説明

シンボルを検出する方法及び関連する受信機

受信機によるシンボル検出の方法であって、連続パルス(3a,3b,・・・,3n、及び、4a,4b,・・・,4n)の形態で送信機から送信されている各シンボル(S,S)は、デジタル値の所定のシーケンスを示し、前記デジタル値は、各所定のシーケンス内に各名目上の重み付けを有し、前記方法は、(1)前記送信機から送信されたシンボル(S,S)に実質的に対応する連続パルスを前記受信機で受信するステップと、(2)前記受信連続パルスに対応するデジタル値(S)のシーケンスを測定するステップと、(3)デジタル値の測定されたシーケンスの関数として、受信した前記シンボルを決定するステップとを具備し、前記デジタル値は、前記測定シーケンス内に各重み付けを有し、前記決定は、前記デジタル値の前記各名目上の重み付けを復元するように選択された、前記測定シーケンスの前記デジタル値の重み付けステップを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機によるシンボルの検出に関する。
特に、連続パルスの形態で送信機によって送信されるシンボルの検出に関する。
【背景技術】
【0002】
ノイズの多い信号内のパルス検出は常に不確実であって、既にレーダシステム分野における問題である。
【0003】
これに関連して、CFAR(Constant False Alarm Rate)検出器について言及される可能性がある。CFARは、システムが期待性能基準にまだ合致しているうちに、システムが許容することができるノイズピーク(フォールスアラーム:false alarm)におけるトリガーの最大数を測定するステップを具備している。ノイズが存在する間だけ、受信機は測定する間に較正フェーズを実行する。フォールスアラームのこの最大数に対応する閾値に基づく二分法が用いられる。したがって、取得された閾値は、固定エラー率の検出の最大の感度に対応する。
【0004】
CFAR検出器方法は有用な結果を生み出す。しかし、この方法には、その処理原理に直接関係するある欠点が存在する。
【0005】
まず、それは最小エラー率を示す。実際に、フォールスアラームの要求数を取得するために、エラーによって、どのようなリンク条件であっても、受信機はその閾値の位置を決定する。その結果、受信機は、非常に良い条件を利用することができず、事実上、その性能は限定される。次に、フォールスアラームは、エラーの大部分を示す。この不均衡は、エラー補正符号化システムによって補正されなければならない。最後に、閾値の較正は複雑である。例えば、その較正の間、あらゆる信号の不存在を確実にするために、受信機からアンテナを切断する必要がある。したがって、閾値の較正は、稀に、あらゆる通信フェーズ外で実行されるだけである。
【0006】
パルスを検出する他の既知の方法は、有用な信号上でトリガーの固定数を探索するステップを具備している。この特に単純な方法は、時間間隔毎に送信されるパルス数の検出に依存する。はじめに、検出閾値は高い値に固定され、次いで、パルスの期待数が検出可能となるまで、その閾値は各反復における所定の値によって下げられる。したがって、送信信号がシンボル時間(symbol-time)毎に8個のパルスを具備していれば、前記システムの目標は、シンボル時間毎に8個のトリガーを取得することになる。
【0007】
この方法は、時間間隔毎のパルス数が、受信機にとって常に既知であるとは限らず、かつ、リンク条件及び無線チャネル(例えば、エコー数)の関数として変動する可能性もあるという事実のために、比較的効果がない。
【0008】
さらに、このパルス検出の問題は、最近のUWB(Ultra-Wide-Band)無線技術を使用したシステムにも生じている。
【0009】
この新たな技術は、連続した搬送波周波数を使用していない。搬送波信号の変調の代わりに、送信される情報は、非常に短い間隔(数百ピコ秒から数ナノ秒の間)のパルス、及び、その結果、非常に広い帯域幅(数GHz)のパルスを使用して直接送信される。これらのパルスの比較的低いエネルギーが全帯域に拡散しているので、信号のスペクトルエネルギー密度は非常に低い。
【0010】
したがって、UWBパルス信号は、連続信号ではないが、非常に低いデューティサイクルを備えた非常に短いパルス列である。
【0011】
マルチアクセスは、たびたび、擬似ランダムシーケンスによって制御される時間ホップ(時間ホッピング)を使用して実行される。情報は、振幅、形状、又は、さらにパルスの遅延を変動することによって変調することができる。ホッピングシーケンスに関しては、これは受信機の特徴、又は、「シグネチャ」を具備している。
