シート処理装置及びシート処理方法
【課題】待機位置のシート材の重ね合わせ方法を工夫して、非折りシート材の先端部と折りシート材の先端部とを再現性良く重合できるようにする。
【解決手段】シートPi及びZ折りシートPの取り込みを検知する先端検知センサ12、後端検知センサ13と、ここに検知されたシートPiを取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送し、その後、重ね合わせ位置から所定の待機位置に反転搬送するスイッチバック搬送部20と、これによって待機位置に反転搬送されたシートPiを、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送する待機位置搬送部40と、Z折りシートPの搬送方向における長さ情報を入力し、当該長さ情報に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送開始タイミングを決定し、決定後の搬送開始タイミングを待機位置搬送部40に設定する制御部50とを備えるものである。
【解決手段】シートPi及びZ折りシートPの取り込みを検知する先端検知センサ12、後端検知センサ13と、ここに検知されたシートPiを取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送し、その後、重ね合わせ位置から所定の待機位置に反転搬送するスイッチバック搬送部20と、これによって待機位置に反転搬送されたシートPiを、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送する待機位置搬送部40と、Z折りシートPの搬送方向における長さ情報を入力し、当該長さ情報に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送開始タイミングを決定し、決定後の搬送開始タイミングを待機位置搬送部40に設定する制御部50とを備えるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラー用、白黒用のプリンタや、複写機、これら複合機と、フィニッシャ等と組み合わせて構築される画像形成システムにおいて、画像形成後の複数のシートの先端部と、所定の形状に折り処理された折りシートとを重ね合わせて送出するシート重ね送出装置等に適用して好適なシート処理装置及びシート処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像情報に基づいて画像を形成する画像形成装置と、画像形成後の記録紙に後処理を施す後処理装置とを組み合わせた画像形成システムを構築する場合が多くなってきた。後処理装置には、複数のシート材を重ね合わせて送出するシート処理装置や、複数のシート材が重ね合わされた用紙束にパンチ孔を開口するパンチ処理装置、複数のシート材が重ね合わされた用紙束にステープルを施すステープル処理装置等が利用されている。これらの装置機能を1台の後処理装置内に実装された機種も製造されている。
【0003】
シート処理装置の中には、画像形成後の複数のシートの先端部と、所定の形状、例えば、Z状や、W(M)状に折り処理されたシート(以下で折りシートという)とを重ね合わせて送出するものもある。シート処理装置には、折り処理機構を実装するタイプや、折り処理手段を外装するタイプが含まれる。
【0004】
この種のシート処理装置に関して、特許文献1に開示されたシート処理装置によれば、積載手段、整合手段、制御手段、検出手段、計測手段を備えて構成される。積載手段は搬入されてきたシート材を積載する。整合手段は積載手段に積載されたシート材の端部に当接して当該シート材の搬送方向を整合する。制御手段が検出手段及び計測手段から得られる情報及び、折り処理された折りシート材の搬送方向の長さ情報に応じて整合手段の整合位置を変更する。
【0005】
検出手段は折りシート材を搬送する際に、その先端と後端の通過を検出すると、計測手段が、検出手段の検出結果に基づいて折りシート材の長さを計測する。これを前提にして、制御手段が計測手段から得られた、折りシート材の長さ情報に基づいて整合手段の整合位置を変更するようにした。このようにシート処理装置を構成すると、折りシート材の端部を確実に整合できるので、揃え精度を向上できるというものである。
【0006】
また、特許文献2に開示された後処理システムによれば、第1、第2の搬送経路、プレスタック手段、ステープル手段、制御手段とを備えて構成されている。第1の搬送経路は所定の位置で、シート材をプレスタック手段に搬送する。プレスタック手段は、第1の搬送経路上に配置され、第1の搬送経路を搬送されるシート材をスタックする。ステープル手段はプレスタック手段の下流側に配置され、第1の搬送経路を搬送されてきたシート材に対して、所定形式のステープル処理を施す。第2の搬送経路は、プレスタック手段の下流において、第1の搬送経路と合流する位置に配設され、折り手段により所定形式の折り処理された折りシート材をプレスタック手段へ搬送する。
【0007】
制御手段は、折りシート材に後続するシート材を、予め第1の搬送経路で搬送してプレスタック手段にスタックする。これを前提にして、シート搬送制御時、制御手段が折りシート材及び後続のシート材を共に搬送可能なタイミングで、プレスタック手段によるスタックを解除し、後続のシート材及び折りシート材をステープル手段へ搬送するようにした。このように後処理システムを構成すると、シート折り時間と、折りシート材をステープル手段へ搬送する時間との間において、次に搬送されるシート材をプレスタック手段で待機させることによって生じる生産性の低下を防止できるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−215397号公報(第10頁 図5)
【特許文献2】特開2009−292540号公報(第6頁 図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来例に係るシート処理装置によれば、次のような問題がある。
【0010】
i.特許文献1のシート処理装置によれば、折りシート材の長さ情報に基づいて整合手段の整合位置を変更する構成が採られている。しかし、搬送途中の折りシート材に、所定の位置に待機させて置いた1枚、又は、2枚以上のシート材の束を重ね合わせて送出する構成を採ろうとした場合に、折りシート材の長さ情報に基づいて整合位置を変更する構成では、待機位置の1枚、又は、2枚以上のシートの搬送開始タイミングや、その搬送速度等が制御対象に含まれないので、再現性良く、折りシート材の先端部とシート材の先端部とを再現性良く重な合せできないという問題がある。
【0011】
ii.特許文献2の後処理システムによれば、シート搬送時、折りシート材及び後続のシート材を共に搬送可能なタイミングで、制御手段がプレスタック手段によるスタックを解除し、後続のシート材及び折りシート材をステープル手段へ搬送する構成が採られている。
【0012】
このため、折りシート材及び後続のシート材がプレスタック手段で、一旦停止する状態が存在する。従って、シート取り込み時から、シート重ね合わせ完了送出時に至るまでの処理時間が、搬送途中の折りシート材に、後続のシート材を重ね合わせて送出する場合に比べて長くなる。これにより、当該後処理システムにおける生産性が低下するという問題がある。
【0013】
iii.一般に折りシート材を搬送する場合、通常、折り部分を先頭にして折りシート材が搬送される。この理由は、折りシート材が搬送ローラを通過する際に、折り部分が後端に有る場合、折られていない部位のシート材が円滑に搬送ローラを通過する。しかし、折られている部位が搬送ローラを通過する際に、折り部分が開いて、めくれ上がる現象が発生する(おそれがある)ためである。上述の理由からZ折りシート材を反転搬送機構を有したプリスタック手段等に待機させることができない。
【0014】
iv.また、折りシート材の折り部分は、折られていないシート材に比べて膨らみを持つため、指向性を有したシート検知装置では、先端検知時、シート検知信号にばらつきを生じてしまう。従って、シート材(以下で非折りシート材ともいう)の先端部と折りシート材の先端部とを再現性良く重ね合せることができないという問題がある。
【0015】
そこで、この発明は上述した課題を解決したものであって、待機位置のシート材の重ね合わせ方法を工夫して、非折りシート材の先端部と折りシート材の先端部とを再現性良く重合できるようにしたシート処理装置及びシート処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のシート処理装置は、折り処理されていない1枚、又は、2枚以上を重ね合わせた非折りシート材と、折り処理された1枚の折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するシート処理装置であって、前記非折りシート材及び前記折りシート材の取り込みを検知するシート検知手段と、前記シート検知手段によって検知された、少なくとも、前記非折りシート材を取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送し、その後、前記重ね合わせ位置から所定の待機位置に反転搬送する第1のシート搬送部と、前記第1のシート搬送部によって前記待機位置に反転搬送された前記非折りシート材を、前記待機位置から前記重ね合わせ位置に向けて搬送する第2のシート搬送部と、前記折りシート材の搬送方向における長さ情報を入力し、当該折りシート材の長さ情報に基づいて前記重ね合わせ位置に向けて搬送される前記非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、決定された前記非折りシート材の搬送開始タイミングを前記第2のシート搬送部に設定する制御部とを備えることを特徴とするものである。
【0017】
請求項1に係るシート処理装置によれば、折り処理されていない1枚、又は、2枚以上を重ね合わせた非折りシート材と、折り処理された1枚の折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出する場合に、シート検知手段が非折りシート材及び折りシート材の取り込みを検知すると、第1のシート搬送部がシート検知手段によって検知された、少なくとも、非折りシート材を取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送し、その後、重ね合わせ位置から所定の待機位置に反転搬送する。
【0018】
制御部が折りシート材の搬送方向における長さ情報を入力し、当該折りシート材の長さ情報に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、決定された非折りシート材の搬送開始タイミングを第2のシート搬送部に設定する。これを前提にして、第2のシート搬送部が第1のシート搬送部によって待機位置に反転搬送された非折りシート材を、決定された搬送速度に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送するようになる(待機位置のシート材の搬送制御)。
【0019】
この搬送制御によって、折りシート材がどんな搬送タイミング(搬送速度)で取り込まれる場合であっても、搬送途中において、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の先端部と、非折りシート材に続いて最後に取り込まれる折りシート材の先端部とを再現性良く(遜色なく)重ね合わせることができる。
【0020】
請求項2に記載のシート処理装置は、請求項1において、前記制御部にシート検知情報を出力するシート検知手段は、前記第1のシート搬送部の所定の位置に設けられ、少なくとも、前記非折りシート材の先端を検知する第1のシート検知部と、前記第1のシート検知部から所定の長さだけ離れたシート搬送経路に配設され、少なくとも、前記折りシート材の後端を検知する第2のシート検知部とを有することを特徴とするものである。
【0021】
請求項3に記載のシート処理装置は、請求項2において、前記制御部が前記第2のシート検知部から前記折りシート材の後端検知によって得られた後端検知情報を入力し、前記折りシート材の後端検知情報に基づく前記折りシート材の後端を検知した時刻から前記非折りシート材の搬送開始タイミングに至る時間情報を算出し、前記時間情報及び前記折りシート材の長さ情報に基づいて前記非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、ここに決定された前記搬送開始タイミングに基づいて前記非折りシート材の搬送速度は固定したままで前記非折りシート材と前記折りシート材とを重ね合わせることを特徴とするものである。
【0022】
請求項4に記載のシート処理装置は、請求項2において、前記制御部が前記第1及び第2のシート検知部に基づいてシート搬送制御をする場合は、前記第1のシート検知部が前記折りシート材の先端を概略検知すると、前記非折りシート材を所定の搬送速度で前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、搬送開始後、前記第2のシート検知部が前記折りシート材の後端を検知すると、前記非折りシート材の搬送速度を変更し、前記第2のシート検知部に基づいてシート搬送制御をする場合は、前記第2のシート検知部が前記折りシート材の先端を概略検知すると、前記非折りシート材を所定の搬送速度で前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、搬送開始後、前記第2のシート検知部が前記折りシート材の後端を検知すると、前記非折りシート材の搬送速度を変更することを特徴とするものである。
【0023】
請求項5に記載のシート処理方法は、折り処理されていない非折りシート材と、折り処理された折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するシート処理装置が、非折りシート材を1枚、又は、2以上を重ね合わせて所定の待機位置で待機させる処理と、前記非折りシート材を前記待機位置から前記重ね合わせ位置に向けて搬送すると共に、前記折りシート材を取り込み、前記非折りシート材の先端部と前記折りシート材の先端部とを重ね合わせる処理とを実行する際に、前記重ね合わせ位置に取り込まれる前記折りシート材の後端を所定の位置で検知し、前記折りシート材の後端検知によって得られた後端検知情報を入力し、かつ、前記折りシート材の搬送方向における長さ情報を入力し、前記折りシート材の後端検知情報に基づく前記折りシート材の後端を検知した時刻から前記非折りシート材の搬送開始タイミングに至る時間情報を算出し、前記時間情報及び前記折りシート材の長さ情報に基づいて前記非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、ここに決定された前記搬送開始タイミングに基づいて前記非折りシート材の搬送速度は固定したままで前記非折りシート材と前記折りシート材とを重ね合わせることを特徴とするものである。
【0024】
請求項6に記載のシート処理方法は、折り処理されていない非折りシート材と、折り処理された折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するシート処理装置が、非折りシート材を1枚、又は、2以上を重ね合わせて所定の待機位置で待機させる処理と、前記非折りシート材を前記待機位置から前記重ね合わせ位置に向けて搬送すると共に、前記折りシート材を取り込み、前記非折りシート材の先端部と前記折りシート材の先端部とを重ね合わせる処理とを実行する際に、前記重ね合わせ位置に取り込まれる前記折りシート材の先端を概略検知すると、前記非折りシート材を所定の搬送速度で前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、搬送開始後、前記折りシート材の後端を検知すると、前記非折りシート材の搬送速度を変更することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に係るシート処理装置によれば、折りシート材の長さ情報に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の搬送開始タイミングを決定する制御部を備え、制御部が、決定された非折りシート材の搬送開始タイミングを第2のシート搬送部に設定するようになされる。
【0026】
この構成によって、折りシート材がどんな搬送タイミング(搬送速度)で取り込まれる場合であっても、搬送途中において、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の先端部と、非折りシート材に続いて最後に取り込まれる折りシート材の先端部とを再現性良く(遜色なく)重ね合わせることができる。
【0027】
これにより、綴じ処理等の後処理作業時に、次に後処理される非折りシート材の束を重ね合わせた状態で第2のシート搬送部に待機させることができ、シート処理装置における生産性を向上させることができる。
【0028】
請求項2に係るシート処理装置によれば、シート検知手段が第1及び第2のシート検知部を有するので、非折りシート材の先端検知情報に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の搬送開始タイミングを決定できる。また、折りシート材の後端検知情報に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の搬送速度を変更できるようになる。
【0029】
請求項3に係るシート処理装置及び請求項5に記載のシート処理方法によれば、折りシート材の後端検知情報に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の搬送開始タイミングを決定できるので、折りシート材がどんな搬送タイミング(搬送速度)で取り込まれる場合であっても、搬送途中において、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の先端部と、非折りシート材に続いて最後に取り込まれる折りシート材の先端部とを再現性良く重ね合わせることができる。
【0030】
請求項4に係るシート処理装置及び請求項6に記載のシート処理方法によれば、折りシート材の先端を概略検知すると、非折りシート材を所定の搬送速度で待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、搬送開始後、第2のシート検知部が折りシート材の後端を検知すると、非折りシート材の搬送速度を変更するので、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の先端部と、非折りシート材に続いて最後に取り込まれる折りシート材の先端部とを再現性良く重ね合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る実施形態としてのシート重ね送出装置100の構成例を示すブロック図である。
