説明

シートベルト装置

【課題】姿勢保持の作動閾値を、個々の乗員に最適な値に変更する。
【解決手段】シートベルト装置は、シートに着座した乗員を拘束するウェビングが巻回されたベルトリールと、ウェビングを巻き取る方向にベルトリールに駆動力を伝達可能なモータ14と、ウェビングの引き出し量の増加を検出する引き出し量増加検出手段22と、車両の合成加速度を算出する合成加速度算出手段21と、合成加速度算出手段21により算出された合成加速度が基準加速度以上のときにモータ14をウェビング巻き取り方向に駆動するモータ制御手段24と、合成加速度算出手段21により算出された合成加速度が基準加速度未満のときに引き出し量増加検出手段22によって引き出し量増加が検出された場合に、基準加速度を、引き出し量増加が検出されたときに合成加速度算出手段21により検出された合成加速度に変更する基準加速度変更手段23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シートベルト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のシートに着座した乗員をウェビングによって拘束するシートベルト装置には、車両の減速時や旋回時等にモータによってウェビングを巻き取ることで乗員の上体を保持したり、ウェビングの緩みを除去したりする機能(以下、姿勢保持機能という)を備えるものがある。
また、特許文献1には、車両の走行状態に応じてウェビング巻き取りの作動閾値を変更するシートベルト装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−525373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記姿勢保持機能を備えたシートベルト装置においては、車両の減速度や横加速度が閾値を越えた場合に、モータを駆動してウェビングの巻き取りを行っている。
しかしながら、従来の姿勢保持機能付きのシートベルト装置においては、前記加速度の閾値が一定で不変であるため、乗員によっては姿勢保持機能によるウェビングの巻き取りが過剰に感じられたり、別の乗員によっては姿勢保持機能の作動が鈍感に感じられたりして、総ての乗員にとって最適な閾値を設定するのは困難であった。
なお、前記特許文献1に記載されたシートベルト装置1は、個々の乗員に応じて作動閾値を変更するものではない。
【0005】
そこで、この発明は、姿勢保持の作動閾値を、個々の乗員に最適な値に変更することができるシートベルト装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るシートベルト装置では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、シート(例えば、後述する実施例におけるシート2)に着座した乗員(例えば、後述する実施例における乗員P)を拘束するウェビング(例えば、後述する実施例におけるウェビング5)が巻回されたベルトリール(例えば、後述する実施例におけるベルトリール11)と、前記ウェビングを巻き取る方向に前記ベルトリールに駆動力を伝達可能なモータ(例えば、後述する実施例におけるモータ14)と、前記ウェビングの引き出し量の増加を検出する引き出し量増加検出手段(例えば、後述する実施例における引き出し量増加検出手段22)と、車両の加速度を検出する加速度検出手段(例えば、後述する実施例における横加速度センサ18、減速度センサ19、合成加速度算出手段21)と、前記加速度検出手段により検出された加速度が基準加速度以上のときに前記モータをウェビング巻き取り方向に駆動するモータ制御手段(例えば、後述する実施例におけるモータ制御手段24)と、前記加速度検出手段により検出された加速度が前記基準加速度未満のときに前記引き出し量増加検出手段によって引き出し量増加が検出された場合に、基準加速度を、引き出し量増加が検出されたときに前記加速度検出手段により検出された加速度に変更する基準加速度変更手段(例えば、後述する実施例における基準加速度変更手段23)と、を備えることを特徴とするシートベルト装置である。