説明

シート体用容器の閉蓋装置及び閉蓋方法

【課題】鉛直姿勢等の種々の姿勢で装填されるシート体用容器を、簡単な構成で容易且つ確実に閉蓋することができるとともに、効率的な着脱処理を可能する。
【解決手段】閉蓋装置31は、蓋体を本体部に押圧するとともに、アーム部材76a、76bに対して回転自在な閉蓋ローラ60と、前記閉蓋ローラ60を進退変位させることにより、前記閉蓋ローラ60で前記蓋体を閉蓋させるローラ移動機構62とを備える。閉蓋ローラ60は、蓋体を閉蓋した後、アーム部材76a、76bの揺動作用下に、この蓋体から離間する方向に移動して特定の待機位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート体を収容するシート体用容器に設けられ、前記シート体の出し入れを行う開口部を開閉自在な蓋体を閉蓋するためのシート体用容器の閉蓋装置及び閉蓋方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人体等の放射線画像を記録する画像記録媒体として、例えば、X線写真フイルムが知られている。また、X線写真フイルムに代えて、放射線(X線、α線、β線、γ線、電子線、紫外線等)を照射すると、その放射線エネルギの一部を蓄積し、後にレーザ光や可視光等の励起光を照射することで、蓄積されたエネルギに応じた輝尽発光を示す蓄積性蛍光体層を有する蓄積性蛍光体シートも多用されている。
【0003】
これらの画像記録媒体(シート体)は、通常、遮光性のカセッテやマガジンに収納した状態で取り扱われる。カセッテは、シート状の画像記録媒体を1枚ずつ収納するように構成されており、例えば、一端部には、前記画像記録媒体の出し入れを行うための開口部を開閉自在な蓋体が設けられている。
【0004】
このため、カセッテが装填される装填装置では、装填された前記カセッテの蓋体を開蓋する一方、前記カセッテを取り出す際に前記蓋体を閉蓋する機構が設けられている。
【0005】
例えば、特許文献1に開示されているシート体用容器の閉蓋機構では、容器(カセッテ)の幅方向に延在する軸体に複数の押圧ローラが回転自在に装着されている。そして、容器が装填装置から引き抜かれる際に、前記容器の蓋体が押圧ローラに接触する。このため、押圧ローラの押圧作用下に、蓋体の閉蓋動作が行われる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−282104号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の特許文献1では、カセッテが略水平姿勢で装填される装填装置に適用されており、前記カセッテが鉛直方向に傾斜する姿勢(以下、単に鉛直姿勢ともいう)で装填される装填装置には採用することができない。蓋体が開放された状態で、カセッテを引き抜く動作が行われる際、前記カセッテ内の画像記録担体が落下するおそれがあるからである。
【0008】
本発明はこの種の要請に対応するものであり、鉛直姿勢等の種々の姿勢で装填されるシート体用容器を、簡単な構成で容易且つ確実に閉蓋することができ、効率的な着脱処理が遂行可能なシート体用容器の閉蓋装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、鉛直姿勢等で装填されるシート体用容器からシート体が落下することを確実に阻止することができ、簡単な工程で効率的な着脱処理を行うことが可能なシート体用容器の閉蓋方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、シート体を収容するシート体用容器に設けられ、前記シート体の出し入れを行う開口部を開閉自在な蓋体を閉蓋するためのシート体用容器の閉蓋装置である。
【0011】
この閉蓋装置は、蓋体を押圧するとともに、回転自在な閉蓋ローラと、前記閉蓋ローラを進退変位させることにより、前記閉蓋ローラで前記蓋体を閉蓋させるローラ移動機構とを備えている。
【0012】
また、ローラ移動機構は、アクチュエータを介して揺動可能な揺動部材と、前記揺動部材に移動可能に支持される閉蓋ローラを、基体側に付勢するばね部材とを備えることが好ましい。
【0013】
