説明

シングルモ−ド光導波路ファイバおよび光ファイバ・コアプリフォ−ムを作成する方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は通信システムのための高デ−タ転送速度光ファイバ(high data rateoptical fibers)およびそのファイバを作成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】伝送パワ−が非直線領域内にある場合には光ファイバにソリトン(solitons)が発生が発生し得ることが知られている。光ソリトンは、ファイバ中を伝播するとき、分散が非線形インデックスとバランスするので、それの狭い時間的パルスを維持する。数学的には、この現象は公知の非線形シュレ−ディンガ−方程式で十分に説明される。例えば、C. Sien, "Concatenated Soliton Fibre Link", Electronics Letters, volume 12, pages 237-238 (1991)を参照されたい。非線形シュレ−ディンガ−方程式には3つの重要な項が存在している。それらの項は減衰、群速度分散、および非線形インデックス効果に関係する。群速度分散を非線形インデックス項とバランスさせることが最近では多くの注目を集めておりかつ良く知られている。しかし、実際のファイバ中を伝播するパルスは減衰を受け、そのために、ソリトン・パルスが周波数変動およびそれに続く広がり(frequency chirping and subsequent broadening)を生じ、そして本質的に線形となる。
【0003】この明細書中で使用されている「分散」という用語は、材料分散と屈折率分布分散との合計である群速度分散を意味する。
【0004】群速度分散が距離とともにほぼ指数関数的に減少され得る場合にはソリトンはロスのあるファイバ中で存続し得ることが提案されている(K. Tajima, "Compensation of Soliton Broadening in Nonlinear Optical Fibers with Loss", Optics Letters, volume 12(1), pp. 54-56, 1987)。このようにして、群速度分散が連続的に変化して、変化するパワ−・レベルに合致するようになされる。上記の刊行物は、これがファイバにテ−パをつけてコア直径を変化させることによって達成され得ると記述しているとともに、そのようなファイバはファイバ線引き速度をコントロ−ルすることによって作成され得ると記述している。そのようなファイバが図1R>1に示されており、ファイバ5の直径は大径の入力端部6から小径の出力端部まで指数関数的に減少している。ファイバ5のコアの直径はファイバの外径に比例する。タジマによって提案されている理論的な例では、このようなファイバの実効コア直径は100 kmsにわたって約10μmから5μmまで指数関数的に変化する。
【0005】ファイバ線引き速度を変化してファイバの外径を175μmから115μmまで変化させ、それによって測定分散が1 kmの長さにわたって10 ps/nm-kmから1 ps/nm-kmまで変化するようにすることによって分散減少ファイバが実際に作成された(V.A. Bogatyrev et al., "A single-mode fiber with chromatic dispersion varying along the length", Journal of Lightwave Technology, volume 9(5), pages 561-566, 1991)。続いて、そのファイバが70 Gb/sにおいて連続ソリトン・パルス列を発生するために使用された(S. V. Chernikov, "70 Gbit/s fibre based source of fundamental solitons at 1550 nm", Electronics Letters, volume 28(13), pages 1210-1211, 1992)。このようなファイバは、図2のソリトン通信システムに概略的に示されているタイプの超高ビット・レ−ト通信システムに適用できる可能性を有している。パルス列が増幅器11に入力され、そして分散減少ファイバDDF−15に結合される。その場合、入力端部aにおける分散は出力端部bにおける分散より大きい。最大分散変化によって制限される距離を伝播した後で、光信号は増幅器12で再び増幅され、そして増幅器12に隣接した高分散端部aと、増幅器13に隣接した低分散端部bを有する分散減少ファイバDDF−16に結合される。
【0006】分散減少ファイバは、例えば増幅器12と13の間の距離を伸すためにソリトン通信ラインで使用しうることも示唆されている。分散減少ファイバには多数の用途がありうるが、外径とコア直径がタジマ(Tajima)およびボガチレフ外(Bogatyrev et al.)の刊行物で提案されている程度まで変化するテ−パつきファイバは、例えばスプライシング(splicing)およびケ−ブリング(cabling)の場合に問題を生ずることになる。
