説明

シングルアクション放出バルブ

容器の内容物を放出するためのシングルアクション放出バルブ。バルブは、内容物が放出される通路を備えたバルブボディと、バルブボディ内部に保持されシールが元の状態のままである間通路を密封する脆弱シールと、第1の位置から第2の位置に移動可能なアーマチュアを含むソレノイドとを備える。アーマチュアが移動した時にピン又は歯が脆弱シールに衝撃を与えて破壊する。磁石はソレノイドが作動するまでアーマチュアを第1の位置に保持する。アーマチュアは実質的に通路の外面であり、それにより放出は妨げられない。1実施形態において、ピンは、アーマチュアによってカム運動させられた時に径方向に往復動し、脆弱半球状シールの側壁に衝撃を与える。他の実施形態において、アーマチュアの歯又はアーマチュアの経路のピンが、アーマチュアの移動に平行に往復動し、脆弱円板に衝撃を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
適用なし。
(連邦政府後援の研究又は開発に関する陳述)
適用なし。
(コンパクトディスクの参照)
適用なし。
【背景技術】
【0002】
1.発明の分野
本発明は、一般に、加圧貯蔵容器から気体、液体又は乾燥材料を放出するための放出バルブに関し、より詳しくは、加圧貯蔵容器から材料を放出するための遠隔操作シングルアクション放出バルブに関する。
【0003】
2.情報開示の陳述
気体若しくは液体又はそれらの混合物、又は乾燥材料若しくは粉末といった材料を加圧容器から放出する放出バルブを設けることがしばしば望まれ、更にそのようなバルブを遠隔で作動させることが望ましい。たいてい、放出される材料は腐食性であり、バルブの作動前のある期間に亘ってバルブの内部構成要素を腐食し得る。爆薬を使用してピストンを駆動し穿孔要素にバルブシールを押し破らせる従来技術の手法が知られているが、そのような手法は、発火するかもしれない可燃性放出材料と共に使用される場合に望ましくない。
【0004】
従って、圧力の掛かった容器の内容物を放出するために遠隔で作動させることができるシングルアクション放出バルブを有することが望ましい。バルブの内部構成要素が作動前に被放出加圧材料に曝されないことが更に望ましい。そのようなバルブへの応用は、消火材料の放出、生物・化学戦研究所における反作用剤の放出、並びに、航空機及び船舶における燃料の非常時放出を含む。燃料又は他の液体の非常時放出に使用される場合、バルブは、例えば燃料タンクなどといった容器の底部領域の口から放出するために使用されることができ、容器内の液体の重量がバルブを通過して放出するための圧力を供給し、そしてそのようなバルブは、所望の放出速度に適応するために小型から大型までの寸法への拡縮を可能にする設計を有することが望ましい。
【0005】
事前特許性調査は以下の特許及び特許公報を提示し、それらのうちの幾つかは本発明に関連するかもしれない。2005年1月20日公開のSundholmらの特許文献1、1974年12月10日発行のHarrisらの特許文献2、1975年10月28日発行のRoznieckiの特許文献3、1977年2月8日発行のZehrの特許文献4、1999年7月6日発行のThomasの特許文献5、2000年12月26日発行のThomasの特許文献6、2005年6月21日発行のAhlersの特許文献7、そして2006年10月10日発行のMcLane,Jr.の特許文献8。
【0006】
更に、以下の特許参考文献もまた知られている。1976年10月5日発行のHardestyの特許文献9、1990年1月16日発行のWittbrodtらの特許文献10、1994年4月5日発行のSwansonの特許文献11、2001年2月20日発行のJamesの特許文献12、そして2003年9月16日発行のGrabowの特許文献13。
【0007】
Sundholmらの特許文献1は、図2において、円板を穿孔するために穿孔要素を推進させる爆薬を開示し、図3は穿孔要素が円板を穿孔することを生じさせる圧力駆動ピストンを開示している。Harrisらの特許文献2は、ピンがバルブシールを穿孔して圧力の掛かった消火剤を放出することを生じさせる爆発起爆装置を開示している。Roznieckiの特許文献3は、爆薬によって移動させられる切断環によって穿孔される破断可能円板を開示している。第1欄第45〜50行において、特許文献3は火を感知するために赤外線及び紫外線センサの使用を開示している。Hardestyの特許文献9は、ダイアフラムシールを剪断する電気起爆装置を有する爆発バルブを開示している。Zehrの特許文献4は、可熔性リンクが熔解してばね式パンチがシーリング円板を破断することを生じさせる消火器用破断ヘッドを開示している。Wittbrodtらの特許文献10は、火災鎮圧システム用センサを開示しており、第3欄第27〜30行においてソレノイド及び爆薬作動起爆管バルブの使用を開示している。Swansonの特許文献11は、ソレノイド作動パイロットバルブと共にばね偏倚チェックバルブを有する電動バルブを開示している。Thomasの特許文献5は、爆発起爆管がピストンから軸方向に延びるピンを推進させてシリンダーの密封出口を破裂させ、それによって消火材料を放出する自動車用消火システムを開示すると共に、代替実施形態はピストン及びピンを推進させるためにソレノイドを使用することを開示している。Thomasの特許文献6は、Thomasの特許文献5の類似の開示を有しており、センサを伴う制御回路を付加的に開示している。Ahlersの特許文献7はバルブを開示しており、火災鎮圧材料を放出するために脆弱円板を破断する圧力波を発生するための圧力カートリッジアクチュエータが使用されている。Jamesの特許文献12は、スパイクがダイアフラムを破断して火災鎮圧材料の放出を生じさせるように鋭利なスパイクを備えたピストンを移動させるための、花火装置において使用される形式のヒューズヘッド起爆装置が使用されている消火器を開示している。Grabowの特許文献13は、客室及び乗務員室に放出ノズルを備える航空機におけるデッキ下の消火器配管システムを開示している。McLane,Jr.の特許文献8は、後退位置から拡張位置にピストンを移動させ、それによって穿孔部材を備えたラムがシールを穿孔することを生じさせて火災鎮圧剤が放出されることを生じさせる電動爆発起爆管又は電動ソレノイドのどちらか一方との組合せによる手動放出火災鎮圧システムを開示している。
