説明

ショーケース

【課題】陳列室内の棚上に陳列される商品、特に棚最前部の商品を効果的に照明することができるショーケースを提供する。
【解決手段】本発明のショーケース1は、本体(断熱箱体2)に構成された陳列室5内に商品陳列用の棚9を架設すると共に、陳列室5の前面開口6を透視可能なガラス扉7にて開閉自在に閉塞し、開口6縁内側の本体には上下に渡って照明装置15を取り付けて成るものであって、照明装置15は、LED素子17から構成され、該LED素子17からの光を棚9の前部に向けて照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体に構成された陳列室内に商品陳列用の棚を架設すると共に、陳列室の前面開口を透視可能な扉にて開閉自在に閉塞し、開口縁内側の本体には上下に渡って照明装置を取り付けて成るショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のショーケースにおいては、前面開口縁中央部又は開口縁両側に上下方向の支柱を立設し、この支柱後面に蛍光灯を取り付け、陳列室内を前方から照明している(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
ここで、図10及び図11を参照して従来の蛍光灯による照明について説明する。図10はリーチインショーケース100の一部の照明状態を示す正面図、図11は図10の照明状態を示す部分拡大断面図をそれぞれ示している。
【0004】
ショーケース100を構成する本体101は前面が開口する断面略コ字状を呈しており、外箱102と、内部に陳列室104を構成する内箱と、これら両箱間に充填される断熱材とから構成されている。陳列室104内には、上下に複数段の棚107・・・が架設されている。また、内箱前面には、左右両側及びこれら両側部と所定間隔を存して複数の支柱106が立設されており、それぞれの支柱106間には、陳列室104の前面開口を開閉自在に閉塞する扉105・・・が設けられている。この扉105は、一側端を回動可能に支柱106に支持され、当該一側を中心として回動させることにより、開放可能とされている。
【0005】
そして、この支柱106の後面には、上下に渡って陳列室照明用の蛍光灯108が設置されている。なお、図10では、蛍光灯108の取付位置を明示するため、扉105の前側に図示しているが、実際には、蛍光灯108は、陳列室104内に位置する支柱106の後面に設けられている。これにより、陳列室104内の棚107上に陳列収納される商品は、蛍光灯108により照明される。
【特許文献1】特開平8−224150号公報
【特許文献2】実用新案登録第2546302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、支柱106の後面に設けられた蛍光灯108により照射される光は、当該蛍光灯108を構成する蛍光管外面より拡散されて陳列室104内を照明する。しかしながら、蛍光灯108からの光は陳列室104方向に向かって拡散するため、棚107の前部中央まで十分な光量を照射することができない。図10及び図11にてハッチングにて示される部分が、十分な光量が供給されず、暗くなっている部分を示している。
【0007】
このように、蛍光灯108から離れた位置にある棚107の前部中央や陳列室104の天板付近やデッキパン付近は、他の部分に比べて暗くなり、十分な商品照明を実現できないという問題がある。特に、正面に向かって商品が陳列されるショーケース100では、棚107上の最前部の商品を照らし出す必要があるが、透視可能な扉105越しに見える棚107の前部中央の商品を照明することができないこととなる。これにより、ショーケース全体としての陳列効果や演出効果が低下すると共に、最も購買促進が期待される棚中央付近の商品を照明することができないことによる不都合が生じていた。
【0008】
また、支柱106が設けられることにより、当該支柱106の後方に位置する棚107上には、商品の陳列が行われない。しかし、蛍光灯108は支柱106の後面に設けられることから、当該支柱106後方にも蛍光灯108からの光が照射されることとなり、光が無駄に拡散されていた。
【0009】
本発明は、従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、陳列室内の棚上に陳列される商品、特に棚最前部の商品を効果的に照明することができるショーケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のショーケースは、本体に構成された陳列室内に商品陳列用の棚を架設すると共に、陳列室の前面開口を透視可能な扉にて開閉自在に閉塞し、開口縁内側の本体には上下に渡って照明装置を取り付けて成るものであって、照明装置は、LED素子から構成され、該LED素子からの光を棚の前部に向けて照射することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明のショーケースは、上記発明において、照明装置は、複数のLED素子を備えたLED照明部材と、該LED照明部材を保持して本体に取り付けられる保持部材とから構成されており、該保持部材は、LED照明部材の扉側に位置する反射板部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明のショーケースは、上記請求項1の発明において、照明装置は、複数のLED素子を備えたLED照明部材と、該LED照明部材を保持して本体に取り付けられる保持部材とから構成されており、LED照明部材は、保持部材に対して上下位置変更可能とされていることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明のショーケースは、上記請求項1の発明において、照明装置は、複数のLED素子を備えたLED照明部材と、該LED照明部材を保持して本体に取り付けられる保持部材とから構成されており、該保持部材は、上下方向の軸を中心として回動可能とされていることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明のショーケースは、上記請求項2乃至請求項4の発明において、LED照明部材は、表面に複数のLED素子が取り付けられた基板を備え、保持部材内には、基板の裏面側に位置する放熱用通路が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のショーケースは、本体に構成された陳列室内に商品陳列用の棚を架設すると共に、陳列室の前面開口を透視可能な扉にて開閉自在に閉塞し、開口縁内側の本体には上下に渡って照明装置を取り付けて成るものであって、照明装置は、LED素子から構成され、該LED素子からの光を棚の前部に向けて照射するので、指向性の高いLED素子からの光を棚の前部に向けて照射することができる。これにより、棚上、特に最前部の商品を満遍なく良好に照明することが可能となり、照明効果の向上を図ることができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、上記発明に加えて、照明装置は、複数のLED素子を備えたLED照明部材と、該LED照明部材を保持して本体に取り付けられる保持部材とから構成されており、該保持部材は、LED照明部材の扉側に位置する反射板部が形成されているので、LED素子からの光が直接、ショーケース正面の顧客に照射されないこととなり、光が眩しいなどの不都合を回避することができる。
【0017】
また、LED素子からの照射光は、LED照明部材の扉側に位置する反射板部に反射して陳列室内を照明することが可能となるため、陳列室内をより効果的に照明することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、上記請求項1の発明に加えて、照明装置は、複数のLED素子を備えたLED照明部材と、LED照明部材を保持して本体に取り付けられる保持部材とから構成されており、LED照明部材は、保持部材に対して上下位置変更可能とされているので、陳列室内の棚の移動に伴って、当該保持部材に保持されるLED照明部材の上下取付位置を変更することにより、当該棚上の商品を効率的に照明することが可能となる。
【0019】
請求項4の発明によれば、上記請求項1の発明において、照明装置は、複数のLED素子を備えたLED照明部材と、該LED照明部材を保持して本体に取り付けられる保持部材とから構成されており、該保持部材は、上下方向の軸を中心として回動可能とされているので、使用状況に応じて当該LED照明部材によって照明する方向を調整することが可能となる。
【0020】
これにより、照明パターンを任意に変更することが可能となり、多様な照明を実現することができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、上記請求項2乃至請求項4の発明において、LED照明部材は、表面に複数のLED素子が取り付けられた基板を備え、保持部材内には、基板の裏面側に位置する放熱用通路が形成されているので、LED素子への通電により発熱する基板からの廃熱を円滑に放熱用通路にて放熱することが可能となる。従って、当該LED照明部材の劣化や故障を防止・抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明を適用したショーケース1の正面図、図2はショーケース1の部分拡大断面図を示している。ショーケース1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどに設置される低温ショーケースで、前面に開口した断熱箱体(断熱壁)2により本体が構成されている。
【0023】
この断熱箱体2は、前面に開口する鋼板製の外箱3と、この外箱3内に間隔を存して組み込まれ、前面に開口する鋼板若しくは硬質樹脂製の図示しない内箱と、外箱3及び内箱間に発泡充填された発泡ポリウレタンからなる断熱材にて構成されている。
【0024】
この内箱内に陳列室5が構成されると共に、陳列室5の前面開口6の上端から下端に渡って内部を透視可能とされる複数(本実施例では3つ)の回動式のガラス扉7、7、7にて開閉自在に閉塞されている。このガラス扉7は、扉縁部を構成する枠体7Aと、当該枠体7A内に設けられる内部を透視可能なガラス板7Bとから構成されており、枠体7Aの後面には、ガスケット7Cが設けられている。