【0007】
【本発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の1つの目的は、分散の軸方向変化がファイバの外径の変化に完全には依存しない分散減少光ファイバを作成する方法を提供することである。他の目的は、分散が長さに沿って変化するが、外径は実質的に一定であるか、あるいは変化が最小限に抑えられた光ファイバを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】簡単に述べると、本発明はコアと、そのコアの外表面上のクラッド材料層よりなるシングルモ−ド光導波通路ファイバに関する。このファイバの外径はそれの長さに沿って実質的に一定である。コアの屈折率分布は、ファイバ分散がファイバに沿ってそれの一端部から他端部まで単調に減少するようになされる。
【0009】コア直径はファイバの全長にわたって実質的に一定であってもよく、あるいはファイバの全長にわたって連続的に変化してもよい。
【0010】コアは中央領域と外側領域を具備しており、それらの領域は、屈折率が中央領域の屈折率から外側領域の屈折率まで急激に変化する遷移領域によって分離されている。そのような遷移領域の例としては、(a)内側および外側領域の屈折率より低い陥没した屈折率(depressed refractive index)の領域と、(b)中央領域と外側領域とが両方ともステップ型の屈折率分布を有するファイバのそれら両領域の間の領域がある。
【0011】コアは、ファイバの長手方向軸線まで延長した中央領域と、そのコアの半径より外側に配置されていてパワ−が波長が長くなるにつれて増大する外側領域を具備し得る。この場合、外側領域の半径と屈折率分布は、内側コア領域の分散効果をバランスさせかつファイバに所望の分散値を与えるようになされている。中央領域の最小屈折率は外側領域の最大屈折率に等しくなし得る。さらに、中央領域と外側領域は両方ともステップ型の屈折率分布を有し得る。
【0012】本発明の1つの態様によれば、ファイバの外径はその全長にわたって実質的に一定であり、そしてそのファイバの屈折率分布がそれの一端部から他端部へと連続的に変化する。本発明の他の態様によれば、そのファイバは互いに直列に融着された複数のファイバ部分よりなることができ、各ファイバ部分の分散はその全長にわたって実質的に一定である。直列の第1の端部におけるファイバ部分は所定の分散を有し、そしてその直列の反対側端部におけるファイバ部分は前記所定の分散より低い分散を有する。他のファイバ部分のそれぞれの分散は両端部におけるファイバ部分の分散の中間である。
【0013】本発明は分散減少光ファイバを作成する方法にも関係している。1つの実施例によれば、細長い基体に隣接した反応ゾ−ンにベ−スガラス反応物とド−パントガラス反応物を流し、そして層を形成するためにその反応ゾ−ンを基体の一端部から他端部に移動することによってコア・プリフォ−ムが形成される。プリフォ−ムを形成するために層の沈積が継続される。そのプリフォ−ムの一部分の沈積時に、反応ゾ−ンが層の1つを形成するために基体に沿って長手方向に移動するにつれて、ド−パント・ガラス反応物の流量が所定のレシピ(recipe)に従って変化される。その1つの層に隣接した層を形成するために反応ゾ−ンが基体に沿って長手方向に移動するにつれて、ド−パント・ガラス反応物の流量が前記所定のレシピとは異なるレシピに従って変化する。
【0014】他の実施例では、細長いマンドレル上に複数のガラス粒子被覆を沈積させることによって光ファイバ・コア・プリフォ−ムが形成され、この場合、各被覆は複数のガラス粒子層で形成され、独特の屈折率分布を有している。多孔性プリフォ−ムを形成するためにマンドレルが除去され、そして稠密なガラスプリフォ−ムを形成するために多孔質プリフォ−ムが加熱される。この実施例の特徴は、被覆の1つを、それの厚さが不均一となり、その1つの被覆の厚さがプリフォ−ムの一端部の厚さの方が反対側の端部の厚さより大きくなるようにして、沈積させることである。このテ−パした厚さの被覆が最初に沈積される被覆であってもよく、あるいはそれは2つの被覆の間に沈積されてもよい。
【0015】
【実施例】分散減少ファイバの潜在的な用途においては、ファイバの入力端部と出力端部との間において分散の大きい変化を実現することが望ましい。さらに、ソリトン伝送の場合には、分散は正であって、ファイバの出力端部までに非常に小さくなるかあるいはゼロに達しなければならない。考慮されるべき他のファイバ特性はモ−ド・フィ−ルド直径とカットオフ波長である。なぜならば、分散に影響する屈折率修正はこれらの特性にも影響するからである。