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記基準加速度変更手段は、前記モータ制御手段による前記ウェビングの巻き取りが終了してから所定時間以内に、前記引き出し量増加検出手段によって引き出し量増加が検出された場合に、基準加速度を所定値増大することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、前記基準加速度変更手段は、前記モータ制御手段による前記ウェビングの巻き取りが終了してから所定時間以内に、前記加速度検出手段により検出された加速度が前記基準加速度よりも小さい値に予め設定された所定値以下となった場合に、基準加速度を所定値増大することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、加速度が基準加速度未満のときにウェビングの引き出し量増加が検出された場合に、基準加速度が、引き出し量増加が検出されたときの加速度に変更されるので、姿勢保持のためのモータ駆動の作動閾値である基準加速度を、拘束している乗員Pに適した値に変更することができる。その結果、乗員Pを適切に姿勢保持することができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、モータ制御手段によるウェビングの巻き取りが終了してから所定時間以内に、ウェビングの引き出し量増加が検出された場合に、基準加速度が所定値増大されるので、姿勢保持が過剰に作動することを抑制することができ、その結果、姿勢保持が過剰に作動することによって乗員が感じる違和感を低減することができる。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、モータ制御手段によるウェビングの巻き取りが終了してから所定時間以内に、加速度が基準加速度よりも小さい値に予め設定された所定値以下となり、且つ、ウェビングの引き出し量増加が検出された場合に、基準加速度が所定値増大されるので、車両の走行状態が安定状態であり、且つ、ウェビングの引き出し量増加が検出された場合にだけ、基準加速度を増大させることができ、誤まって基準加速度を増大させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明に係るシートベルト装置の構成図である。
【図2】前記シートベルト装置におけるリトラクタの概略構成図である。
【図3】前記シートベルト装置におけるベルトリール駆動用のモータの制御ブロック図である。
【図4】車両の横加速度と減速度の合成加速度と、姿勢保持処理の作動閾値(基準加速度)との関係を示す図である。
【図5】前記シートベルト装置の姿勢保持制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明に係るシートベルト装置の実施例を図1から図5の図面を参照して説明する。
図1はシートベルト装置1の概略構成を示しており、この実施例は運転席のシート2に着座した乗員Pを拘束するシートベルト装置の態様である。このシートベルト装置1は、いわゆる三点式のシートベルト装置であり、センターピラー3に内蔵されたリトラクタ4からウェビング5が上方に引き出され、このウェビング5がセンターピラー3の上部側に支持されたスルーアンカ6に挿通されるとともに、ウェビング5の先端がシート2の車室外側寄りのアウターアンカ7を介して車体フロアに固定されいている。そして、ウェビング5のスルーアンカ6とアウターアンカ7との間にはタング8が挿通されていて、タング8はシート2の助手席側寄りの車体フロアに固定されたバックル9に対し着脱可能にされている。
【0014】
このシートベルト装置1では、ウェビング5は初期状態においてリトラクタ4に巻き取られて格納されており、シート2に着座した乗員Pが手でウェビング5を引き出して、タング8をバックル9に差し込み係合させることによって装着状態となり、乗員Pの主に胸部と腹部をシート2に対して拘束する。また、乗員Pが手でタング8とバックル9との係合を解除することによって非装着状態にすることができる。
【0015】
バックル9はバックルスイッチ(装着状態検出手段)17を備えており(図3参照)、バックルスイッチ17は、バックル9にタング8が係合しているとき(換言すると装着状態のとき)にONとなり、タング8がバックル9から離脱しているとき(換言すると非装着状態のとき)にOFFとなる。
【0016】
リトラクタ4は、図2に示すように、ケーシング(図示略)に回転可能に支持され、ウェビング5が巻回されたベルトリール11と、ベルトリール11をウェビング巻き取り方向に回転付勢するスプリング(付勢部材)12と、歯車列等の伝達装置13を介してベルトリール11にウェビング巻き取り方向の回転力を付与するモータ14と、を主要構成とし、ベルトリール11の回転位置を検出する回転角度センサ15を備えている。
回転角度センサ15の検出値に基づいて、ベルトリール11の回転量や回転速度や回転方向を求めることができ、ベルトリール11の回転量に基づいてウェビング5の引き出し量や巻き取り量を検出することができる。
【0017】
このように構成されたリトラクタ4では、ベルトリール11は、スプリング12によって常に巻き取り方向へ付勢されているとともに、モータ14の駆動力によって巻き取り方向へ回転することができる。そして、バックル解除時のウェビング5の巻き取りは、スプリング12の復元力と、伝達装置13を介して伝達されるモータ14の回転力(駆動力)とによって行われる。
なお、ベルトリール11をウェビング引き出し方向へ回転するときには、クラッチ(図示略)によりベルトリール11とモータ14との間の動力伝達が遮断されるように構成されていて、ウェビング5を引き出すときにはモータ14が抵抗とならないようになっている。
【0018】
図3の制御ブロック図に示すように、モータ14はモータ制御装置20によって制御され、バックル9の解除時にウェビング5を巻き取る時に駆動されるとともに、車両の減速時等に乗員Pの姿勢を保持するときに駆動される。
【0019】
モータ制御装置20には、前記した回転角度センサ15とバックルスイッチ17の出力信号が入力される外、車体の適所に設置され車両の横加速度(横G)を検出する横加速度センサ(横Gセンサ)18と、車体の適所に設置され車両の減速度(減速G)を検出する減速度センサ(減速Gセンサ)19の出力信号が入力される。
モータ制御装置20は、合成加速度算出手段21と、引き出し量増加検出手段22と、基準加速度変更手段23と、モータ制御手段24と、を備えている。
【0020】
合成加速度算出手段21は、横加速度センサ18により検出された横加速度と、減速度センサ19によって検出された減速度とを合成して、合成加速度を算出する。なお、この実施例においては、横加速度センサ18と減速度センサ19と合成加速度算出手段21によって加速度検出手段が構成され、この加速度検出手段によって合成加速度が検出されることとなる。
【0021】
引き出し量増加検出手段22は、タング8をバックル9に係合し乗員Pをウェビング5で拘束している状態において、ウェビング5の引き出し量が増加したか否かを検出する。ウェビング5の引き出し量が増加したか否かは、回転角度センサ15の検出値がウェビング5の引き出し方向に変化したか否かで判定することができ、回転角度センサ15の検出値がウェビング5の引き出し方向に変化した場合にはウェビング5の引き出し量が増加したと判定することができ、回転角度センサ15の検出値が変化しない場合およびウェビング5の巻き取り方向に変化した場合にはウェビングの引き出し量が増加していないと判定することができる。
【0022】
モータ制御手段24は、合成加速度算出手段21により検出された合成加速度が基準加速度以上のときに、モータ14をウェビング巻き取り方向に駆動する姿勢保持処理を実行する。姿勢保持処理では、ウェビング5を所定量だけ巻き取ることによりウェビング5に所定の張力を発生させ、乗員Pの姿勢を保持する。なお、図4は、姿勢保持の作動領域および非作動領域を示しており、作動領域と非作動領域との閾値が基準加速度である。基準加速度は一定値ではなく、基準加速度変更手段23によって変更され得る変数である。
【0023】
基準加速度変更手段23は、姿勢保持処理を実行していていない期間におけるウェビング5の状況に応じて、基準加速度を予め設定された下限値と上限値の間において変更する。
詳述すると、基準加速度変更手段23は、合成加速度算出手段22により算出された合成加速度が現在設定されている基準加速度未満のときに引き出し量増加検出手段22によって引き出し量増加が検出された場合に、基準加速度を、引き出し量増加が検出されたときに合成加速度算出手段22により算出された合成加速度に変更する。ただし、変更後の基準加速度は予め設定された下限値を最小値とし、下限値を下回る変更は禁止される。
【0024】
また、基準加速度変更手段23は、モータ制御手段24によるウェビング5の巻き取りが終了してから所定時間以内に、合成加速度算出手段22により算出された合成加速度が、基準加速度よりも小さい値に予め設定された所定値以下となり、且つ、引き出し量増加検出手段22によって引き出し量増加が検出された場合に、基準加速度を所定値増大する。ただし、変更後の基準加速度は予め設定された上限値を最大値とし、上限値を上回る変更は禁止される。
【0025】
次に、このシートベルト装置1の姿勢保持制御を、図5のフローチャートに従って説明する。なお、図5のフローチャートに示される姿勢保持制御は、既に乗員Pがタング8をバックル9に係合してウェビング5の装着を完了していて、ウェビング5によって乗員Pが拘束されている状態からスタートするものとする。
【0026】
まず、ステップS101において、合成加速度算出手段21によって算出された合成加速度が、現在設定されている基準加速度未満か否かを判定する。