さらに、閉蓋装置は、閉蓋ローラにより蓋体が閉蓋されたか否かを検出するセンサを備えることが好ましく、さらにまた、前記閉蓋ローラによる前記蓋体の押圧位置よりも上方に配置される固定ローラを備えることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、シート体を収容するシート体用容器に設けられ、前記シート体の出し入れを行う開口部を開閉自在な蓋体を閉蓋するためのシート体用容器の閉蓋方法である。
【0015】
この閉蓋方法は、回転自在な閉蓋ローラを移動させ、前記閉蓋ローラにより蓋体を押圧する工程と、前記閉蓋ローラにより前記蓋体が閉蓋されたか否かを検出する工程と、前記蓋体が閉蓋されたと判断された際、前記閉蓋ローラを前記蓋体から離間させる工程と、前記蓋体が閉蓋されていないと判断された際、前記閉蓋ローラを前記蓋体に接触させた状態で、前記シート体用容器を取り出す工程とを有している。
【0016】
さらに、蓋体が閉蓋されていないと判断された際、閉蓋ローラを前記蓋体から離間させた後、再度、前記閉蓋ローラにより前記蓋体を押圧する工程を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、ローラ移動機構の作用下に、閉蓋ローラがシート体用容器の蓋体を押圧することにより、前記蓋体が閉蓋される。次いで、閉蓋ローラは、ローラ移動機構を介して蓋体から離間する方向に移動した後、シート体用容器の取り出し処理が行われる。
【0018】
従って、シート体用容器は、蓋体の閉蓋処理が行われた後、取り出し処理が遂行されるため、特に鉛直装填される前記シート体用容器では、内部に収容されているシート体の落下を可及的に阻止することができる。しかも、シート体用容器を取り出す際には、閉蓋ローラが離間しており、この閉蓋ローラの押圧力が前記シート体用容器の取り出し時の抵抗となって付与されることがない。
【0019】
これにより、特に鉛直姿勢で装填されるシート体用容器を、簡単な構成で容易且つ確実に閉蓋することができるとともに、前記シート体用容器の着脱処理が効率的に遂行可能になる。
【0020】
また、本発明では、閉蓋ローラにより蓋体が閉蓋されていないと判断された際、前記閉蓋ローラを前記蓋体に接触させた状態で、シート体用容器が取り出される。従って、蓋体は、閉蓋ローラの接触作用下にシート体用容器に対して大きく開放されることがない。
【0021】
このため、シート体用容器内からシート体の一部がはみ出して、あるいは、前記シート体用容器の蓋体ロック機構に不良が発生していても、前記シート体を閉蓋ローラの押圧作用下に確実に保持することができ、前記シート体用容器を良好に取り出すことが可能になる。しかも、閉蓋ローラは、回転可能に構成されている。従って、シート体用容器を取り出す際、閉蓋ローラの回転作用下に前記シート体用容器に作用する負荷(押圧力)が良好に低減される。
【0022】
これにより、特に鉛直姿勢で装填されるシート体用容器からシート体が落下することを確実に阻止することができるとともに、簡単な工程で、前記シート体用容器の着脱処理を効率的に行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係るシート体用容器の閉蓋装置が適用される画像読取装置10の内部構成図である。
【0024】
画像読取装置10は、ケーシング12の上部にカセッテ装填部14を備え、このカセッテ装填部14に形成された装填口15に対して、放射線画像情報が蓄積記録された画像記録媒体、例えば、蓄積性蛍光体シート(シート体)16、16a及び16b(以下、単に、蓄積性蛍光体シート16ともいう)を収容したカセッテ(シート体用容器)18、18a及び18b(以下、単にカセッテ18ともいう)が、鉛直姿勢で装填される。
【0025】
なお、カセッテ18bは、カセッテ18aよりも幅サイズが小さく、前記カセッテ18aは、カセッテ18よりも幅サイズが小さい。カセッテ18、カセッテ18a及びカセッテ18bに収容される蓄積性蛍光体シート16、16a及び16bは、順に、幅サイズが小さくなるように設定される。
【0026】
カセッテ18は、蓄積性蛍光体シート16を収容する本体部20と、蓄積性蛍光体シート16を出し入れさせるための開口部22を形成する蓋体24とを備えている。
【0027】
画像読取装置10の内部の装填口15に近接する部位には、カセッテ18の蓋体24の蓋体ロック機構(図示せず)によるロックを解除するためのロック解除機構28と、前記蓋体24が開蓋されたカセッテ18から蓄積性蛍光体シート16を吸着して取り出すとともに、前記蓄積性蛍光体シート16を前記カセッテ18に戻すための吸着移送機構30と、前記カセッテ18の蓋体24を閉蓋するための本実施形態に係る閉蓋装置31と、前記吸着移送機構30によって取り出された前記蓄積性蛍光体シート16を挟持搬送するためのニップローラ32とが配設される。
