説明

シート供給装置

【課題】ジャムや空送、重送などを抑制することができるシート供給装置を提供する。
【解決手段】シート供給装置は、積載された用紙Pを1枚ずつ分離して供給する装置であり、用紙Pが積載される収容トレイ31と、分離ローラ34と、分離ローラ34との間で用紙Pを1枚ずつ分離する分離パッド35とを備えている。収容トレイ31は、積載された用紙Pの前端PAから供給方向に沿って下流側に向けて延び、搬送される用紙Pをガイドするガイド部110を有する。分離パッド35は、分離ローラ34に対して接離可能に支持されつつ分離ローラ34に向けて付勢されるとともに、供給方向上流端部に上流側に向けて延びる延出部513が設けられている。ガイド部110と延出部513とは、用紙Pの幅方向に並ぶように配置され、延出部513の上流端514は、用紙Pを供給するときに、ガイド部110のうち用紙Pをガイドするガイド面111に対して没入している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載されたシートを1枚ずつ分離して供給するシート供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタなどの画像形成装置には、供給トレイに積載された用紙(シート)を1枚ずつ分離して画像形成部に供給するシート供給装置が設けられている。具体的に、例えば、特許文献1に記載された画像形成装置においては、供給トレイに積載されたシートは、給紙ローラにより摩擦部を有する分離パッドに向けて搬送され、分離ローラと分離パッド(摩擦部)との間に挟まれたときに1枚ずつ分離されて画像形成部に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−7123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のシート供給装置においては、給紙ローラによって搬送されたシートの先端が分離パッドの端部に当接することで引っ掛かり、シート詰まり(ジャム)やシートの空送り(空送)が生じるおそれがあった。また、給紙ローラによって搬送されたシートが直接分離パッドに当接して分離パッドを押すことで、分離ローラと分離パッドとの間でシートを正常に分離することができなくなって、空送や複数のシートが一度に送り出される重送が生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、ジャムや空送、重送などを抑制することができるシート供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明のシート供給装置は、積載されたシートを1枚ずつ分離して供給するシート供給装置であって、シートが積載されるシート収容部と、シートに搬送力を付与する分離ローラと、前記分離ローラに対向して配置される摩擦部を有し、当該摩擦部と前記分離ローラの間でシートを1枚ずつ分離する分離抵抗体とを備え、前記シート収容部は、積載されたシートの前端からシート供給方向に沿って下流側に向けて延び、搬送されるシートをガイドするガイド部を有し、前記分離抵抗体は、前記分離ローラに対して接離可能に支持されつつ前記分離ローラに向けて付勢されるとともに、シート供給方向上流端部に上流側に向けて延びる延出部が設けられ、前記ガイド部と前記延出部とは、シートの幅方向に並ぶように配置され、前記延出部のシート供給方向上流端は、少なくともシートを供給するときに、前記ガイド部のうちシートをガイドするガイド面に対して没入していることを特徴とする。
【0007】
このように構成されたシート供給装置によれば、シート収容部に積載されたシートは、まずシート収容部に設けられたガイド部に当接するので、シートが分離抵抗体を直接押すことはない。その後、シートはガイド部によってガイドされながら延出部(分離抵抗体)に接触して分離ローラとの間へ搬送される。このとき、延出部のシート供給方向上流端がガイド部のうちシートをガイドするガイド面に対して没入しているので、シートの先端は分離抵抗体の端部に引っ掛かることなく搬送される。以上により、シートのジャムや空送、重送などを抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シート収容部に設けたガイド部と分離抵抗体に設けた延出部とをシートの幅方向に並ぶように配置し、延出部の上流端をガイド部のガイド面に対して没入させた状態で配置したので、シートのジャムや空送、重送などを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るシート供給装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】収容トレイが収納位置にあるときの分離パッドとガイド部の拡大図である。
【図3】収容トレイが収納位置にあるときの分離パッドとガイド部の斜視図である。
【図4】収容トレイと分離パッドの分解斜視図である。
【図5】収容トレイを離間位置に引き出した状態を示す図である。
【図6】収容トレイが離間位置にあるときの分離パッドとガイド部の斜視図である。
【図7】収容トレイが収納位置にあるときの分離パッドとガイド部の拡大図である。
【図8】延出部の作用を説明するための図(a)〜(d)である。
【図9】変形例に係る延出部の対向部とガイド部の下流端の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の実施形態に係るシート供給装置(供給装置3)を備えたレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成について説明した後、供給装置3の詳細な構成について説明する。
