説明

シリコン精製装置及びシリコン精製方法

【課題】シリコン溶湯表面を高温に保つための保温手段として、簡便な構造で製作が容易であり、しかも、るつぼの加熱下に交換可能なリング状の保温蓋を用い、るつぼを加熱したままで数十チャージ分のシリコンを連続的に処理することが可能なシリコン精製装置及びこれを用いたシリコン精製方法及び精製方法を提供する。
【課題手段】真空ポンプを具備した減圧室内に、シリコンを収容する上端開口の黒鉛製るつぼと、該るつぼを加熱する加熱装置を備えたシリコン精製装置であって、前記るつぼの上部において該るつぼの開口部を覆うと共にるつぼ内のシリコン溶湯表面より小さい面積の排気開口を有するリング状の保温蓋を備え、該保温蓋が、前記減圧室内において、前記るつぼの加熱中に交換可能であることを特徴とするシリコン精製装置、及びこれを用いたシリコン精製方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不純物濃度の高い安価な金属シリコン原料から、太陽電池等の製造に用いる高純度シリコンを精製するためのシリコン精製装置及びこのシリコン精製装置を用いて行うシリコン精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池製造用のシリコン原料は、これまで半導体製造プロセスで発生するスクラップシリコンが用いられてきた。しかしながら、近年の太陽電池需要の急速な伸びにより、スクラップの供給量が追いつかず、今後太陽電池用のシリコン原料の供給不足が懸念されている。半導体製造プロセスで使用されているシリコン原料は、シーメンス法を用いて製造されているが、シーメンス法で製造したシリコン原料は高価であり、太陽電池製造プロセスに直接供給されるルートではコスト的に合わない。そこで、不純物濃度は高いが安価な金属シリコン原料から、真空溶解や凝固精製を用いて、高純度シリコンを製造する冶金的プロセスの開発が進められてきた。
【0003】
上記の冶金的プロセスは、不純物元素とシリコンとの物理的な挙動の差を利用した幾つかの冶金的なサブプロセスを組み合わせて精製するプロセスである。P(リン)を代表とするSi(シリコン)よりも蒸気圧の高い不純物元素を除去するサブプロセスについては、真空溶解法の適用が検討されてきた。以下、真空溶解法によるP除去と言う表現を用いるが、この真空溶解法によれば、P除去に伴ってP以外のSiよりも蒸気圧の高い不純物元素も除去される。
【0004】
真空溶解法に用いる装置の基本的な構成としては、真空ポンプを有した減圧可能な真空容器の中にるつぼ及びヒーター等の加熱装置が設置される。るつぼ中には数十ppm以上の高いPを含有する金属シリコン原料を充填し、減圧下乃至不活性ガス下で加熱溶解し、溶解して生成したこのシリコン溶湯を減圧下かつ融点以上の温度で一定時間保持する。この間、シリコン溶湯からはSiよりも蒸気圧の高いPが優先的に蒸発するので、Si中のP濃度は時間と共に低下する。
【0005】
本発明者らは、先ず、真空ポンプを具備した減圧容器内に、シリコンを収容するるつぼと、該るつぼを加熱する加熱装置を設置してなるシリコン精製装置であって、前記るつぼ内のシリコン溶湯表面又はるつぼ開口部の一方又は双方を見ることが可能な位置に不純物凝縮装置を配してなるシリコン精製装置を用い、前記シリコン溶湯表面から蒸発してくる不純物を不純物凝縮装置により可及的に凝縮させて除去することにより、シリコン溶湯表面上方の不純物の蒸気圧を低下させ、これによって十分なP除去速度を実現することができる、簡便かつ安価な装置構成で低コストのシリコン精製装置及び精製方法を提案した(特許文献1)。しかしながら、特許文献1で提案されたシリコン溶湯を保持するるつぼとしては、真空中での使用に耐えるために黒鉛製のものを用いる必要があるが、黒鉛製のるつぼを用いた場合、るつぼ材質であるカーボンがシリコン溶湯中に溶解し、溶解したカーボンの一部がSiC(炭化ケイ素)として溶湯表面に浮上し、この浮上したSiC粒がシリコン溶湯からのPの蒸発を物理的に妨げてP除去効率を低下させ、P除去処理の生産性を低下させることがある。
【0006】
そこで、本発明者らは、次に、この特許文献1で明らかとなった黒鉛製るつぼを用いた場合に生じる問題点、すなわち、シリコン溶湯表面にSiC粒が浮遊してP除去処理の生産性を低下させるという問題を解決するものとして、るつぼの上面に、保温用のリング乃至該るつぼの内径より外径の小さな円板、あるいは加熱用のヒーター、あるいは保温用のリング乃至該るつぼの内径より外径の小さな円板および加熱用のヒーターを配し、シリコン溶湯表面へのSiC粒の浮遊を抑制して大きなP除去速度を達成できるシリコン精製装置、及び、前記のシリコン精製装置を用いたシリコン精製方法を提案した(特許文献2)。