【図2】(A)及び(B)は、複数枚重ねモード時の動作例(その1)を示す説明図である。
【図3】(A)及び(B)は、複数枚重ねモード時の動作例(その2)を示す説明図である。
【図4】複数枚重ねモード時の動作例(その3)を示す説明図である。
【図5】(A)及び(B)は、Z折り重ねモード時の動作例(その1)を示す説明図である。
【図6】Z折り重ねモード時の動作例(その2)を示す説明図である。
【図7】(A)〜(C)は、複数枚重ねモード時及びZ折り重ねモード時の第1の実施例としてのシート検知例を示すタイムチャートである。
【図8】その待機位置のシートPiの搬送例を示すグラフ図である。
【図9】第1の実施例としてのシート重ね送出装置100の制御例を示すフローチャートである。
【図10】(A)〜(C)は、複数枚重ねモード時及びZ折り重ねモード時の第2の実施例としてのシート検知例を示すタイムチャートである。
【図11】その待機位置のシートPiの搬送例を示すグラフ図である。
【図12】第2の実施例としてのシート重ね送出装置100の制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態に係るシート処理装置及びシート処理方法について説明をする。図1に示すシート重ね送出装置100はシート処理装置の一例を構成し、Z折り処理されていない1枚、又は、2枚以上を重ね合わせた非Z折りシート材(以下で単にシートPi(i=1〜n)という)と、Z折り処理された1枚の折りシート材(以下でZ折りシートPzという)とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するものである。
【0033】
シート重ね送出装置100は、取り込みローラ11、先端検知センサ12、後端検知センサ13、スイッチバック搬送部20、分岐部30、待機位置搬送部40及び制御部50から構成される。シート材には普通紙、厚紙、コート紙、薄紙、フィルム等が含まれ、紙種及び坪量の異なるシートP1やZ折りシートPz等も含まれる。束状態のシートP1及びZ折りシートPzをシート束(用紙束)ともいう。
【0034】
取り込みローラ11は、当該シート重ね送出装置100の上流側に設けられる。ここで上流側とはシート材を取り込む給紙側であり、例えば、画像形成装置から記録されたシートP1や、Z折り機構からZ折り処理されたZ折りシートPz等が給紙される側である。下流側とはシートPiや、Z折りシートPz等を重ね合わせたシート束を送出する排紙側であり、例えば、シート束がパンチや、ステープル等の後処理がなされる後処理装置の側である。取り込みローラ11は、スイッチバック搬送部20の駆動源が兼用されている。もちろん、スイッチバック搬送部20と別個に駆動源を設けてもよい。
【0035】
先端検知センサ12や、後端検知センサ13等はシート検知手段の一例を構成し、制御部50にシート検知情報を出力する。先端検知センサ12は第1のシート検知部の一例を構成し、スイッチバック搬送部20の所定の位置、例えば、取り込みローラ11の上流側に配置され、少なくとも、シートPiの先端(取り込み)を検知して先端検知信号S12(シート検知情報)を発生する。先端検知信号S12は、例えば、シートPiの先端部を検知すると、ハイ・レベルからロー・レベルに立ち下がる(ON→OFFする)。
【0036】
先端検知センサ12に関して、Z折りシートPzについては、一般に、Z折りシートPzが、Z折り部分を先頭にして搬送されてくるため、正確に先端検知ができないものである。Z折り部分を先頭搬送するのは、Z折り部分と反対側の非Z折り部分を先頭搬送すると、搬送ローラのニップに再現性良くニップされずに、折り部分が開いて搬送ローラ等に巻き付き、ジャムを引き起こす場合が多いためである。
【0037】
後端検知センサ13は第2のシート検知部の一例を構成し、先端検知センサ12の上流側に配置される。例えば、後端検知センサ13は、待機位置に待機されたシートPi(以下で待機シートともいう)の搬送速度を余裕を持って制御するために、先端検知センサ12の配設位置から、Z折りシートPzの最大のシート長さよりも上流側に離れた位置に配設される。
【0038】
後端検知センサ13は、少なくとも、Z折りシートPzの後端を検知して後端検知信号S13(シート検知情報)を発生する。後端検知信号S13は、例えば、Z折りシートPzの後端部を検知すると、ハイ・レベルからロー・レベルに立ち下がる(ON→OFFする)。もちろん、先端検知センサ12や後端検知センサ13の出力段にインバータ回路を接続して、出力論理を反転してもよい。先端検知センサ12や後端検知センサ13には透過型や、反射型の光学センサが使用される。
【0039】
スイッチバック搬送部20は第1のシート搬送部の一例を構成し、取り込みローラ11の下流側に配置される。スイッチバック搬送部20は先端検知センサ12によって検知されたシートPiを取り込んで、当該シートPiを所定の重ね合わせ位置に向けて搬送し、その後、重ね合わせ位置から所定の待機位置に反転搬送したり、当該シートPiを反転搬送することなく、そのまま下流側へスルーパスする機能を有している。
【0040】
この例では、このスルーパス機能を利用して、待機シートPiにZ折りシートPzを重ね合わせ、待機位置に反転搬送することなく、そのまま下流側へ排出するようになされる。Z折りシートPzは、他のシートPiのように待機位置に反転搬送すると、上述した理由からジャムを発生する場合があるため、必ず、他のシートiの最後に重ね合わされる。
【0041】
スイッチバック搬送部20は、スイッチバック搬送路21、正逆転ローラ22及び搬送モータ23を有している。正逆転ローラ22はスイッチバック搬送路21の排紙口付近に設けられる。正逆転ローラ22は駆動ローラ及び従動ローラを有し、シートPiやZ折りシートPz等をスイッチバック搬送路21内に取り込む際、及び、シート送出時には、駆動ローラが時計方向に回転(正転:図中の矢印参照)される。シートPiを待機搬送路内に送り込む際には、反時計方向に回転(逆転)される。
【0042】
搬送モータ23はスイッチバック搬送部20の所定の位置に取り付けられ、正逆転ローラ22に接続され、正逆転ローラ22を所定の方向へ回転駆動する。この例では、搬送モータ23が取り込みローラ11を回転駆動するようになされる。搬送モータ23を兼用することで、モータ設置個数を1つ省略できるようになる。
【0043】
分岐部30はスイッチバック搬送部20と待機位置搬送部40との間に設けられ、シートP1やZ折りシートPz等を取り込む取り込み用の搬送路31と、シートPiを待機させる待機用の搬送路32とを分岐する。分岐部30は例えば、長細い三角柱状の分岐部材33を有して構成されている。分岐部材33の三角柱状の鋭角部位で搬送路31と搬送路32とを分離するように構成されている。
【0044】
もちろん、分岐部材33に図示しないソレノイド素子を取り付けてシートP1やZ折りシートPz等の分岐制御を行ってもよい。例えば、シートP1やZ折りシートPz等の取り込み時には、分岐部材33の鋭角部位を降下するようにしてシートP1やZ折りシートPz等を正逆転ローラ22へガイドする。シートPiの待機時には、分岐部材33の鋭角部位を上昇させてシートPiを待機位置搬送部40へガイドするとよい。
【0045】
なお、シートP1やZ折りシートPz等に係る重ね合わせ位置は、分岐部材33の三角柱状の鋭角部位からスイッチバック搬送部20の正逆転ローラ22のニップ位置に至る範囲内であれば、どこでもよい。この範囲内の位置において、折り処理されていない1枚、又は、2枚以上を重ね合わせたシートPiと、Z折り処理された1枚のZ折りシートPzとを重ね合わせた、シート束が送出できればよい。
【0046】
この例で、分岐部30の右側には待機位置搬送部40が設けられる。待機位置搬送部40は、複数枚重ねモード時、スイッチバック搬送部20によって待機位置に反転搬送されたシートPiを先端検知センサ12によって取り込みが検知された2枚目以降のシートPi+1の取り込み検知時刻に基づいて、1枚目以降のシートPiを待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送する。
【0047】
ここに複数枚重ねモードとは、複数枚のシートPiを設定された枚数だけ重ねて送出する動作をいう。この複数枚重ねモードでは、折り処理されていない1枚目、又は、2枚目以上のシートPiが待機位置搬送部40に取り込まれた状態で、この1枚目、又は、2枚目以上のシートPiに更にn枚目のシートPnを外部から取り込んで、各々の先端部を重ね合わせて、合計複数枚束状のシートPi+Pnを排紙するようになされる。
【0048】
また、待機位置搬送部40は、Z折り重ねモード時、Z折りシートPzの後端検知時刻に基づいて制御部50により決定される搬送開始タイミングに基づいて、待機位置から重ね合わせ位置に向けてシートPiを搬送する。ここにZ折り重ねモードとは、1枚以上のシートと、最後にZ折りシートを重ねて送出する動作をいう。このZ折り重ねモードでは、折り処理されていない1枚目、又は、2枚目以上のシートPiが待機位置搬送部40に取り込まれた状態で、この1枚目、又は、2枚目以上のシートPiに更にZ折りシートPzを外部から取り込んで、各々の先端部を重ね合わせて、合計複数枚束状のシートPi+Z折りシートPzを排紙するようになされる。
【0049】
待機位置搬送部40は、待機搬送路41、2つの正逆転ローラ42,43及び搬送モータ44を有している。正逆転ローラ42は駆動ローラ及び従動ローラを有し、待機搬送路41のシート出入り口付近に配設され、正逆転ローラ43も駆動ローラ及び従動ローラを有し、待機搬送路41の終端位置に配設される。
【0050】
正逆転ローラ42,43は、スイッチバック搬送路21内から待機搬送路41へシートPiを取り込む際に、その駆動ローラが反時計方向に回転(逆転:図中矢印参照)する。シートPiを待機搬送路41からスイッチバック搬送路21へ送出する際には、正逆転ローラ42,43の各々の駆動ローラが時計方向に回転(正転)される。
【0051】
搬送モータ44は待機位置搬送部40の所定の位置に取り付けられ、2つの正逆転ローラ42,43に接続され、正逆転ローラ42,43を所定の方向へ回転駆動する。上述の搬送モータ23,44には、例えば、ブラシレスモータ(誘導電動機)が使用される。
【0052】
制御部50は、順次、取り込みローラ11を介してスイッチバック搬送部20へ取り込まれる1枚、又は、2枚以上のシートPiを重ね合わせ位置で、各々のシートPiやZ折りシートPz等の先端部を重ね合わせるようにスイッチバック搬送部20及び待機位置搬送部40を制御する。制御部50は、例えば、基準クロック信号(以下CLK信号という)に基づいて動作する、A/D変換部51、カウンタ52、ROM(Read Only Memory)53、RAM(Random Access Memory)54、中央演算装置(Central Processing Unit:以下CPU55という)及びモータ制御部56を有して構成される。
【0053】
制御部50には操作&表示部48が接続される。制御部50は、操作&表示部48の操作により、ROM53に記憶されているシステムプログラムDpや、各種処理プログラムを読み出してRAM54に展開し、展開されたシステムプログラムDpに従って、シート重ね送出装置の動作を集中制御する。例えば、CPU55は、展開されたプログラムに従って、スイッチバック搬送部20及び待機位置搬送部40におけるシート重ね送出制御を実行する。
【0054】
操作&表示部48は、タッチパネル及びLCD(Liquid Crystal Display)から構成され、例えば、2つの重ね動作モードから、その1つを選択可能に設定するように操作される。この例では、重ね動作モードに関して、複数枚重ねモード及びZ折り重ねモードが選択できるようになっている。
【0055】
操作&表示部48は、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、当該ボタン操作による操作データD48を制御部50に出力する。操作データD48には、2つの重ね動作モードから、その1つを選択した際の設定情報を含んでいる。シート重ね送出装置100を上流側の図示しない画像形成装置とタンデムに使用する場合は、操作データD48は画像形成装置から供給すればよいので、操作&表示部48を省略してもよい。
【0056】
A/D変換部51はその入力側が第1の先端検知センサ12及び、第2の後端検知センサ13に接続され、その各々の出力側は、カウンタ52及びシステムバス57に接続される。A/D変換部51は先端検知センサ12から先端検知信号S12を入力し、先端検知信号S12をアナログ・ディジタル変換して先端検知データD12をカウンタ52及びCPU55に出力する。また、A/D変換部51は後端検知センサ13から後端検知信号S13を入力し、後端検知信号S13をアナログ・ディジタル変換して後端検知データD13をCPU55に出力する。
【0057】
カウンタ52は計数部の一例を構成し、待機位置で待機するシートPiの枚数を計数する。例えば、カウンタ52はA/D変換部51から出力される先端検知データD12に基づくシートP1やシートP2等の枚数を計数してシート枚数データD52を出力する。シート枚数データD52はカウンタ52からCPU55に出力される。CPU55はカウンタ52から出力されるシート枚数データD52によって、待機時のシートPiの枚数を認識できるようになる。
【0058】
モータ制御部56は搬送モータ23,44に接続される。モータ制御部56はモータ駆動データD56に基づいて搬送モータ23,44を制御する。例えば、モータ制御部56はモータ駆動データD56をデコードしてモータ制御信号S23及びS44を生成する。モータ駆動データD56は、後続のシートPi+1やZ折りシートPz等と待機中のシートPiの先端部を再現性良く重ね合わせるためのデータであって、CPU55からモータ制御部56へ出力される。モータ制御信号S23は、モータ制御部56から搬送モータ23に出力される。
【0059】
モータ制御信号S44は、後続のシートPi+1やZ折りシートPz等と待機中のシートPiの先端部を再現性良く重ね合わせるための信号であって、モータ制御部56から搬送モータ44に出力される。この例では、重ね動作モードの設定に応じて、複数枚重ねモード時には、モータ制御信号S44(i)が出力され、Z折り重ねモード時には、モータ制御信号S44(z)が出力される。
【0060】
CPU55は、複数枚重ねモード時、先端検知センサ12から出力される、シートPi+1の先端検知信号S12に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送開始タイミング(図7の時刻t2)を設定する。また、Z折り重ねモード時には、CPU55が後端検知センサ13からZ折りシートPzの後端検知によって得られた後端検知信号S13を入力し、Z折りシートPzの後端検知信号S13から、待機位置のシートPiの搬送開始タイミング(図7の時刻t4)を設定する。
【0061】
これと共に、CPU55はZ折りシートPzの後端検知信号S13に基づくZ折りシートPzの後端を検知した時刻から待機位置のシートPiの搬送開始タイミングに至る時間情報を算出する。ここに算出された時間情報及び、Z折りシートPzの長さ情報に基づいて待機位置のシートPiの搬送開始タイミングを決定する。ここに決定されたシートPiの搬送開始タイミングに基づいて待機位置搬送部40を制御する。この例では、決定された搬送開始タイミングに基づいてシートPiの搬送速度は固定したままで当該シートPiとZ折りシートPzとを重ね合わせるようになる(第1の実施例)。
【0062】
<複数枚重ねモード時の動作例>
続いて、図2〜図4を参照して、シート重ね送出装置100における複数枚重ねモード時の動作例(その1〜3)について説明する。この例では、複数枚重ねモードを設定して複数枚のシートPiを重ね合わせて送出する場合を挙げる。
【0063】
図2Aに示すシート重ね送出装置100によれば、複数枚重ねモード時、例えば、2枚重ねモード時、取り込みローラ11及び正逆転ローラ22が駆動されて、1枚目のシートP1をスイッチバック搬送部20に引き入れられる。このとき、先端検知センサ12がシートP1の先端を検知する。その後、図2Bに示すシート重ね送出装置100によれば、1枚目のシートP1がスイッチバック搬送部20に到着する。到着時、シートP1の後端部が、分岐部材33の三角柱状の鋭角部位の下流側に位置するようになる。
【0064】
図3Aに示すシート重ね送出装置100によれば、正逆転ローラ22及び正逆転ローラ42,43が駆動され、1枚目のシートP1が反転搬送され、待機位置搬送部40に到達する。待機位置搬送部40に到達したシートP1は待機シートとなる。これと共に、先端検知センサ12が2枚目のシートP2を検知する。
【0065】
その後、図3Bに示すシート重ね送出装置100によれば、取り込みローラ11及び正逆転ローラ22が駆動されて、2枚目のシートP2(後続シート)がスイッチバック搬送部20に引き入れられると共に、2枚目のシートP2を検知した時刻から待ち時間T1後に、正逆転ローラ42,43が駆動されて、1枚目のシートP1(待機シート材)のスイッチバック搬送部20への搬送を開始する。そして、1枚目と2枚目のシートP1,P2の各々の先端部がスイッチバック搬送部20に到着し、シートP1,P2の各々の先端部が重なり合う。
【0066】
図4に示すシート重ね送出装置100によれば、シートP1,P2の各々の先端部が重なり合った状態で、正逆転ローラ22及び正逆転ローラ42,43が駆動され、重なり合い完了時、シートP1及びP2の後端部が、分岐部材33の三角柱状の鋭角部位の下流側に位置するようになる。これにより、2枚重ねモード時、2枚束のシートP1,P2を送出できるようになる。
【0067】
<Z折り重ねモード時の動作例>
続いて、図5及び図6を参照して、シート重ね送出装置100におけるZ折り重ねモード時の動作例(その1,2)について説明する。この例では、Z折り重ねモードを設定して1枚のシートP1にZ折りシートPzを外部から取り込んで、各々の先端部を重ね合わせて、合計2枚の束状のシートP1+Z折りシートPzを送出する場合を挙げる。
【0068】