【0025】
断熱箱体2の前面開口6縁には、所定間隔を存して複数(この場合、扉7が3つ設けられているため、2つ)の支柱8が上下に渡って設けられている。係る支柱8は、例えば断熱材によって構成される柱状の部材である。そのため、各ガラス扉7は、後面のガスケット7Cが前面開口6縁部と、支柱8前面とに密着することにより、陳列室5内を閉塞している。
【0026】
また、陳列室5の背面及び前部には、上下に渡って棚支柱10が立設されており、当該棚支柱10には、複数段の棚9が架設されている。なお、当該棚支柱10には、所定間隔を存して複数の係合孔が形成されており、棚9を架設する係合孔を変更することにより、棚9の高さ位置を変更することができる。
【0027】
なお、本実施例では、前記支柱8の後方に対応して陳列室5の背面及び前部に棚支柱10が設けられている。そのため、各棚9は、各ガラス扉7の後方に対応してそれぞれ複数段架設されている。
【0028】
また、陳列室5内上部には、図示しない冷却装置の冷却器と送風機が設置されている。冷却器は、別置きで設置される図示しない圧縮機及び凝縮器等と所謂冷凍サイクルを構成する冷却装置を構成するものであり、この冷却器からの冷気を送風機にて陳列室5に強制循環することによって、陳列室5内は所定の温度に冷却される。
【0029】
次に、上記図2及び図3乃至図7を参照して陳列室5内に設けられる照明装置15について詳述する。図3は照明装置15の側面図、図4は図3の部分拡大図、図5は冷気の流れを示す照明装置15の一部省略斜視図、図6は照明装置15の横断面図、図7は支柱8に設けられる照明装置15、15の横断面図(支柱8は省略)をそれぞれ示している。
【0030】
本実施例において、本体を構成する断熱箱体2の開口6縁内側、具体的には、陳列室5の前隅角部及び支柱8の後面には、上下に渡って照明装置15が設けられている。この照明装置15は、複数のLED照明部材16と、当該LED照明部材16を保持して断熱箱体2の開口6縁内側に取り付けられる保持部材21と、シェード30、カバー部材31とから構成されている。
【0031】
LED照明部材16は、複数のLED素子17が配設された基板18により構成されており、当該基板18は熱良導性の取付板20に固定されている。なお、この取付板20には、保持部材21にネジ止めにて固定するためのネジ穴が形成されている。基板18は、長手方向に延在して構成されており、当該基板18には、所定間隔を存して複数のLED素子17が取り付けられている。本実施例におけるLED素子17は、チップタイプの白色のLED素子である。
【0032】
保持部材21は、断熱箱体2の前面開口6に対し上下に延在して構成される部材である。保持部材21は、断面略コ字状を呈しており、上下端部は、カバー部材31にて閉塞されている。なお、当該カバー部材31には、詳細は後述する如く内部に冷気の流通を可能とするための連通孔32が形成されている。
【0033】
この保持部材21の前壁は支柱8の後面若しくは、断熱箱体2の前隅角部を構成する前壁後面に当接して取り付けられる取付面22と、当該取付面22の端部が所定角度にて後方に向けて折曲された反射板部23が形成されている。
【0034】
そして、略コ字状の開口部と対向する側壁24は、取付面22の端部から略直角に後方に折曲されて形成されており、当該側壁24後端は、保持部材内方、即ち開口部側に向けて突出した照明部材取付部25が形成されている。この照明部材取付部25は、断熱箱体2の前面開口6に対し上下に延在して構成されていると共に、複数の上下に渡って長く延在する長孔26・・・が形成されている。この長孔26は、前記LED照明部材16の取付板20のネジ穴と重合して螺合により固定するための孔であり、当該長孔26の長さ寸法だけLED照明部材16の上下取付位置を変更することが可能とされる。また、略コ字状の後壁には、シェード30を係合するための係合部27が形成されている。
【0035】
シェード30は、保持部材21内を外方から被覆するための透光性の無色透明の材料により構成されており、保持部材21の上部及び下部に形成されるシェード取付片28と重合して化粧ビスなどにより着脱自在に取り付けられる。図5中29は、化粧ビスにてシェード30を固定するためのネジ穴である。
【0036】
係る構成により、照明装置15の取付手順について説明する。先ず初めに、保持部材21を断熱箱体2の開口6縁内側に取り付ける。本実施例では、各ガラス扉7の両側に位置して照明装置15を取り付けるため、陳列室5の前両隅角部と、支柱8の後面に取り付ける。なお、支柱8は、ガラス扉7、7間に位置して設けられるため、2つの保持部材21を、それぞれの側壁24が当接した状態(図2及び図7の状態)で、取り付ける。また、前隅角部に設けられる照明装置15は、LED素子17による照射光が陳列室5内方に向けて照射されるように取り付ける。
【0037】
