説明

シリコーンゴムスポンジ組成物

【解決手段】(A)式(I)で表されるオルガノポリシロキサン、
1aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、R1は同一又は異種の非置換又は置換の1価炭化水素基、aは1.95〜2.04の正数である。)
(B)熱分解によって(A)成分を増粘あるいは硬化させる特性を有する非シアノ系有機アゾ発泡剤、
(C)アゾジカルボンアミド系発泡剤及び/又はジニトロソペンタメチレンテトラミン系発泡剤、
(D)硬化剤
を含有してなり、常圧熱風架橋発泡が可能なシリコーンゴムスポンジ組成物。
【効果】本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物は、スポンジのセルの大きさ及び発泡倍率を自由にコントロールすることが可能で、表面架橋性の良好な高発泡シリコーンゴムスポンジをつくることが可能である。また、このスポンジはシアノ系化合物を含まないため毒性が極めて少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築ガスケット、各種スポンジシート、工業用ロール、複写機等の事務機用スポンジロール、断熱シート等に使用されるシリコーンゴムスポンジを与えるシリコーンゴムスポンジ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンスポンジは、シリコーンゴム特有の物理特性をもっており、耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、難燃性、圧縮永久ひずみ等に優れた性質を有している。このシリコーンゴムスポンジは、基本的に熱硬化性シリコーンゴム組成物と硬化剤、発泡剤とを組み合わせ、加熱により発泡、硬化させてスポンジを形成させるものであるが、その場合、発泡性に優れ、均一で微細なセル構造を有し、スキン層の表面が平滑で、粘着性がなく、しかも、シリコーンゴム特有の物理特性を損なわないことが重要である。
【0003】
また、加工成形方法としては、連続成形が可能となる常圧熱気中で硬化、発泡させることが多く行われている。このような常圧熱気中の成型で均一かつ微細なセル構造のスポンジを作るためには、発泡剤が分解するときに発生するガスをゴム内部に細かい泡の状態で押さえ込まなければならないため、通常の場合は発泡剤が分解する以前に既にゴム組成物が発泡圧力を押さえ込むために増粘、硬化している必要がある。
【0004】
従って、スポンジを成型させる場合にゴム内でおきる反応順序としては以下の順序が一般的である。
1)硬化剤によるシリコーンゴムスポンジを形成するオルガノポリシロキサン成分の増粘(硬化)
2)発泡剤の分解によるガスの発生
実際には上記の順番で反応が起こるように付加架橋の触媒量を調整して反応制御したり、有機過酸化物の分解温度を発泡剤の分解温度と同じか低いように選択して上記のような反応順序を設定する。
【0005】
しかし、このようなゴムの初期硬化の制御は非常に難しく、付加架橋であれば制御剤の量や触媒の強さによって毎回変化する可能性があり、有機過酸化物架橋であれば発泡剤の分解温度によって有機過酸化物を探さなければないほか、スポンジを成型する温度範囲全域において分解の挙動が発泡剤、有機過酸化物共に同じでならなければならない等、非常にデリケートな制御が必要であった。
【0006】
一方、シリコーンゴムスポンジの発泡に用いられる発泡剤としては、従来、AIBN(アゾイソブチロニトリル)が多用されてきた。AIBNは、1分子量あたりの発生窒素ガスが多く、少ない添加量で高発泡のスポンジを得ることができること、及び付加反応の阻害物質となりにくいことから、有機過酸化物による架橋及び付加反応による架橋の両方の硬化系で使用されてきた。しかし、このアゾビスイソブチロニトリルは、分解発生ガスが安全衛生上好ましくなく、また、それらを完全に除去しようとすると、長時間のポストキュアーが必要になる不都合があり、より安全性の高い発泡剤が望まれていた。
【0007】
シリコーンに適用される非AIBN発泡剤としては様々な物質が検討されているが、そのなかでも特に炭酸水素ナトリウム等の無機塩類の発泡剤が提案されている(特許文献1〜3:特開平5−156061号公報、特開2006−083237号公報、特開2006−193609号公報)。しかし、炭酸水素ナトリウムを発泡剤としたスポンジ組成物はスポンジセル形状の再現性がなかったり、ゴムコンパウンドの含水水分量によって異常発泡を起こしたりしてしまい、セル形状、発泡倍率等が安定せず、また分解物の炭酸ナトリウムがゴム内に残ってしまうという欠点があった。
【0008】
また、有機発泡剤としては、合成ゴムで一般的に用いられるアゾジカルボンアミド(ADCA)等のアミン系有機アゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物を発泡剤として用いる方法が提案されている(特許文献4:特開昭55−29566号公報)。しかしながら、これらの発泡剤は、アゾビスイソブチロニトリルの場合のように、単にシリコーンゴムコンパウンドに配合して熱風下で自由発泡(HAV成形)させるだけでは、ほとんど発泡しない。理由としては、分解温度がいずれも140℃〜250℃と高いため付加架橋系では架橋制御しにくく、分解温度範囲の狭い有機過酸化物架橋剤では架橋制御しにくいうえ、架橋前ポリマー粘度の低いシリコーンゴムコンパウンドでは高温HAVにて発泡圧力を抑え込むことができず、できあがったスポンジはガス抜けや異常発泡となり、表面平滑性に著しく劣り、かつその表面に粘着感が残るという難点があった。また、上記ADCA、DPTを用いてHAV架橋によりスポンジを得る方法として、架橋基を従来のビニル基に代えて1−エチル−1−ブチニル基、エチリデンノルボルニル基等に変更したシリコーンポリマーをベースポリマーとして用いる方法(特許文献5:特開平2−16132号公報)や、同架橋基をシクロヘキシル基等のシクロアルキル基等に変更したシリコーンポリマーをベースポリマーとして用いる方法(特許文献6:特開平2−251542号公報)、炭素数が4以上で少なくとも1つの活性3級炭素を有する炭化水素基をケイ素原子に結合する有機基として有するポリオルガノシロキサンをベースポリマーとした方法(特許文献7:特許第3133401号公報)がHAV可能なスポンジとして提案されているが、ベースポリマーが特殊な構造のためコストが高く、またジメチルポリシロキサンに比べ弾性率が低下したり、圧縮永久歪みが悪い等の欠点があった。
