説明

シリコーン解離性コーティング組成物

本発明による解離性コーティング組成物は、アルケニル官能基化ポリシロキサン(I)、シリコンヒドリド官能基化ポリシロキサン(II)、および、白金族金属を含む触媒(III)を含む。アルケニル官能基化ポリシロキサン(I)は、ホスファゼン塩基触媒を使用するシロキサン多重縮合および/または平衡、次いで、酸性中和剤を用いる中和により調製される、アルケニル末端化ポリシロキサンである。本組成物中の触媒(III)濃度は、白金族金属2〜40重量ppm程度と低くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン主体の解離性コーティング組成物に関し、解離性組成物において有用な新規分岐アルケニル官能基化シロキサンに関し、ならびにこれらの調製に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン主体の解離性コーティングは、比較的非接着性の表面が必要とされる適用において、有用である。片側ライナー、例えば、感圧接着ラベル用の背後紙が、該ラベルの接着性に影響を及ぼすことなく、該ラベルを一時的に維持するのに通常採用される。両側ライナー、例えば、両面テープおよび写し取り(transfer)テープ用の中程に残る紙が、両面自己接着テープもしくは接着フィルムの保護、および、傷が付かないという望まれる特徴を確実にするのに利用される。
【0003】
基材、例えば、片側ライナーは、シリコーン主体の解離性コーティング組成物を該基材上へと適用し、引き続いて、例えば熱により開始されるヒドロシリル化により、該組成物を硬化させることによりコーティングされる。ヒドロシリル化により硬化されるシリコーン主体の解離性コーティング組成物の基礎的な構成成分は、典型的には末端アルケニル基を有する直鎖ポリマーであるアルケニル官能基化ポリジ有機シロキサン、該アルケニルポリジ有機シロキサンを架橋させるようにデザイン(設計)されたポリ有機水素シロキサン架橋剤、ならびに通常は、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、もしくはインジウムのようなVIII族金属(白金族金属)の錯体もしくは化合物である該架橋反応用触媒である。
【0004】
解離性コーティングの性能における改良は例えば、硬化し易さ、つまり、比較的低温での硬化の時間における減少、解離性能、ならびに紙同様、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびポリエステルを包含する種々の基材へのコーティングのアンカー性に関して引き続いて探索されている。
【0005】
EP−A−1070734は、式(SiO4/2)の1つ以上のQ単位、式RSiO2/2の15〜995のD単位、および式RSiO1/2のM単位からなる分岐シロキサンを含む解離性コーティング組成物を記載し、該分岐シロキサン中の少なくとも3つのR置換基が、アルケニルもしくはアルキニルである。このようなQ分岐ポリマー主体の解離性コーティングは、相対的に低温、例えば80〜150℃、特に100〜120℃において硬化すると共に、向上した長期アンカー性を持っている。その硬化は低温において良好なので、ラベル上の接着剤のような接着剤へのシリコーンの移動は最小限であり、これが今度は、該接着剤強度が維持されるという有益性を与える。該分岐シロキサンは、一般式(SiO4/2)(RSiO1/2を持つ化合物を、環状ポリジ有機シロキサンおよび/または実質的に直鎖のヒドロキシ(水酸)末端化ポリジ有機シロキサンと混合し、得られた混合物を、180℃までの温度において、酸もしくはホスファゼン主体の触媒の存在下に反応させ、該反応混合物を中和することにより、調製され得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による解離性コーティング組成物は、アルケニル官能基化ポリシロキサン(I)、シリコンヒドリド官能基化ポリシロキサン(II)、および、白金族金属を含む触媒(III)を含み、アルケニル官能基化ポリシロキサン(I)が、ホスファゼン塩基触媒を使用するシロキサン多重縮合および/または平衡により調製され、本組成物中の触媒(III)濃度が、白金族金属2〜60重量ppm程度であることを特徴とする。
【0007】
EP−A−1070734に記載のQ分岐ポリマーのような、急速硬化アルケニルシロキサンポリマー主体の解離性コーティングが、速い線速度、典型的には115℃の布帛(web)温度において0.8〜3.0秒で硬化する一方、高濃度Pt(約80〜120ppm)が通常、速い硬化を達成するのに用いられる。このことは、処方された該解離性コーティングの浴(bath)に、有意なコストを加えるものである。我々は、該解離性コーティング組成物が、アルケニル末端化ポリシロキサン、好ましくは、ホスファゼン塩基触媒を使用するシロキサン多重縮合および/または平衡により調製されるQ分岐ポリマー主体である時に、この硬化速度が、低減された濃度のPt触媒を使用して達成され得ることを見出した。ホスファゼン塩基触媒を使用して、該分岐アルケニルシロキサンの調製が、低触媒濃度において、該ホスファゼン塩基触媒を注意して中和することにより実施されると、速い硬化に必要とされる本解離性コーティング組成物中の触媒(III)濃度が、白金族金属60重量ppm以下、例えば2〜60ppmPt、特に5〜40ppmPtへと低減され得る。
【0008】
このため、本発明のもう1つ別の態様によれば、低濃度の白金族金属触媒下にシリコンヒドリド官能基化ポリシロキサンと反応して解離性コーティングを形成可能な分岐アルケニル官能基化ポリシロキサン(I)の調製プロセスは、経験式(SiO4/2)(RSiO1/2を持つ化合物(1a)を、環状ポリジ有機シロキサンおよび/または実質的に直鎖のヒドロキシ(水酸)末端化ポリジ有機シロキサンと、シリコーン含有材料の重量に基づき2〜80ppmのホスファゼン塩基触媒存在下に反応させること、ならびに、該反応混合物を中和することにより特徴付けられ、式中、各R置換基が、1〜6炭素原子を持つアルキル基、1〜6炭素原子を持つアルケニル基、および1〜6炭素原子を持つアルキニル基からなる群から選択され、化合物(1a)中の少なくとも3つのR置換基がアルケニルもしくはアルキニル単位であり;各R置換基が、1〜6炭素原子を持つアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アクリレート基、およびメタクリレート基からなる群から選択され;(RSiO1/2)基の(SiO4/2)単位に対する比xが、2.5〜4の範囲中にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
アルケニル官能基化ポリシロキサン(I)は、好ましくは、EP−A−1070734記載のタイプのQ分岐シロキサンであり、これは:
i)式(SiO4/2)のQ単位1つ以上
ii)式RSiO2/2のD単位15〜995個
ならびに
iii)式RSiO1/2のM単位
からなる分岐シロキサンであり、単位(i)および単位(ii)は、適切な如何なる組み合わせでも相互に結合されてよく、式中、各R置換基は、1〜6炭素原子を持つアルキル基、1〜6炭素原子を持つアルケニル基、および1〜6炭素原子を持つアルキニル基からなる群から選択され、該分岐シロキサン中の少なくとも3つのR置換基がアルケニル単位もしくはアルキニル単位であり、各R置換基が、1〜6炭素原子を持つアルキル基、2〜6炭素原子を持つアルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アクリレート基、およびメタクリレート基からなる群から選択される。
【0010】
好ましくは、R置換基の少なくとも50%がアルケニル基である。最も好ましくは、各R置換基がアルケニル基である。各アルケニル基は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニル基から選択されてよいが、好ましくは、ビニル(vi)およびヘキセニル(hex)基から選択される。
【0011】
化合物(1a)は、M単位(RSiO1/2)に結合した少なくとも1つのQ単位(SiO4/2)を含み、最も好ましくは、実質的にM/Q比(x)4を持つ化合物(SiO4/2)(RSiO1/2からなり、例えば、テトラ(ジメチルビニルシロキシ)シランである。
【0012】
好ましくは、化合物(1a)と反応させられる環状ポリジ有機シロキサンは、3〜10個のRSiO2/2単位を含有するが、該環状ポリジ有機シロキサンが、3〜6個の繰り返し単位RSiO2/2からなるポリジアルキルシロキサン環であることが好ましく、式中、各R置換基はメチル基であり、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)もしくはデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)である。
【0013】
あるいは、化合物(1a)は、実質的に直鎖の水酸基末端化ポリジ有機シロキサンと反応し得、これは好ましくは、式:
【0014】
【化1】

