説明

シンチレータパネル、及びそれを用いた放射線像検出装置

【課題】支持体と保護膜の接着性の優れたシンチレータパネル、及びそれを用いた放射線像検出装置を提供する。
【解決手段】支持体121上の片面に、下引層119と蛍光体層122とを有するシンチレータパネルにおいて、前記蛍光体層122表面、前記支持体121と蛍光体層122との側面、及び前記蛍光体層122とは反対側の前記支持体121の端部から内側3.0mm以内の面積とを覆う形で保護層123が設けられ、かつ前記支持体121と前記保護層123の線熱膨張係数がともに10ppm/℃以上、120ppm/℃以下であることで支持体121と保護層123との接着性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシンチレータパネル、及び該シンチレータパネルを用いた放射線像検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線画像のような放射線画像は医療現場において病状の診断に広く用いられている。特に増感紙−フィルム系による放射線画像は、長い歴史の中で高感度化と高画質化が図られた結果、高い信頼性と優れたコストパフォーマンスを併せ持った撮像システムとして、今なお、世界中の医療現場で用いられている。しかしながら、これら画像情報はいわゆるアナログ画像情報であって、近年発展を続けているデジタル画像情報のような、自由な画像処理や瞬時の電送ができない。
【0003】
そして、近年ではコンピューテッドラジオグラフィ(computed radiography:CR)やフラットパネル型の放射線ディテクタ(flat panel detector:FPDともいう)等に代表されるデジタル方式の放射線像検出装置が登場している。これらは、デジタルの放射線画像が直接得られ、陰極管や液晶パネル等の画像表示装置に画像を直接表示することが可能なので、必ずしも写真フィルム上への画像形成が必要なものではない。その結果、これらのデジタル方式のX線画像検出装置は、銀塩写真方式による画像形成の必要性を低減させ、病院や診療所での診断作業の利便性を大幅に向上させている。
【0004】
X線画像のデジタル技術の一つとして、コンピューテッド・ラジオグラフィ(CR)が現在医療現場で受け入れられている。しかしながら、鮮鋭性が十分でなく空間分解能も不十分であり、スクリーン・フィルムシステムの画質レベルには到達していない。そして、更に新たなデジタルX線画像技術として、薄膜トランジスタ(TFT)を用いた平板X線検出装置(FPD)などが開発されている。
【0005】
放射線を可視光に変換するために、放射線により発光する特性を有するX線蛍光体で作られたシンチレータパネル(以下放射線像変換パネルともいう)が使用されるが、低線量の撮影においてのSN比を向上するためには、発光効率の高いシンチレータパネルを使用することが必要になってくる。一般にシンチレータパネルの発光効率は、シンチレータ層(蛍光体層)の厚さ、蛍光体のX線吸収係数によって決まるが、蛍光体層の厚さは厚くすればするほど、蛍光体層内での発光光の散乱が発生し鮮鋭性は低下する。そのため、画質に必要な鮮鋭性を決めると膜厚が決定する。
【0006】
中でも、ヨウ化セシウム(CsI)はX線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成できるため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層の厚さを厚くすることが可能であった。
【0007】
このようなシンチレータパネルの製造方法としては、アルミやアモルファスカーボンなど剛直な支持体上に蛍光体層を形成し、その上にシンチレータの表面全体を保護層(保護膜)で被覆させることが一般的である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、自由に曲げることのできないこれらの支持体上に蛍光体層を形成した場合、支持体と保護膜の間の接着が弱いため、膜はがれを起こし、蛍光体の劣化を早めるという欠点がある。
【0008】
この課題に対して、支持体に凹凸を設け、力学的な接着力を高める技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
また、特許文献3には、支持体が構成成分として樹脂を含有し、支持体の線熱膨張係数を規定することにより接着性を向上させる技術が開示されている。
【0010】
さらに、特許文献4には、シンチレータパネルの蛍光体と側面と蛍光体とは反対側の面の一部分とを覆う保護膜において、部分的に覆われた反対側の保護膜が、周辺部から中心部に向かうに従って薄くなるよう形成する事により、接着性を向上する技術が記載されている。
【0011】
しかし、いずれの技術も、支持体と保護膜との接着性が十分ではなく熱や衝撃などによる膜はがれの問題を解決するには到っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3566926号公報
【特許文献2】特許第4317154号公報
【特許文献3】国際公開第2009/122772号
【特許文献4】特開2010−32298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、支持体と保護膜の接着性の優れたシンチレータパネル、及びそれを用いた放射線像検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
【0015】
1.支持体上の片面に、下引層と蛍光体層とを有するシンチレータパネルにおいて、前記蛍光体層の表面、前記支持体と蛍光体層との側面、及び前記蛍光体層とは反対側の前記支持体の端部から内側3.0mm以内の面積とを覆う形で保護層が設けられ、かつ前記支持体と前記保護層の線熱膨張係数がともに10ppm/℃以上、120ppm/℃以下であることを特徴とするシンチレータパネル。
【0016】
2.前記支持体と保護層のSP値がともに14.0(MPa)1/2以上、27.0(MPa)1/2以下であることを特徴とする前記1に記載のシンチレータパネル。
【0017】
3.前記下引層の線熱膨張係数が10ppm/℃以上、120ppm/℃以下であることを特徴とする前記1または2に記載のシンチレータパネル。
【0018】
4.前記下引層のSP値が14.0(MPa)1/2以上、27.0(MPa)1/2以下であることを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
【0019】
5.前記蛍光体層が柱状構造の蛍光体を有することを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
【0020】
6.前記支持体のガラス転移温度が90℃以上600℃以下であることを特徴とする前記1から5のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
【0021】
7.前記1から6に記載のシンチレータパネルと光電変換素子アレイとがカプリングしてなることを特徴とする放射線像検出装置。