【0009】
【特許文献1】特開平5−156061号公報
【特許文献2】特開2006−083237号公報
【特許文献3】特開2006−193609号公報
【特許文献4】特開昭55−29566号公報
【特許文献5】特開平2−16132号公報
【特許文献6】特開平2−251542号公報
【特許文献7】特許第3133401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、シリコーンゴムスポンジを形成するオルガノポリシロキサンの架橋速度の制御や発泡体と有機過酸化物のデリケートな組み合わせを考慮することなく、常圧熱風架橋(HAV)発泡性に優れ、均一で微細なセル構造を有し、スキン層の表面が平滑な高発泡シリコーンゴムスポンジを形成でき、また発泡剤の分解ガスに毒性のあるシアノ化合物を発生しない安全なスポンジを安易に得ることができるシリコーンゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、オルガノポリシロキサン(シリコーンポリマー)を増粘させることが可能で、アミン系有機アゾ発泡剤よりも分解温度の高い非シアノ系有機アゾ発泡剤、特に1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)及びアゾジカルボンアミド系/ジニトロソペンタメチレンテトラミン系有機発泡剤を用いる(但し、発泡剤として炭酸水素ナトリウムは含有しない)ことにより、シリコーンゴムスポンジ組成物を常圧熱気加硫させたときにセル形状の均一な高発泡シリコーンゴムスポンジを再現性よく得ることができ、また発泡剤より発生する分解ガスは非シアノ系であり、人体への毒性がきわめて小さく、安全にシリコーンスゴムポンジを製造、使用することができることを知見し、本発明をなすに至った。
【0012】
従って、本発明は、下記のシリコーンゴムスポンジ組成物を提供する。
[I](A)下記平均組成式(I)で表されるオルガノポリシロキサン
1aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、R1は同一又は異種の非置換又は置換の1価炭化水素基、aは1.95〜2.04の正数である。):100質量部、
(B)熱分解によって(A)成分を増粘あるいは硬化させる特性を有する非シアノ系有機アゾ発泡剤:0.1〜20質量部、
(C)アゾジカルボンアミド系発泡剤及び/又はジニトロソペンタメチレンテトラミン系発泡剤:1〜50質量部、
(D)硬化剤
を含有してなり、常圧熱風架橋発泡が可能なシリコーンゴムスポンジ組成物。
[II](B)成分の非シアノ系有機アゾ系発泡剤が、(A)成分100質量部に(B)成分3質量部を加えた後、170℃において熱分解させながら測定したムーニー粘度ML(1+4)が(A)成分単体のムーニー粘度に対して100%以上の粘度上昇を示す有機発泡体であることを特徴とする[I]記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
[III](B)成分の非シアノ系有機アゾ発泡剤Aが、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)であることを特徴とする[I]又は[II]記載のシリコーンスポンジ組成物。
[IV](C)成分のアゾジカルボンアミド系発泡剤及びジニトロソペンタメチレンテトラミン系発泡剤の分解助剤として尿素、酸化亜鉛及び有機亜鉛化合物から選ばれる1種又は2種以上を使用することを特徴とする[I]〜[III]のいずれか1項記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
[V](D)成分の硬化剤が、ヒドロシリル化触媒とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応系硬化剤単独、有機過酸化物単独、又は付加反応系硬化剤と有機過酸化物との併用系であることを特徴とする[I]〜[IV]のいずれか1項記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
[VI](E)成分として導電性カーボンを(A)成分100質量部に対し1〜60質量部添加して導電性を付与した[I]〜[V]のいずれか1項記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
[VII]硬化して密度が0.3g/cm3以下の低密度の高発泡シリコーンゴムスポンジを形成する[I]〜[VI]のいずれか1項記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物は、上記(B),(C)成分の発泡剤を用いることによりスポンジのセルの大きさ及び発泡倍率を自由にコントロールすることが可能で、表面架橋性の良好な高発泡シリコーンゴムスポンジをつくることが可能である。また、このスポンジはシアノ系化合物を含まないため毒性が極めて少ない。上記シリコーンゴムスポンジは、建築ガスケット、電子機器パッキン、自動車用ウエザーストリップ等のガスケット類、事務機定着ロール類、プリンター用半導電性ロール類(特にトナー搬送ロール)、家庭用パッキン類、化粧用パフ、衝撃吸収体等の様々な用途で使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(I)
1aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、R1は同一又は異種の非置換又は置換の1価炭化水素基、aは1.95〜2.04の正数である。)
で表されるオルガノポリシロキサンである。
【0015】
平均組成式(I)において、R1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、β−フェニルプロピル基等のアラルキル基、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等から選択される、同一又は異種の好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の1価炭化水素基が挙げられる。また、aは1.95〜2.04の正数であり、このオルガノポリシロキサンは分子鎖末端がトリメチルシリル基、ジメチルビニル基、ジメチルヒドロキシシリル基、トリビニルシリル基等で封鎖されたものとすることができるが、本発明において、このオルガノポリシロキサンは分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有することが必要であり、R1のうち0.001〜5モル%、特に0.01〜0.5モル%がアルケニル基、特にビニル基であることが好ましい。
【0016】
この種のオルガノポリシロキサンは、通常選択されたオルガノハロゲノシランの1種又は2種以上を共加水分解縮合することによって、あるいは環状ポリシロキサン(シロキサンの3量体あるいは4量体等)をアルカリ性又は酸性の触媒を用いて開環重合することによって得ることができるもので、このものは基本的には直鎖状のジオルガノポリシロキサンであるが、一部分岐していてもよい。また、分子構造の異なる2種又はそれ以上の混合物であってもよい。
【0017】
また、このオルガノポリシロキサンのオストワルド粘度計で測定した25℃における動粘度は100mm2/s以上のものが好ましい。より好ましくは100,000〜10,000,000mm2/sである。平均重合度では100以上、特に3,000以上が好ましく、その上限は好ましくは100,000であり、更に好ましくは10,000である。この平均重合度は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定データよりポリスチレン標準試料で作成した検量線を用いて換算することで求められる。
【0018】
本発明では、(B)成分として、熱分解によって(A)成分を増粘あるいは硬化させることのできる特性をもった非シアノ系有機アゾ発泡剤を使用する。
【0019】
この特徴をもった非シアノ系有機アゾ発泡剤は、具体的には発泡剤の分解によってガスを発生させるだけでなく、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子中に存在するメチル基、アルケニル基をラジカル反応によって架橋反応させ、ポリマー粘度を上昇させることができる。
【0020】
従って、本発明のような粘度上昇を示す有機アゾ発泡剤では、スポンジ成型時にゴム内で「硬化剤による(A)成分の増粘(硬化)」と「発泡剤の分解によるガスの発生」がほぼ同時に起こるために、付加架橋の触媒量を調整して反応を制御したり、有機過酸化物の分解温度に縛られることなしに、シリコーンゴムスポンジの硬さや永久歪等の良好な物性を求めて自由に架橋剤の選択ができるようになる。また、スポンジを成型する温度も、同様に発泡剤の分解と同時に架橋する特性から、低温から高温まで非常に幅広い温度範囲において安定したスポンジを成形することができる。これは常圧熱気中で硬化させるスポンジだけでなく、プレス発泡や円筒形の管内発泡等の規制された空間でも安定した発泡体を作製することが可能となる。
【0021】
ここで、一般にアゾ化合物等はビニル化合物のラジカル重合剤として多用されており、オルガノポリシロキサンの分子中のアルケニル基(以下、Si−Viという)に対しても同じような重合剤として機能するはずと思われるが、実際は通常の発泡剤の添加量で粘度を増加させるような強いラジカルを発生させたり、また発泡剤の分解と時を同じにして粘度上昇が起きるような発泡剤はほとんどなく、アゾビスイソブチルニトリルや2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビズ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等でも分解により短時間での粘度上昇は観測できない。
【0022】
これに対し、本発明者らは、非アミノ系有機アゾ発泡剤において、その熱分解によって(A)成分、特にオルガノポリシロキサンを増粘又は硬化させる特性を有するものを見出したものである。この場合、非シアノ系有機アゾ発泡剤は、特に発泡剤(B)成分と(A)成分を混合した混合物粘度が、発泡剤(B)の熱分解温度以上の昇温によって(B)成分が分解し、ラジカルを発生することにより(A)成分が増粘し、(A)成分単独の同条件による粘度より50%以上の粘度上昇を示す有機発泡剤がよく、更に望ましくは100%以上の粘度上昇を持つ有機発泡体が望ましい。更に具体的数字で示すと、(B)成分の非シアノ系有機アゾ系発泡剤が、特に(A)成分100質量部に(B)成分3質量部を加えた後、170℃において熱分解させながら測定したムーニー粘度ML(1+4)が(A)成分単体のムーニー粘度に対して100%以上の粘度上昇のものがよく、更に望ましくは150%以上の粘度上昇であるものが望ましい。
【0023】
上記の特性を満たす非シアノ系有機アゾ発泡剤としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)、2,2’−アゾビス〔N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド〕等が挙げられる。本発明では、特に1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)が好適である。
【0024】
