の空気は、循環ファン34によって熱交換器33の後方から吸い込まれ、熱交換器33に供給されて冷却され、陳列室5の前方の吹出し口38から冷気39として、前壁11の内面72に沿って下側に向かって吹き出される。
【0019】
吸熱側の熱交換器33も、液冷媒、本例では水が通過するチューブを備えたラジエータタイプの熱交換器である。熱交換器33を天井面(天井パネル)31に沿うように平面的に配置することにより、設置スペースを薄くできる。熱交換器33に面した天井パネル31は、熱交換器33において発生するドレン(凝固水)を回収するためのドレンパンを兼ねており、ドレン管63を通して、陳列室5の床に配置されたトレイ8に回収される。
【0020】
ルーフ部30の前方には、ガラスまたはプラスチック製の透光性の2重構造の窓35を介して陳列室5に面した照明51と、この照明51を冷却するためのクロスフロータイプの冷却ファン52が配置されている。このショーケース10においては、照明には市販されている蛍光灯が採用されている。図2に示すように、ルーフ部30の蛍光灯51の上面に当たる部分は、冷却用の外気を吸入するための開口(グリル)53になっている。冷却ファン52は、蛍光灯51の前方に配置されており、開口53から外気を吸い込んで蛍光灯51を冷却し、その排気59を、ルーフ部30の前方の、前壁11の前側上方に設けられた排気口54から前壁11の前面に沿って排気する。ルーフ部30の前方の排気口54の上方は、C字状に左右の側壁12および13の上方に延びたチェンバーまたはダクト55になっており、左右の側壁12および13の上方外側に設けられた排気口56に接続されている。したがって、冷却ファン52に吸い込まれて、蛍光灯51を冷却し、加熱された排気59は、さらに、左右の側壁12および13の上方からそれぞれの側壁12および13の表面に沿って出力される。
【0021】
照明の光源である蛍光灯51は、発熱源でもある。したがって、陳列室5の内部を冷却する冷蔵用ショーケース10においては、蛍光灯51と陳列室5とは熱的に遮断することが望ましい。しかしながら、遮光性の断熱材を蛍光灯51と陳列室5との間に設置することはできない。このため、このショーケース10においては、蛍光灯51を外気により強制的に冷却する。さらに、蛍光灯51の下方を2重構造の窓35により断熱し、また、陳列室5の前方に配置される窓35の下方に向かって冷気39を吹き出すことにより、蛍光灯51からの熱により陳列室5に収納された商品(被冷蔵物)の品温が上昇するのを防止している。また、2重構造の窓35の下側の部材35aは、下に凸に湾曲した形状とし、蛍光灯51の光と熱とが、陳列室5の内部に分散して放出されるようにしている。
【0022】
また、蛍光灯51を冷却した外気(排気)59は、ファン52により、前壁11の前面、側壁12および13の表面(外面)に向けて排出され、これらの面71が結露することを防止する。陳列室5の内部は、10℃以下程度に冷却される。このため、前壁11、側壁12および13がガラス板またはプラスチック板の二重構造になっていても、前壁11の前面および側壁12および13の表面の温度が下がり、相対湿度が上がって結露し易い状態となる。蛍光灯51を冷却した排気59は、蛍光灯51の熱により加熱されているので、相対湿度が低い。したがって、排気59により、前壁11の前面および側壁12および13の表面(外面)71に沿って、上から下に流れる気流を生成することにより、前壁11および側壁12および13の外面71の近傍の相対湿度が上昇して結露する条件になるのを未然に防止できる。前壁11は、陳列室5の内部に展示された商品を顧客に見せるために透明であることが望ましく、前壁11の外面71に吹出される排気59の量を十分に確保することが望ましい。
【0023】
