説明

シート切断・巻取装置

【課題】巻取しわと巻ずれの発生を防止できる、簡単な機構の安価なシート切断・巻取装置を提供する。
【解決手段】シート巻取部3と、離隔位置Aと中間位置Bと接近位置Cとにわたり変位可能なガイドローラ2と、ガイドローラ2を3つの位置A、B、Cにわたり変位させる駆動装置5と、ガイドローラ2が中間位置BにあるときにシートSを切断するシート切断手段4とを具備する。シート切断のタイミングに基づき、ガイドローラ2を離隔位置Aから中間位置Bへの接近およびこれに続いて中間位置Bから接近位置Cへの接近を行い、供給されるシートの供給速度と巻取りに使用している巻取管の回転数とに基づき、ガイドローラ2を接近位置Cから中間位置Bと離隔位置Aとに順次離隔させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラビア輪転印刷機、ラミネートされたウェブを製造するラミネータ、カラーリボンや磁気テープにコーティングを施すコーティングマシン等に装備されて、印刷等が施されたシートを、紙管等の巻取管に巻取るとともに、一定量に達すると切断を行うシート切断・巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したシート切断・巻取装置として、巻取管に対してニアロールを一定距離だけ離した状態で移動制御するものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
上記ニアロールは、巻取しわや巻ずれを発生させないで巻き上げることを可能とするために用いられている。なお、巻取しわとは、カットされたフィルムを前記巻取管により巻取る最中に発生するしわを言い、巻ずれとは、巻取管にて巻き取られるシートの端が一定位置に揃わずに巻取管の軸方向でずれることを言う。
【特許文献1】特開平5−338873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したシート切断・巻取装置は、巻取管に対するニアロールの位置制御を、超音波センサーにより巻取管とニアロールとの距離を計測しつつ連続的に行うように構成されていて、種々の制御用素子を要し高価になるという難点があり、ここに改善の余地が残されていた。
【0005】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたもので、巻取しわと巻ずれの発生を防止できる、簡単な機構の安価なシート切断・巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るシート切断・巻取装置は、供給されるシートを切断装置により切断し、切断後のシートを巻取位置にある巻取管に巻き取らせるようにしたシート切断・巻取装置において、前記巻取位置にある巻取管にシート所定径で巻取られたときのシート外表面から離れた離隔位置と、この離隔位置よりも前記巻取位置にある巻取管に接近し切断後のシートの端部を巻取管に巻取しわの無い状態で巻取らせる接近位置と、前記離隔位置と接近位置との間の中間位置とにわたり変位可能なガイドローラと、該ガイドローラを前記離隔位置と前記接近位置と前記中間位置とにわたり変位させる駆動装置とを具備し、前記駆動装置により、前記シート切断手段によるシート切断の際に前記ガイドローラを前記離隔位置から前記中間位置へ接近させ、シート切断後に前記ガイドローラを前記中間位置から前記接近位置へ接近させ、その後のシート巻取り中にシートの巻取増加に応じて前記ガイドローラを前記接近位置から前記中間位置と前記離隔位置とに順次段階的に離隔させる構成になっていることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に係るシート切断・巻取装置は、請求項1に記載のシート切断・巻取装置において、前記駆動装置は、2つのシリンダがブロックを背中合わせにして連結されたものを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に係るシート切断・巻取装置は、請求項1または2に記載のシート切断・巻取装置において、前記シートの切断に、シートを横切るように揺動するシート切断手段が用いられるとともに、そのシート切断手段が、シートを挟んで両側に一対設けられていて、どちらか一方によりシートが切断されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による場合には、シート切断後に、ガイドローラが中間位置から接近位置へ変位するので、巻取開始時において巻取しわの発生を防止することができ、また、その後の巻取管での巻き上げの間にガイドローラがシートの巻取増加に応じて接近位置、中間位置、離隔位置と順次遠ざかるので、巻取しわや巻ずれを発生させないようにすることができる。しかも、ガイドローラの位置を段階的に移動制御する構成であるので、簡単な機構の安価なものにできる。