(B)成分の有機発泡剤の添加量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。0.1質量部未満であると発泡が不十分であり、20質量部より多いとポリマー成分の増粘効果が大きくなりすぎ、発泡しにくく不均一となったり、セルが破壊され弾力のないスポンジになったり、綺麗なスキン層も形成されなくなる。
【0025】
本発明においては、(C)成分としてアゾジカルボンアミド(ADCA)系発泡剤及び/又はジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)系発泡剤を主発泡剤として使用する。アゾジカルボンアミドはガス発生量が270ml/g、ジニトロソペンタメチレンテトラミンはガス発生量が260ml/gと共に多く、また分解温度が約200〜210℃と高温である。また上記発泡剤は、発泡剤分解助剤を用いることにより容易に分解温度を120〜170℃程度に下げることが可能であり、分子内にオルガノポリシロキサンの硬化を大きく阻害する硫黄化合物、リン酸塩類等を持たないため、本発明に好適に使用される。
【0026】
(C)成分のアゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミンの添加量は、(A)成分100質量部に対してそれぞれ1〜50質量部、好ましくは2〜30質量部である。発泡剤はアゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミンそれぞれ単独での使用又はアゾジカルボンアミド及びジニトロソペンタメチレンテトラミンの併用が可能である。上記の発泡剤は、アゾジカルボンアミド系発泡剤については分解助剤に尿素系(尿素、尿素含有フィラー)、酸化亜鉛(亜鉛華、導電性酸化亜鉛)、有機亜鉛化合物(ルイス酸をもつ亜鉛化合物、ステアリン酸亜鉛等)を使用すること、またジニトロソペンタメチレンテトラミン系発泡剤については分解助剤に尿素系を使用することにより、発泡分解温度を低下させることが可能である。発泡剤の分解温度は上記分解助剤の添加量により調整可能であり、本発明では、これらの主発泡剤の分解温度を120℃〜170℃に設定することが望ましい。通常発泡助剤の添加量は発泡剤10質量部に対して0.1〜8.0質量部であり、より好ましくは0.5〜5.0質量部である。これら(C)成分発泡剤の添加により、スポンジは高発泡/低密度とすることが可能であり、50質量部より多いと、発泡ガスが多すぎてスポンジが割れたり、分解物のアミン化合物の付加架橋阻害により表面架橋性が低下し、ガス抜けしたりする。なお、本発明においては、発泡剤として炭酸水素ナトリウムは配合しない。
【0027】
本発明において、(D)成分の硬化剤は、(B),(C)成分にて架橋、増粘、発泡した(A)成分を更に補助的に完全硬化させるために使用するものである。
【0028】
硬化剤としては、(A)成分を硬化させ得るものであれば特に限定するわけではないが、一般的にシリコーンゴム組成物の硬化剤として既知の、(1)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金金属系触媒とを用いた付加反応による架橋反応や(2)有機過酸化物加硫剤による架橋方法等が使用できる。
特に本発明では付加反応架橋と有機過酸化物加硫剤の併用が望ましい。
【0029】
(1)の付加反応による架橋反応を用いる場合、(A)成分に用いられるオルガノポリシロキサンとしては、1分子中のケイ素原子に結合した有機基R1のうち少なくとも1個がアルケニル基、特にビニル基であるオルガノポリシロキサンが用いられる。
【0030】
付加反応触媒としては、従来知られたいずれのものでもよく、具体的には白金族の金属単体及びその化合物を用いることができる。例えば、シリカ、アルミナ又はシリカゲルのような担体上に吸着された微粒子状白金金属、塩化第二白金、塩化白金酸、塩化白金酸6水塩とオレフィン又はジビニルジメチルポリシロキサンとの錯体、塩化白金酸6水塩のアルコール溶液、パラジウム触媒、ロジウム触媒等が挙げられる。これら触媒の添加量は触媒量であり、通常、白金系金属量に換算して(A)成分に対して1〜1,000ppmの範囲で使用されるが、好ましくは10〜100ppmの範囲が適当である。1ppmより少ないと架橋反応が十分促進されず、硬化が不十分であり、一方、1,000ppmより多く加えても反応性に対する影響も少なく、また不経済である。
【0031】
付加反応用架橋剤としては、1分子中に2個以上のSiH基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが用いられる。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、環状、分枝状のいずれであってもよく、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化剤として公知なオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができるが、通常、下記平均組成式(II)
4xySiO(4-x-y)/2 (II)
(式中、R4は上記R1と同様の好ましくは炭素数1〜12、特に1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基や、これらのハロゲン置換体、シアノ基置換体等の非置換又は置換1価炭化水素基であるが、好ましくは脂肪酸不飽和結合を含まないものが好ましい。x、yは1≦x≦2.2、0.002≦y≦1で、1.002≦x+y≦3を満たす正数である。)で示されるものを用いることができる。上記SiH基は1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するが、これは分子鎖末端にあっても、途中にあってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、25℃における粘度が300cs以下であることが好ましい。
