説明

シートベルトリトラクタ

【課題】安全性を確保しつつも乗員の不快感を低減することが可能なシートベルトリトラクタを提供する。
【解決手段】センサ25はベルトの巻き取り量を検出し、制御装置3へ出力する。CAN通信部36は、車両の衝突を予測する衝突予測部40からCAN通信部36を介して出力される衝突予測情報を受信する。モータ23はCAN通信部36により衝突予測情報を受信した場合、モータ駆動制御部231の制御に従いベルトを巻き取る。ここで、センサ25により検出した巻き取り量が基準範囲記憶部351に記憶した基準範囲内である場合、禁止手段はモータ23によるベルトの巻き取りを禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に装備されるシートベルトリトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の座席に設けられるシートベルト装置は、車両の衝突時に生じる加速度による乗員の急激な移動を拘束し、乗員の身体の安全を図る装置である。このシートベルト装置は、一般に、シートベルト、シートベルトリトラクタ及びバックル装置等から構成される。
【0003】
リトラクタは、シートベルトを巻取部材(スプール)に巻回してバネ力により内部に引き込み、通常はその引き込んだ状態でシートベルトを収容している。乗員がシートベルトを装着する場合、シートベルトの巻き取り側と反対側一端に設けたタングプレートを引っ張ることで収容されたシートベルトを引き出し、これを座席の傍らに設けたバックル装置に係合させることで、シートベルトを装着する。
【0004】
このように構成されたリトラクタは、衝撃が作用する衝突時にはシートベルトの巻取部材からの引き出しをロックし、このロックされたシートベルトにより前方に急激に移動する乗員の身体を拘束する。ここで、特に衝突予測時または急減速時等において一層強力に乗員の身体を拘束するため、通常、プリテンショナとロック機構とが設けられる。
【0005】
プリテンショナは、衝突が予測される場合または車両が急減速状態になったことを加速度センサが検知した場合にシートベルトの弛みを除去し、シートベルトによる拘束力を向上するものである。ロック機構は、スプールとともに回転するロッキング部材(ロッキングベース)を備えている。そして、加速度センサの検知信号に応じて、ロッキングベースに設けられた係止部材(パウル)が車両の固定側部材(リトラクタのフレーム等)に設けられた内歯(ラチェット歯)に係止され、引き出し方向へのロッキングベース及びスプールの回転を規制する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−142984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のシートベルトリトラクタでは必要以上にプリテンショナが作動して乗員を拘束するため、不快感を与える場合があった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、状況に応じてプリテンショナを作動させないことにより、安全性を確保しつつも乗員の不快感を低減することが可能なシートベルトリトラクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るシートベルトリトラクタは、車両に装備されるシートベルトリトラクタにおいて、シートベルトの巻き取り量を検出する検出部と、外部から出力される衝突予測情報を受信する受信部と、該受信部により衝突予測情報を受信した場合に、シートベルトを巻き取る巻き取り部と、前記検出部により検出した巻き取り量が所定範囲内である場合は、前記衝突予測情報を受信している場合でも、前記巻き取り部によるシートベルトの巻き取りを禁止する禁止手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るシートベルトリトラクタは、シートベルト装着後の所定時間内に前記検出部が検出する巻き取り量に基づき、前記所定範囲を決定する決定手段を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るシートベルトリトラクタは、前記受信部は、シートの位置に関する位置情報を受信するよう構成してあり、該受信部により受信した位置情報が記憶部に記憶したシート基準範囲を超えるか否かを判定する判定手段と、該判定手段によりシート基準範囲を超えると判断した場合に、前記禁止手段による巻き取り禁止を解除する解除手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、検出部はシートベルトの巻き取り量を検出する。受信部は、外部から出力される衝突予測情報を受信する。また巻き取り部は受信部により衝突予測情報を受信した場合、シートベルトを巻き取る。ここで、検出部により検出した巻き取り量が所定範囲内である場合、禁止手段は巻き取り部によるシートベルトの巻き取りを禁止する。
【0013】
本発明にあっては、決定手段は、シートベルト装着後の所定時間内に検出部から検出される巻き取り量に基づき、禁止手段における所定範囲を決定する。そして、禁止手段は、検出部により検出した巻き取り量が、決定手段により決定した所定範囲内である場合、巻き取り部によるシートベルトの巻き取りを禁止する。