【0008】
これらの引用文献のいずれも、単独又は組合せにおいて本発明を開示又は提案していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/011552号
【特許文献2】米国特許第3853180号明細書
【特許文献3】米国特許第3915237号明細書
【特許文献4】米国特許第4006780号明細書
【特許文献5】米国特許第5918681号明細書
【特許文献6】米国特許第6164383号明細書
【特許文献7】米国特許第6107940号明細書
【特許文献8】米国特許第7117950号明細書
【特許文献9】米国特許第3983892号明細書
【特許文献10】米国特許第4893680号明細書
【特許文献11】米国特許第5299592号明細書
【特許文献12】米国特許第6189624号明細書
【特許文献13】米国特許第6619404号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、圧力の掛かった容器の内容物を放出するために遠隔で作動させることができるシングルアクション放出バルブを提供することである。本発明の更なる目的は、バルブの内部内容物が作動前に被放出加圧材料に曝されないことである。本発明の更なる目的は、バルブが、放出後の以降の再使用のために容易に再調整可能であることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、遠隔で作動させることができるシングルアクション放出バルブである。ソレノイドがアーマチュアを往復動させ、脆弱シールを破壊させると共に加圧容器の内容物をバルブを通過して放出させる。1個以上のピン又は歯が脆弱シールを破壊するためにアーマチュアによって移動させられる。バルブ及びそのアーマチュアを貫いている開いた妨げのない通路は、シールが破壊された時に容器の内容物を放出する。ソレノイドの作動まで、アーマチュアは1個以上の磁石によって第1の位置に好適に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】直径に沿って得られる本発明の第1の実施形態の断面図であり、第1の位置におけるアーマチュアを示す。
【図2】同じく図1と同じ直径に沿って得られる本発明の第1の実施形態の断面図であるが、往復動ピンが脆弱シールを破壊した第2の位置におけるアーマチュアを示す。
【図3】アーマチュアの直径に沿って得られる本発明の第1の実施形態のアーマチュアの断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態のピンの側面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態のピンの側面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の平面図である。
【図7】本発明の全部の実施形態の出口キャップの側面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態のベース取付具の断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態のボビンの側面図である。
【図10】図9に図示の線10−10にほぼ沿って得られる本発明の第3の実施形態のボビンの平面図である。
【図11】本発明のバルブと共に使用されるセンサ及び作動回路を記号を用いて示す概略ブロック図である。
【図12】直径に沿って得られる本発明の第2の実施形態の断面図であり、第1の位置におけるアーマチュアを示すと共に、点線輪郭線で、歯が脆弱シールに衝撃を与える第2の位置にアーマチュアが移動した時を示している。
【図13】図12に図示の線13−13にほぼ沿って得られる本発明の第2の実施形態の上向き横断面図であり、磁石の取付を示している。
【図14】直径に沿って得られる本発明の第3の実施形態の断面図であり、第1の位置におけるアーマチュアを示すと共に、点線輪郭線で、往復動ピンが脆弱シールに衝撃を与える第2の位置にアーマチュアが移動した時を示している。
【図15】図16に図示の線15−15にほぼ沿って得られる本発明の第2の実施形態のアーマチュアの底面図である。
【図16】本発明の第2の実施形態のアーマチュアの側面図である。
【図17】本発明の第3の実施形態のベースプレートの平面図であり、ケースねじの位置が例証の目的で点線輪郭線で示されている。
【図18】図17に図示の線18−18にほぼ沿って得られる本発明の第3の実施形態のベースプレートの断面図であり、ケースねじの位置が例証の目的で点線輪郭線で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜18に言及すれば、本発明のシングルアクション放出バルブの3つの好ましい実施形態1.20、2.20及び3.20が示されている。バルブの全部の実施形態について識別用参照符号が同様に指示されており、3つの実施形態のための参照符号はそれぞれ“1.”、“2.”及び“3.”の接頭辞を有しており、そして各種実施形態の類似の構造上の特徴は同じ接尾辞(例えば“1.20”、“2.20”及び“3.20”)を有する。種々の好ましい実施形態の多くの態様はほぼ同じであり、相違だけが詳細に扱われることになり、種々の実施形態の類似の構造上の特徴は類似の機能を実行することが理解される。
【0014】
バルブ1.20、2.20及び3.20の全部の実施形態は、加圧容器24に付着するためのバルブボディ(それぞれ1.22、2.22及び3.22)を含み、そして全部の実施形態のバルブボディは通路(それぞれ1.26、2.26及び3.26)を有し、それらを通じて後述の通りバルブが開放された時に容器の内容物が放出される。加圧容器24の内容物は、気体若しくは液体又はそれらの混合物、又は、乾燥材料若しくは粉末といったあらゆる加圧材料であるとして良い。燃料又は他の液体の非常時放出に使用される場合、バルブは、図面に示された図から反転されて、例えば燃料タンクといった容器の底部領域の口から放出するために使用することができ、容器内の液体の重量がバルブを通過して放出するための圧力を供給する。本発明の全部の実施形態は好ましくは、製造の容易さ及び向上した性能のためにほぼ円筒形で対称であり、そのためバルブの直径に沿った断面図はバルブの構造を示すために充分であろう。しかし、バルブが円筒形で対称である要請は全く無く、他の構造が本発明の範囲を逸脱することなく使用することができる。更に、本発明のバルブの全部の実施形態の長所の1つは、それがあらゆる所望の放出流量に適応するためにより大きな放出通路を設けるために小型又は大型の寸法に容易に拡縮することができることである。