図5Aに示すシート重ね送出装置100によれば、Z折り重ねモードが設定されており、待機位置にあるシートP1と、外部から取り込んだZ折りシートPzとを重ね合わせる場合、上流側からZ折りシートPzが搬送されてくる。このとき、先端検知センサ12がZ折りシートPzの先端を検知するが不定である。後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知して後端検知信号S13を発生する。
【0069】
その後、図5Bに示すシート重ね送出装置100によれば、取り込みローラ11及び正逆転ローラ22が駆動されて、Z折りシートPz(後続シート)がスイッチバック搬送部20に引き入れられると共に、Z折りシートPzを検知した時刻から所定時間を経過した後に、正逆転ローラ42,43が駆動されて、待機位置のシートP1(待機シート材)のスイッチバック搬送部20への搬送が開始される。そして、シートP1の先端部と、Z折りシートPzの先端部とがスイッチバック搬送部20に到着し、シートP1の先端部と、Z折りシートPzの先端部とが重なり合う。
【0070】
そして、図6に示すシート重ね送出装置100によれば、シートP1及び、Z折りシートPzの各々の先端部が重なり合った状態で、正逆転ローラ22及び正逆転ローラ42,43が駆動され、2枚束のシートP1+Z折りシートPzを送出できるようになる(Z折り重ねモード)。
【実施例1】
【0071】
続いて、図7A〜Cを参照して、第1の実施例としてのシート重ね送出装置100における複数枚重ねモード時及びZ折り重ねモード時のシート検知例について説明する。図7A〜Cに示す動作タイムチャートは、先端検知センサ12による複数枚重ねモード時のシート検知タイミングと、後端検知センサ13によるZ折り重ねモード時のZ折りシート検知タイミングとをまとめたものである。図7Aに示すCLK信号は、図1に示した制御部50を駆動する基準信号である。図7Bに示す先端検知信号S12は、複数枚重ねモード時、図1に示した先端検知センサ12からA/D変換部51に出力される。
【0072】
先端検知信号S12はハイ・レベルからロー・レベルに立ち下がることで、シート有り(シート到達)を示す。先端検知信号S12はロー・レベルからハイ・レベルへ立ち上がることで、シート無し(シート未到達)を示す。この例では、複数枚重ねモード時、時刻t1のCLK信号を基準にして待機時間T1を経過した後の時刻t2に、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送速度Vが設定される。
【0073】
図7Cに示す後端検知信号S13は、Z折り重ねモード時、図1に示した後端検知センサ13からA/D変換部51に出力される。後端検知信号S13はハイ・レベルからロー・レベルに立ち下がることで、本来、シート有り(シート到達)を示すが、Z折りシートPzの場合は、Z折り頭部のエッジが不明確となっている。図中のギザギザマークは、Z折りシートPzのZ折り頭部を検出したことにより、後端検知信号S13の立ち上がりが確定しない状態を示している。この状態を以下で先端概略検知という。
【0074】
後端検知信号S13はロー・レベルからハイ・レベルへ立ち上がることで、シート無し(シート未到達)を示す。この例では、Z折り重ねモード時、時刻t3のCLK信号を基準にして待機時間T2を経過した後の時刻t4に、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送開始タイミングが設定される。
【0075】
これにより、CPU55では、先端検知センサ12から得られる先端検知信号S12に基づいて、順次、取り込みローラ11を介してスイッチバック搬送部20へ取り込まれる複数枚のシートPiやZ折りシートPz等を重ね合わせ位置で、各々のシートP1やZ折りシートPz等の先端部を重ね合わせるようにスイッチバック搬送部20及び待機位置搬送部40を制御できるようになる。
【0076】
ここで、図8を参照して、第1の実施例としての待機位置のシートPiの搬送例について説明する。図8に示すグラフは、複数枚重ねモード時及び、Z折り重ねモード時、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送例をまとめたものである。
【0077】
図8において、縦軸はシートPi(待機シート)の搬送速度Vであり、正逆転ローラ42に依存する速度である。正逆転ローラ42は搬送モータ44の回転速度に依存している。横軸は、シートPiの搬送前後の時刻tであり、正逆転ローラ42をON(起動)する前後の時間である。
【0078】
破線は、複数枚重ねモード時の待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPi(待機シート)の搬送速度の設定例を示している。この例では、時刻t1で図1に示した先端検知センサ12がシートP2(後続シート)の先端を検知すると、同図に示したCPU55が、当該時刻t1から待機時間T1を経過した後の時刻t2で、正逆転ローラ42をON(起動)し、一定の傾きθ1で搬送速度Vを増加して、待機位置から重ね合わせ位置に向けてシートP1を搬送する場合を示している。この場合の加速度はdV/dtである。この例では、シートP1とシートP2の各々の先端部がスイッチバック搬送部20に到着し、時刻t5で、シートP1とシートP2との各々の先端部が重なり合う(図3B参照)。正逆転ローラ43も正逆転ローラ42と同様に制御される。
【0079】
実線は、Z折り重ねモード時の待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPi(待機シート)の搬送速度Vの設定例を示している。この例では、時刻t3で図1に示した後端検知センサ13がZ折りシートPz(後続シート)の後端を検知すると、同図に示したCPU55が、当該時刻t3から待機時間T2を経過した後の時刻t4で、正逆転ローラ42をON(起動)し、一定の傾きθ2(θ2>θ1)で搬送速度Vを増加し、待機位置から重ね合わせ位置に向けてシートP1を搬送し、その後、傾きθ2で増加する搬送速度Vを傾きθ1で増加する搬送速度Vに変更する場合を示している。正逆転ローラ43も正逆転ローラ42と同様に制御される。
【0080】
この場合、シートP1とZ折りシートPzの各々の先端部がスイッチバック搬送部20に到着し、例えば、時刻t5で、シートP1とZ折りシートPzとの各々の先端部が重なり合う(図5B参照)。これらにより、複数枚重ねモード時及び、Z折り重ねモード時、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送制御をCPU55によって実行できるようになる。
【0081】
続いて、図9を参照して、第1のシート処理方法に関して、第1の実施例としてのシート重ね送出装置100の制御例について説明する。この実施例では、複数枚重ねモードや、Z折り重ねモード等の重ね動作モードが準備され、重ね動作モードの設定及び、非Z折りのシートPiの設定枚数を受け付け、複数枚重ねモードが設定された場合は、その設定枚数のZ折り処理されていないシートPiを重ね合わせて送出する。
【0082】
Z折り重ねモードが設定された場合は、その設定枚数のZ折り処理されていないシートPiと、Z折り処理されたZ折りシートPzとを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出する場合を例に挙げる。この例では、シート重ね送出装置100のスルーパス機能を利用して、待機位置の1枚以上のシートPiに、Z折りシートPzを最後に重ね合わせ、待機位置に反転搬送することなく、そのまま下流側へ送出する場合を前提とする。
【0083】
これらを制御条件にして、図9に示すステップST1で、CPU55は重ね動作モードの設定及び設定枚数を入力する。このとき、ユーザは予め準備された複数枚重ねモード又はZ折り重ねモードを選択して重ね動作モードを設定する。例えば、操作&表示部48を操作して複数枚重ねモード又はZ折り重ねモードをCPU55に指示すると共に、重ね合わせるシートPiの設定枚数をCPU55に指示する。その後、ステップST2でCPU55は重ね動作モードの設定に対応して制御を分岐する。複数枚重ねモードが設定されている場合は、ステップST3に移行する。
【0084】
ステップST3でCPU55は、当該i枚数目の非Z折りのシートPiを取り込み、当該シートPiをスイッチバック後、所定の待機位置へ待機させる処理を実行する。このとき、先端検知センサ12はスイッチバック搬送部20へ取り込まれるシートPiの先端部を検知して先端検知信号S12を発生する。スイッチバック搬送部20では、搬送モータ23が駆動され、先端検知センサ12によって検知された1枚目のシートP1を取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送し、その後、重ね合わせ位置から所定の待機位置搬送部40に反転搬送する。これにより、1枚目のシートP1が待機位置搬送部40で待機するようになる。
【0085】
次に、ステップST4でCPU55は、後続シートであるシートPi+1を取り込むようにスイッチバック搬送部20を制御して、そのシートPi+1(後続シート)の先端検知に基づく先端検知信号S12を入力する。CPU55は、図8Bに示した先端検知信号S12の立ち下がりの時刻t1を検出し、図示しないタイマーを起動して、先端検知センサ12のONに基づいて待機時間T1をカウントする。スイッチバック搬送部20では搬送モータ23が駆動され、先端検知センサ12によって検知された、シートPi+1を取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送する。
【0086】
ステップST5でCPU55は、タイマーがカウントアップして待機時間T1を経過した時刻t2で、待機位置のシートPiをスイッチバック搬送部20へ搬送開始するように正逆転ローラ42を起動する。このとき、図8Bに示した待機時間T1を経過した時刻t2で、シートPiの搬送をスタートするべく、モータ制御信号S44(i)がモータ制御部56から搬送モータ44へ出力される。待機位置搬送部40では、搬送モータ44の回転に基づいてシートPiを待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送するようになる。
【0087】
その後、ステップST6でCPU55は、搬送モータ23及び搬送モータ44の回転速度を一致させるように速度制御して、当該シートPi(待機シート)と次のシートPi+1(後続シート)とを重ね合わせ位置で重ね合わせる。このシート重ね合わせ制御によって、計(i+1)枚のシートP1,P2・・・Pi,Pi+1を重ね合わせたシート束を送出できるようになる。これにより、例えば、i=1の場合、重ね合わせ位置でシートP1の先端部と、シートP2の先端部とが重ね合わされ、計2枚のシートP1,P2を重ね合わせたシート束を送出できるようになる(図4参照)。
【0088】
その後、ステップST7でCPU55は、シートPiが設定枚数に到達したか否かを判別する。その際の判断基準は、先に指示された設定枚数とカウンタの計数値とを比較して一致検出を行う。設定枚数とカウンタの計数値とが一致した場合は、シートPiが設定枚数に到達した判断される。設定枚数がカウンタの計数値よりも多い場合は、シートPiが設定枚数に到達していないと判断される。
【0089】
シートPiが設定枚数に到達した場合は、複数枚重ねモード時のシート重ね合わせ制御を終了する。シートPiが設定枚数に到達していない場合は、ステップST3に戻ってCPU55は上述のシート重ね合わせ制御を継続するようになる。
【0090】
上述のステップST2でZ折り重ねモードが設定されている場合は、ステップST8でCPU55は非Z折りのシートPiの重ね合わせ処理を実行する。この重ね合わせ処理の内容は、ステップST3〜ST6の内容と同じであるので、それを参照されたい。
【0091】
そして、ステップST9でCPU55は待機位置のシートPiが設定枚数に到達したか否かを判別して制御を分岐する。その際のシートPiの設定枚数の到達判断基準はステップST7を参照されたい。待機位置のシートPiが設定枚数に到達していない場合は、ステップST8に戻ってCPU55は非Z折りのシートPiの重ね合わせ処理を継続するようになる。
【0092】
待機位置のシートPiが設定枚数に到達した場合は、シートPiの先端部とZ折りシートPzの先端部とを重ね合わせる処理を実行するために、ステップST10でZ折りシートPzの搬送方向における長さ情報を入力する。長さ情報はリアルタイムに測定してもよいが、制御部50で事前に格納されている場合である。例えば、A3版(横)のシートの長手方向をZ折り処理すると、その長さはA3版のシート長の半分でA4(縦)版の幅と同等の長さとなる。
【0093】
ステップST11でCPU55は、Z折りシートPz(後続シート)を取り込むようにスイッチバック搬送部20を制御し、当該Z折りシートPzの後端検知に基づく後端検知信号S13を入力する。このとき、スイッチバック搬送部20では搬送モータ23が駆動され、後端検知センサ13によって検知された、Z折りシートPzを取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送する。また、後端検知センサ13はスイッチバック搬送部20へ取り込まれるZ折りシートPzの後端部を検知して後端検知信号S13を発生する。
【0094】
CPU55は、図7Cに示した後端検知信号S13の立ち上がりの時刻t3を検出し、図示しないタイマーを起動して、後端検知センサ13のONに基づいて待機時間T2(時間情報)をカウントする。このときのカウントアップ値は、Z折りシートPzの後端を検知した時刻t3を含む後端検知信号S13から、Z折りシートPzの長さ情報と、Z折りシートPzの搬送速度情報とに基づいてZ折りシートPzの先端が検知された時刻を逆算した値である。
【0095】
その後、ステップST12でCPU55はZ折りシートPzの搬送方向の長さ情報と待機時間T2(時間情報)とに基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送開始タイミングを決定する。搬送開始タイミングは、Z折りシートPzの搬送速度情報を長さ情報で割り算することで、待機時間T2(搬送移動時間)が得られ、この待機時間T2に基づいて決定される。ここに決定されたシートPiの搬送開始タイミングに基づいて待機位置搬送部40を制御するようになる。
【0096】
この例では、カウンタがカウントアップして、待機時間T2を経過した後に、正逆転ローラ42を起動して、搬送開始タイミングでシートPiを待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始する。なお、シートPiの搬送開始タイミングは、Z折りシートPzの後端検知によって得られた待機時間T2を経過した後の時刻t4となる(図8参照)。
【0097】
そして、ステップST13でCPU55は搬送モータ23及び搬送モータ44の回転速度を一致させるように速度制御して、当該シートPi(待機シート)とZ折りシートPz(後続シート)とを重ね合わせ位置で重ね合わせる。このシート重ね合わせ制御によって、計(i+1)枚のシートP1,P2・・・Pi,Z折りシートPzを重ね合わせたシート束を送出できるようになる。これにより、例えば、i=1の場合、重ね合わせ位置でシートP1の先端部と、Z折りシートPzの先端部とが重ね合わされ、計2枚のシートP1,Z折りシートPzを重ね合わせたシート束を送出できるようになる(図6参照)。
【0098】
このように、第1の実施例に係るシート重ね送出装置100によれば、Z折り処理されていない1枚、又は、2枚以上を重ね合わせたシートPiと、Z折り処理された1枚のZ折りシートPzとを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出する場合に、待機位置搬送部40がスイッチバック搬送部20によって待機位置に反転搬送して留置したシートPiを、CPU55によって決定された搬送速度Vに基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送するようになる(待機位置のシートPiの搬送制御)。
【0099】
この搬送制御によって、Z折りシートPzがどんな搬送タイミング(搬送速度)で取り込まれる場合であっても、搬送途中において、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの先端部と、シートPiに続いて最後に取り込まれるZ折りシートPzの先端部とを再現性良く(遜色なく)重ね合わせることができる。
【0100】
これにより、綴じ処理等の後処理作業時に、次に後処理されるシートPi及びZ折りシートPzを重ね合わせたシート束に関して、Z折りシートPzを重ね合わせる前のシートPiのみを重ね合わせた状態で待機位置搬送部40に待機させることができる。
【0101】
従って、次に後処理される順番が到来したとき、当該シート重ね送出装置100のスルーパス機能を利用して、シートPi及びZ折りシートPzを重ね合わせたシート束を迅速に綴じ処理等の後処理系へ搬送できるので、シート重ね送出装置100における生産性を向上させることができる。
【0102】
例えば、A4版のシートP1,P2の束の最後に、A3版をZ折りしたZ折りシートPzを重ね合わせてステープル処理や、パンチ処理等を行う後処理作業時において、次に後処理されるA4版のシートP1,P2を重ね合わせた状態のシート材束を待機位置搬送部40に待機させることができる。
【実施例2】
【0103】
続いて、図10A〜Cを参照して、第2の実施例としてのシート重ね送出装置100における複数枚重ねモード時及びZ折り重ねモード時のシート検知例について説明する。
【0104】
この実施例で、CPU55は先端検知センサ12がZ折りシートPzの先端を概略検知すると、待機位置のシートPiを所定の搬送速度で待機位置から重ね合わせ位置に向けて見切り搬送を開始し、当該搬送開始後、後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知すると、シートPiの搬送速度を変更(調整)するようにした。
【0105】
図10A〜Cに示す動作タイムチャートは、先端検知センサ12による複数枚重ねモード時のシート検知タイミングと、後端検知センサ13によるZ折り重ねモード時のZ折りシート検知タイミングとをまとめたものである。
【0106】
図10Aに示すCLK信号は、図1に示した制御部50を駆動する基準信号である。図10Bに示す先端検知信号S12’は、複数枚重ねモード時、図1に示した先端検知センサ12からA/D変換部51に出力される。先端検知センサ12からA/D変換部51へ出力される先端検知信号S12’については、第1の実施例と同様な内容となるので、その説明を省略する。