【0011】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、シートの一例としての用紙Pを供給する供給装置3と、供給された用紙Pに画像を形成する画像形成部4とを主に備えている。なお、本実施形態における本体筐体2は、供給装置3の筐体も兼ねている。
【0012】
ここで、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0013】
[供給装置の概略構成]
供給装置3は、レーザプリンタ1の下部に設けられ、用紙Pを収容するシート収容部の一例としての収容トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙ローラ33と、分離ローラ34と、分離抵抗体の一例としての分離パッド35と、搬送ローラ36と、レジストローラ37とを主に備えている。
【0014】
収容トレイ31に収容された用紙Pは、用紙押圧板32によって給紙ローラ33に寄せられ、給紙ローラ33によって分離パッド35に向けて送り出される。送り出された用紙Pは、分離ローラ34と分離パッド35によって1枚ずつ分離され、搬送ローラ36とレジストローラ37によって画像形成部4(感光体ドラム51と転写ローラ53の間)に向けて搬送される。
【0015】
[画像形成部の構成]
画像形成部4は、露光装置40と、プロセスカートリッジ50と、定着装置60とを主に備えている。
【0016】
露光装置40は、本体筐体2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44とを主に備えている。レーザ発光部から出射された画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)は、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44、レンズ43の順に反射または通過して、感光体ドラム51の表面で高速走査される。
【0017】
プロセスカートリッジ50は、露光装置40の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー(符号省略)を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱することで交換可能に構成されている。このプロセスカートリッジ50は、感光体ドラム51と、帯電器52と、転写ローラ53と、現像ローラ54と、供給ローラ55と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部56とを主に備えている。
【0018】
定着装置60は、プロセスカートリッジ50の後方に設けられ、加熱ローラ61と、加熱ローラ61と対向配置されて加熱ローラ61を押圧する加圧ローラ62とを備えている。
【0019】
画像形成部4では、感光体ドラム51の表面が、帯電器52により一様に帯電された後、露光装置40からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム51上に静電潜像が形成される。また、トナー収容部56内のトナーは、供給ローラ55を介して現像ローラ54に供給され、現像ローラ54上に担持される。
【0020】
そして、現像ローラ54上に担持されたトナーが、感光体ドラム51上の静電潜像に供給されることで、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム51上にトナー像が形成される。その後、供給装置3から供給された用紙Pが、感光体ドラム51と転写ローラ53の間を搬送されることで、感光体ドラム51上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0021】
トナー像が転写された用紙Pは、加熱ローラ61と加圧ローラ62の間を搬送されることでトナー像が熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、搬送ローラ63によって搬送経路23を搬送され、搬送経路23から排出ローラ24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0022】
<供給装置の詳細構成>
次に、供給装置3の詳細な構成について説明する。なお、以下の説明においては、用紙Pが供給装置3(収容トレイ31)から画像形成部4(感光体ドラム51と転写ローラ53の間)に向けて供給される方向(シート供給方向)を単に「供給方向」という。また、供給方向における上流を単に「上流」といい、供給方向における下流を単に「下流」という。さらに、収容トレイ31に積載される用紙Pの幅方向(左右方向)を単に「幅方向」ということがある。
【0023】
供給装置3は、積載された用紙Pを1枚ずつ分離して画像形成部4に供給する装置であり、前記したように、収容トレイ31、給紙ローラ33、分離ローラ34、分離パッド35などを備えている。
【0024】
給紙ローラ33は、収容トレイ31に収容された用紙Pを分離パッド35に向けて送り出すローラであり、本体筐体2に設けられている。
分離ローラ34は、用紙Pに搬送力を付与するローラであり、本体筐体2に設けられ、給紙ローラ33の略前方に配置されている。分離ローラ34および給紙ローラ33は、用紙Pを供給するときに、駆動力が入力されることで回転駆動するように構成されている。
【0025】