【0007】
この特許文献2の発明によれば、真空溶解法によるP除去のプロセスを実用化するにあたり、シリコン溶湯表面の温度を高温に保つことができ、以下の2つの効果が得られることが判明した。すなわち、一つ目は、真空溶解法を用いたP除去の3つの素過程、(a)シリコン溶湯内でのPの拡散過程、(b)シリコン溶湯の自由表面からのPの蒸発過程、(c)気相中でのPの拡散過程の内で、律速過程である(b)過程を促進し、P除去速度を増大させる効果である。また、二つ目は、シリコン溶湯表面からのPの蒸発を妨げる浮遊物の発生を抑制し、P除去速度を維持する効果である。このため、真空溶解法を用いたP除去に用いるるつぼとして、原理的に使用可能であって、コスト的に見合う汎用的な材質の黒鉛製のるつぼを用いた場合、この黒鉛製るつぼからC(カーボン)がシリコン溶湯中に数十〜数百ppmの高濃度で溶解し、この溶解したCがSiC粒としてシリコン溶湯表面に析出し、浮遊して、シリコン溶湯表面からのPの蒸発を妨げるが、シリコン溶湯表面の温度を高温に保つことにより、シリコン溶湯表面へのSiC粒の析出を抑制できる。実際に、本発明者らは、シリコン溶湯の表面を高温に保つための保温手段として、特許文献2に示されているような様々なタイプのものを実用化し、検討したが、それらはいずれも、前記2つの効果を発揮し、P除去処理の生産性を向上させるものとして十分な機能を発揮した。
【0008】
しかるに、シリコン溶湯表面を高温に保つための最も簡便な構造で製作が容易な保温手段として、黒鉛化処理されたフェルト(黒鉛フェルト)製のリング状の保温部材を備えたシリコン精製装置について更に検討を進めた結果、以下のような別の新たな問題が存在することが判明した。
すなわち、このシリコン精製装置は、図6に示すように、真空ポンプ1を具備した減圧室2内に、シリコン溶湯3を収容する上端開口の黒鉛製るつぼ4と、該るつぼ4を加熱する加熱装置5を備え、前記るつぼ4の上部に位置してこのるつぼ4の開口部を覆うと共に、シリコン溶湯3表面から図示外の不純物凝縮装置への経路の間で、シリコン溶湯3表面から蒸発する不純物蒸気を排気するための排気開口13aを有するリング状の保温部材13を備えている。そして、この排気開口13aの開口縁部は、シリコン溶湯3より本質的に温度が低いので、シリコン溶湯3表面から蒸発した不純物蒸気が一定の割合で凝集することを意味し、この凝集した不純物蒸気が液相であって、るつぼ内に還流される構造を有していれば、排気開口13aはその開口状態を維持し続けることができる。
【0009】
しかしながら、真空溶解法によるP除去のプロセスは、シリコン溶湯3表面からPを蒸発させて除去するプロセスではあるが、Siにも一定の蒸気圧があって不可避的にSiも同時に蒸発する。しかも、Siの蒸気圧がPの蒸気圧より如何に小さいものであっても、Si中のPの濃度を十分に下げることが目的であることから、シリコン溶湯3表面に存在するSiの濃度がPの濃度に比べて圧倒的に大きく、シリコン溶湯3表面から蒸発する元素量、すなわちリング状の保温部材13の排気開口13aを通過して前記不純物凝縮装置に向かって移動する元素量は、Siの方がPよりも圧倒的に多い。
【0010】
このため、前記リング状の保温部材13の排気開口13aの開口縁部には、SiやSi化合物の固体が徐々に析出し、数チャージ分程度のシリコンのP除去処理では、その析出量が排気開口13aを大きく減らすことはないが、るつぼ4を加熱したままで数十チャージ分のシリコンをP除去処理する間には、排気開口13aを塞ぐまでの量になり、延いてはP及びSiの蒸発が妨げられてP除去効率が低下することが判明した。また、このSiやSi化合物の固体の析出を防ぐにためには、前記リング状の保温部材13の排気開口13aの周辺付近の温度をシリコン溶湯3表面と同程度の高温に保持することが必要であることも判明したが、加熱装置を装備しない断熱だけのリング状の保温部材13の構成では、この排気開口13aの周辺付近の温度をシリコン溶湯3表面と同程度の高温に保持することは困難であり、SiやSi化合物の固体の析出を十分な程度にまで抑制することは原理的に困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005-231,956号公報
【特許文献2】特開2006-232,658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明者らは、上述した特許文献2に係るリング状の保温部材における新たな問題、すなわち、数十チャージ分のシリコンについて、るつぼを加熱したまま連続的にP除去処理を行うことが困難であるという問題を解決すべく鋭意検討した結果、このリング状の保温部材をるつぼの加熱中に交換可能なリング状の保温蓋として構成することにより、解決できることを見い出し、本発明を完成した。
