説明

シート処理装置、画像形成装置及びシート処理方法

【課題】シートの切断形状及び飛散した切断加工部分による搬送不良の発生を防ぐことのできるシート処理装置、画像形成装置及びシート処理方法を提供する。
【解決手段】制御手段によりシートを切断加工するシート加工手段の動作を制御すると共に、制御手段は、シートSを切断加工する際、シートSの切断加工部分Scに非切断部分Srを形成するようシート加工手段の動作を制御する。これにより、切断加工部分ScをシートSから完全に切り離すことなく切断を行うことができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置、画像形成装置及びシート処理方法に関し、特に画像形成済みのシートに対して、シート加工手段を用いて切断加工を施すものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、画像形成された後のシートに対する綴じ処理等に要する手間を軽減するため、画像形成された後のシートに対して綴じ処理、穿孔処理等を選択的に施すようにしたシート処理装置を備えたものがある。
【0003】
そして、このようなシート処理装置としては、近年、画像形成済みのシートに対し、切断加工を施すシート加工手段を備えたものが有る。ここで、このようなシート加工手段として、高圧の水によりシートを切断する加工手段を備えたものがある。さらに、所定パルスのレーザ光を照射することにより、シートを自由な形状に切断するレーザ加工手段を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−245049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような従来のシート処理装置及び画像形成装置において、レーザ加工手段により、例えば図8の(a)に示すようにシートSの矢印に示すシート搬送方向先端の中央部に凸部Tを形成する場合がある。この場合、レーザ加工手段により、図8の(b)に示すように、シートSの先端両端部Scを切断するようにしている。
【0006】
しかし、このようにシートSの先端中央部に凸部Tを形成した場合、この凸部Tが下流の搬送経路や搬送装置を通過する際、ローラ等の搬送手段やガイド等に引っ掛かったり、折れたりして搬送不良を起こす場合がある。
【0007】
また、例えば図9の(a)に示すように、シートSに穴Shを形成する場合があり、この場合、レーザ加工手段により、図9の(b)に示す斜線部分Spを切断するようにしている。しかし、このようにシートSに穴Shを形成した場合、この穴Shの後端Mが下流の搬送経路や搬送装置を通過する際、ローラ等の搬送手段やガイド等に引っ掛かったり、めくれたりして搬送不良を起こす場合がある。
【0008】
また、シートを切断する際、図9の(b)に示す斜線部分Spに対応する切断加工部分は通常、屑箱に回収されるが、一部の切断加工部分が飛散し、搬送経路中に残る場合がある。この場合も、次シート搬送時、その残った切断加工部分が原因で搬送不良が発生する場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みて成されたものであり、シートの切断形状及び飛散した切断加工部分による搬送不良の発生を防ぐことのできるシート処理装置、画像形成装置及びシート処理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、制御手段によりシートを切断加工するシート加工手段の動作を制御すると共に、制御手段は、シートを切断加工する際、シートの切断加工後の形状、及び切断加工箇所に関する情報の少なくとも一方に応じてシートの切断加工部分に対して非切断部分を形成する位置を判断し、シート加工手段の動作を制御する。これにより、切断加工部分をシートから完全に切り離すことなく切断を行うようにする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のように、シートを切断加工する際、シートの切断加工部に非切断部分を形成することによってシートの切断加工部分をシートから完全に切り離すことなく切断を行うようにする。これにより、シートの切断形状及び飛散した切断加工部分による搬送不良の発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係るシート処置装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図である。図1において、1Aは画像形成装置、1は画像形成装置本体、3は画像形成装置本体1から排出されたシートSの処理を行うシート処理装置であるフィニッシャである。
【0014】
ここで、このフィニッシャ3は、シートSの綴じ処理、穿孔処理等を行うフィニッシャ本体3Aと、フィニッシャ本体3Aと画像形成装置本体1との間に設けられ、レーザ切断装置20を具備したシート搬送装置2とを備えている。