【0022】
8.前記1から6に記載のシンチレータパネルと光電変換素子アレイとが光学結合層を介してカプリングしてなることを特徴とする放射線像検出装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、支持体と保護膜の接着性のよいシンチレータパネル、及びそれを用いた放射線像検出装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】放射線像検出装置の構成の一例示す概念図である。
【図2】蒸着装置の一例を示す模式図である。
【図3】シンチレータパネルを断裁するブレードダイシングの一例である。
【図4】保護層形成に用いられる、装置の一例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0026】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、本発明のシンチレータパネルは、支持体上の片面に、下引層と蛍光体層とを有し、前記蛍光体表面、前記支持体と蛍光体層との側面、及び前記蛍光体とは反対側の前記支持体の端部から内側3.0mm以内の面積とを覆う形で保護層が設けられ、かつ前記支持体と前記保護層の線熱膨張係数がともに10ppm/℃以上、120ppm/℃以下であることを特徴とする。
【0027】
放射線像変換パネルは様々な支持体を使用することができる。この時、支持体と保護膜の部材の線熱膨張係数を特定の領域に設計しない場合は、使用中の熱変動や衝撃によりズレを生じ、このため膜はがれを発生させる場合のあることがわかり、本発明に至った次第である。
【0028】
(シンチレータパネル)
本発明のシンチレータパネル(放射線像変換パネル)は少なくとも、支持体、下引層、蛍光体層、保護層を有しており、好ましくは光学結合層、反射層を含んでいる。
【0029】
なお、本願において「シンチレータ」とは、α線、γ線、X線等の電離放射線を照射されたときに原子が励起されることにより発光する蛍光体をいう。すなわち、放射線を紫外・可視光に変換して放出する蛍光体をいう。
【0030】
本発明において、放射線変換パネルの支持体、保護層の線熱膨張係数は10ppm/℃以上、かつ120ppm/℃以下である。この範囲にあることによって、本発明のシンチレータパネルの保護膜と支持体の接着性が向上する。さらに、蛍光体層以外の支持体、保護層、光学結合層、下引層、の全てが10ppm/℃〜120ppm/℃であると、各層の界面の間での熱変位差を抑制でき、接着性が良好で、膜剥がれを防止できる。
【0031】
本発明における線熱膨張係数は化合物固有の値で周知である。また、一般的な方法で測定する事ができる。本発明では層を構成する組成物を測定することで測定ができる。必要に応じ別途塗膜を製膜し測定することができる。
【0032】
また、蛍光体層以外の支持体、保護層、のSP値は14.0(MPa)1/2〜27.0(MPa)1/2の範囲であることが、保護膜と支持体との接着性の観点から好ましい。さらに、支持体、保護層に加えて、光学結合層、下引層、の全てのSP値が14.0(MPa)1/2〜27.0(MPa)1/2の範囲とする材料を選択することで、界面同士の親和性が高くなり、熱や振動、衝撃に代表される外力による膜剥がれ、撓みの品質劣化をより抑制できる。
【0033】
なおSP値とは溶解度パラメータを指し、例えば、POLYMER ENGINEERING AND SIENCE,1974,Vol.14,NO2,P147−154(ROBERT F.FEDORS)に記載の如く、下記式によって求められる値である。
【0034】
SP=(ΔEv/V)1/2
式中、ΔEvは蒸発エネルギー、Vはモル体積を示す。
【0035】
(支持体)
本発明のシンチレータパネルは、支持体上の片面に下引層と蛍光体層とを有し、蛍光体表面、前記支持体と蛍光体層との側面、及び前記蛍光体とは反対側の前記支持体の端部から内側3.0mm以内の面積とを覆う形で保護層が設けられ、かつ、支持体と保護層の線熱膨張係数がともに10ppm/℃以上、120ppm/℃以下である。後述する保護層と共に支持体の線熱膨張係数がこの範囲にあることによって、シンチレータパネルの保護層と支持体の接着性が向上する。
【0036】
また、本発明の支持体は後述する保護層と共にSP値が14.0(MPa)1/2〜27.0(MPa)1/2である事が好ましい。この範囲にあることでより、支持体と保護層の接着性が改善される。
【0037】
本発明において支持体のガラス転移温度(以下Tgともいう)は90℃以上600℃以下が好ましい。さらに好ましくは、150℃以上500℃以下である。Tgが90℃以上であると、蒸着等の製造時の加熱環境下でも支持体の変形が起きにくいため、支持体と保護膜の接着性が優れ、また変形に伴う鮮鋭性の低下等を招くことがない。上限は入手のしやすさ、コスト等から600℃以下の範囲が好ましい。
【0038】
尚、本発明でいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K 7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)とする。
【0039】
本発明ではこのような支持体として、樹脂フイルムを用いることが好ましい。上記線熱膨張係数の樹脂フイルムとしては、セルロースアセテートフイルム、ポリエステルフイルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フイルム(Tg81℃)、ポリエチレンナフタレート(PEN)フイルム、ポリアミドフイルム、ポリイミド(PI)フイルム(Tg410℃)、トリアセテートフイルム、ポリカーボネートフイルム、炭素繊維強化樹脂シート等の樹脂フイルム(プラスチックフイルム)を用いることができる。特に、ポリイミド、又はポリエチレンナフタレートを含有する樹脂フイルムが、ヨウ化セシウムを原材料として気相法にて蛍光体柱状結晶を形成する場合に、好適である。
【0040】
なお、本発明に係る支持体として後述する弾性率を有する可とう性のある樹脂フイルムであることが好ましい。
【0041】
なお、「弾性率」とは、引張試験機を用い、JIS C 2318に準拠したサンプルの標線が示すひずみと、それに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めたものである。
【0042】
本発明に用いられる支持体は、上記のように120℃での弾性率(E120)が1000〜6000N/mmであることが好ましい。より好ましくは1200〜5000N/mmである。
【0043】
具体的には、ポリエチレンナフタレート(E120=4100N/mm)、ポリエチレンテレフタレート(E120=1500N/mm)、ポリブチレンナフタレート(E120=1600N/mm)、ポリカーボネート(E120=1700N/mm)、シンジオタクチックポリスチレン(E120=2200N/mm)、ポリエーテルイミド(E120=1900N/mm)、ポリイミド(E120=1200N/mm)、ポリアリレート(E120=1700N/mm)、ポリスルホン(E120=1800N/mm)、ポリエーテルスルホン(E120=1700N/mm)等からなる樹脂フイルムが挙げられる。