【0014】
本発明にあっては、受信部はシートの位置に関する位置情報を受信する。判定手段は、受信部により受信した位置情報が記憶部に記憶したシート基準範囲を超えるか否かを判定する。そして、シート基準範囲を超えると判断した場合、解除手段は、禁止手段による巻き取り禁止を解除する。
【発明の効果】
【0015】
本発明にあっては、検出部により検出した巻き取り量が所定範囲内である場合、禁止手段は巻き取り部によるシートベルトの巻き取りを禁止する。これにより、シートベルトが適正位置に存在する場合は、あえて不要な巻き取りを省略でき、乗員の不快感を低減することが可能となる。
【0016】
本発明にあっては、決定手段は、シートベルト装着後の所定時間内に検出部から検出される巻き取り量に基づき、禁止手段における所定範囲を決定する。そして、禁止手段は、検出部により検出した巻き取り量が、決定手段により決定した所定範囲内である場合、巻き取り部によるシートベルトの巻き取りを禁止する。従って、乗員の体格等に応じて巻き取りの禁止が実行されることからより安全性を向上することが可能となる。
【0017】
本発明にあっては、判定手段は、受信部により受信した位置情報が記憶部に記憶したシート基準範囲を超えるか否かを判定する。そして、シート基準範囲を超えると判断した場合、解除手段は、禁止手段による巻き取り禁止を解除する。これにより、ハンドルまたはガラス等への二次衝突の可能性が高い場合に、巻き取り禁止を解除できより安全性を向上することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】シートベルト装置の概要を示す模式的斜視図である。
【図2】シートベルトリトラクタの構成を示す模式図である。
【図3】制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】基準範囲決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】基準範囲決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】巻き取り処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】係数テーブルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図8】実施の形態2に係る制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図9】シート基準範囲ファイルのレコードレイアウトを示す説明図である。
【図10】解除処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】解除処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】実施の形態2に係る基準範囲決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態2に係る基準範囲決定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1
以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1はシートベルト装置の概要を示す模式的斜視図である。シートベルト装置10は、乗員11の身体をシート12に拘束するシートベルト(以下、ベルトという)13を備える。ベルト13は、乗員11の上体を拘束するベルト部分13aと、乗員11の腰部を拘束するベルト部分13bとから成る。ベルト部分13bの一端はアンカープレート14により車室下部の車体部分に固定されている。ベルト部分13aは、乗員11の肩近傍の箇所に設けられたスルーアンカー15で折り返され、その端部はシートベルトリトラクタ16のベルトリールに連結されている。ベルト13の他方の共通端部にはタングプレート17が取り付けられている。このタングプレート17は、シート12の下側縁部に固定されたバックル18に着脱自在である。
【0020】
図2はシートベルトリトラクタの構成を示す模式図である。シートベルトリトラクタ16は、ハウジング21内に回転自在に設けられたベルトリール(スピンドル)22と、ベルトリール22を回転駆動するモータ23(巻き取り部)とを備えている。ベルトリール22にはベルト13の上記ベルト部分13aの端部が結合され、ベルト部分13aはベルトリール22で巻き取られる。ベルトリール22の軸22aは動力伝達機構(ギヤ機構)24を介してモータ23の駆動軸23aに接続される。ベルトリール22は、動力伝達機構24を経由してモータ23で回転駆動される。
【0021】
モータ23が正転すると、ベルト13(ベルト部分13a)を引き込み、ベルトリール22に巻き取らせる。モータ23が逆転すると、ベルトリール22はベルト13(ベルト部分13a)を送り出すように回転する。ベルトリール22の回転でベルト13を引き込むことにより、ベルト張力を高め、乗員11の拘束を高める。ベルトリール22の回転でベルト13を送り出すことにより、ベルト張力を低下し、乗員11の拘束を緩和する。このようにして、シート12における乗員11の位置と姿勢の保持制御が行われる。なお、本実施の形態においては衝突予測時におけるベルト13の巻き取りをモータ23により行う例を説明するがこれに限るものではない。例えば図示しない火薬を用いてベルト13を巻き取る構成、または、モータ23及び火薬を用いた巻き取りの兼用であっても良い。