【0107】
図10Cに示す後端検知信号S13は、Z折り重ねモード時、Z折りシートPzの後端が検知されると、ロー・レベルからハイ・レベルへ立ち上がる。後端検知信号S13は、図1に示した後端検知センサ13からA/D変換部51に出力される。
【0108】
この例では、Z折りシートPzの先端が概略検知されると、所定時間の経過後に待機位置のシートPiを見切り搬送を開始して、シート重ね合わせ制御を実行するが、Z折りシートPzの後端を検知した時点で、重ね合わせ位置に向かうシートPiの搬送速度を変更(調整)する。このシートPiの見切り搬送を開始するに当たり、先端概略検知の時刻t1’で第1の実施例で説明した待機時間T1と、ほぼ等しい待機時間T1’が設定される。
【0109】
図10Cに示すT2’は、見切り搬送開始可能期間である。見切り搬送開始可能期間T2’は待機時間T1’に連続して設定され、後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知する時刻t4’まで継続する。この例では、時刻t1’のCLK信号を基準にして待機時間T1’を経過した後の時刻t3’に、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送速度Vが設定され、待機位置のシートPiの見切り搬送が開始される。搬送開始後、後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知した時刻t4’に、CPU55がシートPiの搬送速度を変更(調整)するようになる。
【0110】
ここで、図11を参照して、第2の実施例としての待機位置のシートPiの搬送例について説明する。図11に示すグラフは、複数枚重ねモード時及び、Z折り重ねモード時、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送例をまとめたものである。
【0111】
図11において、縦軸はシートPi(待機シート)の搬送速度Vであり、正逆転ローラ42に依存する速度である。正逆転ローラ42は搬送モータ44の回転速度に依存している。横軸は、シートPiの搬送前後の時刻tであり、正逆転ローラ42をON(起動)する前後の時間である。
【0112】
破線は、複数枚重ねモード時の待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPi(待機シート)の搬送速度の設定例を示している。この例では、時刻t1’で図1に示した先端検知センサ12がシートP2(後続シート)の先端を検知すると、同図に示したCPU55が、当該時刻t1’から待機時間T1’を経過した後の時刻t2’で、正逆転ローラ42をON(起動)し、一定の傾きθ1’で搬送速度Vを増加し、待機位置から重ね合わせ位置に向けてシートP1を搬送する場合を示している。
【0113】
この場合、シートP1とシートP2の各々の先端部がスイッチバック搬送部20に到着し、例えば、時刻t5’で、シートP1とシートP2との各々の先端部が重なり合う(図3B参照)。正逆転ローラ43も正逆転ローラ42と同様に制御される。
【0114】
実線は、Z折り重ねモード時の待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPi(待機シート)の搬送速度Vの設定例を示している。この例では、時刻t1’と時刻t2’との間で、Z折りシートPz(後続シート)の先端が概略検知されている。また、見切り搬送開始可能期間T2’内、この例では、時刻t2’から待機時間T1’を経過した後の時刻t3’で、正逆転ローラ42をON(起動)し、一定の傾きθ2’(θ2’>θ1’)で搬送速度Vを増加し、待機位置から重ね合わせ位置に向けてシートP1を見切り搬送を開始する場合を示している。
【0115】
そして、時刻t4’で図1に示した後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知すると、同図に示したCPU55が、傾きθ2’で増加する搬送速度Vを傾きθ1’で増加する搬送速度Vに変更する場合を示している。上述の時刻t2’は、見切り搬送開始可能期間T2’の始期を示し、時刻t4’は、その終期を示している。正逆転ローラ43も正逆転ローラ42と同様に制御される。
【0116】
この場合、シートP1とZ折りシートPzの各々の先端部がスイッチバック搬送部20に到着し、例えば、時刻t5’で、シートP1とZ折りシートPzとの各々の先端部が重なり合う(図5B参照)。これらにより、複数枚重ねモード時及び、Z折り重ねモード時、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送制御をCPU55によって実行できるようになる。
【0117】
続いて、図12を参照して、第1のシート処理方法に関して、第2の実施例としてのシート重ね送出装置100の制御例について説明する。この実施例でも、第1の実施例と同様にして、複数枚重ねモードや、Z折り重ねモード等の重ね動作モードが準備され、重ね動作モードの設定及び、非Z折りのシートPiの設定枚数を受け付け、複数枚重ねモードが設定された場合は、その設定枚数のZ折り処理されていないシートPiを重ね合わせて送出する。
【0118】
この例で、CPU55は先端検知センサ12がZ折りシートPzの先端を概略検知すると、待機位置のシートPiを所定の搬送速度で待機位置から重ね合わせ位置に向けて見切り搬送を開始し、搬送開始後、後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知すると、シートPiの搬送速度を変更(調整)するようにした。
【0119】
これらを制御条件にして、図12に示すステップST21で、CPU55は重ね動作モードの設定及び設定枚数を入力する。その後、ステップST22でCPU55は重ね動作モードの設定に対応して制御を分岐する。複数枚重ねモードが設定されている場合は、ステップST23に移行するが、ステップST21〜ステップST27の制御内容については、第1の実施例のステップST1〜ステップST7と同じ内容となるので、その説明を省略する。
【0120】
この例で、ステップST22でZ折り重ねモードが設定されている場合は、ステップST28でCPU55は非Z折りシートの重ね合わせ処理を実行する。この重ね合わせ処理の内容については、ステップST3〜ST6の内容と同じであるのでそれらを参照されたい。
【0121】
ステップST29でCPU55は待機位置のシートPiが設定枚数に到達したか否かを判別し、待機位置のシートPiが設定枚数に到達した場合は、シートPiの先端部とZ折りシートPzの先端部とを重ね合わせる処理を実行するために、ステップST30でZ折りシートPzの搬送方向における長さ情報を入力する。長さ情報については第1の実施例で説明した通りである。
【0122】
ステップST31でCPU55は、Z折りシートPz(後続シート)を取り込むようにスイッチバック搬送部20を制御し、当該Z折りシートPzの先端概略検知に基づく先端検知信号S13’(不定)を入力する。このとき、スイッチバック搬送部20では搬送モータ23が駆動され、外部から取り込まれるZ折りシートPzが所定の重ね合わせ位置に向けて搬送される。また、後端検知センサ13はスイッチバック搬送部20へ取り込まれるZ折りシートPzの先端を、図11に示した時刻t1’と時刻t2’との間で、概略検知して先端検知信号S13’(不定)を発生する。
【0123】
CPU55は、図10Cに示した見切り搬送開始可能期間T2’の始期に、図示しないタイマーを起動して、待機時間T1’(時間情報)をカウントする。このときのカウントアップ値は、待機位置のシートPiの見切り搬送を開始するタイミングを決定する時刻t3’となる。
【0124】
その後、ステップST32でCPU55は、図10Cに示した見切り搬送開始可能期間T2’内であって、待機時間T1’が経過した後に、待機位置のシートPiの搬送速度Vを設定し、待機位置のシートPiの見切り搬送を開始する。待機時間T1’の経過有無は、カウンタがカウントアップしたか否かで判別される。この例では、カウンタがカウントアップした時点の時刻t3’で、正逆転ローラ42をON(起動)し、一定の傾きθ2’(θ2’>θ1’)で搬送速度Vを増加し、待機位置から重ね合わせ位置に向けてシートP1の見切り搬送が行われる。
【0125】
そして、搬送開始後、ステップST33でCPU55は、見切り搬送開始(スタート)から見切り搬送開始可能期間T2’の経過後、Z折りシートPzの搬送方向の長さ情報に基づいて搬送速度Vに変更(調整)する。このとき、CPU55は、図11に示した時刻t4’で、図1に示した後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知すると、Z折りシートPzの長さ情報に基づいて傾きθ2’で増加する搬送速度Vを傾きθ1’で増加する搬送速度Vに変更(調整)するようになる。ここに変更されたシートPiの搬送速度Vに基づいて待機位置搬送部40を制御するようになる。
【0126】
そして、ステップST34でCPU55は搬送モータ23及び搬送モータ44の回転速度を一致させるように速度制御して、当該シートPi(待機シート)とZ折りシートPz(後続シート)とを重ね合わせ位置で重ね合わせる。このシート重ね合わせ制御によって、計(i+1)枚のシートP1,P2・・・Pi,Z折りシートPzを重ね合わせたシート束を送出できるようになる。これにより、例えば、i=1の場合、重ね合わせ位置でシートP1の先端部と、Z折りシートPzの先端部とが重ね合わされ、計2枚のシートP1,Z折りシートPzを重ね合わせたシート束を送出できるようになる(図6参照)。
【0127】
この場合、シートP1とZ折りシートPzの各々の先端部がスイッチバック搬送部20に到着し、例えば、時刻t5’で、シートP1とZ折りシートPzとの各々の先端部が重なり合う(図5B参照)。これらにより、第1の実施例と同様にして、複数枚重ねモード時及び、Z折り重ねモード時、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送制御をCPU55によって実行できるようになる。
【0128】
このように、第2の実施例に係るシート重ね送出装置100によれば、Z折り重ねモード時、先端検知センサ12がZ折りシートPzの先端を概略検知すると、CPU55が待機位置のシートPiを所定の搬送速度で待機位置から重ね合わせ位置に向けて見切り搬送を開始し、搬送開始後、後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知すると、CPU55がシートPiの搬送速度を変更(調整)するようになる。
【0129】
この搬送制御によって、Z折りシートPzがどんな搬送タイミング(搬送速度)で取り込まれる場合であっても、搬送途中において、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの先端部と、シートPiに続いて最後に取り込まれるZ折りシートPzの先端部とを再現性良く重ね合わせることができる。
【0130】
この例では、先端検知センサ12及び後端検知センサ13に基づいてシート搬送制御をする場合について説明したが、これに限られることはない。例えば、後端検知センサ13のみを使用し、その先端概略検知及び後端検知機能を利用してシート搬送制御を行ってもよい。この場合は、後端検知センサ13がZ折りシートPzの先端を概略検知すると、シートPiを所定の搬送速度で待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、搬送開始後、後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知した時点で、当該シートPiの搬送速度を変更すればよい。これにより、第1の実施例の効果に加えて、下流側の先端検知センサ12を省略できるようになる。
【0131】
上述した実施例では、Z折り重ねモード時、Z折りシートPzの先端概略検知を行ってから待機時間T1’を経過した後に、待機位置のシートPiを見切り搬送を開始する場合について説明したが、これに限られることはない。例えば、Z折りシートPzの先端概略検知を行うと同時に、待機位置のシートPiを見切り搬送を開始するようにしてもよい。CPU55の制御負担が軽減できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
この発明は、カラー用、白黒用のプリンタや、複写機、これら複合機と、フィニッシャ等と組み合わせて構築される画像形成システムにおいて、画像形成後の複数のシートの先端部と、所定の形状に折り処理された折りシートとを重ね合わせて送出するシート重ね送出装置等に適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0133】
11 取り込みローラ
12 先端及び、後端検知センサ(シート検知手段)
13 後端検知センサ(シート検知手段)
20 スイッチバック搬送部(第1のシート搬送部)
21 スイッチバック搬送路(第1のシート搬送部)
22 正逆転ローラ(第1のシート搬送部)
23 搬送モータ(第1のシート搬送部)
30 分岐路
31,32 搬送路
33 分岐部材
40 待機位置搬送部(第2のシート搬送部)
41 待機搬送路(第2のシート搬送部)
42,43 正逆転ローラ(第2のシート搬送部)
44 搬送モータ(第2のシート搬送部)
50 制御部
51 A/D変換部
52 カウンタ(計数部)
53 ROM(制御部)
54 RAM(制御部)
55 CPU(制御部)
56 モータ制御部(制御部)
57 システムバス(制御部)
100 シート重ね送出装置(シート処理装置)
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラー用、白黒用のプリンタや、複写機、これら複合機と、フィニッシャ等と組み合わせて構築される画像形成システムにおいて、画像形成後の複数のシートの先端部と、所定の形状に折り処理された折りシートとを重ね合わせて送出するシート重ね送出装置等に適用して好適なシート処理装置及びシート処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像情報に基づいて画像を形成する画像形成装置と、画像形成後の記録紙に後処理を施す後処理装置とを組み合わせた画像形成システムを構築する場合が多くなってきた。後処理装置には、複数のシート材を重ね合わせて送出するシート処理装置や、複数のシート材が重ね合わされた用紙束にパンチ孔を開口するパンチ処理装置、複数のシート材が重ね合わされた用紙束にステープルを施すステープル処理装置等が利用されている。これらの装置機能を1台の後処理装置内に実装された機種も製造されている。
【0003】
シート処理装置の中には、画像形成後の複数のシートの先端部と、所定の形状、例えば、Z状や、W(M)状に折り処理されたシート(以下で折りシートという)とを重ね合わせて送出するものもある。シート処理装置には、折り処理機構を実装するタイプや、折り処理手段を外装するタイプが含まれる。
【0004】
この種のシート処理装置に関して、特許文献1に開示されたシート処理装置によれば、積載手段、整合手段、制御手段、検出手段、計測手段を備えて構成される。積載手段は搬入されてきたシート材を積載する。整合手段は積載手段に積載されたシート材の端部に当接して当該シート材の搬送方向を整合する。制御手段が検出手段及び計測手段から得られる情報及び、折り処理された折りシート材の搬送方向の長さ情報に応じて整合手段の整合位置を変更する。
【0005】
検出手段は折りシート材を搬送する際に、その先端と後端の通過を検出すると、計測手段が、検出手段の検出結果に基づいて折りシート材の長さを計測する。これを前提にして、制御手段が計測手段から得られた、折りシート材の長さ情報に基づいて整合手段の整合位置を変更するようにした。このようにシート処理装置を構成すると、折りシート材の端部を確実に整合できるので、揃え精度を向上できるというものである。
【0006】
また、特許文献2に開示された後処理システムによれば、第1、第2の搬送経路、プレスタック手段、ステープル手段、制御手段とを備えて構成されている。第1の搬送経路は所定の位置で、シート材をプレスタック手段に搬送する。プレスタック手段は、第1の搬送経路上に配置され、第1の搬送経路を搬送されるシート材をスタックする。ステープル手段はプレスタック手段の下流側に配置され、第1の搬送経路を搬送されてきたシート材に対して、所定形式のステープル処理を施す。第2の搬送経路は、プレスタック手段の下流において、第1の搬送経路と合流する位置に配設され、折り手段により所定形式の折り処理された折りシート材をプレスタック手段へ搬送する。
【0007】
制御手段は、折りシート材に後続するシート材を、予め第1の搬送経路で搬送してプレスタック手段にスタックする。これを前提にして、シート搬送制御時、制御手段が折りシート材及び後続のシート材を共に搬送可能なタイミングで、プレスタック手段によるスタックを解除し、後続のシート材及び折りシート材をステープル手段へ搬送するようにした。このように後処理システムを構成すると、シート折り時間と、折りシート材をステープル手段へ搬送する時間との間において、次に搬送されるシート材をプレスタック手段で待機させることによって生じる生産性の低下を防止できるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−215397号公報(第10頁 図5)
【特許文献2】特開2009−292540号公報(第6頁 図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来例に係るシート処理装置によれば、次のような問題がある。
【0010】
i.特許文献1のシート処理装置によれば、折りシート材の長さ情報に基づいて整合手段の整合位置を変更する構成が採られている。しかし、搬送途中の折りシート材に、所定の位置に待機させて置いた1枚、又は、2枚以上のシート材の束を重ね合わせて送出する構成を採ろうとした場合に、折りシート材の長さ情報に基づいて整合位置を変更する構成では、待機位置の1枚、又は、2枚以上のシートの搬送開始タイミングや、その搬送速度等が制御対象に含まれないので、再現性良く、折りシート材の先端部とシート材の先端部とを再現性良く重な合せできないという問題がある。
【0011】
ii.特許文献2の後処理システムによれば、シート搬送時、折りシート材及び後続のシート材を共に搬送可能なタイミングで、制御手段がプレスタック手段によるスタックを解除し、後続のシート材及び折りシート材をステープル手段へ搬送する構成が採られている。
【0012】