【0044】
これらは単独で用いてもよく積層あるいは混合して用いてもよい。中でも、特に好ましい樹脂フイルムとしては、ポリイミド又はポリエチレンナフタレート樹脂フイルムである。
【0045】
なお、シンチレータパネルと平面受光素子面を貼り合せる際に、支持体の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け、フラットパネルディテクタの受光面内で均一な画質特性が得られ難いという点に関して、該支持体を、厚さ50〜500μmの樹脂フイルムとすることでシンチレータパネルが平面受光素子面形状に合った形状に変形し、フラットパネルディテクタの受光面全体で均一な鮮鋭性が得られる。
【0046】
(反射層)
本発明においては、樹脂支持体上には反射層を設けることが好ましい、蛍光体(シンチレータ)から発した光を反射して、光の取り出し効率を高めるためのものである。当該反射層は、Al,Ag,Cr,Cu,Ni,Ti,Mg,Rh,Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素を含む材料により形成されることが好ましい。特に、上記の元素からなる金属薄膜、例えば、Ag膜、Al膜などを用いることが好ましい。また、このような金属薄膜を2層以上形成するようにしても良い。なお、このような金属薄膜を用いる場合反射層の厚さは、0.005〜0.3μm、より好ましくは0.01〜0.2μmであることが、発光光取り出し効率の観点から好ましい。
【0047】
また、金属の反射率を利用する手段の他に、誘電率の異なる2つの層を重ねることで起きる全反射の性質を利用した、反射層の構成も設けることができる。当該反射層は、種々の材料からなる2つ以上の誘電体層を選択し、用いて、支持体側から屈折率の値が段階的に低くなるよう配置することで形成できる。選択できる材料としては、たとえば酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化インジウム(ITO)などの無機材料が挙げられ、いずれもスパッタ法にて形成できる。無機材料層の厚さは膜付き、発光光の減衰および形成プロセスを考慮し、0.005μm以上、0.7μm以下が好ましく、更には0.005μm以上、0.1μm以下が好ましい。
【0048】
誘電体層として、有機材料を用いることもできる。有機材料層は高分子結合材(バインダー)、分散剤等を含有することが好ましい。有機材料層の屈折率は材料の種類にもよるがおおよそ1.4〜1.6の範囲である。有機材料層の厚さは0.5〜4μmが好ましい。4μm以下とすることで有機材料層内での光散乱が小さくなり鮮鋭性が向上する。また、有機材料層の厚さを0.5μm以上とすることで、反射層としての効果が大きくなる。
【0049】
有機材料層は、溶剤に溶解または分散した高分子結合材(以下「バインダー」ともいう。)を塗布、乾燥して形成することが好ましい。
【0050】
有機材料層に用いられる高分子結合材としては、具体的には、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。
【0051】
特に蛍光体層との密着の点でポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースなどが好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)が30〜100℃のポリマーであることが、蛍光体層と支持体との膜付の点で好ましい。この観点からは、特にポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0052】
有機材料層の調製に用いることができる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0053】
なお、有機材料層には、シンチレータが発光する光の散乱の防止し、鮮鋭性等を向上させるために顔料や染料を含有させてもよい。また、誘電体層として用いる有機材料層は、後述する下引層としての機能を兼ねることもできる。
【0054】
(下引層)
本発明においては、支持体と蛍光体層の間、又は反射層と蛍光体層の間に下引層を設けることが好ましい。当該下引層は、CVD法(気相化学成長法)によりポリパラキシリレン膜を成膜する方法や高分子結合材(バインダー)による方法があるが、膜付の観点から高分子結合材(バインダー)による方法がより好ましい。ここでいう高分子結合材(バインダー)は前述した、有機材料層に用いることができる高分子結合材と同じであってもよい。
【0055】
また下引層の厚さは、0.5〜4μmが好ましい。4μm以下になると下引層内での光散乱が小さくなり鮮鋭性が向上する。また下引層の厚さを5μm以下とすることで、蛍光体層の結晶成長に乱れが発生するのを防止できる。また、下引層の線熱膨張係数は前述した保護層と支持体と同じ範囲にある事が好ましい。SP値も前述した保護層と支持体と同じ範囲にあることが好ましい。
【0056】
以下、下引層の構成要素について説明する。
【0057】
〈高分子結合材〉
本発明に係る下引層は、溶剤に溶解又は分散した高分子結合材を塗布、乾燥して形成することが好ましい。高分子結合材としては、具体的には、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースを使用することが好ましい。
【0058】
本発明に係る下引層に用いる高分子結合材としては、特に蛍光体層との密着の点でポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースなどが好ましい。また、ガラス転移温度(Tg)が30〜100℃のポリマーであることが、蒸着結晶と支持体との膜付の点で好ましい。この観点からは、特にポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0059】
下引層の調製に用いることができる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0060】
なお、本発明に係る下引層には、蛍光体(シンチレータ)が発光する光の散乱の防止し、鮮鋭性等を向上させるために顔料や染料を含有させても良い。
【0061】
(蛍光体層)
本発明に係る蛍光体層は、柱状構造を有する結晶からなる蛍光体層であることが好ましい。また蒸着後に所定サイズに断裁されており、支持体全面が蛍光体層形成領域となっている。
【0062】
蛍光体層を形成する材料としては、種々の公知の蛍光体材料を使用することができるが、X線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成出来るため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層の厚さを厚くすることが可能であることから、ヨウ化セシウム(CsI)が好ましい。