【0012】
各パルスは、受信機によって連続して検出されなければならない。それは、同期検出(コヒーレント、又は、相関によって)、又は、二次検出のどちらによって実行されてもよい。しかし、いずれの場合にも、検出結果は、信号の振幅、又は、取得された相関レベル、パルスの有無によって、決定するために、検査されなければならない。
【0013】
次いで、連続パルスの検出によって、受信シンボルに対応する値が決定される。
【0014】
使用した第1UWB受信機は、同期相関によってパルスを検出する原理に依存した。これらの受信機で、決定するために、閾値レベルと比較されるのは取得した相関レベルである。これらの受信機の同期特性のために、相対的に言って、閾値の適切な調整はこの場合にあまり重要ではない。その一方、パルスの検出は、エネルギー又は振幅の検出に基づく新規の非コヒーレント受信機の場合に、より一層問題を含む。
【0015】
パルス検出性能が非常に低い場合、そのような連続パルス形態で送信された1又は複数のシンボルを効果的に検出することは期待することができない。
【0016】
例えば、パルスの有無を所定の時間間隔内に検出することが望まれる場合、この時間間隔に渡って計測されたエネルギー又は振幅を検出閾値と比較することによって、検出の性能、及び、送信シンボルの値に対する結果として起こる決定の性能は、大部分が、この閾値のポジショニングに依存している。しかし、この閾値に対する適切な値は、必ずしも容易に選択されず、特に最適な値は、とりわけ無線条件の関数として変動する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の1つの目的は、効果的なシンボル検出を取得することである。
【0018】
本発明の他の目的は、これらのシンボルを形成する連続パルスの検出が比較的効果のない場合であっても、効果的なシンボル検出を取得することである。特に、パルス検出に使用される検出閾値が一時的、又は、より恒常的に不適応な場合であっても、シンボル検出は効果的でなければならない。
【0019】
本発明の他の目的は、UWBタイプのシステムにおいて、特に、非コヒーレント受信機手段によって、シンボル検出を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明は、受信機によるシンボル検出方法を提供し、連続パルスの形態で送信機から送信されている各シンボルは、デジタル値の所定のシーケンスを示し、前記デジタル値は、各所定のシーケンス内に各名目上の重み付けを有する。前記方法は、
(1)前記送信機から送信されたシンボルに、実質的に対応する連続パルスを前記受信機で受信するステップと、
(2)前記受信連続パルスに対応するデジタル値のシーケンスを測定するステップと、
(3)デジタル値の測定されたシーケンスの関数として、受信した前記シンボルを決定するステップと
を具備し、
前記デジタル値は、前記測定シーケンス内に各重み付けを有し、
前記決定は、前記デジタル値の前記各名目上の重み付けを復元するように選択された、前記測定シーケンスの前記デジタル値の重み付けステップを具備する。
【0021】
したがって、前記送信シンボルに対する決定は、測定された前記デジタルシーケンスに基づき、前記受信機において行われる。このシーケンス内で、デジタル値は異なる重み付けステップを有する。即ち、送信可能な前記シンボル内の同一デジタル値に関して、異なる比率で示されている。したがって、上記の重み付けステップによって、これらのデジタル値の名目上の重み付けは、前記送信シンボルに対する決定のフレームワーク内に復元可能となる。
【0022】
測定された前記シーケンス内でサンプリング数が多すぎると、そのうちのいくつかはエラーに対応しなければならないので、前記デジタル値は不利であり、これに反して、決定されるとき、サンプリング数が少ないと、より信頼性が高いので、デジタル値は有利である。したがって、なされた決定は改善される。
【0023】
例えば、問題の前記デジタル値は、前記連続パルスにおけるパルス手段によって送信されるバイナリ要素であってよい。
【0024】
好ましくは、前記送信機から送信されたシンボルに実質的に対応する、前記連続パルスは、時間ホップの擬似ランダムシーケンスに基づき送信される。それは「時間ホッピング」と言われる技術に相当する。
【0025】
さらに、例えば、連続パルスは、パルスの時間シフト(PPM変調)、又は、パルスの送信を有効とするか、又は、送信を無効とするか(OKK変調)によって変調することができる。
