説明

シリコーン含有ポリイソシアヌレート発泡体

本発明は、式 V−(R2p-n([SiR21m(I)[式中、基及び指数は請求項1に記載された意味を有する]のハイパーブランチシロキサン(A)、場合によりポリイソシアネート(B)、並びに三量化触媒(G)を含む、発泡可能な調製物、低密度のシリコーン含有ポリイソシアヌレート発泡体、並びにその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ケイ素化合物ベースの発泡可能な調製物、低密度のシリコーン含有ポリイソシアヌレート発泡体、並びにその製造方法に関する。
【0002】
ポリマー発泡体の燃焼遅延特性を改善させるために数十年来、熱心な研究活動が行われているにも拘わらず、市場において、非常に難燃性のPU発泡体を確立することはこれまで成功していない。
【0003】
難燃性のポリウレタン発泡体を作製するために比較的効果的なバッチとしては、ポリイソシアヌレート化学が際立っている。相応する発泡体の製造においては通常、ポリイソシアネートをイソシアネート基に対して反応性の水素原子を有する化合物、例えばポリプロピレングリコールと反応させるが、この際にイソシアネート指数は少なくとも180である。この際に三量化触媒の存在下で付加的にウレタン構造、及びまたイソシアヌレート構造の形成につながる。こうして得られるポリイソシアヌレート(PIR)発泡体は通常、あらゆるタイプのポリウレタンフォームの中でも難燃性について最良の燃焼特性を有する、セルが閉鎖された硬質発泡体である。
【0004】
ポリイソシアヌレートの硬質フォームの製造の際には一般的に、発泡触媒及びゲル触媒、たいていはアミン、及びまた三量化触媒が触媒として使用される。様々な触媒の混合物から成る触媒システムもまた、従来技術で見られる。これらのPIR硬質発泡体は通常、物理的及び化学的な発泡剤を使用して製造される。物理的な発泡剤は例えば、フルオロクロロ炭化水素(FCKWs)、水素フルオロ炭化水素(HFKWs)、炭化水素、並びに液体二酸化炭素が使用され、その一方で化学的な発泡剤としては、主に水とカルボン酸が使用される。
【0005】
PIR硬質発泡体が既に比較的良好な燃焼特性をもたらしているにも拘わらず、最適な難燃性を得るためには多くの難燃剤を添加しなければならないため、なお大きな改善要求が存在する。このような難燃剤は、生成する発泡体の機械的特性に否定的な作用を与え、加えて毒物学的に常に問題がないわけではない。
【0006】
よって、改善された燃焼遅延特性により特徴付けられ、低い発泡密度で良好な機械的特性を有し、かつ難燃剤を添加せずに使用可能な、硬質発泡体が望ましい。
【0007】
このような難燃性PU発泡体のための方法は、シリコーン−ポリウレタン発泡体とともに歩んできた。この場合、標準的なPU発泡体で使用される燃焼しやすいポリオール成分を、燃焼しにくいOH末端のシロキサンと置き換える。シリコーン−ポリウレタンコポリマー、すなわちポリシロキサン(これらはポリウレタン単位及び/又は尿素単位も含んでいてよい)を使用することにより、新規で、かつその都度の適用に対して正確に調整された特性の組み合わせを有する、難燃性フォームを開発することが可能になる。
【0008】
このために例えば、EP 1485419 B1を指摘することができ、ここにはアルキルアミノ末端又はアルキルヒドロキシ末端のシリコーン油、及びジイソシアネートから出発する、いわゆる「ワンショット法(One-Shot-Verfahren)」でのシリコーン−ポリウレタンフォームの製造が記載されている。さらにDE 102006013416 A1は、アルキルアミノ末端又はアルキルヒドロキシ末端のシリコーン油及びジイソシアネートをベースとし、溶剤に基づく方法で製造されるプレポリマーからの、シリコーン−PU発泡体の製造を記載している。
【0009】
これまで記載されたシリコーン−ポリウレタン発泡体に共通しているのは、線状のシロキサン、又は非常に弱いもののランダムに側鎖中で分岐されたシロキサンをベースとしていることである。この線状のシロキサン鎖が原因となって、発泡の際、上昇相の間、迅速なモル質量構築が起こらず、その結果、上昇相の間に比較的ゆっくりとした粘度増加のみが起こり、このことによりポリマーマトリックスもまた発泡反応の終了後、通常やや流動状になり、このため微細なセル構造が、発泡体の完全な硬化前にさらにますます崩壊し得る。セル構造の僅かな部分のみが壊れた場合以外には、このことは不規則で粗いセル分布につながる。
【0010】
線状ポリオール成分を使用する際にセルの崩壊に対抗するために、上昇相の間に個々の発泡体セル間の補強材が臨界直径を下回らないようにしてもよい。すると、なお流動的なポリマーマトリックスが、発泡構造の崩壊に抵抗することができると認められる。しかしながら所望の発泡密度を低く選択しすぎると、セル補強材が上昇相の間にますます薄くなり、セル構造を安定化させるためには最終的に柔らかくなりすぎてしまう。これに相応して、線状シロキサンによって一般的には、密度が明らかに100kg/m3超のシリコーン−PU発泡体のみが得られる。
【0011】
ハイパーブランチポリマーは既に公知であり、例えば概観的な論文としてはC.Gao, D.Yan; Prog. Polym. Sci., 2004, 24, 183〜275で、合成、特性及び適用について詳細に論じられている。ハイパーブランチポリマーはデンドリマー状の巨大分子であり、この巨大分子は、線状の主鎖に主に一次分枝又は二次分枝を有する通常の分枝ポリマーよりも著しい分枝度を有する。ハイパーブランチポリマーの合成のために、今まではダイバージェント合成法が使用され、その際、モノマーは、互いに反応するが自身とは反応しない、厳密に2種の異なる種類の官能基を有し、その際、前記モノマーの官能価は全体で2より大きい。例えば、適当なモノマーは、1つの官能基Aと2つの官能基Bとを有するモノマー、つまりAB2−モノマーである。原則として、x>1のABxの全てのモノマーを使用することができる。しかしながら、単分子重合においてABx−モノマーの使用が可能になるのは、A基とB基とが初めて互いに反応する場合(これがポリマー合成において望ましい場合)、つまり触媒の添加後、又は温度上昇による場合のみである。従ってこのために代替的には、それぞれただ1種類の官能基を有するが、官能基の数において異なる2つの異なる種類のモノマー、例えばA3構造及びB2構造を用いて、ハイパーブランチポリマーの合成を行うことができる。これら2つのA3型及びB2型の反応により、その場で(in situ)A2B及びAB2モノマーブロックが得られる(二分子重合:ただし一般的には、Ax及びByは、x>1、かつy>2である)。このような方法は一般に公知であり、例えばUS-B 6,534,600に記載されている。