【0032】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.01〜10質量部配合される。好ましくは、(A)成分中のアルケニル基1個に対し、ケイ素原子に結合した水素原子が0.5〜10個となるような範囲が適当であり、より好ましくは1〜4個となるような範囲が適当である。0.5より少ないと架橋が十分でなく、十分な機械的強度が得られないことがあり、また、10より多いと硬化後の物理特性が低下し、特に耐熱性と圧縮永久ひずみが著しく劣化することがある。更に、このシリコーンゴム組成物には、ポリメチルビニルシロキサン環状化合物、アセチレン基含有アルコール、過酸化物等の公知の白金触媒抑制剤を添加するのが好ましい。
【0033】
(2)の有機過酸化物加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ビス−2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ビス−4−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−2−メチルベンイルパーオキサイド、2,4−メチルベンゾイルパーオキサイド、1,6−ビス(パラ−トルオイルパーオキシカルボニルオキシ)ブタン、1,6−ビス(2,4−ジメチルベンゾイルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、クミル−t−ブチルパーオキサイド、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン等の過酸化物が用いられ、熱空気加硫を行う場合には、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、4−メチルベンゾイルパーオキサイド等のジアシル系有機過酸化物、特開平10−182972号公報に示されるようなハロゲンを有しないアルキル基置換ベンゾイルパーオキサイド等ベンゾイルパーオキサイド、1,6−ビス(パラ−トルオイルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン等が好適に用いられ、これらの有機過酸化物は、1種単独で又は2種以上の混合物として用いることも任意である。
【0034】
上記の有機過酸化物の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.01〜50質量部、好ましくは0.5〜10質量部である。0.01質量部未満であると硬化が不十分であり、50質量部を超えても硬化速度の向上はなく、未反応物や分解残査の除去に長時間が必要となる。
【0035】
また、硬化剤としての有機過酸化物と、付加反応による架橋反応に用いる付加反応用硬化剤と、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの併用、即ち(1)と(2)の架橋反応を併用した架橋反応は、本発明の架橋剤として特に推奨される。付加架橋剤は比較的低温領域でゴムHAV成形時の熱風による表面架橋性の向上に有効であるが、ADCAの分解によるアミン化合物発生が付加架橋阻害物になり、硬化性が低下する。有機過酸化物はこれを補う目的で添加され、非常に弾性に富んだスポンジとなる。
【0036】
このように、本発明のスポンジの発泡メカニズムは(A)成分を増粘させ、スポンジセルの初期生成をコントロールする(B)成分、発泡ガス発生量増加のための(C)成分、完全架橋のための(D)成分と、スポンジを作製するための各添加剤の役割が明確に分離可能なため、特に(C)成分の発泡剤の多量添加により、高発泡、低硬度スポンジ、特にスポンジ密度が0.3g/cm3以下のスポンジを効率よく作製することが容易であり、特にスポンジ密度を0.15g/cm3以下とすることが可能である。また、本発明のスポンジは、スポンジ密度を0.05g/cm3以上とすることが好ましい。なお、本発明において、スポンジ密度はJIS K6249に準じて測定した値である。
【0037】
また、本発明は、(E)導電性カーボンブラックを添加することにより、導電性スポンジとすることもできる。導電性材料としては、その種類、配合量は特に制限されないが、公知の導電性カーボンブラックを使用することが可能である。
【0038】
カーボンブラックとしては、通常導電性ゴム組成物に常用されているものが使用し得、例えばアセチレンブラック、コンダクティブファーネスブラック(CF)、スーパーコンダクティブファーネスブラック(SCF)、エクストラコンダクティブファーネスブラッウ(XCF)、コンダクティブチャンネルブラック(CC)、1500〜3000℃程度の高温で熱処理されたファーネスブラックやチャンネルブラック等を挙げることができる。具体的には、アセチレンブラックとしてはデンカブラック(電気化学社製)、シャウニガンアセチレンブラック(シャウニガンケミカル社製)等が、コンダクティブファーネスブラックとしてはコンチネックスCF(コンチネンタルカーボン社製)、バルカンC(キャボット社製)等が、スーパーコンダクティブファーネスブラックとしてはコンチネックスSCF(コンチネンタルカーボン社製)、パルカンSC(キャボット社製)等が、エクストラコンダクティブファーネスブラックとしては旭HS−500(旭カーボン社製)、パルカンXC−72(キャボット社製)等が、コンダクティブチャンネルブラックとしてはコウラックスL(デグッサ社製)等が例示され、他に急冷工程を含まないオイル燃焼法で製造される(MMM Process法)カーボンブラックENSACO260G、ENSACO250G、ENSACO210G(TIMCAL社製)等が挙げられる。また、ファーネスブラックの一種であるケッチェンブラックEC及びケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェンブラックインターナショナル社製)を用いることもできる。ファーネスブラックは不純物、特に硫黄や硫黄化合物の量が硫黄元素の濃度で6000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下が望ましい。なお、これらのうちでは、アセチレンブラックは不純物含有率が少ない上、発達した2次ストラクチャー構造を有することから導電性に優れており、本発明において特に好適に用いられる。なおまた、その卓越した比表面積から低充填量でも優れた導電性を示すケッチェンブラックEC300JDやケッチェンブラックEC−600JD等も好ましく使用できる。