分離パッド35は、図2,3に示すように、分離ローラ34に対向して配置される摩擦部35Aを有し、当該摩擦部35Aと分離ローラ34の間で用紙Pを1枚ずつ分離する部材であり、収容トレイ31の前部中央に設けられている。この分離パッド35は、ホルダ510と、摩擦部35Aを構成する摩擦シート520とから主に構成されている。
【0026】
図4に示すように、ホルダ510の下流端部(上端部)には、左右に延びる揺動軸511が設けられており、この揺動軸511が収容トレイ31に軸支されることで、ホルダ510の上流端部(下端部)が略上下に揺動可能となっている。これにより、分離パッド35は、分離ローラ34に対して、近接する方向と離間する方向の間で移動可能(接離可能)となっている。
【0027】
また、ホルダ510の上流端部は、バネ530(図2参照)によって上方に向けて付勢されており、これによって、分離パッド35(摩擦部35A)が分離ローラ34に向けて付勢される。なお、ホルダ510の上面には、摩擦シート520を取り付けるための凹部(符号省略)が設けられている。
【0028】
摩擦シート520は、ゴムやコルクなど摩擦係数が大きい材料から形成されたシート状の部材であり、ホルダ510に設けられた凹部に貼着などによって取り付けられている。ホルダ510に取り付けられた摩擦シート520の上面は、分離ローラ34に付勢され、分離ローラ34との間で用紙Pを1枚ずつ分離する摩擦部35Aとなっている。
【0029】
収容トレイ31は、用紙Pが積載される、上部が開放された略箱状の部材であり、図5に示すように、本体筐体2に対して前後に引き出すことで着脱することができるように構成されている。より詳細に、収容トレイ31は、分離パッド35が分離ローラ34に付勢される収納位置(図1〜3参照)と、分離パッド35が本体筐体2に設けられた分離ローラ34から離間する離間位置(図5,6参照)との間で、本体筐体2に対して前後に引き出すことで移動可能に構成されている。
【0030】
[分離パッドと収容トレイの詳細構成]
次に、本発明の特徴部分に係る分離パッド35と収容トレイ31の詳細な構成について説明する。
【0031】
図4に示すように、分離パッド35は、ホルダ510の上流端部に上流側に向けて延びる延出部513が設けられている。この延出部513は、幅方向に複数設けられており、略櫛歯状をなしている。
【0032】
また、収容トレイ31の前壁部中央には、積載された用紙Pの前端PA(図2参照)から供給方向に沿って下流側(斜め上方)に向けて延びるガイド部110が設けられている。このガイド部110は、幅方向に複数設けられており、略櫛歯状をなしている。
【0033】
ガイド部110は、給紙ローラ33によって搬送される用紙Pを分離ローラ34に向けてガイドする部位である。このようなガイド部110を設けたことで、給紙ローラ33によって送り出された用紙Pは、まずガイド部110に当接し、ガイド部110の上面(ガイド面111)に沿って分離ローラ34に向けてガイドされる。
【0034】
図3,8に示すように、複数のガイド部110と複数の延出部513とは、分離パッド35が収容トレイ31に取り付けられた状態において、幅方向に互い違いに並ぶように配置される。言い換えると、略櫛歯状の複数のガイド部110と略櫛歯状の複数の延出部513とが互いに噛み合うように配置される。このとき、ガイド部110と延出部513とは、互いに接触しておらず、また、図2に示すように、幅方向から見て互いに重なるような位置関係となる。
【0035】
さらに述べると、延出部513の上流端514は、図2,7に示すように、用紙Pを供給するとき、より詳細には、収容トレイ31が本体筐体2に装着された収納位置にあるときに、ガイド部110のうち用紙Pをガイドするガイド面111に対して没入している。
【0036】
なお、図2に示す状態では、上流端514だけでなく、延出部513の全体がガイド面111に対して没入している。また、図7に示す状態では、上流端514を含めた延出部513の上流がガイド面111に対して没入し、延出部513の下流はガイド面111からわずかに突出している。図2に示す状態および図7に示す状態の詳細については後述する。
【0037】
ちなみに、本実施形態において、延出部513の上流端514の一部は、図5,6に示すように、収容トレイ31が本体筐体2から引き出された離間位置にあるときには、ホルダ510がバネ530によって上方に向けて付勢されることで、ガイド面111からわずかに突出する。なお、本発明では、収容トレイ31が離間位置にあるときにも、上流端514がガイド面111に対して没入していてもよい。
【0038】
図8(a)に示すように、本実施形態において、分離パッド35(ホルダ510)は、ガイド部110の下流端112と対向する対向部515が下流側に向けてふくらむような湾曲形状をなしている。また、ガイド部110の下流端112は、対向部515の形状に沿った湾曲形状をなしている。
【0039】
[作用効果]
次に、収容トレイ31に積載された用紙Pを分離ローラ34と分離パッド35(摩擦部35A)との間に搬送するときの動作について説明することで、本実施形態に係る供給装置3の作用効果について説明する。
【0040】
図2に示すように、給紙ローラ33によって送り出された用紙Pは、ガイド部110に当接する。その後、用紙Pは、ガイド部110(ガイド面111)に沿って分離ローラ34に向けてガイドされ、分離ローラ34と分離パッド35との間へ搬送されて1枚ずつ分離される。
【0041】
