説明

シリンジ型噴出器

【課題】内容液のカートリッジ化を図りつつ、少量の内容液であっても操作性を損なうことなく、泡状又は霧状に注出できる、新規なシリンジ型噴出器を提供する。
【解決手段】シリンジ2内に摺動可能に配置したピストン3aに、ロッド3cを延在させるとともに、ピストン3aで圧送した空気の通路r1を形成する操作器具1Bと、プランジャ8を有する筒状部材6と、先端筒部2Cに装着されるノズル9と、内容液Cとピストン3aで圧送された空気を通して泡状の内容液とするメッシュリング10とを備え、筒状部材6は、プランジャ8と樹脂栓7との間に密封空間を形成するカートリッジ本体としてなり、ノズル9は、そカートリッジ本体1A−1を収納可能であるとともに、その内側に、中空の突出部材11が収納された補助カートリッジしてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジに設けられた先端筒に着脱可能なノズルを有し、当該ノズルの注出口からの内容液が障壁部材を通して泡状又は霧状に注出されるシリンジ型の噴出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリンジ型の噴出器としては、バレル(シリンジ)に設けられた先端筒に着脱可能な噴霧ノズルを有し、この噴霧ノズルに配置したバルブを通して注出口から内容液を噴霧できるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−137344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした従来のシリンジ型噴出器は、ノズルを取り外すとシリンジの先端筒が開放されてしまうことから、予め内容液を密封してカートリッジ化することはできない。また、少量噴霧を目的に、シリンジに内容液を充填してカートリッジ化しようとすると、バレルの小型化によって使い勝手が悪くなることから、少量の内容液を噴霧させるのには不向きである。
【0005】
本発明の目的とするところは、内容液のカートリッジ化を図りつつ、少量の内容液であっても操作性を損なうことなく、泡状又は霧状に注出できる、新規なシリンジ型噴出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、シリンジ内に摺動可能に配置したピストンに、シリンジの先端筒部に形成した貫通孔に配置されるロッドを延在させるとともに、当該ロッドと先端筒部との間にピストンで圧送した空気の通路を形成する操作器具と、
内容液を充填するとともに当該内容液をロッドからの押圧力を付勢力として押し出すプランジャを有する筒状部材と、筒状部材を内側に収納してシリンジの先端筒部に装着されるノズルと、ノズルの内側に収納されて筒状部材から押し出された内容液とピストンで圧送された空気を通して霧状又は泡状の内容液とする障壁部材とを備え、
筒状部材は、先端が破断可能な樹脂栓によって密封されるとともに後端がプランジャによって密封されることで、当該プランジャと樹脂栓との間に密封空間を形成するカートリッジ本体としてなり、
ノズルは、その後端に形成された開口部を通してカートリッジ本体を収納可能であるとともに、その内側に、先端筒部への装着によって押し込まれたカートリッジ本体の樹脂栓を貫いて密封空間を障壁部材に通じさせる中空の突出部材が収納された補助カートリッジとしてなることを特徴とするものである。
【0007】
本発明では、樹脂栓に突起部材が挿入する凹部を設けることが好ましい。また、本発明では、筒状部材の内側に、当該筒状部材の後端に形成された開口部を通してプランジャを挿入したとき、内容液の充填空間の空気を逃がす内溝を設けることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、破断可能な樹脂栓によって筒状部材の先端を密封して、その後端に形成された開口部から内容液を充填したのち、この後端をプランジャによって密封するだけで、予め内容液が密封されたカートリッジ本体を構成することができる。このため、障壁部材及び突起部材を内蔵したノズルを補助カートリッジとして、この補助カートリッジ内にカートリッジ本体を配置するだけでカートリッジを形成することができる。
【0009】