【0022】
ハウジング21の内壁にはベルト13の巻き取り量を検出する検出部(以下、センサという)25が取り付けられている。なお巻き取り量の検出は、軸22aの回転量を検出する角度センサ等であっても良い。センサ25はセンサ本体252及び進退棒251を含む。センサ本体252の一面はハウジング21の内壁にビスまたは接着剤等により固定されている。センサ本体252の他面側にはベルトリール22の軸22aと交差する方向に進退する進退棒251が突出している。進退棒251の先端はベルト13の一面に当接している。ベルト13の巻き取り量に応じて、当該ベルト13の一面に先端にて当接する進退棒251が軸22aと交差する方向に進退する。
【0023】
すなわち、ベルト13がベルトリール22に多く巻き取られている場合、ベルトリール22に巻き付くベルト13の断面視における直径が大きくなることから、進退棒251はセンサ本体252内部に入り込む。一方、ベルト13が引き出されるにつれ、ベルトリール22に巻き付くベルト13の断面視における直径が小さくなることから、進退棒251はセンサ本体252からベルトリール22に向かう方向に伸びることになる。センサ本体252は進退棒251の進退位置を、ベルト13の巻き取り量として制御装置3へ出力する。制御装置3はセンサ25から出力される巻き取り量に応じてモータ23を制御する。
【0024】
図3は制御装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。制御装置3は制御部としてのCPU(CentralProcessing Unit)31、RAM(Random Access Memory)32、CAN(Controller Area Network)通信部36、時計部38、モータ駆動制御部231、及び、記憶部35等を含む。CPU31は、バス37を介して制御装置3のハードウェア各部と接続されていて、それらを制御すると共に、記憶部35に格納された制御プログラム35Pに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。記憶部35には上述した制御プログラム35P、及び、基準範囲記憶部351、装着範囲記憶部352及び係数テーブル353等が記憶されている。
【0025】
受信部たるCAN通信部36はCANプロトコルに従い、距離センサ42、警告灯50、荷重センサ51、車速センサ41及び衝突予測部40等との間で情報の送受信を行う。なお、本実施の形態においてはCANを用いた例を説明するが他のプロトコルにより情報を送受信しても良い。時計部38は日時情報をCPU31へ出力する。モータ駆動制御部231はCPU31の指示に従いモータ23の正転(ベルト13の巻き取り)及び逆転(ベルト13の引き出し)を制御する。
【0026】
荷重センサ51はシート12の下面に設けられており、乗員11の着座に基づく荷重を検出した場合、オン信号をCAN通信部36へ出力する。装着範囲記憶部352には、乗員11がベルト13を装着しているか否かを判断する際に参照される巻き取り量の範囲(以下、装着範囲という)が記憶されている。例えば装着範囲記憶部352には、A1以上A2以下と記憶されている。センサ25は巻き取り量を検出し、CPU31へ出力する。上述の例ではベルト13がベルトリール22に完全に巻き込まれている場合、初期値である巻き取り量A3がCPU31へ出力される。なお、A3>A2>A1である。乗員11がベルト13を引き出し、センサ25からA1以上A2以下の巻き取り量が出力され、かつ、荷重センサ51からオン信号が出力された場合、CPU31はベルト13の装着が完了したと判断し、警告灯50へCAN通信部36を介して、消灯信号を出力する。これを受けて警告灯50は消灯する。一方、荷重センサ51からオン信号が出力され、かつ、センサ25からA1以上A2以下の巻き取り量が出力されない場合は、点灯信号を警告灯50へ出力する。警告灯50はこれを受けてシートベルト着用を促すべく点灯する。
【0027】
基準範囲記憶部351にはCPU31が演算により求めた乗員11に対する巻き取り量の範囲が記憶される。CPU31はベルト13が装着されたと判断した後、時計部38から出力される日時情報を参照し、センサ25から出力される巻き取り量の所定時間内(例えば5秒内)における平均値を算出する。CPU31は算出した平均値の±5%の巻き取り量を基準範囲の上限値及び下限値として基準範囲記憶部351に記憶する。例えば上限値はa2であり、下限値はa1であり、基準範囲はa1以上a2以下となる。なおA1≦a1<a2≦A2である。なお、±5%とした基準範囲の設定例はあくまで一例であり、車体強度等に応じて適宜の値を採用すればよい。また、所定時間は記憶部35に予め記憶されており、CPU31の指示に従い適宜読み出される。
【0028】
距離センサ42は例えばミリ波レーダ、超音波センサまたは複数のCCD(charge-coupleddevice)カメラ等であり車両前方に搭載されている。距離センサ42は前方に存在する障害物までの距離を演算し、距離を衝突予測部40等へ出力する。なお、距離センサ42は前方に存在する障害物までの距離を検出する例を説明するが、側方、または、後方に存在する障害物までの距離を検出するものであっても良い。