【0016】ソリトンは低損失動作を必要とするので、シリカをベ−スとした光ファイバが非常に小さい損失を呈示する電磁スペクトルの1550nmで動作することが好ましい。米国特許第4715679号の教示に従って作成された分散シフト・ファイバは約1550nmでゼロ分散となるように設計され得る。分散シフト・ファイバについては、T. D. Croft et al. "Low-Loss Dispersion-Shifted Single-Mode FiberManufactured by the OVD Process", Jornal of Lighwave Technology, VolumeLt-3, No. 5, October 1985, pp. 9313-934; および V. A. Bhagavatula et al."Bend-Optimized Dispersion-Shifted Single-Mode Designs", Journal of Lightwave Technology, Volume LT-3, No. 5, October 1985, pp. 954-957にさらに論述されている。
【0017】図3は1550nmでゼロ分散を呈示する典型的な市販されている分散シフト・ファイバの屈折率分布を示している。ファイバ・コアは陥没した屈折率(depressedrefractive index)の領域22によって外側リング21から分離された中央コア領域20を具備している。それの中央三角形領域20の直径は7.20μmであり、そしてリング21の内径および外径はそれぞれ10.08μMおよび12.94μmである。領域20および21のピ−ク屈折率値(Δpで表わされている)はそれぞれ0.9%および0.3%である。項Δpはクラッドの屈折率に対する相対屈折率であり、かΔp = (n12 - n22)/2n12によって与えられる。ただし、n1はコア領域のピ−ク屈折率であり、そしてn2はクラッドの屈折率である。式を簡単にするために、Δはパ−セントで、すなわちΔを100倍して表わされることが多い。光ファイバを作成するためのある方法はファイバの中心線に屈折率の陥没(refractive index depression)を生ずることがわかる。このようなファイバでは、n1は中央コア領域の最大屈折率を表わす。
【0018】本発明の1つの態様によれば、分散減少光ファイバの屈折率分布はそれの全長にわたって図3の分散シフト分布の変化であり、その分布は入力端部における相対的に大きい分散から出力端部における比較的小さいまたはゼロ分散までの所要の変化を与えるようにファイバ長に沿って一定に変化する。好ましい実施例では、ファイバの出力端部における分布は動作波長において本質的にゼロ分散を生ずる分散シフト分布である。これらの分布のうちの幾つかは最小屈折率分布変化をもって大きい分散変化を得るといる利益を与える。しかし、修正された分布の複雑性と郡速度分散の可能な値の範囲との間には設計のかね合いが存在する。断面屈折率分布を長さの関数として変化させるための設計は便宜上3つのタイプに分けることができる。
タイプI − 図3の公称分散シフト・ファイバの中央コア領域を変化しないようにし、外側のリング構造だけを修正したものタイプII − 中央コア領域だけを修正するものタイプIII − 中央領域とリング領域の両方を修正するものタイプIのグル−プの分布は、ファイバの全長にわたって中央コア領域が変化しないから、ファイバ・コア製造方法のガラス粒子沈積工程に小さな変化を要求する。しかし、それらの分布は潜在的な分散変化の範囲が狭い。可能な分布を制限する他の2つの制約は、ファイバがシングルモ−ドのままでなければならないこと、および分散が正のままでなければならないことである。
【0019】表Iは図3、図4A〜4Jおよび図5A〜5Dの屈折率分布に関連したパラメ−タを列挙している。表Iに列挙された分散、モ−ド・フィ−ルド直径およびカットオフ波長の値はコンピュ−タ・シミュレ−ション技術によって得られたものである。
【0020】
表I 1550nmにおける モ−ド・フィ−ルド カットオフ分 布 分散(ps/nm/km) 直径(μm) 波長、λc(nm)図3 0.0 8.7 1106図4A 1.978 10.1 1524図4B 1.485 9.9 1480図4C 0.919 9.5 936図4D 0.599 9.5 1372図4E 7.267 10.3 1526図4F 7.794 10.0 1385図4G 2.969 9.2 1089図4H 7.267 10.3 1526図4I 6.386 9.3 1277図4J 5.794 9.7 1393図5A 3.513 6.4 1276図5B 14.396 6.8 1552図5C 2.940 8.4 1193図5D 8.902 8.3 1447
