ショートアーク型放電灯
【課題】ショートアーク型放電灯の諸特性を良好に満足しつつ、点灯時の破裂を防止する。
【解決手段】ショートアーク型放電灯の発光管内の放電空間2には、希ガスと水銀が封入され、陰極と陽極が配置されている。電極支持棒5を支持する第一のシール用ガラス部材7が、発光管のシールガラス6と封着されている。外部から電極へ通電するための金属箔が、第二のシール用ガラス部材8とシールガラス6に挟まれて封着されている。第一のシール用ガラス部材7の凹部Vの縁幅をt(mm)とし、外径をOD(mm)として、0<t<−0.09×OD+4.3の関係を満たすようにする。また、第一のシール用ガラス部材7における凹部Vの溝の深さをD(mm)とし、全長をL(mm)として、0.2<D/L<0.7の関係を満たすようにする。また、第一のシールガラス部材7の凹部底面と凹部側面との交わる部位を曲面形状とする。
【解決手段】ショートアーク型放電灯の発光管内の放電空間2には、希ガスと水銀が封入され、陰極と陽極が配置されている。電極支持棒5を支持する第一のシール用ガラス部材7が、発光管のシールガラス6と封着されている。外部から電極へ通電するための金属箔が、第二のシール用ガラス部材8とシールガラス6に挟まれて封着されている。第一のシール用ガラス部材7の凹部Vの縁幅をt(mm)とし、外径をOD(mm)として、0<t<−0.09×OD+4.3の関係を満たすようにする。また、第一のシール用ガラス部材7における凹部Vの溝の深さをD(mm)とし、全長をL(mm)として、0.2<D/L<0.7の関係を満たすようにする。また、第一のシールガラス部材7の凹部底面と凹部側面との交わる部位を曲面形状とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショートアーク型放電灯に関し、特に、投入電力が1kW以上で点灯時のランプ内圧力が1.0MPa以上であり、半導体や液晶の製造の露光工程において光源として用いられるショートアーク型放電灯に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶の製造プロセスの露光工程において、光源として使用されているショートアーク型放電灯は、高照度化が要求されている。この種のショートアーク型放電灯(以下、単にランプと称する)は、一般に投入電力が1kW以上となり、点灯時の温度と内圧がかなり高いことが知られている。ランプの高照度化を行うための一方法として、水銀や希ガスなどをより多く封入し、紫外域のランプ発光効率を向上させる方法がある。この場合、点灯時ランプ内圧が、封入物量の増加により増大するため、破裂の危険性がより大きくなる。ランプが破裂すると、ランプを搭載している高価な周辺機器が破損する。それだけでなく、水銀やランプ素材の飛散による人体への損傷を招き、重大な問題となる。そのため、ランプの破裂を未然に防ぐ対策は、ランプの設計製造において第一に優先にするべきことである。
【0003】
以下に、ショートアークランプにおける破裂対策の従来技術の例を説明する。従来の1kW以上の大型放電管においては、ランプ入力電力をバルブ内表面積で割った値である管壁負荷値をもとにしてバルブ部を設計する。こうすると、ランプ点灯中に大きな応力が発生しやすい。最悪の場合、応力値がガラス材料の破壊応力値を超え、バルブが破壊に至ることがあった。この対策として、特許文献1に開示された「ショートアーク型放電灯」の提案がある。このランプでは、発光管の球面部最大内径aと発光管球面部全長cとの比を、0.42<(a/c)<1.02の範囲とする。発光管の球面部最大内径aと球面部終端面外径bとの比を、1.82<(a/c)<3.44の範囲とする。ランプ電力W(W)と発光部球面部内表面積S(mm2)との比を、W/S<0.3の範囲とする。このようにすることにより、内圧などが作用する場合の応力分布を均等化させることができ、長時間点灯しても破裂に至らないようにできる。
【0004】
また、市場からの要求により、ショートアーク放電ランプの大型化が進んでいる。そのため、点灯時の動作圧力が2.0(MPa)以上となり、箔シール部の径や長さが大きくなっている。その結果、金属箔と、金属箔に内接するシール用石英部材との間に、箔の浮き上がり現象が起こる。この問題の解決のために、特許文献2に開示された「ショートアーク放電ランプ」の提案がある。これは、ランプ投入電力が4kW以上で、点灯時の動作圧力が2.0(MPa)以上となる直流ショートアーク放電ランプである。シール石英部材へ挿入される金属部材の挿入部分の長さを、シール石英部材の全長の約4割以上とする。これにより、箔シール部に配置された金属箔に内接するシール用石英部材との間に発生する箔の浮き上がり現象を防止する。さらに、箔シール部に発生するクラックと、ランプ封入気体の外気へのリークと、ランプの早期破裂も防止できる。
【0005】
発光管に連設された封止管内で、電極支持棒を挿通孔のある保持部材(肉厚の中空石英ガラス製管状部材)で保持する構造の放電ランプがある。この構造では、保持部材とシールガラスの封着部である保持部材の両端部に、熱溶融後の冷却時に熱ひずみが生じる。そのため、ランプが長時間、高圧力で動作すると、亀裂が生じる恐れがある。その問題を解決するため、特許文献3に開示された「放電ランプ」の提案がある。このランプは、保持部材が石英ガラス製である。管状部材の発光管側端部域の外径を、他端側の端部域の外径より大きくする。発光管側端部域の外周に、Mo製箔部材を配置する。これにより、長時間、高圧力で動作しても、電極支持棒の保持部材と封止管との溶着部分に亀裂が生じなくなる。破裂することのない安全な信頼性の高い放電ランプとなる。
【0006】
陰極と陽極の電極芯棒が保持用筒体に挿通されて保持され、保持用筒体が発光管に続く側管の絞込み部において支持されているショートアークランプがある。この構造では、電極芯棒の保持用筒体とシールガラスとの溶着の際に、保持用筒体の端部のコーナ部において、小さな間隙の楔部が形成されてしまうことがある。点灯中の発光管内のガス圧力が極めて高いと、楔部を起点としてクラックが発生する。応力が繰り返し加わることによって、クラックが斜め方向に対し大きく成長し、ついにランプが破裂してしまうという問題が生じる。この問題解決のために、特許文献4に開示された「ショートアークランプ」の提案がある。このランプでは、保持用筒体と絞込み部の間に、金属層もしくはセラミック層からなる中間層を介在させる。また、中間層をモリブデン箔とし、モリブデン箔が保持用筒体の外周面に巻かれる構造とする。点灯中のガス圧力を高くしても、側管の絞込み部と電極芯棒保持用筒体の端部コーナ部において、クラックが発生することがなくなる。
【0007】
このように、バルブ端部から封止部にかけての部分において、非常に高い頻度で亀裂が発生する問題に対し、発光管の寸法を適切な値に設定することや、シール用石英部材への金属部材の挿入割合を適切な値に設定することや、発光管側端部域の寸法を適切な値に設定することや、電極芯棒の保持用筒体にモリブデン箔を利用することなどを、亀裂防止対策としている。
【特許文献1】特開2003-151501号公報
【特許文献2】特開2002-100321号公報
【特許文献3】特許第3458756号公報
【特許文献4】特許第3430887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の亀裂防止対策技術には、以下のような問題がある。ランプ破裂に対する定性的回避は達成されても、ランプの内圧に対して、破裂に至るまでの機械的強度がどの程度余裕を有しているのかという、定量的判断ができない。このことは、ランプの設計仕様がたびたび変化する環境の中で、ランプの破裂防止が必ずしも保証されるものではないことを示唆している。
【0009】