【0010】
請求項2の発明による場合には、2つのシリンダの両方のロッドを退入させた最短長、一方のロッドを進出させた中間長、両方のロッドを進出させた最大長にすることができ、これら3つの長さを、離隔位置、中間位置、接近位置の各位置に対応させればよい。なお、2つのシリンダのロッドの進出長が異なっている場合には、中間長として長さが異なる2つの長さ寸法を設定することも可能になり、例えば中間位置と離隔位置との間に更に別の停止位置を設定することができ、シートの巻取径に応じてガイドローラを離していくことをより高い精度で行い得る。
【0011】
請求項3の発明による場合には、巻取管のフィルムの巻取り方向に拘わらず、どちらの方向に巻取る場合にも対応してフィルムの切断を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を具体的に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るシート切断・巻取装置を示す正面図である。
【0014】
このシート切断・巻取装置1は、図示しないシート供給側の装置(グラビア輪転印刷機等)のローラ100を経て送られるシートSを切断し、切断後のシートSを巻取るものである。より詳細には、上記ローラ100を経て送られるシートSをガイドローラ2でガイドしてシート巻取部3で巻取り、その巻取りが終了するとシート巻取部3の近傍においてシートSをシート切断手段4にて切断し、その切断後のシートSをシート巻取部3で巻取るようにするとともに、シート巻取時等にガイドローラ2の位置を駆動装置5により調整するように構成されている。
【0015】
なお、上記シート供給側の装置から送られてくるシートSは、例えば先行のシートと後続のシートがテープにより連結されたものであり、シート切断・巻取装置1は、後述するように上記テープの位置に応じた態様でシートを切断し、巻取るようになっている。
【0016】
上記シート巻取部3は、4つのアーム31、32、33、34を概略十字状に配し、間欠的にD方向(反時計方向)に旋回する巻取部材30を有し、アーム31、33には、図外の巻取駆動手段により回転駆動される巻取軸31a、33aが設けられ、アーム32、34にはシートSの位置を規制する回動自在なローラ32a、34aが設けられている。巻取軸31a、33aが設けられたアーム31、33は、ガイドローラ2に接近した巻取位置Xとその反対位置Yとで停止し、巻取位置Xと反対位置Yとの間では所定の速度で旋回するように、図外の駆動手段により旋回駆動される。
【0017】
巻取位置Xにある巻取軸31a、33aには巻取管35が装着され、巻取位置Xにおいてガイドローラ2を経由したシートSが巻取管35により巻き取られる。巻取られたシートSの長さが所定長に達すると、巻取部材30が旋回して巻取軸31a(33a)を反対位置Yに、巻取軸33a(31a)を巻取位置Xにそれぞれ位置させ、かつ上側に位置するローラ32a(34a)にてシートSをガイドする。図1では巻取部材30を旋回させた直後の状態を示していて、巻取軸33aが反対位置Yに、巻取軸31aが巻取位置Xに、ローラ32aが上側の位置にそれぞれ位置している。
【0018】
上記巻取管35は、巻取軸31a(33a)が反対位置Yにあるときに、抜取られ、続いてシートSの巻かれていないものが、巻取軸31a(33a)と同心状に装着されるようになっている。また、巻取位置Xにある巻取管35は、図外の回転駆動手段により巻取位置Xにある巻取軸31aが回転駆動されることで、回転するようになっている。
【0019】
ガイドローラ2は、軸部材20と軸部材20に取付けられたブラケット21とを有し、軸部材20とブラケット21とにはそれぞれローラ22、23が回動自在に設けられていて、これらローラ22、23によりシートSがS字状に案内される。軸部材20には、この軸部材20を軸24回りに揺動させる駆動装置5が取付けられている。この駆動装置5は、2つの同一のシリンダ51、52を組み合わせたもので、シリンダブロック51a、52a同士を背中合わせにして連結されていて、各シリンダ51、52のシリンダロッド51b、52bを所定位置に回動自在に取付けている。図示例ではシリンダロッド51bを軸部材20に取付け、シリンダロッド52bを、前記ローラ100が設けられた支柱101に取付けている。