図2に示す状態では、延出部513の全体がガイド面111に対して没入しているので、送り出された用紙Pは延出部513(分離パッド35)に当接することなくガイド面111をガイドされて、最終的に分離ローラ34と分離パッド35の間にガイドされる。これによれば、給紙ローラに33よって搬送された用紙Pが直接分離パッド35を押すことがないので、用紙Pを正常に分離することができ、空送や重送などを抑制することができる。また、用紙Pの先端が分離パッド35に引っ掛かることがないので、ジャムや空送などを抑制することができる。
【0042】
ここで、図2に示す状態は、本発明における、ガイド部110(ガイド面111)と分離パッド35(延出部513)との最も望ましい位置関係を示したものである。しかしながら、収容トレイ31を離間位置から収納位置に移動させたときや、部品(ホルダ510など)の不可避的な誤差などによって、ガイド部110と分離パッド35との位置関係が変わり、延出部513の全体がガイド面111に対して没入する状態を保てない場合がある。
【0043】
その場合であっても、供給装置3では、図7に示すように、延出部513のうち少なくとも上流端514が、用紙Pを供給するときに、ガイド面111に対して没入している。これによれば、給紙ローラ33によって送り出された用紙Pは、まずガイド部110に当接するので、用紙Pが分離パッド35を直接押すことはない。その後、用紙Pはガイド部110のガイド面111にガイドされながら延出部513に接触し、延出部513の上面にガイドされながら分離ローラ34と摩擦部35Aとの間へ搬送されて1枚ずつ分離される。
【0044】
以上のように、供給装置3では、給紙ローラに33よって搬送された用紙Pが直接分離パッド35を押すことがないので、用紙Pを正常に分離することができ、空送や重送などを抑制することができる。また、供給装置3では、用紙Pを供給するときに、延出部513の上流端514が常にガイド面111に対して没入しているので、用紙Pの先端は分離パッド35の端部である上流端514に引っ掛かることなく搬送される。これにより、ジャムや空送などを抑制することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、分離パッド35の対向部515が下流側に向けてふくらむ湾曲形状をなしているので、用紙Pの先端をガイド部110から延出部513に徐々に当接させていくことができる。具体的には、図8(a)に示すように、ガイド部110(ガイド面111)をガイドされる用紙Pは、図8(b)に示すように、延出部513に接触し、延出部513によってもガイドされる。
【0046】
このとき、対向部515が下流側に向けてふくらむ湾曲形状をなしていることで、図8(b)の状態から図8(c)の状態へと搬送される過程で、用紙Pの先端と延出部513との接触面積が徐々に大きくなっていくので、用紙Pは延出部513と徐々に当接していくこととなる。これにより、用紙Pの先端と延出部513との接触面積が急激に大きくなる場合と比較して、用紙Pをスムーズに搬送することが可能となる。
【0047】
また、対向部515が湾曲形状をなしていることで、図8(d)に示すように、用紙Pの先端と対向部515の端縁との接触面積を小さくすることができる。これによれば、用紙Pの先端が垂直に当たる部分の面積を小さくすることができるので、用紙Pの引っ掛かりを抑制することができ、ジャムや空送を抑制することができる。
【0048】
また、本実施家形態では、ガイド部110の下流端112が対向部515の形状に沿った湾曲形状をなしているので、ガイド部110と分離パッド35(ホルダ510)との隙間を最小限とすることができる。これにより、用紙Pが分離パッド35に引っ掛かることを抑制できるので、ジャムや空送を抑制することができる。
【0049】
また、本実施家形態では、ガイド部110が幅方向に複数設けられているので、用紙Pが幅方向において波打つように変形していても、用紙Pを確実にガイドすることができる。
【0050】
以上説明したように、本発明によれば、収容トレイ31に設けたガイド部110と分離パッド35に設けた延出部513とを幅方向に並ぶように配置し、延出部513の上流端514をガイド部110のガイド面111に対して没入させたので、用紙Pのジャムや空送、重送などを抑制することができる。
【0051】
本発明は、本実施形態に係る供給装置3のように、収容トレイ31が収納位置と離間位置との間で移動可能な構成に特に有効である。このような構成では、収容トレイ31を離間位置から収納位置に移動させるときのユーザの力加減などによって、分離パッド35とガイド部110との位置関係が変わりやすく、延出部513の全体を常にガイド面111に対して没入させた状態に保つことが容易でないからである。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0053】
前記実施形態では、分離パッド35(ホルダ510)の対向部515が下流側に向けてふくらむ湾曲形状をなしている例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、分離パッド35(分離抵抗体)は、対向部515が下流側に向けて先細る形状をなしていてもよい。このような構成によっても、前記実施形態の場合と同様に、用紙Pのスムーズな搬送が可能となり、ジャムや空送を抑制することができる。
【0054】
なお、図9に示す形態においても、ガイド部110の下流端112は、対向部515の形状に沿った形状(先細り形状)をなしている。ちなみに、ガイド部の下流端は、対向部の形状と異なる形状をなしていてもよい。
【0055】
前記実施形態では、ホルダ510が揺動可能に支持されることで、分離ローラ34に対して接離可能となる分離パッド35(分離抵抗体)を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、分離抵抗体は、分離ローラに対して平行移動可能に支持されることで、分離ローラに対して接離可能であってもよい。