【0015】
を持ち、式中、各Rは、好ましくは1〜6炭素原子を持つアルキル基、最も好ましくはメチル基である。tの値は、好ましくは該ポリジ有機シロキサンの平均粘度が、25℃において200mm/sを超えないような値である。
【0016】
前記ホスファゼン塩基触媒は例えば、以下の一般式:
【0017】
【化2】

【0018】
の1つのホスファゼン塩基であり得、式中、R’は、各位置において同じでも異なってもよく、水素もしくは任意に置換された炭化水素基、好ましくはC〜Cアルキル基であるか、または、式中、同一のN原子に結合した2つのR’基が結合して、ヘテロ環を完成させてもよく、好ましくは5もしくは6員環であり;nが、1〜6の範囲中にあり;kが、1、2、もしくは3であり、好ましくは2もしくは3であり;lが、1、2、3、もしくは4であり、好ましくは2、3、もしくは4であり;Aが、アニオン、好ましくは、フルオリド、ヒドロキシド、シラノラート、アルコキシド、カーボネート、もしくはビカーボネートである。特に好ましくは、アミノホスファゼニウムヒドロキシドである。適切な触媒およびそれらの調製は例えば、EP−A−1008598に記載される。
【0019】
該ホスファゼン塩基触媒は、好ましくは、その反応中のシリコン含有材料の重量に基づいて、少なくとも1ppmであって80ppm未満、より好ましくは50ppm未満、最も好ましくは2〜40ppm、例えば5〜20ppm存在する。本分岐アルケニルシロキサンポリマーの調製における、このような低濃度のホスファゼン塩基触媒の使用は、本解離性コーティング組成物における前記白金金属触媒活性を低下させるというリスクを低減させる。
【0020】
本発明の方法は、室温において、250℃〜300℃程度の高さの温度において、もしくはこれより高温においてさえ、便利に実施されることがある。好ましい温度範囲は、50〜170℃であることがある。重合は、バルクで、もしくは、溶媒存在下に、実施され得る。適切な溶媒は、液体炭化水素もしくは液体シリコーンである。該ホスファゼン塩基触媒は、トルエンのような溶媒に稀釈、または、ポリジ有機シロキサンのような液体シリコーンに分散され得る。我々は、中庸〜低温(20〜170℃)低触媒濃度においてさえ、ホスファゼン塩基触媒が非常に速く、本発明による分岐シロキサンポリマーを生成させ得ることを見出した。
【0021】
本分岐シロキサンポリマーの重合度(DP、1分子についてのシロキサン単位数、主にD単位)は、反応中に存在する前記環状ポリジ有機シロキサンおよび/または実質的に直鎖の水酸基末端化ポリジ有機シロキサンに対する、化合物(1a)のモル比を制御することにより制御され得るが、これは、(1a)のM単位が、該重合反応において、末端封鎖剤(エンドブロッカー)として作用するからである。本分岐シロキサンポリマーは、好ましくは40〜300の範囲のDPを持っている。
【0022】
生成する反応混合物は、酸性中和剤を用いて中和される。本発明の好ましい1つの態様によれば、該中和剤は、中和後に該反応混合物から除去される固体酸性中和剤である。好ましい固体酸性中和剤の例は、シリカもしくはアクリル酸ポリマーである。該酸性シリカは、沈降シリカの酸噴霧処理により生成され得、例えば商標MS−75−Dの下に販売されるものである。該アクリル酸ポリマーは例えば、1000〜10000000の範囲の分子量のポリアクリル酸、あるいは、例えば、エチレン、メタクリル酸、マレイン酸無水物、および/または(メタ)アクリル酸エステルとの、アクリル酸コポリマーであり得る。該アクリル酸ポリマーは例えば、ナトリウムのようなアルカリ金属により部分的に中和され得るが、但し、酸性のpHを尚持つ限りである。
【0023】
本発明の好ましいもう1つ別の態様によれば、生成する該反応混合物は、存在する前記ホスファゼン塩基に基づいて、実質的に化学量論量の酸性中和剤を用いて中和される。このことは、上述した固体酸性中和剤に関しては好ましく、液体中和剤に関しては特に重要である。液体中和剤の例は、シリルホスホネートおよびシリルホスフェートであり、例えば、ビス(トリメチルシリル)ビニルホスホネートのようなビス(トリメチルシリル)ホスホネート、または、ビス(トリメチルシリル)ホスフェートである。
【0024】
ホスファゼン塩基触媒を使用して、シロキサン多重縮合および/または平衡により調製される該アルケニル末端化ポリシロキサンに加えて、本解離性コーティング組成物は更に、もう1つ別のアルケニル末端化ポリシロキサン、例えば、25℃において少なくとも50mm/sの粘度を持つジアルキルアルケニルシリル末端化直鎖ポリジ有機シロキサンを含有してよい。もしこのような直鎖ポリジ有機シロキサンが存在するのであれば、ジメチルビニルシリル末端化もしくはジメチルヘキセニルシリル末端化ポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0025】
本解離性コーティング組成物のシリコンヒドリド官能基化ポリシロキサン(II)は一般的に、少なくとも3つのSi−H基を含有し、一般式:
SiO1/2((CHSiO2/2(RSiO2/2)SiO1/2
を持っていてもよく、式中、各Rは1〜4炭素原子を持つアルキル基もしくは水素であってよく、dは0もしくは整数であり、eはd+eが8〜100となるような整数である。それは好ましくは、メチル水素シロキサン単位を含有するポリシロキサンである。それは例えば、トリメチルシリル末端基もしくは水素ジメチルシリル末端基を持つ直鎖ポリ(メチル水素)シロキサン、または、メチル水素シロキサン単位とジメチルシロキサン単位とを持つコポリマーであり得る。
【0026】
本発明により生成される分岐アルケニルシロキサンポリマーを含有する解離性コーティング組成物は、前記したような従来の直鎖ポリ(メチル水素)シロキサン架橋剤を使用して、低温において低濃度の白金金属触媒により硬化する。より速い硬化が、本発明により生成される該分岐アルケニルシロキサンポリマーを、米国特許係属出願第377,425号および第377,505号に開示される環状有機水素シリコン架橋化合物と共に使用することにより達成され得、これらは1分子につき少なくとも1つのシリコン結合水素原子と少なくとも1つのシクロシロキサンとを含有し、一般的に式:
【0027】
【化3】