【0015】
バルブの全部の実施形態はまた、脆弱シール(それぞれ1.28、2.28及び3.28であり、以下で更に詳細に説明する)を含み、バルブボディ内に保持されシールが元の状態のままである間通路を密封する。脆弱シールはガラス、ポリカーボネート又は金属で作ることができるが、図面に示された好ましい実施形態において、脆弱シールはガラス、好ましくは周知の安価なソーダ石灰ガラスで作られている。金属からの脆弱シールの製作は周知であり、例えば、機械加工により、又は、より多くの場合、化学エッチングにより、シールに1個以上の溝を形成することによって行われる。脆弱シールを金属で製作することの望ましくない特徴は、シールがバルブの作動前にそれらの内容物を放出しないように阻止している間に、例えば腐食又は汚染によってある特定の金属が容器の内容物と化学反応し得るということである。この理由で、ガラス又はポリカーボネート材料の脆弱シールが好ましい。本発明の全部の実施形態において、バルブの全部の部品は加圧容器に保持された材料から脆弱シールによって遮られ、そのようにしてバルブの構成要素が放出前に容器の内容物による起こり得る腐食若しくは汚染、又は、それとの反応に曝されないことに留意しなければならない。
【0016】
バルブの全部の実施形態は更に、ソレノイドのアーマチュア(それぞれ1.34、2.34及び3.34であり、以下で更に詳細に説明する)の選択的作動のために、バッテリ又は他の電力源といった電力源32との選択的接続のためのソレノイド(それぞれ1.30、2.30及び3.30であり、以下で更に詳細に説明する)を含む。アーマチュアは、種々の好ましい実施形態について後述の通り、第1の位置から第2の位置に移動し、アーマチュアが第2の位置に移動した時に衝撃手段にシールを破壊させるように、脆弱シールを少なくとも2つの部片に破砕するための各実施形態の衝撃手段(それぞれ衝撃手段1.36、2.36及び3.36)を移動させる。脆弱シールの破損又は破壊は、シールを破損又は部片に破砕させることなく単にシールを穿孔して加圧容器の内容物の迅速な放出のための拡大した通路を開放しない従来技術のバルブに優る改良を提供する。全部の実施形態において、以下で更に詳細に説明するように、通路(それぞれ1.26、2.26及び3.26)は好ましくはアーマチュアを貫通しており、アーマチュアは実質的に通路の外側にあり、好ましくは通路を包囲している。その上、全部の実施形態において、通路は好ましくは中心対称軸(それぞれ1.37、2.37及び3.37)を有し、それに沿ってアーマチュアは第1の位置から第2の位置に往復動する。
【0017】
特に図1〜4及び7に言及すれば、本発明のバルブの第1の好ましい実施形態1.20の構造をここで詳細に説明することができる。
【0018】
バルブ1.20のバルブボディ1.22は、ハウジング1.38、ハウジング1.38内に例えば複数のねじ1.42によって保持された頂部キャッププレート1.40、及びベース取付具1.44を含む。ベース取付具1.44はアルミニウムで作られており、容器24の口48に挿入されるフランジ1.46を有しており、そしてベース取付具1.44はその外周で例えば溶接50によってベース取付具1.44を容器24に封止するように容器24に溶接される。バルブ1.20は、ベース取付具1.44を容器24に溶接した後に好適に組立てられ試験されることを理解しなければならない。本発明の全部の実施形態は本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、容器へのベース取付具の溶接によってではなく容器24の嵌合ねじ口へのねじ込み挿入のために、バルブの入口(それぞれ1.52、2.52及び3.52)から延びる周知のねじ管(図示せず)を等価的に有し得ることを理解しなければならない。
【0019】
バルブボディ1.22は入口1.52及び出口1.54を有し、バルブボディ1.22を貫く通路1.26は入口1.52を出口1.54に接続しており、脆弱シール1.28が破壊された時に容器24の内容物をバルブ1.20を通過して放出することを可能にする。
【0020】
バルブ1.20の脆弱シール1.28は一般に半球状又は指ぬき状であり、バルブボディ1.22内部において、ハウジング1.38とベース取付具1.44との間で掴持密封して捕捉されるシール外周部又はフランジ1.56をその底部に有する。ベース取付具1.44の円形溝1.60内のフランジ1.56の下面の周知のニトリルOリング1.58が、シール1.28が元の状態のままである間容器24の加圧内容物の漏出を防ぐ気密シールをもたらす。そしてフランジ1.56の周りのハウジング1.38とベース取付具1.44との間でのシール1.28の掴持捕捉は、フランジ1.56でのシール1.28の高い剪断強さによって、シール1.28の早期破壊を伴うことなく容器24内の圧力に耐える大きな強度を付与する。バルブ1.20は、フランジ1.56の上面とバルブハウジング1.38との間に周知のニトリルワッシャ1.62を有し、ベース取付具1.44へのバルブハウジング1.38の組立中にそれらの2つの部品がねじ1.64で一体にねじ込み嵌合される際に壊れないように脆弱シール2.28のフランジ1.56を保護する。
【0021】
バルブ1.20は、円筒形コア1.72を包囲する硬質アルマイトボビン1.70に巻かれた1本の電線1.68から作られたコイル1.66を備えるソレノイド1.30を含む。ボビン1.70は電線1.68で完全に巻かれており、電線1.68の一部だけが例証の目的で図示されていることを理解しなければならない。更に、ボビン1.70は、コイル1.66が外部固定具に巻き付けられ、その形状を維持するために充填用樹脂で充填される場合に削除してもよく、それによってさもなければボビンによって占められていたスペースにおける付加的なコイル巻き線を可能にすると共に、極端な環境条件によって必要な場合、コイル1.66もまたバルブ1.20の内側で適所に埋め込んでも良いことを理解しなければならない。