陳列室5の内部においては、循環ファン34により吸い込まれ、天井31の冷却用の熱交換器33により冷却された冷気(冷風)39が、前壁11の内面72、および左右の側壁の透光性の部分12aおよび12bの内面72に向けて放出される。このため、壁11〜13の内面72に沿って、冷気39が上から下に流れる。これらの壁11〜13の透光性の部分は、ガラス板の2重構造になっているが、略全体が発泡スチロールからなるドア15や、床壁7さらには天井壁32に比較すると断熱性は小さい。したがって、透光性の壁11〜13を介して外部(店舗内)からの熱が陳列室5に侵入し、陳列室5の温度が上昇する要因となる。このショーケース10においては、これらの透光性の壁11〜13の内面72に沿って、熱交換器33から出力された温度の低い冷気39を流す。このため、透光性の壁11〜13の内面72の近傍の温度が上昇するのを防止できる。したがって、陳列室5の内部の温度分布を小さくすることができ、透光性の壁11〜13の近傍に並べられた商品の品温が上昇するのを防止でき、または、壁11〜13の近傍の商品をより積極的に冷却できる。
【0024】
一方、透光性の壁11〜13の内面72に沿って冷気39を流し、これら透光性の壁の近傍を積極的に冷却しようとすると、これらの壁11〜13の温度が低下する。これらの壁11〜13の断熱性能は低いので、壁11〜13の外面71の温度が低下し、外面71に結露が発生しやすい。しかしながら、このショーケース10においては、蛍光灯51により加温され、相対的に低湿度の空気(排気)59が、これらの壁11〜13の外面71を流れているので、結露は発生し難い。したがって、これらの透光性の壁11〜13を通して、陳列室5に陳列された商品が見やすく、さらに、陳列室5の内部をいっそう均等に冷やすことができるショーケース10を提供できる。
【0025】
陳列室5の内部の商品には、外側から顧客が商品を見たときに、商品が影などにより暗く見えないように、上方から照明光を当てることが望ましい。したがって、蛍光灯51を冷却した排気59は、壁11〜13の外面71を上から下に流すことが望ましく、吹出された直後の、壁の上方の排気59の方が乾燥している。一方、陳列室5の内部を冷却するための冷気39は、より温度の低い冷気39を、上方(天井側)から供給する方が、陳列室5の内部において冷気39を循環し易い。このため、壁11〜13、特に壁11の内面72の上方に、より温度の低い冷気39が当たり、壁11の上方の温度が下がり易い。このように、陳列室5を照明するための蛍光灯51の排気59と、陳列室5の内部を冷却するための冷気39とは、上方から下方に流すことが好ましい。そして、温度の下がり易い壁11〜13の上方は結露し難い環境になる。したがって、排気59および冷気39の気流を、壁11〜13の上から下に形成することにより、冷気39の循環も確保し易く、それにより壁11〜13が結露することを防止でき、陳列室5の内部の商品が見やすいショーケースを提供できる。
【0026】
このショーケース10においては、ルーフ部30に照明用の蛍光灯51が配置されているが、前壁11の上方に照明用の蛍光灯を配置しても良い。側壁12および13の上方に蛍光灯を配置しても良い。また、照明は、蛍光灯に限らず、LED、ネオン管などであっても良い。LEDであっても高出力のものは発熱量が大きい。したがって、LEDを照明する手段として採用する場合も、LEDを冷却することが望ましく、その排熱を上記と同様に利用することができる。
【0027】
照明を冷却し、排気を、例えば、前壁11の外面71に吹き出すためのファン52は、照明51の下流に設置される吸込み(排出)タイプであっても、照明51の上流に設置される押し込みタイプであっても良い。さらには、照明51を冷却するための外気の吸い込み口53は、ルーフ部30の上面に限らず、ルーフ部30の後方の面に配置することも可能である。
【0028】
また、ショーケースは卓上のスタンドアロンタイプに限定されない。前壁11および側壁12および13は、いずれか1つが、あるいは全てが開閉可能なドアであっても良い。典型的なものは、壁面に並んだり、通路に沿って並んだショーケースであって、前面が透明なガラス製またはプラスチック製のドアになっているものである。照明と冷却用のファンは、開閉可能な透明なドアの上部に配置することによりドアと共に移動できる。ドアと共に照明およびファンを移動することにより、ドアが開いているときでも、透明なドアの外側に乾いた空気の流れを作って結露を防止できる。照明および/またはファンは、ドアと共に動かないものであっても良い。透明なドアの外面が最も冷えるのは、ドアが閉じて冷気がドアに当たる状態になった後である。したがって、ドアが閉じたときだけ、透明なドアの外側に沿って、照明を冷却した排気が供給される方式でも、ドアの外側の結露を防止できる。
【0029】