【0012】
本発明の対象は、
(A)式
【化1】

のハイパーブランチシロキサン、
場合により(B)ポリイソシアネート、
並びに(G)三量化触媒
を含む、発泡可能な調製物であって、
前記式中、
Vはp価の基を表し、
Rは同一であるか又は異なっていてよく、かつ場合により置換された一価の炭化水素基を表し、
1は同一であるか又は異なっていてよく、かつ少なくとも1つのイソシアネート基を有する一価の有機基であるか、又はイソシアネート基に対して反応性の基を表し、
2は同一であるか又は異なっていてよく、かつ一価の基であり、
lは1より大きい整数、又は1を表し、好ましくは1〜1000、特に好ましくは5〜500、とりわけ10〜100を表し、
pは3より大きい整数、又は3を表し、好ましくは3〜20、特に好ましくは3〜4を表し、かつ
mは3より大きい整数、又は3を表し、好ましくは3〜20、特に好ましくは3〜4を表し、
ただし、pはmより大きいか、又はmと等しく、かつ発泡可能な調製物中に少なくとも3つのイソシアネート基が存在している、
前記発泡可能な調製物である。
【0013】
基Rの例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基;アルケニル基、例えばビニル基及びアリル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基、アリール基、例えばフェニル基及びナフチル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基;アラルキル基、例えばベンジル基、α−フェニルエチル基及びβ−フェニルエチル基である。
【0014】
置換された炭化水素基Rの例は、メトキシメチレン基、エトキシメチレン基、ジメチルアミノメチレン及びジエチルアミノメチレンである。
【0015】
基Rは好ましくは、場合により置換された一価の、1〜40個の炭素原子を有する炭化水素基、特に好ましくは炭素原子1〜30個を有する炭化水素基、とりわけ1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0016】
好ましくは基R1は、式
【化2】

又は
【化3】

[式中、
Y及びZは相互に独立して、ヘテロ原子によって中断されていてもよい、場合により置換された二価の炭化水素基を表し、
Aは−S−、−O−、又は−NR3−を表し(ここでR3は水素原子であるか、又は場合により置換された一価の炭化水素基である)、かつ
aは0又は1である]
の基である。
【0017】
好ましくは基R1は、式(II)の基である。
【0018】
シロキサン(A)中の基R1が完全に式(II)の基である場合、本発明による発泡可能な調製物は、ポリイソシアネート(B)を含まなければならない。
【0019】
シロキサン(A)中の基R1が完全に、又は一部式(III)の基である場合、本発明による発泡可能な調製物は、ポリイソシアネート(B)を含むことができ、含むのが好ましい。
【0020】
3の例は、水素原子、及び基Rについて挙げた例である。
【0021】
基R3は好ましくは、水素原子である。
【0022】
基Aは好ましくは、−O−である。
【0023】
基Y及びZのための例は、その都度相互に独立して、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキサメチレン基、メチルオキシエチレン基、トルオリレン(Toluolylen)基、メチレン−ビス−フェニレン基、フェニレン基、ナフチレン基、シクロヘキシレン基、及びイソホロン基である。
【0024】
Yは好ましくは、二価の、脂肪族の、場合により−NCOで置換された炭化水素基(ヘテロ原子によって中断されていてよい)、特に好ましくはプロピレン基及びメチルオキシエチレン基、とりわけメチルオキシエチレン基である。
【0025】
Zは好ましくは、二価の、芳香族の、場合により−NCOで置換された炭化水素基(ヘテロ原子によって中断されていてよい)、特に好ましくはトルオリレン基及びメチレン−ビス−フェニレン基、とりわけメチレン−ビス−フェニレン基である。
【0026】
特に好ましくは、式(II)中でも、また式(III)中でも、aは1である。
【0027】
基R2の例は、水素原子、オルガニルオキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、及びフェノキシ基、場合により置換された炭化水素基、例えば基Rのところで挙げた例のもの、オルガニルオキシメチレン基、モルホリノメチレン基、ピペラジノメチレン基、アクリルアミドメチレン基、ジメチルアミノメチレン基、ジエチルアミノメチレン基、ジブチルアミノメチレン基、フェノキシメチレン基、及びメチルメルカプトメチレン基、並びにシロキサニル基であり、これらは酸素を介して、またケイ素を介してVに結合されていてよい。
【0028】
基R2は好ましくは、オルガニルオキシメチレン基、特に好ましくはメトキシメチレン基である。
【0029】
基Vの例は、任意の、従来公知の多価基、例えば多価有機基、多価シリル基、及びホウ酸基である。
【0030】
基Vは好ましくは、多価有機基又は多価シリル基であり、特に好ましくは多価有機基である。
【0031】
基Vが多価シリル基である場合、SiO3/2、及びSiO4/2が好ましい。
【0032】
基Vが多価有機基である場合、場合により窒素基及び/又は酸素基で置換された多価の炭化水素基が好ましく、式
【化4】

[式中、
Wは、ヘテロ原子を有していてよいp価の炭化水素基を表し、
4は同一であるか又は異なっていてよく、かつ場合により置換された二価の炭化水素基を表し、