【0028】
なお、ロック解除機構28は、カセッテ18に挿入されて図示しない蓋体ロック機構を解除するためのロック解除ピン29を有する。
【0029】
ニップローラ32に連設して、複数の搬送ローラ34a〜34h及び複数のガイド板36a〜36iが配設され、これらにより湾曲搬送路38が構成される。ニップローラ32と搬送ローラ34aとの間には、読取処理が終了した蓄積性蛍光体シート16に残存する放射線画像情報を消去するための消去ユニット39が配設される。消去ユニット39は、消去光を出力する冷陰極管等の消去光源41を有する。
【0030】
画像読取装置10の略中央部には、励起光であるレーザビームLを導出して蓄積性蛍光体シート16を走査する走査ユニット40が配設される。走査ユニット40は、レーザビームLを出力するレーザ発振器42と、レーザビームLを蓄積性蛍光体シート16の主走査方向に偏向する回転多面鏡であるポリゴンミラー44と、レーザビームLを反射させ、ガイド板36e上を通過する蓄積性蛍光体シート16に導く反射ミラー46とを備える。
【0031】
搬送ローラ34eと走査ユニット40との間には、読取ユニット48が配設される。読取ユニット48は、一端部がガイド板36e上の蓄積性蛍光体シート16に近接して配置される集光ガイド50と、前記集光ガイド50の他端部に連結され、前記蓄積性蛍光体シート16から得られた輝尽発光光を電気信号に変換するフォトマルチプライヤ52とを備える。
【0032】
吸着移送機構30は、幅寸法の異なる複数、例えば、3種類の蓄積性蛍光体シート16、16a及び16bに応じて配設される複数、例えば、2つの吸着盤54a、54bを備える。吸着盤54a、54bは、図示しない駆動部を介して所望の軌跡に沿って一体的に移動する。
【0033】
次に、本実施形態に係る閉蓋装置31の構造について、図2及び図3を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
閉蓋装置31は、カセッテ18の蓋体24を押圧するととともに、回転自在な閉蓋ローラ60と、前記閉蓋ローラ60を矢印A方向に進退変位(揺動変位)させることにより、前記閉蓋ローラ60で前記蓋体24を押圧して閉蓋させるローラ移動機構62とを備える。
【0035】
ローラ移動機構62は、回転駆動源、例えば、DCモータ64を備え、前記DCモータ64の駆動軸66には、駆動歯車68が軸着される。駆動歯車68は、回転軸70の一端に固着される従動歯車72に噛合するとともに、前記回転軸70の両端縁部には、それぞれピニオン74a、74bが軸着される。
【0036】
ピニオン74a、74bは、樹脂製アーム部材76a、76bに設けられた円弧状ラック部78a、78bに噛合する。アーム部材76a、76bは、略扇状を有している。アーム部材76a、76bの揺動支点には、固定ローラ80が軸着されるとともに、前記アーム部材76a、76b間に支持ロッド82が固定される。
【0037】
アーム部材76a、76bには、滑り軸受け84a、84bが所定の距離だけ進退可能に配置されるガイド溝86a、86bが形成される。滑り軸受け84a、84bには、閉蓋ローラ60の両端が嵌合するとともに、前記滑り軸受け84a、84bには、前記閉蓋ローラ60をカセッテ18の蓋体24側に付勢するばね部材88a、88bが係合する。
【0038】
図3〜図5に示すように、アーム部材76aには、ドグ部90が形成されている。このドグ部90は、アーム部材76aが所定の角度位置に揺動する際に、第1センサ92と第2センサ94とにそれぞれ検出される。第1センサ92がドグ部90を検出する位置では、閉蓋ローラ60が蓋体24をカセッテ18に確実に閉蓋したことを検出する一方、第2センサ94が前記ドグ部90を検出するとき、前記閉蓋ローラ60が所定の待機位置に退避されたことを検出する。
【0039】
図6に示すように、閉蓋ローラ60は、滑り軸受け84a、84bに嵌合する軸体96を備え、この軸体96には、それぞれ所定の位置に対応してローラ部98a〜98eが回転自在に取り付けられる。ローラ部98a側がカセッテ18、18a及び18bの装填基準側を構成している。ローラ部98a、98bは、最小幅サイズのカセッテ18bに係合し、ローラ部98a〜98dは、中間幅サイズのカセッテ18aに係合し、全てのローラ部98a〜98eは、最大幅サイズのカセッテ18に接触する。