【0028】
を持ち、式中、各Rは独立に、水素原子、および、脂肪族不飽和部分のない1〜20炭素原子を含む1価の炭化水素基から選択され、少なくとも1つのRが水素原子であり、aが1〜18の整数であり、bが2〜19の整数であり、a+bが3〜20の整数であり、各Xが独立に、ハロゲン原子、エーテル基、アルコキシ基、アルコキシエーテル基、アシル基、エポキシ基、アミノ基、もしくはシリル基、または−Z−R基から選択される官能基から選択され、各Zは独立に、酸素、および、2〜20炭素原子を含む2価の炭化水素基から選択され、各R基は独立に、−BR2−u、−SiR3−v、もしくは式(II):
(Y3−nSiO1/2(Y2−oSiO2/2(Y1−pSiO3/2(SiO4/2(CR1−q(CR2−r(O(CR2−s(CR3−t
により記述される基から選択され、式中、Bはボロン(ホウ素)のことであり、各Rは前記の通りであり、c+d+e+f+g+h+i+jの和が少なくとも2であり、nが0〜3の整数であり、oが0〜2の整数であり、pが0〜1の整数であり、qが0〜1の整数であり、rが0〜2の整数であり、sが0〜2の整数であり、tが0〜3の整数であり、uが0〜2の整数であり、vが0〜3の整数であり、各Yが独立に、ハロゲン原子、エーテル基、アルコキシ基、アルコキシエーテル基、アシル基、エポキシ基、アミノ基、もしくはシリル基、またはZ−G基から選択される官能基から選択され、ここでZは前記した通りであり、各Gは式:
【0029】
【化4】

【0030】
により記述されるシクロシロキサンであり、式中、RおよびXは前記した通りであり、kが0〜18の整数であり、mが0〜18の整数であり、k+mが2〜20の整数であり、但し、式(II)中、Y基の1つがZ基により置き換えられてR基を式(I)のシクロシロキサンに結合させ、但し更に:
(a)式(I)の少なくとも1つのX基が−Z−R基である。
(b)もしZが2価の炭化水素基であり、a=1、c=2、e+f+g+h+i+j=0、およびd>0であれば、少なくとも1つのd単位(つまり、Y2−oSiO2/2)が−Z−G基を含有するか、または、c単位(つまり、Y3−nSiO1/2)が−Z−G基を持たないかもしくは少なくとも2つの−Z−G基を持つ。
(c)もしZが2価の炭化水素基であり、a=1、c=2、およびd+e+f+g+h+i+j=0であれば、c単位(つまり、Y3−nSiO1/2)が−Z−G基を持たないかもしくは少なくとも2つの−Z−G基を持つ。
(d)もしg+h+i+j>0であれば、c+d+e+f>0。
【0031】
式(I)により記述される最も好ましい有機水素シリコン化合物は以下の通りであり、ここで、Meはメチルであり、dは平均8であり、xは1〜15の整数である。
【0032】
【化5】