【0063】
但し、CsIのみでは発光効率が低いために、各種の賦活剤が添加される。例えば、特公昭54−35060号公報の如く、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものが挙げられる。また、例えば特開2001−59899号公報に開示されているようなCsIを蒸着で、タリウム(Tl)、ユウロピウム(Eu)、インジウム(In)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活物質を含有するCsIが好ましい。本発明においては、特に、タリウム(Tl)、ユウロピウム(Eu)が好ましい。更に、タリウム(Tl)が好ましい。
【0064】
なお、本発明においては、特に、1種類以上のタリウム化合物を含む添加剤とヨウ化セシウムとを原材料とすることが好ましい。すなわち、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)は400nmから750nmまでの広い発光波長をもつことから好ましい。
【0065】
本発明に係る1種類以上のタリウム化合物を含有する添加剤のタリウム化合物としては、種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。本発明において、好ましいタリウム化合物は、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、又はフッ化タリウム(TlF,TlF)等である。
【0066】
また、本発明に係るタリウム化合物の融点は、400〜700℃の範囲内にあることが好ましい。700℃以内を超えると、柱状結晶内での添加剤が不均一に存在してしまい、発光効率が低下する。なお、本発明での融点とは、常圧下における融点である。
【0067】
本発明に係る蛍光体層において、当該添加剤の含有量は目的性能等に応じて、最適量にすることが望ましいが、ヨウ化セシウムの含有量に対して、0.001mol%〜50mol%、更に0.01〜10.0mol%であることが好ましい。
【0068】
ここで、ヨウ化セシウムに対し、添加剤が0.001mol%以上であると、ヨウ化セシウム単独使用で得られる発光輝度の向上がみられ、目的とする発光輝度を得る点で好ましい。また、50mol%以下であるとヨウ化セシウムの性質・機能を保持することができて好ましい。
【0069】
なお、シンチレータ層(蛍光体層)の厚さは、10〜600μmであることが好ましく、支持体として樹脂フイルムを使用した場合は、断裁時のダメージの点から50〜500μmであることが好ましい。また輝度と鮮鋭性の特性のバランスから医療用として120〜400μmであることがより好ましい。
【0070】
本発明においては、支持体上に蛍光体の原料の蒸着により蛍光体層を形成した後に、所定サイズに断裁することが好ましい。
【0071】
これにより、シンチレータパネルの画像形成領域が広くなる。また支持体として樹脂フイルムを使用することでシンチレータパネルの厚みが薄くなり、口腔内ディテクタ用やカセッテサイズのフラットパネルディテクタ用として好適となる。またまた可とう性の樹脂支持体の使用によりシンチレータパネルと受光素子面の接触が全面で均一となり、画像特性が面内で均一化する。
【0072】
また蒸着後に断裁する為、個々の支持体への蒸着は不要であり。蒸着装置で作成可能な最大サイズで蒸着を実施し、必要に応じて、所望されるサイズに断裁すればよく、生産効率、出荷納期でのメリットが大きい。
【0073】
(保護層)
本発明に係る保護層は、蛍光体に対する防湿機能及び物理的な損傷を軽減するために設けられる。従来は、封止フィルムを用いシンチレータをパッケージして防湿していたが、その際にシンチレータプレート周辺に耳部が存在した。耳部には蛍光体層がないため、発光せずに、有効領域外となり、シンチレータパネルを装填する筺体の中で余分なスペースを取るため、筺体の小型化を阻害する。
【0074】
本発明では蒸着重合法にて保護層をコートすることが好ましい。蒸着の場合は、封止パッケージで生じる周辺の耳部はなく、筺体の小型化を阻害しない特徴がある。
【0075】
本発明のシンチレータパネルの保護層は、前述したように保護層の線熱膨張係数は10ppm/℃以上かつ、120ppm/℃以下であり、かつ前述した蒸着重合法に適した化合物を使用することが好ましい、そのような化合物の中ではポリパラキシリレンが好ましい。コート層は数μmレベルの厚みであるため、封止パッケージのような周辺の耳部はなく、筺体の小型化を阻害しない。なお、線熱膨張係数は保護層を構成する組成物を測定することで測定ができる。必要に応じ別途塗膜を製膜し測定することができる。
【0076】
本発明の好ましい態様である、支持体と保護層のSP値が14.0(MPa)1/2〜27.0(MPa)1/2の範囲である場合、界面がSP値の近い材料同士の接着となるので膜付きが十分良く、従来のように裏面を全面まで覆わなくても同等の耐湿性能が得られる。ポリパラキシリレンはSP値が22.8(MPa)1/2であり、好ましく使用できる。
【0077】
本発明において、裏面の保護層は端部のみに設けることができる。裏面はX線照射側であるが、画像にかからない端の部分は保護膜がかかっていても画質に影響はない。裏面の全面に保護層あると被写体を透過したX線情報が保護層で吸収され、信号変換効率が悪くなり好ましくない。特にマンモ撮影などの低管電圧撮影で顕著であり、好ましくない。
【0078】
裏面側の端部を保護膜が覆うことは、接着性向上の点から好ましい。裏面の保護層はなくても構わないが、若干端部を保護膜が覆うほうが強度が安定する。端部を保護膜が覆う部分は支持体の端部から内側3.0mm以内の面積である。この範囲であれば、画像には影響しなく、衝撃などに対して、強度も安定する。好ましくは、端部から内側0.5mm〜2.5mmの以内の範囲の面積を保護膜が覆うことである。
【0079】
端のはみ出す部分は、CVDでの成膜時に保護層が成膜されないようにマスクを設置し、その設置個所を調整することで、コントロールすることができる。
【0080】
はみ出す際のポリパラキシリレンコート厚は、所望膜厚一定でコートされていればよい。
【0081】
また、本発明のシンチレータパネルは、支持体上にシンチレータ設けたあと、保護層形成前に断裁する工程を経て保護層形成されたものである場合に、好ましく適用できる。断裁工程において生じた支持体とシンチレータ等の界面における微少な歪みをきっかけに、接着性が低下することを防ぐものと考えられる。
【0082】
支持体側に保護膜を設けない場合は、まず基板の裏面にマスクまたは、マスクと同等機能を有する機構(基板裏面を平滑なステージに直置きにする等)を設けて、蒸着重合法にてポリパラキシリレンを所望の厚さコートする。その後、コートした後に、マスク(または同等機能を有する機構)を取り外せばよい。
【0083】