5は同一であるか又は異なっていてよく、かつ場合により置換された炭化水素基、−O−、又は−NR3'−を表し(ここでNR3'は先にR3で挙げた意味のうちのいずれか1つを表す)、
6は同一であるか又は異なっていてよく、かつ場合により置換された炭化水素基、−O−、又は−NR3''−を表し(ここでNR3''は、先にR3で挙げた意味のうちのいずれか1つを表す)、
7は同一であるか又は異なっていてよく、かつ場合により置換された二価の炭化水素基を表し、
cは0又は1であり、
かつ
p及びmは前述の意味と同じ意味を表し、ただしpはmより大きいか、又はmと等しい]
のものが特に好ましい。
【0033】
Wは好ましくは、三価の、脂肪族又は芳香族の、場合によりヘテロ原子を含む炭化水素基、特に好ましくは芳香族の、場合によりヘテロ原子を含む炭化水素基である。
【0034】
基Wの例は、1,3,4−ベンゾール基、1,3,5−シアヌレート基、及びN,N,N’−ビウレット基である。
【0035】
基R4及びR7の例は、その都度相互に独立して、Y及びZに対して記載した基である。
【0036】
4は好ましくは、二価の、場合により置換された、1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特に好ましくはフェニレン基、トリレン基、及びヘキサメチレン基、とりわけフェニレン基である。
【0037】
基R5は好ましくは、−NH−である。
【0038】
基R6は好ましくは、−O−である。
【0039】
c=1の場合には基([SiR2O]l−SiR21)並びに場合により式(I)に記載のR2と連結しているR7は好ましくは、二価の、脂肪族の、場合により置換された、1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特に好ましくはプロピレン基及びメチルオキシエチレン基、とりわけメチルオキシエチレン基である。cが0の場合、これらの基はR6に直接連結している。
【0040】
特に好ましくは、cが1である。
【0041】
本発明により使用されるハイパーブランチシロキサン(A)は、イソシアネート含分が好ましくは0〜25質量%、特に好ましくは0〜15質量%である。
【0042】
本発明により使用されるハイパーブランチシロキサン(A)は、その都度25℃でASTM D 4283に従って測定される粘度が、好ましくは100〜10000mPas、特に好ましくは500〜5000mPasである。
【0043】
本発明によるハイパーブランチシロキサン(A)は、ケイ素化学で慣用の方法に従って製造することができる。
【0044】
本発明の好ましい態様では、本発明により使用される式(I)のハイパーブランチシロキサン(A)(ただし、Vは有機基)を、線状の、α−,ω−アミノアルキル官能化され、α−,ω−ヒドロキシアルキル官能化されたシロキサン、又はα−,ω−ヒドロキシ官能化されたシロキサン(A1)と、ポリイソシアネートと反応させることにより製造する。このことにより、基R1が式(II)であるハイパーブランチシロキサン(A)が得られる。基R1が式(III)であるハイパーブランチシロキサン(A)を得ようとする場合、その後さらなる反応工程において基R1が式(II)であるハイパーブランチシロキサンを、さらなるポリイソシアネートと反応させ、この際に前記ポリイソシアネートは過剰量で使用され、その結果、基R1が式(II)であるハイパーブランチシロキサンのアミノアルキル基若しくはヒドロキシアルキル官能基1molあたり少なくとも1mol、とりわけ2〜20molのイソシアネート単位が使用される。イソシアネートのモル過剰量は、好適には三量化反応のための発泡形成の際に消費されてイソシアヌレートになる。
【0045】
本発明のさらなる好ましい態様では、本発明により使用される式(I)のハイパーブランチシロキサン(A)(ただし、Vはシリル基)が二段階の方法で得られ、この際にまず線状のα,ω−ヒドロキシ末端のシロキサン(A2)を、(A2)に対して反応性のシラン、例えばトリメトキシメチルシランと、シロキサン(A2)に対して僅少量で反応させる。このことにより、基R1が式(II)であるハイパーブランチシロキサン(A3)が得られる。基R1が式(III)であるハイパーブランチシロキサン(A)を得ようとする場合、その後さらなる反応工程において基R1が式(II)であるハイパーブランチシロキサンを、さらなるポリイソシアネートと反応させ、この際に前記ポリイソシアネートは過剰量で使用され、その結果、基R1が式(II)であるハイパーブランチシロキサンのアミノアルキル基若しくはヒドロキシアルキル官能基1molあたり少なくとも1mol、とりわけ2〜20molのイソシアネート単位が使用される。イソシアネートのモル過剰量は、好適には三量化反応のための発泡形成の際に消費されてイソシアヌレートになる。
【0046】
ハイパーブランチシロキサン(A3)は場合により、ポリイソシアネートとの反応前に官能化することができる。この際に官能化は好ましくは、式
【化5】

のシラサイクル(Sila-Cyclen)を用いて行う。
【0047】
場合により使用されるポリイソシアネート(B)としては、2つ又はそれより多いイソシアネート基を有するあらゆる公知の有機化合物を使用することができる。これは、脂肪族又は芳香族のイソシアネートであり得る。
【0048】
ポリイソシアネート(B)として好ましくは、一般式
【化6】

[式中、
Qはb官能性の、場合により置換された炭化水素基であり、かつ
bは整数であり、少なくとも2、好ましくは2〜10、特に好ましくは2又は6、とりわけ2〜5である]
のものを使用する。
【0049】
Qは好適には、場合により置換された、4〜30個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特に好ましくは6〜25個の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0050】