【0033】
あるいは、該シリコンヒドリド官能基化ポリシロキサン架橋剤は、一般式SiO4/2およびRSiO1/2の単位からなるMQ樹脂であってもよく、式中、少なくとも1つのR置換基が水素原子であり、残りがアルキル基である。
【0034】
好ましくは、本解離性コーティング組成物における、アルケン基に対するSi−H基の合計量の比は、1.1:1〜2.5:1、最も好ましくは1.2:1〜2:1の範囲中にある。
【0035】
好ましい触媒(III)は、塩化白金酸、白金アセチルアセトネート、不飽和化合物、例えば、エチレン、プロピレン、有機ビニルシロキサン、および第一白金ハロゲン化物のスチレンとの錯体、ヘキサメチル二白金、PtCl.PtCl、ならびにPt(CN)を包含する白金化合物もしくは錯体である。あるいは、本触媒は、ロジウム錯体、例えば、RhCl(BuS)であってもよい。
【0036】
本組成物は更に、予定の温度を下回る硬化開始から、本コーティング組成物の硬化を防ぐように適合される1種以上の阻害剤を含んでもよい。このような阻害剤は一般的に、ヒドロシリル化により硬化するシリコーン解離性コーティングにおいて使用され、本発明による組成物において使用されてもよいが、阻害剤は、より低濃度の白金金属触媒においては必要ではないこともある。適切な阻害剤の例は、エチレンもしくは芳香族不飽和アミド、アセチレン化合物、エチレン不飽和イソシアネート、オレフィンを有するシロキサン、不飽和炭化水素ジエステル、共役エン−イン、過酸化水素、ニトリル、およびジアジリジンを包含し、特定の例は、メチルブチノール、ジメチルヘキシノールもしくはエチニルシクロヘキサノール、トリメチル(3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オキシ)シラン、マレエート、例えば、ビス(2−メトキシ−1−メチルエチル)マレエート、フマレート、例えば、ジエチルフマレートもしくはフマレート/アルコール混合物、ここで、該アルコールは例えば、ベンジルアルコールもしくは1−オクタノールであり、およびエテニルシクロヘキシル−1−オールを包含する。
【0037】
本発明の解離性コーティング組成物に加えられてもよい他の構成成分は例えば、シリコーン解離性修飾剤、充填剤、反応性稀釈剤、接着促進剤、溶媒、香料、保存料、ならびに充填剤、例えば、シリカ、石英、およびチョークを包含する。
【0038】
該解離性修飾剤は、本解離性コーティングの解離力レベルを制御するのに加えられ、アルケニル官能基化ポリシロキサン(I)、シリコンヒドリド官能基化ポリシロキサン(II)、および触媒(III)だけを含む当初の解離性コーティングに比較して、接着コーティングされたラベルをその解離性コーティング背後シートから分離させるのに必要とされる力を増加させる。適切な解離性修飾剤の例は、アルケニル化シリコーン樹脂、例えば、ビニル官能基化もしくはヘキセニル官能基化MQ樹脂、アルケニル化ポリジ有機シロキサン、10〜30炭素原子を含有する1級アルケン、例えば、テトラデセンもしくはオクタデセン、または少なくとも10炭素原子を含有する分岐アルケン、好ましくは、式CH=CYY’の、少なくとも20炭素原子を含有する分岐アルケンであって、式中、Yが1〜12炭素原子を持つ直鎖アルキル基であり、Y’が8〜50炭素原子を持つ直鎖もしくは分岐アルキル基であるものの1種以上を包含する。
【0039】
解離性修飾剤組成物は通常、本解離性コーティング組成物の別にパッケージされた成分として販売され、ここでその解離性修飾剤は、当初の解離性コーティング組成物のある割合のアルケニルポリシロキサンを置き換える。本発明はこのため、前記したようなホスファゼン塩基触媒を使用して調製された分岐アルケニル官能基化シロキサン、ならびに、アルケニル化シリコーン樹脂、アルケニル化ポリジ有機シロキサン、10〜30炭素原子を含有する1級アルケン、および少なくとも10炭素原子を含有する分岐アルケンから選択される解離性修飾剤を含む解離性修飾剤組成物を包含する。該解離性修飾剤は好ましくは、該分岐アルケニル官能基化シロキサン25〜85重量%において存在する。
【0040】
浴寿命(bath life)延長剤は、室温における硬化時間を遅らせるのに充分な量において存在してよい。例は、1種以上の1級もしくは2級アルコール基含有化合物、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、フェノール、もしくはシクロヘキサノールのような、10炭素原子より少ない脂肪族および芳香族アルコール、カルボン酸、ならびに環状エーテルを包含する。
【0041】