マスクの材料として金属、樹脂または金属、樹脂の複合材を用いることができる。例えば金属の場合は、アルミニウム、ステンレス合金など、樹脂の場合は、PETなどを好ましく用いることができる。樹脂は、保護層成膜時のマスクの位置ずれを防止するために支持体と接する面に接着機能を有してもよい。接着機能は、着脱性を良くする目的で、さらに再剥離可能な機能を有してもよい。再剥離可能な機能は、弱粘着性、熱剥離、光照射剥離が挙げられる。マスクの厚みは0.05mm〜1.0mmが好ましい。
【0084】
ポリパラキシリレン膜厚は2μm以上10μm以下が好ましく、受光素子と接着する場合の接着剤層(後述する光学結合層)の厚みは10μm以上18μm以下が好ましい。すなわち接着剤層の厚みは接着力確保の観点から10mμ以上が好ましく、ポリパラキシリレン膜厚と接着剤層の厚みがトータルで20μm以内の場合、受光素子とシンチレータパネルとの間隙でシンチレータからの発光の拡散が小さくなりフラットパネルディテクタとしての鮮鋭性の低下を防ぐことができる。
【0085】
また、別の態様の保護層として、蛍光体層上にホットメルト樹脂も使用できる。ホットメルト樹脂はシンチレータパネルと平面受光素子面との接着も兼ねることができる。ホットメルト樹脂はポリオレフィン系、ポリエステル系又はポリアミド系樹脂を主成分ものが好適であるがこれに限定されない。ホットメルト樹脂の厚みは20μm以下が好ましい。
【0086】
保護層してホットメルト樹脂を使用した場合は10〜500g/cmの圧力で加圧しながら、ホットメルト樹脂の溶融開始温度より10℃程度高い温度まで加熱し1〜2時間静置後、徐々に冷却する。急冷するとホットメルト樹脂の収縮応力により受光素子の画素にダメージかある。好ましくは20℃/hour以下の速度で50℃以下まで冷却する。
【0087】
また保護層の光透過率は、光電変換効率、蛍光体(シンチレータ)発光波長等を考慮し、550nmで70%以上あることが好ましい。
【0088】
フラットパネルディテクタを構成する筐体の透湿度は、蛍光体層の保護性、潮解性等を考慮し全表面面積平均で、50g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には10g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましい。
【0089】
(光学結合層)
本発明に係る光学結合層は、シンチレータパネルと光電変換素子アレイを光学的に連続にする機能を有する。光学的に連続するとは、各層の間を光が進む際に損失なく伝搬することであり、シンチレータパネルと光電変換素子アレイの界面の屈折率差を小さくでき、透明性が高い材料を選択することが好ましい。光学結合層に用いられる材料としては、シリコン系のゲルやオイルが好ましい。
【0090】
また、光学結合層は、シンチレータパネルと光電変換素子アレイを光学的に連続にする機能(カプリング機能という)と同時に、シンチレータパネルと光電変換アレイを機械的に固定し接着させる機能を有することもできる。接着機能を有する光学結合層としては、例えば、アクリル系、エポキシ系、シリコーン系などの常温硬化型の接着剤が使用できる。特に弾力性を有する接着樹脂としてはゴム系の接着剤が使用できる。
【0091】
ゴム系の接着剤の樹脂としては、スチレン−イソプレン−スチレン等のブロックコポリマー系や、ポリブタジエン、ポリブチレン等の合成ゴム系接着剤、及び天然ゴム等を使用できる。市販されているゴム系接着剤の例としては一液型RTVゴムKE420(信越化学工業社製)などが好適に使用される。
【0092】
シリコーン接着剤としては、過酸化物架橋タイプや付加縮合タイプを単体または混合で使用してもよい。さらにアクリル系やゴム系粘着剤と混合して使用することもできるし、アクリル系接着剤のポリマー主鎖や側鎖にシリコーン成分をペンダントした接着剤を使用してもよい。
【0093】
接着剤としてアクリル系樹脂を用いる場合は、単量体成分として炭素数1〜14のアルキル側鎖を有するアクリル酸エステルを含有するラジカル重合性モノマーを反応させた樹脂を用いることが好ましい。また、単量体成分として、側鎖に水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の極性基を有する、アクリル酸エステルやその他のビニル系単量体を添加するのが好ましい。
【0094】
接着にあたっては接着剤が固化するまで10〜500g/cmの圧力で加圧することが好ましい。加圧により接着剤層から気泡が除去される。
【0095】
また、光学結合層の線熱膨張係数は前述の範囲にある事が好ましい。SP値も前述した範囲にあることが好ましい。
【0096】
(放射線像検出装置)
本発明に係る放射線像検出装置は、カプリングする工程で本発明に係る上記した放射線像変換パネル(シンチレータパネル)を光学結合層を介して光電変換素子アレイと光学的に連続させることで得られる。これにより、光電変換素子が蛍光体層からの発光を電荷に変換することで画像をデジタルデータ化することが可能となる。なお、光電変換素子アレイとは、光電変換膜を含む光電変換部と薄膜トランジスタを含む読み出し回路部を組み合わせた光電変換素子(受光素子ともいう)が、一次元もしくは二次元にアレイ状に配列されてなるものをいう。光電変換素子としてはTFT等、一般に知られているものを使用できる。
【0097】
図を用いて本発明の構成例を説明する。図1は放射線像検出装置の構成の一例示す概念図である。支持体121に、例えば、アルミのスパッタで反射層120を設け、その上に、例えば、塗布によって下引層119を形成する。この下引層まで設けた基板を図2に示す蒸着装置に取り付け、蛍光体層122を形成する。断裁工程で所望の大きさに断裁した後に、蛍光体122と支持体121を含む側面に保護層123を設けて、シンチレータパネルが作製される。このシンチレータパネルの蛍光体層122と回路基板131上の光電変換素子アレイ132が光学結合層(図示略)を介して向かい合うようにしてカプリングさせて放射線像変換パネルが作製される。
【0098】
以下に蒸着装置、保護層の形成、断裁工程の典型例について図を用いて説明する。
【0099】
〈蒸着装置〉
図2は蒸着装置の一例を示す模式図である。図2に示す通り、蒸着装置961は箱状の真空容器962を有しており、真空容器962の内部には真空蒸着用のボート963が配されている。ボート963は蒸着源の被充填部材であり、当該ボート963には電極が接続されている。当該電極を通じてボート963に電流が流れると、ボート963がジュール熱で発熱するようになっている。放射線用シンチレータパネルの製造時においては、ヨウ化セシウムと賦活剤化合物とを含む混合物がボート963に充填され、そのボート963に電流が流れることで、上記混合物を加熱・蒸発させることができるようになっている。
【0100】
なお、被充填部材として、ヒータを巻回したアルミナ製のるつぼを適用してもよいし、高融点金属製のヒータを適用してもよい。
【0101】