【0029】
車速センサ41は車両速度を検出し、検出した車両速度を衝突予測部40等へ出力する。車両の衝突を予測する衝突予測部40は、距離センサ42から出力される距離及び車速センサ41から出力される車両速度等に基づき衝突予測情報を、CAN通信部36を介して制御装置3へ出力する。衝突予測の方法としては、例えば、距離センサ42から出力される距離の時間的変化から相対速度を算出する。衝突予測部40はこの算出した相対速度及び障害物までの距離に基づき、衝突までの時間を算出する。衝突予測部40はこの算出した時間が予め記憶した所定時間以下である場合は、衝突の可能性が高いことを示す衝突予測情報を、CAN通信部36を介して制御装置3へ出力する。
【0030】
衝突予測部40から衝突予測情報が出力された場合、CPU31はモータ駆動制御部231にベルト13の正転命令(以下、巻き取り命令)を出力する。モータ駆動制御部231はこの巻き取り命令を受け付けた場合、モータ23を、ベルト13を所定量巻き取る方向に駆動する。一方、CPU31はセンサ25から出力される巻き取り量が基準範囲記憶部351に記憶した基準範囲内である場合、上述した巻き取り命令の出力を禁止する処理を行う。ベルト13の巻き取りは禁止されるが、ロック機構が作動し、乗員11をベルト13により拘束する。近年は高剛性フレームの存在により車内空間の剛性が高い。従って、乗員11とハンドルまたはダッシュボード等との間に十分な空間が確保されている場合は、二次衝突の可能性が低いことから敢えて強制的な巻き取りを禁止する。
【0031】
以上のハードウェア構成において本実施の形態に係るソフトウェア処理を、フローチャートを用いて説明する。図4及び図5は基準範囲決定処理の手順を示すフローチャートである。CPU31は荷重センサ51からオン信号が出力されたか否かを判断する(ステップS41)。CPU31はオン信号が出力されていないと判断した場合(ステップS41でNO)、以上の処理を繰り返す。一方、CPU31は、荷重センサ51からオン信号が出力されたと判断した場合(ステップS41でYES)、警告灯50へCAN通信部36を介して、点灯信号を出力する(ステップS42)。CPU31は装着範囲記憶部352に予め記憶した装着範囲を読み出す(ステップS43)。
【0032】
CPU31はセンサ25から出力される巻き取り量を参照し、センサから出力される巻き取り量が、読み出した装着範囲内であるか否かを判断する(ステップS44)。CPU31は装着範囲内ではないと判断した場合(ステップS44でNO)、ベルト13の未装着状態であると判断し、再びステップS44の処理を繰り返す。一方、CPU31は巻き取り量が装着範囲内であると判断した場合(ステップS44でYES)、ベルト13が装着されたと判断し、警告灯50へ消灯信号を出力する(ステップS45)。これにより、バックル18内にタングプレート17との連結を検出するバックルスイッチを設ける必要がなくなる。
【0033】
続いてCPU31はベルト13装着後時計部38から出力される日時情報を参照し、記憶部35に記憶した所定時間を経過したか否かを判断する(ステップS46)。CPU31は所定時間を経過していないと判断した場合(ステップS46でNO)、ステップS46の処理を繰り返し実行する。一方、CPU31は所定時間を経過したと判断した場合(ステップS46でYES)、センサ25から出力される巻き取り量を所定時間分RAM32に記憶する(ステップS47)。これは例えば1/10秒ごとにサンプリングを行い、5秒間の巻き取り量を逐次RAM32に記憶するようにすればよい。CPU31はRAM32に記憶した巻き取り量の合計値をサンプリング数で除すことにより、巻き取り量の平均値を算出する(ステップS48)。
【0034】
CPU31は算出した平均値とRAM32に記憶した各時間における巻き取り量との差の2乗値の総和をサンプリング数で除すことにより分散値を算出する(ステップS49)。CPU31は記憶部35から予め記憶した閾値を読み出す(ステップS51)。CPU31は算出した分散値が閾値以下であるか否かを判断する(ステップS52)。CPU31は分散値が閾値以下でないと判断した場合(ステップS52でNO)、シート12の位置調整中または乗員11がシート12に正しく座っていない状態等であると判断し、RAM32内の情報を消去する(ステップS53)。その後CPU31は処理を再びステップS47に戻す。
【0035】
CPU31は分散値が閾値以下であると判断した場合(ステップS52でYES)、乗員11がシート12上で正しい運転位置に着座したと判断し、ステップS48で算出した平均値に基づき基準範囲を算出する(ステップS54)。具体的にはCPU31は記憶部35から下限係数(例えば0.95)及び上限係数(例えば1.05)を読み出し、これらの係数を平均値に乗ずることで基準範囲を算出する。CPU31は算出した基準範囲を基準範囲記憶部351に記憶する(ステップS55)。
【0036】
CPU31はセンサ25から出力される巻き取り量を参照し、センサから出力される巻き取り量が、読み出した装着範囲内であるか否かを判断する(ステップS56)。CPU31は装着範囲内であると判断した場合(ステップS56でYES)、ベルト13の装着状態であると判断し、再びステップS56の処理を繰り返す。一方、CPU31は巻き取り量が装着範囲内でないと判断した場合(ステップS56でNO)、ベルト13が取り外されたと判断し、警告灯50へ消灯信号を出力する(ステップS57)。CPU31は基準範囲記憶部351の記憶内容を消去する(ステップS58)。