【0026】
好ましくは、前記送信機及び受信機は、UWBタイプの超広帯域無線通信技術を使用する。
【0027】
前記受信機は、同期検出を使用することができ、又は、その代わりに、受信機は非コヒーレント受信機であってもよい。好ましくは、非コヒーレント受信機の場合、前記受信連続パルスに対応するデジタル値のシーケンスの測定は、前記受信連続パルスにおける各パルスのエネルギーと、少なくとも1つの所定の閾値とを比較することである。
【0028】
本発明はまた、シンボルを検出するように構成された受信機を提供し、連続パルスの形態で送信機から送信されている各シンボルは、デジタル値の所定のシーケンスを示し、前記デジタル値は、各所定のシーケンス内に各名目上の重み付けを有する。前記受信機は、
(1)前記送信機から送信されたシンボルに実質的に対応する連続パルスを受信する手段と、
(2)前記受信連続パルスに対応するデジタル値のシーケンスを測定する手段と、
(3)デジタル値の測定されたシーケンスの関数として、受信した前記シンボルを決定する手段と
を具備し、
前記デジタル値は、前記測定シーケンス内に各重み付けを有し、
受信した前記シンボルを決定する前記手段は、前記デジタル値の前記各名目上の重み付けを復元するように、前記測定シーケンスの前記デジタル値の重み付けを行う手段を具備する。
【0029】
本発明はまた、受信機のコンピュータ処理手段によってロード及び実行される場合、上記方法を実行するコード命令を具備しているコンピュータプログラム製品を提供する。
【0030】
本発明はまた、シンボルを検出するデバイスを提供し、連続パルスの形態で送信機から送信されている各シンボルは、デジタル値の所定のシーケンスを示し、前記デジタル値は、各所定のシーケンス内に各名目上の重み付けを有する。前記検出デバイスは、
(1)前記送信機から送信されたシンボルに実質的に対応する連続パルスを取得する手段と、
(2)前記受信連続パルスに対応するデジタル値のシーケンスを測定する手段と、
(3)デジタル値の前記測定シーケンスの関数として、受信した前記シンボルを決定する手段と
を具備し、
前記デジタル値は、前記測定シーケンス内に各重み付けを有し、
受信した前記シンボルを決定する前記手段は、前記デジタル値の前記各名目上の重み付けを復元するように、前記測定シーケンスの前記デジタル値の重み付けを行う手段を具備している。
【0031】
本発明はまた、シンボルを検出するプログラム可能なコンポーネントを提供し、連続パルスの形態で送信機から送信されている各シンボルは、デジタル値の所定シーケンスを示し、前記デジタル値は、各所定のシーケンス内に各名目上の重み付けを有する。前記プログラム可能なコンポーネントは、
(1)前記送信機から送信されたシンボルに実質的に対応する連続パルスを取得する手段と、
(2)前記受信連続パルスに対応するデジタル値のシーケンスを測定する手段と、
(3)デジタル値の前記測定シーケンスの関数として、受信された前記シンボルを決定する手段と
を具備し、
前記デジタル値は、前記測定シーケンス内に各重み付けを有し、
受信された前記シンボルを決定する前記手段は、前記デジタル値の前記各名目上の重み付けを復元するように、前記測定シーケンスのデジタル値の重み付けを行う手段を具備している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照した非限定的で例示的な実施形態の以下の説明において明らかになることになる。
【0033】
本発明は、UWBシステムへの応用技術として以下に説明されることになる。しかし、本発明はまた、そのような応用技術に限定されることなく、対応する送信機から連続パルス形態のシンボルを受信するように構成された受信機を具備している他のタイプのシステムで実施してもよい。
【0034】
そのような連続無線パルスは、IR(Impulse Radio)信号と呼ばれる信号を形成する。信号の各パルスは、例えば、数百ピコから数ナノ秒の間に変動する期間(duration)を有する。一般に、いくつかのパルスは同一シンボルを送信することに使用され、事実上、極めて相当量の反復ゲインを取得することを可能にする。したがって、連続パルスは、送信されるシンボルに対応するデジタル値の所定のシーケンスを示す。例えば、連続パルス内の各パルスは、一般にバイナリ要素であるシーケンスのデジタル値を示すことができる。他のタイプの表現(representation)も当然同様に可能である。
【0035】