しかも、補助カートリッジは、カートリッジ本体とは別体に、噴霧バルブ(スピンドルエレメント)やメッシュリング等の障壁部材や突起部材を予めノズルに内蔵させてなるものであるから、ノズルに内蔵した障壁部材等に内容液を接触させることなく、内容液を充填したカートリッジ本体として別途、内容液を密封保持することができる。
【0010】
また、カートリッジを操作器具に装着してシリンジ型噴出器とすれば、カートリッジ装着時において、シリンジの先端筒部が補助カートリッジ内のカートリッジ本体を押し込むことで、中空の突起部材が樹脂栓を貫いて密封空間を障壁部材に通じさせる。これにより、カートリッジを操作器具に装着してなるシリンジ型噴出器は、ピストンとともにロッドを押し込むだけの簡単な操作で、筒状部材に応じた容量だけ泡状又は霧状に取り出すことができる。
【0011】
また、内容液を押し出すプランジャは、ピストンで押し出されたロッドによって作動するものであるため、内容液を充填・圧送する機構として、筒状部材(シリンダ)及びプランジャ(ピストン)を採用できるとともに、このプランジャを駆動させる機構として、シリンジ(シリンダ)及びピストンを採用できる。この場合、プランジャを駆動させる機構を小型化させることなく、内容液を充填・圧送する機構のみ、即ち、カートリッジ本体のみを小型化することができる。従って、本発明は、操作性を損なうことなく、内容液を少量だけ泡状又は霧状に取り出したい場合に有効である。
【0012】
このように、本発明によれば、内容液のカートリッジ化を図りつつ、少量の内容液であっても操作性を損なうことなく、泡状又は霧状に注出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一形態である、シリンジ型点鼻薬噴出器を示す縦断面図である。
【図2】同形態を一部拡大して示す縦断面図である。
【図3】同形態に係るカートリッジを示す縦断面図とともに、そのX−X断面図及びY−Y断面図を示す。
【図4】同形態に係る、筒状部材の後端を示す拡大斜視図である。
【図5】(a)は、同形態に係る補助カートリッジの組み付け工程を示す縦断面図であり、(b)は、補助カートリッジを示す縦断面図である。
【図6】同形態を一部拡大してその噴射時の状態を示す縦断面図である。
【図7】補助カートリッジにカートリッジ本体を組み付けてカートリッジを構成した状態を示す縦断面図である。
【図8】(a)は、同形態に係るカートリッジ本体を示す縦断面図であり、(b)は、カートリッジ本体の製造工程を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明である、シリンジ型噴出器の一形態を詳細に説明する。
【0015】
図1にて、符号1は、本発明の一形態である、シリンジ型の点鼻薬噴出器である。点鼻薬噴出器1は、カートリッジ1A及び操作器具1Bで構成されている。
【0016】
符号2は、注射外筒としてのエアシリンジである。エアシリンジ2は、中空の胴部2aの一端に形成された環状の肩部2bを介して先端筒部2cが一体に設けられている。先端筒部2cは、胴部2aよりも小径であって、その内側には、胴部2aの内側に形成された中空の空間に通じる貫通孔が形成されている。また、エアシリンジ2には、先端筒部2cを取り囲む先端外筒部2dが一体に設けられている。更に、エアシリンジ2には、その後端に、指掛け部2eが一体に設けられている。
【0017】
符号3は、操作用シャフトである。操作用シャフト3は、エアピストン3aを有し、後端には押圧部3bが設けられている。エアピストン3aは、エアシリンジ2の胴部2aの内側に摺動可能に保持されている。これにより、使用者がエアシリンジ2の指掛け部2eに指を掛けて操作用シャフト3の押圧部3bを押圧すれば、エアピストン3aがエアシリンジ2内の空気を先端筒部2cに向けて押し出すことができる。
【0018】
更に、操作用シャフト3は、ロッドたるプランジャロッド3cを一体に有する。プランジャロッド3cは、エアピストン3aからエアシリンジ2の先端筒部2cに向かって延在し、この先端筒部2cの内側に形成された貫通孔に配置される。プランジャロッド3cは、先端筒部2cの内側に形成された貫通孔よりも小径とする。これにより、プランジャロッド3cは、図2に示すように、先端筒部2cとの間に、エアピストン3aで圧送した空気を通す環状の第1の通路(以下、「第1エア通路」)r1を形成する。
【0019】