【0037】
図6は巻き取り処理の手順を示すフローチャートである。CPU31は車速センサ41から出力される車速を受け付ける(ステップS61)。なお制御装置3へ入力される情報はCAN通信部36が受信し、CAN通信部36は受信した情報をCPU31へ出力する。CPU31は以下に述べる係数テーブルに基づき基準範囲を速度に応じて変更しても良い。
【0038】
図7は係数テーブル353のレコードレイアウトを示す説明図である。係数テーブル353は速度フィールド、下限係数フィールド及び上限係数フィールドを含む。速度フィールドは速度範囲が記憶されている。下限係数フィールドには速度範囲に対応づけて平均値に乗ずる下限係数が記憶されている。上限係数フィールドには速度範囲に対応づけて平均値に乗ずる上限係数が記憶されている。下限係数フィールドには速度が上昇するにつれ、下限係数が大きくなるよう記憶されている。一方、上限係数フィールドには速度が上昇するにつれ上限係数が減少するよう記憶されている。これは速度が上昇した場合は基準範囲を狭め快適性よりも安全性を優先するためである。
【0039】
また同速度体においては基準となる係数1と下限係数との差(または絶対値)が、上限係数と基準となる係数1との差(または絶対値)よりも小さくなるよう下限係数及び上限係数を記憶している。これは巻き取り量が小さい場合、換言すれば巻き取りが不十分である場合の方が基準範囲を狭めてより安全性を確保する必要があるからである。例えば、速度30km未満と低速の場合は、下限係数が0.93(93%)、上限係数が1.10(110%)と記憶されている。この場合、下限係数側の方が数値1との差が上限係数と比較して小さく設定されていることが理解できる。また高速道路走行時など速度が80km以上の場合、この基準範囲を狭めかつ下限側をより厳密に制御すべく、下限係数は0.97(97%)、上限係数が1.07(107%)と記憶されている。この場合においても、下限係数側の方が数値1との差が上限係数と比較して小さく設定される。
【0040】
CPU31は係数テーブル353からステップS61で受け付けた車速に対応する係数を読み出す(ステップS62)。CPU31はステップS48で算出した平均値に読み出した係数(下限係数及び上限係数)を乗じ、基準範囲を算出する(ステップS63)。CPU31は基準範囲記憶部351に算出した基準範囲を記憶する(ステップS64)。なお、図4及び図5で示した如く、基準範囲は速度にかかわらず一定としても良いことはもちろんである。また、係数テーブル353、基準範囲記憶部351及び装着範囲記憶部352等に記憶するデータのレイアウトはあくまで一例であり、設計に応じて適宜のデータの持ち方を採用すればよい。
【0041】
CPU31は衝突予測部40から衝突予測情報を受け付けたか否かを判断する(ステップS65)。CPU31は衝突予測情報を受け付けていない場合(ステップS65でNO)、処理をステップS61へ戻す。一方、CPU31は衝突予測情報を受け付けたと判断した場合(ステップS65でYES)、基準範囲記憶部351に記憶した基準範囲を読み出す(ステップS66)。CPU31はセンサ25から出力される巻き取り量が、基準範囲以内であるか否かを判断する(ステップS67)。
【0042】
CPU31は基準範囲以内でないと判断した場合(ステップS67でNO)、プリテンショナを実行すべく、モータ駆動制御部231へ巻き取り命令を出力する(ステップS68)。モータ駆動制御部231は巻き取り命令を受け付けた場合、モータ23をベルト13の巻き取り方向に所定量巻き取る制御を行う。一方、CPU31は基準範囲以内であると判断した場合(ステップS67でYES)、プリテンショナを非作動とさせるべく、モータ駆動制御部231に巻き取り命令の禁止命令を出力する(ステップS69)。この場合、モータ駆動制御部231は衝突予測部40から衝突予測情報を受信していたとしても、モータ23を駆動しない。これにより、衝突が予測される場合であり、かつ、居眠りまたは不自然な姿勢により乗員11が着座している場合、ベルト13の巻き取りにより乗員を拘束することが可能となる。その一方で、巻き取り量が基準範囲に属し正しく着座している場合には、プリテンショナの動作を禁止でき乗員の不快感発生を防止することが可能となる。
【0043】
実施の形態2
実施の形態2はシート12の位置に応じて巻き取り禁止を解除する処理に関する。図8は実施の形態2に係る制御装置3のハードウェア構成を示すブロック図である。実施の形態1の構成に加えてシート基準範囲ファイル354、電動シート制御部52及び入力部33が設けられている。複数の操作ボタン等により構成される入力部33は、シートベルトリトラクタ16の設置場所を選択するために用いられる。設置場所は運転席、助手席、運転席後ろ側の後部座席、及び、助手席後ろ側の後部座席等である。シートベルトリトラクタ16の取り付けの際に入力部33から設置場所を入力する。入力された設置場所の情報はCPU31へ出力され、設置場所が記憶部35に記憶される。なお、本実施の形態においては入力部33により、設置場所を選択できる形態を説明するが、これに限るものではない。運転席専用または助手席専用等、予め特定の位置に取り付けるべくシートベルトリトラクタ16を製造しても良いことはもちろんである。