例えば、破裂に直接関わっていると考えられる破裂領域の形状(ガラス部材の直径、バルブ端部から封止部の先端までの長さ、シールガラスの厚さ)を、ランプの立ち上がり特性等の問題も含め、経験則から問題がないと推測される寸法で設計し、点灯を試みたところ、ランプに封入する水銀量や、ランプのサイズ、部材の形状によっては、予期せず破裂することがしばしば起こった。以下に具体的に説明する。図10は、従来のショートアークランプ型放電灯の封止部拡大図である。図11は、従来のショートアーク型放電灯のガラス部材の形状を変えた封止部拡大図である。図10に示すようなシール用ガラス部材であると、ランプを点灯させた際に、A点に内圧による応力が集中し、A点で破壊が起こることが経験的にわかっている。しかし、発光管の端部と封止部先端までの距離であるL1の距離がある程度長いと、破裂耐性が向上することが分かっている。
【0010】
一方、図11に見られるシール用ガラス部材7の形状は、図10に見られるシール用ガラス部材形状において、ランプ点灯時のA点への応力集中を、A点以外のB点に分散させ、応力を緩和させる目的のために設計されたものである。しかし、十分な破裂耐性を有すると思われるL1の寸法に基づきシール用ガラス部材7の形状を、図10のものから図11のものに変えると、予想に反して、頻繁に破裂が起こった。このことから、この対策は、定量的な根拠がないため、確実にランプの破裂回避ができないものであり、本質的なランプ破裂防止とはならないと考えられる。したがって、シール用ガラス部材の形状とランプの破裂圧力の関係を、定量的に検討しないかぎり、確実にランプの破裂を防止することはできない。
【0011】
本発明の目的は、上記従来の問題を解決して、ショートアーク型放電灯を、ランプの立ち上がり特性や放射照度等のランプ諸特性を良好に満足しつつ、ランプ点灯時の高圧力動作時に破裂せずに安全に点灯できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明では、発光管内の放電空間に陰極と陽極が配置されるとともに希ガスと水銀が封入され、電極支持棒を支持する第一のシール用ガラス部材が発光管のシールガラスと封着され、電極と外部からの通電を可能とする金属箔が第二のシール用ガラス部材とシールガラスに挟まれて封着されている構造のショートアーク型放電灯の第一のシール用ガラス部材に、シールガラスと接する縁部のある凹部を電極支持棒の周囲に設け、第一のシール用ガラス部材の凹部の縁幅をt(mm)とし、第一のシール用ガラス部材の外径をOD(mm)としたとき、t<−0.09×OD+4.3の関係を満たす構成とした。また、第一のシール用ガラス部材における凹部の溝の深さをD(mm)とし、第一のシール用ガラス部材の軸方向全長をL(mm)としたとき、0.2<D/L<0.7の関係を満たす構成とした。また、第一のシールガラス部材の凹部底面と凹部側面との交わる部位を曲面形状とした。
【0013】
すなわち、破裂に直接関わる放電空間側の発光管から延長したシールガラスとシール用ガラス部材との封止先端部の形状を決定するシール用ガラス部材の外径と、凹部の縁幅と、全長と、凹部底面と凹部側面との交わる形状とを、破裂内圧に定量的に関係付けることにより、これらのパラメータについての破裂しない最適条件を求めて、その条件を満足する形状のショートアーク型放電灯を構成した。
【発明の効果】
【0014】
このように構成したことにより、ショートアーク型放電灯を、立ち上がり特性や照度特性等のランプ諸特性を良好に満足しながら、長時間破裂することなく安全に点灯できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図9を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1は、発光管のシールガラスに封着されて電極支持棒を支持するシール用ガラス部材の凹部の縁幅をt(mm)とし、シール用ガラス部材の外径をOD(mm)としたとき、0<t<−0.09×OD+4.3の関係を満たすショートアーク型放電灯である。
【0017】
図1は、本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯の概略図である。図1において、発光管1は、ショートアーク型放電灯のガラスバルブである。放電空間2は、水銀が封入された放電用の密閉空間である。発光管1内に、1対のタングステンなどの高融点金属からなる陰極電極3と陽極電極4が配置されている。陰極電極3と陽極電極4それぞれは、電極支持棒5aと電極支持棒5bによって支えられている。シールガラス6a,6b(以下、シールガラス6と総称することがある)は、発光管1から延長され、この発光管1を気密に封じるガラスである。第一のシール用ガラス部材7a,7b(以下、シール用ガラス部材7と総称することがある)は、電極支持棒5a、5bとシールガラス6a,6bとの間を封じて、電極支持棒5a、5bを保持するガラスである。特に必要な場合を除き、第一のシール用ガラス部材7を、単にシール用ガラス部材として説明する。
【0018】
第二のシール用ガラス部材8a,8b(以下、シール用ガラス部材8と総称することがある)は、電極支持棒5a、5bを支え、ランプステムを構成する主要な部位である。金属箔9a,9b(以下、金属箔9と総称することがある)は、シール用ガラス部材8a,8bとシールガラス6a,6bとの間に配置され、電極支持棒5a、5bとリード線11a,11bを電気的に接続する導体である。陽極電極4側の金属箔9は、その断面形状のみを示してある。リード線11a,11bは、ショートアーク型放電灯に電流を流すための導体である。シールガラス6a,6bおよびシール用ガラス部材8a,8bとシール用ガラス部材7a,7bとで、発光管1が封止されている。これにより、放電空間2と外気とが完全に隔離された状態で、外部からランプに通電することができる。
【0019】
放電空間2には、希ガスと、可視から紫外域にかけて高い強度の発光スペクトルを有する水銀などが封入されている。それぞれの極性のリード線11に直流電流を印加すると、陽極電極4と陰極電極3との間にアーク放電が発生する。放電空間2の中で発生した光が、光透過性の発光管1の発光管球面部を透過して、所望の紫外線が放射される。点灯時の内圧は、内部温度と封入物の蒸気圧等の要因により、数MPaオーダーの圧力であると知られており、点灯時の温度もかなり高温となるため、発光管の素材として厚さが3mm程度のシリカガラスが使用される場合が多い。
【0020】
図2は、ショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材7の拡大図である。電極支持棒5を支持するシール用ガラス部材7の放電空間2側に面する端面には、凹部Vが形成されている。図3は、ショートアーク型放電灯の静水圧試験の実験系の概観図である。図4は、ショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材の形状指数2t/ODとランプ破裂圧力との関係を示すグラフである。図5は、ショートアーク型放電灯で、従来ランプが破裂する圧力におけるシール用ガラス部材の外径ODと凹部の縁幅tとの関係を示すグラフである。
【0021】
上記のように構成された本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯の形状を決定する方法を説明する。最初に、図1を参照しながら、ショートアーク型放電灯の破裂特性を説明する。ランプが点灯すると、ランプ内にある水銀が徐々に蒸発し、ランプ内部のガス圧力が増加する。ランプ内部のガス圧力の増加により、応力が集中する箇所は、図11に示したように、実際に破裂の頻度が高い放電空間に面したシール用ガラス部材7とシールガラス6の封止部先端付近のA部とシール用ガラス部材7の凹部底面の角におけるB点であると考えられる。図11のA点、B点におけるランプ内圧による応力は、シール用ガラス部材7の形状を決定するパラメータである外径ODと縁幅tにより変動すると考えられる。これらのパラメータと破裂圧力との関係について明らかにする。
【0022】
