説明

シリル化ポリマーエマルション、その製造方法およびその使用

本発明は、安定なシリル化ポリマーエマルション、その製造方法および使用に関する。本発明のエマルションは、シリル化ポリマー、水、ナノシリカおよび任意の乳化剤を含んでなる。本発明の製造方法を用いることによって、ナノシリカをシリル化ポリマーに均一に分散できる。表面改質することなく、ナノシリカをシリル化ポリマーに直接添加でき、ナノシリカはシリル化ポリマーとの良好な適合性を有する。製造されたエマルションは、85%未満の固形分、3μm未満の粒子寸法、環境保護要件を良好に満たす低VOC含有量、および室温保存時で半年を超える保存寿命を有する。水の揮発後、エマルションは架橋してエラストマーを形成し得るが、このときナノシリカは、架橋ポリマーの機械的強度を高める役割を果たし得る。使用時、エマルションを水で直接希釈できる。エマルションは、被覆剤、接着剤、シーラント、インキ、スキンケア製品および洗剤の製造に使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定なシリル化ポリマーエマルションに関する。とりわけ本発明は、シリル化ポリマー、水、ナノシリカおよび任意の乳化剤を含んでなる水性シリル化ポリマーエマルションに関する。本発明はまた、安定なシリル化ポリマーエマルションの製造方法および使用に関する。本発明の使用は、接着剤、シーラント、被覆剤、インキ、スキンケア製品および洗剤などの分野で実施され得る。
【背景技術】
【0002】
シリル化ポリマー、例えば鎖末端および/または側鎖にアルコキシシリル基を有するポリマーは、その反応性アルコキシシリル基の存在故に、空気中の湿気によって自己架橋するか、または硬化剤と反応して架橋ポリマーを形成できる。この架橋ポリマーは、優れた特性を有する。該ポリマーは、接着剤、シーラント、被覆剤、インキ、スキンケア製品および洗剤のような様々な分野で広範に使用される。しかしながら、その適用の際、キャリヤーとして有機溶媒を使用することが一般的である。揮発性有機化合物含有量に対するますます厳しい規定上の制約を守るため、上記ポリマーの水性エマルションを製造することが望ましい。
【0003】
水に不溶であるポリマーについて、従来技術では、しばしば「後乳化」を利用して、ポリマーの水性エマルションを製造する。これは、高剪断速度でポリマーを水に分散して水性ポリマーエマルションを製造することによって実施される。乳化剤自体が、その親油性基を介してポリマー小滴表面に付着する一方で、その親水性基は水に向かって拡がる。その電荷斥力または立体遮蔽故に、ポリマーエマルション粒子は、互いに接近および再凝集できない。米国特許第6,713,558号および同第6,831,128号は、高固形分シリル化粘弾性ポリマーエマルションを開示しており、同特許では、シリル化ポリブタジエンポリマー、可塑剤、界面活性剤、低分子量の酸、および水を用いて、75%超の固形分および5μm未満の平均粒子寸法を有する水性ポリマーエマルションが製造された。しかしながら、ポリマーが高粘度なので、水性ポリマーエマルションを得るには、多量の乳化剤、低分子量可塑剤または共溶媒が必要であった。一方、乳化剤または可塑剤は多くの場合、低分子量化合物なので、そのポリマーへの多量添加は、架橋ポリマーの特性に影響を与え得る。更に、共溶媒の添加は、エマルション中のVOC含有量を増加し得るので、環境保護に好ましくなかった。また、上記方法により得られた水性ポリマーエマルション中のラテックス粒子は、不規則な粒子形状およびブロードな粒子寸法分布を有することが観察された。これにより、相分離が生じやすくなり、エマルションの安定性が乏しくなった。
【0004】
不水溶性ポリマーの水性エマルションを製造するための別の方法は、ポリマー分子に親水性基を導入することによって実施される「自己乳化」によって実現される。例えば、米国特許第5,466,729号は、シリル化エポキシ樹脂の水性分散体を開示している。シリル化エポキシ樹脂は、加水分解性基および第2級アミン基の両方を有するシランと、エポキシ樹脂とを反応させることによって得られた。水性分散体は、高剪断速度下でシリル化エポキシ樹脂から直接製造し、金属被覆剤およびガラス接着剤に使用できる。化学的変性により製造した水性ポリマーエマルションは、約数十〜数百nmの範囲の分散相の小さい粒子寸法を特徴としていたが、製造工程の制御が困難であり、製造コストが比較的高かった。更に、該方法によって製造された水性ポリマーエマルション中でポリマーの分子構造が変化するので、生成物の特性は幾分影響を受けた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その独自の光学的、電気的、磁気的および機械的特性故に、ナノシリカは、ポリマー組成物、ゴム、プラスチック、被覆剤、接着剤、シーラントおよびセラミックのような様々な分野で広範に使用されている。しかしながら、ナノシリカは容易に凝集し、樹脂との適合性に乏しいので、ポリマーに直接添加することは困難である。一般に、ナノシリカを使用前に表面改質によって処理すべきであり、これは適用コストを増加させ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、安定なシリル化ポリマーエマルションを提供する。安定なエマルションは、少量の界面活性剤しか用いずに、または界面活性剤を全く用いなくても得ることができる。水の揮発後、エマルションは硬化して、優れた特性を有する架橋弾性フィルムを形成できる。エマルションは、低揮発性有機化合物(以下、低VOCと称する)のエマルションであり得る。
【0007】
本発明はまた、単純かつ操作容易である安定シリル化ポリマーエマルションの製造方法を提供する。