【0021】タイプIの分布は図3および図4A〜4Jに示されており、これらの分布は外側コア領域のリングが異なるド−ピング濃度および形状を有しており、図4Cではリングが完全に消失している点で異なっている。これらのタイプの分布に対する特性が表Iに要約されている。図4A〜4Jによって表わされたファイバの光特性は、反対側端部に分散の小さい分布が存在すれば、これらのファイバはどれも分散減少ファイバの高分散入力端部で使用できるであろう。例えば、図3によって表わされた分布が低分布出力端部で用いられているとすると、図4A〜4Jによって表わされた分布のどれもがファイバの高分散入力端部において用いられ得るであろう。他の例では、図4Iによって表わされた分布がファイバの高分散端部で用いることができ、また図4Gで表わされた分布が低分散端部で用いることができるであろう。図4A〜4Dおよび4Gの分布を有するファイバは3ps/nm/kmより小さい分散を呈示する。したがって、このようなファイバは、ファイバ線引き動作の速度を変化されるようなことによってコアにもテ−パを与えないかぎり、大きい増幅器間隔を有するシステムで使用できるようにするのに十分な分散変化を生じないであろう。
【0022】表Iは、コア中心の近傍にシャ−プなエッジが存在する分布に最も大きい分散が生ずることを示している(例えば、図4E、図4Fおよび図4Iを参照されたい)。しかし、酸化ゲルマニウム拡散のような実際的な事項が分布エッジのシャ−プさを制限しうる。この理由のために、図4E〜4Jの分布を含む分布の系列のうちでは、図4Gおよび4Hの分布が作成が容易でありうる。
【0023】表Iは中央コア領域の直径の増大にともなって分散が増大することを示している。図5Cおよび5Dの分布の分散を図3の分散によって生じたゼロ分散と比較されたい。
【0024】図5Aおよび5Bについて表Iに入れられている事項は、中央コア領域をフラットトップ(flat-topped)にすることによって、適度なモ−ド・フィ−ルド直径における大きい分散を実現できることを示している。図5Aおよび図5Bを比較すると、分散は中央コア部分の外側半径の場所に非常に感応しやすいことが判る。分散はそれの傾斜にも感応する。さらに、リング分布の変化はモ−ド・フィ−ルド直径またはカットオフ波長を調整するために使用され得るであろう。
【0025】フラットトップ屈折率分布の他の例が図6および図8に示されており、これらの分布の分散およびモ−ド・フィ−ルド直径が図7および9にそれぞれ示されている。xがゼロに等しい場合には、図6および8の分散は1550nm範囲におけるゼロ分散に対して最適化される。下記の論述は、フラットトップの中央領域を挿入することによって大きい正の分散が導入され得ることを示す。任意の最適化されたゼロ分散分布にこのようなフラットトップの中央領域を付加すると、大きい正の分散を導入することができる。
【0026】図6の屈折率分布では、中央コア領域はフラットトップの部分47と、屈折率が半径とともに減少する領域48を具備している。領域47の半径はx μmである。環状の外側コア領域49が中央コア領域から離間されている。xがゼロに等しいならば、分布は図3の分布と同じになるであろう。部分47の半径がxμmであれば、領域49の内側半径は(x + 5)μmとなるであろう。
【0027】図7は分散とモ−ド・フィ−ルド直径の両方がフラットトップ長xの関数としてプロットされているグラフである。曲線50および51はそれぞれフラットトップ長xの増加に伴って分散は増大し、モ−ド・フィ−ルド直径は減少することを示している。
【0028】図8の屈折率分布では、中央コア領域は所定の屈折率を有するフラットトップの中央コア領域53を具備しており、この中央コア領域53はその所定の屈折率より低い屈折率の外側コア領域55によって包囲されている。このタイプの屈折率分布は米国特許第4755022号に教示されているものに類似している。領域53および55はステップ型の分布として示されているが、それらは上記米国特許に示唆されているようにグレ−デッド型とすることもできるであろう。
【0029】図9の曲線57はフラットトップ長xの増加に伴って分散が増加することを示している。xがゼロから約5μmまで増加するにつれて、モ−ド・フィ−ルド直径(曲線58)がまず減少し、そしてその後で増加する。
【0030】図6および8の屈折率分布には共通の特徴がある。それぞれ中央コア領域と、その中央領域より低い屈折率の外側コア領域を有している。外側領域はコア半径の外側に配置された高屈折率質量として作用し、そこでは波長が長くなるとパワ−が増大する。その質量の程度はそれの屈折率分布によって決定され、それはそれの半径を含む。屈折率分布は、外側コア領域の質量のパワ−でウエイトづけされた積分が、内側コア領域の積分とバランスして、ゼロでありうる所望の分散値を与えるように設計され得る。図6の凹部46のような屈折率陥没は、モ−ド・フィ−ルド直径やカットオフ波長のような他のファイバ特性に望ましい影響を及ぼすところに外側質量を配置するに際して、より大きい柔軟性を許容する。