次に、図2を参照しながら、ショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材7の形状パラメータについて説明する。図11に示した従来のランプと同様に、シール用ガラス部材7に凹部Vを設ける。凹部Vの外径をOD(mm)とし、縁幅をt(mm)とする。また、凹部Vの深さをD(mm)とし、シール用ガラス部材7の全長をL(mm)とする。シールガラス用部材7の凹部Vの縁幅t(mm)が外径OD(mm)に占める割合である2t/ODを、シールガラス用部材7の凹部Vの形状指数とよぶことにする。
【0023】
次に、図3を参照しながら、破裂実験の方法を説明する。図3は、試験用に用いるサンプルランプのランプ内部に圧力を加える実験系である。以下、これを静水圧試験と称する。具体的には、チップ部15を通してランプ14内部に水を満たし、このランプ14を水槽12の水の中に配置する。加圧ポンプ16により、点灯中のガス圧力を擬似するための水圧を加える。加圧ポンプ16により加える水圧の昇圧速度は、6MPa/5minである。サンプルランプには、投入電力が5〜8kWサイズのランプを用いる。形状指数2t/ODが0〜1.0であるランプを複数用意し、シール用ガラス部材とシールガラスの封止部先端で破裂する圧力と、形状指数2t/ODの関係を測定する。形状指数2t/ODの値が変わることにより、A点(図11)において破壊するときの破裂圧力(MPa)が、どのように変化するかを確認する。縁幅tと外径OD以外の寸法は一定とする。すなわち、図10に示したL1やL2の寸法や、図2に示すDやLの寸法等は一定とする。
【0024】
次に、図4を参照しながら、ランプ破裂圧力と形状指数との関係を説明する。図4は、形状指数2t/ODとランプ破裂圧力の関係を示すグラフである。図4のグラフから、形状指数2t/ODの値が大きくなればなるほど、ランプが破壊される圧力が小さくなり、破裂耐性が低下することが分かる。また、同じ形状指数2t/ODの値であっても、外径ODが小さくなるほど破裂圧力が高くなり、破裂耐性が向上していることが分かる。
【0025】
シール用ガラス部材7の外径に対して凹部Vの縁幅tが占める割合が大きいほど、破裂耐性が低くなるのは、次のような理由である考えられる。すなわち、凹部Vの縁幅tが大きいと、シールガラスのみの厚さと、シールガラスとシール用ガラス部材7の凹部Vの縁幅tとの和の厚さとの間に、大きな差(すなわち縁幅t)が生じる。内圧による応力が厚さの差に応じて大きくなり、B点(図11)に応力が集中して、シールガラスの機械的な強度が低下するためである。逆に、シール用ガラス部材7の凹部Vの縁幅tが小さくなれば、シールガラスのみの厚さと、シールガラスの厚さとシール用ガラス部材7の凹部Vの縁幅tとの和の厚さとの間に、大きな差が生じない。したがって、内圧による応力が均衡して、A点にもB点にも応力が集中することがなく、シールガラスの機械的な強度が低下しない。
【0026】
また、形状指数2t/ODの値が同じであっても、外径ODが小さくなるほど破裂圧力が高くなり、破裂耐性が向上している。これは、シール用ガラス部材7の外径が小さくなると、ランプが小さくなることに相当する。すなわち、ランプが小さいと、内圧に対する機械的強度が向上する。つまり、ランプサイズが大きいショートアーク型放電灯よりも、ランプサイズが小さい超高圧水銀灯の方が、ランプ点灯中の耐圧性が高いことと同じである。
【0027】
次に、図5を参照しながら、ランプが破裂するときのシール用ガラス部材の外径ODと凹部の縁幅tとの関係を説明する。破裂の頻度が高い従来型ランプの縁幅tの値は20mmであり、形状指数2t/ODの値は0.26である。この従来型ランプの破裂内圧で破裂するシール用ガラス部材7の外径ODと凹部Vの縁幅tの関係を求める。図5に、従来型ランプの破裂圧力に基づいたシール用ガラス部材7の外径ODと凹部Vの縁幅tとの関係を表すグラフを示す。ここで、シール用ガラスの凹部Vの縁幅tは、当然のことながらt>0であり、マイナスの値はとらない。
【0028】
従来型ランプが破裂する圧力において破裂するシール用ガラス部材7の外径OD(mm)と凹部Vの縁幅t(mm)との関係は、
t=−0.09×OD+4.3
という直線関数になる。シール用ガラス部材7の縁幅tの外径ODへの占める割合が大きいほど破裂耐性が低くなるという結果(図4)を考慮すると、
t<−0.09×OD+4.3
という条件を満たせば、破裂耐性が良好となることが明らかである。これが、破裂の防止の定量的な条件である。この条件を満たすランプを実際に点灯した結果では、破裂もなく、照度特性やランプ立ち上がり特性等のランプ諸特性を満足している。さらに、他のパラメータを変更しても、これらの定量的な結果に変化はないことも確認した。
【0029】
上記のように、本発明の実施例1では、ショートアーク型放電灯を、発光管のシールガラスに封着されて電極支持棒を支持するシール用ガラス部材の凹部の縁幅をt(mm)とし、シール用ガラス部材の外径をOD(mm)としたとき、0<t<−0.09×OD+4.3の関係を満たす構成としたので、ランプ諸特性を良好に満足しながら、長時間破裂することなく安全に点灯できる。
【実施例2】
【0030】
本発明の実施例2は、発光管のシールガラスに封着されて電極支持棒を支持するシール用ガラス部材の凹部の溝の深さをD(mm)とし、シール用ガラス部材の全長をL(mm)としたとき、0.2<D/L<0.7の関係を満たすショートアーク型放電灯である。
【0031】
実施例2の基本的なランプ構造は、実施例1と同じである。図6は、本発明の実施例2におけるショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材のD/Lとランプ破裂圧力との関係を示すグラフである。図7は、ショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材のD/Lとランプ立ち上がり時間との関係を示すグラフである。実施例2においても、特に必要な場合を除き、第一のシール用ガラス部材7を、単にシール用ガラス部材として説明する。
【0032】
本発明の実施例2におけるショートアーク型放電灯の形状を決定する方法を説明する。最初に、破裂に関連する要素について説明する。シール用ガラス部材7の形状要素としては、シール用ガラス部材7の凹部Vの溝の深さD(mm)がある。シール用ガラス部材7のランプ長軸方向の全長L(mm)に対する凹部Vの溝の深さDの割合を示す比(溝深度D/L)に対して、破裂圧力(MPa)との関係を求める。図3に示した静水圧試験の実験系と同じもの使用し、同じ条件で実験する。溝の深さDと全長L以外の寸法は一定とする。すなわち、図10に示したL1やL2の寸法や、図2に示す縁幅tや外径OD等の寸法は一定とする。
【0033】
次に、図6を参照しながら、シール用ガラス部材の溝深度D/Lとランプ破裂圧力との関係を説明する。サンプルランプの静水圧破壊試験により、ランプ破壊圧力と溝深度D/Lとの関係を測定する。シール用ガラス部材の溝深度D/Lとランプ破裂圧力との関係は、図6のグラフのようになる。溝深度D/Lの値が増加するにつれて、ランプの破裂圧力が増加し、破裂耐性が向上していることが、このグラフから分かる。これは、シール用ガラス部材7における凹部Vの溝の深さが深くなることによって、内圧による応力が分散され、図11に示したA点とB点とに生じる応力集中が小さくなるためであると考えられる。特に、機械的に弱い部分であるB点に集中する応力が減少する。
【0034】
破裂が頻繁に起きた従来型ランプの溝深度D/Lの値は、0.2以下である。したがって、溝深度D/Lの値が0.2より大きければ、破裂を回避できる。これが、溝深度D/Lに関係する破裂の定量的な根拠である。さらに、溝深度D/Lの値が0.2以下では、シール用ガラス部材の外径が小さいほど、ランプの破裂耐性が向上している。これにより、シール用ガラス部材の外径と破裂との関係も、定量的に判断できる。
【0035】