本発明は更に、ナノシリカのシリル化ポリマーへの均一な分散方法を提供する。
本発明はまた、被覆剤、接着剤、シーラント、インキ、スキンケア製品および洗剤などの分野における原料として使用するための安定なシリル化ポリマーエマルションを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書で使用される用語「ピッカリング乳化剤」は、エマルションの製造中、エマルションを安定化するために添加される固体微粒子を意味する。Pickering, S.U.J. Chem. Soc., Chem. Commun, 1907, 91, 2001;およびB.P. Binks and S.O. Lumsdon Langmuir, 2001, 17, 4540〜4547参照。
本明細書で使用される用語「後乳化」は、まず常套の方法によってポリマーを調製し、次いでポリマーを水に分散させることによって、水性ポリマーエマルションを製造する方法を意味する。
本明細書で使用される用語「低VOC」は、エマルション中のVOC含有量が1重量%未満であることを意味する。
本明細書で使用される用語「安定なエマルション」は、エマルションが、熱力学的安定性を有する分散状態にあり、反応特性を維持したまま、可視的相分離を起こさずに2ヶ月を超えて周囲条件下で静置され得ることを意味する。
【0009】
ナノシリカ表面上のヒドロキシル基とシリル化ポリマー分子鎖上のアルコキシシリル基および/またはヒドロキシシリル基のような反応性基との相互作用を利用することによって、後乳化法を用いて、多量のナノシリカをシリル化ポリマーラテックス粒子表面上に吸着できることが見出された。ナノシリカは、ピッカリング乳化剤として作用してポリマーラテックス粒子を安定化させるだけでなく、水中でのシリル化ポリマーの自己架橋を禁止することもできる。それによって、本発明では有機溶媒が不要であると同時に、系に少量の界面活性剤しか添加しなくても、または界面活性剤を全く添加しなくても、安定なシリル化ポリマーエマルションを得ることができる。これに基づいて、発明者らは本発明を完成した。
【0010】
シリル化ポリマーエマルション
とりわけ本発明は、(1)シリル化ポリマー、(2)水、(3)任意の乳化剤、および(4)ナノシリカを含んでなる、安定な低VOCシリル化ポリマーエマルションを提供する。
【0011】
本発明のエマルションは、好ましくは85重量%以下、より好ましくは40〜85重量%の固形分を有する。エマルションは更に、具体的な使用目的を考慮して、所望の程度まで水で希釈することができる。その固形分、乳化剤、乳化助剤などを調整することによって、エマルションは水中油型エマルションまたは油中水型エマルションのいずれかになり得る。
【0012】
本発明のエマルションは、好ましくは3μm未満、より好ましくは1μm未満のラテックス粒子寸法を有する。
【0013】
本発明のエマルションは、好ましくは4〜13、より好ましくは5〜10のpH値を有する。
【0014】
水の揮発後、本発明の低VOCシリル化ポリマーエマルションを硬化して、架橋エラストマーを得ることができる。エマルションへのナノシリカの添加は、架橋フィルム形成ポリマーの機械的強度を高める役割を果たす。
【0015】
シリル化ポリマー
本発明で使用されるシリル化ポリマーは、好ましくは、鎖末端および/または側鎖にアルコキシシリル基を有するポリマー、より好ましくは、鎖末端および/または側鎖に2個のアルコキシシリル基を有するポリマーである。
【0016】
とりわけ、シリル化ポリマーは、好ましくは、以下からなる群から選択される:アルコキシシリルポリエーテル、アルコキシシリルポリエステル、ポリシロキサンのようなアルコキシシリル有機シリコーン樹脂、アルコキシシリルポリアクリレート、アルコキシシリルポリウレタン、アルコキシシリルポリオレフィン、およびそれらの所望の組み合わせ。シリル化ポリマーの非限定例は以下を包含する:メチルジメトキシシリルポリエチレンオキシド、ビニルジメトキシシリルポリプロピレンオキシド、メチルジメトキシシリルポリプロピレンオキシド、トリメトキシシリルポリジメチルシロキサン、トリエトキシシリルポリジメチルシロキサン、ビニルジエトキシシリルポリジメチルシロキサン、メチルビニルメトキシシリルポリジメチルシロキサン、ビニルジメトキシシリルポリジメチルシロキサン、ビニルメトキシシリルポリメチルフェニルシロキサン、エチルジメトキシシリルポリメチルフェニルシロキサン、ビニルジメトキシシリルポリエステル樹脂、ビニルジエトキシシリルポリエステル、ビニルジメトキシシリルポリエステル、メチルジメトキシシリルポリアクリレート樹脂、メチルジエトキシシリルポリアクリレート樹脂、メチルジメトキシシリルポリウレタン、トリエトキシシリルポリウレタン樹脂など。シリル化ポリマーは、例えば、米国特許第5,300,608号;同第3,971,751号;同第4,374,237号;同第6,803,412号;同第5,986,014号および同第6,420,492号に開示されている一般的な方法に従って調製できた。
【0017】
本発明で使用されるシリル化ポリマーは、好ましくは0.01〜10,000Pa・s(25℃)、より好ましくは0.05〜2,000Pa・s(25℃)の粘度を有する。
【0018】
本発明で使用されるシリル化ポリマーは、GPC法による測定で、好ましくは1,000〜200,000、より好ましくは5,000〜100,000の重量平均分子量(M);好ましくは1〜3の分子量分布(M/M)を有する。
【0019】
シリル化ポリマーは、エマルションの総重量に基づいて、好ましくは20〜84重量%、より好ましくは40〜84重量%の量でエマルション中に存在する。
【0020】