本発明の解離性コーティング組成物は一般的に25℃において、50mm/s以上であって10000mm/s以下である粘度を持ち、それで、該分岐シロキサンが、基板コーティングに適した粘度のものとなる。好ましくは、該粘度は50〜1000mm/sである。本解離性コーティング組成物は、無溶媒で、溶媒中において、もしくは水中油型エマルションの一部として適用されてよい。
【0042】
本発明の解離性コーティング組成物が、存在する全ての任意成分と一緒に、成分(I)、(II)、および(III)を単に予め混合することにより調製されてよい一方、本組成物がコーティングとして適用されるべき時に組み合わされる別のパーツもしくはパッケージ中に、このような組成物を調製することがより好ましいこともある。例えば、本組成物が、前記分岐アルケニル官能基化ポリシロキサンと前記阻害剤とを含む第1パッケージ、解離性修飾剤と阻害剤とを含む第2パッケージ、前記触媒を含む第3パッケージ、ならびに、前記架橋剤を含む第4パッケージを含んでもよい。1つの代替において、第1パッケージが該分岐アルケニル官能基化ポリシロキサンと該触媒とを含み、第2パッケージが解離性修飾剤と触媒とを含み、第3パッケージが該架橋剤と阻害剤とを含む。
【0043】
本コーティング組成物は、紙およびフィルムを包含する種々の基材上での解離目的に利用されてよい。該フィルムは例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、方向を持ったポリプロピレン、もしくは2軸方向を持ったポリプロピレンフィルムであってもよい。
【0044】
本発明の解離性コーティング組成物は、速いラインスピード(線速度)のための急速硬化、典型的には100〜115℃の布帛温度において0.8〜3.0秒という利点を持ち、EP−A−1070734に記載の解離性修飾剤と共に使用される場合、発煙物質および抽出物を低減し、低濃度の白金金属触媒を使用できるという経済的な利点も伴った。
【0045】
本発明が以下の実施例により例示され、ここで「部」および「%」は、他に記されなければ、重量による。
【実施例】
【0046】
実施例1
テトラ(ジメチルビニルシロキシ)シラン350gとD44.65kgとが20℃において混合され、ポリアミノホスファゼニウムヒドロキシド(水酸化ポリアミノホスファゼニウム)触媒0.20gが添加混合され(シロキサンに基づき40ppm)、粘度の急速上昇を引き起こした。30秒の期間の後、該反応混合物が次いで、分子量Mw=2000のポリアクリル酸25g(0.5%)を用いて中和された。低分子量成分が該混合物から取り除かれ、該反応生成物が濾過され、過剰のポリアクリル酸と中和された触媒とを除去した。該生成物は、ジメチルビニル末端化Q分岐ポリシロキサンであり、DP160および粘度220mPa.sを持っていた。
【0047】
このQ分岐ポリシロキサン100gが、粘度11mPa.sを持つトリメチル末端化ポリ(メチル水素シロキサン)、および、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサン(0.5%Pt;シロキサンに基づき40ppmPt)との触媒反応生成物と混合され、解離性コーティング組成物を形成した。この組成物が、グラシン紙上にコーティングされた。別個のサンプルが、15秒間100℃のオーブン温度において、そして、20秒間115℃のオーブン温度において、硬化された。
【0048】
各実験について、この硬化されコーティングされたフィルムの一部が、メチルイソブチルケトン溶媒溶液中に浸され、架橋されていなかった全シロキサンを抽出した。1時間後、該サンプルは該溶媒を除去され、乾燥され、再計量された。抽出物%とは重量%損失であり、硬化の1種の測定値である(抽出物100%=無硬化、抽出物0%=完全な硬化)。15秒間100℃のオーブン温度において硬化された実施例1のサンプルは、抽出物を9.1%持っており、20秒間115℃のオーブン温度において硬化された該サンプルは、抽出物を7.3%持っていた。
【0049】
比較例C1
比較すると、該ジメチルビニル末端化Q分岐ポリシロキサンが、触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を使用して調製された同様なDPのジメチルビニル末端化Q分岐ポリシロキサンにより置き換えられた場合、15秒間100℃のオーブン温度において硬化された該サンプルは、抽出物を13.3%持っており、20秒間115℃のオーブン温度において硬化された場合は、抽出物を9.3%持っていた。
【0050】
実施例2〜9
該ジメチルビニル末端化Q分岐ポリシロキサン調製温度、ならびに、中和に使用された前記ポリアクリル酸の分子量および量を動かしつつ、実施例1が繰り返された。種々の硬化解離性コーティングの抽出物が、実施例1に記載のように測定され、以下の表1に示される。
【0051】
【表1】