【0013】
従って、本発明の目的は、シリコン溶湯表面を高温に保つための保温手段として、簡便な構造で製作が容易であり、しかも、るつぼの加熱下に交換可能なリング状の保温蓋を用い、るつぼを加熱したままで数十チャージ分のシリコンを連続的に処理することが可能なシリコン精製装置及びこれを用いたシリコン精製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、以下のように構成される。
(1) 真空ポンプを具備した減圧室内に、シリコンを収容する上端開口の黒鉛製るつぼと、該るつぼを加熱する加熱装置を備えたシリコン精製装置であって、前記るつぼの上部において該るつぼの開口部を覆うと共にるつぼ内のシリコン溶湯表面より小さい面積の排気開口を有するリング状の保温蓋を備え、該保温蓋が、前記減圧室内において、前記るつぼの加熱中に交換可能であることを特徴とするシリコン精製装置。
【0015】
(2) 前記リング状の保温蓋は、前記るつぼの上部において、該るつぼの開口部の周辺部分を覆うと共にるつぼ内のシリコン溶湯表面より小さい面積の中央開口を有するリング状の周辺保温部材を介して、該るつぼの開口部を覆うことを特徴とする前記(1)に記載のシリコン精製装置。
【0016】
(3) 前記減圧室は、ゲートバルブを介して交換可能な保温蓋を収容する準備室を備えている前記(1)又は(2)に記載のシリコン精製装置。
【0017】
(4) 前記(1)〜(3)のいずれかに記載のシリコン精製装置を用い、るつぼ内のシリコンを融点以上に加熱しつつシリコン溶湯中から蒸発する不純物を除去するシリコン精製方法であり、交換可能な保温蓋を少なくとも1回交換することにより、るつぼの加熱を継続しつつ少なくとも2チャージのシリコン精製処理を行うことを特徴とするシリコン精製方法。
【0018】
(5) 前記シリコン精製処理時の減圧室内の圧力が500Pa以下であることを特徴とする前記(4)に記載のシリコン精製方法。
【0019】
(6) 前記交換可能な保温蓋を交換時の減圧室内の圧力が500Paより高いことを特徴とする前記(4)又は(5)に記載のシリコン精製方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シリコン溶湯表面を高温に保つための保温手段として、簡便な構造で製作が容易であり、しかも、るつぼの加熱下に交換可能なリング状の保温蓋を用いているので、るつぼを加熱したままで保温蓋を交換しつつ数十チャージ分のシリコンを連続的に処理することが可能であり、るつぼの再加熱に要する時間的及び熱エネルギー的なコストの低減が可能になり、安価で高純度の太陽電池用シリコン原料を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシリコン精製装置を説明するための概念説明図である。
【0022】
【図2】図2は、図1のシリコン溶湯表面から保温蓋の排気開口を介して飛び出すSiの存在領域を示す概念説明図である。
【0023】
【図3】図3は、図1の保温蓋の上方の冷却された空間からの冷たい輻射の影響が及ぶ領域を示す概念説明図である。
【0024】
【図4】図4は、本発明の第2の実施の形態に係るシリコン精製装置を説明するための概念説明図である。
【0025】
【図5(a)】図5(a)は、本発明のシリコン精製装置を用いて、るつぼの加熱中に保温蓋を交換し、連続的にP除去処理を行うシリコン精製方法の一例を説明するための概念説明図であり、保温蓋がるつぼの開口部を覆っている状態を示す。
【0026】
【図5(b)】図5(b)は、図5(a)と同様に、シリコン精製方法の一例を説明するための概念説明図であり、保温蓋が準備室内に格納された状態を示している。
【0027】
【図6】図6は、特許文献2の発明に係るリング状の保温部材を備えたシリコン精製装置を説明するための概念説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、真空ポンプを具備した減圧室内に、上端開口の黒鉛製るつぼと、このるつぼを加熱するための加熱装置を備えたシリコン精製装置及びこのシリコン精製装置を用いて行う精製方法である。ここで、本発明における精製とは、主としてPの除去であり、更に、P以外に、例えば、Al、As、Sb、Li、Mg、Zn、Na、Ca、Ni、Ge、Cu、Sn、Ag、In、Mn、Pb、Tl等のSiより蒸気圧の高い不純物元素の除去についても含まれる。