パルス送信時間における瞬間は、必ずしも一定でなくてよい。実際に、そのコンポーネントが可能性のある送信時間に対応する「時間ホッピング」と呼ばれる技術に基づき、擬似ランダム時間ホッピング符合を使用してもよい。実施例では、各パルスを32個の異なるロケーションに送信することができるとすれば、ホッピング符号は32次となる。シンボルに対応する連続パルスからの、N>1であるN次のパルスは、ホッピング符号のN次要素によって、指定された時間ロケーションに送信される。したがって、時間ホッピング原理は、時間次元において、スペクトラムにおける周波数ホッピング(FH)のちょうど対応する片方であると言ってよい。このようにして、いくつかの送信を同一の無線チャネルに多重化してもよい。
【0036】
さらに、連続無線パルスの形態で送信される情報は、本質的に既知の方法である種々の方法で変調することができる。例えば、各パルスが、送信されるシンボルの値に依存して、時間次元においてシフトするか、又は、シフトしないかのPPM(Pulse Position Modulation)タイプの変調、及び、各パルスの送信が、送信されるシンボルの値に依存して、有効とするか、又は、逆に、無効とするかのOOK(On/Off Keying)タイプの変調について言及されることになる。他のタイプの変調も当然同様に使用可能である。
【0037】
上記を図示するために、図1には、短期間の連続Nパルスの形態のシンボル送信の1実施形態が示されている。本実施形態では、時間ホッピングが使用され、かつ、送信信号はPPMを使用して変調される。
【0038】
本実施形態では、実際に、2つのシンボルが1個の送信機によって、2個の異なる受信機のアンテナに送信される。これらのシンボルは、上記の時間ホッピング技術手段によって時間多重化される。
【0039】
第1シンボルは、3a,3b,・・・,3nの記号で表された、第1連続N個パルスの形態で送信される。パルス3aは、期間Tfの第1時間間隔1の8個の利用可能なスロット(即ち、Tf=8×2Tc=16Tcなど)の中から、期間2Tcの第1時間スロット(例えば、数百ピコ秒乃至数ナノ秒)を占める。パルス3bは、期間Tfの第2時間間隔2の8個の利用可能なスロットの中から、期間2Tcの第3時間スロットを占める。そして、パルス3nは、期間Tfの最終時間間隔Nの8個の利用可能なスロットの中から、期間2Tcの第7時間スロットを占める。即ち、第1シンボルは、8次の擬似ランダム時間ホッピング符合である1,3,・・・,7に基づき送信される。
【0040】
同様に、第2シンボルは、4a,4b,・・・,4nの記号で表された、第2連続Nパルスの形態で送信される。パルス4aは、期間Tfの第1時間間隔1の8個の利用可能なスロットの中から、期間2Tcの第5時間スロット(例えば、数百ピコ秒乃至数ナノ秒)を占める。パルス4bは、期間Tfの第2時間間隔2の8個の利用可能なスロットの中から、期間2Tcの第4時間スロットを占める。そして、パルス4nは、期間Tfの最終時間間隔Nの8個の利用可能なスロットの中から、期間2Tcの第1時間スロットを占める。即ち、第1シンボルは、8次の擬似ランダム時間ホッピング符合である5,4,・・・,1に基づき送信される。
【0041】
したがって、各シンボルは、時間Ts=N.Tfの最長時間の後に送信される。
【0042】
さらに、図1に示された実施形態では、各時間スロットが2つの部分に分割され、各期間Tc及び各パルスは、時間スロットの1つの部分に送信される。これは、シンボルがPPM変調手段を用いて送信される事実によって説明される。したがって、送信されるシンボルを形成する各デジタル値は、対応するパルスのポジション、又は、各時間スロット内の複数のパルスのポジションを測定する。
【0043】
したがって、図示された実施形態では、第1シンボルを形成するデジタル値の全てが0であり、これに反して、第2シンボルを形成するデジタル値の全てが0であったとみなされる。その結果、パルス3a,3b,・・・,3nの全てはそれぞれの時間スロットの前半に配置され、逆に、パルス4a,4b,・・・,4nの全ては各時間スロットの後半に配置される。
【0044】
他のタイプの送信も、同様に利用可能であることは言うまでもない。例えば、OKK変調がPPMの代わりに実施されていたら、パルス4a,4b,・・・,4nは送信され、これに反して、パルス3a,3b,・・・,3nは送信されないことになる。
【0045】
次の説明部分では、上記原理に基づく、送信されたシンボルの受信が考慮される。
【0046】
まず、取得フェーズ及び同期フェーズは、時間ホッピングシーケンスの事前知識を利用して、受信機で実行される。受信機は、このシーケンスを識別し、その開始時間を配置し、かつ、本質的に既知の方法で、これから、所望の時間基準を抽出する。