【0044】
図9はシート基準範囲ファイル354のレコードレイアウトを示す説明図である。シート基準範囲ファイル354は設置場所フィールド、前後基準範囲フィールド及び傾斜基準範囲フィールドを含む。シート基準範囲ファイル354は、設置場所に対応づけてシート基準範囲(前後基準範囲及び傾斜基準範囲)を記憶している。設置場所フィールドにはシート12の設置場所に関する情報が記憶されている。本例では設置場所として運転席、助手席及び後部座席が記憶されている。前後基準範囲フィールドにはシート12の前後基準範囲が設置場所に対応づけて記憶されている。同様に傾斜基準範囲フィールドには傾斜基準範囲が設置場所に対応づけて記憶されている。
【0045】
電動シート制御部52はシート12の位置、すなわち座面の前後位置及び背もたれの傾斜角度を電気的に変更制御する。電動シート制御部52は座面の前後位置を調整するための前後調整部521、及び、背もたれの傾斜角度を調整するための傾斜角度調整部522を含んでいる。前後調整部521及び傾斜角度調整部522は、例えばシート12の座面の側面、または、ドア側面等に設けられる。前後調整部521から入力された前後位置、及び、傾斜角度はCAN通信部36を介してCPU31へ出力される。
【0046】
図9の例においては設置場所が運転席の場合、前後基準範囲としてx1以上が記憶されている。なお、上限を設けx1以上x1’以下としても良い。本実施の形態においては、前後基準範囲はシート12の座面を最もフロントガラス(図示せず)側に近づけた位置を原点とする。設置場所が助手席の場合、前後基準範囲としてx2以上が記憶されている。このx1以上及びx2以上は衝突時においても二次衝突を防止することができる範囲に設定しておけばよい。例えば、運転席側の前後基準位置がx1よりも小さい場合(前よりの場合)、前後基準範囲を超えるので、巻き取り禁止命令が解除される。設置場所が後部座席の場合、前後基準範囲としてx3以下が記憶されている。後部座席においては、乗員が前席または助手席のシート12背面に二次衝突を回避することができる前後基準範囲x3以下が記憶される。例えば、運転席側の前後基準位置がx3よりも大きい場合(後ろよりの場合)、前後基準範囲を超えるので、巻き取り禁止命令が解除される。
【0047】
傾斜基準範囲はシート12の背もたれを最もフロントガラス側に傾斜させた場合における背もたれの角度を原点としている。設置場所が運転席の場合、傾斜基準範囲としてy1以上が記憶されている。設置場所が助手席の場合、傾斜基準範囲としてy2以上が記憶されている。このy1及びy2は衝突時においても二次衝突を防止することができる位置に設定しておけばよい。設置場所が後部座席の場合、傾斜基準範囲としてy3以下が記憶されている。後部座席においては、乗員が前席または助手席のシート12背面に二次衝突を回避することができる傾斜基準範囲y3以下が記憶される。なお、本実施の形態においてはシート基準範囲として、前後基準範囲及び傾斜基準範囲の2つを例に挙げて説明するがいずれか一方を用いても良い。
【0048】
図10及び図11は解除処理の手順を示すフローチャートである。CPU31は入力部33から設置場所の情報を受け付ける(ステップS101)。CPU31は受け付けた設置場所の情報を記憶部35に記憶する(ステップS102)。CPU31は前後調整部521から入力された前後位置及び傾斜角度調整部522から入力された傾斜位置を受け付ける(ステップS103)。CPU31は実施の形態1の図6で述べたステップS61〜S66の処理を実行し、センサ25から出力される巻き取り量が、基準範囲以内であるか否かを判断する(ステップS104)。
【0049】
CPU31は基準範囲以内でないと判断した場合(ステップS104でNO)、プリテンショナを実行すべく、モータ駆動制御部231へ巻き取り命令を出力する(ステップS105)。モータ駆動制御部231は巻き取り命令を受け付けた場合、モータ23をベルト13の巻き取り方向に所定量巻き取る制御を行う。一方、CPU31は基準範囲以内であると判断した場合(ステップS104でYES)、記憶部35を参照し、設置場所が後部座席であるか否かを判断する(ステップS106)。なお当該処理は設置場所が当初から決定している場合は省略する。CPU31は設置場所が後部座席でないと判断した場合(ステップS106でNO)、設置場所が運転席であるか否かを判断する(ステップS107)。
【0050】
CPU31は設置場所が運転席であると判断した場合(ステップS107でYES)、シート基準範囲ファイル354を参照し、運転席に対応する前後基準範囲及び傾斜基準範囲を読み出す(ステップS108)。一方、CPU31は設置場所が運転席でないと判断した場合(ステップS107でNO)、設置場所は助手席であると判断し、シート基準範囲ファイル354を参照し、助手席に対応する前後基準範囲及び傾斜基準範囲を読み出す(ステップS109)。ステップS108及びS109の処理の後、CPU31は、ステップS103で受け付けた前後位置が読み出した前後基準範囲を超えるか否か、または、受け付けた傾斜位置が読み出した傾斜基準範囲を超えるか否かを判断する(ステップS1010)。
【0051】