【0029】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について、シリコン精製装置の構成を図1により説明する。先ず、真空ポンプ1を備えた減圧可能な減圧室2内に、シリコン溶湯3を保持するためのるつぼ4と、シリコンをその液相状態に保持するための加熱装置5とがセットされている。そして、るつぼ4の上部には、その開口部の周辺部分を覆うと共にるつぼ4内のシリコン溶湯3表面の面積より小さい面積の中央開口6aを有するリング状の周辺保温部材6が取り付けられており、また、この周辺保温部材6の上部には、その中央開口6aを覆う位置に、前記るつぼ4の中央開口6aを覆うと共にるつぼ4内のシリコン溶湯3表面の面積より小さい面積の排気開口7aを有する第一のリング状の保温蓋71が設けられており、また、前記減圧室2内には、その格納場所9に、前記保温蓋71と同じ形状及び大きさの第二及び第三のリング状の保温蓋72,73が配置されている。また、これら第一乃至第三のリング状の保温蓋71〜73(これら全体を符号「7」で示す。)については、その格納場所9と前記周辺保温部材6の上部でその中央開口6aを覆う位置(即ち、使用場所)との間を、減圧室2内の圧力やシリコン溶湯3の状態に依らず、いつでも移動させて交換できるようになっている。
【0030】
真空ポンプ1は、500Pa以下に減圧できればよく、油回転ポンプのみでも十分であるが、減圧室2の大きさに応じて、メカニカルブースターポンプを装備してもよく、油拡散ポンプやターボ分子ポンプを装備すれば、真空掃引時間やP(リン)除去時間を更に短縮することも可能である。
【0031】
黒鉛製のるつぼ4は、シリコンとの反応気体が発生しない高密度黒鉛製が最適である。石英製のるつぼは、高真空下でシリコンと反応してSiO(一酸化ケイ素)気体を発生するので、減圧室2内を高真空下に維持できない、又は、湧き上がる気体によりシリコン溶湯3が突沸するといった問題があり、真空溶解法によるシリコン精製のためのるつぼとしては適さない。
【0032】
加熱装置5については、シリコンの融点以上に加熱できればどのようなものでも適用できるが、黒鉛製等の発熱体に電圧を印加し、ジュール発熱でるつぼ4とシリコン溶湯3を加熱するヒーター加熱方式が最も簡便である。また、黒鉛製るつぼ4の外側に誘導コイルを配置し、誘導電流により黒鉛製るつぼを発熱させ、この発熱した黒鉛製るつぼによってシリコン溶湯3を加熱する誘導加熱方式も、好適に適用可能である。どちらの加熱装置も、一般に広く利用されている金属溶解のための簡便な加熱方式である。
【0033】
また、数十チャージ分のシリコンを連続的に精製処理する場合には、図示外の構成として、黒鉛製るつぼ4が加熱されたままの状態でこの黒鉛製るつぼ4内の精製処理後のシリコン溶湯3を減圧室2外に排出する溶湯排出機構を必要とする。この溶湯排出機構として、例えば、一つの好ましい実施の形態としては、減圧室2にゲートを介して減圧可能な溶湯受室を併設し、この溶湯受室内にシリコン溶湯3を受ける溶湯受容器を配設し、また、黒鉛製るつぼ4の上部にシリコン溶湯3の排出口を設けると共に減圧室2を黒鉛製るつぼ4と共に傾動可能に構成し、シリコン溶湯3の排出時には、溶湯受室内を減圧室2内と同じ圧力に減圧にした後、黒鉛製るつぼ4共々減圧室2を傾けて黒鉛製るつぼ4上部の排出口から溶湯受室内の溶湯受容器にシリコン溶湯3を排出するようにした機構が挙げられる。また同様に、別の好ましい実施の形態としては、黒鉛製るつぼ4の底に開閉可能な弁を装備すると共に、黒鉛製るつぼ4の下方には、ゲートを介して減圧可能な溶湯受室を配置し、この溶湯受室内にシリコン溶湯3を受ける溶湯受容器を配してなる機構が挙げられる。これらいずれの実施の形態においても、シリコン溶湯3を受ける溶湯受容器は減圧可能な溶湯受室内に配され、前記黒鉛製るつぼ4を配した減圧室2と前記溶湯受容器を配した溶湯受室とが共に減圧下に連通可能であることが必要であり、これによってP除去処理済みのシリコン溶湯3を、大気に暴露することなく、黒鉛製るつぼ4から溶湯受容器内に移送し、しかる後に前記減圧室から溶湯受室を切り離し、精製処理済みのシリコン溶湯3を取り出すことができる。
【0034】
ここで、黒鉛製るつぼ4の上部において、このるつぼ4の開口部の周辺部分を覆うと共にるつぼ4内のシリコン溶湯3表面の面積より小さい面積の中央開口6aを有するリング状の周辺保温部材6や、この周辺保温部材6を介して前記黒鉛製るつぼ4の開口部を覆うと共にるつぼ4内のシリコン溶湯3表面の面積より小さい面積の排気開口7aを有する第一乃至第三のリング状の保温蓋7は、基本的に黒鉛フェルト等の断熱材で形成されるが、フェルト状の材料はシリコンの蒸気を吸い易く、シリコンの蒸気と反応して劣化する傾向にあるので、シリコンの蒸気を吸わないように、その外皮、特に、シリコン溶湯3表面に向き合う下面側や、中央開口6a又は排気開口7aの内周面側を図示外の緻密な黒鉛製部材で覆った構造とすることが好ましい。