このため、折りシート材及び後続のシート材がプレスタック手段で、一旦停止する状態が存在する。従って、シート取り込み時から、シート重ね合わせ完了送出時に至るまでの処理時間が、搬送途中の折りシート材に、後続のシート材を重ね合わせて送出する場合に比べて長くなる。これにより、当該後処理システムにおける生産性が低下するという問題がある。
【0013】
iii.一般に折りシート材を搬送する場合、通常、折り部分を先頭にして折りシート材が搬送される。この理由は、折りシート材が搬送ローラを通過する際に、折り部分が後端に有る場合、折られていない部位のシート材が円滑に搬送ローラを通過する。しかし、折られている部位が搬送ローラを通過する際に、折り部分が開いて、めくれ上がる現象が発生する(おそれがある)ためである。上述の理由からZ折りシート材を反転搬送機構を有したプリスタック手段等に待機させることができない。
【0014】
iv.また、折りシート材の折り部分は、折られていないシート材に比べて膨らみを持つため、指向性を有したシート検知装置では、先端検知時、シート検知信号にばらつきを生じてしまう。従って、シート材(以下で非折りシート材ともいう)の先端部と折りシート材の先端部とを再現性良く重ね合せることができないという問題がある。
【0015】
そこで、この発明は上述した課題を解決したものであって、待機位置のシート材の重ね合わせ方法を工夫して、非折りシート材の先端部と折りシート材の先端部とを再現性良く重合できるようにしたシート処理装置及びシート処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のシート処理装置は、折り処理されていない1枚、又は、2枚以上を重ね合わせた非折りシート材と、折り処理された1枚の折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するシート処理装置であって、前記非折りシート材及び前記折りシート材の取り込みを検知するシート検知手段と、前記シート検知手段によって検知された、少なくとも、前記非折りシート材を取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送し、その後、前記重ね合わせ位置から所定の待機位置に反転搬送する第1のシート搬送部と、前記第1のシート搬送部によって前記待機位置に反転搬送された前記非折りシート材を、前記待機位置から前記重ね合わせ位置に向けて搬送する第2のシート搬送部と、前記折りシート材の搬送方向における長さ情報を入力し、当該折りシート材の長さ情報に基づいて前記重ね合わせ位置に向けて搬送される前記非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、決定された前記非折りシート材の搬送開始タイミングを前記第2のシート搬送部に設定する制御部とを備えることを特徴とするものである。
【0017】
請求項1に係るシート処理装置によれば、折り処理されていない1枚、又は、2枚以上を重ね合わせた非折りシート材と、折り処理された1枚の折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出する場合に、シート検知手段が非折りシート材及び折りシート材の取り込みを検知すると、第1のシート搬送部がシート検知手段によって検知された、少なくとも、非折りシート材を取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送し、その後、重ね合わせ位置から所定の待機位置に反転搬送する。
【0018】
制御部が折りシート材の搬送方向における長さ情報を入力し、当該折りシート材の長さ情報に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、決定された非折りシート材の搬送開始タイミングを第2のシート搬送部に設定する。これを前提にして、第2のシート搬送部が第1のシート搬送部によって待機位置に反転搬送された非折りシート材を、決定された搬送速度に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送するようになる(待機位置のシート材の搬送制御)。
【0019】
この搬送制御によって、折りシート材がどんな搬送タイミング(搬送速度)で取り込まれる場合であっても、搬送途中において、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の先端部と、非折りシート材に続いて最後に取り込まれる折りシート材の先端部とを再現性良く(遜色なく)重ね合わせることができる。
【0020】
請求項2に記載のシート処理装置は、請求項1において、前記制御部にシート検知情報を出力するシート検知手段は、前記第1のシート搬送部の所定の位置に設けられ、少なくとも、前記非折りシート材の先端を検知する第1のシート検知部と、前記第1のシート検知部から所定の長さだけ離れたシート搬送経路に配設され、少なくとも、前記折りシート材の後端を検知する第2のシート検知部とを有することを特徴とするものである。
【0021】
請求項3に記載のシート処理装置は、請求項2において、前記制御部が前記第2のシート検知部から前記折りシート材の後端検知によって得られた後端検知情報を入力し、前記折りシート材の後端検知情報に基づく前記折りシート材の後端を検知した時刻から前記非折りシート材の搬送開始タイミングに至る時間情報を算出し、前記時間情報及び前記折りシート材の長さ情報に基づいて前記非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、ここに決定された前記搬送開始タイミングに基づいて前記非折りシート材の搬送速度は固定したままで前記非折りシート材と前記折りシート材とを重ね合わせることを特徴とするものである。
【0022】
請求項4に記載のシート処理装置は、請求項2において、前記制御部が前記第1及び第2のシート検知部に基づいてシート搬送制御をする場合は、前記第1のシート検知部が前記折りシート材の先端を概略検知すると、前記非折りシート材を所定の搬送速度で前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、搬送開始後、前記第2のシート検知部が前記折りシート材の後端を検知すると、前記非折りシート材の搬送速度を変更し、前記第2のシート検知部に基づいてシート搬送制御をする場合は、前記第2のシート検知部が前記折りシート材の先端を概略検知すると、前記非折りシート材を所定の搬送速度で前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、搬送開始後、前記第2のシート検知部が前記折りシート材の後端を検知すると、前記非折りシート材の搬送速度を変更することを特徴とするものである。
【0023】
請求項5に記載のシート処理方法は、折り処理されていない非折りシート材と、折り処理された折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するシート処理装置が、非折りシート材を1枚、又は、2以上を重ね合わせて所定の待機位置で待機させる処理と、前記非折りシート材を前記待機位置から前記重ね合わせ位置に向けて搬送すると共に、前記折りシート材を取り込み、前記非折りシート材の先端部と前記折りシート材の先端部とを重ね合わせる処理とを実行する際に、前記重ね合わせ位置に取り込まれる前記折りシート材の後端を所定の位置で検知し、前記折りシート材の後端検知によって得られた後端検知情報を入力し、かつ、前記折りシート材の搬送方向における長さ情報を入力し、前記折りシート材の後端検知情報に基づく前記折りシート材の後端を検知した時刻から前記非折りシート材の搬送開始タイミングに至る時間情報を算出し、前記時間情報及び前記折りシート材の長さ情報に基づいて前記非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、ここに決定された前記搬送開始タイミングに基づいて前記非折りシート材の搬送速度は固定したままで前記非折りシート材と前記折りシート材とを重ね合わせることを特徴とするものである。
【0024】
請求項6に記載のシート処理方法は、折り処理されていない非折りシート材と、折り処理された折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するシート処理装置が、非折りシート材を1枚、又は、2以上を重ね合わせて所定の待機位置で待機させる処理と、前記非折りシート材を前記待機位置から前記重ね合わせ位置に向けて搬送すると共に、前記折りシート材を取り込み、前記非折りシート材の先端部と前記折りシート材の先端部とを重ね合わせる処理とを実行する際に、前記重ね合わせ位置に取り込まれる前記折りシート材の先端を概略検知すると、前記非折りシート材を所定の搬送速度で前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、搬送開始後、前記折りシート材の後端を検知すると、前記非折りシート材の搬送速度を変更することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に係るシート処理装置によれば、折りシート材の長さ情報に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の搬送開始タイミングを決定する制御部を備え、制御部が、決定された非折りシート材の搬送開始タイミングを第2のシート搬送部に設定するようになされる。
【0026】
この構成によって、折りシート材がどんな搬送タイミング(搬送速度)で取り込まれる場合であっても、搬送途中において、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の先端部と、非折りシート材に続いて最後に取り込まれる折りシート材の先端部とを再現性良く(遜色なく)重ね合わせることができる。
【0027】
これにより、綴じ処理等の後処理作業時に、次に後処理される非折りシート材の束を重ね合わせた状態で第2のシート搬送部に待機させることができ、シート処理装置における生産性を向上させることができる。
【0028】
請求項2に係るシート処理装置によれば、シート検知手段が第1及び第2のシート検知部を有するので、非折りシート材の先端検知情報に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の搬送開始タイミングを決定できる。また、折りシート材の後端検知情報に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の搬送速度を変更できるようになる。
【0029】
請求項3に係るシート処理装置及び請求項5に記載のシート処理方法によれば、折りシート材の後端検知情報に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の搬送開始タイミングを決定できるので、折りシート材がどんな搬送タイミング(搬送速度)で取り込まれる場合であっても、搬送途中において、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の先端部と、非折りシート材に続いて最後に取り込まれる折りシート材の先端部とを再現性良く重ね合わせることができる。
【0030】
請求項4に係るシート処理装置及び請求項6に記載のシート処理方法によれば、折りシート材の先端を概略検知すると、非折りシート材を所定の搬送速度で待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、搬送開始後、第2のシート検知部が折りシート材の後端を検知すると、非折りシート材の搬送速度を変更するので、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される非折りシート材の先端部と、非折りシート材に続いて最後に取り込まれる折りシート材の先端部とを再現性良く重ね合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る実施形態としてのシート重ね送出装置100の構成例を示すブロック図である。
【図2】(A)及び(B)は、複数枚重ねモード時の動作例(その1)を示す説明図である。
【図3】(A)及び(B)は、複数枚重ねモード時の動作例(その2)を示す説明図である。
【図4】複数枚重ねモード時の動作例(その3)を示す説明図である。
【図5】(A)及び(B)は、Z折り重ねモード時の動作例(その1)を示す説明図である。
【図6】Z折り重ねモード時の動作例(その2)を示す説明図である。
【図7】(A)〜(C)は、複数枚重ねモード時及びZ折り重ねモード時の第1の実施例としてのシート検知例を示すタイムチャートである。
【図8】その待機位置のシートPiの搬送例を示すグラフ図である。
【図9】第1の実施例としてのシート重ね送出装置100の制御例を示すフローチャートである。
【図10】(A)〜(C)は、複数枚重ねモード時及びZ折り重ねモード時の第2の実施例としてのシート検知例を示すタイムチャートである。
【図11】その待機位置のシートPiの搬送例を示すグラフ図である。
【図12】第2の実施例としてのシート重ね送出装置100の制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態に係るシート処理装置及びシート処理方法について説明をする。図1に示すシート重ね送出装置100はシート処理装置の一例を構成し、Z折り処理されていない1枚、又は、2枚以上を重ね合わせた非Z折りシート材(以下で単にシートPi(i=1〜n)という)と、Z折り処理された1枚の折りシート材(以下でZ折りシートPzという)とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するものである。
【0033】
シート重ね送出装置100は、取り込みローラ11、先端検知センサ12、後端検知センサ13、スイッチバック搬送部20、分岐部30、待機位置搬送部40及び制御部50から構成される。シート材には普通紙、厚紙、コート紙、薄紙、フィルム等が含まれ、紙種及び坪量の異なるシートP1やZ折りシートPz等も含まれる。束状態のシートP1及びZ折りシートPzをシート束(用紙束)ともいう。
【0034】
取り込みローラ11は、当該シート重ね送出装置100の上流側に設けられる。ここで上流側とはシート材を取り込む給紙側であり、例えば、画像形成装置から記録されたシートP1や、Z折り機構からZ折り処理されたZ折りシートPz等が給紙される側である。下流側とはシートPiや、Z折りシートPz等を重ね合わせたシート束を送出する排紙側であり、例えば、シート束がパンチや、ステープル等の後処理がなされる後処理装置の側である。取り込みローラ11は、スイッチバック搬送部20の駆動源が兼用されている。もちろん、スイッチバック搬送部20と別個に駆動源を設けてもよい。
【0035】
先端検知センサ12や、後端検知センサ13等はシート検知手段の一例を構成し、制御部50にシート検知情報を出力する。先端検知センサ12は第1のシート検知部の一例を構成し、スイッチバック搬送部20の所定の位置、例えば、取り込みローラ11の上流側に配置され、少なくとも、シートPiの先端(取り込み)を検知して先端検知信号S12(シート検知情報)を発生する。先端検知信号S12は、例えば、シートPiの先端部を検知すると、ハイ・レベルからロー・レベルに立ち下がる(ON→OFFする)。
【0036】
先端検知センサ12に関して、Z折りシートPzについては、一般に、Z折りシートPzが、Z折り部分を先頭にして搬送されてくるため、正確に先端検知ができないものである。Z折り部分を先頭搬送するのは、Z折り部分と反対側の非Z折り部分を先頭搬送すると、搬送ローラのニップに再現性良くニップされずに、折り部分が開いて搬送ローラ等に巻き付き、ジャムを引き起こす場合が多いためである。
【0037】
後端検知センサ13は第2のシート検知部の一例を構成し、先端検知センサ12の上流側に配置される。例えば、後端検知センサ13は、待機位置に待機されたシートPi(以下で待機シートともいう)の搬送速度を余裕を持って制御するために、先端検知センサ12の配設位置から、Z折りシートPzの最大のシート長さよりも上流側に離れた位置に配設される。
【0038】
後端検知センサ13は、少なくとも、Z折りシートPzの後端を検知して後端検知信号S13(シート検知情報)を発生する。後端検知信号S13は、例えば、Z折りシートPzの後端部を検知すると、ハイ・レベルからロー・レベルに立ち下がる(ON→OFFする)。もちろん、先端検知センサ12や後端検知センサ13の出力段にインバータ回路を接続して、出力論理を反転してもよい。先端検知センサ12や後端検知センサ13には透過型や、反射型の光学センサが使用される。
【0039】
スイッチバック搬送部20は第1のシート搬送部の一例を構成し、取り込みローラ11の下流側に配置される。スイッチバック搬送部20は先端検知センサ12によって検知されたシートPiを取り込んで、当該シートPiを所定の重ね合わせ位置に向けて搬送し、その後、重ね合わせ位置から所定の待機位置に反転搬送したり、当該シートPiを反転搬送することなく、そのまま下流側へスルーパスする機能を有している。
【0040】
この例では、このスルーパス機能を利用して、待機シートPiにZ折りシートPzを重ね合わせ、待機位置に反転搬送することなく、そのまま下流側へ排出するようになされる。Z折りシートPzは、他のシートPiのように待機位置に反転搬送すると、上述した理由からジャムを発生する場合があるため、必ず、他のシートiの最後に重ね合わされる。
【0041】
スイッチバック搬送部20は、スイッチバック搬送路21、正逆転ローラ22及び搬送モータ23を有している。正逆転ローラ22はスイッチバック搬送路21の排紙口付近に設けられる。正逆転ローラ22は駆動ローラ及び従動ローラを有し、シートPiやZ折りシートPz等をスイッチバック搬送路21内に取り込む際、及び、シート送出時には、駆動ローラが時計方向に回転(正転:図中の矢印参照)される。シートPiを待機搬送路内に送り込む際には、反時計方向に回転(逆転)される。
【0042】
搬送モータ23はスイッチバック搬送部20の所定の位置に取り付けられ、正逆転ローラ22に接続され、正逆転ローラ22を所定の方向へ回転駆動する。この例では、搬送モータ23が取り込みローラ11を回転駆動するようになされる。搬送モータ23を兼用することで、モータ設置個数を1つ省略できるようになる。
【0043】
分岐部30はスイッチバック搬送部20と待機位置搬送部40との間に設けられ、シートP1やZ折りシートPz等を取り込む取り込み用の搬送路31と、シートPiを待機させる待機用の搬送路32とを分岐する。分岐部30は例えば、長細い三角柱状の分岐部材33を有して構成されている。分岐部材33の三角柱状の鋭角部位で搬送路31と搬送路32とを分離するように構成されている。