【0020】
この駆動装置5は、各シリンダ51、52のシリンダロッド51b、52bを退入させると、両端が最短長となり、両方のシリンダロッド51b、52bを進出させると、両端が最大長となり、一方のシリンダロッド51b(52b)を進出させると、両端が中間長となる。このような両端長さの変化に伴い、軸部材20は、最短長のときに一点鎖線で示すように巻取位置Xの巻取軸31aから離れた離隔位置に、最大長のときに二点鎖線で示すように離隔位置よりも巻取位置Xにある巻取管35に接近し切断後のシートSの端部を巻取管35に支障の無い状態で巻取らせる接近位置に、中間長のときに実線で示す離隔位置と接近位置との間の中間位置に変位する。
【0021】
上記中間位置は、巻取位置Xの巻取軸31a(33a)に装着した巻取管35と、ローラ22、23のうちの巻取管35に近い側のローラ22との間の距離を所定長さにするための位置で、後述のようにシートSを前記シート切断手段4にて安定良く切断することができ、かつシートSの巻取り時に巻取しわおよび巻ずれを発生させ難い位置に設定している。また、接近位置は、シート切断手段4にて切断されたシートSが巻取しわの発生しないまたは発生し難く巻取られる位置に設定されている。更に、離隔位置は、巻取位置Xの巻取軸31a(33a)に巻取られたシートSの巻取径(直径)が最大径L1{図5(b)参照}となったときのシート外表面から少し離れた位置に設定されている。
【0022】
シート切断手段4は、軸40回りをE方向に揺動可能に設けた揺動部材41と、この揺動部材41を軸40回りに揺動させるシリンダ42と、揺動部材41の先端部に設けられた軸43回りに、揺動部材41とは逆方向(G方向)に揺動する揺動アーム44と、この揺動アーム44の先端部に設けられたカッタ刃45と、ブラシ46(図2参照)と、F方向に移動する押さえローラ47とを備える。上記押さえローラ47は、二点鎖線で示すように揺動部材41に格納される位置と、巻取位置Xにある巻取管35との間でシートSを押さえる位置と、これら両位置の間の一時待機位置との3位置で停止するようになっている。
【0023】
上記揺動部材41は、軸40回りであってE方向に揺動し、破線の位置で待機し、切断に際して実線の位置に移動し、この実線の位置で揺動アーム44が二点鎖線から実線で示すように揺動することで、カッタ刃45がシートSを切断し、切断後のシートSをブラシ46が巻取位置Xにある巻取管35に押し付けて、巻取管35の表面に設けられた接着部に貼着させるようになっている。上記ブラシ46がシートSを巻取管35へ押し付けることにより、切断されたシートSの先端が折れ曲がって二重に重なった折れしわになることなく巻取管35の表面に貼着される。
【0024】
なお、このシート切断手段4は、例えばオペレータが操作ボタンまたは操作スイッチなどを手動にて操作することにより、後述するように切断作業を実行するようになっている。
【0025】
図3は、本実施形態のシート切断・巻取装置1を制御する制御部の構成を示すブロック図である。
【0026】
この制御部7には、前記ローラ100を最終段に有するシート供給装置(図示せず)から出力されるシートSの供給速度と、上記オペレータによる操作ボタンまたは操作スイッチなどの手動操作による切断指令信号と、巻取位置Xの巻取軸31a(33a)の回転数、つまり巻取管35の回転数とが入力される。そした、この制御部7は、前記切断指令信号に基づいてシート切断手段4、駆動装置5および巻取部材30を制御する切断制御部71と、シートSの供給速度と巻取管35の回転数から巻取管35に巻取られたシートSの巻取径(例えば直径)を算出し、その算出値に基づき駆動装置5の作動タイミングを検出する駆動装置の作動タイミング検出部72を備える。
【0027】
切断制御部71は、切断指令信号に基づき、巻取部材30を旋回させて、それまで巻取っていた巻取管35を反対位置Yに、次の巻取管35を巻取位置Xに移動させ、これとほぼ同時に、駆動装置5を作動させてガイドローラ2を離隔位置Aから中間位置Bへ接近させ、その後所定タイミングでシート切断手段4を作動させてシートSを切断させ、続いて所定タイミングでガイドローラ2を中間位置Bから接近位置Cへ更に接近させる。
【0028】
一方、作動タイミング検出部72は、シートSの巻取径の算出値に基づき、後述するように駆動装置5を所定のタイミングで作動させ、ガイドローラ2の位置制御を行う。なお、上記切断指令信号、シートSの供給速度および巻取管35の回転数の各信号は、本発明を適用する以前の従来装置から用いている信号である。
【0029】