水は、エマルションの総重量に基づいて、好ましくは14〜78重量%、より好ましくは14〜60重量%の量でエマルション中に存在する。
【0021】
乳化剤
本発明で使用される乳化剤は、水性シリル化ポリマーエマルション中でシリル化ポリマーを安定化させる常套の乳化剤であり得る。好ましくは、乳化剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤およびそれらの所望の組み合わせからなる群から選択される。より好ましくは、乳化剤は、8〜40のHLB値を有するアニオン性界面活性剤、8〜40のHLB値を有する非イオン性界面活性剤およびそれらの所望の組み合わせからなる群から選択される。
【0022】
とりわけ、乳化剤は、好ましくは、C〜C22アルキルスルホネート、C〜C22アルキルベンゼンスルホネート、C〜C22アルキルスルフェート、ホスフェート、脂肪アルコールポリエチレンオキシドおよびC〜C22アルキルフェノールポリエチレンオキシドのようなポリエーテル型界面活性剤、脂肪酸アミン−ポリエチレンオキシド、乳化シリル化ポリマーセグメント含有親水性ブロックポリマーおよびそれらの所望の組み合わせからなる群から選択される。
【0023】
乳化剤は、エマルションの総重量に基づいて、好ましくは0.1〜4重量%、より好ましくは0.1〜2重量%の量でエマルション中に存在する。
【0024】
ナノシリカ
本発明で使用されるナノシリカは、好ましくは10〜300nm、より好ましくは10〜200nmの粒度を有する。本発明で使用されるナノシリカは、好ましくは30m/g〜250m/gのBET比表面積を有する。
【0025】
本発明で使用されるナノシリカは、その表面にヒドロキシル基を有するもの、例えば各種親水性ナノシリカであり、沈降ナノシリカおよびヒュームドナノシリカのようなナノシリカ粉末並びにナノシリカヒドロゾルを包含するが、それらに限定されない。例えば、EKA Chemical Corporationによって製造されているナノシリカヒドロゾルNyacol(登録商標) 9950またはNyacol(登録商標) 2040;Degussa Corporationによって製造されている沈降ナノシリカUltrasil(登録商標) 360;Cabot Corporationによって製造されているヒュームドナノシリカCAB-O-SIL(登録商標) M-5がある。
【0026】
ナノシリカは、エマルションの総重量に基づいて、1〜20重量%、好ましくは2〜12重量%の量でエマルション中に存在する。
【0027】
乳化助剤
必要に応じて、例えば、使用するポリマーの親水性を増加させる、または製造されたエマルションの粘稠度を増加させることが望ましい場合、本発明のエマルションは更に、エマルションに実質的な悪影響を及ぼさない限り、種々の適当な乳化助剤を含むことができる。乳化助剤の非限定例は、親水性助剤、増粘剤およびそれらの所望の組み合わせを包含する。
【0028】
とりわけ親水性助剤は、好ましくは水溶性ポリマー化合物から選択され、より好ましくは、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテルおよびそれらの所望の組み合わせからなる群から選択される。
【0029】
増粘剤は、好ましくは水性増粘剤から選択され、より好ましくは、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ベントナイト、活性クレーおよびそれらの所望の組み合わせからなる群から選択される。
【0030】
乳化助剤は、エマルションの総重量に基づいて、好ましくは0超〜5重量%以下、より好ましくは0超〜3重量%以下の量でエマルション中に存在する。
【0031】
他の任意成分
本発明のエマルションは、エマルションに実質的な悪影響を及ぼさない限り、他の任意成分を更に含んでよい。任意成分の非限定例は、顔料、充填材、消泡剤、均展剤、酸化防止剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤およびそれらの所望の組み合わせを包含する。
【0032】
とりわけ、任意成分は、被覆剤、接着剤、シーラントおよび化粧品のような製品に通常使用される、顔料、充填材、消泡剤、均展剤、酸化防止剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤およびそれらの所望の組み合わせを包含する。
【0033】
シリル化ポリマーエマルションの製造方法
本発明のシリル化ポリマーエマルションの製造方法は、以下の工程:
(1)シリル化ポリマーと任意の乳化剤および任意の乳化助剤とを混合する工程;
(2)ナノシリカおよび水を含む均一な混合物を形成する工程;
(3)工程(2)で得た均一な混合物を工程(1)で得た混合物に撹拌しながら滴加して後乳化を実施する工程;および
(4)任意に、後乳化完了後、得られたエマルションのpHを4〜13に調整し、それによって本発明のシリル化ポリマーエマルションを製造する工程
を含んでなる。
【0034】
製造方法では、安定な水中油型または油中水型シリル化ポリマーエマルションを製造するために、各成分の量を制御する。エマルションの総重量に基づいて、各成分の量を、好ましくは以下のように制御する:20〜84重量%のシリル化ポリマー;14〜78重量%の水;0超〜4重量%以下の乳化剤;1〜20重量%のナノシリカ;および0超〜5重量%以下の乳化助剤。
【0035】
工程(1)では、好ましくは20〜95℃の温度で、シリル化ポリマー、任意の乳化剤および任意の乳化助剤を、高速分散容器内で、好ましくは1,000〜3,000rpmで、好ましくは10〜30分間撹拌することによって混合する。
【0036】
