ショート・ボトム
【課題】
本発明は、胴回りの締め付けによる窮屈感を軽減すると同時に運動追随性の向上を図り臀部を左右個別に保持することで美しいヒップラインを造ることができるショート・ボトムを提供する。
【解決手段】
左右独立して臀部を覆う一対の後身頃が下腹を覆う前身頃にそれぞれ股底及び脇部において接合され、該後身頃を上方に釣支する左右一対の帯部が無縫合で交差し、体側に分かれてウェスト近傍を経由したのち該前身頃に接合することを特徴とするショート・ボトム
本発明は、胴回りの締め付けによる窮屈感を軽減すると同時に運動追随性の向上を図り臀部を左右個別に保持することで美しいヒップラインを造ることができるショート・ボトムを提供する。
【解決手段】
左右独立して臀部を覆う一対の後身頃が下腹を覆う前身頃にそれぞれ股底及び脇部において接合され、該後身頃を上方に釣支する左右一対の帯部が無縫合で交差し、体側に分かれてウェスト近傍を経由したのち該前身頃に接合することを特徴とするショート・ボトム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーツ、水着、ショートガードル、ホットパンツ等の所謂ショート・ボトムに関し、詳しくは、胴回りの締付けによる窮屈感を軽減すると同時に臀部を左右個別に保持して美しいヒップラインを造る構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のショート・ボトムは、図5に示すように、下腹を覆う前身頃と臀部を覆う後身頃とを縫合したものを胴回りの締付け力によって釣上げ保持している。またヒップの形を整える目的の発明がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特許第3986425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のショート・ボトムでは、横方向である胴回りの締付け力に頼って後身頃が下がろうとする縦の力を支えているため、後身頃の重さ以上の強い締付け力が必要であり窮屈感がある。また、1枚の筒状の布地で左右の臀部を締め付けるため臀部の自然な膨らみが潰れて拡がることで立体感を無くした幅広のシルエットとなり、美しいヒップラインを表現できない。更に、図6に示すように、脚上げ等の運動に際して後身頃の裾が胴回りに引きずられてずり上がり、該裾から尻肉がはみ出して不快であるばかりでなく美しいヒップラインを崩すという問題があり、これまでこれらの問題を同時に解決する手段は発明されなかった。
【0005】
本発明はこのような従来の構成が有していた問題を同時に解決しようとするものであり、すなわち、胴回りの窮屈感を軽減すると同時に運動追随性の向上と臀部を左右個別に保持することによって美しいヒップラインを造ることができるショート・ボトムを実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための第1の課題解決手段は、左右独立して臀部を覆う一対の後身頃が下腹を覆う前身頃にそれぞれ股底及び脇部において接合され、該後身頃を上方に釣支する左右一対の帯部が無縫合で交差し、体側に分かれてウェスト近傍を経由したのち該前身頃に接合する構成としたものである。
【0007】
また、第2の課題解決手段は、前記一対の後身頃が中央に寄り合わないよう、両端において左右の後身頃に接合する支持具(本発明において、スペーサーと称する。)を設ける構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
前記第1の課題解決手段の構成によれば、片側の後身頃に繋がる帯部は、人体の逆側のウェストに引っかけて該後身頃を釣支するため人体の胴回りを締付ける必要がなく窮屈感を軽減する効果を発揮する。
【0009】
また、第1の課題解決手段の構成によると、脚上げ等の運動に際して後身頃の裾がずり上がろうとする際には、脚を上げたことにより腹部との間で余剰となる前身頃が帯部を後方に送り出す方向に作用する。つまり連続した前身頃、帯部、後身頃は長さがほぼ一定のまま位置を移動することになり、後身頃の裾は尻肉に追随して移動し、尻肉が裾からはみ出すことはない。また、後身頃と帯部は左右が独立した構成であり、歩行などの左右の脚の違う動きに対しても左右個別に尻肉に追随して運動追随性が高く、左右の臀部を個別に保持できることから1つ1つの自然な膨らみを表現して、一層美しいヒップラインを造る効果を発揮する。