【0047】
時間のこの瞬間から開始して、受信機は、伝播経路(マルチパスを有することができる無線伝播チャネル)を検出し、次いで、ロック(lock)する。以降、送信パルスの到着時間を正確に予測することができる。
【0048】
次いで、受信機は、パルスの実用上の有無を検出するために、各時間で各パルス到着時間を検査する。この検査は、好ましくは、受信信号の振幅と決定閾値との比較である。これは、特に、問題の受信機が非コヒーレントタイプである場合の事例である。
【0049】
他の事例では、パルスの検出は、他の手段によって実行してもよいことに言及しなければならない。例えば、コヒーレント検出又は相関による検出を備えた受信機にとって、パルスの検出は、好ましくは、本質的に既知の同期検出である。
【0050】
次いで、決定は、受信シンボルの値に関して、受信機によってなされることができ、この決定は、初期に実行されたパルスの検出を考慮している。
【0051】
本発明による決定過程を図示するために、単純化の目的で、以降では、2個のシンボルだけを受信機のアンテナに送信することができるとして取り扱う。図2に示すように、第1シンボルS(例えば、「0」に等しい)は、8個のバイナリ要素である01010101のワード(word)に基づき符号化され、これに反して、第2シンボルS(例えば、「1」に等しい)は、8個のバイナリ要素である10101010のワードに基づき符号化される。上記の原理に基づき送信されるとき、各バイナリ要素は各無線パルスのオブジェクトである。
【0052】
したがって、選択された実施形態では、各シンボルS及びSは、0及び1に等しい数値である。即ち、それぞれが4個の0、及び、4個の1である。故に、0及び1は、前記各シンボル(即ち、各4個)の中に同一の名目上の重み付けを有する。
【0053】
加えて、ここに、これらのシンボルがOOKタイプの変調を使用して送信されるという仮定を設ける。したがって、各シンボルS及びSの送信は、4個のパルス(0のバイナリ要素)の非送信と、他の4個のパルス(1のバイナリ要素)の送信とを交互に行う。故に、各シンボルS及びSは同一のエネルギーを持つということが理解される。
【0054】
従来、送信されたシンボルの決定は、受信されたバイナリ要素のシーケンスを測定するように、パルス期間(Tc)に実質的に対応する観察ウインドウの中に受信されたエネルギーを検出閾値と比較し、次いで、測定されたシーケンスを多様なシンボルの表示と比較することによって、受信機で実行することができる。検出閾値が完全に配置されている理想的な状態では、シンボル時間(Ts)は、上記の実施形態に基づき、パルスが50%のウインドウにおいて検出され、これに反して、残りの50%においてパルスが検出されないという事実に特徴付けられる。
【0055】
不適応の検出閾値は、フォールスアラーム(対応するバイナリ要素が0であっても検出されるパルス)か、又は、見逃し検出(対応するバイナリ要素が1であっても検出されるパルスが存在しない)かのどちらかの一方を引き起こす。
【0056】
上記の実施形態の説明では、不適切な初期調整を原因として永続的であるか、又は、例えば、無線条件の変動のために一時的である不適応の閾値は、検出される0のバイナリ要素の数と1のバイナリ要素の数との間に不均衡をもたらす結果となる。実際に、シンボルS及びSは0と同数の1を所有するので、これらのバイナリ要素は、受信機で測定されるシーケンス内に同一比率で出現しなければならない。したがって、閾値の不適応が、各送信シンボルを形成するバイナリ要素の検出を偏らせ、かつ、その結果、送信シンボルの測定における受信機の性能不足を引き起こすことが理解される。
【0057】
本発明によると、生成された不均衡、即ち、測定されたシーケンス内のバイナリ要素の各重み付けの変化は、受信機内で補正される。これは、送信シンボルの値を決定する過程を改善するために、バイナリ要素の名目上の重み付けを復元する後者によって達成される。このような方法で、妥当性のある決定は、決定閾値が誤って選択されるか、又は、不適応であるかの場合にも、送信シンボルの値をとることができるようになる。
【0058】
本補正メカニズムは、図2を参照して説明される1実施形態において、以降に、図示されている。この図は、バイナリ要素において、送信可能な各シンボルS及びSの説明を想起させる。
【0059】