工程(2)では、好ましくは20〜95℃の温度で、ナノシリカおよび水を含む均一な混合物を、高速分散容器内で、好ましくは1,000〜3,000rpmで、好ましくは10〜30分間撹拌することによって、および/または好ましくは2〜20分間超音波分散することによって、形成する。購入したヒドロゾルを直接使用する場合は、工程(2)を除外してよい。
【0037】
工程(3)では、好ましくは20〜95℃で系の温度を制御しつつ、好ましくは2,000〜5,000rpmで、好ましくは0.5〜3時間の範囲で撹拌しながら、工程(2)で得た均一な混合物を高速分散容器内の工程(1)で得た混合物に滴加し、それによって後乳化を完遂する。より好ましくは、添加完了後、好ましくは20〜95℃で系の温度を制御しながら、系を、好ましくは1,000〜3,000rpmで、好ましくは0.5〜2時間更に撹拌し、それによって後乳化を完遂してもよい。
【0038】
工程(4)では、pH調整剤を好ましくは使用して、シリル化ポリマーエマルションのpH値を調整する。好ましいpH調整剤の非限定例は、低分子量の酸、塩基、塩およびそれらの所望の組み合わせを包含する。適当なpH調整剤の非限定例は、塩酸、硫酸、硝酸、アンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、塩化アンモニウムなどを包含する。pH調整剤は、所望のエマルションのpH値に依存した量で使用される。
【0039】
本発明のエマルションの製造方法では、製造方法に実質的な悪影響を与えない限り、圧力に関して特別な要求は存在しない。本発明の製造方法に含まれ得るが言及されていない他の操作条件は、シリル化ポリマーエマルションを製造するために通常使用される条件と同等であり得る。例えば、米国特許第6,713,558号および同第6,831,128号を参照されたい。
【0040】
そこで、本発明はまた、以下の工程:
(1)シリル化ポリマーと任意の乳化剤および任意の乳化助剤とを混合する工程;
(2)ナノシリカおよび水を含む均一な混合物を形成する工程;
(3)工程(2)で得た均一な混合物を工程(1)で得た混合物に撹拌しながら滴加して後乳化を実施し、それによってエマルションを形成する工程;
(4)任意に、乳化完了後、エマルションのpHを4〜13に調整する工程;および
(5)任意に、水を揮発させる工程
を含んでなる、ナノシリカをシリル化ポリマーに均一に分散させる方法を提供する。
詳細な操作工程は、上記した通りである。
【0041】
本明細書に記載の安定な低VOCシリル化ポリマーエマルションおよびその製造方法は、以下の利点を有する:ナノシリカの非常に強い表面活性によって、およびナノシリカ表面上のヒドロキシル基とシリル化ポリマー分子鎖上のアルコキシシリル基および/またはヒドロキシシリル基のような反応性基との相互作用を利用することによって、後乳化法を用いて、多量のナノシリカをシリル化ポリマーラテックス粒子表面上に吸着できる。ナノシリカは、ピッカリング乳化剤として作用してポリマーラテックス粒子を安定化させるだけでなく、水中でのシリル化ポリマーの自己架橋を禁止することもできる。それによって、本発明では有機溶媒が不要であると同時に、系に少量の界面活性剤しか添加しなくても、または界面活性剤を全く添加しなくても、安定なシリル化ポリマーエマルションを得ることができる。上記方法を用いることによって、ナノシリカをシリル化ポリマーに均一に分散できる。また、表面改質することなく、ナノシリカをシリル化ポリマーに直接添加できる。ナノシリカはシリル化ポリマーとの良好な適合性を有する。製造されたエマルションは、85%以下の固形分、3μm未満の粒子寸法、および室温保存時で半年を超える保存寿命を有する。使用時、エマルションを水で直接希釈できる。水の揮発後、シリル化ポリマーエマルションを硬化して架橋エラストマーを得ることができる。更に、ナノシリカの添加は、架橋エラストマーの機械的強度を高める。本明細書に記載した製造方法は、単純かつ操作容易である。
【0042】
本発明のエマルションの使用
本発明で製造された安定な低VOCシリル化ポリマーエマルションは、被覆剤、接着剤、シーラント、インキ、スキンケア製品および洗剤などの原料として使用でき、シリル化ポリマーエマルションによって通常使用される方法で上記製品に適用できる。使用時、具体的な使用目的を考慮して、エマルションを所望の程度まで水で直接希釈できる。
【0043】
特に記載がない限り、本明細書で使用されている全てのパーセントおよび割合は重量に基づき、エマルション中の成分量の全てはエマルションの総重量に基づく。
引用した公報の全てを、それらの全内容を引用してここに組み込む。
【実施例】
【0044】
以下の実施例により、本発明の範囲内での好ましい態様を更に記述し、説明する。実施例は、説明の目的のためだけに記載され、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
特に記載がない限り、以下の実施例におけるエマルション製造の全工程は、常圧で実施し、含まれる温度は室温である。
【0045】
本発明で製造されたシリル化ポリマーエマルションの特性は、以下のように特徴付けられる:
樹脂の粘度は、NDJ-1A回転粘度計(中国在Shende Technological Development Co., Ltd.製)を用いて、25±1℃で測定する。
分子量は、Waters Breeze 1515 HPGPC(米国在Waters Co.製)を用いて測定する。
ナノシリカのBET比表面積は、窒素吸着測定用のASAP 2010分析装置を用いて77Kで測定し、Barrett-Emmett-Teller(BET)式を利用して比表面積を算出した。
エマルションの平均粒子寸法は、Coulter N4 Plusレーザー粒子寸法分析装置(米国在Beckman Co.製)を用いて測定する。