真空容器962の内部であってボート963の直上には支持体121を保持するホルダ964が配されている。ホルダ964にはヒータ(図示略)が配されており、当該ヒータを作動させることでホルダ964に装着した支持体121を加熱することができるようになっている。支持体121を加熱した場合には、支持体121の表面の吸着物を離脱・除去したり、支持体121とその表面に形成される蛍光体層(図示略)との間に不純物層が形成されるのを防止したり、支持体121とその表面に形成される蛍光体層(図示略)との密着性を強化したり、支持体121の表面に形成される蛍光体層(図示略)の膜質の調整をおこなったりすることができるようになっている。
【0102】
ホルダ964には当該ホルダ964を回転させる回転機構965が配されている。回転機構965は、ホルダ964に接続された回転軸965aとその駆動源となるモータ(図示略)から構成されたもので、当該モータを駆動させると、回転軸965aが回転してホルダ964をボート963に対向させた状態で回転させることができるようになっている。
【0103】
蒸着装置961では、上記構成の他に、真空容器962に真空ポンプ966が配されている。真空ポンプ966は、真空容器962の内部の排気と真空容器962の内部へのガスの導入とをおこなうもので、当該真空ポンプ966を作動させることにより、真空容器962の内部を一定圧力のガス雰囲気下に維持することができるようになっている。
【0104】
さらに、ヨウ化セシウムとヨウ化タリウムを用いた場合の例を説明する。
【0105】
上記のように反射層と下引層を設けた支持体121をホルダ964に取り付けるとともに、複数個(図示しない)のボート963にヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む粉末状の混合物を充填する(準備工程)。この場合、ボート963と支持体121との間隔を100〜1500mmに設定し、その設定値の範囲内のままで後述の蒸着工程の処理をおこなう。より好ましくはボート963と支持体121との間隔を400mm以上、1500mm以下とし、複数個のボート963を同時に加熱し蒸着を行う。
【0106】
準備工程の処理を終えたら、真空ポンプ966を作動させて真空容器962の内部を排気し、真空容器962の内部の圧力を0.1Pa以下の雰囲気にする(真空雰囲気形成工程)。ここでいう「真空雰囲気」とは100Pa以下の任意の圧力雰囲気のことを意味する。真空雰囲気の圧力は0.1Pa以下であるのが好適である。
【0107】
次にアルゴン等の不活性ガスを真空容器962の内部に導入し、当該真空容器962の内部を0.001〜5Pa、より好ましくは0.01〜2Paの真空雰囲気下に維持する。その後、ホルダ964のヒータと回転機構965のモータとを駆動させ、ホルダ964に取付け済みの支持体121をボート963に対向させた状態で加熱しながら回転させる。蛍光体層が形成される支持体121の温度は、蒸着開始時は室温25〜50℃に設定することが好ましく、蒸着中は100〜300℃、より好ましくは150〜250℃に設定することが好ましい。
【0108】
この状態において、電極からボート963に電流を流し、ヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む混合物を700℃程度で所定時間加熱してその混合物を蒸発させる。その結果、支持体121の表面に無数の柱状結晶体が順次成長して所望の厚さの結晶が得られる。この後、ヨウ化セシウムが蒸着された支持体を取り出し、粘着ローラにより蛍光体表面をクリーニングする。
【0109】
(断裁工程)
本発明においては、用いる平面受光素子面の面積より大である面積を有するシンチレータパネルから、用いる平面受光素子面に応じた面積に対応して断裁を行うことが好ましい。
【0110】
本発明においては、また蛍光体層を蒸着などの方法で形成した後に断裁することが好ましい。この場合フラットパネルディテクタ個々に対しての、蒸着などの操作は不要である。即ち、蒸着装置で作製可能な最大サイズで蒸着を実施し、必要に応じて、所望されるサイズに断裁すればよく、生産効率、出荷納期でのメリットが大きい。
【0111】
シンチレータパネルを断裁する断裁工程に用いられる方法の典型的例について、図を参照しながら説明する。
【0112】
図3は保護層形成前にシンチレータパネルを断裁するブレードダイシングの一例である。図3の(a)は、側断面図、(b)は正面断面図であり、保護層123が形成される前のシンチレータパネル12を断裁するブレートダイシングの例である。
【0113】
ダイシング装置2のダイシング台22にシンチレータパネル12は蛍光体層122側を下にして配置される。ブレード21によりシンチレータパネル12は支持体121側より断裁せれる。
【0114】
ブレード21は回転軸21aを中心にして回転することで保護膜形成前のシンチレータパネル12を切断する。ダイシング台22には溝221が設けられている。またブレードの両側には支持部材24が設けられている。
【0115】
《保護層の形成》
図4は、保護層形成に用いられる、装置の一例を示す模式断面図であり、シンチレータパネル12の蛍光体層122表面にポリパラキシリレン膜からなる保護層を形成する例である。
【0116】
CVD蒸着装置5は、ポリパラキシリレンの原料であるジパラキシリレンを挿入し気化させる気化室51、気化したジパラキシリレンを加熱昇温してラジカル化する熱分解室52、ラジカル化された状態のジパラキシリレンをシンチレータが形成された支持体121の上の蛍光体層122に蒸着させる蒸着室53、防臭、冷却を行う冷却室54および真空ポンプを有する排気系55を備えて構成されている。ここで、蒸着室53は、図4に示すように熱分解室52においてラジカル化されたポリパラキシリレンを導入する導入口53aおよび余分なポリパラキシリレンを排出する排出口53bを有すると共に、ポリパラキシリレン膜の蒸着を行う試料を支持するターンテーブル(蒸着台)53cを有する。
【0117】
まず、蒸着室53のターンテーブル53c上にシンチレータパネル12の蛍光体層122を上向きにして設置する。
【0118】
次に、気化室51において175℃に加熱して気化させ、熱分解室52において690℃に加熱昇温してラジカル化したジパラキシリレンを、導入口53aから蒸着室53に導入して、蛍光体層122の保護層(ポリパラキシリレン膜)123を3μmの厚さで蒸着する、この場合に、蒸着室53内は真空度13Paに維持されている。又、ターンテーブル53cは、4rpmの速度で回転させている。また、余分なポリパラキシリレンは、排出口53bから排出され、防臭、冷却を行う冷却室54および真空ポンプを有する排気系55に導かれる。
【0119】
保護層が二酸化珪素である場合には、スパッタ法にて形成できる。二酸化珪素の厚さは水分透過性、保護層中での発光光の拡散、および形成プロセスを考慮し、0.1μm以上、2.0μm以下が好ましく、更には0.5μm以上、1.0μm以下が好ましい。
【0120】
また、保護層が、ホットメルトメルト樹脂である場合には、例えば剥離剤がコーテングされた剥離シートに、ホットメルト樹脂を塗設後、ホットメルト樹脂面をシンチレータパネルの蛍光体層面に配置し、120℃に加熱したローラで加圧しながら張り合わせることで保護層を形成することができる。また、受光素子面との接着に接着剤を使用する場合は保護層と接着剤層の厚みのトータルが20μm以下になるように保護層の厚みを調整することが好ましい。