【0044】
もちろん、分岐部材33に図示しないソレノイド素子を取り付けてシートP1やZ折りシートPz等の分岐制御を行ってもよい。例えば、シートP1やZ折りシートPz等の取り込み時には、分岐部材33の鋭角部位を降下するようにしてシートP1やZ折りシートPz等を正逆転ローラ22へガイドする。シートPiの待機時には、分岐部材33の鋭角部位を上昇させてシートPiを待機位置搬送部40へガイドするとよい。
【0045】
なお、シートP1やZ折りシートPz等に係る重ね合わせ位置は、分岐部材33の三角柱状の鋭角部位からスイッチバック搬送部20の正逆転ローラ22のニップ位置に至る範囲内であれば、どこでもよい。この範囲内の位置において、折り処理されていない1枚、又は、2枚以上を重ね合わせたシートPiと、Z折り処理された1枚のZ折りシートPzとを重ね合わせた、シート束が送出できればよい。
【0046】
この例で、分岐部30の右側には待機位置搬送部40が設けられる。待機位置搬送部40は、複数枚重ねモード時、スイッチバック搬送部20によって待機位置に反転搬送されたシートPiを先端検知センサ12によって取り込みが検知された2枚目以降のシートPi+1の取り込み検知時刻に基づいて、1枚目以降のシートPiを待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送する。
【0047】
ここに複数枚重ねモードとは、複数枚のシートPiを設定された枚数だけ重ねて送出する動作をいう。この複数枚重ねモードでは、折り処理されていない1枚目、又は、2枚目以上のシートPiが待機位置搬送部40に取り込まれた状態で、この1枚目、又は、2枚目以上のシートPiに更にn枚目のシートPnを外部から取り込んで、各々の先端部を重ね合わせて、合計複数枚束状のシートPi+Pnを排紙するようになされる。
【0048】
また、待機位置搬送部40は、Z折り重ねモード時、Z折りシートPzの後端検知時刻に基づいて制御部50により決定される搬送開始タイミングに基づいて、待機位置から重ね合わせ位置に向けてシートPiを搬送する。ここにZ折り重ねモードとは、1枚以上のシートと、最後にZ折りシートを重ねて送出する動作をいう。このZ折り重ねモードでは、折り処理されていない1枚目、又は、2枚目以上のシートPiが待機位置搬送部40に取り込まれた状態で、この1枚目、又は、2枚目以上のシートPiに更にZ折りシートPzを外部から取り込んで、各々の先端部を重ね合わせて、合計複数枚束状のシートPi+Z折りシートPzを排紙するようになされる。
【0049】
待機位置搬送部40は、待機搬送路41、2つの正逆転ローラ42,43及び搬送モータ44を有している。正逆転ローラ42は駆動ローラ及び従動ローラを有し、待機搬送路41のシート出入り口付近に配設され、正逆転ローラ43も駆動ローラ及び従動ローラを有し、待機搬送路41の終端位置に配設される。
【0050】
正逆転ローラ42,43は、スイッチバック搬送路21内から待機搬送路41へシートPiを取り込む際に、その駆動ローラが反時計方向に回転(逆転:図中矢印参照)する。シートPiを待機搬送路41からスイッチバック搬送路21へ送出する際には、正逆転ローラ42,43の各々の駆動ローラが時計方向に回転(正転)される。
【0051】
搬送モータ44は待機位置搬送部40の所定の位置に取り付けられ、2つの正逆転ローラ42,43に接続され、正逆転ローラ42,43を所定の方向へ回転駆動する。上述の搬送モータ23,44には、例えば、ブラシレスモータ(誘導電動機)が使用される。
【0052】
制御部50は、順次、取り込みローラ11を介してスイッチバック搬送部20へ取り込まれる1枚、又は、2枚以上のシートPiを重ね合わせ位置で、各々のシートPiやZ折りシートPz等の先端部を重ね合わせるようにスイッチバック搬送部20及び待機位置搬送部40を制御する。制御部50は、例えば、基準クロック信号(以下CLK信号という)に基づいて動作する、A/D変換部51、カウンタ52、ROM(Read Only Memory)53、RAM(Random Access Memory)54、中央演算装置(Central Processing Unit:以下CPU55という)及びモータ制御部56を有して構成される。
【0053】
制御部50には操作&表示部48が接続される。制御部50は、操作&表示部48の操作により、ROM53に記憶されているシステムプログラムDpや、各種処理プログラムを読み出してRAM54に展開し、展開されたシステムプログラムDpに従って、シート重ね送出装置の動作を集中制御する。例えば、CPU55は、展開されたプログラムに従って、スイッチバック搬送部20及び待機位置搬送部40におけるシート重ね送出制御を実行する。
【0054】
操作&表示部48は、タッチパネル及びLCD(Liquid Crystal Display)から構成され、例えば、2つの重ね動作モードから、その1つを選択可能に設定するように操作される。この例では、重ね動作モードに関して、複数枚重ねモード及びZ折り重ねモードが選択できるようになっている。
【0055】
操作&表示部48は、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、当該ボタン操作による操作データD48を制御部50に出力する。操作データD48には、2つの重ね動作モードから、その1つを選択した際の設定情報を含んでいる。シート重ね送出装置100を上流側の図示しない画像形成装置とタンデムに使用する場合は、操作データD48は画像形成装置から供給すればよいので、操作&表示部48を省略してもよい。
【0056】
A/D変換部51はその入力側が第1の先端検知センサ12及び、第2の後端検知センサ13に接続され、その各々の出力側は、カウンタ52及びシステムバス57に接続される。A/D変換部51は先端検知センサ12から先端検知信号S12を入力し、先端検知信号S12をアナログ・ディジタル変換して先端検知データD12をカウンタ52及びCPU55に出力する。また、A/D変換部51は後端検知センサ13から後端検知信号S13を入力し、後端検知信号S13をアナログ・ディジタル変換して後端検知データD13をCPU55に出力する。
【0057】
カウンタ52は計数部の一例を構成し、待機位置で待機するシートPiの枚数を計数する。例えば、カウンタ52はA/D変換部51から出力される先端検知データD12に基づくシートP1やシートP2等の枚数を計数してシート枚数データD52を出力する。シート枚数データD52はカウンタ52からCPU55に出力される。CPU55はカウンタ52から出力されるシート枚数データD52によって、待機時のシートPiの枚数を認識できるようになる。
【0058】
モータ制御部56は搬送モータ23,44に接続される。モータ制御部56はモータ駆動データD56に基づいて搬送モータ23,44を制御する。例えば、モータ制御部56はモータ駆動データD56をデコードしてモータ制御信号S23及びS44を生成する。モータ駆動データD56は、後続のシートPi+1やZ折りシートPz等と待機中のシートPiの先端部を再現性良く重ね合わせるためのデータであって、CPU55からモータ制御部56へ出力される。モータ制御信号S23は、モータ制御部56から搬送モータ23に出力される。
【0059】
モータ制御信号S44は、後続のシートPi+1やZ折りシートPz等と待機中のシートPiの先端部を再現性良く重ね合わせるための信号であって、モータ制御部56から搬送モータ44に出力される。この例では、重ね動作モードの設定に応じて、複数枚重ねモード時には、モータ制御信号S44(i)が出力され、Z折り重ねモード時には、モータ制御信号S44(z)が出力される。
【0060】
CPU55は、複数枚重ねモード時、先端検知センサ12から出力される、シートPi+1の先端検知信号S12に基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送開始タイミング(図7の時刻t2)を設定する。また、Z折り重ねモード時には、CPU55が後端検知センサ13からZ折りシートPzの後端検知によって得られた後端検知信号S13を入力し、Z折りシートPzの後端検知信号S13から、待機位置のシートPiの搬送開始タイミング(図7の時刻t4)を設定する。
【0061】
これと共に、CPU55はZ折りシートPzの後端検知信号S13に基づくZ折りシートPzの後端を検知した時刻から待機位置のシートPiの搬送開始タイミングに至る時間情報を算出する。ここに算出された時間情報及び、Z折りシートPzの長さ情報に基づいて待機位置のシートPiの搬送開始タイミングを決定する。ここに決定されたシートPiの搬送開始タイミングに基づいて待機位置搬送部40を制御する。この例では、決定された搬送開始タイミングに基づいてシートPiの搬送速度は固定したままで当該シートPiとZ折りシートPzとを重ね合わせるようになる(第1の実施例)。
【0062】
<複数枚重ねモード時の動作例>
続いて、図2〜図4を参照して、シート重ね送出装置100における複数枚重ねモード時の動作例(その1〜3)について説明する。この例では、複数枚重ねモードを設定して複数枚のシートPiを重ね合わせて送出する場合を挙げる。
【0063】
図2Aに示すシート重ね送出装置100によれば、複数枚重ねモード時、例えば、2枚重ねモード時、取り込みローラ11及び正逆転ローラ22が駆動されて、1枚目のシートP1をスイッチバック搬送部20に引き入れられる。このとき、先端検知センサ12がシートP1の先端を検知する。その後、図2Bに示すシート重ね送出装置100によれば、1枚目のシートP1がスイッチバック搬送部20に到着する。到着時、シートP1の後端部が、分岐部材33の三角柱状の鋭角部位の下流側に位置するようになる。
【0064】
図3Aに示すシート重ね送出装置100によれば、正逆転ローラ22及び正逆転ローラ42,43が駆動され、1枚目のシートP1が反転搬送され、待機位置搬送部40に到達する。待機位置搬送部40に到達したシートP1は待機シートとなる。これと共に、先端検知センサ12が2枚目のシートP2を検知する。
【0065】
その後、図3Bに示すシート重ね送出装置100によれば、取り込みローラ11及び正逆転ローラ22が駆動されて、2枚目のシートP2(後続シート)がスイッチバック搬送部20に引き入れられると共に、2枚目のシートP2を検知した時刻から待ち時間T1後に、正逆転ローラ42,43が駆動されて、1枚目のシートP1(待機シート材)のスイッチバック搬送部20への搬送を開始する。そして、1枚目と2枚目のシートP1,P2の各々の先端部がスイッチバック搬送部20に到着し、シートP1,P2の各々の先端部が重なり合う。
【0066】
図4に示すシート重ね送出装置100によれば、シートP1,P2の各々の先端部が重なり合った状態で、正逆転ローラ22及び正逆転ローラ42,43が駆動され、重なり合い完了時、シートP1及びP2の後端部が、分岐部材33の三角柱状の鋭角部位の下流側に位置するようになる。これにより、2枚重ねモード時、2枚束のシートP1,P2を送出できるようになる。
【0067】
<Z折り重ねモード時の動作例>
続いて、図5及び図6を参照して、シート重ね送出装置100におけるZ折り重ねモード時の動作例(その1,2)について説明する。この例では、Z折り重ねモードを設定して1枚のシートP1にZ折りシートPzを外部から取り込んで、各々の先端部を重ね合わせて、合計2枚の束状のシートP1+Z折りシートPzを送出する場合を挙げる。
【0068】
図5Aに示すシート重ね送出装置100によれば、Z折り重ねモードが設定されており、待機位置にあるシートP1と、外部から取り込んだZ折りシートPzとを重ね合わせる場合、上流側からZ折りシートPzが搬送されてくる。このとき、先端検知センサ12がZ折りシートPzの先端を検知するが不定である。後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知して後端検知信号S13を発生する。
【0069】
その後、図5Bに示すシート重ね送出装置100によれば、取り込みローラ11及び正逆転ローラ22が駆動されて、Z折りシートPz(後続シート)がスイッチバック搬送部20に引き入れられると共に、Z折りシートPzを検知した時刻から所定時間を経過した後に、正逆転ローラ42,43が駆動されて、待機位置のシートP1(待機シート材)のスイッチバック搬送部20への搬送が開始される。そして、シートP1の先端部と、Z折りシートPzの先端部とがスイッチバック搬送部20に到着し、シートP1の先端部と、Z折りシートPzの先端部とが重なり合う。
【0070】
そして、図6に示すシート重ね送出装置100によれば、シートP1及び、Z折りシートPzの各々の先端部が重なり合った状態で、正逆転ローラ22及び正逆転ローラ42,43が駆動され、2枚束のシートP1+Z折りシートPzを送出できるようになる(Z折り重ねモード)。
【実施例1】
【0071】
続いて、図7A〜Cを参照して、第1の実施例としてのシート重ね送出装置100における複数枚重ねモード時及びZ折り重ねモード時のシート検知例について説明する。図7A〜Cに示す動作タイムチャートは、先端検知センサ12による複数枚重ねモード時のシート検知タイミングと、後端検知センサ13によるZ折り重ねモード時のZ折りシート検知タイミングとをまとめたものである。図7Aに示すCLK信号は、図1に示した制御部50を駆動する基準信号である。図7Bに示す先端検知信号S12は、複数枚重ねモード時、図1に示した先端検知センサ12からA/D変換部51に出力される。
【0072】
先端検知信号S12はハイ・レベルからロー・レベルに立ち下がることで、シート有り(シート到達)を示す。先端検知信号S12はロー・レベルからハイ・レベルへ立ち上がることで、シート無し(シート未到達)を示す。この例では、複数枚重ねモード時、時刻t1のCLK信号を基準にして待機時間T1を経過した後の時刻t2に、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送速度Vが設定される。
【0073】
図7Cに示す後端検知信号S13は、Z折り重ねモード時、図1に示した後端検知センサ13からA/D変換部51に出力される。後端検知信号S13はハイ・レベルからロー・レベルに立ち下がることで、本来、シート有り(シート到達)を示すが、Z折りシートPzの場合は、Z折り頭部のエッジが不明確となっている。図中のギザギザマークは、Z折りシートPzのZ折り頭部を検出したことにより、後端検知信号S13の立ち上がりが確定しない状態を示している。この状態を以下で先端概略検知という。
【0074】
後端検知信号S13はロー・レベルからハイ・レベルへ立ち上がることで、シート無し(シート未到達)を示す。この例では、Z折り重ねモード時、時刻t3のCLK信号を基準にして待機時間T2を経過した後の時刻t4に、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送開始タイミングが設定される。
【0075】
これにより、CPU55では、先端検知センサ12から得られる先端検知信号S12に基づいて、順次、取り込みローラ11を介してスイッチバック搬送部20へ取り込まれる複数枚のシートPiやZ折りシートPz等を重ね合わせ位置で、各々のシートP1やZ折りシートPz等の先端部を重ね合わせるようにスイッチバック搬送部20及び待機位置搬送部40を制御できるようになる。
【0076】
ここで、図8を参照して、第1の実施例としての待機位置のシートPiの搬送例について説明する。図8に示すグラフは、複数枚重ねモード時及び、Z折り重ねモード時、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送例をまとめたものである。
【0077】
図8において、縦軸はシートPi(待機シート)の搬送速度Vであり、正逆転ローラ42に依存する速度である。正逆転ローラ42は搬送モータ44の回転速度に依存している。横軸は、シートPiの搬送前後の時刻tであり、正逆転ローラ42をON(起動)する前後の時間である。
【0078】
破線は、複数枚重ねモード時の待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPi(待機シート)の搬送速度の設定例を示している。この例では、時刻t1で図1に示した先端検知センサ12がシートP2(後続シート)の先端を検知すると、同図に示したCPU55が、当該時刻t1から待機時間T1を経過した後の時刻t2で、正逆転ローラ42をON(起動)し、一定の傾きθ1で搬送速度Vを増加して、待機位置から重ね合わせ位置に向けてシートP1を搬送する場合を示している。この場合の加速度はdV/dtである。この例では、シートP1とシートP2の各々の先端部がスイッチバック搬送部20に到着し、時刻t5で、シートP1とシートP2との各々の先端部が重なり合う(図3B参照)。正逆転ローラ43も正逆転ローラ42と同様に制御される。
【0079】
実線は、Z折り重ねモード時の待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPi(待機シート)の搬送速度Vの設定例を示している。この例では、時刻t3で図1に示した後端検知センサ13がZ折りシートPz(後続シート)の後端を検知すると、同図に示したCPU55が、当該時刻t3から待機時間T2を経過した後の時刻t4で、正逆転ローラ42をON(起動)し、一定の傾きθ2(θ2>θ1)で搬送速度Vを増加し、待機位置から重ね合わせ位置に向けてシートP1を搬送し、その後、傾きθ2で増加する搬送速度Vを傾きθ1で増加する搬送速度Vに変更する場合を示している。正逆転ローラ43も正逆転ローラ42と同様に制御される。
【0080】
この場合、シートP1とZ折りシートPzの各々の先端部がスイッチバック搬送部20に到着し、例えば、時刻t5で、シートP1とZ折りシートPzとの各々の先端部が重なり合う(図5B参照)。これらにより、複数枚重ねモード時及び、Z折り重ねモード時、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送制御をCPU55によって実行できるようになる。
【0081】
続いて、図9を参照して、第1のシート処理方法に関して、第1の実施例としてのシート重ね送出装置100の制御例について説明する。この実施例では、複数枚重ねモードや、Z折り重ねモード等の重ね動作モードが準備され、重ね動作モードの設定及び、非Z折りのシートPiの設定枚数を受け付け、複数枚重ねモードが設定された場合は、その設定枚数のZ折り処理されていないシートPiを重ね合わせて送出する。
【0082】