【0039】
また炭素繊維を炭化して製造されるカーボン繊維も使用でき、その直径は0.1〜10μmであり繊維長さは5〜1,000μmである。更に炭素をアーク又はレーザー等により蒸発させて合成されるカーボンナノチューブも使用できる。カーボンナノチューブは単層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブのいずれでもよいが、その直径は0.5nm〜2.0nmでありチューブ長さは1nm〜1,000nmである。
【0040】
上記導電性カーボンブラックの添加量は、上述した(A)成分100質量部に対して1〜60質量部、特に5〜40質量部とすることが好ましい。添加量が1質量部未満では所望の導電性を得ることができない場合があり、60質量部を超えると、物理的混合が困難になったり、機械的強度が低下したりする可能性があり、目的とするゴム弾性を得られないことがある。
【0041】
また、非黒色導電性スポンジを得たい場合に、カーボンブラックの代わりに、導電性酸化金属系粒子、例えば、導電性亜鉛華、導電性酸化チタン等が使用でき、また導電材料は1種単独でも2種以上を併用してもよい。非黒色の導電性金属酸化物微粒子としては導電性亜鉛華、酸化チタン、スズアンチモン系微粒子等が挙げられ、具体的には導電性酸化亜鉛としてはハクスイテック(株)製の酸化亜鉛23−Kや本庄ケミカル(株)製の導電性亜鉛化FXが、白色導電性酸化チタンとしては、例えばET−500W(石原産業(株)製)を挙げることができる。これらの微粒子は(A)成分100質量部に対して1〜300質量部添加することにより、目的の電気抵抗を得ることができ、またカーボンと併用することも任意である。
【0042】
本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物には、補強性シリカ微粉末が添加されていることが望ましい。補強性シリカ微粉末は、機械的強度の優れたシリコーンゴムスポンジを得るために必要とされるものであるが、この目的のためには比表面積が50m2/g以上、好ましくは100〜400m2/gである。このシリカ微粉末としては煙霧質シリカ(乾式シリカ)、沈殿シリカ(湿式シリカ)が例示され、煙霧質シリカ(乾式シリカ)が好ましい。また、これらの表面をオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等で疎水化処理してもよい。これらのシリカは単独でも2種以上併用してもよい。なお、このシリカ微粉末の添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して5〜100質量部、好ましくは10〜90質量部、特に好ましくは30〜80質量部であることが望ましい。(A)成分100質量部に対し5質量部未満では少なすぎて十分な補強効果が得られず、100質量部より多くすると加工性が悪くなり、また、得られるシリコーンゴムスポンジの物理特性が低下することがある。
【0043】
本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物には、必要に応じて更に粉砕石英、珪藻土等の非補強性シリカ、炭酸カルシウム等の充填剤、着色剤、耐熱向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導向上剤等の添加剤や離型剤、アルコキシシラン、ジフェニルシランジオール、カーボンファンクショナルシラン、両末端シラノール封鎖低分子シロキサン等の分散剤等を添加してもよい。
【0044】
本発明のシリコーンゴムスポンジ組成物は、上記した成分を2本ロール、バンバリーミキサー、ドゥキサー(ニーダー)等のゴム混練り機を用いて均一に混合することにより、得ることができる。
【0045】
このようにして調製されたシリコーンゴムスポンジ組成物は、加熱発泡硬化させることにより、容易にシリコーンゴムスポンジを得ることができる。その硬化発泡方法は、発泡の分解及びシリコーンゴムの加硫に十分な熱をかけられる方法であればよく、またその成形方法も押出成形による連続HAV架橋、カレンダ加工後にバッチ式HAV架橋等の常圧熱気加硫が好適に採用される。この場合、加熱温度は100〜500℃、特に150〜400℃、時間は数秒〜1時間、特に10秒〜30分であることが好ましい。また、必要に応じ発泡剤分解物や低分子シリコーンオイルを除去する目的で、180〜250℃で1〜10時間程度2次加硫してもよい。
【実施例】
【0046】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例で部は質量部を示す。
【0047】
[実施例1]
補強性シリカ微粉末を約30質量%含有する熱硬化性シリコーンゴムコンパウンド(信越化学工業(株)製 商品名KE−551−U:ソリッドゴムの密度1.14)100部に対して、発泡剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)を3部、アゾジカルボンアミドを4.0部、架橋剤として付加架橋剤であるC−25AとC−25B(信越化学工業製)をそれぞれ1.0部、2.0部を配合し、2本ロールを使用し、混練後5mm厚のシートを作製し、これを230℃において15分間加熱した。その後得られたスポンジを200℃/4時間の2次架橋(ポストキュアー)を行い、スポンジの状態、スポンジ硬度(アスカC)、スポンジ密度(g/cm3:JIS K6249)をそれぞれ測定した。