【0015】
そして、シートSは、画像形成装置本体1において画像形成された後、シート搬送装置2内に搬送され、レーザ切断装置20により所望の形状の切断加工が施される。この後、更にフィニッシャ本体3Aに搬送され、このフィニッシャ本体3Aにおいて綴じ処理、穿孔処理等の処理がなされる。
【0016】
シート搬送装置2は、図2及び図3に示すように、レーザ切断装置20のほか、入口ガイド対14,15、入口ローラ対10,11、搬送ガイド対16,17、シート検知手段18,19、排出ローラ対12,13等を備えている。
【0017】
また、図3において、22は制御部であり、この制御部22はシートの搬送制御、もしくは所望の切断形状を得るためにレーザ切断装置20を制御する。なお、本実施の形態においては、一つの制御部22によりシートの搬送制御及び加工動作を制御しているが、複数の制御部によりシートの搬送制御及び加工動作を制御しても良い。
【0018】
ここで、シート加工手段の一例であるレーザ加工手段であるレーザ切断装置20は、不図示のレーザ発信装置から発信されるレーザ光をレンズにより収束して図2に示すレーザ照射部21から照射するようにしている。そして、制御手段である制御部22は、加工形状に応じてレーザ照射部21から照射されるレーザ光Rを制御することにより、所望の形状の成果物を得ることができるようにしている。シート加工手段としてはレーザ加工手段の他に、高圧の水流によってシートを切断するウォータージェット式の切断装置等を用いてもよい。
【0019】
また、シート検知手段18,19は、例えば光学センサであり、このシート検知手段18,19からのシート先端検知信号に基づき制御部22はシート搬送制御及び切断位置の制御等を行う。
【0020】
なお、図3に示すように搬送上ガイド16には、レーザ光Rをシートに照射するための開口部23が設けられており、その開口部23を通ってレーザ光RがシートSに照射され、シートSを切断する。また、本実施の形態において、シート検知手段18,19及びレーザ照射部21は、シートSの幅方向の略中央部に配置されている。
【0021】
そして、このような構成のシート搬送装置2では、画像形成装置本体1AからシートSが排出されると、このシートSは、まず入口ガイド対14,15によって案内され、この後、入口ローラ対10,11によりレーザ切断装置20の下方を通過する。このとき、シートSは、レーザ切断装置20のレーザ照射部21からのレーザ光Rにより所望の形状に切断される。
【0022】
この後、搬送ガイド対16,17、排出ローラ対12,13を経て下流側のフィニッシャ本体3Aに搬送される。次に、このようにフィニッシャ本体3Aへ搬送された後、所定の処理が施された後、フィニッシャ本体3Aの排紙トレイ3B(図1参照)に排出される。なお、シートSを切断する際、画像形成装置1の生産性の低下を防ぐために、シートSの搬送を停止させないで切断処理を行うことが望ましいが、シートを停止させて切断させても構わない。
【0023】
次に、レーザ切断装置20によるシートの加工動作について説明する。
【0024】
ここで、シートの所望の形状を図4の(a)に示す先端中央部に凸部Tを有する形状とする。そして、このような(a)の形状を得る為に、既述した図8に(b)に示すようにシートの先端の両端部をレーザにて切断すると、凸部TがシートSの搬送方向の先端となる。しかし、この場合、シートSが下流の搬送経路や搬送装置に通過する際、既述したように、この凸部Tがローラ等の搬送手段やガイド等に引っ掛かったり、折れたりして搬送不良を起こす原因となっていた。
【0025】
そこで、本実施の形態においては、シートの切断を行う設定がなされた時に、その一部分を残して切断する『部分切断モード』と、完全に切り離す『全切断モード』を不図示の選択手段により選択する事が可能としている。
【0026】
ここで、部分切断モードが選択された時においては、図4の(b)又は(c)に示したように、シートの切断加工される部分(以下、切断加工部分という)Scの一部分を非切断部分Srとして残すようにしている。そして、このように切断加工部分Scに非切断部分Srを形成することにより、シートSと切断加工部分Scが完全に離間することがなくなる。この結果、下流の搬送部、もしくはフィニッシャ本体3Aへのシート搬送時において、シートが搬送手段やガイド等に引っ掛かったりすることがなくなるのでシートの安定した搬送が可能となる。
【0027】
また、切断される形状により切断加工部分Sc(切断片)の回収が困難な場合においても、シートSと切断加工部分Scが完全に離間することがないようにすることにより、切断加工部分Scの回収が不要となる。さらに、切断加工部分Scの一部が飛散することもなくなるので、飛散した切断加工部分Scが原因の搬送不良の発生を回避できる。
【0028】
なお、このように切断加工部分Scに非切断部分Srを形成するようにして切断加工されたシートSは、フィニッシャ本体3Aへ搬送された後、所定の処理が施された後、フィニッシャ本体3Aの排紙トレイ3Bに排出される。そして、この後、ユーザがこの非切断部分Srを切り取ることにより、図4の(a)に示すように先端中央部に凸部Tを有する形状のシートSを得ることができる。