なお、操作用シャフト3は、環状のシール部材4を有し、エアシリンジ2内での密封性を高めている。本発明において、エアシリンジ2内の空気を押し出す「ピストン」とは、エアピストン3aは勿論、エアピストン3a及びシール部材4の組み合わせに係るものも含む。また、操作用シャフト3は、エアシリンジ2との間にリターンスプリング等の弾性部材5を介在させることで、操作用シャフト3を押し込んだのち、手を離せば自動的に初期位置に復帰するように構成されている。
【0020】
操作器具1Bは、上述のように構成される一方、カートリッジ1Aは、以下のように構成される。
【0021】
符号6は、内容液(点鼻薬)Cを充填する筒状部材である。筒状部材6は、図3に示すように、その内側に貫通孔を有し、外側には、突起6aが一体に設けられている。突起6aは、同図のX−X断面に示すように、周方向(軸線O周り)に間隔を置いて複数(本形態では、4箇所)に設けられている。
【0022】
筒状部材6の先端には、ゴム等の弾性を有し軟材質からなる樹脂栓7が装着されている。樹脂栓7は、筒状部材6の先端に形成された開口部に嵌合する筒体部7aを有する。筒体部7aの上端には縁部7bが一体に設けられている。縁部7bは、筒体部7aを周回する環状体としてなる。これにより、筒体部7aを筒状部材6内に嵌合させると、筒状部材6の先端に接触することで、樹脂栓7が筒状部材6内に落ち込むのを防止する。
【0023】
また、筒状部材6の後端には、開口部A1が形成されている。開口部A1は、筒状部材6の内側に配置されたプランジャ8によって密封されている。プランジャ8は、筒状部材6の内側に摺動可能に保持されている。また、プランジャ8は、図2に示すように、開口部A1を通してプランジャロッド3cの先端が接触している。これにより、エアシリンジ2内に操作用シャフト3を押し込めば、プランジャ8は、プランジャロッド3cからの押圧力を付勢力として、樹脂栓7に向かって内容液Cを押し出すことができる。
【0024】
符号9は、先端筒部2cに装着されるノズルである。ノズル9は、筒状部材6を内側に収納する胴部9aを有し、その後端には、フランジ部9bが一体に設けられている。フランジ部9bは、ねじ部として機能し、先端外筒2dの内側に形成されたねじ部2sに取り外し可能に螺合する。これにより、ノズル9は、エアシリンジ2に螺合させることで、操作器具1Bに対して取り外し可能に装着させることができる。
【0025】
符号10は、メッシュリングである。メッシュリング10は、リング部材10aの一端面にメッシュ部材10bを固定してなる。メッシュリング10は、ノズル9の後端に形成された開口部A3を通して挿入される。これにより、メッシュリング10は、ノズル9の内側のうち、先端に形成された開口部A4側に隣接して配置される。
【0026】
符号11は、メッシュリング10に次いで、ノズル9の内側に配置される中空の突起部材である。突起部材11は、図3に示すように、ベース11aを有し、このベース11aがノズル9の内側に嵌合保持されることで、ノズル9の内側に固定される。ベース11aには、ニードル部11bが一体に設けられている。ニードル部11bは、その先端11cが先端に向かって傾斜して袈裟懸け形状をし、その内側には、貫通路r0が形成されている。
【0027】
また、ノズル9は、その後端に形成された開口部A3を通して筒状部材6を胴部9aに収納する。ニードル部11bは、図3に示すように、樹脂栓7の筒体部7aを貫通して、筒状部材6に形成された内容液Cの充填空間に通じる。これにより、突起部材11は、ニードル部11bに形成された貫通路r0を通して、内容液Cの充填空間をメッシュリング10に通じさせる。
【0028】
更に、筒状部材6は、その突起6aによってノズル9の内周面との間に摺動可能に接触する。これにより、筒状部材6とノズル9との間には隙間が形成される。加えて、筒状部材6の後端には、図4に示すように、突起6aと周方向に整列する位置にそれぞれ、切り欠き部6bが形成されている。これにより、図2に示すように、ノズル9を先端筒部2cに装着すると、筒状部材6の後端に先端筒部2cが接触することで、筒状部材6の後端側と先端筒部2cの先端との間には、切り欠き部6bで形作られた筒状部材6とノズル9との隙間に通じる開口部が形成される。
【0029】