【0048】
[実施例2]
発泡剤をアゾジカルボンアミド4.0部からジニトロソペンタメチレンテトラミン4.0部に変更した以外は実施例1と同様にしてスポンジを成形した。
【0049】
[実施例3]
発泡剤をアゾジカルボンアミド4.0部から尿素を添加して分解温度を150℃に低下させたアゾジカルボンアミド4.0部に変更した以外は実施例1と同様にしてスポンジを成形した。
【0050】
[実施例4]
発泡剤をアゾジカルボンアミド4.0部から有機亜鉛化合物を添加して分解温度を150℃に低下させたアゾジカルボンアミド4.0部に変更した以外は実施例1と同様にしてスポンジを成形した。
【0051】
[実施例5]
架橋剤として、更に2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサンを1.5部添加した以外は実施例3と同様にしてスポンジを成形した。
【0052】
[実施例6]
発泡剤を1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)から、2,2’−アゾビス〔N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド〕へ変更した以外は実施例5と同様にしてスポンジを成形した。
【0053】
[実施例7]
発泡剤を1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)3.0部から0.5部へ減少させた以外は実施例5と同様にしてスポンジを成形した。
【0054】
[実施例8]
発泡剤を1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)3.0部から6.0部へ増量させた以外は実施例5と同様にしてスポンジを成形した。
【0055】
[実施例9]
発泡剤に有機亜鉛化合物を添加して分解温度を150℃に低下させたアゾジカルボンアミドを4.0部から1.0部へ減量させた以外は実施例4と同様にしてスポンジを成形した。
【0056】
[実施例10]
発泡剤を有機亜鉛化合物を添加して分解温度を150℃に低下させたアゾジカルボンアミド4.0部から12.0部へ増量させた以外は実施例4と同様にしてスポンジを成形した。
【0057】
[実施例11]
架橋剤として、付加架橋からビス−4−メチルベンゾイルパーオキサイド0.5部、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサンを1.5部添加へ変更した以外は実施例3と同様にしてスポンジを成形した。
【0058】
[実施例12]
KE−551−U 100部に対してデンカブラック(電気化学社製)17部をバンバリーミキサーにて十分に混練後、更に発泡剤として1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)3部、有機亜鉛化合物を添加して分解温度を150℃に低下させたアソジカルボンアミドを8.0部、架橋剤として付加架橋剤であるC−25AとC−25Bそれぞれ1.0部、2.0部、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサンを1.5部を配合した以外は実施例1と同様にしてスポンジを成形した。
【0059】
[比較例1]
発泡剤を1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)8.0部のみとした以外は実施例1と同様にしてスポンジを成形した。
【0060】
[比較例2]
発泡剤を1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)20.0部のみとした以外は実施例1と同様にしてスポンジを成形した。
【0061】
[比較例3]
発泡剤をアゾジカルボンアミド4.0部のみとした以外は実施例1と同様にしてスポンジを成形した。
【0062】
[比較例4]
発泡剤をジニトロソペンタメチレンテトラミン4.0部のみとした以外は実施例1と同様にしてスポンジを成形した。
【0063】
[比較例5]
架橋剤として、付加架橋剤の白金触媒であるC−25Aを1.0部より2.0部へ増量した以外は比較例3と同様にしてスポンジを成形した。
【0064】
[比較例6]
発泡剤をアゾジカルボンアミド4.0部から尿素を添加して分解温度を150℃に低下させたアソジカルボンアミド4.0部に変更した以外は比較例5と同様にしてスポンジを成形した。
【0065】
[比較例7]
発泡剤をアゾジカルボンアミド4.0部から有機亜鉛化合物を添加して分解温度を150℃に低下させたアソジカルボンアミド4.0部に変更した以外は比較例5と同様にしてスポンジを成形した。
【0066】
[比較例8]
架橋剤として、付加架橋剤C−25A/C−25Bから2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン1.5部及びビス−4−メチルベンゾイルパーオキサイド0.5部とした以外は比較例6と同様にしてスポンジを成形した。
【0067】
[比較例9]
架橋剤として、有機過酸化物架橋剤のビス−4−メチルベンゾイルパーオキサイド0.5部より1.0部へ増量した以外は比較例8と同様にしてスポンジを成形した。
【0068】
[比較例10]
架橋剤として、更に2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサンを1.5部添加した以外は比較例6と同様にしてスポンジを成形した。
【0069】
[比較例11]
発泡剤を有機亜鉛化合物を添加して分解温度を150℃に低下させたアゾジカルボンアミド4.0部から8.0部へ増加させた以外は比較例10と同様にしてスポンジを成形した。
【0070】
[比較例12]