【0010】
更に、本発明の構成によれば、使用する布地が比較的少なくて済むとともに肌の露出が多く魅力的な外観を形成でき、また、股浅のアウターウェアーから故意に帯部を覗かせるといった新たなファッション性を形成できる。
【0011】
次に、第2の課題解決手段による構成では、交差した帯部が後身頃を内側に寄せる力をスペーサーによって支えることで力の方向を変化させることが可能となる。スペーサーの無い場合、帯部にかかる長手方向の力は内側に内向する力と垂直上方の力とに分解される。スペーサーを設けることによって内向する力が垂直上方に変化し、帯部にかかる長手方向の力は全て後身頃を上方に引き上げる垂直成分の力となり、ヒップアップ効果を向上して足長の美しいヒップラインを造る効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るショート・ボトムの好適な実施形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明に従って構成されたショート・ボトムの一実施形態であるショーツを示す背面図であり、図2および図3はその正面図および側面図である。図1〜図3においては、着用者が当該ショーツを着用した状態を図示している。図1〜図3に示すように、このショーツは左右独立した一対の後身頃1,1と、左右一対の帯部2A,2Bと、前身頃3とを備えている。
【0014】
上記ショーツの構成と機能を片側の臀部に着目して説明すると、後身頃1は脇部の縫合線3bおよび股底の縫合線3cとで前身頃3と接合されて脚口を形成するとともに上方の縫合線1aで帯部2によって釣り上げ保持されることで、片側の臀部をカップ状に包み込んで自然な膨らみを表現した美しいヒップラインを造ることができる。この効果は図7と図8を比較することで明確である。図8に示す従来のショーツでは、1枚の筒状の布地によって左右の臀部が締め付けられているため、臀部の膨らみは押しつぶされるとともに左右に拡がって幅広となっている。これに対し図7に示す本発明のショーツでは、臀部は左右個別に保持され1つ1つの自然な膨らみと谷間を立体的に表現して美しいヒップラインを造る効果を発揮する。
【0015】
また、一対の帯部2A,2Bは無縫合で交差し、体側に分かれてウェスト近傍を経由したのち前身頃3に縫合線3aで接合される。後身頃1と前身頃3の下裾はそれぞれの脚口を形成しており、脚の動きにともなって脚の前面と後面で同期して動く。すなわち、図4において矢印が示すイメージのように、連続した前身頃3、帯部2、後身頃1は長さがほぼ一定のまま着用位置を移動することになり、後身頃1の裾は臀部に追随して移動し尻肉が裾からはみ出すことはない。更に、後身頃1と帯部2は左右が独立した構成であり、歩行などの左右の脚の違う動きに対しても左右個別に臀部に追随することが可能であり運動追随性が高く常に美しいヒップラインを造る効果を発揮する。
【実施例2】
【0016】
実施例1において、後身頃1の左右が違う動きをすると敏感な部分である肛門が擦れて刺激され不快となることがある。このため前身頃3の股底部分を後方に延長し、または左右の後身頃1の下方を縫合し、または左右の後身頃1の下方を連続した布地で構成することで前記の不快感を防止することが可能である。この際、前身頃3の延長部分、または左右の後身頃1の縫合部分や連続した部分の長さは短いほど本発明の効果は高く、少なくとも臀部の膨らみの頂点を繋いだ位置の高さよりも低い方が好ましい。図9に左右の後身頃1の下方を連続した布地で構成した実施例を示す。
【実施例3】
【0017】
次に、第2の課題解決手段による構成を図10に示す。5は略楕円形の環状のスペーサーであり、交差した帯部2が後身頃1を内側に寄せる力を支えて力の方向を変化させる。図10中の矢印が、力の方向が変化するイメージを示し、スペーサー5の有無による力を比較した略図が図11である。スペーサー5の無い場合、帯部2にかかる長手方向の力Mは内側に内向する分力(図示しない)と垂直上方の分力mとに分解される。スペーサー5を設けることによって長手方向の力Mの方向を上方に変化させ、後身頃1を釣支する垂直上方成分の力Lとなる。Mにほぼ等しいLは必ずmよりも大であり、したがってスペーサー5を設けることでヒップアップ効果を向上して足長の美しいヒップラインを造る効果を発揮する。