次に、このように構成された第1実施形態に係るシート切断・巻取装置1の動作内容につき説明する。なお、ここでは前記最大径L1として、例えば800mmの例を挙げて説明する。
【0030】
上述したように上記シート供給側の装置から、例えばテープで連結されたシートSが供給されてくる。そして、今から巻取るシートSの先端からの長さ表示が、シート切断手段4による切断作業を行うオペレータの近傍位置に予め設けられた表示部(図示せず)に表示されていて、そのシート長が所定のシート切断長に到達する直前の長さを見て、またはテープがシート切断手段4による切断位置の直前位置に到達したことを見て、オペレータは操作ボタン等を操作する。この操作ボタン等の操作は、シート切断手段4により所定長で切断されるように、テープが少し通り過ぎた直後で切断されるように行われる。なお、上記表示部に表示されるシート長は、前記ローラ100またはシート供給側の装置に備わった他のフィードローラの直径(または半径)とその回転数とに基づいて演算を行うことにより得られている。
【0031】
そして、上記オペレータの操作に基づいて、切断制御部71は、以下のように巻取部材30、駆動装置5およびシート切断手段4を制御する。即ち、巻取部材30を旋回させて切断前の巻取軸33aを反対位置Yに、次の巻取に用いる巻取軸31aを巻取位置Xにそれぞれ位置させ、かつ上側に位置するローラ32aにてシートSをガイドさせる。これとほぼ同時に、駆動装置5を作動させてガイドローラ2を離隔位置Aから中間位置Bに接近させる。続いて、所定タイミングでシート切断手段4の揺動部材41を二点鎖線から実線にて示す位置に揺動させ、続いて所定タイミングで押さえローラ47を移動させてこれにより巻取管35との間でシートSを押さえ、揺動アーム44を二点鎖線から実線で示すように揺動させる。これに伴い、シートSがカッタ刃45により切断される。なお、押さえローラ47は、巻取管35との間でシートSを押さえる位置に移動する前に、前記一時待機位置に待機している。
【0032】
このシートSの切断の際、ガイドローラ2が巻取軸に比較的近い中間位置Bとされることにより、シートの切断が安定良く行われ、かつ、ガイドローラ2が巻取軸に近付きすぎて切断前にシートSが巻取軸に巻きついてしまうようなことがない。
【0033】
続いて、シートSの切断に伴い直ちに、切断制御部71は図4(b)に示すようにガイドローラ2を中間位置Bから最も接近した接近位置Cに移動させる。切断後のシートSは、巻取位置Xの巻取軸31aに装着されている巻取管35に、ブラシ46により折れしわが防止された状態で貼着された後、巻取管35にガイドローラ2の接近位置Cへの接近により安定して巻き取られる。なお、揺動アーム44は、揺動部材41が実線から二点鎖線にて示すように元の位置に戻った後に、揺動部材41の内部に戻される。押さえローラ47は、シートSを押さえた状態を維持し、図示しないターレットタッチロールにより巻取位置Xにある巻取管35を押さえるようになると、元の位置に戻った揺動部材41に格納される。ここで、接近位置Cは巻取管35の周面とガイドローラ2の周面との間の距離が45〜20mm程度、中間位置Bは上記距離が170〜20mm程度、離隔位置Aは上記距離が190〜10mm程度にそれぞれ設定されている。
【0034】
その後、作動タイミング検出部72は、図5(a)に示すように、巻取位置Xにある巻取管35にシートSが巻き取られてシートSの巻取径が徐々に大きくなり、巻取径(直径)が、例えば140mmに達すると、ガイドローラ2を接近位置Cから中間位置Bに離隔させる。続いて、図5(b)に示すようにシートSの巻取径(直径)が、例えば440mmに達すると、作動タイミング検出部72はガイドローラ2を中間位置Bから離隔位置Aに更に離隔させる。その後、前述したようにシート巻取長が所定長へ到達するかまたはテープが切断位置に到達するかを、オペレータが視認することで、操作ボタン等を操作すると、以降において前同様の制御が繰り返される。
【0035】
したがって、第1実施形態に係るシート切断・巻取装置1による場合には、シート切断後(切断直後)に、ガイドローラ2が中間位置Bから接近位置Cへ変位するので、巻取開始時において巻取しわの発生を防止することができ、また、その後の巻取管35での巻き上げの間にガイドローラ2がシートSの巻取増加に応じて接近位置C、中間位置B、離隔位置Aと順次遠ざかるので、巻取しわや巻ずれを発生させないようにすることができる。しかも、ガイドローラ2の位置を接近位置C、中間位置B、離隔位置Aと段階的に移動制御する構成であるので、簡単な機構の安価なものにできる。更に、本実施形態にあっては、シート切断手段4がブラシ46を備えるので、折れしわの発生をも防止することが可能である。なお、本発明は、ブラシ46を省略したシート切断手段を用いる場合も含むものである。