【0022】
ソレノイド1.30は、コイル1.66がその内部に磁場を生成するために励磁された時に図1に図示の第1の位置から図2に図示の第2の位置に上方へ往復動するアーマチュア1.34を更に備える。全部の実施形態のアーマチュアだけでなく全部の実施形態のコア、並びに、バルブボディ及びそのハウジングは好ましくは、申し分ない磁気特性を付与するために低炭素含有量を有する、SAE C1017合金材料又は等価物といったいわゆる“電気鋼”又は“けい素鋼(transformer steel)”で作られている。アーマチュア及びバルブボディの部品が腐食性環境に曝される場合、それらの部品は好ましくは腐食を防ぐために防食性コーティングを備える。代替として、磁気特性を備えたステンレス鋼を使用することもでき、又は、これらの部品の表面を腐食を防ぐためにニッケルといった材料でめっきすることもできよう。
【0023】
従来技術による従来のソレノイド製作は、ソレノイドの迅速な動作のために設計され、それは極めて低質量のアーマチュアを要求する。それらの教示とは対照的に、本発明のアーマチュアは、脆弱シールを破壊するために充分な運動エネルギーを発生するために相当の質量を有していなければならない。おおよその目安として、アーマチュア(それぞれ1.34、2.34及び3.34)の質量は好ましくはバルブボディ(それぞれ1.22、2.22及び3.22)の質量の少なくとも1/2でなければならず、それにより磁気エネルギーの大部分がアーマチュアの移動に向かい、それによって脆弱シールを破壊するために充分な力を発生する。アーマチュアはソレノイドが励磁された時にソレノイドの中心に向けて往復動するので、バルブは、アーマチュアがソレノイドの中心から充分に外れた第1の位置からその往復動を開始するように、そして衝撃手段が脆弱シールを打撃し破壊した時の第2の位置はアーマチュアの往復動がソレノイドの中心に到達する前に現れるように作られている。脆弱シール円板を破損させるために要求される力は、脆弱シール円板の材料及び厚さに関連することが解っている。アーマチュアは、脆弱シールの衝撃前に最大速度に到達するために充分なプレトラベルを許す磁気密度及び物理的寸法を付与するように選択される。コイルへの電力入力は、コイルへの適格な電気信号の印加後2.5〜3.0ミリ秒で最大磁力に達するようにコイルを強制するよう調整される。コイルに供給される電圧及び電流、アーマチュアの物理的寸法及び質量、衝撃手段(以下に記載)の歯又はピンの数及び、円板の寸法及び材料は、バルブの脆弱シールの反復可能な破損を生ずるために所与のバルブ寸法に要求される通りに調整される。第2及び第3の実施形態2.20及び3.20に優る第1の実施形態1.20の長所は、第1の実施形態1.20では、コイル1.66の外面であり、それゆえ他の実施形態のアーマチュアよりも大きいアーマチュア1.34が、アーマチュア2.34、3.34よりも大きい質量を有し得るということである。
【0024】
脆弱シール1.28、2.28及び3.28は、容器24内に圧力を閉じ込めるために充分な強度を有しながらも後述の通り各実施形態の衝撃手段によって破壊され得るように設計されていなければならないことを理解しなければならない。所与のシールについて、その強度は、使用される材料、材料の厚さ、シールが掴持される様態、及びシールの表面欠点の有無によって決定される。より強いシールが要求される場合、表面欠点は研磨又は熱処理によって除去することができる。弱いシールが要求される場合、例えばエッチングによって表面欠点を加えても良い。本発明の好ましい実施形態において、表面欠点を付加又は除去する必要は判明していない。
【0025】
バルブ1.20は、脆弱シール1.28を少なくとも2つの部片に破砕するための衝撃手段1.36を更に含み、衝撃手段1.36はアーマチュア1.34によって移動させられてアーマチュア1.34が第2の位置に移動した時に脆弱シール1.28を破壊する。本発明の第1の実施形態1.20において、衝撃手段1.36は、アーマチュア1.34に関して径方向の平面におけるバルブボディ1.22内部での往復動のために取付けられた少なくとも1本のピン1.74を含み、往復動平面もまたその内部にアーマチュア1.34の対称軸を含んでおり、そしてピン1.74は脆弱シール1.28の半球状部分1.84の側壁1.82に垂直な往復動のために好適に取付けられている。アーマチュア1.34はカム部1.76を有しており、カム部はアーマチュア1.34が図1に図示の第1の位置から図2に図示の第2の位置に移動した時にピン1.74の後端1.78と係合し、それによってピン1.74の尖端1.80に、脆弱シール1.28の半球状部分1.84の側壁1.82に強制的に衝撃を与えさせ、そのようにしてシール1.28を少なくとも2つの部片に、すなわちフランジ1.56がベース取付具1.44とハウジング1.38との間に保持されている状態の図2に図示のシールの残部1.28’と、容器24内の圧力によって通路1.26を通過して放出される少なくとも1個の他方のシール断片1.28”とに破砕する。好ましくは、バルブ1.20は、側壁1.82の周りの複数の衝撃点で共同してシール1.28に衝撃を与えるためにアーマチュア1.34の軸の周りに角を成して離間された複数のピン1.74を含み、それによってアーマチュア1.34に対称的な力を付与してそれが往復動してピン1.74をカム運動させた時にアーマチュア1.34が固着しないようにする。各のピン1.74は、シール1.28との衝撃の間の尖端1.80の鈍化を防ぐために硬さロックウェルC30の焼入れ鋼で好適に作られており、それぞれの穴1.86を通り延出する。アーマチュア1.34は予備カム運動(pre-camming)部1.87を有しており、それによりアーマチュア1.34は往復動のプレトラベル部分を有し、その間にそれはアーマチュア1.34のカム部1.76によるピン1.74の後部1.78との係合前に充分な運動エネルギーを蓄積することができることに留意しなければならない。
【0026】
全部の実施形態と同様に、バルブ1.20は任意で、その出口1.54に挿入され好ましくはナイロンといった耐久性材料で作られた放出キャップ88を備えていてもよく、キャップ88の周回フランジ90が出口1.54内で嵌合溝1.92と係合してバルブ1.20が作動するまでキャップ88を出口1.54内に保持する。キャップ88の目的は、泥などといったごみがバルブの作動前にバルブを詰まらせるのを防ぐことである。バルブが容器24の内容物を放出する時に、脱出材料の圧力は出口1.54のキャップ88を容易に吹き飛ばす。