ポリイソシアネート(B)のための例は、ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)(未精製の、又は工業的なMDIの形で、また純粋な4,4’−若しくは2,4’−異性体の形でも)、又はこれらの調製物、様々なレジオ異性体(Regioisomeren)の形でのトリレンジイソシアネート(TDI)、ジイソシアナトナフタリン(NDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、又はヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ポリマー性MDI(p−MDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、又は上記イソシアネートのビウレット三量体若しくはイソシアヌレート三量体である。
【0051】
本発明により使用されるポリイソシアネート(B)は好ましくは、式
【化7】

[式中、nは0〜8である]
のポリマー性MDIである。ポリマー性MDIは例えば、ジフェニルメタンジイソシアネートの製造の際に得られ、一般的には二官能性のMDIと、官能性が比較的高い様々な高分子性MDIオリゴマーとから成る混合物である。
【0052】
ポリイソシアネート(B)は、シロキサン(A)の製造の際に使用することができるものと同じであってよく、とりわけ二段階の製造方法である場合にはそうである。この際、所望であれば、式(I)のシロキサン(A)(R1が式(III)のもの)の製造の際にポリイソシアネートを同様に過剰量で使用し、そうして得られる混合物を有利には本発明による調整物の製造のために同様にさらに加工することができる。
【0053】
本発明による調製物がポリイソシアネート(B)を含む場合、その量はハイパーブランチシロキサン(A)100質量部に対してその都度、好ましくは0.1〜150質量部、特に好ましくは10〜120質量部、とりわけ20〜100質量部である。
【0054】
本発明による調製物は、好ましくはポリイソシアネート(B)を含む。
【0055】
シロキサン(A)、三量化触媒(G)、並びに場合によりポリイソシアネート(B)に加えて、本発明による調製物はさらなる物質を含むことができ、その例は例えば充填材(C)、乳化剤(D)、物理的な発泡剤(E)、発泡形成を促進させる触媒(F)、化学的な発泡剤(H)、及び添加剤(I)である。
【0056】
充填材(C)を使用する場合、これは総体的には強化作用のない充填材、つまりBET表面積が最大50m2/gの充填材、例えば白亜、又は強化作用のある充填材、つまりBET表面積が少なくとも50m2/gの充填材、例えばカーボンブラック、沈降ケイ酸、又は焼成ケイ酸であってよい。この際に、とりわけ疎水性のケイ酸も、また親水性のケイ酸も、好ましい充填材である。本発明の特に好ましい態様では、表面がトリメチルシリル基で変性されている疎水性の焼成ケイ酸を使用する。この際、使用される充填材(C)は(とりわけ焼成ケイ酸の場合には)、様々な機能を担うことが出来る。このため充填材(C)は、発泡可能な混合物の粘度を調整するために使用することができる。しかしながらとりわけまた、充填材(C)は発泡の間に「支持機能」を担うことができ、よってより良好な発泡構造を有する発泡体につながり得る。最終的にはまた、生成する発泡体の機械的特性も、充填材(C)の使用により(とりわけ焼成ケイ酸の使用により)、決定的に改善することができる。充填材(C)としてはさらにまた、離層性黒鉛(Aufblaetterungsgraphit)を添加することができる。
【0057】
本発明による調製物が充填材(C)を含む場合、その量はシロキサン(A)100質量部に対してその都度、好ましくは0.1〜30質量部、特に好ましくは0.1〜20質量部、とりわけ0.1〜15質量部である。
【0058】
本発明による調製物は、好ましくは充填材(C)を含む。
【0059】
多くの場合、発泡可能な調製物に乳化剤(D)を添加することが有利である。発泡安定剤としても用いられる適切な乳化剤(D)としては例えば、ポリエーテル側鎖により変性された、市販のあらゆるシリコーンオリゴマーを使用することができ、これらはまた従来のポリウレタン発泡体の製造に使用可能なものでもある。
【0060】
乳化剤(D)を使用する場合、その量は発泡可能な調製物の全質量に対してその都度、好ましくは最大6質量%、特に好ましくは0.3〜3質量%である。
【0061】
本発明による調製物は、好ましくは乳化剤(D)を含まない。
【0062】
調製物はまた、物理的な発泡剤として役立ち得る化合物(E)を含むこともできる。成分(E)として好ましくは、低分子量の炭化水素、例えばn−プロパン、n−ブタン、n−ペンタン若しくはシクロペンタン、ジメチルエーテル、フッ化炭化水素、例えば1,1−ジフルオロエタン、若しくは1,1,1,2−テトラフルオロエタン、又はCO2を使用する。この際に発泡製造は、場合により完全に物理的な発泡剤(E)によって行うことができる。とは言え発泡形成はたいてい、本発明による調製物中のイソシアネート官能性成分と、化学的な発泡剤としての成分(H)との付加的な反応により行われる。これによって必要となる物理的な発泡剤(E)の量を減らすことができ、より密度の低い発泡体が得られる。
【0063】
成分(E)は特に好ましくは、低分子量の炭化水素、とりわけnーペンタンである。
【0064】
本発明による調製物が成分(E)を含む場合、その量はシロキサン(A)100質量部に対してその都度、好ましくは0.1〜30質量部、特に好ましくは0.1〜20質量部、とりわけ0.1〜15質量部である。
【0065】
本発明による調製物は、好ましくは物理的な発泡剤(E)を含む。
【0066】