【0031】図10および11の装置によって分散減少シングルモ−ド光ファイバを作成することができる。図1010および11はガラス粒子がマンドレルの長手方向の表面上に沈積される外付け法(OVD法)の2つの変形を示している。分散減少ファイバまたはそれの少なくとも一部分を形成するためには、他のガラス沈積法を用いることができるであろう。このような方法の例としては、ガラス層が基体チュ−ブの内表面上に沈積される修正された化学沈積法と、軸付け法(AVD法)がある。
【0032】図10を参照すると、シリカまたは他の高温材料のマンドレル60が矢印64aおよび64bでそれぞれ示されているように回転されるとともに、それの長手方向の軸線に沿って往復運動をされる。バ−ナ65がマンドレル60上に沈積するガラス粒子の流れ66を生じ、バ−ナの各通過が付着性の層を沈積させる。被覆68、69、70および71のそれぞれは、複数のこのような層で形成される。バ−ナの移動速度は変化させることができる。
【0033】各被覆はシリカのようなベ−スガラスよりなるガラス粒子で形成されるが、必要に応じてGeO2のようなド−パントを含む。このような粒子を形成するために、SiCl4およびGeCl4のような反応物が酸素と一緒にバ−ナ65に供給される。図10のシステムでは、SiCl4およびGeCl4の蒸気がそれぞれ溜め74および75で形成される。これらの蒸気が米国特許第4314837号に教示されているように流れコントロ−ラ77および78によってそれぞれ計量される。あるいはそれに代えて、それらの反応物は液体として計量され、そしてその後で蒸発されるようにしてもよい。ソ−ス76からの酸素は流れコントロ−ラ79によって計量される。コントロ−ラ77、78および79を流れる反応物の量はシステム・コントロ−ラ80によってコントロ−ルされる。1つの実施例によれば、ガラス粒子の全体の層の沈積時には、すべての反応物の流れが一定である。第2の実施例では、マンドレルに対するバ−ナの長手方向の位置が変化するにつれて、反応物のうちの1つまたはそれ以上のものの流れが変化し得る。バ−ナ65をシステム・コントロ−ラ80に連結している破線81は、第2の実施例におけるバ−ナの位置を表わす信号がコントロ−ラ80に与えられることを示している。
【0034】一端部に図4Gの屈折率分布を有しそして他端部に図3の屈折率分布を有する光ファイバを形成することが所望されているとしよう。ファイバの全長が例えば25kmであるとすると、プリフォ−ム72が25kmの長さに延伸され得るように沈積され得る。図4Gおよび図3R>3の分布では、中央コア領域は7.2μmの直径と0.9%のΔpを有する。また、図4Gおよび図3では、外側コア領域またはリングの半径方向の幅は1.43μmである。図4Gおよび図3の分布間の唯一の差は、外側コア領域の位置である。図4Gでは、それらの領域は中央コア領域に隣接しており、また図3ではそれらの領域は、得られたファイバではん1.44μmだけ中央コア領域から分離されている。
【0035】このようなファイバを形成するための1つの技術は、0.9%のΔpを与えるのに十分な量のGeO2をド−プされたSiO2を含むようにして第1の層を沈積させることによってまず被覆68を形成することであろう。各後続層では、バ−ナに流れるGeCl4の量は、最後の層が最少増分量のGeO2(3.6μmのファイバ半径に対応した)を含むまで、減少される。GeCl4の流れを遮断でい、純粋なシリカ(SiO2)の被覆69が、プリフォ−ムの端部62における予め定められた厚さから端部63におけるゼロの厚さまで変化する厚さで沈積される。これはSiCl4の予め定められた流れを端部62に与え、そしてそのSiCl4の流れをバ−ナが端部63に達した時に完全にカットオフされるまで減少させることによって達成することができる。あるいはそれに代えて、SiCl4の流量は一定にしたままで、バ−ナの速度を変化させてもよい。複数のガラス粒子層(最初の層はGeO2を含まない)を沈積させ、中間の層が0.3%のΔpを与えるのに十分なGeO2を含むようにGeCl4の流れを傾斜させ、そしてその後で、GeO2を含まない外側層の沈積までGeCl4の流量を減少させることによって、被覆70が形成される。その後で、純粋なSiO2の外側層が沈積され得る。層71は図10に示されているように均一な厚さを有しうるであろう。あるいは、その層71は、端部63における厚さが端部62における厚さより大きくなり、層69の影響を打消しそしてコア・プリフォ−ムの直径を全長にわたって均一にするようにして、沈積されてもよい。プリフォ−ム72はクラッドガラス粒子の残部をそれに添着する前にコンソリデ−ト(consolidate)されるのが好ましい。これは、多孔質のプリフォ−ムからマンドレル60を除去し、そしてガラス粒子をコンソリデ−トさせ、中実のガラスコア・プリフォ−ムを形成するのに十分に高い温度にプリフォ−ムをコンソリデ−ション用炉内で加熱することによって行うことができる。中実のコア・プリフォ−ムがチャックに挿入され、バ−ナ65に対して回転と直線往復移動をなされて純粋なシリカ粒子の層を沈積させることができるようになされる。このようにして得られたフィアバ・プリフォ−ムがコンソリデ−トされて、光ファイバが線引きされる母材が形成される。