【0036】
また、上述した実施形態ではシートSの巻取径に基づいてガイドローラ2を接近位置Cから中間位置B、中間位置Bから離隔位置Aに離隔させているが、本発明はこれに限らず、シートSの巻取管35による巻取長に基づいてガイドローラ2を接近位置Cから中間位置B、中間位置Bから離隔位置Aに離隔させてもよい。
【0037】
更に、上述した実施形態ではオペレータが表示部に表示されたシート長の長さ寸法を見て、またはテープの位置を見て操作ボタン等を操作することで、離隔位置Aから中間位置B、中間位置Bから接近位置Cに接近させるように制御しているが、本発明はこれに限らない。例えば、先行、後続のシートを連結したテープを検出手段にて検出して、テープが少し通り過ぎた位置で自動で切断する場合にも適用することができる。更には、シート長を自動計測し、そのシート長に応じて自動制御で、シート切断手段4、駆動装置5および巻取部材30を前述のように駆動し、シートを切断、巻取りする場合にも適用することができる。
【0038】
更にまた、上述した実施形態ではオペレータが操作ボタン等の操作を、表示部に表示される切断前のシート長に基づいて行う例を示しているが、本発明はこれに限らず、適当なシート長に達するとオペレータが操作ボタン等の操作を行ってシートを切断し、その切断したシートの長さを前記表示部に表示したりまたは巻取ったシートに切断シート長を記載したラベル等を貼着等したりする場合にも適用することができる。
【0039】
更にまた、上述した実施形態では本発明のシート切断・巻取装置1よりも上流のシート供給側の装置(グラビア輪転印刷機等)から送られてくるシートSとして、テープで連結されたものを例に挙げているが、本発明はこのようなシートSに限らず適用することができる。例えば、テープを用いないで連結されたシートは勿論のこと、シート供給側の装置から、本発明装置で切断し巻取るシート長に対して非常に長い(例えば2〜10倍や100倍以上の長さ)のシートが供給される場合にも適用することができる。
【0040】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係るシート切断・巻取装置の要部を示す正面図である。
【0041】
このシート切断・巻取装置は、巻取位置Xにあって巻取管35が装着された巻取軸31a(33a)に対し、ガイドローラ2が接離するように直線的にスライドし、そのガイドローラ2により巻取管35へ送られるシートSを挟んで両側、例えば上側と下側に、シートを横切るように揺動するシート切断手段4、4が用いられている。そして、ガイドローラ2は、固定部材80に対し移動する移動部材81に回動可能に取付けられ、移動部材81の両側部(図6の紙面と直交する方向の両側部)に設けられたピニオン84が固定部材80に設けられた一対のラック83に噛合することにより、移動部材81の両側部が同期して直線的に移動可能とされている。そして、例えば2つのシリンダを背中合わせに連結した駆動手段(図示省略)により、ガイドローラ2が離隔位置Aと中間位置Bと接近位置Cとに直線的に移動するように駆動される構成となっている。
【0042】
この第2実施形態のシート切断・巻取装置による場合には、どちらか一方のシート切断手段4によりシートSを切断することができる。よって、ガイドローラ2のローラ22、23へのシートSの通し方に拘わらずに切断が可能になる。例えば、図7(a)に示すように、ローラ23の上からローラ22の下を通るようにシートSを通し巻取管35に反時計回りに巻き付ける場合には、上側のシート切断手段4によりシートSを切断し、逆に図7(b)に示すように、ローラ23の下からローラ22の上を通るようにシートSを通し巻取管35に時計回りに巻き付ける場合には、下側のシート切断手段4によりシートSを切断するように用いられる。
【0043】
また、第2実施形態において、ガイドローラ2及びこれを移動可能に支持する機構及び駆動手段は、ガイドローラ2を直線的に移動させるように構成されているため、上記両シート切断手段4,4の間に、これらと干渉することなく配置することができる。
【0044】
なお、この第2実施形態において、ラック83を移動部材81に、回転歯車84を固定部材80に設けてもよく、或いは、他の同期ガイド機構を用いるようにしてもよい。
【0045】