シーケンスSは、問題の受信機によって受信され、かつ、検出された8個のバイナリ要素の連続を表し、送信機によってシンボル(S又はS)の送信に追随する。このシーケンスS、即ち、01111111は、各シンボルS及びSと比較することができる。Sは、Sと共通した0(参照5)と4個の1(参照6)とであることが分かる。さらに、Sは、Sと共通した3個の1(参照7)であり、かつ、0を共通していない。
【0060】
本発明によると、これらのバイナリ要素0及び1の名目上の重み付け、即ち、シンボルS及びS内のバイナリ要素の比率を復元するような方法で、受信機は、シーケンスSに示される各バイナリ要素0及び1に関する重み付けを適用する。
【0061】
本実施形態では、シーケンスSは、7個の1に対して1個の0だけを具備する。即ち、シーケンスS内の0及び1の重み付けは、それぞれ1及び7であり、シンボルS及びS内のそれらのそれぞれの4の名目上の重み付けに反する。例えば、名目上の重み付けを復元する重み付けは、決定がなされるとき、p=7×p=4などの各相関P及びPによる0及び1の重み付けを、多重化することによって達成されてもよい。
【0062】
受信機で測定されたシーケンスSに基づく決定の1実施形態によると、SとSとの相関、及び、SとSとの相関が算出され、各相関は上記の重み付けを考慮している。
【0063】
したがって、SとSとの相関の1事例は、次のように算出してもよい。
=1×p+4×p
ここで、Sは1個の0及び4個の1をSと共通に持つ。故に、上記の重み付け係数p及びpの値を代入することによって、次式が見出される。
=4+4×4/7=44/7
同様に、SとSとの相関は次のように算出してもよい。
=3×p
ここで、Sは3個の1をSと共通に持つ。算出後、次式が見出される。
=3×4/7=12/7
【0064】
本事例では、Cは、Cの値よりもおよそ4倍高い値を有する。したがって、比較的高い確実性で、受信シーケンスSは、シンボルSに対応することを決定することができる。
【0065】
重み付け不存在の同一の実施形態によれば、SとS及びSとの各相関C’及びC’は、各値、即ち、5及び3を有することになることが注目されなければならない。したがって、0及び1の名目上の重み付けの復元がない場合でも、受信シンボルはSに対応することが決定される。しかし、本事例では、C’がC’の値の2倍に満たないので、この決定は確実性が低い。
【0066】
他の実施形態では、以上に説明された本発明の原理の元に、従来の決定メカニズムによる不適切な決定、即ち、再生における多様なデジタル値の重み付けの不存在において、適切な決定がなされることも示すことができる。
【0067】
上記に説明された実施形態では、シーケンスS内の0に対して1が重さで勝り、これに反して、シンボルS及びSのそれぞれが4個の0及び4個の1を具備することは、パルスの検出閾値が非常に低いことを意味する。その結果、0で検出されるSのバイナリ要素は、それらの一部が必然的にエラーである1で検出されるSのバイナリ要素よりも信頼性が高い。したがって、上記に説明された重み付けは、バイナリ要素0及び1にそれらの名目上の重み付けを再び割り当てることによって、決定が、より信頼性高く表示(render)されることを可能にする。これはまた、それを補正する必要なく、不適切に配置された検出閾値が補正されることを可能にする。
【0068】
重み付けは、受信される新規の各シンボルに対して更新することができるか、又は、可能性として通例の方法よりも少なく更新することができる。
【0069】
上記に説明された決定モードは、単純な1実施形態であることが理解されることになる。あらゆる他の決定アルゴリズムで、シーケンスのデジタル値の重み付けも実装されてもよいことは言うまでも無い。同様に、使用される変調のタイプは、それらの名目上の重み付けを復元するために、デジタル値が重み付け付けされる方法に影響を及ぼすことができる。
【0070】
さらに、図2を参照して説明された実施形態では、送信可能な各シンボルが同じ数量の0及び1を具備していることが注目されることになる。しがたって、これに起因する重み付けは、0と1との間の均衡を復元することを目的とした。しかし、送信可能なシンボル内のデジタル値の分布が不均一な場合であっても(例えば、0が40%、及び、1が60%)、選択された重み付けは、測定されたシーケンスの各デジタル値に対して(即ち、例えば、0が40%、及び、1が60%)、名目上の重み付けを許可して、復元される必要があることが理解される。
【0071】
上記に説明された処理は、受信機内で実行される。好ましくは、少なくともそれらのいくつかは、適切な命令を具備しているコンピュータプログラム手段によって実行され、コンピュータプログラムは、受信機にロード可能であり、かつ、実行可能である。