【0052】
実施例10〜12
該ジメチルビニル末端化Q分岐ポリシロキサン調製において、より低濃度の前記ホスファゼン塩基触媒を使用して、実施例6のプロセスが繰り返された。その結果得られたポリマーから解離性コーティングが調製され、実施例1に記載のように硬化およびテストされた。その結果が、表2に示される。
【0053】
【表2】

【0054】
全ての場合において、本発明の解離性コーティングが、比較例C1のコーティングよりも、より充分に硬化される(より少ない抽出物)ことが分かる。
【0055】
実施例13〜15
該分岐アルケニルポリシロキサン反応生成物を中和するのに使用された前記ポリアクリル酸が、商品名MS−75Dの下に販売される種々の濃度の酸性シリカにより置き換えられたことを除き、実施例11のプロセスが繰り返された。中和された反応生成物が、触媒濃度20ppmPtを持つ解離性コーティング組成物中へと処方され、実施例1(b)に記載のようにテストされた。その結果が、以下の表3に示される。
【0056】
【表3】

【0057】
実施例16〜18
本中和剤として、種々の濃度のMw2000のポリアクリル酸を使用して、実施例13〜15のプロセスが繰り返された。その結果が、以下の表4に示される。
【0058】
【表4】

【0059】
実施例19〜21
本中和剤として、種々の濃度のMw4000000のポリアクリル酸を使用して、実施例13〜15のプロセスが繰り返された。その結果が、以下の表5に示される。
【0060】
【表5】

【0061】
実施例22〜24
本中和剤として、種々の濃度のアクリル酸エチレンコポリマーを使用して、実施例13〜15のプロセスが繰り返された。その結果が、以下の表6に示される。
【0062】
【表6】

【0063】
実施例25
実施例1において調製されたQ分岐ポリマーが、充分なポリ(メチル水素シロキサン)と混合され、SiH:ビニルのモル比1.6:1、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサン(シロキサンに基づき20ppmPt)との反応生成物0.4%、ならびにエチニルシクロヘキサノール0.2%を与え、解離性コーティング組成物を形成する。紙コーティング機での種々の試行において、該組成物がグラシン紙布帛上にコーティングされ、異なるラインスピードおよび温度において硬化された。該ラインスピードはそれぞれ90および60m/分であり、それぞれ一時停止時間3および4.5秒に対応する。採用される温度は、該布帛の出口温度として測定され、138℃、149℃、160℃、および171℃であった。コーティングされた各紙サンプルは次いで、塗沫性(smear)、アンカー性(anchorage, 固着性)、および移動性(migration)についてテストされた。
【0064】
塗沫性およびアンカー性は、本シリコーンによりコーティングされた基材上を指で摩擦することにより、テストされる。もしこれによってもタック(塗沫)が残れば、本シリコーンの硬化下にグロス(粗さ)がある(ことになる)。もし指による摩擦により該基材からシリコーンが除去されれば、乏しいアンカー性しかない(ことになる)。もし本シリコーンがよく固着されれば、シリコーンは全く除去されないことになる。該移動性テストにおいて、「セロテープ(登録商標)」(商標)のような感圧接着テープが、シリコーンによりコーティングされた基材のシート上へと、手により加圧される。該テープは次いで除去され、該テープの接着末端が一緒に貼り付けられる。該テープが次いで、引き剥がされる。もし、接着剤へのシリコーンの移動のために少量の未硬化シリコーンが存在している場合、それ自体への該感圧接着剤の接着性の実質的な減少が見られ、該テープは容易に引き剥がされる(解離剤として作用するシリコーン)。もし、ごく僅かなシリコーンが存在している場合(移動なし)、その時は、一緒に貼り付いた2つの未処理テープ端を引き剥がすのに必要とされる力と同様に、該テープを引き剥がすのにより強い力が必要とされる。各ラインスピードについて、塗沫なし、移動性なし、もしくはアンカー性の喪失を達成するための最低硬化温度が、測定された。その結果が、以下の表7に示される。
【0065】
実施例26〜28
以下のポリマーにより、実施例1のQ分岐ポリマーを置き換え、実施例25のプロセスが繰り返された。
実施例26:酸性シリカを使用して中和された、実施例14のQ分岐ポリマー
実施例27:ビス(トリメチルシリル)ビニルホスホネートを使用して中和された、Q分岐ポリマー
実施例28:ビス(トリメチルシリル)水素ホスフェートを使用して中和された、Q分岐ポリマー
【0066】
比較例C2
触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を使用して調製された同様なDPのジメチルビニル末端化Q分岐ポリシロキサンにより、実施例1のQ分岐ポリマーを置き換え、実施例25のプロセスが繰り返された。
【0067】
実施例25〜28および比較例C2の結果が、以下の表7に示される。
【0068】
【表7】