【0040】
本実施形態に係る閉蓋装置31及びこれを組み込む画像読取装置10は、以上のように構成されるものであり、次に、その動作について説明する。
【0041】
先ず、放射線画像情報が記録された蓄積性蛍光体シート16を収納したカセッテ18は、画像読取装置10に供給される。カセッテ18は、蓋体24を下にしてカセッテ装填部14の装填口15に装填されると、この蓋体24は、ロック解除機構28を介してロックが解除される。
【0042】
次いで、吸着盤54a、54bは、カセッテ18内の蓄積性蛍光体シート16の被吸着面に対して所望の搬送軌跡に沿って移動し、前記被吸着面に接触する。吸着盤54a、54bは、蓄積性蛍光体シート16を吸着してカセッテ18から取り出した後、前記蓄積性蛍光体シート16の先端がニップローラ32に挟持されるのと略同時に、前記吸着盤54a、54bによる前記蓄積性蛍光体シート16の吸着保持が解除される。
【0043】
蓄積性蛍光体シート16は、ニップローラ32の回転作用下に鉛直下方向に向かって送られる。この蓄積性蛍光体シート16は、搬送ローラ34a〜34h及びガイド板36a〜36iからなる湾曲搬送路38によって搬送される。
【0044】
蓄積性蛍光体シート16は、搬送ローラ34d、34e間で副走査搬送されるとともに、走査ユニット40から射出されたレーザビームLが副走査方向と略直交する主走査方向に蓄積性蛍光体シート16を走査する。すなわち、レーザ発振器42から出力されたレーザビームLは、高速で回転するポリゴンミラー44によって反射偏向された後、反射ミラー46を介して蓄積性蛍光体シート16に導かれる。
【0045】
一方、レーザビームLが照射された蓄積性蛍光体シート16は、蓄積記録されている放射線画像情報に応じた輝尽発光光を出力する。この輝尽発光光は、蓄積性蛍光体シート16の主走査方向に沿って近接配置された集光ガイド50を介して読取ユニット48を構成するフォトマルチプライヤ52に導かれる。
【0046】
このようにして放射線画像情報の読み取られた蓄積性蛍光体シート16は、搬送ローラ34h側まで搬送された後、湾曲搬送路38により逆転搬送され、搬送ローラ34a、ニップローラ32間に配置される消去ユニット39を通してカセッテ18に収容される。
【0047】
このとき、消去ユニット39を構成する消去光源41が点灯し、出力される消去光が蓄積性蛍光体シート16に照射されることで、残存する放射線エネルギが除去される。放射線エネルギの除去された蓄積性蛍光体シート16を収容したカセッテ18は、閉蓋装置31の作用下に蓋体24が閉蓋された後、画像読取装置10から抜き取られて、次なる放射線画像情報の撮影に供される。
【0048】
この場合、本実施形態では、カセッテ装填部14にカセッテ18が装填された状態では、閉蓋ローラ60は、このカセッテ18から離間した所定の待機位置に配置されている(図4参照)。そして、上記のように、放射線画像情報の読取処理及び消去処理が施された蓄積性蛍光体シート16をカセッテ18に戻した後、閉蓋装置31を構成するローラ移動機構62が駆動される。
【0049】
この閉蓋装置31の動作を、図7に示すフローチャートに沿って、以下に説明する。
【0050】
先ず、ローラ移動機構62では、図2及び図3に示すように、DCモータ64の駆動作用下に、駆動歯車68及び従動歯車72を介して回転軸70が回転される。この回転軸70の両端縁部には、ピニオン74a、74bが軸着されており、前記ピニオン74a、74bが回転することによって、これらに噛合するラック部78a、78bを設けたアーム部材76a、76bが鉛直下方向に向かって揺動する。
【0051】
このため、アーム部材76a、76bに滑り軸受け84a、84bを介して支持されている閉蓋ローラ60は、前記アーム部材76a、76bと一体的に固定ローラ80を支点にして鉛直下方向に揺動し、カセッテ18の蓋体24に当接する(図7中、ステップS1)。
【0052】