本発明により発泡可能な調製物はさらに、化学的な発泡剤(H)による発泡形成を促進させるさらなる触媒(F)を含むことができる。触媒(F)としてはとりわけ、有機スズ化合物が適している。その例は、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、又はジブチルスズ−ビス−(ドデシルメルカプチド)である。加えてまた、スズ不含の触媒(F)、例えば重金属化合物、又はアミンも考慮される。スズ不含の触媒の例としては、鉄(III)−アセチルアセトネート、亜鉛(II)−オクトエート、ジルコニウム(IV)−アセチルアセトネート、ビスマス(III)−ネオデカノエートが挙げられる。アミンの例は、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、N,N−ビス−(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)−メチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、ビス−N,N,−ジメチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチル−2−アミノエタノール、N,N−ジメチルアミノピリジン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチル−ジエチレン−トリアミン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカー7−エン、N−エチルモルホリン、又はN,N’−ジメチルアミノピリジンである。
【0067】
触媒(F)は好ましくはアミンであり、特に好ましくはN,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチル−ジエチレン−トリアミンである。
【0068】
触媒(F)は個々に、又は混合物として使用することができる。場合により、シロキサン(A)の製造の際に使用される触媒が、同時にまた触媒(F)として発泡形成に役立つことがある。
【0069】
触媒(F)を使用する場合、その量は本発明による発泡可能な調製物の全質量に対してその都度、好ましくは0.1〜6.0質量%、特に好ましくは0.3〜4.0質量%である。
【0070】
化学的な発泡剤(H)を使用する場合、本発明による調製物は触媒(F)を含むのが好ましい。
【0071】
本発明による発泡可能な調製物は、イソシアネート基のイソシアヌレート基への三量化を開始させ、かつ促進させる、三量化触媒(G)を含む。
【0072】
三量化触媒(G)の例は、アンモニウム、カルボン酸塩のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、例えばギ酸カリウム、酢酸カリウム、カリウム(2−エチルヘキサノエート)、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、アンモニウム(2−エチルヘキサノエート)、[1−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)プロパン−2−オール]ホルミエート、及び[1−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)プロパン−2−オール](2−エチルヘキサノエート)である。
【0073】
触媒(G)として好適には、カルボン酸の塩、特に好ましくは1〜20個の炭素原子を有するカルボン酸の塩を使用する。この際にこれは、線状又は分枝状の、置換された又は置換されていない、飽和又は不飽和の、脂肪族又は芳香族のカルボン酸であってよい。
【0074】
三量化触媒(G)がカルボン酸塩の場合、カルボン酸のカリウム塩が好ましく、とりわけカリウム(2−エチルヘキサノエート)が好ましい。
【0075】
触媒(G)は個々に、又は混合物として使用することができる。触媒(G)は場合により、1つの又は複数の触媒(F)との混合物で使用することができる。
【0076】
触媒(G)は、本発明による発泡可能な調製物の全質量に対してその都度、0.1〜10.0質量%、特に好ましくは0.3〜6.0質量%の量で使用する。
【0077】
化学的な発泡剤(H)としては原則的に、水、及びまた好ましくは少なくとも1つのイソシアネート反応性官能基を有するあらゆる化合物が役立ち得る。
【0078】
成分(H)の例は、成分(A)とは異なるアミノアルキル官能性又はヒドロキシ官能性のシロキサン、モノマー性アルコール、モノマー性ジオール、例えばグリコール、プロパンジオールとブタンジオール、モノマー性オリゴオール、例えばペンタエリトリット若しくはトリヒドロキシメチルエタン、1つ、2つ、又はそれより多いヒドロキシ基を有するオリゴマー性若しくはポリマー性アルコール、例えばエチレングリコール若しくはプロピレングリコール、水、1つ、2つ、又はそれより多いアミン官能基を有するモノマー性アミン、例えばエチレンジアミンとヘキサメチレンジアミン、並びにまた1つ、2つ、又はそれより多いアミン官能基を有するオリゴマー性又はポリマー性のアミンである。
【0079】
成分(H)を使用する場合、好ましいのはヒドロキシ化合物であり、この際に水が特に好ましい。
【0080】
成分(H)が水の場合、これはあらゆる種類の水、例えば天然水、及び化学用の水であってよく、この際に水(H)は液状であるか、又は気体状であってよく、これには空気中の水分も含まれる。
【0081】
成分(H)を使用する場合、その量はシロキサン(A)100質量部に対してその都度、好ましくは0.1〜20質量部、特に好ましくは0.1〜15質量部、とりわけ0.1〜10質量部である。
【0082】
本発明による調製物は好適には、成分(H)を含む。
【0083】
添加剤(I)としてはさらに、発泡可能な調製物で従来使用されているすべての添加剤を使用することができる。添加剤(I)の例は、セル制御剤(Zellregulantien)、チキソトロピー剤、可塑剤、及び着色剤である。難燃性を改善させるため、発泡可能な調製物にさらに難燃剤を添加することができ、その例は例えばリン含有化合物、とりわけホスフェートとホスホネート、並びにまたハロゲン化されたポリエステルとポリオール、又はクロロパラフィンである。
【0084】
添加剤(I)を使用する場合、その量はシロキサン(A)100質量部に対してその都度、好ましくは0.1〜30質量部、特に好ましくは0.1〜20質量部、とりわけ0.1〜15質量部である。
【0085】
本発明による調製物は、好ましくは添加剤(I)を含む。
【0086】
本発明により使用される成分はそれぞれ、前記成分の1種類の成分、並びにそれぞれの成分の少なくとも2種類の成分の混合物であってよい。
【0087】
好ましくは本発明による調製物は、
(A)式(I)に記載のシロキサン、