【0018】
スペーサーは左右の後身頃1を内側に寄せる力に対抗して支えることができれば、形状および材質に限定されない。例えば、略V字や略U字の形状でもよく、材質はプラスティックやシリコン等が望ましいが金属や木等を使用しても装飾性が高まり好ましい。接合は縫い付けが望ましいが接着でもよく限定されない。図12に略V字状のスペーサーを後身頃に縫い込んだ実施例を示す。
【実施例4】
【0019】
本発明の構成によると帯部2は比較的長さがあり交差部分もあることから、着用に際して捻れを戻し交差部分を確認する等の手間がかかる。図14はこの手間を防止するため、帯部2Aの一部にループ部分9を設けその環状となる部分に帯部2Bを通した実施例を示す。本発明の左右の機能に違いはなく、帯部2Bにループ部分を設け帯部2Aを通してもよい。
【実施例5】
【0020】
また、本発明の帯部2は伸縮性があることが望ましいが、人体自体に弾力性があることから伸縮性の無い紐状のストラップでも良い。また、ミニバックルなどの調整機能付き接続具を設けたり、紐状の端末を途中に設けて結束することで人体のサイズに柔軟に対応することが可能となる。帯部2Aまたは2Bのそれぞれは、1本または複数本で構成しても良いが、交差部分の幅は狭いほど摩擦が少なく独立した動きを阻害しない。
【0021】
上記した本発明の構成において、帯部2と前身頃3は連続した1枚の布地から製作することが可能である。また、後身頃1と前身頃3についても縫合線3bにおいて連続した1枚の布地から製作することが可能である。したがって、帯部2、前身頃3および後身頃1を連続した1枚の布地から製作することが可能であり、この場合の製作時の展開図例を図15に示す。なお、図15において鎖線は縫合線であり、2点鎖線および符号X,Yは縫合先を示す。
【0022】
本発明は主として裁断形状と縫合の組み合わせによるものであり、特に前身頃および後身頃においては特殊な素材や特別の伸縮性を必要とせず、一般的なショート・ボトムに使用されるもので構成することが可能であり、従来の製造技術を活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係るショート・ボトムの背面図
【図2】本発明の実施の形態1に係るショート・ボトムの正面図
【図3】本発明の実施の形態1に係るショート・ボトムの側面図
【図4】図3に示すショート・ボトムの脚上げ状態を説明する側面図
【図5】従来のショート・ボトム例の側面図
【図6】図5に示すショート・ボトムの脚上げ状態を説明する側面図
【図7】図3におけるA−A線断面図
【図8】図5におけるB−B線断面図
【図9】左右の後身頃の下方を連続した布地で構成した本発明の実施の形態2に係るショート・ボトムの背面図
【図10】本発明の実施の形態3に係るショート・ボトムの背面図
【図11】図10に示すショート・ボトムのスペーサーの有無による力を比較した略図
【図12】略V字状のスペーサーを図9に示す後身頃に縫い込んだ本発明の実施の形態3に係るショート・ボトムの背面図
【図13】図12におけるC−C線断面図
【図14】帯部2Aにループ部分9を設けて帯部2Bを通した実施例の部分拡大図
【図15】本発明を1枚の連続した布地で形成する実施例の展開図
【符号の説明】
【0024】
1 後身頃
1a 後身頃1と帯部2との縫合線
2 帯部
3 前身頃
3a 前身頃3と帯部2との縫合線
3b 股底における前身頃3と後身頃1との縫合線
3c 脇部における前身頃3と後身頃1との縫合線
4 後身頃1の裾からはみ出した尻肉の領域
5 スペーサー(環状)
6 左右の後身頃1の下方を連続した部分
7 スペーサー(略V字状)
8 スペーサー7を包み込むための縫合線
9 ループ部分
100 股底
200 脇部
300 ウェスト
L 第2の課題解決手段により後身頃1を釣支する垂直上方成分の力
M 帯部2の長手方向の力
m Mの垂直上方の分力
X 同じ縫合先を示す符号
Y 同じ縫合先を示す符号