【0029】
次に、シートの所望の形状を図5の(a)に示すように穴Shを有する形状とする場合について説明する。この場合、図5の(a)に示すような穴Shを形状するため、既述した図9の(b)に示す斜線部分Spを切断した場合、この穴Shの後端Mが引っ掛かったり、めくれたりして搬送不良を起こす場合がある。
【0030】
このため、部分切断モードが選択された時においては、図5の(b)又は(c)に示したように、シートの切断加工される部分Scの一部分を非切断部分Srとして残すようにしている。
【0031】
そして、このように切断加工部分Scに非切断部分Srを形成することにより、シートSと切断加工部分Scが完全に離間することがなくなる。この結果、下流の搬送部、もしくはフィニッシャ本体3Aへのシート搬送時において、シートが搬送手段やガイド等に引っ掛かったりすることがなくなるのでシートの安定した搬送が可能となる。
【0032】
図6は、このようなシートの切断加工動作を示すフローチャートである。
【0033】
シートを切断加工する場合、先ず、シートに対する切断モードの設定が行われる(S100)。そして、不必要な部分を完全に取り除く全切断モード101が選択されると(S101)、制御部22はレーザ切断装置20を制御し、不必要な部分を完全に取り除く全切断を行う(S102)。なお、切断部分の入力については、指定定形形状、情報機器よりの入力、読み込み手段よりの入力等、様々な形態が存在するがその方法については問わない。
【0034】
一方、部分選択モードが選択されると(S151)、切断形状されるべき形状に対して、どの部分を切断し、どの部分を残すかを判断する(S200)。なお、判断要素としては、シートの大きさ、長さ、切断されるべき形状の大きさ、長さ、シートの端面に対して近接している等の情報、切断されるべき形状及びその位置、搬送に寄与するガイド類、ローラ等の位置等の情報がある。
【0035】
そして、制御部22は、これら諸条件を基にして切断加工部分Scのうちどの部分を残すか、即ちどの部分を非切断部分Srとするかを判断し(S200のY)、この判断にしたがってレーザ切断装置20を制御して部分裁断を行う(S152)。
【0036】
ところで、図7は、部分切断されたシートを搬送しているシート搬送装置2の上視図であり、図中Rの領域は、搬送ローラ10,12が存在するシートSの搬送に寄与する領域であり、Sの領域はシート検知手段18,19のシートを検知する領域を示している。
【0037】
ここで、本実施の形態では、Rの領域内に非切断部分Srが残るようにシートの切断加工を行っている。そして、このようにRの領域内に非切断部分Srを形成することにより、切断加工されたシートが搬送される際、シート搬送手段である排出ローラ対12,13に非切断部分Srが当接するようになる。これにより、切断加工後のシートの搬送性の低下を防ぐことができる。
【0038】
又、切断加工部分ScがSの領域に存在する場合には、シート検知手段18,19に対応する部分に非切断部分Srを形成するようにすることが好ましい。そして、このようにSの領域に非切断部分Srを形成することにより、切断加工されたシートが搬送される際、シート検知手段18,19が切断加工部分Scを検知することがなくなるため、搬送制御の信頼性の低下を防ぐことができる。
【0039】
このように、シートを切断加工する際、レーザ切断装置20の動作を制御してシートの切断加工部分Scに非切断部分Srを形成することにより、切断加工部分ScをシートSから完全に切り離すことなく切断を行うようにする。つまり、切断加工部分Scを意図的に残すようにする。
【0040】
これにより、切断加工部分Scの装置内への飛散及び切断部のガイド類、ローラ等への引掛り等を防止することができ、この結果、シートの切断形状及び飛散した切断加工部分による搬送不良の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図。
【図2】上記シート処理装置を構成するレーザ切断装置を具備したシート搬送装置の側面断面図。
【図3】上記シート搬送装置の上視図。
【図4】上記レーザ切断装置によるシートの部分切断の例を示す図。
【図5】上記レーザ切断装置によるシートの部分切断の他の例を示す図。
【図6】上記レーザ切断装置によるシートの加工動作を示すフローチャート。
【図7】上記シート搬送装置の部分切断されたシートを搬送する状態を示す上視図。
【図8】従来のレーザ加工手段によるシートの切断の例を示す図。
【図9】従来のレーザ加工手段によるシートの切断の他の例を示す図。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成装置本体
1A 画像形成装置
2 シート搬送装置
3 フィニッシャ
3A フィニッシャ本体