また、透明なドアの外側に照明を冷却した排気を導いて結露を防ぐことにより、その透明なドアの内側に冷気を供給できる。したがって、ドアの近傍に配置された商品を冷却し易い。このため、顧客は、前方あるいは左右のドアを開け、ドアの近くの、所定の条件となるように良好に冷却された商品を購入できる。
【0030】
このショーケース10は、後方のドア15を閉じることにより陳列室5を密封できるタイプのクローズド型のショーケースである。したがって、陳列室5の内部に、冷蔵さらには冷凍された商品を展示するのに適しているショーケースである。そして、庫内の温度が非常に低くなるショーケースであると、透光性の窓は結露して商品を見難くなるが、このショーケース10では、庫内の温度を下げても、窓が結露する可能性が小さく、商品の視認性(窓の透明性)が良好である。このため、特に低温貯蔵を要求される商品の展示販売に適している。
【0031】
また、オープンタイプのショーケース、例えば、後方のドアがないタイプのショーケースであっても、上記のショーケース10と同様に、前壁の外面に上方から照明器具を冷却した排気を流すことにより、顧客に面した部分が結露するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】ショーケースを前方から見た斜視図である。
【図2】ショーケースを後方から見た斜視図である。
【図3】ショーケースの内部構造を示す断面図である。
【図4】ベース部の機械室の配置を示す断面図である。
【図5】ルーフ部の配置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0033】
5 陳列室、 8 トレイ、 10 ショーケース
11 前壁、 12 右側壁、 13 左側壁、 15 後方のドア
20 ベース部、 21、22 ポンプ、 23 排熱側の熱交換器、 29 機械室
30 ルーフ部、 31 天井プレート、 33 吸熱側(冷却側)の熱交換器
34 循環用のファン、 39 冷気、 40 液冷媒方式のペルチェユニット
51 照明(蛍光灯)、 52 冷却用のファン、 59 照明を冷却した後の排気
71 透光性の壁の外面、 72 透光性の壁の内面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の第1の壁と、
前記第1の壁を通して外側から内部を見ることができる陳列室と、
前記陳列室の外側に設けられ、前記陳列室の内部を照明する手段と、
外気を吸引して前記照明する手段を冷却し、その排気が前記第1の壁の外面の少なくとも一部に沿って流れるように放出する手段とを有するショーケース。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の壁の内側の少なくとも一部に沿って流れるように冷気を放出し、前記陳列室の内部を冷却する手段を、さらに有するショーケース。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1の壁は、前記陳列室の前壁の少なくとも一部であり、
前記照明する手段は、前記陳列室の天井の前方、または前記前壁の上方に設けられ、
前記放出する手段は、排気を前記第1の壁の上方から下方に向かって放出し、
前記冷却する手段は、冷気を前記第1の壁の上方から下方に向かって放出する、ショーケース。
【請求項4】
請求項2において、
前記第1の壁は、前記陳列室の前壁および左右の側壁に含まれており、
前記照明する手段は、前記陳列室の天井の前方に設けられ、
前記放出する手段は、排気を前記第1の壁の上方から下方に向かって放出し、
前記冷却する手段は、冷気を前記第1の壁の上方から下方に向かって放出する、ショーケース。
【請求項5】
請求項2において、前記陳列室はドアにより開閉可能な密閉式である、ショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−93250(P2008−93250A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280099(P2006−280099)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(591150797)GAC株式会社 (69)
【Fターム(参考)】