これにより、筒状部材6が内蔵されたノズル9を先端筒部2cに装着すると、図2に示すように、筒状部材6の後端側と先端筒部2cの先端との間には、第1エア通路r1を通して押し出されたエアピストン3aからの空気を通す第2の通路(以下、「第2エア通路」)r2が形成される。また、筒状部材6とノズル9との間には、第2エア通路r2を通して押し出された空気を通す第3の通路(以下、「第3エア通路」)r3が形成される。
【0030】
更に、ノズル9は、図5(a)に示すように、筒状部材6とともに突起部材11を収納する空間の内径φ1がメッシュリング10を収納する空間の内径φ2よりも大きくなるように構成されている。これにより、ノズル9と突起部材11との間には、図3に示すように、第3エア通路r3を通して押し出された空気を通す第4の通路(以下、「第4エア通路」)r4が形成される。なお、ノズル9の内側には、周方向に間隔を置いて複数の突起9cが設けられている。突起9cは、図5(b)に示すように、突起部材11のベース11aを引っ掛けて、当該突起部材11を抜け止め保持する。突起9cは、周方向に間隔を置いて設けられているため、第3エア通路r3と第4エア通路r4とでの空気の流れは確保される。
【0031】
更に、ベース11aの上端には、図3のY−Y断面に示すように、筒状部11dとともに、この筒状部11dから放射状に伸びる溝部11eが形成されている。溝部11eは互いに、筒状部11dを取り囲む環状溝部11fを介して連通している。加えて、ベース11aの上端に設けられた筒状部11dは、溝部11e及び環状溝部11fの溝深さよりも低く構成されている。これにより、メッシュリング10と突起部材11との間のうち、筒状部11dの位置には、エア通路r1〜r3に通じる合流部Sが形成される。
【0032】
点鼻薬噴出器1において、操作器具1Bの操作用シャフト3を押し込めば、図6の実線に示すように、エアピストン3aがエアシリンジ2内の空気を先端筒部2cに向かって押し出すとともに、プランジャロッド3cが筒状部材6の内側に配置されたプランジャ8を押しこむことで、同図の白抜き実線に示すように、突起部材11の貫通路r0から内容液Cをメッシュリング10との間に形成した合流部Sに押し出す。
【0033】
一方、エアピストン3aで押し出された空気は、図6の実線に示すように、エアシリンジ2の先端筒部2cとプランジャロッド3cとの間に形成されたエア通路r1からエア通路r2〜r4を通って合流部Sに押し出される。これにより、同図の太字実線に示すように、当該合流部Sにてプランジャ8に押し出される内容液Cにエアピストン3aに押し出される空気を混合させたのち、メッシュリング10を通してノズル9の開口部A4から外界に向けて泡状に噴射させることができる。従って、本形態によれば、ピストンシャフト3を押し込むだけの簡単な操作で、筒状部材6に応じた容量だけ泡状に取り出すことができる。
【0034】
また、操作器具1B以外の部分は、上述のとおり、カートリッジ1Aとして構成することができる。カートリッジ1Aは、図7に示すように、カートリッジ本体1A−1を有する。カートリッジ本体1A−1は、図8(a)に示すように、筒状部材6の先端が樹脂栓7によって密封されるとともに後端がプランジャ8によって密封されている。これにより、カートリッジ本体1A−1は、同図に示すように、プランジャ8と樹脂栓7との間に、内容液Cを収納する密封空間を形成する。
【0035】
樹脂栓7は、図示のように、筒体部7aの下端に底部7cが一体に設けられている。これにより、図8(b)に示すように、樹脂栓7が下になるように筒状部材6を配置すれば、筒状部材6の後端に形成された開口部A1を通して内容液Cを充填することができる。内容液Cを充填したのちは、同図に示すように、プランジャ8を開口部A1に通すことにより、開口部A1を密封することができる。
【0036】
加えて、本形態では、筒状部材6の内側に、2本の内溝6gが形成されている。内溝6gは、筒状部材6の後端から一定の長さに形成されている。内溝6gは、図8(a)等に示すように、プランジャ8との間に、内容液Cの充填空間を外界に通じさせるエア抜き通路を形成する。これにより、図8(b)に示すように、筒状部材6の後端に形成された開口部A1を通してプランジャ8を挿入したとき、内容液Cの充填空間に残った余計な空気を逃がすことができる。
【0037】