CPU31は前後基準範囲、または、傾斜基準範囲を超えないと判断した場合(ステップS1010でNO)、二次衝突の可能性は低いことからプリテンショナを非作動とさせるべく、モータ駆動制御部231に巻き取り命令の禁止命令を出力する(ステップS1011)。これにより、巻き取り量が基準範囲内である場合に不要な巻き取りが防止される。一方、CPU31は前後基準範囲を超える、または、傾斜基準範囲を超えると判断した場合(本例では運転席側においては、x1よりも小さい、または、y1よりも小さい場合)(ステップS1010でYES)、二次衝突の危険性があることからプリテンショナを実行すべく、モータ駆動制御部231に対し巻き取り命令の禁止を解除すると共に、巻き取り命令を出力する(ステップS1012)。モータ駆動制御部231は巻き取り命令を受け付けた場合、モータ23をベルト13の巻き取り方向に所定量巻き取る制御を行う。これにより、運転席または助手席において、巻き取り量が基準範囲内であったとしても、ハンドル、ダッシュボードまたはフロントガラス等の二次衝突の対象物と乗員との間の距離が十分確保できない場合は、プリテンショナの作動禁止を解除し作動させることで、より安全性を向上することが可能となる。
【0052】
ステップS106において、設置場所が後部座席と判断した場合(ステップS106でYES)、後部座席に対応する前後基準範囲及び傾斜基準範囲を読み出す(ステップS110)。CPU31は、ステップS103で受け付けた前後位置が、読み出した前後基準範囲を超えるか否か、または、受け付けた傾斜位置が読み出した傾斜基準範囲を超えるか否かを判断する(ステップS111)。なお、ステップS103で受け付ける前後位置及び傾斜位置は、ステップS111における判断が運転席背後の後部座席の場合、運転席の前後位置及び傾斜位置である。また、ステップS103で受け付ける前後位置及び傾斜位置は、ステップS111における判断が助手席背後の後部座席の場合、助手席の前後位置及び傾斜位置である。すなわち判断対象となる後部座席正面に設置される前側の運転席または助手席の前後位置及び傾斜位置である。
【0053】
CPU31は前後基準範囲、または、傾斜基準範囲を超えないと判断した場合(ステップS111でNO)、プリテンショナを非作動とさせるべく、モータ駆動制御部231に巻き取り命令の禁止命令を出力する(ステップS112)。これにより、巻き取り量が基準範囲内である場合に不要な巻き取りが防止される。一方、CPU31は前後基準範囲を超える、または、傾斜基準範囲を超えると判断した場合(本例では後部座席においては、x3よりも大きい、または、y3よりも大きい場合)(ステップS111でYES)、プリテンショナを実行すべく、モータ駆動制御部231に対し巻き取り命令の禁止を解除すると共に、巻き取り命令を出力する(ステップS113)。モータ駆動制御部231は巻き取り命令を受け付けた場合、モータ23をベルト13の巻き取り方向に所定量巻き取る制御を行う。これにより、巻き取り量が基準範囲内であっても、運転席側または助手席側のシート12が後方へ移動している場合、または、傾斜角度が大きい場合、運転席側または助手席側シート12背面と、乗員との間の距離が十分確保できない際は、プリテンショナの作動禁止を解除し作動させることで、より安全性を向上することが可能となる。
【0054】
また以下に述べる如く、シート12の前後位置または傾斜位置に応じて基準範囲を変更するようにしても良い。記憶部35には図7で示した下限係数及び上限係数を補正するための補助係数が記憶されている。例えば、補助係数は下限係数を大きくするための1より大きい下限補助係数(例えば1.02)が記憶され、上限係数を小さくするための1より小さい上限補助係数(例えば0.99)が記憶される。
【0055】
図12及び図13は実施の形態2に係る基準範囲決定処理の手順を示すフローチャートである。CPU31は車速センサ41から出力される車速を受け付ける(ステップS121)。CPU31は係数テーブル353からステップS121で受け付けた車速に対応する係数を読み出す(ステップS122)。CPU31は前後調整部521から入力された前後位置及び傾斜角度調整部522から入力された傾斜位置を受け付ける(ステップS123)。CPU31は記憶部35を参照し、設置場所が後部座席であるか否かを判断する(ステップS124)。CPU31は設置場所が後部座席でないと判断した場合(ステップS124でNO)、設置場所が運転席であるか否かを判断する(ステップS125)。
【0056】
CPU31は設置場所が運転席であると判断した場合(ステップS125でYES)、シート基準範囲ファイル354を参照し、運転席に対応する前後基準範囲及び傾斜基準範囲を読み出す(ステップS126)。一方、CPU31は設置場所が運転席でないと判断した場合(ステップS125でNO)、設置場所は助手席であると判断し、シート基準範囲ファイル354を参照し、助手席に対応する前後基準範囲及び傾斜基準範囲を読み出す(ステップS127)。ステップS126及びS127の処理の後、CPU31は、ステップS123で受け付けた前後位置が、読み出した前後基準範囲を超えるか否か、または、受け付けた傾斜位置が読み出した傾斜基準範囲を超えるか否かを判断する(ステップS128)。
【0057】