FTIRスペクトルは、Magna-IR(登録商標) 550赤外分光計(Nicolet Co.製)によって測定する。
架橋ポリマーの外観は、XL30 SEM(Philips Co.製)によって観察する。
架橋ポリマーの引張強さは、DXLL-10000電子引張試験機(中国在Shanghai Chemical Machinery Plant社製)によって測定する。20mmの長さを有する試料をASTM-D412標準に従って作成し、引張速度は50mm/分である。
特に記載がない限り、測定は全て周囲条件下で実施する。
【0046】
実施例1
低VOCシリル化ポリマーエマルションの製法1
【表1】

【0047】
61gのトリエトキシシリルポリジメチルシロキサン(60,000の分子量(M)を有し、ドイツ国デュッセルドルフ在Henkel KGaAによって供給されている。米国特許第5,300,608号参照)、0.8gのラウリル硫酸ナトリウム、0.8gのRhodia CO436(Rhodia Co.製アニオン性界面活性剤、4molのエチレンオキシド単位を有するポリエチレンオキシドアルキルフェノールエーテルスルフェート)、および1.2gのRhodia CA897(Rhodia Co.製非イオン性界面活性剤、40molのエチレンオキシド単位を有するポリエチレンオキシドオクチルフェノールエーテル)を、高速分散容器に添加した。系を、室温、2,000rpmで、10分間撹拌することによって均一に混合した。50〜60℃で温度を制御しつつ、36gの50重量%ナノシリカヒドロゾル(100nmの平均粒度を有するEKA Chemical Co.製Nyacol(登録商標) 9950)を、3,000rpmで撹拌しながら2時間以内で系に滴加した。滴加完了後、50〜60℃で温度を維持しながら、系を、2,000rpmで0.5時間引き続き撹拌した。次いで、pH=8になるまで10重量%塩酸を添加し、それによって、安定な低VOCシリル化ポリマーエマルションを得た。
【0048】
製造したシリル化ポリマーエマルションは、82重量%の固形分、1,930nmの平均ラテックス粒子寸法、および18重量%のナノシリカ含有量を有していた。エマルションは、半年を超えて室温で安定に保たれ、使用時に水で希釈できた。水の揮発後に得られた架橋シリル化ポリマーの引張強さは、ナノシリカを添加しなかった対照としての同一であるがブランクのシリル化ポリマーの引張強さと比較して、21%上昇した。
【0049】
実施例2
低VOCシリル化ポリマーエマルションの製法2
【表2】

【0050】
室温で、5gの沈降ナノシリカ(50m/gの比表面積および220g/lの密度を有するDegussa Co.製Ultrasil(登録商標) 360)および54gの水を、分散容器内で、3,000rpmで10分間撹拌することによって混合し、次いで10分間超音波分散し、水性ナノシリカ分散体を得た。分散体を滴加ピペットに入れて使える状態にした。20gのビニルジメトキシシリルポリプロピレンオキシド(200Pa・sの粘度および90,000の分子量(M)を有する。米国特許第3,971,751号参照)、20gのメチルジメトキシシリルポリプロピレンオキシド(50Pa・sの粘度および20,000の分子量(M)を有する。米国特許第3,971,751号参照)、0.5gのICI Span 20(ICI Co.製界面活性剤)、0.3gのICI Brij 97(ICI Co.製界面活性剤)、0.2gのICI Brij 30(ICI Co.製界面活性剤)、0.3gのポリエチレングリコール10000、および0.1gのヒドロキシエチルセルロース増粘剤を高速分散容器に添加した。系を、室温、3,000rpmで、30分間撹拌することによって均一に混合した。上記のように得られた水性ナノシリカ分散体を、3,000rpmで撹拌しながら室温で1時間以内で系に滴加した。滴加完了後、系を、室温、3,000rpmで0.5時間引き続き撹拌した。次いで、pH=5になるまで、5重量%硝酸水溶液を添加し、それによって、安定な低VOCシリル化ポリマーエマルションを得た。
【0051】
製造したシリル化ポリマーエマルションは、46重量%の固形分、400nmの平均ラテックス粒子寸法、および5重量%のナノシリカ含有量を有していた。エマルションは、半年を超えて室温で安定に保たれ、使用時に水で希釈できた。
【0052】
実施例3
低VOCシリル化ポリマーエマルションの製法3
【表3】

【0053】
30gの30重量%ナノシリカヒドロゾル(20nmの平均粒度を有するEKA Chemical Co.製Nyacol(登録商標) 2040)および19gの水を、分散容器内で、60〜80℃で均一に混合した。得られた混合物を滴加ピペットに入れて使える状態にした。48gのメチルジメトキシシリルポリウレタン(70Pa・sの粘度および40,000の分子量(M)を有する。米国特許第4,374,237号参照)、2.8gのBayer Mersolat(登録商標) H-95(95%の活性物含有量および11〜12のHLB値を有し、C15の平均鎖長を有する異なったアルキル(ナトリウム)スルホネートの混合物である、Bayer Co.製アニオン性界面活性剤)、および0.3gの活性クレー増粘剤を、高速分散容器に添加した。その系を60〜80℃、3,000rpmで、10分間撹拌することによって均一に混合した。60〜80℃で温度を制御しながら、上記のように得られたナノシリカヒドロゾルおよび水の混合物を、4,000rpmで撹拌しながら2時間以内で系に滴加した。滴加完了後、60〜80℃で温度を維持しながら、系を、3,000rpmで1時間引き続き撹拌した。次いで、pH=11になるまで10重量%アンモニア水を添加し、それによって、安定な低VOCシリル化ポリマーエマルションを得た。