【0121】
《カプリングする工程》
保護層が形成されたシンチレータパネルは、カプリングする工程で、受光素子とカプリングされて放射線像検出装置が形成される。
【0122】
カプリングは、受光素子の平面受光素子面と、シンチレータパネルの蛍光体層側の面とを接着することにより行われることが好ましいが、必ずしも接着されている必要はなく例えば、補強板(ガラスやCFRP)やスポンジ等の発泡部材を用いて押圧することで密着させても良いし、光学グリースを用いて密着させても良い。
【0123】
接着は、接着剤を用いることが好ましく、接着にあたっては接着剤が固化するまで10〜500g/cmの圧力で加圧することが好ましい。
【0124】
加圧により接着剤層から気泡が除去される。保護層としてホットメルト樹脂を使用した場合は10〜500g/cmの圧力で加圧しながら、ホットメルト樹脂の溶融開始温度より10℃程度高い温度まで加熱し1〜2時間静置後、冷却することが好ましい。冷却は、ホットメルト樹脂の収縮応力により受光素子の画素にダメージ防止の面から、徐々に冷却することが好ましい。
【0125】
接着剤としては、例えば、アクリル系、エポキシ系、シリコーン系などの常温硬化型の接着剤が使用できる。特に弾力性を有する接着樹脂としてはゴム系の接着剤が使用しできる。
【0126】
ゴム系の接着剤の樹脂としては、スチレン−イソプレン−スチレン等のブロックコポリマー系や、ポリブタジエン、ポリブチレン等の合成ゴム系接着剤、および天然ゴム等を使用できる。市販されているゴム系接着剤の例としては一液型RTVゴムKE420(信越化学工業社製)などが好適に使用される。
【0127】
シリコーン系の接着剤としては、過酸化物架橋タイプや付加縮合タイプを単体または混合で使用してもよい。さらにアクリル系やゴム系粘着剤と混合して使用することもできるし、アクリル系接着剤のポリマー主鎖や側鎖にシリコーン成分をペンダントした接着剤を使用してもよい。
【0128】
接着剤としてアクリル系樹脂を用いる場合は、単量体成分として炭素数1〜14のアルキル側鎖を有するアクリル酸エステルを含有するラジカル重合性モノマーを反応させた樹脂を用いることが好ましい。また、単量体成分として、側鎖に水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の極性基を有する、アクリル酸エステルやその他のビニル系単量体を添加するのが好ましい。
【0129】
またシンチレータパネルと受光素子との間に介在させるものとしては、粘着性を有する光学グリース等も使用できる。透明性が高く粘着性があれば公知のいかなるものも使用できる。市販されている光学グリースの例としてはシリコンオイルKF96H(100万CS:信越化学工業社製)などが好適に使用される。
【0130】
カプリングされたシンチレータパネルと受光素子は、筐体に収納されている。
【0131】
放射線像検出装置であるフラットパネルディテクタを構成する筐体の透湿度は、蛍光体層の保護性、潮解性等を考慮し全表面面積平均で、50g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、さらには10g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましい。
【実施例】
【0132】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0133】
(支持体の作成)
600mm×600mmの下記支持体を準備した。
支持体 材質 厚み
C−1 アモルファスカーボン 1.0mm
G−1 ファイバーオプティックプレート 3.0mm
A−1 アルミニウム 0.5mm
E−1 ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム) 0.125mm
P−1 ポリイミドフィルム 0.125mm
(反射層の作成)
上記支持体の表面に銀をスパッタ法にてコーティングし、反射層(0.10μm)を、それぞれ形成した。
【0134】
(下引層の作成)
バイロン20SS(東洋紡社製:高分子ポリエステル樹脂) 300質量部
メチルエチルケトン(MEK) 200質量部
トルエン 300質量部
シクロヘキサノン 150質量部
上記処方を混合し、ビーズミルにて15時間分散し、下引塗設用の塗布液を得た。この塗布液を上記支持体の反射層側に乾燥層厚が1.0μmになるようにスピンコーターで塗布したのち100℃で8時間乾燥することで下引層を作製した。
【0135】
(蛍光体層の作成)
支持体の下引層側に蛍光体(CsI:0.03Tlmol%)を、図2に示した蒸着装置を使用して蒸着させ支持体の全面に300μmの蛍光体層を形成した。ボート963とホルダ964との間にシャッタ(図示略)を配し、蒸着開始時に目的物以外の物質が蛍光体層に付着するのを防止した。
【0136】
すなわち、まず、蛍光体原料を蒸着材料として抵抗加熱ルツボに充填し、また回転する支持体ホルダに支持体を設置し、支持体と蒸発源との間隔を500mmに調節した。
【0137】
続いて蒸着装置内を一旦排気し、Arガスを導入して0.5Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で支持体を回転しながら支持体の温度を200℃に保持した。次いで、抵抗加熱ルツボを加熱して蛍光体層を形成した。
【0138】
(シンチレータパネルの断裁)
蛍光体層の形成されたシンチレータパネルを図3に示したブレードダイシング装置にて35.0mm×25.0mmのサイズに断裁した。
【0139】
(保護層の作成)
断裁して得られたシンチレータパネルを、図4のCVD装置にセットしてポリパラキシレンからなる保護層を形成した。ポリパラキシレン膜の厚みは3μmになるように調整した。
【0140】
CVD装置にシンチレータパネルをセットする際には、シンチレータパネルの蛍光体層の形成面、側面、支持体側面、及び支持体裏面はPETのマスクを用いて支持体裏面の端部のみにポリパラキシリレン膜が被覆される形にセッティングした。このようなセッティングとすることで、X線情報を損なう無駄な保護層を除去できる。若干のポリパラキシリレン膜が支持体裏面の端部に被覆されるが、X線情報を損なう程の面積ではないため問題とならない。ここでは、端部から1.0mm迄の面積が保護層で覆われていた。
【0141】
(受光素子との接着)
37.6mm×27.9mmサイズのCMOSを有する有効画像領域36.0mm×27.0mmの受光素子(Rad−icon社製 Remote Rad EyeHR/画素サイズ22.5μm)を使用した。またCMOS面との接着には、下記組成のエポキシ系接着剤を作成した。尚本組成の接着剤組成物は再剥離性が高く、加熱圧着までは容易に位置変更が可能である。
【0142】