Z折り重ねモードが設定された場合は、その設定枚数のZ折り処理されていないシートPiと、Z折り処理されたZ折りシートPzとを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出する場合を例に挙げる。この例では、シート重ね送出装置100のスルーパス機能を利用して、待機位置の1枚以上のシートPiに、Z折りシートPzを最後に重ね合わせ、待機位置に反転搬送することなく、そのまま下流側へ送出する場合を前提とする。
【0083】
これらを制御条件にして、図9に示すステップST1で、CPU55は重ね動作モードの設定及び設定枚数を入力する。このとき、ユーザは予め準備された複数枚重ねモード又はZ折り重ねモードを選択して重ね動作モードを設定する。例えば、操作&表示部48を操作して複数枚重ねモード又はZ折り重ねモードをCPU55に指示すると共に、重ね合わせるシートPiの設定枚数をCPU55に指示する。その後、ステップST2でCPU55は重ね動作モードの設定に対応して制御を分岐する。複数枚重ねモードが設定されている場合は、ステップST3に移行する。
【0084】
ステップST3でCPU55は、当該i枚数目の非Z折りのシートPiを取り込み、当該シートPiをスイッチバック後、所定の待機位置へ待機させる処理を実行する。このとき、先端検知センサ12はスイッチバック搬送部20へ取り込まれるシートPiの先端部を検知して先端検知信号S12を発生する。スイッチバック搬送部20では、搬送モータ23が駆動され、先端検知センサ12によって検知された1枚目のシートP1を取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送し、その後、重ね合わせ位置から所定の待機位置搬送部40に反転搬送する。これにより、1枚目のシートP1が待機位置搬送部40で待機するようになる。
【0085】
次に、ステップST4でCPU55は、後続シートであるシートPi+1を取り込むようにスイッチバック搬送部20を制御して、そのシートPi+1(後続シート)の先端検知に基づく先端検知信号S12を入力する。CPU55は、図8Bに示した先端検知信号S12の立ち下がりの時刻t1を検出し、図示しないタイマーを起動して、先端検知センサ12のONに基づいて待機時間T1をカウントする。スイッチバック搬送部20では搬送モータ23が駆動され、先端検知センサ12によって検知された、シートPi+1を取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送する。
【0086】
ステップST5でCPU55は、タイマーがカウントアップして待機時間T1を経過した時刻t2で、待機位置のシートPiをスイッチバック搬送部20へ搬送開始するように正逆転ローラ42を起動する。このとき、図8Bに示した待機時間T1を経過した時刻t2で、シートPiの搬送をスタートするべく、モータ制御信号S44(i)がモータ制御部56から搬送モータ44へ出力される。待機位置搬送部40では、搬送モータ44の回転に基づいてシートPiを待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送するようになる。
【0087】
その後、ステップST6でCPU55は、搬送モータ23及び搬送モータ44の回転速度を一致させるように速度制御して、当該シートPi(待機シート)と次のシートPi+1(後続シート)とを重ね合わせ位置で重ね合わせる。このシート重ね合わせ制御によって、計(i+1)枚のシートP1,P2・・・Pi,Pi+1を重ね合わせたシート束を送出できるようになる。これにより、例えば、i=1の場合、重ね合わせ位置でシートP1の先端部と、シートP2の先端部とが重ね合わされ、計2枚のシートP1,P2を重ね合わせたシート束を送出できるようになる(図4参照)。
【0088】
その後、ステップST7でCPU55は、シートPiが設定枚数に到達したか否かを判別する。その際の判断基準は、先に指示された設定枚数とカウンタの計数値とを比較して一致検出を行う。設定枚数とカウンタの計数値とが一致した場合は、シートPiが設定枚数に到達した判断される。設定枚数がカウンタの計数値よりも多い場合は、シートPiが設定枚数に到達していないと判断される。
【0089】
シートPiが設定枚数に到達した場合は、複数枚重ねモード時のシート重ね合わせ制御を終了する。シートPiが設定枚数に到達していない場合は、ステップST3に戻ってCPU55は上述のシート重ね合わせ制御を継続するようになる。
【0090】
上述のステップST2でZ折り重ねモードが設定されている場合は、ステップST8でCPU55は非Z折りのシートPiの重ね合わせ処理を実行する。この重ね合わせ処理の内容は、ステップST3〜ST6の内容と同じであるので、それを参照されたい。
【0091】
そして、ステップST9でCPU55は待機位置のシートPiが設定枚数に到達したか否かを判別して制御を分岐する。その際のシートPiの設定枚数の到達判断基準はステップST7を参照されたい。待機位置のシートPiが設定枚数に到達していない場合は、ステップST8に戻ってCPU55は非Z折りのシートPiの重ね合わせ処理を継続するようになる。
【0092】
待機位置のシートPiが設定枚数に到達した場合は、シートPiの先端部とZ折りシートPzの先端部とを重ね合わせる処理を実行するために、ステップST10でZ折りシートPzの搬送方向における長さ情報を入力する。長さ情報はリアルタイムに測定してもよいが、制御部50で事前に格納されている場合である。例えば、A3版(横)のシートの長手方向をZ折り処理すると、その長さはA3版のシート長の半分でA4(縦)版の幅と同等の長さとなる。
【0093】
ステップST11でCPU55は、Z折りシートPz(後続シート)を取り込むようにスイッチバック搬送部20を制御し、当該Z折りシートPzの後端検知に基づく後端検知信号S13を入力する。このとき、スイッチバック搬送部20では搬送モータ23が駆動され、後端検知センサ13によって検知された、Z折りシートPzを取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送する。また、後端検知センサ13はスイッチバック搬送部20へ取り込まれるZ折りシートPzの後端部を検知して後端検知信号S13を発生する。
【0094】
CPU55は、図7Cに示した後端検知信号S13の立ち上がりの時刻t3を検出し、図示しないタイマーを起動して、後端検知センサ13のONに基づいて待機時間T2(時間情報)をカウントする。このときのカウントアップ値は、Z折りシートPzの後端を検知した時刻t3を含む後端検知信号S13から、Z折りシートPzの長さ情報と、Z折りシートPzの搬送速度情報とに基づいてZ折りシートPzの先端が検知された時刻を逆算した値である。
【0095】
その後、ステップST12でCPU55はZ折りシートPzの搬送方向の長さ情報と待機時間T2(時間情報)とに基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送開始タイミングを決定する。搬送開始タイミングは、Z折りシートPzの搬送速度情報を長さ情報で割り算することで、待機時間T2(搬送移動時間)が得られ、この待機時間T2に基づいて決定される。ここに決定されたシートPiの搬送開始タイミングに基づいて待機位置搬送部40を制御するようになる。
【0096】
この例では、カウンタがカウントアップして、待機時間T2を経過した後に、正逆転ローラ42を起動して、搬送開始タイミングでシートPiを待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始する。なお、シートPiの搬送開始タイミングは、Z折りシートPzの後端検知によって得られた待機時間T2を経過した後の時刻t4となる(図8参照)。
【0097】
そして、ステップST13でCPU55は搬送モータ23及び搬送モータ44の回転速度を一致させるように速度制御して、当該シートPi(待機シート)とZ折りシートPz(後続シート)とを重ね合わせ位置で重ね合わせる。このシート重ね合わせ制御によって、計(i+1)枚のシートP1,P2・・・Pi,Z折りシートPzを重ね合わせたシート束を送出できるようになる。これにより、例えば、i=1の場合、重ね合わせ位置でシートP1の先端部と、Z折りシートPzの先端部とが重ね合わされ、計2枚のシートP1,Z折りシートPzを重ね合わせたシート束を送出できるようになる(図6参照)。
【0098】
このように、第1の実施例に係るシート重ね送出装置100によれば、Z折り処理されていない1枚、又は、2枚以上を重ね合わせたシートPiと、Z折り処理された1枚のZ折りシートPzとを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出する場合に、待機位置搬送部40がスイッチバック搬送部20によって待機位置に反転搬送して留置したシートPiを、CPU55によって決定された搬送速度Vに基づいて待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送するようになる(待機位置のシートPiの搬送制御)。
【0099】
この搬送制御によって、Z折りシートPzがどんな搬送タイミング(搬送速度)で取り込まれる場合であっても、搬送途中において、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの先端部と、シートPiに続いて最後に取り込まれるZ折りシートPzの先端部とを再現性良く(遜色なく)重ね合わせることができる。
【0100】
これにより、綴じ処理等の後処理作業時に、次に後処理されるシートPi及びZ折りシートPzを重ね合わせたシート束に関して、Z折りシートPzを重ね合わせる前のシートPiのみを重ね合わせた状態で待機位置搬送部40に待機させることができる。
【0101】
従って、次に後処理される順番が到来したとき、当該シート重ね送出装置100のスルーパス機能を利用して、シートPi及びZ折りシートPzを重ね合わせたシート束を迅速に綴じ処理等の後処理系へ搬送できるので、シート重ね送出装置100における生産性を向上させることができる。
【0102】
例えば、A4版のシートP1,P2の束の最後に、A3版をZ折りしたZ折りシートPzを重ね合わせてステープル処理や、パンチ処理等を行う後処理作業時において、次に後処理されるA4版のシートP1,P2を重ね合わせた状態のシート材束を待機位置搬送部40に待機させることができる。
【実施例2】
【0103】
続いて、図10A〜Cを参照して、第2の実施例としてのシート重ね送出装置100における複数枚重ねモード時及びZ折り重ねモード時のシート検知例について説明する。
【0104】
この実施例で、CPU55は先端検知センサ12がZ折りシートPzの先端を概略検知すると、待機位置のシートPiを所定の搬送速度で待機位置から重ね合わせ位置に向けて見切り搬送を開始し、当該搬送開始後、後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知すると、シートPiの搬送速度を変更(調整)するようにした。
【0105】
図10A〜Cに示す動作タイムチャートは、先端検知センサ12による複数枚重ねモード時のシート検知タイミングと、後端検知センサ13によるZ折り重ねモード時のZ折りシート検知タイミングとをまとめたものである。
【0106】
図10Aに示すCLK信号は、図1に示した制御部50を駆動する基準信号である。図10Bに示す先端検知信号S12’は、複数枚重ねモード時、図1に示した先端検知センサ12からA/D変換部51に出力される。先端検知センサ12からA/D変換部51へ出力される先端検知信号S12’については、第1の実施例と同様な内容となるので、その説明を省略する。
【0107】
図10Cに示す後端検知信号S13は、Z折り重ねモード時、Z折りシートPzの後端が検知されると、ロー・レベルからハイ・レベルへ立ち上がる。後端検知信号S13は、図1に示した後端検知センサ13からA/D変換部51に出力される。
【0108】
この例では、Z折りシートPzの先端が概略検知されると、所定時間の経過後に待機位置のシートPiを見切り搬送を開始して、シート重ね合わせ制御を実行するが、Z折りシートPzの後端を検知した時点で、重ね合わせ位置に向かうシートPiの搬送速度を変更(調整)する。このシートPiの見切り搬送を開始するに当たり、先端概略検知の時刻t1’で第1の実施例で説明した待機時間T1と、ほぼ等しい待機時間T1’が設定される。
【0109】
図10Cに示すT2’は、見切り搬送開始可能期間である。見切り搬送開始可能期間T2’は待機時間T1’に連続して設定され、後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知する時刻t4’まで継続する。この例では、時刻t1’のCLK信号を基準にして待機時間T1’を経過した後の時刻t3’に、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送速度Vが設定され、待機位置のシートPiの見切り搬送が開始される。搬送開始後、後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知した時刻t4’に、CPU55がシートPiの搬送速度を変更(調整)するようになる。
【0110】
ここで、図11を参照して、第2の実施例としての待機位置のシートPiの搬送例について説明する。図11に示すグラフは、複数枚重ねモード時及び、Z折り重ねモード時、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送例をまとめたものである。
【0111】
図11において、縦軸はシートPi(待機シート)の搬送速度Vであり、正逆転ローラ42に依存する速度である。正逆転ローラ42は搬送モータ44の回転速度に依存している。横軸は、シートPiの搬送前後の時刻tであり、正逆転ローラ42をON(起動)する前後の時間である。
【0112】
破線は、複数枚重ねモード時の待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPi(待機シート)の搬送速度の設定例を示している。この例では、時刻t1’で図1に示した先端検知センサ12がシートP2(後続シート)の先端を検知すると、同図に示したCPU55が、当該時刻t1’から待機時間T1’を経過した後の時刻t2’で、正逆転ローラ42をON(起動)し、一定の傾きθ1’で搬送速度Vを増加し、待機位置から重ね合わせ位置に向けてシートP1を搬送する場合を示している。
【0113】
この場合、シートP1とシートP2の各々の先端部がスイッチバック搬送部20に到着し、例えば、時刻t5’で、シートP1とシートP2との各々の先端部が重なり合う(図3B参照)。正逆転ローラ43も正逆転ローラ42と同様に制御される。
【0114】
実線は、Z折り重ねモード時の待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPi(待機シート)の搬送速度Vの設定例を示している。この例では、時刻t1’と時刻t2’との間で、Z折りシートPz(後続シート)の先端が概略検知されている。また、見切り搬送開始可能期間T2’内、この例では、時刻t2’から待機時間T1’を経過した後の時刻t3’で、正逆転ローラ42をON(起動)し、一定の傾きθ2’(θ2’>θ1’)で搬送速度Vを増加し、待機位置から重ね合わせ位置に向けてシートP1を見切り搬送を開始する場合を示している。
【0115】
そして、時刻t4’で図1に示した後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知すると、同図に示したCPU55が、傾きθ2’で増加する搬送速度Vを傾きθ1’で増加する搬送速度Vに変更する場合を示している。上述の時刻t2’は、見切り搬送開始可能期間T2’の始期を示し、時刻t4’は、その終期を示している。正逆転ローラ43も正逆転ローラ42と同様に制御される。
【0116】
この場合、シートP1とZ折りシートPzの各々の先端部がスイッチバック搬送部20に到着し、例えば、時刻t5’で、シートP1とZ折りシートPzとの各々の先端部が重なり合う(図5B参照)。これらにより、複数枚重ねモード時及び、Z折り重ねモード時、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送制御をCPU55によって実行できるようになる。
【0117】
続いて、図12を参照して、第1のシート処理方法に関して、第2の実施例としてのシート重ね送出装置100の制御例について説明する。この実施例でも、第1の実施例と同様にして、複数枚重ねモードや、Z折り重ねモード等の重ね動作モードが準備され、重ね動作モードの設定及び、非Z折りのシートPiの設定枚数を受け付け、複数枚重ねモードが設定された場合は、その設定枚数のZ折り処理されていないシートPiを重ね合わせて送出する。
【0118】
この例で、CPU55は先端検知センサ12がZ折りシートPzの先端を概略検知すると、待機位置のシートPiを所定の搬送速度で待機位置から重ね合わせ位置に向けて見切り搬送を開始し、搬送開始後、後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知すると、シートPiの搬送速度を変更(調整)するようにした。
【0119】
これらを制御条件にして、図12に示すステップST21で、CPU55は重ね動作モードの設定及び設定枚数を入力する。その後、ステップST22でCPU55は重ね動作モードの設定に対応して制御を分岐する。複数枚重ねモードが設定されている場合は、ステップST23に移行するが、ステップST21〜ステップST27の制御内容については、第1の実施例のステップST1〜ステップST7と同じ内容となるので、その説明を省略する。
【0120】
この例で、ステップST22でZ折り重ねモードが設定されている場合は、ステップST28でCPU55は非Z折りシートの重ね合わせ処理を実行する。この重ね合わせ処理の内容については、ステップST3〜ST6の内容と同じであるのでそれらを参照されたい。
【0121】
ステップST29でCPU55は待機位置のシートPiが設定枚数に到達したか否かを判別し、待機位置のシートPiが設定枚数に到達した場合は、シートPiの先端部とZ折りシートPzの先端部とを重ね合わせる処理を実行するために、ステップST30でZ折りシートPzの搬送方向における長さ情報を入力する。長さ情報については第1の実施例で説明した通りである。
【0122】