場合により(B)ポリイソシアネート、
場合により(C)充填剤、
場合により(D)乳化剤、
場合により(E)物理的な発泡剤、
場合により(F)発泡形成を促進させる触媒、
(G)三量化触媒、
場合により(H)化学的な発泡剤、及び
場合により(I)添加剤
を含み、この際、本発明による調製物は少なくとも3つのイソシアネート基を有し、かつ成分(E)及び(H)から選択される少なくとも1つの発泡剤を含み、好ましくは少なくとも(E)を、とりわけ(H)との組み合わせで(E)を含む。
【0088】
本発明による調製物は、成分(A)〜(I)の他に、更なる成分を含まないのが好ましい。
【0089】
本発明による調製物は、任意の、及びそれ自体公知の方法、例えば各成分の単純な混合によって製造することができ、この際に各成分の予備混合物を製造することができる。この際に1成分系も、また2成分系も製造することができる。
【0090】
本発明による調製物を2成分系の形で用意する場合(これが好ましい)、本発明による発泡可能な調製物の両方の成分は、任意の組合せ及び量比ですべての成分を含むことができるが、ただし、1つの成分はイソシアネート官能性成分と三量化触媒(G)、並びに化学的な発泡剤(H)を同時には含まない。
【0091】
よって例えば、本発明による調製物を製造するために好ましくは、成分(A)、場合により成分(B)、場合により成分(C)、場合により成分(D)、場合により成分(E)、及び場合により成分(I)を成分1として作製し、また成分(G)、場合により成分(F)、及び場合により成分(H)を含む成分2を作製し、それから本発明による発泡体を製造するために、これらを相互に混合する。
【0092】
しかしながらまた、本発明による調製物を製造するために、すべての成分を1つの工程で相互に混合することもできるが、このことは技術的に実現しがたいものであり、よって好ましくはない。
【0093】
本発明による調製物は好ましくは液状〜粘稠であり、その粘度は、その都度25℃でASTM D 4283に従って測定して、好ましくは100〜10000mPas、特に好ましくは500〜5000mPasである。
【0094】
本発明による調製物は、好ましくは発泡体の製造、特に好ましくは硬質発泡体の製造に役立つ。
【0095】
本発明のさらなる対象は、シリコーン含有ポリイソシアヌレート発泡体の製造方法であって、ハイパーブランチシロキサン(A)、場合によりポリイソシアネート(B)、及び三量化触媒(G)、並びに少なくとも1つの発泡剤を混合し、反応させることを特徴とする。
【0096】
本発明による方法の好ましい実施態様では、ハイパーブランチシロキサン(A)、ポリイソシアネート(B)、及び三量化触媒(G)、並びに少なくとも1つの発泡剤を混合し、反応させる。
【0097】
本発明による方法の特に好ましい実施態様では、ハイパーブランチシロキサン(A)、ポリイソシアネート(B)、物理的な発泡剤(E)、触媒(F)、三量化触媒(G)、及び化学的な発泡剤(H)を混合し、反応させる。
【0098】
本発明による方法の極めて特に好ましい実施態様では、まずハイパーブランチシロキサン(A)、ポリイソシアネート(B)、物理的な発泡剤(E)、場合により充填材(C)、並びに場合により添加剤(I)を予備混合し、そして引き続き触媒(F)、三量化触媒(G)、及び化学的な発泡剤(H)から成る混合物と混合し、反応させる。
【0099】
本発明による方法は、好ましくは0〜100℃、特に好ましくは10〜40℃、とりわけ15〜30℃の開始温度で行う。反応の際に生じる熱は、好ましくは系内に留まり、発泡形成に貢献する。本発明による方法では、反応温度は好ましくは最大50〜150℃に達する。
【0100】
本発明による方法は好ましくは、周辺雰囲気の圧力、つまり約900〜1100hPaで行う。
【0101】
本発明による方法では好ましくは、気体状の成分、例えばCO2及び気体状のペンタンが放出され、これらは本発明による発泡構造の構築を大きく担うものである。
【0102】
本発明のさらなる対象は、ハイパーブランチシロキサン(A)、場合によりポリイソシアネート(B)、及び三量化触媒(G)と、少なくとも1つの発泡剤との反応により製造可能な発泡体である。
【0103】
本発明による発泡体は付加的に、ウレタン構造も、イソシアヌレート構造も有する。
【0104】
本発明による発泡体は、微細な、セルが閉鎖された発泡構造により特徴付けられ、優れた機械的特性を有し、かつ形態安定性であり、かつ可撓性ではない。
【0105】
本発明による発泡体は、その都度25℃、1013hPaで測定される密度が、好ましくは10〜500kg/m3、特に好ましくは15〜300kg/m3、とりわけ20〜200kg/m3である。
【0106】
本発明による発泡体は、セルが閉鎖された形でも、またセルが開放された形でも得ることができる。
【0107】
本発明による発泡体は、これまでポリイソシアヌレート発泡体が使用されていた至るところで使用可能である。本発明による発泡体はとりわけ、断熱及び防音のために適している。
【0108】
本発明による発泡可能な調製物は、非常に容易なやり方で、かつこれまでPU工業から公知の手法で加工できるという利点を有する。
【0109】
本発明による調製物はさらに、市販で容易に手に入る出発原料を用いて製造できるという利点を有する。
【0110】
本発明による調製物はさらに、容易に加工可能であり、かつ低粘度で製造できるという利点を有する。
【0111】
本発明による調製物は、低密度のシリコーン−ポリイソシアヌレート硬質発泡体を製造できるという利点を有する。
【0112】
ポリイソシアヌレート発泡体を製造するための本発明による方法は、実施が容易であるという利点を有する。
【0113】
本発明による発泡体はさらに、硬く、かつ極めて発火しづらいという利点を有する。
【0114】
本発明による発泡体はさらに、機械的な強度が高く、とりわけ低い発泡密度と組み合わされて機械的な強度が高い、という利点を有する。
【0115】
以下に記載される実施例では、部及びパーセンテージで示される全ての記載は、別記しない限り、質量に対するものである。他に記載がない限り、以下の実施例は、周囲大気の圧力で、つまり約1000hPaで、かつ室温で、つまり約20℃で、もしくは反応物を室温で付加的に加熱又は冷却をせずに合わせる場合に生ずる温度で実施される。例に挙げられた全ての粘度の記載は、25℃の温度を基準とするものである。