【0036】ある長さの分散減少ファイバを線引きできる母材を形成する代りに、それより大きい母材を形成し、それからそのようなファイバを多数線引きすることもできる。図10に示された被覆のパタ−ンがプリフォ−ムの長さに沿って繰返されるであろう。このようにして、プリフォ−ムが延伸されてファイバとなされると、分散は、例えば25kmの長さを有する延伸されたファイバの1つの部分に沿って高い値から低い値に低下するであろう。その後で、分散は高い値に急激に増加し、そして次の25kmに沿って低下するであろう。この減少分散のパタ−ンが母材から線引きされるファイバ長の全てに対して繰返されるであろう。
【0037】プリフォ−ム沈積の他の実施例が図11に示されており、この図では図10の要素と同様の要素には同一符号にダッシをつけて示されている。図10のテ−パした層69は沈積されない。それに代えて、中央コア領域68’が沈積された後で、バ−ナがプリフォ−ムの端部62’から端部63’まで移動するにつれて、GeCl4の流量(および必要に応じてSiCl4の流量)が徐々に変化される。被覆68’の沈積後には、GeCl4の流量はゼロであり、そしてSiCl4の流量は最大である。処理におけるこの時点では、バ−ナ(図示せず)は、図3の分布が形成されるべき端部62’に位置づけられうるであろう。被覆85の形成時にバ−ナがプリフォ−ムに沿って2回目の移動をしている時に、GeCl4の流量が端部63’からある増大する距離で始まり、そしてバ−ナが端部63’に接近するにつれて増加するであろう。端部62’における屈折率陥没領域22の中間部の沈積に対応するバ−ナの通過において、図4Gの外側領域のピ−ク屈折率に対応する0.3%のΔpを有するガラス粒子を形成するのに十分なGeCl4が端部63’においてバ−ナに供給されるであろう。端部62’において屈折率リング21(図3)の内側半径を形成し始めるようにGeCl4がバ−ナに供給されている処理の時点において、GeCl4はバ−ナ通過の残り部分の間、流れを停止するであろう。バ−ナへのこの種のGeCl4の傾斜した流れは、リング21(図3)の外側部分がGeO2を含んでおらず、そして図4Gの分布の対応する半径がGeO2を含んでいないので、GeCl4が流れていない場合に、被覆85の形成の最後の通過まで継続する。SiO2の被覆71’が上述のようにして沈積され得る。その後で、プリフォ−ムがコンソリデ−トされ、SiO2をオ−バ−クラッドされ、そして延伸されてファイバとなされる。
【0038】同様にして、開示された屈折率分布はいずれもプリフォ−ムの一端部に沈積され得るものであり、また他の屈折率分布のいずれもがプリフォ−ムの他の端部に沈積されうるものであって、その分布は一端部における分布から他方の端部における分布へと徐々に変化する。
【0039】図6および8の実施例はマンドレル60上にくさび状の被覆を最初に沈積させることによって形成され得る。くさび状被覆全体の屈折率がコア領域47または53の屈折率となるであろう。その後で、均一な厚さの被覆が形成されるであろう。くさび状の被覆の厚さは、このようにして得られたファイバでは、そのファイバの一端部における内側コア領域の半径がファイバの他方の端部における半径よりx μmだけ大きくなるであろう。
【0040】領域69のような可変厚さの領域を必要としない分散減少ファイバの一例は、一端部に図4Dの分布を有し、そして他端部に図3の分布を有するファイバであろう。外側コア領域の半径方向の部分は同一である。これらの他の領域の形状だけが変化する。
【0041】上記の説明は、分散がファイバ長に沿って連続的に減少する分散減少ファイバによって2つの増幅器が接続されたシステムに関するものであった。図12の実施例では、増幅器91および92は、互いにスプライスされた複数のファイバ93〜98によって接続されている。ファイバ93〜98はそれぞれはそれの全長にわたって実質的に一定の分散を有している。ファイバ93の分散が最大であり、そしてファイバ94〜98のそれぞれの分散はその先行ファイバ93より若干小さい。このタイプのシステムが冒頭で述べたC. Sienの刊行物に開示されている。本発明によれば、それらのファイバがそれぞれ、全長にわたって直径が一定のクラッドによって包囲された半径aのコアを有している。さらに、ファイバ93〜98のクラッドの直径は実質的に同一である。ファイバ93〜98のそれぞれのコアはファイバの長手方向の軸線まで延長した中央領域と、外側領域を具備しており、内側領域と外側領域は陥没した屈折率の領域によって分離されている。適当な分布の例が図3、4A、4B、4D〜4J、5Aおよび5Bのものである。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、分散の軸方向変化がファイバの外径の変化に完全には依存しない分散減少光ファイバを作成することができ、かつ分散が長さに沿って変化するが、外径は実質的に一定であるか、あるいは変化が最小限に抑えられるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ソリトン伝播のための従来技術の光ファイバの概略図である。