【0035】
また、これらリング状の周辺保温部材6や第一乃至第三のリング状の保温蓋7については、基本的には周辺保温部材6が黒鉛製るつぼ4の開口部を、また、保温蓋7が周辺保温部材6の中央開口6aをそれぞれ覆うことができれば、その形状や大きさに制限はないが、保温蓋7については、シリコン溶湯3表面の温度を高温に保ち、かつ、効率の良い不純物元素の排気経路を確保するために、その排気開口7aの面積がシリコン溶湯3表面の面積の1%以上70%以下、好ましくは1%以上50%以下、より好ましくは3%以上20%以下であるのがよく、また、シリコン精製処理に使用した後の保温蓋71とまだ未使用の保温蓋72との交換作業の作業性を考慮すると、その全体の平面の面積(排気開口7aを含む)がシリコン溶湯3表面の面積の5%以上80%以下、好ましくは5%以上30%以下であるのがよい。なお、周辺保温部材6の中央開口6aの形状や大きさについては、黒鉛製るつぼ4や保温蓋7の形状や大きさに基づいて決定される。また、保温蓋7の数についても、図1に示す3つに限られるものではなく、シリコン精製装置を用いて連続的に精製処理するシリコンのチャージ数に応じて、1つ又は2つであっても、また、4つ以上の数であってもよく、好ましくは2つ以上の複数であるのがよい。
【0036】
この図1に示す実施の形態に係るシリコン精製装置によれば、その減圧室2の内部に3つの保温蓋7が装備されており、また、これら保温蓋7が、黒鉛製るつぼ4の加熱中であっても、その格納場所9と使用場所(周辺保温部材6の上部でその中央開口6aを覆う位置)との間を自由に移動できる装置構成となっているので、保温蓋71においてその排気開口7aの開口縁部にSiやSi化合物の固体が付着し、排気開口7aがP除去処理を妨げる程度にまで閉塞された際には、この使用後の保温蓋71を使用前の保温蓋72と交換することにより、黒鉛製るつぼ4の加熱状態を維持したままで更に新たなP除去処理を行うことができる。
【0037】
なお、保温蓋7をその格納場所9と使用場所との間で移動させるための移動手段については、特に限定されるものではなく、例えば、各保温蓋7に必要によりアームを介して回転軸(図示せず)を取り付けると共に、減圧室2内の黒鉛製るつぼ4の周辺位置にこの回転軸が取り付けられた各保温蓋7を配置し、回転軸を回転させて保温蓋7をその格納場所(格納位置)9と使用場所(使用位置)との間で水平方向に移動させるように構成してもよく、この場合、黒鉛製るつぼ4の周辺位置に3つの保温蓋7を配置すれば2回の保温蓋7の交換が可能になる。
【0038】
ここで、保温蓋7については、その排気開口7aを形成する内周部(開口縁部)がSiやSi化合物の蒸気が到達する場所で最も低温の部位となり、この部分でSiやSi化合物の固体8が析出してその成長が進行するが、この点について、以下に図2及び図3を用いて詳細に説明する。
【0039】
すなわち、本発明の処理条件では、真空度は十分に高いため、蒸発するSiは分子流を形成し、直線的に移動するが、主にシリコン溶湯3の自由表面から飛び出すので、Siの多くは図2において破線で示された領域A1に存在する。一方で、保温蓋7の上方は、シリコン溶湯3の温度と比較してはるかに低温の空間であり、その空間からの輻射冷却は非常に大きいが、その空間を見込む強く冷却された領域が、図3において破線で示された領域A2である。さて、図2において、シリコン溶湯3の自由表面から蒸発したSiの内、保温蓋7よりも上方に移動したSiは、図示外の不純物凝縮装置に到達するが、不純物凝縮装置はSiの融点以下に冷却されているために、Siの膜として固化し、その中にPを取り込むことで、PがSi膜に濃縮される。次に、周辺保温部材6あるいは保温蓋7の下面は、シリコン溶湯3からの強い熱輻射を受けていると共に、図3の強く冷却された領域A2からは外れており、高温が維持されているため、周辺保温部材6あるいは保温蓋7の下面に到達したSiは、再蒸発したり、液相として凝集した後にシリコン溶湯3に還流される。しかしながら、保温蓋7の内周部(開口縁部)は、強く冷却された領域A2に含まれ、周辺保温部材6あるいは保温蓋7の下面ほどには高温を維持できないため、飛来したSiに由来するSiやSi化合物の固体が形成される。そこで、保温蓋7を予め交換可能な構成としておき、交換・清掃を繰り返せば、P除去速度の低下を招くことなく連続的にP除去処理を行うことができる。
【0040】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係るシリコン精製装置の構成について、図4に基づいて説明する。このシリコン精製装置は、図1に示す第1の実施の形態の場合とは異なり、黒鉛製るつぼ4の上部においてこのるつぼ4の開口部を覆うと共にるつぼ4内のシリコン溶湯3表面より小さい面積の排気開口7aを有する複数のリング状の保温蓋7(71,72)を備えている。