【0116】
実施例では、以下の原料を使用した:
pMDI:官能性が2.9のポリマー性MDI(Lupranat(登録商標)M70Rという名称で、ドイツ国、Ludwigshafen在、BASF SEから購入できる);
シリコーン乳化剤:ポリジメチルシロキサン−ポリエチレンオキシド−コポリマー(DABCO(登録商標)5598という名称で、ドイツ国、Hamburg在、Air Products GmbHから購入できる);
アミン触媒:N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチル−ジエチレン−トリアミン;
三量化触媒:カリウム(2−エチルヘキサノエート)、ジエチレングリコール中で75質量%のもの。
【0117】
実施例1
式HO−(CH22−O−(CH2)−[Si(CH32−O]14Si(CH32−(CH)2−O−(CH22−OHの線状のオルガノポリシロキサン600.00g、及びpMDI63.0gを、不活性ガス雰囲気下、純アセトン1000ml中で反応させた。この反応は、スズ(II)−(2−エチルヘキサノエート)20mgを用いて触媒し、1時間50℃で撹拌した。反応の終了後、この反応混合物をベンゾイルクロリド20mgと混合し、そして10mbarの圧力下で溶剤を除去した。黄色い、粘稠なハイパーブランチシロキサン663gが、純物質として得られた。
【0118】
得られたハイパーブランチシロキサン66.3gをまず、pMDI33.7g、及びシリコーン乳化剤1.20g、及びn−ペンタン12.0gと一緒に、高速で稼働するKPG撹拌機で加工して均質なエマルションにした。引き続き、水0.20g、アミン触媒0.20g、及び三量化触媒1.40gから成る混合物を素早く添加し、再び高速で稼働するKPG撹拌機で乳化させて均質な混合物にした。約10秒後、泡の発生とともに発熱性反応が始まった。発泡形成はさらに約90秒後、終了した。密度が70kg/m3の、黄色くて硬い硬質発泡体が生成した。
【0119】
実施例2
実施例1から得られたハイパーブランチシロキサン66.3gをまず、pMDI33.7g、及びn−ペンタン12.0gと一緒に、高速で稼働するKPG撹拌機で加工して均質なエマルションにした。引き続き、水0.20g、アミン触媒0.20g、及び三量化触媒1.40gから成る混合物を素早く添加し、再び高速で稼働するKPG撹拌機で乳化させて均質な混合物にした。約10秒後、泡の発生とともに発熱性反応が始まった。発泡形成はさらに約90秒後、終了した。密度が70kg/m3の、黄色くて硬い硬質発泡体が生成した。
【0120】
実施例3
実施例1から得られたハイパーブランチシロキサン66.3gをまず、pMDI33.7g、及びn−ペンタン14.0gと一緒に、高速で稼働するKPG撹拌機で加工して均質なエマルションにした。引き続き、水0.20g、アミン触媒0.20g、及び三量化触媒1.40gから成る混合物を素早く添加し、再び高速で稼働するKPG撹拌機で乳化させて均質な混合物にした。約10秒後、泡の発生とともに発熱性反応が始まった。発泡形成はさらに約90秒後、終了した。密度が60kg/m3の、黄色くて硬い硬質発泡体が生成した。
【0121】
実施例4
実施例1から得られたハイパーブランチシロキサン66.3gをまず、pMDI33.7g、及びn−ペンタン12.0gと一緒に、高速で稼働するKPG撹拌機で加工して均質なエマルションにした。引き続き、水0.20g、アミン触媒0.20g、及び三量化触媒2.80gから成る混合物を素早く添加し、再び高速で稼働するKPG撹拌機で乳化させて均質な混合物にした。約10秒後、泡の発生とともに発熱性反応が始まった。発泡形成はさらに約90秒後、終了した。密度が60kg/m3の、黄色くて硬い硬質発泡体が生成した。
【0122】
実施例5
実施例1から得られたハイパーブランチシロキサン66.3gをまず、pMDI53.7g、及びシリコーン乳化剤1.20g、及びn−ペンタン12.0gと一緒に、高速で稼働するKPG撹拌機で加工して均質なエマルションにした。引き続き、水0.20g、アミン触媒0.20g、及び三量化触媒1.40gから成る混合物を素早く添加し、再び高速で稼働するKPG撹拌機で乳化させて均質な混合物にした。約10秒後、泡の発生とともに発熱性反応が始まった。発泡形成はさらに約90秒後、終了した。密度が50kg/m3の、黄色くて硬い硬質発泡体が生成した。
【0123】
実施例6
式HO−(CH22−O−(CH2)−[Si(CH32−O]14Si(CH32−(CH)2−O−(CH22−OHの線状のオルガノポリシロキサン90.00g、及びpMDI60.00gを、不活性ガス雰囲気下(アルゴン又は窒素)、純アセトン200ml中で反応させた。この反応は、スズ(II)−(2−エチルヘキサノエート)30mgを用いて触媒し、1時間50℃で撹拌した。反応の終了後、この反応混合物をベンゾイルクロリド30mgと混合し、そして10mbarの圧力下で溶剤を除去した。
【0124】
こうして得られた反応生成物100.0gを、シリコーン乳化剤1.20g及びn−ペンタン12.0gの添加後、高速で稼働するKPG撹拌機で加工して均質なエマルションにした。引き続き、水0.20g、アミン触媒0.20g、及び三量化触媒1.40gから成る混合物を素早く添加し、再び高速で稼働するKPG撹拌機で乳化させて均質な混合物にした。約10秒後、泡の発生とともに発熱性反応が始まった。発泡形成はさらに約90秒後、終了した。密度が70kg/m3の、黄色くて硬い硬質発泡体が生成した。
【0125】
実施例7