【0027】
ソレノイドの作動前の第1の位置にアーマチュアを保持するために、1個以上の磁石1.94がアーマチュア1.34を第1の位置に磁気的にラッチするために例えば穴1.96においてバルブボディに取付けられており、磁石は、ソレノイドの作動前のアーマチュアの早期解放が脆弱シールの不要な破壊を生じ得るので、バルブが受けるかもしれない機械的衝撃のためにアーマチュア1.34がソレノイドの作動前に第1の位置から解放されないように、充分な強度であるように選択されなければならない。このラッチングはまた、アーマチュアがその第1の位置に保持されることを生じさせる一方、ソレノイドの作動後にコイルがその完全な磁気エネルギーを発生させ、それにより最大の運動エネルギーがコイルによってアーマチュアに付与され、それによって脆弱シールを破壊するためにより大きい衝撃力を生ずることができるようにする。もしアーマチュアを第1の位置に保つためにばねを使用した場合、それは第2の位置に向けたその行程の間アーマチュアに抵抗し、それによって脆弱シールを破壊するためのアーマチュアの運動エネルギーを低減するかもしれない。もしアーマチュアを第1の位置に保持するために接着剤を使用した場合、ソレノイドはアーマチュアを第1の位置から解放するために接着剤の結合力に打ち勝たなければならなくなり、そのような接着剤は温度及び湿気のために劣化しそれゆえ時間と共に弱くなり得るので、第1の位置からのアーマチュアの早期解放を生ずるかもしれない。本発明の全部の実施形態において好適に使用される磁石1.94は、好ましくは円筒形であり、例えば直径0.125インチ(0.318cm)及び厚さ0.625インチ(0.159cm)であって、穴1.96に接着される。バルブがより大きいか又は小さい寸法に拡縮された場合、より大きいか又は小さい磁石、そして多いか又は少ない磁石の数が本発明の精神及び範囲を逸脱することなく使用できることを理解しなければならない。
【0028】
次に図12、13、15及び16に転じて、本発明のバルブの第2の好ましい実施形態2.20をここに説明することができる。
【0029】
バルブ2.20のバルブボディ2.22は、ハウジング2.38、ハウジング2.38内に例えば複数のねじ2.42によって保持された頂部キャッププレート2.40及びベース取付具2.44を含む。ベース取付具2.44はアルミニウムで作られており、その外周で例えば溶接50によってベース取付具2.44を容器24に封止するように容器24に溶接されており、そして図1及び2に図示のバルブの第1の実施形態1.20と同様に、ベース取付具2.44は容器24の口48に挿入するためのフランジを有していても良いことを理解しなければならない。バルブ2.20は、ベース取付具2.44を容器24に溶接した後に好適に組立てられ試験されることを理解しなければならない。
【0030】
バルブボディ2.22は入口2.52及び出口2.54を有し、バルブボディ2.22を貫く通路2.26は入口2.52を出口2.54に接続しており、脆弱シール2.28が破壊された時に容器24の内容物をバルブ2.20を通過して放出することを可能にする。
【0031】
第2及び第3の実施形態の脆弱シール2.28及び3.28はほぼ類似であり、シール2.28及びその取付けの説明で両方について充分である。
【0032】
シール2.28は好ましくは、ハウジング2.38とベース取付具2.44との間でバルブボディ2.22内部に捕捉によってシール外周部2.56のその外周で掴持されたソーダ石灰ガラスの円板であり、そしてベース取付具2.44の円形溝2.60内の周知のニトリルOリング2.58がベース取付具2.44と脆弱シール2.28との間でシールを形成する。バルブ2.20はシール2.28の上面とバルブハウジング2.38との間に周知のニトリルワッシャ2.62を有し、ベース取付具2.44へのバルブハウジング2.38の組立中にそれらの2つの部品がねじ2.64で一体にねじ込み嵌合される際に壊れないように脆弱シール2.28を保護する。脆弱シールの上面のこのワッシャ2.62は、バルブ3.20について図示の通り、脆弱シールと接触するバルブボディの下面(バルブ2.20のバルブハウジング2.38の下面又はバルブ3.20のベースプレート3.102の下面)のより精密な平面度仕様/公差によって削除しても良いことが解っている。シール2.28はまたフェイルセーフ機構も提供し、それによって容器24内の圧力が過剰になった場合にシール2.28が破損破壊し、それにより容器24の爆発を防ぐ。
【0033】
バルブ2.20は、円筒形コア2.72を包囲する硬質アルマイトボビン2.70に巻かれた1本の電線2.68から作られたコイル2.66を備えるソレノイド2.30を含む。ボビン2.70は電線2.68で完全に巻かれており、電線2.68の一部だけが例証の目的で図示されていることを理解しなければならない。更に、ボビン2.70は、コイル2.66が外部固定具に巻き付けられ、その形状を維持するために充填用樹脂で充填される場合に削除してもよく、それによってさもなければボビンによって占められていたスペースにおける付加的なコイル巻き線を可能にすると共に、極端な環境条件によって必要な場合、コイル2.66もまたバルブ2.20の内側で適所に埋め込んでも良いことを理解しなければならない。
【0034】
ソレノイド2.30は、コイル2.66がその内部に磁場を生成するために励磁された時に、図12に図示の第1の位置から図12において点線輪郭線で図示の第2の位置2.34’に下方へ往復動するアーマチュア2.34を更に含む。
【0035】