ステップS101における判定結果が「YES」である場合、すなわち合成加速度が基準加速度未満である場合には、姿勢保持処理を実行する必要がないのでステップS102に進む。
【0027】
ステップS102において、引き出し量増加検出手段22がウェビング5の引き出し量の増加を検出したか否かを判定する。例えば、車両の減速あるいは旋回により乗員Pに加速度が加わり、そのために乗員の上体が前方や左右に振られてウェビング5が引き出された場合に、引き出し量検出手段21によってウェビング5の引き出し量増加が検出される。
【0028】
ステップS102における判定結果が「YES」である場合、すなわち引き出し量検出手段21によってウェビング5の引き出し量増加が検出された場合には、ステップS103に進み、基準加速度を、ウェビング5の引き出し量増加が検出された時に合成加速度算出手段21により算出された合成加速度に変更する。これは、設定されていた基準加速度が大き過ぎて、姿勢保持処理を実行すべき状況であったにもかかわらず実行されなかったと考えることができるからであり、このような場合には、次回ステップS101において用いられる基準加速度を、ウェビング5の引き出し量増加が検出された時の合成加速度に変更するのである。その結果、基準加速度は減少されることとなるが、変更後の基準加速度は予め設定された下限値を最小値とし、下限値を下回る変更は禁止される。
【0029】
ステップS103の処理を実行した後、リターンに進む。
また、ステップS102における判定結果が「NO」である場合には、現在設定されている基準加速度を変更する必要がないので、リターンに進む。
【0030】
一方、ステップS101における判定結果が「NO」である場合、すなわち合成加速度が基準加速度以上である場合には、姿勢保持処理を実行する必要があるのでステップS104に進み、姿勢保持処理を実行する。
ステップS104において実行される姿勢保持処理は、モータ14をウェビング巻き取り方向に駆動してウェビング5を巻き取ることによって行われ、ウェビング5の巻き取り量が所定量となった場合に、モータ14の駆動を停止して、姿勢保持処理は終了する。
【0031】
次に、ステップS105に進み、姿勢保持処理を終了してから所定時間(例えば、10秒)以内か否かを判定する。
ステップS105における判定結果が「NO」である場合には、誤判定を避けるためリターンに進む。
ステップS105における判定結果が「YES」である場合には、ステップS106に進み、合成加速度算出手段21により算出された合成加速度が所定値以下であるか否かを判定する。前記所定値は基準加速度の下限値よりも小さい値に予め設定されている。前記所定値は、車両の走行状態が安定状態と判定することができる閾値であり、例えば、0.2Gに設定されている。つまり、ステップS106の処理は、車両の走行状態が安定状態であるか否かを判定する処理であり、この実施例では合成加速度が前記所定値以下になったときに車両が安定状態になったと判定する。
なお、車両の安定状態を判定するパラメータは、加速度に限るものではなく、例えばヨーレートなどを用いることも可能である。
【0032】
ステップS106における判定結果が「NO」である場合には、車両の走行状態が不安定であり、誤判定を避けるためリターンに進む。
ステップS106における判定結果が「YES」である場合には、ステップS107に進み、引き出し量増加検出手段22がウェビング5の引き出し量の増加を検出したか否かを判定する。
【0033】
ステップS107における判定結果が「YES」である場合には、ステップS108に進み、基準加速度を所定値(例えば、0.05G)だけ増大して、リターンに進む。乗員Pが姿勢保持の作動が過剰であると感じた場合、姿勢保持処理終了後に乗員Pがウェビング5を手で僅かに引き出し、ウェビング5の張力を弱めようとすることが経験上知られている。そこで、このシートベルト装置1では、姿勢保持処理を終了してから所定時間以内に、車両が安定状態(合成加速度が所定値以下)となり、且つ、ウェビング5の引き出し量の増加が検出された場合には、この乗員Pには、現在設定されている基準加速度が小さいため、姿勢保持が過剰に作動していると判定して、次回ステップS101において用いられる基準加速度を、現在設定されている基準加速度よりも前記所定値だけ増大するのである。ただし、変更後の基準加速度は予め設定された上限値を最大値とし、上限値を上回る変更は禁止される。
一方、ステップS107における判定結果が「NO」である場合には、現在設定されている基準加速度を変更する必要がないので、リターンに進む。
【0034】