式HO−[Si(CH32−O]14Si(CH32−OHの、水不含の線状シロキサン60.00gをまず、(メチルカルバマトメチル)トリメトキシシラン3.20gと、30分間、60℃、10mbarで、触媒として100ppmのリチウムメチレートの存在下で反応させた。引き続き、2,2−ジメチル−2−シラ−1,4−ジオキサシクロヘキサン7.20gを添加し、さらに30分間60℃で撹拌した。反応の終了後、ハイパーブランチシロキサンを酢酸100ppmで中和し、10mbar、60℃で15分間、10mbarで副生成物を除去した。引き続き、前記シロキサンを純アセトン100mlに取り、そしてpMDI40.0gと混合した。こうして得られた反応混合物を、30分間、50℃で、触媒としてスズ(II)−(2−エチルヘキサノエート)20mgの存在下で撹拌し、この際にオルガノシロキサンのヒドロキシ基は完全に反応しきった。これに引き続いて、これをベンゾイルクロリド30mgと混合し、10mbarの圧力下で溶剤を除去した。
【0126】
こうして得られた反応混合物60.0gを、シリコーン乳化剤1.20g、及びn−ペンタン12.0gと一緒に、高速で稼働するKPG撹拌機で加工して均質なエマルションにした。引き続き、水0.20g、アミン触媒0.20g、及び三量化触媒1.40gから成る混合物を素早く添加し、再び高速で稼働するKPG撹拌機で乳化させて均質な混合物にした。約10秒後、泡の発生とともに発熱性反応が始まった。発泡形成はさらに約90秒後、終了した。密度が70kg/m3の、黄色くて硬い硬質発泡体が生成した。
【0127】
実施例8
式HO−[Si(CH32−O]14Si(CH32−OHの、水不含の線状シロキサン60.00gをまず、(メチルカルバマトメチル)トリメトキシシラン3.20gと、60℃、10mbarで、触媒として100ppmのリチウムメチレートの存在下で反応させた。引き続き、2,2−ジメチル−2−シラ−1,4−ジオキサシクロヘキサン7.20gを添加し、30分間、60℃で撹拌した。反応の終了後、ハイパーブランチシロキサンを酢酸100ppmで中和し、10mbar、60℃で15分間、10mbarで副生成物を除去した。
【0128】
こうして得られた反応混合物60.0gをまず、pMDI40.0g、及びシリコーン乳化剤1.20g、及びn−ペンタン12.0gと一緒に、高速で稼働するKPG撹拌機で加工して均質なエマルションにした。引き続き、水0.20g、アミン触媒0.20g、及び三量化触媒1.40gから成る混合物を素早く添加し、再び高速で稼働するKPG撹拌機で乳化させて均質な混合物にした。約10秒後、泡の発生とともに発熱性反応が始まった。発泡形成は、さらに約90秒後、終了した。密度が100kg/m3の、黄色くて硬い硬質発泡体が生成した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

のハイパーブランチシロキサン(A)、
場合によりポリイソシアネート(B)、
並びに三量化触媒(G)
を含む、発泡可能な調製物であって、
前記式中、
Vはp価の基を表し、
Rは同一であるか又は異なっていてよく、かつ場合により置換された一価の炭化水素基を表し、
1は同一であるか又は異なっていてよく、かつ少なくとも1つのイソシアネート基を有する一価の有機基であるか、又はイソシアネート基に対して反応性の基を表し、
2は同一であるか又は異なっていてよく、かつ一価の基であり、
lは1より大きい整数、又は1を表し、
pは3より大きい整数、又は3を表し、かつ
mは3より大きい整数、又は3を表し、
ただし、pはmより大きいか、又はmと等しく、かつ発泡可能な調製物中に少なくとも3つのイソシアネート基が存在している、
前記発泡可能な調製物。
【請求項2】
基R1が、式
【化2】

又は
【化3】

[式中、
Y及びZは相互に独立して、ヘテロ原子によって中断されていてもよい、場合により置換された二価の炭化水素基を表し、
Aは−S−、−O−、又は−NR3−を表し(ここでR3は水素原子であるか、又は場合により置換された一価の炭化水素基である)、かつ
aは0又は1である]
の基であることを特徴とする、請求項1に記載の発泡可能な調製物。
【請求項3】
aが1であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の発泡可能な調製物。
【請求項4】
基Vが多価の有機基、又は多価のシリル基であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の発泡可能な調製物。
【請求項5】
三量化触媒(G)がカルボン酸塩であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の発泡可能な調製物。
【請求項6】
(A)式(I)に記載のシロキサン、
場合により(B)ポリイソシアネート、
場合により(C)充填剤、
場合により(D)乳化剤、
場合により(E)物理的な発泡剤、
場合により(F)発泡形成を促進させる触媒、
(G)三量化触媒、
場合により(H)化学的な発泡剤、及び
場合により(I)添加剤
を含み、この際、本発明による調製物が少なくとも3つのイソシアネート基を有し、かつ成分(E)及び(H)から選択される少なくとも1つの発泡剤を含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の発泡可能な調製物。
【請求項7】
ハイパーブランチシロキサン(A)、場合によりポリイソシアネート(B)、及び三量化触媒(G)、並びに少なくとも1つの発泡剤を混合し、反応させることを特徴とする、シリコーン含有ポリウレタン発泡体の製造方法。
【請求項8】
ハイパーブランチシロキサン(A)、場合によりポリイソシアネート(B)、及び三量化触媒(G)を、少なくとも1つの発泡剤と反応させることにより製造可能な発泡体。
【請求項9】
25℃、1013hPaで測定される密度が10〜500kg/m3であることを特徴とする、請求項8に記載の発泡体。
【請求項10】
硬質発泡体であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の発泡体。

【公表番号】特表2011−518906(P2011−518906A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505479(P2011−505479)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054694
【国際公開番号】WO2009/130194
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】