【0041】
この第2の実施の形態の場合においても、リング状の周辺保温部材6が用いられていないだけで、その他の構成は第1の実施の形態の場合と同様であり、特に黒鉛製るつぼ4が比較的小型であるような場合に、装置構成がより単純化されて有用である。
【0042】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係るシリコン精製装置の構成について、図5(a)及び図5(b)に基づいて説明する。この第3の実施の形態において、減圧可能な減圧室2は、処理室2aと予備排気室2bとから成っており、これら処理室2aと予備排気室2bとはゲートバルブ10によって開閉可能に仕切られている。処理室2aと予備排気室2bは、それぞれに真空ポンプ1a,1bを装備しており、処理室2aの真空を破ることなく、予備排気室2bを大気圧から減圧へ、また、減圧から大気圧へと自由にその屋内の気圧状態を変更することができる。前記保温蓋7は、ゲートバルブ10の位置を跨いで、処理室2aと予備排気室2bの間を移動する昇降装置11を装備している。また、予備排気室2bは、保温蓋7を清掃し、あるいは、交換する際に開閉される扉12を備えている。
【0043】
なお、図5(a)は、保温蓋7を使用するために周辺保温部材6の上に設置中の状態を示し、保温蓋7が処理室2a内にある。また、図5(b)は、P除去処理が妨げられる程度にまでSiやSi化合物の固体(図示外、図1参照)が排気開口7aに付着した使用後の保温蓋7を予備排気室2b内に格納した状態を示すものであり、ゲートバルブ10が閉じているので、るつぼ4を加熱したままで、予備排気室2bの扉12を開放し、使用後の保温蓋7を清掃し、あるいは、使用前の保温蓋7と交換することにより、保温蓋7の排気開口7aから固体を取り除くことができる。
【0044】
この第3の実施の形態に係るシリコン精製装置によれば、原理的には保温蓋7の排気開口7aが、P除去処理が妨げられる程度にまで閉塞しても、この使用後の保温蓋7を清掃し、あるいは、交換することにより、るつぼ4の加熱状態を維持したまま連続的にP除去処理を実施することができる。なお、第1の実施の形態では、減圧可能な減圧室2内に予め装備した保温蓋7の数によって、精製処理が可能なシリコンの量(チャージ数)が制約を受けるが、本形態ではこのような制約を受けることがない。
【0045】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態は、上記第1〜3の実施の形態の装置を用いて、シリコンを融点以上に加熱して、溶解保持するシリコン精製方法である。
【0046】
従来の方法においては、図6に示すような構成の装置を用いていたが、数チャージのシリコンをP除去処理した段階で、リング状の保温部材13の排気開口13aの内周部に付着したシリコンがこの排気開口13aを塞いでP及びSiの蒸発を妨げ、P除去速度を下げ、更にはP除去処理が継続不能となったが、上記第1〜3の実施の形態の装置を用い、保温蓋7の排気開口7aが閉塞した段階で、予備の保温蓋7と交換すること、あるいは閉塞した保温蓋7を予備室に取り出して交換あるいは清掃することによって、るつぼ4の加熱を継続したまま、数十チャージ分のシリコンを連続的にP除去処理することが可能である。
【0047】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態は、上記第4の実施の形態のシリコン精製方法であって、減圧室2内を500Pa以下、好ましくは10Pa以下に減圧し、シリコンを融点以上に加熱して、溶解保持するシリコン精製方法である。
【0048】
減圧室2内を500Pa以下に減圧することにより、P除去速度が更に大きくなってシリコン精製の生産性が向上し、また、10Pa以下に減圧することにより、更により大きなP除去速度とシリコン精製の生産性向上とが得られる。
【0049】
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態は、上記第4〜5の実施の形態のシリコン精製方法であって、保温蓋7を交換あるいは清掃するに際し、減圧室2内の圧力を500Paより高くすることを特徴とするシリコン精製方法である。
【0050】
減圧室2内の圧力を500Paより高くすると、シリコン溶湯3表面からのSiの蒸発を抑えられるため、斯様な状態を維持しつつ保温蓋7を交換あるいは清掃することができ、この保温蓋7の交換・清掃時に保温蓋7へSiやSi化合物の固体が付着するのを防止し、保温蓋7の表面が汚染して、連続的なシリコン精製処理の継続が妨げられることを防止する。
【0051】