KE−551−U 100部に対してデンカブラック(電気化学社製)17部をバンバリーミキサーにて十分に混練後、更に発泡剤として有機亜鉛化合物を添加して分解温度を150℃に低下させたアゾジカルボンアミドを8.0部、架橋剤として付加架橋剤であるC−25AとC−25Bをそれぞれ1.0部、2.0部、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサンを1.5部配合した以外は実施例1と同様にしてスポンジを成形した。
【0071】
結果を表1〜表4に記する。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
【表4】

【0076】
PO架橋剤A:2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン
PO架橋剤B:ビス−4−メチルベンゾイルパーオキサイド
カーボンA:アセチレンブラック
【0077】
表1〜表4中のスポンジ状態の説明
微細:セルが球状でセル壁も薄い。セル大きさは500μm未満
細い:セルが球状でセル壁も薄い。セル大きさは500〜1000μm
ガス抜け:発泡ガスがぬけておりセルはつぶれ球状ではない。ほぼソリッドの状態。
スポンジ割れ:セルは良好だがスポンジ外観が破裂している状態。
【0078】
実施例、比較例に記載した有機発泡体のムーニー粘度(ML1+4)の上昇について表5に記す。
【0079】
【表5】

【0080】
(ムーニー粘度測定条件) JIS K 6300に準ずる。
・使用機器はTOYOSEIKI RLM−1
・KE−551−U/100質量部+有機発泡剤/3質量部
【0081】
発泡剤A)1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート):分解温度約106℃
発泡剤B)2,2’−アゾビス〔N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド〕:分解温度約69℃
発泡剤C)アゾジカルボンアミド:分解温度約204℃
発泡剤D)ジニトロソペンタメチレンテトラミン系発泡剤:分解温度約205℃
発泡剤E)アゾジカルボンアミド+尿素系分解助剤含有品:分解温度約150℃
発泡剤F)アゾジカルボンアミド+有機亜鉛化合物分解助剤含有品:分解温度約150℃
発泡剤G)アゾビスイソブチルニトリル:分解温度約103℃
尿素系分解助剤:セルトンNP(三協化成株式会社製)
【0082】
[発泡剤の分解温度測定方法]
発泡剤分解温度はガス量自動測定装置(TYPE CT−1)を用いて発泡剤1g/DOP 10ml、2℃/minの条件にて測定した。
【0083】
[スポンジ特性測定法]
スポンジのスポンジ硬さ(アスカC型ゴム硬度計で測定)、スポンジ密度(g/cm3)(JIS K 6249)、及びセル大きさ(5mm角範囲内の平均セル径、有効数字2桁)を測定し、スポンジセルの状態を目視観察した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記平均組成式(I)で表されるオルガノポリシロキサン
1aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、R1は同一又は異種の非置換又は置換の1価炭化水素基、aは1.95〜2.04の正数である。):100質量部、
(B)熱分解によって(A)成分を増粘あるいは硬化させる特性を有する非シアノ系有機アゾ発泡剤:0.1〜20質量部、
(C)アゾジカルボンアミド系発泡剤及び/又はジニトロソペンタメチレンテトラミン系発泡剤:1〜50質量部、
(D)硬化剤
を含有してなり、常圧熱風架橋発泡が可能なシリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項2】
(B)成分の非シアノ系有機アゾ系発泡剤が、(A)成分100質量部に(B)成分3質量部を加えた後、170℃において熱分解させながら測定したムーニー粘度ML(1+4)が(A)成分単体のムーニー粘度に対して100%以上の粘度上昇を示す有機発泡体であることを特徴とする請求項1記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項3】
(B)成分の非シアノ系有機アゾ発泡剤Aが、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−メチルカルボキシレート)であることを特徴とする請求項1又は2記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項4】
(C)成分のアゾジカルボンアミド系発泡剤及びジニトロソペンタメチレンテトラミン系発泡剤の分解助剤として尿素、酸化亜鉛及び有機亜鉛化合物から選ばれる1種又は2種以上を使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項5】
(D)成分の硬化剤が、ヒドロシリル化触媒とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの付加反応系硬化剤単独、有機過酸化物単独、又は付加反応系硬化剤と有機過酸化物との併用系であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項6】
(E)成分として導電性カーボンを(A)成分100質量部に対し1〜60質量部添加して導電性を付与した請求項1〜5のいずれか1項記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。
【請求項7】
硬化して密度が0.3g/cm3以下の低密度の高発泡シリコーンゴムスポンジを形成する請求項1〜6のいずれか1項記載のシリコーンゴムスポンジ組成物。

【公開番号】特開2008−214440(P2008−214440A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51803(P2007−51803)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】