そして、LED素子17が取り付けられた取付板20を保持部材21の照明部材取付部25に宛がい、取付板20のネジ穴と長孔26とを重合させてネジにより固定する。このとき、照明部材取付部25を図6に示すように断熱箱体2の開口6縁に対し少許後方に向けて傾斜して形成されている。なお、本実施例では、上述した如きLED照明部材16を保持部材21に複数(4つ)、取り付けている。ただし、当該照明装置15は、前面開口6の上端及び下端に渡って構成される単一のLED照明部材16により構成し、取り付けられる長孔26により上下位置を変更可能としても良いが、本実施例の如く複数のLED照明部材16により構成することで、生産コストの低減を図ることができると共に、取扱性の向上を図ることが可能となる。
【0038】
また、取付板20が固定される照明部材取付部25は、側壁24よりも内方に(保持部材21の開口側)突出して構成されているため、保持部材21内において側壁24と取付板20、即ち、基板18の裏側との間には、放熱用通路33が形成される。なお、当該放熱用通路33の上下端は、カバー部材31に形成される連通孔32と連通される。
【0039】
また、保持部材21の反射板部23は、LED照明部材16のガラス扉7側に位置して設けられることとなる。そして、保持部材21の開口側には、LED照明部材16を外方から被覆するためのシェード30を取り付ける。なお、当該シェード30は、保持部材21の開口側に形成される係合部27と反射板部23の端部により着脱自在に係止され、これにより、シェード30は、ガラス扉7と略平行よりは少許陳列室5内方に向けて取り付けられる。
【0040】
なお、上述した如き冷却装置を構成する圧縮機や送風機、照明装置15等は、汎用のマイクロコンピュータにより構成される制御装置Cにより制御される。また、この制御装置Cには、ショーケース1に近づいた人を感知するための人感センサ11が接続されている。なお、当該人感センサ11は、例えば断熱箱体2の上部中央前面等に設けられている。
【0041】
そのため、人感センサ11がショーケース1に人が近づいたことを感知すると、制御装置Cは、前記照明装置15への通電を行い、陳列室5前側方からの照明を行う。なお、制御装置Cは、人感センサ11が人が近づいたことを検出しなくなると、その時点から所定時間経過した後に、前記照明装置15への通電を停止する。
【0042】
係る構成により、保持部材21の照明部材取付部25に固定される照明部材16のLED素子17からの光は、ガラス扉7の両側部後方より横方向(ガラス扉7に対し略平行)に向けて照射される。なお、本実施例では、上述したように断熱箱体2の開口6縁に対し少許後方(陳列室5側)に向けて傾斜して形成されている。これにより、陳列室5内に架設される棚9の前部に向けて照明装置15からの光を照射するので、指向性の高いLED素子17からの光を棚9の前部に向けて照射することができる。これにより、棚9上、特に最前部の商品を満遍なく良好に照明することが可能となり、商品の正面を効果的に照明することができる。従って、商品の照明効果・陳列効果の向上を図ることができる。
【0043】
また、当該照明装置15は、支柱8の後方等の商品の陳列が行われていない部分への照明を極力低減し、商品が陳列されている棚9上への光の照射を効率的に行うことが可能となるため、照射光の無駄を抑制することができる。
【0044】
更に、LED素子17は、蛍光灯に比して耐用年数が著しく長いため、照明の交換作業を不要とすることができる。そのため、交換部品の常備や交換によって排出される廃棄物の処理など煩雑な作業を不要とすることができる。
【0045】
なお、本実施例では、LED照明部材16を少許後方に向けて傾斜して取り付けているが、これに限定されるものではなく、ガラス扉7に対し平行(横方向)に取り付けても良い。
【0046】
また、各LED照明部材16を保持する保持部材21には、LED照明部材16のガラス扉7側に位置する反射板部23が形成されているので、LED素子17からの光が直接、ショーケース1正面の顧客に照射されないこととなり、光が眩しいなどの不都合を回避することができる。
【0047】
また、LED素子17からの照射光は、LED照明部材16のガラス扉7側に位置し、所定角度後方に折曲して形成される反射板部23に反射して陳列室5内を照明することが可能となるため、陳列室5内をより効果的に照明することができる。
【0048】
更に、本実施例では、各LED照明部材16を保持する保持部材21の照明部材取付部25には、上下方向に延在する長孔26が形成されているため、当該長孔26とのLED照明部材16(取付板20)の取付位置を変更することによって、LED照明部材16は、図4に矢印にて示すように、保持部材21に対して上下位置を変更して取り付けることが可能となる。
【0049】
これにより、陳列室5内の棚9の移動や商品の陳列状況に応じて、当該保持部材21に保持されるLED照明部材16の上下取付位置を変更することにより、当該棚9上の商品を効率的に照明することが可能となる。
【0050】
また、LED照明部材16を取り付ける保持部材21内には、基板18の裏面側に位置する放熱用通路33が形成されているので、LED素子17への通電により発熱する基板18からの廃熱を円滑に放熱用通路32にて放熱することが可能となる。従って、当該LED照明部材16の劣化や故障を防止・抑制することができる。なお、放熱用通路32内には、保持部材21の上下端に設けられるカバー部材31の連通孔32を介して陳列室5内を循環する冷気が流通可能とされているため(図5参照)、円滑に、LED照明部材16の基板18からの廃熱を放熱することが可能となる。