次に、図7のグラフを参照しながら、シール用ガラス部材の溝深度D/Lとランプ立ち上がり時間との関係を説明する。溝深度D/Lの値に対して、ランプの立ち上がり特性と破裂の有無を実験により調べる。図7に、溝深度D/Lと、ランプが点灯してから安定するまでに要する時間の関係を表すグラフを示す。D/L>0.2の範囲のランプでは、照度特性の問題もなく、破裂も起きない。しかし、D/L>0.7において、ランプ立ち上がりに要する時間が、約40〜60%長くかかり、ランプ立ち上がり特性に関しては問題がある。したがって、ランプの立ち上がり時間を考慮に入れると、0.2<D/L<0.7の範囲が、ランプの破裂が防止できる範囲であり、且つ、照度特性とランプの立ち上がり特性が満足される範囲である。さらに、他のパラメータを変更した場合も、これらの定量的な結果に変化はないことを確かめた。他のランプ諸特性も問題ない。
【0036】
上記のように、本発明の実施例2では、ショートアーク型放電灯を、発光管のシールガラスに封着されて電極支持棒を支持するシール用ガラス部材の凹部の溝の深さをD(mm)とし、シール用ガラス部材の全長をL(mm)としたとき、0.2<D/L<0.7の関係を満たす構成としたので、ランプ諸特性を良好に満足しながら、長時間破裂することなく安全に点灯できる。
【実施例3】
【0037】
本発明の実施例3は、発光管のシールガラスに封着されて電極支持棒を支持するシールガラス部材の凹部底面と凹部側面との交わる部位を曲面形状としたショートアーク型放電灯である。
【0038】
実施例3の基本的なランプ構造は、実施例1と同じである。図8は、本発明の実施例3におけるショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材の形状拡大図である。実施例3においても、特に必要な場合を除き、第一のシール用ガラス部材7を、単にシール用ガラス部材として説明する。
【0039】
本発明の実施例3におけるショートアーク型放電灯の形状を決定する方法を説明する。最初に、図8を参照しながら、破裂に関連する要素と実験方法について説明する。シール用ガラス部材7の破裂に関連する形状要素として、凹部Vの凹部底面と凹部側面が交わる部位の形状がある。この面形状と破裂との関係を実験により定量的に求める。図3に示した静水圧試験の実験系と同じもの使用し、同じ条件でサンプルランプの静水圧破壊試験を行う。シール用ガラス部材7の凹部底面と凹部側面との交わる部位の曲率半径R(mm)を変えながら、ランプ破壊圧力(MPa)を求める。曲率半径R以外の寸法は一定とする。すなわち、図10に示したL1やL2の寸法や、図2に示した縁幅tや外径ODや溝の深さDや全長L等の寸法は一定とする。
【0040】
次に、図9のグラフを参照しながら、シール用ガラス部材7の凹部Vの底面の曲率半径Rと破裂圧力との関係を説明する。シール用ガラス部材7の凹部Vの底面と側面との交わる部位の曲率半径Rが増加するに従って、破壊圧力が増加している。特に、曲率半径Rがほぼ0である位置から急激に増加している。このことから、シール用ガラス部材7の凹部Vの底面と側面との交わる部位の曲率半径Rを大きくすることによって、破裂を防止できることがわかる。この理由は、シール用ガラス部材7の凹部底面と凹部側面との交わる部位の曲率半径が0から増加するに従って、B点(図11)における応力が減少したためであると考えられる。
【0041】
この範囲のランプを実際に点灯して、照度特性やランプ立ち上がり特性等のランプ諸特性を満足しながら、破裂しないことを確かめた。また、このシール用ガラス部材の凹部底面と凹部側面との交わる部位の断面形状を、曲率半径Rの円弧とする以外に、楕円形やその他の形状としても、同じ効果が得られる。さらに、他のパラメータを変更しても、これらの定量的な結果に変化はないことも確かめた。
【0042】
上記のように、本発明の実施例3では、ショートアーク型放電灯を、発光管のシールガラスに封着されて電極支持棒を支持するシールガラス部材の凹部底面と凹部側面との交わる部位を曲面形状としたので、ランプ諸特性を良好に満足しながら、長時間破裂することなく安全に点灯できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のショートアーク型放電灯は、半導体や液晶の製造の露光工程における1kW以上の光源として最適である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯の概念図である。
【図2】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯の封止部拡大図である。
【図3】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯の静水圧試験の実験系の概観図である。
【図4】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材の形状指数2t/ODとランプ破裂圧力との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯で、従来ランプが破裂する圧力におけるシール用ガラス部材の外径ODと凹部の縁幅tとの関係を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例2におけるショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材のD/Lとランプ破裂圧力との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例2におけるショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材のD/Lとランプ立ち上がり時間との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例3におけるシール用ガラス部材の拡大図である。
【図9】シール用ガラス部材における凹部底面の曲率半径Rと破裂圧力との関係を示すグラフである。
【図10】従来のショートアーク型放電灯の発光管球面の端から封止部の先端までの部分拡大概略図である。
【図11】従来のショートアーク型放電灯におけるシール用ガラス部材の形状を変えた封止部の拡大図である
【符号の説明】
【0045】
1 発光管
2 放電空間
3 陰極電極
4 陽極電極
5 電極支持棒
6 シールガラス
7 第1のシール用ガラス部材
8 第2のシール用ガラス部材
9 金属箔
10 口金
11 リード線
12 水槽
13 水
14 ランプ
15 チップ部
16 加圧ポンプ
V 凹部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショートアーク型放電灯に関し、特に、投入電力が1kW以上で点灯時のランプ内圧力が1.0MPa以上であり、半導体や液晶の製造の露光工程において光源として用いられるショートアーク型放電灯に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶の製造プロセスの露光工程において、光源として使用されているショートアーク型放電灯は、高照度化が要求されている。この種のショートアーク型放電灯(以下、単にランプと称する)は、一般に投入電力が1kW以上となり、点灯時の温度と内圧がかなり高いことが知られている。ランプの高照度化を行うための一方法として、水銀や希ガスなどをより多く封入し、紫外域のランプ発光効率を向上させる方法がある。この場合、点灯時ランプ内圧が、封入物量の増加により増大するため、破裂の危険性がより大きくなる。ランプが破裂すると、ランプを搭載している高価な周辺機器が破損する。それだけでなく、水銀やランプ素材の飛散による人体への損傷を招き、重大な問題となる。そのため、ランプの破裂を未然に防ぐ対策は、ランプの設計製造において第一に優先にするべきことである。
【0003】