【0054】
製造したシリル化ポリマーエマルションは、60重量%の固形分、1,730nmの平均ラテックス粒子寸法、および9重量%のナノシリカ含有量を有していた。エマルションは、半年を超えて室温で安定に保たれ、使用時に水で希釈できた。水の揮発後に得られた架橋シリル化ポリマーの引張強さは、ナノシリカを添加しなかった対照としての同一であるがブランクのシリル化ポリマーの引張強さと比較して、12%上昇した。
【0055】
実施例4
低VOCシリル化ポリマーエマルションの製法4
【表4】

【0056】
2gのヒュームドナノシリカ(200〜300nmの粒度を有する米国マサチューセッツ在Cabot Corporation製CAB-O-SIL(登録商標) M-5)および51gの水を、分散容器内で、80〜95℃、3,000rpmで、15分間撹拌することによって混合し、次いで10分間超音波分散して水性ナノシリカ分散体を得た。分散体を滴加ピペットに入れて使える状態にした。43gのビニルジエトキシシリルポリエステル(3Pa・sの粘度および7,000の分子量(M)を有する。米国特許第6,803,412号参照)、3.2gのTriton(登録商標) X-305(70重量%)(17.3のHLB値を有し、オクチルフェノールエトキシレートである、Dow Chemical Co.製非イオン性界面活性剤)、および1.3gのTriton X-100(13.4のHLB値を有し、オクチルフェノールエトキシレートである、Dow Chemical Co.製非イオン性界面活性剤)を、高速分散容器に添加した。この系を80〜95℃、4,000rpmで、30分間撹拌することによって均一に混合した。80〜95℃で温度を制御しながら、上記のように得た水性ナノシリカ分散体を、2,500rpmで撹拌しながら1時間以内で系に滴加した。滴加完了後、80〜95℃で温度を維持しながら、系を、3,000rpmで0.5時間引き続き撹拌した。次いで、pH=7になるまで5重量%硝酸水溶液を添加し、それによって、安定な低VOCシリル化ポリマーエマルションを得た。
【0057】
製造したシリル化ポリマーエマルションは、48重量%の固形分、2,590nmの平均ラテックス粒子寸法、および2重量%のナノシリカ含有量を有していた。エマルションは、半年を超えて室温で安定に保たれ、使用時に水で希釈できた。
【0058】
実施例5
低VOCシリル化ポリマーエマルションの製法5
【表5】

【0059】
室温で、24gの50重量%ナノシリカヒドロゾル(100nmの平均粒度を有するEKA Chemical Co.製Nyacol(登録商標) 9950)および24gの水を、分散容器内で混合して均一な混合物を得た。得られた混合物を滴加ピペットに入れて使える状態にした。50gのエチルジメトキシシリルポリメチルフェニルシロキサン(300Pa・sの粘度および50,000の分子量(M)を有する。米国特許第5,300,608号参照)、0.3gのナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、0.2gのOceanpower Disponil NP 40(17.8のHLB値を有し、40molのエチレンオキシド単位を有するノニルフェノールポリエチレンオキシドである、中国在Haichuan Co., Ltd.製非イオン性界面活性剤)、0.2gのOceanpower Disponil SUS 87 Spezial IS(31重量%の活性物含有量、1.60のCMC、および25℃で27.70mN/mの表面張力を有し、スルホコハク酸塩である、中国在Haichuan Co., Ltd.製アニオン性界面活性剤)、0.3gのポリエチレングリコール60000、および1.0gのポリビニルピロリドン(商品名K30、98重量%、ビニルピロリドンのホモポリマー、K値:27〜33)を、高速分散容器に添加した。系を、室温、3,000rpmで、30分間撹拌することによって均一に混合した。室温で、上記のように得られたナノシリカヒドロゾルおよび水の均一な混合物を、4,000rpmで撹拌しながら2時間以内で系に滴加した。滴加完了後、系を、室温、3,000rpmで1時間引き続き撹拌し、それによって、安定な低VOCシリル化ポリマーエマルションを得た。
【0060】
製造したシリル化ポリマーエマルションは、64重量%の固形分、680nmの平均ラテックス粒子寸法、および12重量%のナノシリカ含有量を有していた。エマルションは、半年を超えて室温で安定に保たれ、使用時に水で希釈できた。水の揮発後に得られた架橋シリル化ポリマーの引張強さは、ナノシリカを添加しなかった対照としての同一であるがブランクのシリル化ポリマーの引張強さと比較して、15%上昇した。
【0061】
実施例6
低VOCシリル化ポリマーエマルションの製法6
【表6】

【0062】
15gのヒュームドナノシリカ(200〜300nmの粒度を有する米国マサチューセッツ在Cabot Corporation製CAB-O-SIL(登録商標) M-5)および65gの水を、分散容器内で、90〜95℃、3,000rpmで、20分間撹拌することによって混合し、次いで5分間超音波分散して水性ナノシリカ分散体を得た。分散体を滴加ピペットに入れて使える状態にした。20gのメチルジエトキシシリルポリアクリレート(1,500Pa・sの粘度および110,000の分子量(M)を有する。米国特許第5,986,014号および同第6,420,492号参照)、および0.2gのナトリウムドデシルベンゼンスルホネートを、高速分散容器に添加した。この系を、室温、3,000rpmで、30分間撹拌することによって均一に混合した。90〜95℃で温度を制御しながら、上記のように得た水性ナノシリカ分散体を、4,000rpmで撹拌しながら1時間以内で系に滴加した。滴加完了後、90〜95℃で温度を維持しながら、系を、3,000rpmで1時間引き続き撹拌した。次いで、pH=8になるまで10重量%アンモニア水を添加し、それによって、安定な低VOCシリル化ポリマーエマルションを得た。