以上説明するように、このシートベルト装置1では、合成加速度が現在設定されている基準加速度未満のときにウェビング5の引き出し量増加が検出された場合には、基準加速度を、引き出し量増加が検出されたときの合成加速度に変更するので、姿勢保持の作動閾値である基準加速度を、このシートベルト装置1によって拘束している乗員Pに適した値に変更することができる。その結果、その後は乗員Pを適切に姿勢保持することができる。
【0035】
また、このシートベルト装置1では、姿勢保持処理を終了(モータ14によるウェビング5の巻き取り終了)してから所定時間以内にウェビング5の引き出し量増加が検出された場合に、基準加速度を所定値だけ増大して、基準加速度を現在設定されている基準加速度よりも大きい値に変更するので、姿勢保持が過剰に作動することによって乗員Pが感じる違和感を低減することができる。
【0036】
特に、この実施例のシートベルト装置1では、姿勢保持処理を終了(モータ14によるウェビング5の巻き取り終了)してから所定時間以内に、合成加速度が所定値(例えば0.2G)以下に低下し、且つ、ウェビング5の引き出し量増加が検出された場合に、基準加速度を所定値だけ増大させているので、車両の走行状態が安定状態となり、且つ、ウェビング5の引き出し量増加が検出された場合に限って基準加速度を増大させることができる。
【0037】
換言すると、車両の走行状態が不安定(合成加速度が0.2Gより大きい)であるときには、ウェビング5の引き出し量増加が検出された場合であっても、基準加速度を増大させないようにすることができる。例えば、車両の走行状態が不安定なときには、その不安定さに起因して乗員Pの上体が揺れ、ウェビング5が引き出されて引き出し量が増加する場合もある。この場合には、乗員Pが姿勢保持の作動を過剰に感じてウェビング5を引っ張って引き出し量を増加させたわけではないので、基準加速度を変更すべきではない。この実施例のシートベルト装置1では、このような場合に誤って基準加速度を増大させないようにすることができる。
【0038】
〔他の実施例〕
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、前述した実施例において例示した具体的数値はあくまで一例であり、適宜の数値を採用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 シートベルト装置
2 シート
5 ウェビング
11 ベルトリール
14 モータ
18 横加速度センサ(加速度検出手段)
19 減速度センサ(加速度検出手段)
21 合成加速度算出手段(加速度検出手段)
22 引き出し量増加検出手段
23 基準加速度変更手段
24 モータ制御手段
P 乗員

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに着座した乗員を拘束するウェビングが巻回されたベルトリールと、
前記ウェビングを巻き取る方向に前記ベルトリールに駆動力を伝達可能なモータと、
前記ウェビングの引き出し量の増加を検出する引き出し量増加検出手段と、
車両の加速度を検出する加速度検出手段と、
前記加速度検出手段により検出された加速度が基準加速度以上のときに前記モータをウェビング巻き取り方向に駆動するモータ制御手段と、
前記加速度検出手段により検出された加速度が前記基準加速度未満のときに前記引き出し量増加検出手段によって引き出し量増加が検出された場合に、基準加速度を、引き出し量増加が検出されたときに前記加速度検出手段により検出された加速度に変更する基準加速度変更手段と、
を備えることを特徴とするシートベルト装置。
【請求項2】
前記基準加速度変更手段は、前記モータ制御手段による前記ウェビングの巻き取りが終了してから所定時間以内に、前記引き出し量増加検出手段によって引き出し量増加が検出された場合に、基準加速度を所定値増大することを特徴とする請求項1に記載のシートベルト装置。
【請求項3】
前記基準加速度変更手段は、前記モータ制御手段による前記ウェビングの巻き取りが終了してから所定時間以内に、前記加速度検出手段により検出された加速度が前記基準加速度よりも小さい値に予め設定された所定値以下となった場合に、基準加速度を所定値増大することを特徴とする請求項2に記載のシートベルト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−52838(P2013−52838A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194104(P2011−194104)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】