ステップST31でCPU55は、Z折りシートPz(後続シート)を取り込むようにスイッチバック搬送部20を制御し、当該Z折りシートPzの先端概略検知に基づく先端検知信号S13’(不定)を入力する。このとき、スイッチバック搬送部20では搬送モータ23が駆動され、外部から取り込まれるZ折りシートPzが所定の重ね合わせ位置に向けて搬送される。また、後端検知センサ13はスイッチバック搬送部20へ取り込まれるZ折りシートPzの先端を、図11に示した時刻t1’と時刻t2’との間で、概略検知して先端検知信号S13’(不定)を発生する。
【0123】
CPU55は、図10Cに示した見切り搬送開始可能期間T2’の始期に、図示しないタイマーを起動して、待機時間T1’(時間情報)をカウントする。このときのカウントアップ値は、待機位置のシートPiの見切り搬送を開始するタイミングを決定する時刻t3’となる。
【0124】
その後、ステップST32でCPU55は、図10Cに示した見切り搬送開始可能期間T2’内であって、待機時間T1’が経過した後に、待機位置のシートPiの搬送速度Vを設定し、待機位置のシートPiの見切り搬送を開始する。待機時間T1’の経過有無は、カウンタがカウントアップしたか否かで判別される。この例では、カウンタがカウントアップした時点の時刻t3’で、正逆転ローラ42をON(起動)し、一定の傾きθ2’(θ2’>θ1’)で搬送速度Vを増加し、待機位置から重ね合わせ位置に向けてシートP1の見切り搬送が行われる。
【0125】
そして、搬送開始後、ステップST33でCPU55は、見切り搬送開始(スタート)から見切り搬送開始可能期間T2’の経過後、Z折りシートPzの搬送方向の長さ情報に基づいて搬送速度Vに変更(調整)する。このとき、CPU55は、図11に示した時刻t4’で、図1に示した後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知すると、Z折りシートPzの長さ情報に基づいて傾きθ2’で増加する搬送速度Vを傾きθ1’で増加する搬送速度Vに変更(調整)するようになる。ここに変更されたシートPiの搬送速度Vに基づいて待機位置搬送部40を制御するようになる。
【0126】
そして、ステップST34でCPU55は搬送モータ23及び搬送モータ44の回転速度を一致させるように速度制御して、当該シートPi(待機シート)とZ折りシートPz(後続シート)とを重ね合わせ位置で重ね合わせる。このシート重ね合わせ制御によって、計(i+1)枚のシートP1,P2・・・Pi,Z折りシートPzを重ね合わせたシート束を送出できるようになる。これにより、例えば、i=1の場合、重ね合わせ位置でシートP1の先端部と、Z折りシートPzの先端部とが重ね合わされ、計2枚のシートP1,Z折りシートPzを重ね合わせたシート束を送出できるようになる(図6参照)。
【0127】
この場合、シートP1とZ折りシートPzの各々の先端部がスイッチバック搬送部20に到着し、例えば、時刻t5’で、シートP1とZ折りシートPzとの各々の先端部が重なり合う(図5B参照)。これらにより、第1の実施例と同様にして、複数枚重ねモード時及び、Z折り重ねモード時、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの搬送制御をCPU55によって実行できるようになる。
【0128】
このように、第2の実施例に係るシート重ね送出装置100によれば、Z折り重ねモード時、先端検知センサ12がZ折りシートPzの先端を概略検知すると、CPU55が待機位置のシートPiを所定の搬送速度で待機位置から重ね合わせ位置に向けて見切り搬送を開始し、搬送開始後、後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知すると、CPU55がシートPiの搬送速度を変更(調整)するようになる。
【0129】
この搬送制御によって、Z折りシートPzがどんな搬送タイミング(搬送速度)で取り込まれる場合であっても、搬送途中において、待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送されるシートPiの先端部と、シートPiに続いて最後に取り込まれるZ折りシートPzの先端部とを再現性良く重ね合わせることができる。
【0130】
この例では、先端検知センサ12及び後端検知センサ13に基づいてシート搬送制御をする場合について説明したが、これに限られることはない。例えば、後端検知センサ13のみを使用し、その先端概略検知及び後端検知機能を利用してシート搬送制御を行ってもよい。この場合は、後端検知センサ13がZ折りシートPzの先端を概略検知すると、シートPiを所定の搬送速度で待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、搬送開始後、後端検知センサ13がZ折りシートPzの後端を検知した時点で、当該シートPiの搬送速度を変更すればよい。これにより、第1の実施例の効果に加えて、下流側の先端検知センサ12を省略できるようになる。
【0131】
上述した実施例では、Z折り重ねモード時、Z折りシートPzの先端概略検知を行ってから待機時間T1’を経過した後に、待機位置のシートPiを見切り搬送を開始する場合について説明したが、これに限られることはない。例えば、Z折りシートPzの先端概略検知を行うと同時に、待機位置のシートPiを見切り搬送を開始するようにしてもよい。CPU55の制御負担が軽減できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
この発明は、カラー用、白黒用のプリンタや、複写機、これら複合機と、フィニッシャ等と組み合わせて構築される画像形成システムにおいて、画像形成後の複数のシートの先端部と、所定の形状に折り処理された折りシートとを重ね合わせて送出するシート重ね送出装置等に適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0133】
11 取り込みローラ
12 先端及び、後端検知センサ(シート検知手段)
13 後端検知センサ(シート検知手段)
20 スイッチバック搬送部(第1のシート搬送部)
21 スイッチバック搬送路(第1のシート搬送部)
22 正逆転ローラ(第1のシート搬送部)
23 搬送モータ(第1のシート搬送部)
30 分岐路
31,32 搬送路
33 分岐部材
40 待機位置搬送部(第2のシート搬送部)
41 待機搬送路(第2のシート搬送部)
42,43 正逆転ローラ(第2のシート搬送部)
44 搬送モータ(第2のシート搬送部)
50 制御部
51 A/D変換部
52 カウンタ(計数部)
53 ROM(制御部)
54 RAM(制御部)
55 CPU(制御部)
56 モータ制御部(制御部)
57 システムバス(制御部)
100 シート重ね送出装置(シート処理装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り処理されていない1枚、又は、2枚以上を重ね合わせた非折りシート材と、折り処理された1枚の折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するシート処理装置であって、
前記非折りシート材及び前記折りシート材の取り込みを検知するシート検知手段と、
前記シート検知手段によって検知された、少なくとも、前記非折りシート材を取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送し、その後、前記重ね合わせ位置から所定の待機位置に反転搬送する第1のシート搬送部と、
前記第1のシート搬送部によって前記待機位置に反転搬送された前記非折りシート材を、前記待機位置から前記重ね合わせ位置に向けて搬送する第2のシート搬送部と、
前記折りシート材の搬送方向における長さ情報を入力し、当該折りシート材の長さ情報に基づいて前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される前記非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、決定された前記非折りシート材の搬送開始タイミングを前記第2のシート搬送部に設定する制御部とを備えることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記制御部にシート検知情報を出力するシート検知手段は、
前記第1のシート搬送部の所定の位置に設けられ、少なくとも、前記非折りシート材の先端を検知する第1のシート検知部と、
前記第1のシート検知部から所定の長さだけ離れたシート搬送経路に配設され、少なくとも、前記折りシート材の後端を検知する第2のシート検知部とを有することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2のシート検知部から前記折りシート材の後端検知によって得られた後端検知情報を入力し、前記折りシート材の後端検知情報に基づく前記折りシート材の後端を検知した時刻から前記非折りシート材の搬送開始タイミングに至る時間情報を算出し、前記時間情報及び前記折りシート材の長さ情報に基づいて前記非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、
決定された前記搬送開始タイミングに基づいて前記非折りシート材の搬送速度は固定したままで前記非折りシート材と前記折りシート材とを重ね合わせることを特徴とする請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1及び第2のシート検知部に基づいてシート搬送制御をする場合は、
前記第1のシート検知部が前記折りシート材の先端を概略検知すると、前記非折りシート材を所定の搬送速度で前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、
搬送開始後、前記第2のシート検知部が前記折りシート材の後端を検知すると、前記非折りシート材の搬送速度を変更し、
前記第2のシート検知部に基づいてシート搬送制御をする場合は、
前記第2のシート検知部が前記折りシート材の先端を概略検知すると、前記非折りシート材を所定の搬送速度で前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、
搬送開始後、前記第2のシート検知部が前記折りシート材の後端を検知すると、前記非折りシート材の搬送速度を変更することを特徴とする請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項5】
折り処理されていない非折りシート材と、折り処理された折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するシート処理装置が、
非折りシート材を1枚、又は、2以上を重ね合わせて所定の待機位置で待機させる処理と、
前記非折りシート材を前記待機位置から前記重ね合わせ位置に向けて搬送すると共に、前記折りシート材を取り込み、前記非折りシート材の先端部と前記折りシート材の先端部とを重ね合わせる処理とを実行する際に、
前記重ね合わせ位置に取り込まれる前記折りシート材の後端を所定の位置で検知し、
前記折りシート材の後端検知によって得られた後端検知情報を入力し、かつ、前記折りシート材の搬送方向における長さ情報を入力し、
前記折りシート材の後端検知情報に基づく前記折りシート材の後端を検知した時刻から前記非折りシート材の搬送開始タイミングに至る時間情報を算出し、前記時間情報及び前記折りシート材の長さ情報に基づいて前記非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、
決定された前記搬送開始タイミングに基づいて前記非折りシート材の搬送速度は固定したままで前記非折りシート材と前記折りシート材とを重ね合わせることを特徴とするシート処理方法。
【請求項6】
折り処理されていない非折りシート材と、折り処理された折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するシート処理装置が、
非折りシート材を1枚、又は、2以上を重ね合わせて所定の待機位置で待機させる処理と、
前記非折りシート材を前記待機位置から前記重ね合わせ位置に向けて搬送すると共に、前記折りシート材を取り込み、前記非折りシート材の先端部と前記折りシート材の先端部とを重ね合わせる処理とを実行する際に、
前記重ね合わせ位置に取り込まれる前記折りシート材の先端を概略検知すると、前記非折りシート材を所定の搬送速度で前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、搬送開始後、前記折りシート材の後端を検知すると、前記非折りシート材の搬送速度を変更することを特徴とするシート処理方法。
【請求項1】
折り処理されていない1枚、又は、2枚以上を重ね合わせた非折りシート材と、折り処理された1枚の折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するシート処理装置であって、
前記非折りシート材及び前記折りシート材の取り込みを検知するシート検知手段と、
前記シート検知手段によって検知された、少なくとも、前記非折りシート材を取り込んで所定の重ね合わせ位置に向けて搬送し、その後、前記重ね合わせ位置から所定の待機位置に反転搬送する第1のシート搬送部と、
前記第1のシート搬送部によって前記待機位置に反転搬送された前記非折りシート材を、前記待機位置から前記重ね合わせ位置に向けて搬送する第2のシート搬送部と、
前記折りシート材の搬送方向における長さ情報を入力し、当該折りシート材の長さ情報に基づいて前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送される前記非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、決定された前記非折りシート材の搬送開始タイミングを前記第2のシート搬送部に設定する制御部とを備えることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記制御部にシート検知情報を出力するシート検知手段は、
前記第1のシート搬送部の所定の位置に設けられ、少なくとも、前記非折りシート材の先端を検知する第1のシート検知部と、
前記第1のシート検知部から所定の長さだけ離れたシート搬送経路に配設され、少なくとも、前記折りシート材の後端を検知する第2のシート検知部とを有することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2のシート検知部から前記折りシート材の後端検知によって得られた後端検知情報を入力し、前記折りシート材の後端検知情報に基づく前記折りシート材の後端を検知した時刻から前記非折りシート材の搬送開始タイミングに至る時間情報を算出し、前記時間情報及び前記折りシート材の長さ情報に基づいて前記非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、
決定された前記搬送開始タイミングに基づいて前記非折りシート材の搬送速度は固定したままで前記非折りシート材と前記折りシート材とを重ね合わせることを特徴とする請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1及び第2のシート検知部に基づいてシート搬送制御をする場合は、
前記第1のシート検知部が前記折りシート材の先端を概略検知すると、前記非折りシート材を所定の搬送速度で前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、
搬送開始後、前記第2のシート検知部が前記折りシート材の後端を検知すると、前記非折りシート材の搬送速度を変更し、
前記第2のシート検知部に基づいてシート搬送制御をする場合は、
前記第2のシート検知部が前記折りシート材の先端を概略検知すると、前記非折りシート材を所定の搬送速度で前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、
搬送開始後、前記第2のシート検知部が前記折りシート材の後端を検知すると、前記非折りシート材の搬送速度を変更することを特徴とする請求項2に記載のシート処理装置。
【請求項5】
折り処理されていない非折りシート材と、折り処理された折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するシート処理装置が、
非折りシート材を1枚、又は、2以上を重ね合わせて所定の待機位置で待機させる処理と、
前記非折りシート材を前記待機位置から前記重ね合わせ位置に向けて搬送すると共に、前記折りシート材を取り込み、前記非折りシート材の先端部と前記折りシート材の先端部とを重ね合わせる処理とを実行する際に、
前記重ね合わせ位置に取り込まれる前記折りシート材の後端を所定の位置で検知し、
前記折りシート材の後端検知によって得られた後端検知情報を入力し、かつ、前記折りシート材の搬送方向における長さ情報を入力し、
前記折りシート材の後端検知情報に基づく前記折りシート材の後端を検知した時刻から前記非折りシート材の搬送開始タイミングに至る時間情報を算出し、前記時間情報及び前記折りシート材の長さ情報に基づいて前記非折りシート材の搬送開始タイミングを決定し、
決定された前記搬送開始タイミングに基づいて前記非折りシート材の搬送速度は固定したままで前記非折りシート材と前記折りシート材とを重ね合わせることを特徴とするシート処理方法。
【請求項6】
折り処理されていない非折りシート材と、折り処理された折りシート材とを所定の重ね合わせ位置で重ね合わせて送出するシート処理装置が、
非折りシート材を1枚、又は、2以上を重ね合わせて所定の待機位置で待機させる処理と、
前記非折りシート材を前記待機位置から前記重ね合わせ位置に向けて搬送すると共に、前記折りシート材を取り込み、前記非折りシート材の先端部と前記折りシート材の先端部とを重ね合わせる処理とを実行する際に、
前記重ね合わせ位置に取り込まれる前記折りシート材の先端を概略検知すると、前記非折りシート材を所定の搬送速度で前記待機位置から重ね合わせ位置に向けて搬送を開始し、搬送開始後、前記折りシート材の後端を検知すると、前記非折りシート材の搬送速度を変更することを特徴とするシート処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−1544(P2013−1544A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136467(P2011−136467)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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