バルブ2.20は、脆弱シール2.28を少なくとも2つの部片に破砕するための衝撃手段2.36を更に含み、衝撃手段2.36はアーマチュア2.34によって移動させられてアーマチュア2.34が第2の位置に移動した時に脆弱シール2.28を破壊する。本発明の第2の実施形態2.20において、衝撃手段2.36はシール2.28に向けてアーマチュア2.34から垂下している少なくとも1個の歯2.100を含む。好ましくは、バルブ2.20は、シール2.28の周辺部2.56に隣接する複数の衝撃点で共同してシール2.28に衝撃を与えるためにアーマチュア2.34の軸の周りに角を成して離間された複数の歯2.100を含み、それによってアーマチュア2.34に対称的な力を付与してそれが往復動して歯2.100が衝撃シール2.28に衝撃を与えることを生じさせた時にアーマチュア2.34が固着しないようにする。歯2.100がシール2.28との衝撃時に鈍化することが解っており、アーマチュアとは別個にピン3.74を設けた以下に述べる第3の実施形態3.20の改良は、ピンがアーマチュアの製作に使用される磁気材料よりも硬い材料で形成されることを可能にし、それによってピン3.74の再使用又はアーマチュアとは別個のピンの交換を可能にする。
【0036】
バルブ1.20と同様に、バルブ2.20は上述の通り任意で放出キャップ88を備えていても良い。
【0037】
ソレノイドの作動前の第1の位置にアーマチュアを保持するために、1個以上の磁石2.94がアーマチュア2.34を第1の位置に磁気的にラッチするための穴2.96内部での例えば接着によってバルブボディに取付けられており、磁石は、ソレノイドの作動前のアーマチュアの早期解放が脆弱シールの不要な破壊を生じ得るので、バルブが受けるかもしれない機械的衝撃のためにアーマチュア2.34がソレノイドの作動前に第1の位置から解放されないように、充分な強度であるように選択されなければならない。第1の実施形態と同様に、このラッチングはまた、アーマチュアがその第1の位置に保持されることを生じさせる一方、ソレノイドの作動後にコイルがその完全な磁気エネルギーを発生させ、それにより最大の運動エネルギーがコイルによってアーマチュアに付与され、それによって脆弱シールを破壊するためにより大きい衝撃力を生ずることができるようにする。
【0038】
次に図5、6、8、9、10、14、17及び18に転じて、本発明のバルブの第3の好ましい実施形態3.20をここに説明することができる。
【0039】
バルブ3.20のバルブボディ3.22は、ハウジング3.38、ハウジング3.38内に例えば複数のねじ3.42によって保持されたベースプレート3.102、脆弱シール3.56をバルブボディ3.22内部に保持するためのシールプレッシャープレート3.104、及びアルミニウムで作られたベース取付具3.44を含む。第1及び第2の実施形態からの変更において、ベース取付具3.44はバルブボディ3.22から分離され得て、その外周で例えば溶接50によってベース取付具3.44を容器24に封止するように容器24に溶接される一方、フランジ3.46が容器24の口48に受け入れられる。バルブ3.20のこの構造は、バルブ3.20がベース取付具3.44とは独立に組立てられ圧力試験されることを可能にし、ベース取付具が容器24に溶接される際にバルブ3.20への損傷を防ぐ。バルブ2.20の取付具シールの修正構造において、シールプレッシャープレート3.104は、例えば組立中にシールプレッシャープレート3.104の止まり穴3.106に二叉工具又はレンチを挿入することによって、ベースプレート3.102のねじ3.64にねじ込み式に受け入れられる。ベースプレート3.102、シールプレッシャープレート3.104及びベース取付具3.44の構造が本発明の精神及び範囲を逸脱することなく実施形態1.20及び2.20でも使用され得ることを理解しなければならない。図6において最善に見られる六角ナット部品3.107がハウジング3.38の頂部に好適に設けられて、ベース取付具3.44が容器24に溶接された後にベース取付具3.44へのバルブ3.20の締結を可能にする。
【0040】
バルブボディ3.22は入口3.52及び出口3.54を有し、バルブボディ3.22を貫く通路3.26は入口3.52を出口3.54に接続しており、脆弱シール3.28が破壊された時に容器24の内容物をバルブ3.20を通過して放出することを可能にする。
【0041】
第2及び第3の実施形態の脆弱シール3.28及び3.28はほぼ類似であり、シール2.28の以前の説明で両方について充分である。
【0042】
脆弱シール3.28は好ましくは、ベースプレート3.102とシールプレッシャープレート3.104との間でバルブボディ3.22内部に捕捉によってシール外周部3.56のその外周で掴持されたソーダ石灰ガラスの円板であり、そしてシールプレッシャープレート3.104の円形溝3.60内の周知のニトリルOリング3.58がシールプレッシャープレート3.104と脆弱シール3.28との間でシールを形成する。バルブ3.20は、ベースプレート3.102へのシールプレッシャープレート3.104の組立中にそれらの2つの部品がねじ3.64で一体にねじ込み嵌合される際にシール3.28が壊れるのを防ぐためにシール3.28の上面とベースプレート3.102との間にワッシャを必要としないことに留意しなければならない。脆弱シールの上面のこのワッシャは、脆弱シール3.28と接触するベースプレート3.102の下面のより精密な平面度仕様/公差によって削除しても良いことが解っている。シール2.28について上述の通り、シール3.28もまたフェイルセーフ機構を提供し、それによって容器24内の圧力が過剰になった場合にシール3.28が破損破壊し、それにより容器24の爆発を防ぐ。
【0043】
バルブ3.20は、硬質アルマイトボビン3.70に巻かれた1本の電線3.68から作られたコイル3.66を備えるソレノイド3.30を含む。ボビン3.70は電線3.68で完全に巻かれており、電線3.68の一部だけが例証の目的で図示されていることを理解しなければならない。バルブ3.20のボビン3.70はまた、他の実施形態の場合のように別個のコアを有するのではなく、このバルブのコアとして機能する。
【0044】
ソレノイド3.30は、コイル3.66がその内部に磁場を生成するために励磁された時に、図14に図示の第1の位置から図14において3.34’として点線輪郭線で図示の第2の位置に下方へ往復動するアーマチュア3.34を更に含む。
【0045】