閉蓋ローラ60は、蓋体24に当接したまま、アーム部材76a、76bと一体的に鉛直下方向に揺動し、前記蓋体24を本体部20側に揺動させて開口部22を閉塞させる。この状態で、アーム部材76a、76bがさらに鉛直下方向に揺動すると、閉蓋ローラ60は、滑り軸受け84a、84bと一体的にガイド溝86a、86b内を相対的に移動する。従って、閉蓋ローラ60は、ばね部材88a、88bの弾発力を介して蓋体24に所定の閉蓋力を付与するため、前記蓋体24は、本体部20に対し閉蓋されて前記本体部20にロックされる。
【0053】
閉蓋ローラ60により蓋体24が確実に閉塞された位置では、図5に示すように、アーム部材76aに設けられたドグ部90は、第1センサ92により検出される。このため、DCモータ64が駆動されて所定時間経過後に(ステップS2中、YES)、第1センサ92が駆動されると(ステップS3中、YES)、ステップS4に進んで、DCモータ64が逆方向に回転駆動される。従って、駆動歯車68及び従動歯車72を介してピニオン74a、74bが逆方向に回転し、前記ピニオン74a、74bに噛合するラック部78a、78bを設けたアーム部材76a、76bは、鉛直上方向に揺動する。
【0054】
アーム部材76aには、ドグ部90が設けられており、このドグ部90が鉛直上方向に揺動して第2センサ94により検出されると(図4及びステップS5中、YES)、DCモータ64の駆動が停止される(ステップS6)。これにより、閉蓋ローラ60は、所定の待機位置に配置され、カセッテ18の取り出しが行われる(ステップS7)。
【0055】
このように、本実施形態では、閉蓋ローラ60は、蓋体24を押圧してこの蓋体24を本体部20に閉蓋させると、前記カセッテ18から離間する方向に移動する一方、前記カセッテ18の取り出し処理が行われている。このため、カセッテ18は、蓋体24の閉蓋処理が行われた後、取り出し処理が遂行されるため、内部に収容されている蓄積性蛍光体シート16の落下を可及的に阻止することができる。しかも、カセッテ18を取り出す際には、閉蓋ローラ60がこのカセッテ18から離間しており、前記閉蓋ローラ60の押圧力が前記カセッテ18の取り出し時の抵抗となって付与されることはない。
【0056】
これにより、特に鉛直姿勢で装填されるカセッテ18を、簡単な構成で容易且つ確実に閉蓋することができるとともに、前記カセッテ18の着脱処理が効率的に遂行可能になるという効果が得られる。
【0057】
一方、ローラ移動機構62の作用下に、閉蓋ローラ60が鉛直下方向に揺動を開始した後、所定時間経過しても第1センサ92が駆動しない場合には(ステップS3中、NO)、閉蓋異常が発生していると判断される。例えば、カセッテ18内に残された蓄積性蛍光体シート16の端部が、このカセッテ18の開口部22から外方に突出して蓋体24の閉蓋異常が発生している場合がある。
【0058】
その際、ステップS8に進んで、閉蓋ローラ60による蓋体24の閉蓋動作を行ったまま、カセッテ18の取り出し処理が行われる。従って、カセッテ18から蓄積性蛍光体シート16の一部が突き出たり、あるいは、前記カセッテ18の蓋体ロック機構に不良が発生したりしていても、閉蓋ローラ60を介して蓋体24に閉蓋力が付与されるため、この蓋体24と本体部20とにより前記蓄積性蛍光体シート16を確実に把持することができる。これにより、蓄積性蛍光体シート16が落下することがなく、カセッテ18を容易且つ確実に取り出すことが可能になるという効果が得られる。
【0059】
しかも、閉蓋ローラ60は、軸体96に対してローラ部98a〜98eが回転自在であり、カセッテ18を取り出す際に、前記ローラ部98a〜98eの回転作用下に前記カセッテ18に作用する負荷(押圧力)が良好に低減される。従って、特に鉛直姿勢で装填されるカセッテ18から蓄積性蛍光体シートが落下することを確実に阻止することができるとともに、簡単な工程で、効率的な着脱処理を行うことが可能になる。
【0060】
さらに、閉蓋装置31は、アーム部材76a、76bの揺動支点に対応して固定ローラ80が配設されている。この固定ローラ80は、カセッテ18の浮き上がり防止機能を備える他、上記のように、閉蓋異常時にカセッテ18を取り出す際に、閉蓋ローラ60の上方で、蓋体24を保持するための蓋体保持ローラとしての機能を有している。このため、カセッテ18から蓄積性蛍光体シート16が落下することを一層確実に阻止することが可能になる。
【0061】
なお、本実施形態では、蓋体24の閉蓋異常が検出された際に、即座に閉蓋ローラ60による閉蓋動作を行いながら、カセッテ18の取り出し作業を行っているが、これに限定されるものではない。例えば、第1センサ92が駆動されない際に、閉蓋ローラ60を一旦蓋体24から離間させた後、再度、前記閉蓋ローラ60により前記蓋体24を押圧させてもよい。