【図2】分散減少光ファイバを使用したソリトン通信システムを概略的に示している。
【図3】分散シフト・シングルモ−ド光ファイバのコアの屈折率分布である。
【図4A】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図4B】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図4C】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図4D】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図4E】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図4F】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図4G】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図4H】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図4I】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図4J】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図5A】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図5B】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図5C】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図5D】本発明に従って作成されたシングルモ−ド光ファイバの入力および/または出力端部におけるコアの屈折率分布である。
【図6】フラットトップの中央コア領域を有するタイプの光ファイバの屈折率分布である。
【図7】図6の分布について分散とモ−ド・フィ−ルド直径とがフラットトップ長xの関数としてプロットされたグラフである。
【図8】フラットトップの中央コア領域を有するタイプの光ファイバの屈折率分布である。
【図9】図8の分布について分散とモ−ド・フィ−ルド直径とがフラットトップ長xの関数としてプロットされたグラフである。
【図10】本発明の光ファイバを形成するために使用し得る装置の概略図である、
【図11】修正された方法によって形成された多孔質コア・プリフォ−ムの断面図である。
【図12】伝送ラインが一定の分散を有する複数の直列に接続されたファイバよりなり、そのライン内の各ファイバは先行するファイバの分散より低い分散を有するソリトン通信システムを概略的に示している。
【符号の説明】
20 中央コア領域
21 外側リング
22 陥没した屈折率の領域
53 中央コア領域
55 外側コア領域
60 マンドレル
65 バ−ナ
62 プリフォ−ムの端部
63 プリフォ−ムの端部
66 ガラス粒子の流れ
68 被覆
69 被覆
70 被覆
71 被覆
72 プリフォ−ム
62’ プリフォ−ムの端部
63’ プリフォ−ムの端部
68’ 中央コア領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】 大屈折率n1を有する透明な材料よりなる半径aのコアと、前記コアの外表面上に1より小さい屈折率n2を有する透明なクラッド材料よりなる層とを具備するシングルモード光導波路ファイバであっ、前記ファイバの外径は全長に亘って実質的に一定であり、前記コアは、前記ファイバの長手方向の軸線まで延在する中央領域と、外側領域と、前記中央領域および前記外側領域を分離する中間領域と、からなり、前記中央領域屈折率分布前記ファイバの全長に亘って変化しており、前記外側領域屈折率分布前記ファイバの全長に亘って一定に維持されるか若しくは変化しており、前記コアの屈折率は、ファイバ分散が前記ファイバに沿って一端部から他端部まで単調に減少するようになされていることを特徴とするシングルモード光導波路ファイバ。