【0051】
また、本実施例では、照明装置15を構成する保持部材21は、支柱8後面や断熱箱体2の開口6縁前隅角部などの本体の前面開口6縁内側に固定しているが、これに限定されるものではなく、図8に示すように、断熱箱体2の開口6縁に位置する支柱8側面や内箱側面(本体)に、回動部材40を取り付け、LED照明部材16が設けられた保持部材21を上下方向の軸41を中心として回動可能としても良い。
【0052】
具体的には、回動部材40は、陳列室5側に突出した上下方向の軸部40Aを有し、当該軸部40Aを前記保持部材21に取り付けられるカバー部材31の連通孔32に挿入し回動自在に取り付ける。なお、この軸部40Aには、上下方向に貫通した連通孔42が形成されているものとする。
【0053】
これにより、使用状況に応じて保持部材21を軸41を中心として回動させることで、当該LED照明部材16による光の照射方向を調整することが可能となる(図9参照)。そのため、保持部材21をより後方に回動させることで、LED素子17からの照射光により陳列室5の後方まで照明することができると共に、当該保持部材21をより前方に回動させることで、LED素子17からの照射光により陳列室5の前部(主として棚9の最前部)を満遍なく良好に照明することができる。これにより、照明パターンを任意に、且つ、容易に変更することが可能となり、多様な照明を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を適用したショーケースの正面図である。
【図2】図1のショーケースの部分拡大断面図である。
【図3】照明装置の側面図である。
【図4】図3の部分拡大図である。
【図5】冷気の流れを示す照明装置の一部省略斜視図である。
【図6】照明装置の横断面図である。
【図7】支柱に設けられる照明装置の横断面図(支柱を省略)である。
【図8】他の実施例としての照明装置の部分拡大図である。
【図9】図8の照明装置の回動状態を示す横断面図である。
【図10】従来のリーチインショーケースの一部の照明状態を示す正面図である。
【図11】図10の照明状態を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 ショーケース
2 断熱箱体(本体)
5 陳列室
6 前面開口
7 ガラス扉(扉)
8 支柱
9 棚
11 人感センサ
15 照明装置
16 LED照明部材
17 LED素子
18 基板
20 取付板
21 保持部材
22 取付面
23 反射板部
24 側壁
25 照明部材取付部
26 長孔
28 シェード取付片
30 シェード
31 カバー部材
32 連通孔
33 放熱用通路
40 回動部材
40A 軸部
41 軸
42 連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に構成された陳列室内に商品陳列用の棚を架設すると共に、前記陳列室の前面開口を透視可能な扉にて開閉自在に閉塞し、前記開口縁内側の本体には上下に渡って照明装置を取り付けて成るショーケースにおいて、
前記照明装置は、LED素子から構成され、該LED素子からの光を前記棚の前部に向けて照射することを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記照明装置は、複数の前記LED素子を備えたLED照明部材と、該LED照明部材を保持して前記本体に取り付けられる保持部材とから構成されており、該保持部材は、前記LED照明部材の前記扉側に位置する反射板部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記照明装置は、複数の前記LED素子を備えたLED照明部材と、該LED照明部材を保持して前記本体に取り付けられる保持部材とから構成されており、前記LED照明部材は、前記保持部材に対して上下位置変更可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項4】
前記照明装置は、複数の前記LED素子を備えたLED照明部材と、該LED照明部材を保持して前記本体に取り付けられる保持部材とから構成されており、該保持部材は、上下方向の軸を中心として回動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項5】
前記LED照明部材は、表面に前記複数のLED素子が取り付けられた基板を備え、前記保持部材内には、前記基板の裏面側に位置する放熱用通路が形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れかに記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−112351(P2009−112351A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285561(P2007−285561)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】