以下に、ショートアークランプにおける破裂対策の従来技術の例を説明する。従来の1kW以上の大型放電管においては、ランプ入力電力をバルブ内表面積で割った値である管壁負荷値をもとにしてバルブ部を設計する。こうすると、ランプ点灯中に大きな応力が発生しやすい。最悪の場合、応力値がガラス材料の破壊応力値を超え、バルブが破壊に至ることがあった。この対策として、特許文献1に開示された「ショートアーク型放電灯」の提案がある。このランプでは、発光管の球面部最大内径aと発光管球面部全長cとの比を、0.42<(a/c)<1.02の範囲とする。発光管の球面部最大内径aと球面部終端面外径bとの比を、1.82<(a/c)<3.44の範囲とする。ランプ電力W(W)と発光部球面部内表面積S(mm2)との比を、W/S<0.3の範囲とする。このようにすることにより、内圧などが作用する場合の応力分布を均等化させることができ、長時間点灯しても破裂に至らないようにできる。
【0004】
また、市場からの要求により、ショートアーク放電ランプの大型化が進んでいる。そのため、点灯時の動作圧力が2.0(MPa)以上となり、箔シール部の径や長さが大きくなっている。その結果、金属箔と、金属箔に内接するシール用石英部材との間に、箔の浮き上がり現象が起こる。この問題の解決のために、特許文献2に開示された「ショートアーク放電ランプ」の提案がある。これは、ランプ投入電力が4kW以上で、点灯時の動作圧力が2.0(MPa)以上となる直流ショートアーク放電ランプである。シール石英部材へ挿入される金属部材の挿入部分の長さを、シール石英部材の全長の約4割以上とする。これにより、箔シール部に配置された金属箔に内接するシール用石英部材との間に発生する箔の浮き上がり現象を防止する。さらに、箔シール部に発生するクラックと、ランプ封入気体の外気へのリークと、ランプの早期破裂も防止できる。
【0005】
発光管に連設された封止管内で、電極支持棒を挿通孔のある保持部材(肉厚の中空石英ガラス製管状部材)で保持する構造の放電ランプがある。この構造では、保持部材とシールガラスの封着部である保持部材の両端部に、熱溶融後の冷却時に熱ひずみが生じる。そのため、ランプが長時間、高圧力で動作すると、亀裂が生じる恐れがある。その問題を解決するため、特許文献3に開示された「放電ランプ」の提案がある。このランプは、保持部材が石英ガラス製である。管状部材の発光管側端部域の外径を、他端側の端部域の外径より大きくする。発光管側端部域の外周に、Mo製箔部材を配置する。これにより、長時間、高圧力で動作しても、電極支持棒の保持部材と封止管との溶着部分に亀裂が生じなくなる。破裂することのない安全な信頼性の高い放電ランプとなる。
【0006】
陰極と陽極の電極芯棒が保持用筒体に挿通されて保持され、保持用筒体が発光管に続く側管の絞込み部において支持されているショートアークランプがある。この構造では、電極芯棒の保持用筒体とシールガラスとの溶着の際に、保持用筒体の端部のコーナ部において、小さな間隙の楔部が形成されてしまうことがある。点灯中の発光管内のガス圧力が極めて高いと、楔部を起点としてクラックが発生する。応力が繰り返し加わることによって、クラックが斜め方向に対し大きく成長し、ついにランプが破裂してしまうという問題が生じる。この問題解決のために、特許文献4に開示された「ショートアークランプ」の提案がある。このランプでは、保持用筒体と絞込み部の間に、金属層もしくはセラミック層からなる中間層を介在させる。また、中間層をモリブデン箔とし、モリブデン箔が保持用筒体の外周面に巻かれる構造とする。点灯中のガス圧力を高くしても、側管の絞込み部と電極芯棒保持用筒体の端部コーナ部において、クラックが発生することがなくなる。
【0007】
このように、バルブ端部から封止部にかけての部分において、非常に高い頻度で亀裂が発生する問題に対し、発光管の寸法を適切な値に設定することや、シール用石英部材への金属部材の挿入割合を適切な値に設定することや、発光管側端部域の寸法を適切な値に設定することや、電極芯棒の保持用筒体にモリブデン箔を利用することなどを、亀裂防止対策としている。
【特許文献1】特開2003-151501号公報
【特許文献2】特開2002-100321号公報
【特許文献3】特許第3458756号公報
【特許文献4】特許第3430887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の亀裂防止対策技術には、以下のような問題がある。ランプ破裂に対する定性的回避は達成されても、ランプの内圧に対して、破裂に至るまでの機械的強度がどの程度余裕を有しているのかという、定量的判断ができない。このことは、ランプの設計仕様がたびたび変化する環境の中で、ランプの破裂防止が必ずしも保証されるものではないことを示唆している。
【0009】
例えば、破裂に直接関わっていると考えられる破裂領域の形状(ガラス部材の直径、バルブ端部から封止部の先端までの長さ、シールガラスの厚さ)を、ランプの立ち上がり特性等の問題も含め、経験則から問題がないと推測される寸法で設計し、点灯を試みたところ、ランプに封入する水銀量や、ランプのサイズ、部材の形状によっては、予期せず破裂することがしばしば起こった。以下に具体的に説明する。図10は、従来のショートアークランプ型放電灯の封止部拡大図である。図11は、従来のショートアーク型放電灯のガラス部材の形状を変えた封止部拡大図である。図10に示すようなシール用ガラス部材であると、ランプを点灯させた際に、A点に内圧による応力が集中し、A点で破壊が起こることが経験的にわかっている。しかし、発光管の端部と封止部先端までの距離であるL1の距離がある程度長いと、破裂耐性が向上することが分かっている。
【0010】
一方、図11に見られるシール用ガラス部材7の形状は、図10に見られるシール用ガラス部材形状において、ランプ点灯時のA点への応力集中を、A点以外のB点に分散させ、応力を緩和させる目的のために設計されたものである。しかし、十分な破裂耐性を有すると思われるL1の寸法に基づきシール用ガラス部材7の形状を、図10のものから図11のものに変えると、予想に反して、頻繁に破裂が起こった。このことから、この対策は、定量的な根拠がないため、確実にランプの破裂回避ができないものであり、本質的なランプ破裂防止とはならないと考えられる。したがって、シール用ガラス部材の形状とランプの破裂圧力の関係を、定量的に検討しないかぎり、確実にランプの破裂を防止することはできない。
【0011】
本発明の目的は、上記従来の問題を解決して、ショートアーク型放電灯を、ランプの立ち上がり特性や放射照度等のランプ諸特性を良好に満足しつつ、ランプ点灯時の高圧力動作時に破裂せずに安全に点灯できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明では、発光管内の放電空間に陰極と陽極が配置されるとともに希ガスと水銀が封入され、電極支持棒を支持する第一のシール用ガラス部材が発光管のシールガラスと封着され、電極と外部からの通電を可能とする金属箔が第二のシール用ガラス部材とシールガラスに挟まれて封着されている構造のショートアーク型放電灯の第一のシール用ガラス部材に、シールガラスと接する縁部のある凹部を電極支持棒の周囲に設け、第一のシール用ガラス部材の凹部の縁幅をt(mm)とし、第一のシール用ガラス部材の外径をOD(mm)としたとき、t<−0.09×OD+4.3の関係を満たす構成とした。また、第一のシール用ガラス部材における凹部の溝の深さをD(mm)とし、第一のシール用ガラス部材の軸方向全長をL(mm)としたとき、0.2<D/L<0.7の関係を満たす構成とした。また、第一のシールガラス部材の凹部底面と凹部側面との交わる部位を曲面形状とした。
【0013】
すなわち、破裂に直接関わる放電空間側の発光管から延長したシールガラスとシール用ガラス部材との封止先端部の形状を決定するシール用ガラス部材の外径と、凹部の縁幅と、全長と、凹部底面と凹部側面との交わる形状とを、破裂内圧に定量的に関係付けることにより、これらのパラメータについての破裂しない最適条件を求めて、その条件を満足する形状のショートアーク型放電灯を構成した。
【発明の効果】
【0014】