また、ノズル9は、筒状部材6を収納したままエアシリンジ2に対して着脱できることから、図5(b)に示すように補助カートリッジ1A−2とすることができる。補助カートリッジ1A−2は、カートリッジ本体1A−1とともにカートリッジ1Aを構成する。また、補助カートリッジ1A−2は、同図に示すように、ノズル9の内側に2つのメッシュリング10を収納してなる。2つのメッシュリング10は、同図(a)に示すように、互いのメッシュ部材10bが内容液Cを噴射させるときの上流側と下流側に配置されるように順次収納されている。更に、補助カートリッジ1A−2には、2つのメッシュリング10よりも下流側に突起部材11が収納されている。
【0038】
補助カートリッジ1A−2は、図7に示すように、その後端に形成された開口部A3を通してカートリッジ本体1A−1を収納することができる。これにより、カートリッジ1Aは、補助カートリッジ1A−2にカートリッジ本体1A−1を収納するだけの簡単な作業で構成することができる。なお、本発明によれば、図7に示すように、予め、補助カートリッジ1A−2にカートリッジ本体1A−1をセットすることでカートリッジ1Aの状態で流通することができるとともに、図5(b)及び図7に示すように、カートリッジ本体1A−1と補助カートリッジ1A−2とを別体のセットとして流通させることもできる。
【0039】
樹脂栓7は、図7に示すように、筒体部7aの下端に底部7cが一体に設けられていることから、樹脂栓7の中心部分には、筒状部材6の内部に向かって伸びる凹部Gが形成される。この凹部Gには、同図に示すように、ニードル部11bを摺動可能に収納することができる。樹脂栓7は、突起部材11のニードル部11bによって破断可能な樹脂からなる。樹脂栓7を構成する材料としては、例えば、ゴムに代表されるような、弾性を有する軟材質のものが挙げられる。
【0040】
これにより、使用者は、点鼻薬噴出器1を使用するに際して、図7に示すカートリッジ1Aを操作器具1Bに装着すれば、突起部材11のニードル部11bが図3に示すように、先端筒部2cへの装着による押し込みで樹脂栓7の底部7cを貫いて密封空間をメッシュリング10に通じさせることができる。そして、エアシリンジ2内に操作用シャフト3を押し込めば、上述のとおり、プランジャ8は、プランジャロッド3cからの押圧力を付勢力として、突起部材11に形成した貫通路r0からメッシュリング10に向けて内容液Cを押し出すことができる。
【0041】
上述のように、本形態では、破断可能な樹脂栓7によって筒状部材6の先端を密封して、その後端に形成された開口部A1から内容液Cを充填したのち、この後端をプランジャ8によって密封するだけで、予め内容液Cが密封されたカートリッジ本体1A−1を構成することができる。このため、メッシュリング10及び突起部材11を内蔵したノズル9を補助カートリッジ1A−2として、この補助カートリッジ1A−2内にカートリッジ本体1Aを配置するだけでカートリッジ1Aを形成することができる
【0042】
しかも、補助カートリッジ1A−2は、カートリッジ本体1A−1とは別体に、メッシュリング10及び突起部材11を予めノズル9に内蔵させてなるものであるから、ノズル9に内蔵したメッシュリング10等に内容液Cを接触させることなく、内容液Cを充填したカートリッジ本体1A−1として別途、内容液Cを密封保持することができる。
【0043】
また、本形態では、カートリッジ1Aを操作器具1Bに装着してシリンジ型噴出器1としたことにより、カートリッジ1Aの装着時において、エアシリンジ2の先端筒部2cが補助カートリッジ1A−2内のカートリッジ本体1A−1を押し込むことで、中空の突起部材11が樹脂栓7を貫いて密封空間をメッシュリング10に通じさせる。これにより、カートリッジ1Aを操作器具1Bに装着してなる本形態は、エアピストン3aとともにプランジャロッド3cを押し込むだけの簡単な操作で、ノズル9の先端開口部A4から筒状部材6に応じた容量だけ泡状に取り出すことができる。
【0044】
また、内容液Cを押し出すプランジャ8は、エアピストン3aで押し出されたプランジャロッド3cによって作動するものであるため、内容液Cを充填・圧送する機構として、筒状部材(シリンダ)6及びプランジャ(ピストン)8を採用できるとともに、このプランジャ8を駆動させる機構として、エアシリンジ(シリンダ)2及びエアピストン3aを採用できる。この場合、プランジャ8を駆動させる機構を小型化させることなく、内容液Cを充填・圧送する機構のみ、即ち、カートリッジ本体1A−1(筒状部材6、樹脂栓7及びプランジャ8)のみを小型化することができる。従って、本形態は、操作性を損なうことなく、内容液Cを少量だけ泡状に取り出したい場合に有効である。