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーツ、水着、ショートガードル、ホットパンツ等の所謂ショート・ボトムに関し、詳しくは、胴回りの締付けによる窮屈感を軽減すると同時に臀部を左右個別に保持して美しいヒップラインを造る構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のショート・ボトムは、図5に示すように、下腹を覆う前身頃と臀部を覆う後身頃とを縫合したものを胴回りの締付け力によって釣上げ保持している。またヒップの形を整える目的の発明がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特許第3986425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のショート・ボトムでは、横方向である胴回りの締付け力に頼って後身頃が下がろうとする縦の力を支えているため、後身頃の重さ以上の強い締付け力が必要であり窮屈感がある。また、1枚の筒状の布地で左右の臀部を締め付けるため臀部の自然な膨らみが潰れて拡がることで立体感を無くした幅広のシルエットとなり、美しいヒップラインを表現できない。更に、図6に示すように、脚上げ等の運動に際して後身頃の裾が胴回りに引きずられてずり上がり、該裾から尻肉がはみ出して不快であるばかりでなく美しいヒップラインを崩すという問題があり、これまでこれらの問題を同時に解決する手段は発明されなかった。
【0005】
本発明はこのような従来の構成が有していた問題を同時に解決しようとするものであり、すなわち、胴回りの窮屈感を軽減すると同時に運動追随性の向上と臀部を左右個別に保持することによって美しいヒップラインを造ることができるショート・ボトムを実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための第1の課題解決手段は、左右独立して臀部を覆う一対の後身頃が下腹を覆う前身頃にそれぞれ股底及び脇部において接合され、該後身頃を上方に釣支する左右一対の帯部が無縫合で交差し、体側に分かれてウェスト近傍を経由したのち該前身頃に接合する構成としたものである。
【0007】
また、第2の課題解決手段は、前記一対の後身頃が中央に寄り合わないよう、両端において左右の後身頃に接合する支持具(本発明において、スペーサーと称する。)を設ける構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
前記第1の課題解決手段の構成によれば、片側の後身頃に繋がる帯部は、人体の逆側のウェストに引っかけて該後身頃を釣支するため人体の胴回りを締付ける必要がなく窮屈感を軽減する効果を発揮する。
【0009】
また、第1の課題解決手段の構成によると、脚上げ等の運動に際して後身頃の裾がずり上がろうとする際には、脚を上げたことにより腹部との間で余剰となる前身頃が帯部を後方に送り出す方向に作用する。つまり連続した前身頃、帯部、後身頃は長さがほぼ一定のまま位置を移動することになり、後身頃の裾は尻肉に追随して移動し、尻肉が裾からはみ出すことはない。また、後身頃と帯部は左右が独立した構成であり、歩行などの左右の脚の違う動きに対しても左右個別に尻肉に追随して運動追随性が高く、左右の臀部を個別に保持できることから1つ1つの自然な膨らみを表現して、一層美しいヒップラインを造る効果を発揮する。
【0010】
更に、本発明の構成によれば、使用する布地が比較的少なくて済むとともに肌の露出が多く魅力的な外観を形成でき、また、股浅のアウターウェアーから故意に帯部を覗かせるといった新たなファッション性を形成できる。
【0011】
次に、第2の課題解決手段による構成では、交差した帯部が後身頃を内側に寄せる力をスペーサーによって支えることで力の方向を変化させることが可能となる。スペーサーの無い場合、帯部にかかる長手方向の力は内側に内向する力と垂直上方の力とに分解される。スペーサーを設けることによって内向する力が垂直上方に変化し、帯部にかかる長手方向の力は全て後身頃を上方に引き上げる垂直成分の力となり、ヒップアップ効果を向上して足長の美しいヒップラインを造る効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るショート・ボトムの好適な実施形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明に従って構成されたショート・ボトムの一実施形態であるショーツを示す背面図であり、図2および図3はその正面図および側面図である。図1〜図3においては、着用者が当該ショーツを着用した状態を図示している。図1〜図3に示すように、このショーツは左右独立した一対の後身頃1,1と、左右一対の帯部2A,2Bと、前身頃3とを備えている。