12,13 排出ローラ対
18,19 シート検知手段
20 レーザ切断装置
22 制御部
S シート
Sc 切断加工部分
Sr 非切断部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを切断加工するシート加工手段と、
前記シート加工手段の動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、シートを切断加工する際、シートの切断加工後の形状、及び切断加工箇所に関する情報の少なくとも一方に応じてシートの切断加工部分に対して非切断部分を形成する位置を判断し、前記シート加工手段の動作を制御することを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、シートの切断加工後の形状、及び切断加工箇所に関する情報の少なくとも一方に応じて前記シートの切断加工部分に非切断部分を形成するか否かを判断することを特徴とする請求項1記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記シート加工手段により切断加工されたシートを搬送するシート搬送手段を備え、
前記非切断部分を、前記切断加工されたシートが搬送される際、前記シート搬送手段に当接する位置に形成することを特徴とする請求項1又は2記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記シート加工手段により切断加工されたシートの通過を検知するシート検知手段を備え、
前記非切断部分を、前記切断加工されたシートが搬送される際、前記シート検知手段に臨む位置に形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記シート加工手段は、シートにレーザ光を照射してシートを切断加工するレーザ加工手段であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項6】
画像形成部と、前記画像形成部によって画像形成されたシートを処理する前記請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート処理装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像形成部と、
前記画像形成部によって画像形成されたシートを切断加工するシート加工手段と、
前記シート加工手段の動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、シートを切断加工する際、シートの切断加工後の形状、及び切断加工箇所に関する情報の少なくとも一方に応じてシートの切断加工部分に対して非切断部分を形成する位置を判断し、前記シート加工手段の動作を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、シートの切断加工後の形状、及び切断加工箇所に関する情報の少なくとも一方に応じて前記シートの切断加工部分に非切断部分を形成するか否かを判断することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記シート加工手段により切断加工されたシートを搬送するシート搬送手段を備え、
前記非切断部分を、前記切断加工されたシートが搬送される際、前記シート搬送手段に当接する位置に形成することを特徴とする請求項7又は8記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記シート加工手段により切断加工されたシートの通過を検知するシート検知手段を備え、
前記非切断部分を、前記切断加工されたシートが搬送される際、前記シート検知手段に臨む位置に形成することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記シート加工手段は、シートにレーザ光を照射してシートを切断加工するレーザ加工手段であることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
シートを切断加工するシート加工手段と、
前記シート加工手段により切断加工されたシートを搬送するシート搬送手段と、
前記シート加工手段の動作を制御する制御手段と、を備え、
シートの切断加工後の形状、及び切断加工箇所に関する情報の少なくとも一方に応じた前記制御手段による前記シート加工手段の動作制御によりシートの切断加工部分に対して非切断部分を形成する位置を判断する工程と、
前記判断に従ってシートを切断加工する工程と、
前記シート搬送手段により前記シート加工手段により切断加工されたシートを搬送する工程、とを備えたことを特徴とするシート処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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