また、上述した第1、第2の各実施形態では離隔位置、中間位置、接近位置の3つの位置にガイドローラ2を段階的に移動させる構成を例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限らず、シート切断後にガイドローラ2を遠ざける際、離隔位置と中間位置との間の別の停止位置でガイドローラ2が停止する機構としてもよく、このようにすればシートの巻取径に応じてガイドローラを離していくことをより高い精度で行い得る。そして、この構成は、シリンダロッドの長さが異なる2つのシリンダを用いれば同様の構成で実現させ得る。更に、離隔位置、中間位置、接近位置の3つの位置にガイドローラ2を移動させ、或いは別の停止位置を含む4つの位置にガイドローラ2を移動させる駆動装置としては、3位置または4位置に、例えばブレーキでロッド突出長が調整される1つのロッドを有するシリンダを用いることもできる。
【0046】
また、上述した実施形態では巻取部材として、2つの巻取軸を有するものを例に挙げているが、本発明はこれに限らない。例えば、3つ以上の巻取軸を有するものであっても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート切断・巻取装置を示す正面図である。
【図2】シート切断手段のカッタ刃とブラシの取付部を示す斜視図である。
【図3】図1のシート切断・巻取装置を制御する制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】ガイドローラの位置制御の内容を示す図であり、(a)はガイドローラが中間位置にあるときを示し、(b)はガイドローラが接近位置にあるときを示す。
【図5】ガイドローラの位置制御の内容を示す図であり、(a)はガイドローラが中間位置にあるときを示し、(b)はガイドローラが離隔位置にあるときを示す。
【図6】本発明の他の実施形態に係るシート切断・巻取装置の要部を示す正面図である。
【図7】図6のシート切断・巻取装置の動作説明図であり、(a)は上側のシート切断手段によりシートを切断する場合で、(b)は下側のシート切断手段によりシートを切断する場合である。
【符号の説明】
【0048】
1 シート切断・巻取装置
2 ガイドローラ
22、23 ローラ
3 シート巻取部
31a、33a 巻取軸
35 巻取管
4 シート切断手段
5 駆動装置
51、52 シリンダ
7 制御部
S シート
A 離隔位置
B 中間位置
C 接近位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給されるシートを切断装置により切断し、切断後のシートを巻取位置にある巻取管に巻き取らせるようにしたシート切断・巻取装置において、
前記巻取位置にある巻取管にシート所定径で巻取られたときのシート外表面から離れた離隔位置と、この離隔位置よりも前記巻取位置にある巻取管に接近し切断後のシートの端部を巻取管に巻取しわの無い状態で巻取らせる接近位置と、前記離隔位置と接近位置との間の中間位置とにわたり変位可能なガイドローラと、
該ガイドローラを前記離隔位置と前記接近位置と前記中間位置とにわたり変位させる駆動装置とを具備し、
前記駆動装置により、前記シート切断手段によるシート切断の際に前記ガイドローラを前記離隔位置から前記中間位置へ接近させ、シート切断後に前記ガイドローラを前記中間位置から前記接近位置へ接近させ、その後のシート巻取り中にシートの巻取増加に応じて前記ガイドローラを前記接近位置から前記中間位置と前記離隔位置とに順次段階的に離隔させる構成になっていることを特徴とするシート切断・巻取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート切断・巻取装置において、
前記駆動装置は、2つのシリンダがブロックを背中合わせにして連結されたものを有することを特徴とするシート切断・巻取装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシート切断・巻取装置において、
前記シートの切断に、シートを横切るように揺動するシート切断手段が用いられるとともに、そのシート切断手段が、シートを挟んで両側に一対設けられていて、どちらか一方によりシートが切断されることを特徴とするシート切断・巻取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−254920(P2008−254920A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102173(P2007−102173)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000237260)富士機械工業株式会社 (26)
【Fターム(参考)】