【0063】
製造したシリル化ポリマーエマルションは、35重量%の固形分、1,170nmの平均ラテックス粒子寸法、および15重量%のナノシリカ含有量を有していた。エマルションは、半年を超えて室温で安定に保たれ、使用時に水で希釈できた。水の揮発後に得られた架橋シリル化ポリマーの引張強さは、ナノシリカを添加しなかった対照としての同一であるがブランクのシリル化ポリマーの引張強さと比較して、17%上昇した。
【0064】
実施例7
低VOCシリル化ポリマーエマルションの製法7
【表7】

【0065】
50〜60℃の温度で、10gの沈降ナノシリカ(50m/gの比表面積および220g/lの密度を有するDegussa Co.製Ultrasil(登録商標) 360)および29gの水を、分散容器内で20分間超音波分散することによって混合し、水性ナノシリカ分散体を得た。分散体を滴加ピペットに入れて使える状態にした。60gのビニルジメトキシシリルポリジメチルシロキサン(1.2Pa・sの粘度および12,000の分子量(M)を有し、ドイツ国デュッセルドルフ在Henkel KGaAによって供給されている。米国特許第5,300,608号参照)、および1.2gのベントナイトを、高速分散容器に添加し、室温、3,000rpmで、30分間撹拌することによって均一に混合した。50〜65℃で温度を制御しながら、上記のように得た水性ナノシリカ分散体を、4,000rpmで撹拌しながら2時間以内で系に滴加した。滴加完了後、50〜65℃で温度を維持しながら、系を、3,000rpmで0.5時間引き続き撹拌した。次いで、pH=7になるまで10重量%アンモニア水を添加し、それによって、安定な低VOCシリル化ポリマーエマルションを得た。
【0066】
製造したシリル化ポリマーエマルションは、35重量%の固形分、1,170nmの平均ラテックス粒子寸法、および15重量%のナノシリカ含有量を有していた。エマルションは、半年を超えて室温で安定に保たれ、使用時に水で希釈できた。水の揮発後に得られた架橋シリル化ポリマーの引張強さは、ナノシリカを添加しなかった対照としての同一であるがブランクのシリル化ポリマーの引張強さと比較して、15%上昇した。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例2で得た5重量%ナノシリカ含有シリル化ポリマーエマルションから、水の揮発後に得られた架橋ポリマー試料の部分的なSEM写真(倍率10,000倍)である。これより、ナノシリカが架橋ポリマー中に均一に分散していることが分かる。
【図2】実施例2のナノシリカ含有シリル化ポリマーエマルションから分離し洗浄したナノシリカ;初めに添加したナノシリカ;および初めに添加したシリル化ポリマーのFTIRスペクトルの比較図である。これより、シリル化ポリマーエマルション中のナノシリカが、その表面にグラフトされたシリル化ポリマーを有することが分かる。
【図3】実施例2で得た5重量%ナノシリカ含有シリル化ポリマーエマルションの粒子寸法分布の図である。平均粒子寸法は400nmである。これより、エマルションの粒子寸法は1μm未満であり、狭い分布を有することが分かる。
【符号の説明】
【0068】
(原文に記載なし)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)シリル化ポリマー;
(2)水;
(3)ナノシリカ;および
(4)任意の乳化剤
を含んでなるシリル化ポリマーエマルション。
【請求項2】
シリル化ポリマーが鎖末端および/または側鎖にアルコキシシリル基を有するポリマーである、請求項1に記載のエマルション。
【請求項3】
シリル化ポリマーが、アルコキシシリルポリエーテル、アルコキシシリルポリエステル、アルコキシシリル有機シリコーン樹脂、アルコキシシリルポリアクリレート、アルコキシシリルポリウレタン、アルコキシシリルポリオレフィンおよびそれらの所望の組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載のエマルション。
【請求項4】
シリル化ポリマーが25℃で0.01〜10,000Pa・sの粘度を有する、請求項1に記載のエマルション。
【請求項5】
シリル化ポリマーが、GPC法による測定で1,000〜200,000の重量平均分子量および1〜3の分子量分布を有する、請求項1に記載のエマルション。
【請求項6】
シリル化ポリマーがエマルションの総重量に基づいて20〜84重量%の量でエマルション中に存在する、請求項1に記載のエマルション。
【請求項7】
水がエマルションの総重量に基づいて14〜78重量%の量でエマルション中に存在する、請求項1に記載のエマルション。
【請求項8】
乳化剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤およびそれらの所望の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のエマルション。
【請求項9】
乳化剤が、8〜40のHLB値を有するアニオン性界面活性剤、8〜40のHLB値を有する非イオン性界面活性剤およびそれらの所望の組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のエマルション。
【請求項10】