【0045】
このように、本形態によれば、内容液Cのカートリッジ化を図りつつ、少量の内容液Cであっても操作性を損なうことなく、泡状に注出することができる。
【0046】
特に、本形態のように、樹脂栓7に突起部材11が挿入する凹部Gを設ければ、カートリッジ本体1A−1の密封性を確保しつつ、確実に開封することができ、更に開封後の密封性も確保することができる。
【0047】
上述したところは、本発明の一形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、筒状部材6とノズル9との間に形成されるエア通路r3は、筒状部材6の周方向に間隔を置いて外溝を形成してノズル9との間に隙間を形成する等、その形成方法は問わない。筒状部材6と先端筒部2cとの間に形成されるエア通路r2やその他のエア通路r4並びに合流部Sについても同様である。また、本形態では、樹脂栓7は、筒状部材6と別体に構成されることで、筒状部材6に対して組み付けられるものとしたが、本発明によれば、樹脂栓7は、筒状部材6と一体に成形することもできる。本発明によれば、メッシュリング10に替えて、噴霧バルブ(スピンドルエレメント)等の障壁部材を採用し、霧状に注出することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、空気を混合させた内容液の噴出を目的とした噴出器であれば、様々なものに適用することができる。また、内容物の種類についても、限定されない。
【符号の説明】
【0049】
1 シリンジ型の点鼻薬噴出器
1A カートリッジ
1A−1 カートリッジ本体
1A−2 補助カートリッジ
1B 操作器具
2 エアシリンジ
2a 胴部
2b 肩部
2c 先端筒部
2d 先端外筒部
2e 指掛け部
3 操作用シャフト
3a エアピストン
3b 操作用シャフト押圧部
3c プランジャロッド(ロッド)
4 シール部材
5 弾性部材
6 筒状部材
6a 外溝(エア通路)
6b 切り欠き(エア通路)
6g 内溝(エア抜き通路)
7 突起部材
7a ベース部
7b ニードル部
8 プランジャ
9 ノズル
9a 胴部
9b フランジ部
9c 突起
10 メッシュリング
10a リング部材
10b メッシュ部材
A1 筒状部材の後端開口部
A3 ノズルの後端開口部
A4 ノズルの先端開口部
r0 貫通路通路
r1 第1エア通路
r2 第2エア通路
r3 第3エア通路
r4 第4エア通路
S 合流部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジ内に摺動可能に配置したピストンに、シリンジの先端筒部に形成した貫通孔に配置されるロッドを延在させるとともに、当該ロッドと先端筒部との間にピストンで圧送した空気の通路を形成する操作器具と、
内容液を充填するとともに当該内容液をロッドからの押圧力を付勢力として押し出すプランジャを有する筒状部材と、筒状部材を内側に収納してシリンジの先端筒部に装着されるノズルと、ノズルの内側に収納されて筒状部材から押し出された内容液とピストンで圧送された空気を通して霧状又は泡状の内容液とする障壁部材とを備え、
筒状部材は、先端が破断可能な樹脂栓によって密封されるとともに後端がプランジャによって密封されることで、当該プランジャと樹脂栓との間に密封空間を形成するカートリッジ本体としてなり、
ノズルは、その後端に形成された開口部を通してカートリッジ本体を収納可能であるとともに、その内側に、先端筒部への装着によって押し込まれたカートリッジ本体の樹脂栓を貫いて密封空間を障壁部材に通じさせる中空の突出部材が収納された補助カートリッジとしてなることを特徴とするシリンジ型噴出器。
【請求項2】
請求項1において、樹脂栓に突起部材が挿入する凹部を設けたことを特徴とするシリンジ型噴出器。
【請求項3】
請求項1又は2において、筒状部材の内側に、当該筒状部材の後端に形成された開口部を通してプランジャを挿入したとき、内容液の充填空間の空気を逃がす内溝を備えることを特徴とするシリンジ型噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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