バルブ3.20は、脆弱シール3.28を少なくとも2つの部片に破砕するための衝撃手段3.36を更に含み、衝撃手段3.36はアーマチュア3.34によって移動させられてアーマチュア3.34が第2の位置に移動した時に脆弱シール3.28を破壊する。本発明の第3の実施形態3.20において、衝撃手段3.36は、通路3.26及びアーマチュア3.34の相互の軸3.37に好ましくはほぼ平行なバルブボディ3.22内部での垂直往復動のために取付けられたピン3.74を含む。好ましくは、バルブ3.20は、シール3.28の周辺部3.56に隣接する複数の衝撃点で共同してシール3.28に衝撃を与えるために、アーマチュア3.34の軸の周りに角を成して離間されベースプレート3.102を貫きボア3.112内部に取付けられた複数のピン3.74を含み、それによってアーマチュア3.34に対称的な力を付与してそれらが3.74’として点線輪郭線で図示の位置に移動した時にアーマチュアが往復動して、ピン3.74に、シール3.28に衝撃を与えることを生じさせた時にアーマチュア3.34が固着しないようにする。第2の実施形態2.20に優る第3の実施形態3.20の改良として、ピン3.74はアーマチュアとは別個に設けられており、それによってピンが、アーマチュアの製作に使用される磁気材料よりも硬い材料で形成されることを可能にし、それによってピン3.74の再使用又はアーマチュアとは別個のピンの交換を可能にする。
【0046】
図18において最善に見られるように、ベースプレート3.102は、ピン3.74のためのボア3.112に内方へ隣接して約22°の角度3.110の斜面3.108を有しており、それによって脆弱シール3.28が破壊した時のその良好な放出を可能にする。図17において最善に見られるように、経路3.114が、コア3.66からバルブボディ3.22の外面へ通じる電線3.68のためにベースプレート3.102内部に好適に設けられている。
【0047】
バルブ1.20及び2.20と同様に、バルブ3.20は上述の通り任意で放出キャップ88を備えていても良い。
【0048】
ソレノイドの作動前の第1の位置にアーマチュアを保持するために、1個以上の磁石3.94がアーマチュア3.34を第1の位置に磁気的にラッチするための穴3.96内部での例えば接着によってボビン3.70に取付けられており、磁石は、ソレノイドの作動前のアーマチュアの早期解放が脆弱シールの不要な破壊を生じ得るので、バルブが受けるかもしれない機械的衝撃のためにアーマチュア3.34がソレノイドの作動前に第1の位置から解放されないように、十分な強度であるように選択されなければならない。第1及び第2の実施形態と同様に、このラッチングはまた、アーマチュアがその第1の位置に保持されることを生じさせる一方、ソレノイドの作動後にコイルがその完全な磁気エネルギーを発生させ、それにより最大の運動エネルギーがコイルによってアーマチュアに付与され、それによって脆弱シールを破壊するためにより大きい衝撃力を生ずることができるようにする。
【0049】
図11に言及すれば、本発明のバルブの全部の実施形態を消火装置として使用するために、図11においてバルブ20として総称的に表現されたバルブは、上述の通り組立てられ、試験され、そして容器24に取付けられる。図11において68として総称的に表現された電線は、バルブ20への電力源32の選択的接続のために周知の電力源32とバルブ20との間に挿入された制御回路手段116に接続されている。複数の入力118、120、122が有効に制御回路116と接続されており、制御回路は入力に応答性であり、それに応答してバルブ20に電力を適用する。約0.2ミクロン乃至10ミクロン(両数を含む)、好ましくは約2乃至10ミクロン(両数を含む)の範囲の近赤外線領域の光エネルギーが検出された時にトリガする赤外線センサ118は、炎又は熱源124の早期警戒検出のために、そして制御回路116のトリガのために設けられている。従来技術において周知の温度センサ120は、感知された温度がある所定の設定温度に達した時に制御回路116をトリガするために設けられている。1個以上の押しボタン122がバルブ20の手動作動のために設けられている。そして、上述の通り、容器24内部の過圧状態はバルブ20の脆弱シールのフェイルセーフ破壊を生ずる。消火装置として使用された場合、このようにバルブ20が作動させられ得る複数の道筋が存在する。作動の第1の最も敏感なスレッショルドは、赤外線光センサ118のうちの1個が上述の近赤外線領域の十分な光エネルギーを検出した時である。温度センサ120のうちの1個によって感知された温度が温度過昇状態を検出した場合も、バルブはトリガされる。作動の第3の道筋として、容器24内の圧力が脆弱シールの強度を上回る過圧状態の点まで高まった場合、シールは過圧状態のために破損し、それによって容器24の加圧内容物を安全に放出する。
【0050】
使用後、バルブは引き続き再整備し再使用することができる。ピン1.74、3.74又は歯2.100の先端を検査してもよく、必要であればピン1.74、3.74は再整備キットから交換され得る。同様に、歯2.100が鈍化した場合、歯2.100と共にアーマチュア2.34をユニットとして交換することもできよう。代替として、バルブの保守履歴を維持してもよく、これらの部品はある特定の作動数の後に交換され得る。重大な信頼性状況において、ピン1.74、3.74、又は、歯2.100を備えたアーマチュア2.34は再整備毎に交換することもできよう。全部のシール及びOリングは一般に、信頼できる性能及び動作を保証するために各の再整備時に新しいシール及び新しいOリングと交換される。
【0051】
本発明を好ましい実施形態及びその好ましい使用法に関して説明し例証したが、本発明は、本発明の完全な意図された範囲の内にある修正及び変更がそれらに行い得ることから、それだけに限定してはならない。
【符号の説明】
【0052】
1.20、2.20、3.20 シングルアクション放出バルブ
1.22、2.22、3.22 バルブボディ
1.26、2.26、3.26 通路
1.28、2.28、3.28 脆弱シール
3.56 脆弱シール
1.30、2.30、3.30 ソレノイド
1.34、2.34、3.34 アーマチュア
1.36、2.36、3.36 衝撃手段
1.37、2.37、3.37 中心対称軸
1.38、2.38 ハウジング
1.42、2.42、3.42 ねじ
1.40、2.40 頂部キャッププレート
1.44、2.44 ベース取付具
1.46、3.46 フランジ
1.52、2.52、3.52 入口
1.54、2.54、3.54 出口
1.56、2.56、3.56 シール外周部又はフランジ
1.58、2.58、3.58 ニトリルOリング
1.60、2.60、3.60 円形溝
1.62、2.62 ニトリルワッシャ