このように構成したことにより、ショートアーク型放電灯を、立ち上がり特性や照度特性等のランプ諸特性を良好に満足しながら、長時間破裂することなく安全に点灯できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図9を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1は、発光管のシールガラスに封着されて電極支持棒を支持するシール用ガラス部材の凹部の縁幅をt(mm)とし、シール用ガラス部材の外径をOD(mm)としたとき、0<t<−0.09×OD+4.3の関係を満たすショートアーク型放電灯である。
【0017】
図1は、本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯の概略図である。図1において、発光管1は、ショートアーク型放電灯のガラスバルブである。放電空間2は、水銀が封入された放電用の密閉空間である。発光管1内に、1対のタングステンなどの高融点金属からなる陰極電極3と陽極電極4が配置されている。陰極電極3と陽極電極4それぞれは、電極支持棒5aと電極支持棒5bによって支えられている。シールガラス6a,6b(以下、シールガラス6と総称することがある)は、発光管1から延長され、この発光管1を気密に封じるガラスである。第一のシール用ガラス部材7a,7b(以下、シール用ガラス部材7と総称することがある)は、電極支持棒5a、5bとシールガラス6a,6bとの間を封じて、電極支持棒5a、5bを保持するガラスである。特に必要な場合を除き、第一のシール用ガラス部材7を、単にシール用ガラス部材として説明する。
【0018】
第二のシール用ガラス部材8a,8b(以下、シール用ガラス部材8と総称することがある)は、電極支持棒5a、5bを支え、ランプステムを構成する主要な部位である。金属箔9a,9b(以下、金属箔9と総称することがある)は、シール用ガラス部材8a,8bとシールガラス6a,6bとの間に配置され、電極支持棒5a、5bとリード線11a,11bを電気的に接続する導体である。陽極電極4側の金属箔9は、その断面形状のみを示してある。リード線11a,11bは、ショートアーク型放電灯に電流を流すための導体である。シールガラス6a,6bおよびシール用ガラス部材8a,8bとシール用ガラス部材7a,7bとで、発光管1が封止されている。これにより、放電空間2と外気とが完全に隔離された状態で、外部からランプに通電することができる。
【0019】
放電空間2には、希ガスと、可視から紫外域にかけて高い強度の発光スペクトルを有する水銀などが封入されている。それぞれの極性のリード線11に直流電流を印加すると、陽極電極4と陰極電極3との間にアーク放電が発生する。放電空間2の中で発生した光が、光透過性の発光管1の発光管球面部を透過して、所望の紫外線が放射される。点灯時の内圧は、内部温度と封入物の蒸気圧等の要因により、数MPaオーダーの圧力であると知られており、点灯時の温度もかなり高温となるため、発光管の素材として厚さが3mm程度のシリカガラスが使用される場合が多い。
【0020】
図2は、ショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材7の拡大図である。電極支持棒5を支持するシール用ガラス部材7の放電空間2側に面する端面には、凹部Vが形成されている。図3は、ショートアーク型放電灯の静水圧試験の実験系の概観図である。図4は、ショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材の形状指数2t/ODとランプ破裂圧力との関係を示すグラフである。図5は、ショートアーク型放電灯で、従来ランプが破裂する圧力におけるシール用ガラス部材の外径ODと凹部の縁幅tとの関係を示すグラフである。
【0021】
上記のように構成された本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯の形状を決定する方法を説明する。最初に、図1を参照しながら、ショートアーク型放電灯の破裂特性を説明する。ランプが点灯すると、ランプ内にある水銀が徐々に蒸発し、ランプ内部のガス圧力が増加する。ランプ内部のガス圧力の増加により、応力が集中する箇所は、図11に示したように、実際に破裂の頻度が高い放電空間に面したシール用ガラス部材7とシールガラス6の封止部先端付近のA部とシール用ガラス部材7の凹部底面の角におけるB点であると考えられる。図11のA点、B点におけるランプ内圧による応力は、シール用ガラス部材7の形状を決定するパラメータである外径ODと縁幅tにより変動すると考えられる。これらのパラメータと破裂圧力との関係について明らかにする。
【0022】
次に、図2を参照しながら、ショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材7の形状パラメータについて説明する。図11に示した従来のランプと同様に、シール用ガラス部材7に凹部Vを設ける。凹部Vの外径をOD(mm)とし、縁幅をt(mm)とする。また、凹部Vの深さをD(mm)とし、シール用ガラス部材7の全長をL(mm)とする。シールガラス用部材7の凹部Vの縁幅t(mm)が外径OD(mm)に占める割合である2t/ODを、シールガラス用部材7の凹部Vの形状指数とよぶことにする。
【0023】
次に、図3を参照しながら、破裂実験の方法を説明する。図3は、試験用に用いるサンプルランプのランプ内部に圧力を加える実験系である。以下、これを静水圧試験と称する。具体的には、チップ部15を通してランプ14内部に水を満たし、このランプ14を水槽12の水の中に配置する。加圧ポンプ16により、点灯中のガス圧力を擬似するための水圧を加える。加圧ポンプ16により加える水圧の昇圧速度は、6MPa/5minである。サンプルランプには、投入電力が5〜8kWサイズのランプを用いる。形状指数2t/ODが0〜1.0であるランプを複数用意し、シール用ガラス部材とシールガラスの封止部先端で破裂する圧力と、形状指数2t/ODの関係を測定する。形状指数2t/ODの値が変わることにより、A点(図11)において破壊するときの破裂圧力(MPa)が、どのように変化するかを確認する。縁幅tと外径OD以外の寸法は一定とする。すなわち、図10に示したL1やL2の寸法や、図2に示すDやLの寸法等は一定とする。
【0024】
次に、図4を参照しながら、ランプ破裂圧力と形状指数との関係を説明する。図4は、形状指数2t/ODとランプ破裂圧力の関係を示すグラフである。図4のグラフから、形状指数2t/ODの値が大きくなればなるほど、ランプが破壊される圧力が小さくなり、破裂耐性が低下することが分かる。また、同じ形状指数2t/ODの値であっても、外径ODが小さくなるほど破裂圧力が高くなり、破裂耐性が向上していることが分かる。
【0025】
シール用ガラス部材7の外径に対して凹部Vの縁幅tが占める割合が大きいほど、破裂耐性が低くなるのは、次のような理由である考えられる。すなわち、凹部Vの縁幅tが大きいと、シールガラスのみの厚さと、シールガラスとシール用ガラス部材7の凹部Vの縁幅tとの和の厚さとの間に、大きな差(すなわち縁幅t)が生じる。内圧による応力が厚さの差に応じて大きくなり、B点(図11)に応力が集中して、シールガラスの機械的な強度が低下するためである。逆に、シール用ガラス部材7の凹部Vの縁幅tが小さくなれば、シールガラスのみの厚さと、シールガラスの厚さとシール用ガラス部材7の凹部Vの縁幅tとの和の厚さとの間に、大きな差が生じない。したがって、内圧による応力が均衡して、A点にもB点にも応力が集中することがなく、シールガラスの機械的な強度が低下しない。
【0026】
また、形状指数2t/ODの値が同じであっても、外径ODが小さくなるほど破裂圧力が高くなり、破裂耐性が向上している。これは、シール用ガラス部材7の外径が小さくなると、ランプが小さくなることに相当する。すなわち、ランプが小さいと、内圧に対する機械的強度が向上する。つまり、ランプサイズが大きいショートアーク型放電灯よりも、ランプサイズが小さい超高圧水銀灯の方が、ランプ点灯中の耐圧性が高いことと同じである。
【0027】