なお、保温蓋7の交換・清掃時における減圧室2内の圧力については、好ましくは2000Pa以上の圧力であるが、必要以上に高い圧力はP除去処理に好適な10Pa以下の圧力からの復圧に時間や多量の不活性ガスを必要とし、生産性やコストの上で不利であるため、10000Pa以下の圧力であるのがよい。
【実施例】
【0052】
(実施例1及び比較例)
先ず、この実施例1及び比較例で使用したシリコン精製装置の概要を説明する。基本構造は図1に準じている。減圧可能な減圧室は、水冷ジャケット構造で、油回転ポンプ→メカニカルブースターポンプの2段の真空ポンプを備えている。減圧室内には、外径1000mm、内径900mm、深さ(内寸)500mmの高純度黒鉛製のるつぼと、るつぼの側面と底面を覆う位置に高純度黒鉛製のヒーターと、それらの外側にカーボン製の断熱材とが設置されている。黒鉛製のヒーターは最大で300kWの電力を投入することができる。
【0053】
シリコン溶湯表面を保温するための手段としては、るつぼの上部に外径1600mm及び内径400mmのリング状の周辺保温部材を設け、この周辺保温部材の上部に外径500mm及び内径340mmのリング状の保温蓋を交換可能に設けた。但し、これらの周辺保温部材及び保温蓋は、高密度黒鉛と黒鉛フェルトを用い、リング状の本体を形成する黒鉛フェルトの下面側、及び中央開口や排気開口の内周面側を厚み5mmの高密度黒鉛で被覆した2層構造になっている。また、本実施例では、3つの保温蓋が減圧室内に予め装備されており、保温蓋の排気開口が閉塞した場合にいつでも交換が可能である。
【0054】
本実施例では、るつぼの加熱を継続したまま、15チャージのP除去処理を連続的に実施したが、以下に説明する図示外の2つの機構を用いている。1つ目は、原料の挿入機構であり、減圧室内の雰囲気を大気解放することなく、500kgの原料をるつぼの開口部より挿入する機構である。2つ目は、P除去処理が完了したシリコン溶湯を排出する機構であり、本実施例では、減圧室が黒鉛製るつぼと共に傾動する機構を装備すると共に、黒鉛製るつぼの上部にはシリコン溶湯の排出口が設けられ、また、るつぼが配設された減圧室に隣接して、内部に溶湯受け容器が配設された減圧可能な減圧室が装備され、前記るつぼを配した減圧室と前記溶湯受け容器を配した減圧室とが減圧下に連通されることによって、P除去処理済みのシリコン溶湯を大気に暴露させることなく、このシリコン溶湯をるつぼから溶湯受け容器に移送し、しかる後に前記2つの減圧室を切り離し、処理済みのシリコンを取り出すことができるようになっている。
【0055】
P除去処理の前準備として、先ず、黒鉛製るつぼを配した減圧室内をアルゴンガスで置換した後に3000Paまで減圧し、この3000Paのアルゴンガス雰囲気を維持した状態で、るつぼを1600℃まで昇温し、シリコン精製処理の間るつぼをこの1600℃に保持した。
【0056】
本実施例では、以下に述べるP除去処理のサイクルを15チャージ連続して実施した。1サイクルの処理は、先ず、3000Paのアルゴンガス雰囲気を維持した状態で、シリコン原料500kgをるつぼ内に挿入して溶解し、次に、P除去処理として真空ポンプで減圧室内を10Pa以下にまで減圧して12時間保持し、更に、減圧室内を3000Paのアルゴンガス雰囲気に戻した後、処理が終了したシリコン溶湯をるつぼから全量排出して回収した。15チャージ終了の後、3000Paのアルゴンガス雰囲気を維持した状態でるつぼを降温し、シリコン精製の連続処理を終了した。
【0057】
ここで、本発明の実施例1では、シリコン原料の5チャージ目、10チャージ目のシリコン溶湯排出終了後に、使用後の保温蓋を未使用の保温蓋と交換した。その時の減圧室内の雰囲気は3000Paのアルゴンである。
これに対して、比較例では、保温蓋の交換をしなかった。
【0058】
シリコン原料は、初期P濃度が10ppmwのものを用いた。処理後に排出し固化させた処理済みシリコンの一部を採取し、ICP発光分析法を用いてP濃度を測定することによって、P除去効率を評価した。なお、ICP発光分析法の分析下限値は0.02ppmwであった。
表1に、1〜15チャージ目の処理後のP濃度を示す。
【0059】
実施例1では、1〜5チャージ目にかけて、処理後のP濃度が高くなっており、保温蓋の排気開口における閉塞の程度が大きくなるに従い、P除去速度は低下している。しかしながら、保温蓋の交換後の6チャージ目に再びP除去速度が回復し、その後再びP除去速度が低下してゆくが、再度保温蓋を交換した11チャージ目に、再びP除去速度が回復した。結果として、1〜15の全チャージを通し、太陽電池原料として使用可能な0.1ppmw以下の処理済みシリコンを回収することができた。
【0060】