【0056】
前記実施形態では、給紙ローラ33によって送り出された用紙Pを分離パッド35との間で1枚ずつ分離する分離ローラ34を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、分離ローラは、積載されたシート送り出すローラとしての機能を有していてもよい。
【0057】
前記実施形態では、複数のガイド部110と複数の延出部513を有する構成を例示したが、これに限定されず、例えば、ガイド部および延出部は、ともに1つずつであってもよい。また、一方のみが複数であってもよい。
【0058】
前記実施形態では、シート収容部として、収容位置と離間位置との間で本体筐体2(筐体)に対して移動可能に構成された収容トレイ31を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、シート収容部は、筐体に対して移動できない構成(筐体内に設けられたもの)であってもよい。
【0059】
前記実施形態では、シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Pを例示したが、これに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【0060】
前記実施形態では、本発明のシート供給装置を備えた画像形成装置として、レーザプリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、カラープリンタであってもよい。また、プリンタに限定されず、例えば、複写機や複合機などであってもよい。
【0061】
前記実施形態では、本発明を、レーザプリンタ1(画像形成装置)に適用した例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、積載されたシート状の部材を1枚ずつ分離して供給するシート供給装置や、そのようなシート供給装置(シート供給機構)を備える装置などに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
2 本体筐体
3 供給装置
31 収容トレイ
33 給紙ローラ
34 分離ローラ
35 分離パッド
35A 摩擦部
110 ガイド部
111 ガイド面
112 下流端
510 ホルダ
513 延出部
514 上流端
515 対向部
520 摩擦シート
P 用紙
PA 前端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載されたシートを1枚ずつ分離して供給するシート供給装置であって、
シートが積載されるシート収容部と、
シートに搬送力を付与する分離ローラと、
前記分離ローラに対向して配置される摩擦部を有し、当該摩擦部と前記分離ローラの間でシートを1枚ずつ分離する分離抵抗体とを備え、
前記シート収容部は、積載されたシートの前端からシート供給方向に沿って下流側に向けて延び、搬送されるシートをガイドするガイド部を有し、
前記分離抵抗体は、前記分離ローラに対して接離可能に支持されつつ前記分離ローラに向けて付勢されるとともに、シート供給方向上流端部に上流側に向けて延びる延出部が設けられ、
前記ガイド部と前記延出部とは、シートの幅方向に並ぶように配置され、
前記延出部のシート供給方向上流端は、少なくともシートを供給するときに、前記ガイド部のうちシートをガイドするガイド面に対して没入していることを特徴とするシート供給装置。
【請求項2】
前記分離抵抗体は、前記ガイド部のシート供給方向下流端と対向する対向部が下流側に向けてふくらむ湾曲形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載のシート供給装置。
【請求項3】
前記分離抵抗体は、前記ガイド部のシート供給方向下流端と対向する対向部が下流側に向けて先細る形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載のシート供給装置。
【請求項4】
前記ガイド部のシート供給方向下流端は、前記対向部の形状に沿った形状をなしていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のシート供給装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、シートの幅方向に複数設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシート供給装置。
【請求項6】
筐体を備え、
前記分離ローラは、前記筐体に設けられ、
前記分離抵抗体は、前記シート収容部に設けられており、
前記シート収容部は、前記分離抵抗体が前記分離ローラに付勢される収納位置と、前記分離抵抗体が前記分離ローラから離間する離間位置との間で、前記筐体に対して移動可能に構成されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシート供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−136793(P2011−136793A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297786(P2009−297786)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】