【0069】
実施例29
ジメチルビニル末端化Q分岐ポリシロキサンが、実施例1に記載されたように調製されたが、テトラ(ジメチルビニルシロキシ)シラン量を750gへと増やし、中和剤としてビス(トリメチルシリル)ホスフェートを使用した。Q分岐ポリシロキサン生成物は、DP75を持っていた。
【0070】
上記したジメチルビニル末端化Q分岐ポリシロキサンを、実施例25のそれの代わりに使用して、実施例25のプロセスが繰り返された。試行は、布帛出口温度127℃、138℃、149℃、および160℃において、ラインスピード90m/分(一時停止時間3秒)において実施された。移動なしを達成する最低温度は、138℃であった。
【0071】
試行は、布帛出口温度127℃および149℃において、一時停止時間2秒に対応するラインスピード150m/分においても実施された。コーティングされた紙は、127℃においては移動を示したが、149℃においては移動なしであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルケニル官能基化ポリシロキサン(I);
シリコンヒドリド官能基化ポリシロキサン(II);ならびに
白金族金属を含む触媒(III)
を含み、アルケニル官能基化ポリシロキサン(I)が、ホスファゼン塩基触媒を使用するシロキサン多重縮合および/または平衡により調製されるアルケニル末端化ポリシロキサンであり、触媒(III)濃度が、白金族金属2〜40重量ppmであることを特徴とする、解離性コーティング組成物。
【請求項2】
アルケニル官能基化ポリシロキサン(I)が:
i)式SiO4/2の1つ以上のQ単位;
ii)式RSiO2/2の15〜995のD単位;および
iii)式RSiO1/2のM単位
からなる分岐シロキサンであり、単位(i)と(ii)とが、如何なる適切な組み合わせにおいて相互リンクされてもよく、式中、各R置換基が、1〜6炭素原子を持つアルキル基、1〜6炭素原子を持つアルケニル基、および1〜6炭素原子を持つアルキニル基からなる群から選択され、該分岐シロキサン中の少なくとも3つのR置換基がアルケニルもしくはアルキニル単位であり、各R置換基が、1〜6炭素原子を持つアルキル基、2〜6炭素原子を持つアルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アクリレート基、およびメタクリレート基からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の解離性コーティング組成物。
【請求項3】
シリコンヒドリド官能基化ポリシロキサン(II)が、メチル水素シロキサン単位を含有するポリシロキサンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の解離性コーティング組成物。
【請求項4】
シリコンヒドリド官能基化ポリシロキサン(II)が、式:
【化1】

を持ち、式中、各Rが独立に、水素原子、および、脂肪族不飽和部分のない1〜20炭素原子を含む1価の炭化水素基から選択され、少なくとも1つのRが水素原子であり、aが1〜18の整数であり、bが2〜19の整数であり、a+bが3〜20の整数であり、各Xが独立に、ハロゲン原子、エーテル基、アルコキシ基、アルコキシエーテル基、アシル基、エポキシ基、アミノ基、もしくはシリル基、または−Z−R基から選択される官能基であり、各Zは独立に、酸素、および、2〜20炭素原子を含む2価の炭化水素基から選択され、各R基は独立に、−BR2−u、−SiR3−v、もしくは式(II):
(Y3−nSiO1/2(Y2−oSiO2/2(Y1−pSiO3/2(SiO4/2(CR1−q(CR2−r(O(CR2−s(CR3−t
により記述される基から選択され、式中、Bはボロン(ホウ素)のことであり、各Rは前記の通りであり、c+d+e+f+g+h+i+jの和が少なくとも2であり、nが0〜3の整数であり、oが0〜2の整数であり、pが0〜1の整数であり、qが0〜1の整数であり、rが0〜2の整数であり、sが0〜2の整数であり、tが0〜3の整数であり、uが0〜2の整数であり、vが0〜3の整数であり、各Yが独立に、ハロゲン原子、エーテル基、アルコキシ基、アルコキシエーテル基、アシル基、エポキシ基、アミノ基、もしくはシリル基、またはZ−G基から選択される官能基であり、ここでZは前記した通りであり、各Gは式:
【化2】