下記(A)の固形分比の混合物100質量部に対し、芳香族系イソシアネート化合物(B)を表1に示す量を添加した。さらにジオクチル錫ジラウレートを固形分に対して60ppm添加し、酢酸エチルで希釈して固形分30%の接着剤組成物を得た。
【0143】
(A)
2−エチルヘキシルアクリレート 50質量部
ブチルアクリレート 30質量部
スチレン 19質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 3質量部
(B)
トリレンジイソシアネート・トリメチロールプロパンアダクト体(商品名;コロネートL日本ポリウレタン(株)製)
上記接着剤をシンチレータパネルの保護層側に2μmの厚さになるように塗設し乾燥したのち、シンチレータパネルとCMOS部の位置を実体顕微鏡にて確認しながら両者を完全に一致させた。その後100g/cmの圧力で加圧しながら、70℃の環境で90分間加熱後、徐冷することで光学結合層を作成し、シンチレータパネルと受光素子をカップリングした。
【0144】
次に受光素子(Rad EyeHR)のコネクタ部に信号取り出しのケーブルを接続し、再度、図4のCVD装置にセットしシンチレータパネルおよび受光素子の全面を3μmの厚みのポリパラキシリレン膜で被覆し、非水分透過性の筐体とし、フラットパネルディテクタ1を得た。
【0145】
(保護層の膜剥れ評価法)
支持体層と保護層が積層している試料側面にニチバン製セロテープ(登録商標)をはり、その上を500gの荷重で往復5回擦る。カッターナイフの新刃を用い基板に対して垂直方向に約1mm間隔で傷を入れ、瞬時にセロテープ(登録商標)を剥がしてテープ剥離後にはがれた分の面積比率を求め、以下の基準で0.5刻みの評価をした。
5 :剥離部分が0%
4.5:剥離部分が1〜10%
4 :剥離部分が11〜20%
3.5:剥離部分が21〜40%
3 :剥離部分が41〜60%
2.5:剥離部分が61〜80%
2 :剥離部分ガ81%〜90%
1.5:剥離部分が91〜99%
1 :剥離部分が100%
(SP値:溶解パラメータ)
SP値は、POLYMER ENGINEERING AND SIENCE,1974,Vol.14,NO2,P147−154(ROBERT F.FEDORS)に記載の方法で計算して求めた。
【0146】
(線熱膨張係数)
線熱膨張係数は以下のようにして求めた。
【0147】
(線熱膨張係数の測定)
線熱膨張係数は、ASTM−D696に準拠し、25℃から100℃の範囲で測定した。
【0148】
実施例で使用した材料について、SP値と線熱膨張係数を以上のようにして求めた。SP値と線熱膨張係数の一覧を表1に示した。
【0149】
【表1】

【0150】
なお表中の用いた材料は以下のとおりである。
P−1:ポリイミドフィルム(宇部興産製ユーピレックス)
G−1:ファイバーオプティックプレート 47ARH(SCHOTT社製)
E−1:PETフィルム(三菱樹脂社製)
C−1:アモルファスカーボン AC−140(日清紡ケミカル株式会社製)
ポリエステル樹脂:バイロン20SS (東洋紡社製:高分子ポリエステル樹脂)
ポリパラキシリレン:diX (第三化成株式会社製)
エポキシ系接着剤:BC−600 Optical Cement (SAINT−GOBAIN株式会社製)2液型エポキシ樹脂(接着方法:20℃ 100g/cm加圧 加圧時間3hr〜4hrで接着した)
また、表中100<は100より大きい値であることを表す。
【0151】
以上の材料を用いて、表2で示した組み合わせで作成したシンチレータパネル1〜7に対して前述した接着性の評価を行った。結果を試料の構成と共に表2に示す。
【0152】
【表2】

【0153】
表2から、支持体にアモルファスカーボンやアルミニウムを用いた比較のシンチレータパネルに比べて、本発明試料は接着性が優れていることがわかる。さらに、反射層、下引層も含めて線熱膨張係数、SP値が本発明の好ましい範囲に入った場合、特に接着性が優れていることがわかる。またTgが高く好ましいポリイミドフィルムはPETフィルムに比べ、より高い効果を示すことが分かる。
【符号の説明】
【0154】
1 放射線像検出装置
2 ダイシング装置
12 シンチレータパネル
21 ブレード
21a 回転軸
22 ダイシング台
221 溝
23 ノズル
24 支持部材
5 CVD蒸着装置
51 気化室
52 熱分解室
53 蒸着室
53a 導入口
53b 排出口
53c ターンテーブル(蒸着台)
54 冷却室
55 排気系
119 下引層
120 光反射層
121 支持体
122 蛍光体層
123 保護層
131 回路基板
132 光電変換素子アレイ
961 蒸着装置
962 真空容器
963 ボート
964 ホルダ
965 回転機構
965a 回転軸
966 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上の片面に、下引層と蛍光体層とを有するシンチレータパネルにおいて、前記蛍光体層の表面、前記支持体と蛍光体層との側面、及び前記蛍光体層とは反対側の前記支持体の端部から内側3.0mm以内の面積とを覆う形で保護層が設けられ、かつ前記支持体と前記保護層の線熱膨張係数がともに10ppm/℃以上、120ppm/℃以下であることを特徴とするシンチレータパネル。
【請求項2】
前記支持体と保護層のSP値がともに14.0(MPa)1/2以上、27.0(MPa)1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載のシンチレータパネル。
【請求項3】
前記下引層の線熱膨張係数が10ppm/℃以上、120ppm/℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のシンチレータパネル。
【請求項4】
前記下引層のSP値が14.0(MPa)1/2以上、27.0(MPa)1/2以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
【請求項5】
前記蛍光体層が柱状構造の蛍光体を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
【請求項6】
前記支持体のガラス転移温度が90℃以上600℃以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のシンチレータパネル。
【請求項7】
請求項1から6に記載のシンチレータパネルと光電変換素子アレイとがカプリングしてなることを特徴とする放射線像検出装置。
【請求項8】
請求項1から6に記載のシンチレータパネルと光電変換素子アレイとが光学結合層を介してカプリングしてなることを特徴とする放射線像検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−83186(P2012−83186A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229385(P2010−229385)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】