【0014】
上記ショーツの構成と機能を片側の臀部に着目して説明すると、後身頃1は脇部の縫合線3bおよび股底の縫合線3cとで前身頃3と接合されて脚口を形成するとともに上方の縫合線1aで帯部2によって釣り上げ保持されることで、片側の臀部をカップ状に包み込んで自然な膨らみを表現した美しいヒップラインを造ることができる。この効果は図7と図8を比較することで明確である。図8に示す従来のショーツでは、1枚の筒状の布地によって左右の臀部が締め付けられているため、臀部の膨らみは押しつぶされるとともに左右に拡がって幅広となっている。これに対し図7に示す本発明のショーツでは、臀部は左右個別に保持され1つ1つの自然な膨らみと谷間を立体的に表現して美しいヒップラインを造る効果を発揮する。
【0015】
また、一対の帯部2A,2Bは無縫合で交差し、体側に分かれてウェスト近傍を経由したのち前身頃3に縫合線3aで接合される。後身頃1と前身頃3の下裾はそれぞれの脚口を形成しており、脚の動きにともなって脚の前面と後面で同期して動く。すなわち、図4において矢印が示すイメージのように、連続した前身頃3、帯部2、後身頃1は長さがほぼ一定のまま着用位置を移動することになり、後身頃1の裾は臀部に追随して移動し尻肉が裾からはみ出すことはない。更に、後身頃1と帯部2は左右が独立した構成であり、歩行などの左右の脚の違う動きに対しても左右個別に臀部に追随することが可能であり運動追随性が高く常に美しいヒップラインを造る効果を発揮する。
【実施例2】
【0016】
実施例1において、後身頃1の左右が違う動きをすると敏感な部分である肛門が擦れて刺激され不快となることがある。このため前身頃3の股底部分を後方に延長し、または左右の後身頃1の下方を縫合し、または左右の後身頃1の下方を連続した布地で構成することで前記の不快感を防止することが可能である。この際、前身頃3の延長部分、または左右の後身頃1の縫合部分や連続した部分の長さは短いほど本発明の効果は高く、少なくとも臀部の膨らみの頂点を繋いだ位置の高さよりも低い方が好ましい。図9に左右の後身頃1の下方を連続した布地で構成した実施例を示す。
【実施例3】
【0017】
次に、第2の課題解決手段による構成を図10に示す。5は略楕円形の環状のスペーサーであり、交差した帯部2が後身頃1を内側に寄せる力を支えて力の方向を変化させる。図10中の矢印が、力の方向が変化するイメージを示し、スペーサー5の有無による力を比較した略図が図11である。スペーサー5の無い場合、帯部2にかかる長手方向の力Mは内側に内向する分力(図示しない)と垂直上方の分力mとに分解される。スペーサー5を設けることによって長手方向の力Mの方向を上方に変化させ、後身頃1を釣支する垂直上方成分の力Lとなる。Mにほぼ等しいLは必ずmよりも大であり、したがってスペーサー5を設けることでヒップアップ効果を向上して足長の美しいヒップラインを造る効果を発揮する。
【0018】
スペーサーは左右の後身頃1を内側に寄せる力に対抗して支えることができれば、形状および材質に限定されない。例えば、略V字や略U字の形状でもよく、材質はプラスティックやシリコン等が望ましいが金属や木等を使用しても装飾性が高まり好ましい。接合は縫い付けが望ましいが接着でもよく限定されない。図12に略V字状のスペーサーを後身頃に縫い込んだ実施例を示す。
【実施例4】
【0019】
本発明の構成によると帯部2は比較的長さがあり交差部分もあることから、着用に際して捻れを戻し交差部分を確認する等の手間がかかる。図14はこの手間を防止するため、帯部2Aの一部にループ部分9を設けその環状となる部分に帯部2Bを通した実施例を示す。本発明の左右の機能に違いはなく、帯部2Bにループ部分を設け帯部2Aを通してもよい。
【実施例5】
【0020】
また、本発明の帯部2は伸縮性があることが望ましいが、人体自体に弾力性があることから伸縮性の無い紐状のストラップでも良い。また、ミニバックルなどの調整機能付き接続具を設けたり、紐状の端末を途中に設けて結束することで人体のサイズに柔軟に対応することが可能となる。帯部2Aまたは2Bのそれぞれは、1本または複数本で構成しても良いが、交差部分の幅は狭いほど摩擦が少なく独立した動きを阻害しない。
【0021】