乳化剤が、C〜C22アルキルスルホネート、C〜C22アルキルベンゼンスルホネート、C〜C22アルキルスルフェート、ホスフェート、ポリエーテル型界面活性剤、脂肪酸アミン−ポリエチレンオキシド、乳化シリル化ポリマーセグメント含有親水性ブロックポリマーおよびそれらの所望の組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のエマルション。
【請求項11】
乳化剤が、エマルションの総重量に基づいて0.1〜4重量%の量でエマルション中に存在する、請求項1に記載のエマルション。
【請求項12】
ナノシリカが10〜300nmの粒度を有する請求項1に記載のエマルション。
【請求項13】
ナノシリカが30m/g〜250m/gのBET比表面積を有する請求項1に記載のエマルション。
【請求項14】
ナノシリカが、ナノシリカ粉末または表面にヒドロキシル基を有するナノシリカヒドロゾルである、請求項1に記載のエマルション。
【請求項15】
ナノシリカが、エマルションの総重量に基づいて1〜20重量%の量でエマルション中に存在する、請求項1に記載のエマルション。
【請求項16】
エマルションが更に乳化助剤を含む請求項1に記載のエマルション。
【請求項17】
乳化助剤が、親水性助剤、増粘剤およびそれらの所望の組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載のエマルション。
【請求項18】
親水性助剤が水溶性ポリマー化合物である請求項17に記載のエマルション。
【請求項19】
増粘剤が水性増粘剤である請求項17に記載のエマルション。
【請求項20】
乳化助剤がエマルションの総重量に基づいて0超〜5重量%以下の量でエマルション中に存在する、請求項16に記載のエマルション。
【請求項21】
エマルションが4〜13のpHを有する請求項1に記載のエマルション。
【請求項22】
エマルションが85重量%以下の固形分を有する請求項1に記載のエマルション。
【請求項23】
エマルションが40〜85重量%の固形分を有する請求項22に記載のエマルション。
【請求項24】
エマルションが3μm未満のラテックス粒子寸法を有する請求項1に記載のエマルション。
【請求項25】
エマルションが1μm未満のラテックス粒子寸法を有する請求項24に記載のエマルション。
【請求項26】
エマルションが水中油型エマルションである請求項1〜25のいずれかに記載のエマルション。
【請求項27】
エマルションが油中水型エマルションである請求項1〜25のいずれかに記載のエマルション。
【請求項28】
以下の工程:
(1)シリル化ポリマーと任意の乳化剤および任意の乳化助剤とを混合する工程;
(2)ナノシリカおよび水を含む均一な混合物を形成する工程;
(3)工程(2)で得た均一な混合物を工程(1)で得た混合物に撹拌しながら滴加して後乳化を実施する工程;および
(4)任意に、乳化完了後、得られたエマルションのpHを4〜13に調整する工程
を含んでなる、請求項1〜27のいずれかに記載のシリル化ポリマーエマルションの製造方法。
【請求項29】
各成分の量がエマルションの総重量に基づいて以下の通りである、請求項28に記載の方法:20〜84重量%のシリル化ポリマー;14〜78重量%の水;0超〜4重量%以下の乳化剤;1〜20重量%のナノシリカ;および0超〜5重量%以下の乳化助剤。
【請求項30】
工程(1)における混合を、20〜95℃の温度、1,000〜3,000rpmで10〜30分間撹拌することによって実施する、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
工程(2)において、ナノシリカおよび水を含む均一な混合物を、20〜95℃の温度、1,000〜3,000rpmで10〜30分間撹拌することによって、および/または2〜20分間超音波分散することによって形成する、請求項28または29に記載の方法。
【請求項32】
工程(3)において、工程(2)で得た均一な混合物を工程(1)で得た混合物に20〜95℃の温度、2,000〜5,000rpmで0.5〜3時間かけて撹拌しながら滴加し;任意に、滴加完了後、その系を20〜95℃の温度、1,000〜3,000rpmで0.5〜2時間更に撹拌し、それによって後乳化を実施する、請求項28または29に記載の方法。
【請求項33】
pH調整剤を添加してエマルションのpHを調整し、pH調整剤が、低分子量の酸、塩基または塩、およびそれらの所望の組み合わせからなる群から選択される、請求項28または29に記載の方法。
【請求項34】
以下の工程:
(1)シリル化ポリマーと任意の乳化剤および任意の乳化助剤とを混合する工程;
(2)ナノシリカおよび水を含む均一な混合物を形成する工程;
(3)工程(2)で得た均一な混合物を工程(1)で得た混合物に撹拌しながら滴加して後乳化を実施し、それによってエマルションを形成する工程;
(4)任意に、乳化完了後、エマルションのpHを4〜13に調整する工程;および
(5)任意に、水を揮発させる工程
を含んでなる、ナノシリカをシリル化ポリマーに均一に分散させる方法。
【請求項35】
請求項1〜27のいずれかに記載のシリル化ポリマーエマルションの、被覆剤、接着剤、シーラント、インキ、スキンケア製品および洗剤の原料としての使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−520867(P2009−520867A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546682(P2008−546682)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003721
【国際公開番号】WO2007/072189
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】