次に、図5を参照しながら、ランプが破裂するときのシール用ガラス部材の外径ODと凹部の縁幅tとの関係を説明する。破裂の頻度が高い従来型ランプの縁幅tの値は20mmであり、形状指数2t/ODの値は0.26である。この従来型ランプの破裂内圧で破裂するシール用ガラス部材7の外径ODと凹部Vの縁幅tの関係を求める。図5に、従来型ランプの破裂圧力に基づいたシール用ガラス部材7の外径ODと凹部Vの縁幅tとの関係を表すグラフを示す。ここで、シール用ガラスの凹部Vの縁幅tは、当然のことながらt>0であり、マイナスの値はとらない。
【0028】
従来型ランプが破裂する圧力において破裂するシール用ガラス部材7の外径OD(mm)と凹部Vの縁幅t(mm)との関係は、
t=−0.09×OD+4.3
という直線関数になる。シール用ガラス部材7の縁幅tの外径ODへの占める割合が大きいほど破裂耐性が低くなるという結果(図4)を考慮すると、
t<−0.09×OD+4.3
という条件を満たせば、破裂耐性が良好となることが明らかである。これが、破裂の防止の定量的な条件である。この条件を満たすランプを実際に点灯した結果では、破裂もなく、照度特性やランプ立ち上がり特性等のランプ諸特性を満足している。さらに、他のパラメータを変更しても、これらの定量的な結果に変化はないことも確認した。
【0029】
上記のように、本発明の実施例1では、ショートアーク型放電灯を、発光管のシールガラスに封着されて電極支持棒を支持するシール用ガラス部材の凹部の縁幅をt(mm)とし、シール用ガラス部材の外径をOD(mm)としたとき、0<t<−0.09×OD+4.3の関係を満たす構成としたので、ランプ諸特性を良好に満足しながら、長時間破裂することなく安全に点灯できる。
【実施例2】
【0030】
本発明の実施例2は、発光管のシールガラスに封着されて電極支持棒を支持するシール用ガラス部材の凹部の溝の深さをD(mm)とし、シール用ガラス部材の全長をL(mm)としたとき、0.2<D/L<0.7の関係を満たすショートアーク型放電灯である。
【0031】
実施例2の基本的なランプ構造は、実施例1と同じである。図6は、本発明の実施例2におけるショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材のD/Lとランプ破裂圧力との関係を示すグラフである。図7は、ショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材のD/Lとランプ立ち上がり時間との関係を示すグラフである。実施例2においても、特に必要な場合を除き、第一のシール用ガラス部材7を、単にシール用ガラス部材として説明する。
【0032】
本発明の実施例2におけるショートアーク型放電灯の形状を決定する方法を説明する。最初に、破裂に関連する要素について説明する。シール用ガラス部材7の形状要素としては、シール用ガラス部材7の凹部Vの溝の深さD(mm)がある。シール用ガラス部材7のランプ長軸方向の全長L(mm)に対する凹部Vの溝の深さDの割合を示す比(溝深度D/L)に対して、破裂圧力(MPa)との関係を求める。図3に示した静水圧試験の実験系と同じもの使用し、同じ条件で実験する。溝の深さDと全長L以外の寸法は一定とする。すなわち、図10に示したL1やL2の寸法や、図2に示す縁幅tや外径OD等の寸法は一定とする。
【0033】
次に、図6を参照しながら、シール用ガラス部材の溝深度D/Lとランプ破裂圧力との関係を説明する。サンプルランプの静水圧破壊試験により、ランプ破壊圧力と溝深度D/Lとの関係を測定する。シール用ガラス部材の溝深度D/Lとランプ破裂圧力との関係は、図6のグラフのようになる。溝深度D/Lの値が増加するにつれて、ランプの破裂圧力が増加し、破裂耐性が向上していることが、このグラフから分かる。これは、シール用ガラス部材7における凹部Vの溝の深さが深くなることによって、内圧による応力が分散され、図11に示したA点とB点とに生じる応力集中が小さくなるためであると考えられる。特に、機械的に弱い部分であるB点に集中する応力が減少する。
【0034】
破裂が頻繁に起きた従来型ランプの溝深度D/Lの値は、0.2以下である。したがって、溝深度D/Lの値が0.2より大きければ、破裂を回避できる。これが、溝深度D/Lに関係する破裂の定量的な根拠である。さらに、溝深度D/Lの値が0.2以下では、シール用ガラス部材の外径が小さいほど、ランプの破裂耐性が向上している。これにより、シール用ガラス部材の外径と破裂との関係も、定量的に判断できる。
【0035】
次に、図7のグラフを参照しながら、シール用ガラス部材の溝深度D/Lとランプ立ち上がり時間との関係を説明する。溝深度D/Lの値に対して、ランプの立ち上がり特性と破裂の有無を実験により調べる。図7に、溝深度D/Lと、ランプが点灯してから安定するまでに要する時間の関係を表すグラフを示す。D/L>0.2の範囲のランプでは、照度特性の問題もなく、破裂も起きない。しかし、D/L>0.7において、ランプ立ち上がりに要する時間が、約40〜60%長くかかり、ランプ立ち上がり特性に関しては問題がある。したがって、ランプの立ち上がり時間を考慮に入れると、0.2<D/L<0.7の範囲が、ランプの破裂が防止できる範囲であり、且つ、照度特性とランプの立ち上がり特性が満足される範囲である。さらに、他のパラメータを変更した場合も、これらの定量的な結果に変化はないことを確かめた。他のランプ諸特性も問題ない。
【0036】
上記のように、本発明の実施例2では、ショートアーク型放電灯を、発光管のシールガラスに封着されて電極支持棒を支持するシール用ガラス部材の凹部の溝の深さをD(mm)とし、シール用ガラス部材の全長をL(mm)としたとき、0.2<D/L<0.7の関係を満たす構成としたので、ランプ諸特性を良好に満足しながら、長時間破裂することなく安全に点灯できる。
【実施例3】
【0037】
本発明の実施例3は、発光管のシールガラスに封着されて電極支持棒を支持するシールガラス部材の凹部底面と凹部側面との交わる部位を曲面形状としたショートアーク型放電灯である。
【0038】
実施例3の基本的なランプ構造は、実施例1と同じである。図8は、本発明の実施例3におけるショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材の形状拡大図である。実施例3においても、特に必要な場合を除き、第一のシール用ガラス部材7を、単にシール用ガラス部材として説明する。
【0039】
本発明の実施例3におけるショートアーク型放電灯の形状を決定する方法を説明する。最初に、図8を参照しながら、破裂に関連する要素と実験方法について説明する。シール用ガラス部材7の破裂に関連する形状要素として、凹部Vの凹部底面と凹部側面が交わる部位の形状がある。この面形状と破裂との関係を実験により定量的に求める。図3に示した静水圧試験の実験系と同じもの使用し、同じ条件でサンプルランプの静水圧破壊試験を行う。シール用ガラス部材7の凹部底面と凹部側面との交わる部位の曲率半径R(mm)を変えながら、ランプ破壊圧力(MPa)を求める。曲率半径R以外の寸法は一定とする。すなわち、図10に示したL1やL2の寸法や、図2に示した縁幅tや外径ODや溝の深さDや全長L等の寸法は一定とする。
【0040】
次に、図9のグラフを参照しながら、シール用ガラス部材7の凹部Vの底面の曲率半径Rと破裂圧力との関係を説明する。シール用ガラス部材7の凹部Vの底面と側面との交わる部位の曲率半径Rが増加するに従って、破壊圧力が増加している。特に、曲率半径Rがほぼ0である位置から急激に増加している。このことから、シール用ガラス部材7の凹部Vの底面と側面との交わる部位の曲率半径Rを大きくすることによって、破裂を防止できることがわかる。この理由は、シール用ガラス部材7の凹部底面と凹部側面との交わる部位の曲率半径が0から増加するに従って、B点(図11)における応力が減少したためであると考えられる。
【0041】