CPU31は前後基準範囲、または、傾斜基準範囲を超えないと判断した場合(ステップS128でNO)、ステップS48で算出した平均値にステップS122で読み出した係数を乗じて基準範囲を算出する(ステップS132)。一方、CPU31は前後基準範囲を超える、または、傾斜基準範囲を超えると判断した場合(ステップS128でYES)、記憶部35から補助係数を読み出し、ステップS48で算出した平均値にステップS122で読み出した係数及び補助係数を乗ずることにより基準範囲を算出する(ステップS133)。
【0058】
ステップS124において、設置場所が後部座席と判断した場合(ステップS124でYES)、後部座席に対応する前後基準範囲及び傾斜基準範囲を読み出す(ステップS129)。CPU31は、ステップS123で受け付けた前後位置が、読み出した前後基準範囲を超えるか否か、または、受け付けた傾斜位置が読み出した傾斜基準範囲を超えるか否かを判断する(ステップS131)。なお、ステップS123で受け付ける前後位置及び傾斜位置は、ステップS131における判断が運転席背後の後部座席の場合、運転席の前後位置及び傾斜位置である。また、ステップS123で受け付ける前後位置及び傾斜位置は、ステップS131における判断が助手席背後の後部座席の場合、助手席の前後位置及び傾斜位置である。
【0059】
CPU31は前後基準範囲、または、傾斜基準範囲を超えないと判断した場合(ステップS131でNO)、ステップS48で算出した平均値にステップS122で読み出した係数を乗じて基準範囲を算出する(ステップS132)。一方、CPU31は前後基準範囲を超える、または、傾斜基準範囲を超えると判断した場合(ステップS131でYES)、記憶部35から補助係数を読み出し、ステップS48で算出した平均値にステップS122で読み出した係数及び補助係数を乗ずることにより基準範囲を算出する(ステップS133)。
【0060】
最後にCPU31は基準範囲記憶部に算出した基準範囲を記憶する(ステップS134)。以降は実施の形態1で示したステップS65以下と同様であるので詳細な説明は省略する。これにより、座席位置が二次衝突対象まで近い場合、巻き取り禁止制御を行う範囲を低減でき、より安全性を向上することが可能となる。
【0061】
本実施の形態2は以上の如き構成としてあり、その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0062】
10 シートベルト装置
12 シート
13 ベルト
14 アンカープレート
18 バックル
16 シートベルトリトラクタ
22 ベルトリール
21 ハウジング
23 モータ
22a 軸
23a 駆動軸
25 センサ
40 衝突予測部
41 車速センサ
42 距離センサ
50 警告灯
51 荷重センサ
52 電動シート制御部
521 前後調整部
522 傾斜角度調整部
3 制御装置
31 CPU
32 RAM
33 入力部
36 CAN通信部
38 時計部
231 モータ駆動制御部
35 記憶部
35P 制御プログラム
351 基準範囲記憶部
352 装着範囲記憶部
353 係数テーブル
354 シート基準範囲ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装備されるシートベルトリトラクタにおいて、
シートベルトの巻き取り量を検出する検出部と、
外部から出力される衝突予測情報を受信する受信部と、
該受信部により衝突予測情報を受信した場合に、シートベルトを巻き取る巻き取り部と、
前記検出部により検出した巻き取り量が所定範囲内である場合は、前記衝突予測情報を受信している場合でも、前記巻き取り部によるシートベルトの巻き取りを禁止する禁止手段と
を備えることを特徴とするシートベルトリトラクタ。
【請求項2】
シートベルト装着後の所定時間内に前記検出部が検出する巻き取り量に基づき、前記所定範囲を決定する決定手段
を備えることを特徴とする請求項1に記載のシートベルトリトラクタ。
【請求項3】
前記受信部は、
シートの位置に関する位置情報を受信するよう構成してあり、
該受信部により受信した位置情報が記憶部に記憶したシート基準範囲を超えるか否かを判定する判定手段と、
該判定手段によりシート基準範囲を超えると判断した場合に、前記禁止手段による巻き取り禁止を解除する解除手段と
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のシートベルトリトラクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−153369(P2012−153369A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−119972(P2012−119972)
【出願日】平成24年5月25日(2012.5.25)
【分割の表示】特願2008−134563(P2008−134563)の分割
【原出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(503358097)オートリブ ディベロップメント エービー (402)
【復代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
【復代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
【Fターム(参考)】