一方、比較例では、チャージ数が増えるに従って、P除去速度が低下しており、保温蓋の排気開口の閉塞がP除去を妨げている。しかも、保温蓋の排気開口の閉塞は10チャージ目までに著しく進行し、排気開口が析出した固体で全て覆われるほどになり、11チャージ目の原料を開口から挿入することが不可能となってシリコン精製の連続処理を中止した。
【0061】
(実施例2)
使用した装置の基本構造は図5に準じており、保温蓋の交換機構が実施例1と異なる以外は、図示外の原料挿入機構、溶湯排出機構を含め、実施例1と同じ装置である。また、シリコン精製の連続処理の手順についても、保温蓋の交換を各チャージが終了する度に実施した点を除き、実施例1と同じ手順で実施した。
【0062】
表1に、1〜15チャージ目の処理後のP濃度を示す。結果として、1〜15の全チャージを通し、ICP発光分析法の分析下限値である0.02ppmwを下回るP濃度の処理済みシリコンを回収することが出来た。
【0063】
(実施例3)
P除去処理中の減圧室内の圧力を550Paとした以外は実施例2に準じて実施した。
【0064】
表1に、1〜15チャージ目の処理後のP濃度を示す。結果として、1〜15の全チャージを通し、太陽電池原料として使用可能な0.1ppmw以下の処理済みシリコンを回収することが出来たが、圧力が高かったために、実施例2と比較して到達P濃度は高く、P除去の効率は低下した。
【0065】
(実施例4)
保温蓋の交換時に減圧室内を10Pa以下の減圧状態としたこと以外は、保温蓋の交換を各チャージが終了する度に実施した点も含めて、実施例2と同様に実施した。
【0066】
表1に、1〜15チャージ目の処理後のP濃度を示す。結果として、1〜13チャージ目は、太陽電池原料として使用可能な0.1ppmw以下の処理済みシリコンを回収することが出来たが、交換時に減圧状態を維持したがために、一層目の保温蓋にSiやSi化合物の固体が析出し、14チャージ目以降に開口部の閉塞が急激に進み、到達P濃度は0.1ppmw以下にならなかった。
【0067】
【表1】

【符号の説明】
【0068】
1,1a,1b…真空ポンプ、真空ポンプ、2…減圧室、処理室2a、予備排気室2b、3…シリコン溶湯、4…黒鉛製るつぼ、5…加熱装置、6…周辺保温部材、6a…中央開口、7,71,72,73…リング状の保温蓋、7a…排気開口、8…SiやSi化合物の固体、9…格納場所、A1,A2…領域、10…ゲートバルブ、11…昇降装置、12…扉、13…リング状の保温部材、13a…排気開口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプを具備した減圧室内に、シリコンを収容する上端開口の黒鉛製るつぼと、該るつぼを加熱する加熱装置を備えたシリコン精製装置であって、前記るつぼの上部において該るつぼの開口部を覆うと共にるつぼ内のシリコン溶湯表面より小さい面積の排気開口を有するリング状の保温蓋を備え、該保温蓋が、前記減圧室内において、前記るつぼの加熱中に交換可能であることを特徴とするシリコン精製装置。
【請求項2】
前記リング状の保温蓋は、前記るつぼの上部において、該るつぼの開口部の周辺部分を覆うと共にるつぼ内のシリコン溶湯表面より小さい面積の中央開口を有するリング状の周辺保温部材を介して、該るつぼの開口部を覆うことを特徴とする請求項1に記載のシリコン精製装置。
【請求項3】
前記減圧室は、ゲートバルブを介して交換可能な保温蓋を収容する準備室を備えている請求項1又は2に記載のシリコン精製装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のシリコン精製装置を用い、るつぼ内のシリコンを融点以上に加熱しつつシリコン溶湯中から蒸発する不純物を除去するシリコン精製方法であり、交換可能な保温蓋を少なくとも1回交換することにより、るつぼの加熱を継続しつつ少なくとも2チャージのシリコン精製処理を行うことを特徴とするシリコン精製方法。
【請求項5】
前記シリコン精製処理時の減圧室内の圧力が500Pa以下であることを特徴とする請求項4に記載のシリコン精製方法。
【請求項6】
前記交換可能な保温蓋を交換時の減圧室内の圧力が500Paより高いことを特徴とする請求項4又は5に記載のシリコン精製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−25646(P2012−25646A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168866(P2010−168866)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(306032316)新日鉄マテリアルズ株式会社 (196)
【Fターム(参考)】