【0062】
また、上記の閉蓋ローラ60による閉蓋動作を複数回(例えば、3回)繰り返しても、第1センサ92が駆動されない際に、前記閉蓋ローラ60による閉蓋動作を行いながら、カセッテ18の取り出し作業を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態に係るシート体用容器の閉蓋装置が適用される画像読取装置の内部構成図である。
【図2】前記閉蓋装置の概略斜視説明図である。
【図3】前記閉蓋装置の一部斜視説明図である。
【図4】閉蓋ローラが待機位置に配置された際の前記閉蓋装置の側面説明図である。
【図5】前記閉蓋ローラが閉蓋位置に配置された際の前記閉蓋装置の側面説明図である。
【図6】前記閉蓋ローラの説明図である。
【図7】本発明の閉蓋方法を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
10…画像読取装置 14…カセッテ装填部
16、16a、16b…蓄積性蛍光体シート
18、18a、18b…カセッテ 30…吸着移送機構
31…閉蓋装置 34a〜34h…搬送ローラ
36a〜36i…ガイド板 39…消去ユニット
40…走査ユニット 48…読取ユニット
54a、54b…吸着盤 60…閉蓋ローラ
62…ローラ移動機構 64…DCモータ
74a、74b…ピニオン 76a、76b…アーム部材
78a、78b…ラック部 84a、84b…滑り軸受け
86a、86b…ガイド溝 88a、88b…ばね部材
90…ドグ部 92、94…センサ
96…軸体 98a〜98e…ローラ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート体を収容するシート体用容器に設けられ、前記シート体の出し入れを行う開口部を開閉自在な蓋体を閉蓋するためのシート体用容器の閉蓋装置であって、
前記蓋体を押圧するとともに、回転自在な閉蓋ローラと、
前記閉蓋ローラを進退変位させることにより、前記閉蓋ローラで前記蓋体を閉蓋させるローラ移動機構と、
を備えることを特徴とするシート体用容器の閉蓋装置。
【請求項2】
請求項1記載の閉蓋装置において、前記ローラ移動機構は、アクチュエータを介して揺動可能な揺動部材と、
前記揺動部材に移動可能に支持される前記閉蓋ローラを、前記基体側に付勢するばね部材と、
を備えることを特徴とするシート体用容器の閉蓋装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の閉蓋装置において、前記閉蓋ローラにより前記蓋体が閉蓋されたか否かを検出するセンサを備えることを特徴とするシート体用容器の閉蓋装置。
【請求項4】
請求項1記載の閉蓋装置において、前記閉蓋ローラによる前記蓋体の押圧位置よりも上方に配置される固定ローラを備えることを特徴とするシート体用容器の閉蓋装置。
【請求項5】
シート体を収容するシート体用容器に設けられ、前記シート体の出し入れを行う開口部を開閉自在な蓋体を閉蓋するためのシート体用容器の閉蓋方法であって、
回転自在な閉蓋ローラを移動させ、前記閉蓋ローラにより前記蓋体を押圧する工程と、
前記閉蓋ローラにより前記蓋体が閉蓋されたか否かを検出する工程と、
前記蓋体が閉蓋されたと判断された際、前記閉蓋ローラを前記蓋体から離間させる工程と、
前記蓋体が閉蓋されていないと判断された際、前記閉蓋ローラを前記蓋体に接触させた状態で、前記シート体用容器を取り出す工程と、
を有することを特徴とするシート体用容器の閉蓋方法。
【請求項6】
請求項5記載の閉蓋方法において、前記蓋体が閉蓋されていないと判断された際、前記閉蓋ローラを前記蓋体から離間させた後、再度、前記閉蓋ローラにより前記蓋体を押圧する工程を有することを特徴とするシート体用容器の閉蓋方法。
【請求項7】
請求項5又は6記載の閉蓋方法において、前記シート体用容器を取り出す際、前記閉蓋ローラによる前記蓋体の押圧位置よりも上方に配置される固定ローラを介して前記蓋体の開動作を規制することを特徴とするシート体用容器の閉蓋方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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