により記述されるシクロシロキサンであり、式中、RおよびXは前記した通りであり、kが0〜18の整数であり、mが0〜18の整数であり、k+mが2〜20の整数であり、但し、式(II)中、Y基の1つがZ基により置き換えられてR基を式(I)のシクロシロキサンに結合させ、但し更に:
(a)式(I)の少なくとも1つのX基が−Z−R基であり;
(b)Zが2価の炭化水素基であり、a=1、c=2、e+f+g+h+i+j=0、およびd>0であれば、少なくとも1つのd単位(つまり、Y2−oSiO2/2)が−Z−G基を含有するか、または、c単位(つまり、Y3−nSiO1/2)が−Z−G基を持たないかもしくは少なくとも2つの−Z−G基を持ち;
(c)Zが2価の炭化水素基であり、a=1、c=2、およびd+e+f+g+h+i+j=0であれば、c単位(つまり、Y3−nSiO1/2)が−Z−G基を持たないかもしくは少なくとも2つの−Z−G基を持ち;
(d)g+h+i+j>0であれば、c+d+e+f>0
であることを特徴とする、請求項1または2に記載の解離性コーティング組成物。
【請求項5】
低濃度の白金族金属触媒下に、シリコンヒドリド官能基化ポリシロキサンと反応し、解離性コーティングを形成し得る分岐アルケニル官能基化ポリシロキサン(I)の調製方法であって、経験式(SiO4/2)(RSiO1/2を持つ化合物を[式中、各R置換基が、1〜6炭素原子を持つアルキル基、1〜6炭素原子を持つアルケニル基、および1〜6炭素原子を持つアルキニル基からなる群から選択され、該分岐シロキサン中の少なくとも3つのR置換基がアルケニルもしくはアルキニル単位であり;各R置換基が、1〜6炭素原子を持つアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アクリレート基、およびメタクリレート基からなる群から選択され;(RSiO1/2)基の(SiO4/2)単位に対する比xが2.5〜4の範囲中にある]、環状ポリジ有機シロキサンおよび/または実質的に直鎖の水酸基末端化ポリジ有機シロキサンと、シリコン含有材料の重量に基づきホスファゼン塩基触媒2〜80ppm存在下に反応させ、結果得られる反応混合物を中和させることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記ホスファゼン塩基触媒が、式:
【化3】

を持ち、式中、Rは、各位置において同じでも異なってもよく、水素もしくは任意に置換されたC〜Cアルキル基であるか、または、式中、同一のN原子に結合した2つのR基が結合して、ヘテロ環を完成させてもよく;Rは、水素もしくは任意に置換されたC〜C20アルキル基であり;kが、2もしくは3であり;lが、2、3、もしくは4であり;Aが、フルオリド、ヒドロキシド、シラノラート、アルコキシド、カーボネート、もしくはビカーボネートから選択されるアニオンであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ホスファゼン塩基触媒がアミノホスファゼニウムヒドロキシドであることを特徴とする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記ホスファゼン塩基触媒が、前記反応中のシリコン含有材料の重量に基づいて2〜40ppmで存在することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
生成される前記反応混合物が、中和後に該反応混合物から除去される固体酸性中和剤を用いて中和されることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記中和剤がアクリル酸ポリマーであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記中和剤がシリカであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
生成される前記反応混合物が、存在する前記ホスファゼン塩基触媒に基づき、実質的に化学量論量の酸性中和剤を用いて中和されることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記中和剤がシリルホスホネートもしくはシリルホスフェートであることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
アルケニル官能基化ポリシロキサン(I);
シリコンヒドリド官能基化ポリシロキサン(II);ならびに
白金族金属を含む触媒(III)
を含み、アルケニル官能基化ポリシロキサン(I)が、請求項6〜13のいずれか1項に記載の方法により調製される分岐アルケニル官能基化ポリシロキサンであり、触媒(III)濃度が、白金族金属2〜60重量ppmであることを特徴とする、解離性コーティング組成物。
【請求項15】
アルケニル官能基化シロキサン;ならびに
アルケニル化シリコーン樹脂、アルケニル化ポリジ有機シロキサン、10〜30炭素原子を含有する1級アルケン、および少なくとも10炭素原子を含有する分岐アルケンから選択される解離性修飾剤
を含み、該アルケニル官能基化シロキサンが、請求項6〜13のいずれか1項に記載の方法により調製される分岐アルケニル官能基化シロキサンであることを特徴とする、解離性修飾剤組成物。

【公表番号】特表2009−513740(P2009−513740A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518176(P2006−518176)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007806
【国際公開番号】WO2005/005544
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(590001418)ダウ・コ−ニング・コ−ポレ−ション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】