上記した本発明の構成において、帯部2と前身頃3は連続した1枚の布地から製作することが可能である。また、後身頃1と前身頃3についても縫合線3bにおいて連続した1枚の布地から製作することが可能である。したがって、帯部2、前身頃3および後身頃1を連続した1枚の布地から製作することが可能であり、この場合の製作時の展開図例を図15に示す。なお、図15において鎖線は縫合線であり、2点鎖線および符号X,Yは縫合先を示す。
【0022】
本発明は主として裁断形状と縫合の組み合わせによるものであり、特に前身頃および後身頃においては特殊な素材や特別の伸縮性を必要とせず、一般的なショート・ボトムに使用されるもので構成することが可能であり、従来の製造技術を活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係るショート・ボトムの背面図
【図2】本発明の実施の形態1に係るショート・ボトムの正面図
【図3】本発明の実施の形態1に係るショート・ボトムの側面図
【図4】図3に示すショート・ボトムの脚上げ状態を説明する側面図
【図5】従来のショート・ボトム例の側面図
【図6】図5に示すショート・ボトムの脚上げ状態を説明する側面図
【図7】図3におけるA−A線断面図
【図8】図5におけるB−B線断面図
【図9】左右の後身頃の下方を連続した布地で構成した本発明の実施の形態2に係るショート・ボトムの背面図
【図10】本発明の実施の形態3に係るショート・ボトムの背面図
【図11】図10に示すショート・ボトムのスペーサーの有無による力を比較した略図
【図12】略V字状のスペーサーを図9に示す後身頃に縫い込んだ本発明の実施の形態3に係るショート・ボトムの背面図
【図13】図12におけるC−C線断面図
【図14】帯部2Aにループ部分9を設けて帯部2Bを通した実施例の部分拡大図
【図15】本発明を1枚の連続した布地で形成する実施例の展開図
【符号の説明】
【0024】
1 後身頃
1a 後身頃1と帯部2との縫合線
2 帯部
3 前身頃
3a 前身頃3と帯部2との縫合線
3b 股底における前身頃3と後身頃1との縫合線
3c 脇部における前身頃3と後身頃1との縫合線
4 後身頃1の裾からはみ出した尻肉の領域
5 スペーサー(環状)
6 左右の後身頃1の下方を連続した部分
7 スペーサー(略V字状)
8 スペーサー7を包み込むための縫合線
9 ループ部分
100 股底
200 脇部
300 ウェスト
L 第2の課題解決手段により後身頃1を釣支する垂直上方成分の力
M 帯部2の長手方向の力
m Mの垂直上方の分力
X 同じ縫合先を示す符号
Y 同じ縫合先を示す符号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右独立して臀部を覆う一対の後身頃が下腹を覆う前身頃にそれぞれ股底及び脇部において接合され、該後身頃を上方に釣支する左右一対の帯部が無縫合で交差し、体側に分かれてウェスト近傍を経由したのち該前身頃に接合することを特徴とするショート・ボトム。
【請求項2】
前記左右の後身頃が中央に寄り合わないよう、両端において左右の後身頃に接合するスペーサーを設けたことを特徴とする請求項1に記載のショート・ボトム。
【請求項1】
左右独立して臀部を覆う一対の後身頃が下腹を覆う前身頃にそれぞれ股底及び脇部において接合され、該後身頃を上方に釣支する左右一対の帯部が無縫合で交差し、体側に分かれてウェスト近傍を経由したのち該前身頃に接合することを特徴とするショート・ボトム。
【請求項2】
前記左右の後身頃が中央に寄り合わないよう、両端において左右の後身頃に接合するスペーサーを設けたことを特徴とする請求項1に記載のショート・ボトム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−37680(P2010−37680A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201644(P2008−201644)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(308024856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(308024856)
【Fターム(参考)】
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