この範囲のランプを実際に点灯して、照度特性やランプ立ち上がり特性等のランプ諸特性を満足しながら、破裂しないことを確かめた。また、このシール用ガラス部材の凹部底面と凹部側面との交わる部位の断面形状を、曲率半径Rの円弧とする以外に、楕円形やその他の形状としても、同じ効果が得られる。さらに、他のパラメータを変更しても、これらの定量的な結果に変化はないことも確かめた。
【0042】
上記のように、本発明の実施例3では、ショートアーク型放電灯を、発光管のシールガラスに封着されて電極支持棒を支持するシールガラス部材の凹部底面と凹部側面との交わる部位を曲面形状としたので、ランプ諸特性を良好に満足しながら、長時間破裂することなく安全に点灯できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のショートアーク型放電灯は、半導体や液晶の製造の露光工程における1kW以上の光源として最適である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯の概念図である。
【図2】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯の封止部拡大図である。
【図3】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯の静水圧試験の実験系の概観図である。
【図4】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材の形状指数2t/ODとランプ破裂圧力との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例1におけるショートアーク型放電灯で、従来ランプが破裂する圧力におけるシール用ガラス部材の外径ODと凹部の縁幅tとの関係を示すグラフである。
【図6】本発明の実施例2におけるショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材のD/Lとランプ破裂圧力との関係を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例2におけるショートアーク型放電灯のシール用ガラス部材のD/Lとランプ立ち上がり時間との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例3におけるシール用ガラス部材の拡大図である。
【図9】シール用ガラス部材における凹部底面の曲率半径Rと破裂圧力との関係を示すグラフである。
【図10】従来のショートアーク型放電灯の発光管球面の端から封止部の先端までの部分拡大概略図である。
【図11】従来のショートアーク型放電灯におけるシール用ガラス部材の形状を変えた封止部の拡大図である
【符号の説明】
【0045】
1 発光管
2 放電空間
3 陰極電極
4 陽極電極
5 電極支持棒
6 シールガラス
7 第1のシール用ガラス部材
8 第2のシール用ガラス部材
9 金属箔
10 口金
11 リード線
12 水槽
13 水
14 ランプ
15 チップ部
16 加圧ポンプ
V 凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管内の放電空間に陰極と陽極が配置されるとともに希ガスと水銀が封入され、電極支持棒を支持する第一のシール用ガラス部材が発光管のシールガラスと封着され、外部から電極への通電を可能とする金属箔が第二のシール用ガラス部材と前記シールガラスに挟まれて封着されている構造のショートアーク型放電灯において、前記第一のシール用ガラス部材に、前記シールガラスと接する縁部のある凹部を前記電極支持棒の周囲に設け、前記第一のシール用ガラス部材の凹部の縁幅をt(mm)とし、前記第一のシール用ガラス部材の外径をOD(mm)としたとき、0<t<−0.09×OD+4.3の関係を満たすことを特徴とするショートアーク型放電灯。
【請求項2】
発光管内の放電空間に陰極と陽極が配置されるとともに希ガスと水銀が封入され、電極支持棒を支持する第一のシール用ガラス部材が発光管のシールガラスと封着され、外部から電極への通電を可能とする金属箔が第二のシール用ガラス部材と前記シールガラスに挟まれて封着されている構造のショートアーク型放電灯において、前記第一のシール用ガラス部材に、前記シールガラスと接する縁部のある凹部を前記電極支持棒の周囲に設け、前記第一のシール用ガラス部材における凹部の溝の深さをD(mm)とし、前記第一のシール用ガラス部材の軸方向全長をL(mm)としたとき、0.2<D/L<0.7の関係を満たすことを特徴とするショートアーク型放電灯。
【請求項3】
発光管内の放電空間に陰極と陽極が配置されるとともに希ガスと水銀が封入され、電極支持棒を支持する第一のシール用ガラス部材が発光管のシールガラスと封着され、外部から電極への通電を可能とする金属箔が第二のシール用ガラス部材と前記シールガラスに挟まれて封着されている構造のショートアーク型放電灯において、前記第一のシール用ガラス部材に、前記シールガラスと接する縁部のある凹部を前記電極支持棒の周囲に設け、前記第一のシールガラス部材の凹部底面と凹部側面との交わる部位が曲面形状となっていることを特徴とするショートアーク型放電灯。
【請求項1】
発光管内の放電空間に陰極と陽極が配置されるとともに希ガスと水銀が封入され、電極支持棒を支持する第一のシール用ガラス部材が発光管のシールガラスと封着され、外部から電極への通電を可能とする金属箔が第二のシール用ガラス部材と前記シールガラスに挟まれて封着されている構造のショートアーク型放電灯において、前記第一のシール用ガラス部材に、前記シールガラスと接する縁部のある凹部を前記電極支持棒の周囲に設け、前記第一のシール用ガラス部材の凹部の縁幅をt(mm)とし、前記第一のシール用ガラス部材の外径をOD(mm)としたとき、0<t<−0.09×OD+4.3の関係を満たすことを特徴とするショートアーク型放電灯。
【請求項2】
発光管内の放電空間に陰極と陽極が配置されるとともに希ガスと水銀が封入され、電極支持棒を支持する第一のシール用ガラス部材が発光管のシールガラスと封着され、外部から電極への通電を可能とする金属箔が第二のシール用ガラス部材と前記シールガラスに挟まれて封着されている構造のショートアーク型放電灯において、前記第一のシール用ガラス部材に、前記シールガラスと接する縁部のある凹部を前記電極支持棒の周囲に設け、前記第一のシール用ガラス部材における凹部の溝の深さをD(mm)とし、前記第一のシール用ガラス部材の軸方向全長をL(mm)としたとき、0.2<D/L<0.7の関係を満たすことを特徴とするショートアーク型放電灯。
【請求項3】
発光管内の放電空間に陰極と陽極が配置されるとともに希ガスと水銀が封入され、電極支持棒を支持する第一のシール用ガラス部材が発光管のシールガラスと封着され、外部から電極への通電を可能とする金属箔が第二のシール用ガラス部材と前記シールガラスに挟まれて封着されている構造のショートアーク型放電灯において、前記第一のシール用ガラス部材に、前記シールガラスと接する縁部のある凹部を前記電極支持棒の周囲に設け、前記第一のシールガラス部材の凹部底面と凹部側面との交わる部位が曲面形状となっていることを特徴とするショートアーク型放電灯。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−286343(P2006−286343A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103333(P2005−103333)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000128496)株式会社オーク製作所 (175)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000128496)株式会社オーク製作所 (175)
【Fターム(参考)】
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