1.64、2.64、3.64 ねじ
1.66、2.66、3.66 コイル
1.68、2.68、3.68 電線
1.70、2.70、3.70 ボビン
1.72、2.72 円筒形コア
1.74、3.74 ピン
1.76 カム部
1.78 後端
1.80 尖端
1.82 側壁
1.84 半球状部分
1.86 穴
1.92 嵌合溝
1.94、2.94、3.94 磁石
1.96、2.96、3.96 穴
2.100 歯
3.102 ベースプレート
3.104 シールプレッシャープレート
3.106 止まり穴
3.107 六角ナット部品
3.108 斜面
3.112 ボア
3.114 経路
24 加圧容器
32 電力源
48 口
50 溶接
88 放出キャップ
90 周回フランジ
116 制御回路手段
118、120、122 入力
118 赤外線センサ
120 温度センサ
122 押しボタン
124 熱源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内容物を放出するためのシングルアクション放出バルブであって、前記バルブは、
(a)前記内容物が放出される通路を有するバルブボディと、
(b)前記バルブボディ内に保持される脆弱シールであって、当該シールが元の状態のままである間、前記通路を密封する脆弱シールと、
(c)選択的作動のために電力源と選択的接続するソレノイドであって、前記ソレノイドは第1の位置から第2の位置に移動可能なアーマチュアを含んでおり、
(d)前記脆弱シールを少なくとも2つの部片に破砕するための衝撃手段とを備えており、前記衝撃手段は前記アーマチュアによって移動させられて前記アーマチュアが前記第2の位置に移動した時に前記シールを破壊する、シングルアクション放出バルブ。
【請求項2】
前記アーマチュアは実質的に前記通路の外面である、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記バルブは前記ソレノイドが作動するまで前記アーマチュアを前記第1の位置に保持するための磁石を更に備える、請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記シールは前記バルブボディ内部にその外周で保持されたガラス円板である、請求項2に記載のバルブ。
【請求項5】
前記衝撃手段は前記アーマチュアから前記シールに向けて垂下している歯を含む、請求項2に記載のバルブ。
【請求項6】
前記衝撃手段は前記アーマチュアから前記シールに向けて垂下している複数の歯を含む、請求項2に記載のバルブ。
【請求項7】
前記通路はそれに沿って前記アーマチュアが前記第1の位置から前記第2の位置へ往復動する中心軸を有する、請求項6に記載のバルブ。
【請求項8】
前記シールは前記バルブボディ内部にその外周で保持されたガラス円板である、請求項6に記載のバルブ。
【請求項9】
前記通路はそれに沿って前記アーマチュアが前記第1の位置から前記第2の位置へ往復動する中心軸を有する、請求項8に記載のバルブ。
【請求項10】
前記衝撃手段は、前記アーマチュアが前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際に前記アーマチュアによる前記バルブボディ内部での往復動のために取付けられたピンを含む、請求項2に記載のバルブ。
【請求項11】
アーマチュアは前記ピンと係合するカム部を有しており、前記ピンの前記往復動は前記カム部が前記ピンと係合した時に前記アーマチュアに関して径方向の平面の内部にある、請求項10に記載のバルブ。
【請求項12】
前記衝撃手段は、前記アーマチュアが前記第1の位置から前記第2の位置に移動する際に前記アーマチュアによる前記バルブボディ内部での往復動のために取付けられた複数のピンを含む、請求項2に記載のバルブ。
【請求項13】
前記通路はそれに沿って前記アーマチュアが前記第1の位置から前記第2の位置へ往復動する中心軸を有する、請求項12に記載のバルブ。
【請求項14】
前記シールは前記バルブボディ内部にその外周で保持されたガラス円板である、請求項12に記載のバルブ。
【請求項15】
前記通路はそれに沿って前記アーマチュアが前記第1の位置から前記第2の位置へ往復動する中心軸を有する、請求項14に記載のバルブ。
【請求項16】
前記ピンは前記軸の周りに離間されており、前記ピンの前記往復動は前記軸にほぼ平行である、請求項12に記載のバルブ。
【請求項17】
アーマチュアは前記ピンと係合するカム部を有しており、前記ピンの前記往復動は前記カム部が前記ピンと係合した時に前記アーマチュアに関して径方向である、請求項12に記載のバルブ。
【請求項18】
前記シールは半球状部分を有しており、前記半球状部分は前記ピンの前記往復動中の前記ピンによる衝撃のために配置された側壁を有する、請求項17に記載のバルブ。
【請求項19】
消火装置であって、
(a)請求項1に記載の前記バルブと、
(b)電力源と、
(c)前記バルブとの前記電力源の選択的接続のために前記バルブと前記電力源との間に挿入された制御手段と、
(d)前記制御手段に有効に接続された複数の入力とを備えており、前記制御手段は、前記電力源を前記バルブに接続することによって前記複数の入力に応答を示すものであり、前記複数の入力は、
i.約0.2ミクロン乃至10ミクロンの範囲の光エネルギーに応答を示す赤外線センサと、
ii.ある所定の温度を超える温度に応答を示す温度センサとを含む、消火装置。
【請求項20】
前記複数の入力は押しボタンを更に含む、請求項19に記載の消火装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2010−527696(P2010−527696A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509432(P2010−509432)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/063391
【国際公開番号】WO2008/147677
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(509321619)ティーエスエム コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】