【0072】
上記に説明された処理は、要求があれば、ハードウエア、又は、ソフトウエアモジュールの形態をとることができ、かつ、受信機に一体化可能な検出デバイスによって実行することができる。
【0073】
変形形態として、前記処理は、例えば、DSP(デジタル信号処理機)などの受信機に一体化することができるプログラム可能なコンポーネントによって実装されてもよい。
【0074】
本発明の1つの重要な利点は、通信の間に無線条件が変動する場合であっても、受信機の性能仕様がシンボルの抽出の観点から維持されることである。加えて、デジタル値の重み付けによって表されるデジタル補正は、ハードウエアの観点からの受信機の変形を要求しない。ソフトウエアの観点からは、実行しなければならないデジタル処理は比較的軽い。最後に、受信機における決定の改善は送信に影響を及ぼさない。
【0075】
上記に示したように、本発明は、特に、検出閾値の最適なポジショニングがとりわけ重要である非コヒーレント受信機の場合に有利である。しかし、コヒーレント検出か、又は、相関による検出かを用いた受信機などのあらゆる他の受信機にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、パルス形態におけるシンボル送信の単純化された1実施形態を図示する概略図である。
【図2】図2は、受信シンボルを決定するように考慮されたデジタルチェーンの1実施形態を図示する概略図である。
【符号の説明】
【0077】
Tc パルス期間
Tf 期間
Ts シンボル時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機によるシンボル検出の方法であって、
連続パルス(3a,3b,・・・,3n、及び、4a,4b,・・・,4n)の形態で送信機から送信されている各シンボル(S,S)は、デジタル値の所定のシーケンスを示し、前記デジタル値は、各所定のシーケンス内に各名目上の重み付けを有し、前記方法は、
(1)前記送信機から送信されたシンボル(S,S)に実質的に対応する連続パルスを前記受信機で受信するステップと、
(2)前記受信連続パルスに対応するデジタル値(S)のシーケンスを測定するステップと、
(3)デジタル値の測定されたシーケンスの関数として、受信した前記シンボルを決定するステップと
を具備し、
前記デジタル値は、前記測定シーケンス内に各重み付けを有し、
前記決定は、前記デジタル値の前記各名目上の重み付けを復元するように選択された、前記測定シーケンスの前記デジタル値の重み付けステップを具備することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記送信機から送信されたシンボルに実質的に対応する前記連続パルスは、時間ホップの擬似ランダムシーケンスに基づき送信されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記送信機から送信されたシンボルに実質的に対応する前記連続パルスは、前記パルスの時間シフトによって変調されることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記送信機から送信されたシンボルに実質的に対応する前記連続パルスは、前記パルスの送信を有効とするか、又は、送信を無効とすることによって変調されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記送信機から送信されたシンボルに実質的に対応する前記連続パルスからの各パルス(3a,3b,・・・,3n、及び、4a,4b,・・・,4n)は、数百ピコ秒と数ナノ秒の間の範囲の期間(Tc)を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記送信機及び前記受信機は、超広帯域無線通信技術を使用することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記受信連続パルスに対応するデジタル値(Sr)のシーケンスの測定は、前記受信連続パルスからの各パルス(3a,3b,・・・,3n、及び、4a,4b,・・・,4n)のエネルギーと少なくとも1つの所定の閾値との比較を具備することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
受信したシンボルの決定は、
デジタル値(S)の前記測定シーケンスと、前記送信機から送信可能な前記各シンボル(S,S)との相関を算出するステップと、