【請求項2】 前記中間領域を含む前記コアの少なくとも1つの領域陥没した屈折率の領域よりなり、前記陥没した屈折率の領域の内側半径a1はゼロより大きく、かつ前記陥没した屈折率の領域の最大半径a0は前記半径aより小さいことを特徴とする請求項1記載のシングルモード光導波路ファイバ。
【請求項3】 前記中央領域の屈折率分布半径の増大とともに減少するか、あるいは実質的に一定であり、前記外側領域陥没した屈折率の領域によって分離された少なくとも2つの環状領域を含んでいることを特徴とす請求項1または2記載のシングルモード光導波路ファイバ。
【請求項4】 前記ファイバ互いに直列に融着された複数のファイバ部分よりなり、前記ファイバ部分のそれぞれの分散全長に亘って実質的に一定であり、前記直列の第1の端部におけるファイバ部分は所定の分散を有し、かつ前記直列の反対側端部におけるファイバ部分は前記所定の分散より低い分散を有し、残りのファイバ部分のそれぞれの分散は両端部におけるファイバ部分の分散の中間であることを特徴とする請求項1、2または3のうちの1に記載のシングルモード光導波路ファイバ。
【請求項5】 前記コアは、前記ファイバの長手方向の軸線まで延在する中央領域と、波長が長くなるにつれてパワーが増大するコア半径の外側に位置する外側領域とを具備しており、前記外側領域の半径及び屈折率分、前記外側領域の分散効果が前記内側コア領域の分散効果を打消しかつ前記ファイバに所望の分散値を与えるようになされていることを特徴とする請求項1〜4のうちの1に記載のシングルモード光導波路ファイバ。
【請求項6】 前記中央領域の最小屈折率が前記外側領域の最大屈折率に等しく、前記中央領域と前記外側領域との両方がステップ型屈折率分布を有していることを特徴とする請求項5記載のシングルモード光導波路ファイバ。
【請求項7】 長い基体に隣接した反応ゾーンにべースガラス反応物とドーバントガラス反応物を流すステップと、前記反応ゾーンを前記基体の一端部から前記基体の他端部まで移動させて層を形成するステップと、前記層の沈積を繰り返してプリフォームを形成するステップと、からなる光ファイバ・コアプリフォームを作成する方法であって、前記プリフォームの一部分の沈積時に、前記反応ゾーンが前記基体に沿って長手方向に移動するとともに前記ドーパントガラス反応物の流量が所定のレシピに従って変化して前記層の1つを形成し続いて前記反応ゾーンが前記基体に沿って長手方向に移動するとともに前記ドーパントガラス反応物の流量が前記所定のレシピとは異なるレシピに従って変化するようにして前記1つの層に隣接した層を形成することを特徴とする光ファイバ・コアプリフォームを作成する方法。
【請求項8】 長いマンドレルの上にガラス粒子の複数の被覆を沈積させ各被覆複数のガラス粒子層で形成され且つ個々に特有の屈折率分布を有するよう形成する沈積ステップと、前記マンドレルを除去して多孔質のプリフォームを形成するステップと、前記多孔質のプリフォームを加熱して稠密なガラスプリフォームを形成するステップと、からなる光ファイバ・コアプリフォームを作成する方法であって、前記沈積ステップは、前記被覆のうちの1つの被覆の厚さが前記プリフォームの一端部において他端部よりも大きくなるようにして沈積させるステップであることを特徴とする光ファイバ・コアプリフォームを作成する方法。
【請求項9】 前記1つの被覆は、前記マンドレルの表面上に沈積させることを特徴とする請求項8記載の光ファイバ・コアプリフォームを作成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【特許番号】特許第3202139号(P3202139)
【登録日】平成13年6月22日(2001.6.22)
【発行日】平成13年8月27日(2001.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−332866
【出願日】平成6年12月15日(1994.12.15)
【公開番号】特開平7−209539
【公開日】平成7年8月11日(1995.8.11)
【審査請求日】平成10年12月21日(1998.12.21)
【出願人】(390037903)コーニング インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】CORNING INCORPORATED
【参考文献】
【文献】特開 平3−10204(JP,A)
【文献】特開 平4−367539(JP,A)
【文献】特開 平1−130107(JP,A)
【文献】特開 平5−249329(JP,A)
【文献】特開 平7−157324(JP,A)
【文献】JORNAL OF LIGHWAVE TECHNOLOGY,Vol.8,No.10(1990),pp.1476−1481
【文献】JORNAL OF LIGHWAVE TECHNOLOGY,Vol.9,No.5(1991),pp.561−566
【文献】JORNAL OF LIGHWAVE TECHNOLOGY,Vol.Lt−3,No.5(1985),pp.931−934