最大相関に対応するシンボルを測定するステップと
を具備し、
前記相関を算出するステップは、デジタル値の前記測定シーケンスと、前記送信機から送信可能な前記各シンボル(S,S)との間の共通なデジタル値(5−7)のカウント処理を行い、
前記カウント処理はまた、前記デジタル値の前記各名目上の重み付けを復元する方法で、前記デジタル値に各重み付け係数を適用することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
シンボルを検出するように構成された受信機であって、
連続パルス(3a,3b,・・・,3n、及び、4a,4b,・・・,4n)の形態で送信機から送信されている各シンボル(S,S)は、デジタル値の所定のシーケンスを示し、前記デジタル値は、各所定のシーケンス内に各名目上の重み付けを有し、前記受信機は、
(1)前記送信機から送信されたシンボル(S,S)に実質的に対応する連続パルスを受信する手段と、
(2)前記受信連続パルスに対応するデジタル値(S)のシーケンスを測定する手段と、
(3)デジタル値の測定されたシーケンスの関数として、受信した前記シンボルを決定する手段と
を具備し、
前記デジタル値は、前記測定シーケンス内に各重み付けを有し、
受信した前記シンボルを決定する前記手段は、前記デジタル値の前記各名目上の重み付けを復元するように、前記測定シーケンスの前記デジタル値の重み付けを行う手段を具備することを特徴とする受信機。
【請求項10】
受信機のコンピュータ処理手段によってロード及び実行される場合、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法を実行するコード命令を具備しているコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
シンボルを検出するデバイスであって、
連続パルス(3a,3b,・・・,3n、及び、4a,4b,・・・,4n)の形態で送信機から送信されている各シンボル(S,S)は、デジタル値の所定のシーケンスを示し、前記デジタル値は、各所定のシーケンス内に各名目上の重み付けを有し、前記検出デバイスは、
(1)前記送信機から送信されたシンボル(S,S)に実質的に対応する連続パルスを取得する手段と、
(2)前記受信連続パルスに対応するデジタル値(S)のシーケンスを測定する手段と、
(3)デジタル値の前記測定シーケンスの関数として、受信した前記シンボルを決定する手段と
を具備し、
前記デジタル値は、前記測定シーケンス内に各重み付けを有し、
受信した前記シンボルを決定する前記手段は、前記デジタル値の前記各名目上の重み付けを復元するように、前記測定シーケンスの前記デジタル値の重み付けを行う手段を具備することを特徴とする検出デバイス。
【請求項12】
シンボルを検出するプログラム可能なコンポーネントであって、
連続パルス(3a,3b,・・・,3n、及び、4a,4b,・・・,4n)の形態で送信機から送信されている各シンボル(S,S)は、デジタル値の所定シーケンスを示し、前記デジタル値は、各所定のシーケンス内に各名目上の重み付けを有し、前記プログラム可能なコンポーネントは、
(1)前記送信機から送信されたシンボル(S,S)に実質的に対応する連続パルスを取得する手段と、
(2)前記受信連続パルスに対応するデジタル値(S)のシーケンスを測定する手段と、
(3)デジタル値の前記測定シーケンスの関数として、受信された前記シンボルを決定する手段と
を具備し、
前記デジタル値は、前記測定シーケンス内に各重み付けを有し、
受信された前記シンボルを決定する前記手段は、前記デジタル値の前記各名目上の重み付けを復元するように、前記測定シーケンスのデジタル値の重み付けを行う手段を具備していることを特徴とするプログラム可能なコンポーネント。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−522970(P2009−522970A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549902(P2008−549902)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000033
【国際公開番号】WO2007/080311
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(591034154)フランス テレコム (290)
【Fターム(参考)】