説明

シート切断装置およびこれを備えた画像形成装置

【課題】カッタの交換を容易に行うことができるシート切断装置および画像形成装置を提供すること。
【解決手段】シート搬送経路を搬送されるシートを所定の長さに切断するシート切断装置は、シートを介して互いに対向配置された刃部からなるカッタ50を収容するカッタホルダ101と、カッタホルダ101を保持するカッタベース102とを有するカッタハウジング51を備え、カッタハウジング51が、シート切断後、シート搬送経路に対してシートの厚さ方向に退避した状態でシート幅方向に移動可能に構成され、カッタホルダ101が、カッタベース102に対して着脱自在に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻かれたシートを任意の長さに切断するためのシート切断装置に関し、特に、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に搭載されるシート切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ロール状に巻かれた長尺のシート(以下、ロール紙という)を所定の搬送方向に搬送し、当該ロール紙上に画像を形成するタイプの画像形成装置が知られている。一般に、このような画像形成装置には、ロール紙を所定の長さに切断するシート切断装置が搭載されている。
【0003】
従来、この種のシート切断装置として、カッタを収容保持したカッタホルダと、このカッタホルダを保持してロール紙の搬送方向と直交する幅方向に移動可能に構成されたベース部材とを有するカッタユニットを備えたものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。このようなシート切断装置では、ベース部材を幅方向の一方に移動させることによりロール紙を切断し、切断後にベース部材を幅方向の他方に後退させて次回の切断に備えるようにしている。
【0004】
このようなシート切断装置では、カッタホルダをベース部材に対して着脱自在に構成することにより、カッタの摩耗時などにはカッタホルダごと容易に交換することができるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のカッタホルダは、着脱方向がシート搬送方向と同方向であるため、カッタの交換時にはシート搬送方向に比較的広いスペースが必要とされる。この点、特許文献1に記載のシート切断装置では、カッタホルダがプラテンおよび排紙ガイドに対して上方側に配置されているため、上記スペースは十分に確保されている。ところが、例えばシート切断後にカッタホルダがプラテンおよび排紙ガイドから下方に退避するような構成のシート切断装置においては、プラテンおよび排紙ガイドが障害となり上記のようなスペースを容易に確保できない。このため、特許文献1に記載のカッタホルダを上記構成のシート切断装置に適用した場合には、カッタの交換時にプラテンおよび排紙ガイドを取り外す必要があり、カッタの交換を容易に行うことができないという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に記載のカッタホルダにあっても、係止爪と係合部との係合の解除を行うために、シート搬送方向に比較的広いスペースが必要であり、かつユーザがカッタホルダにアクセスできるだけのスペースが必要となる。したがって、このような構成のカッタホルダを上記構成のシート切断装置に適用した場合には、上記と同様にカッタの交換を容易に行うことができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、カッタの交換を容易に行うことができるシート切断装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るシート切断装置は、上記目的を達成するため、搬送経路を搬送されるシートを所定の長さに切断するシート切断装置であって、前記シートを介して互いに対向配置された刃部からなるカッタを収容するカッタホルダと、前記カッタホルダを保持するカッタベースとを有し、前記シートの搬送方向と直交する幅方向に移動可能なカッタハウジングを備え、前記カッタハウジングは、シート切断後、前記搬送経路に対して前記シートの厚さ方向に退避した状態で前記幅方向に移動可能に構成され、前記カッタホルダは、前記カッタベースに対して着脱自在に構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、カッタの交換を容易に行うことができるシート切断装置および画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート切断装置を備えたインクジェット式記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るインクジェット式記録装置の概略側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るシート切断装置の概略構成を示す背面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るシート切断装置を示す図であって、(a)は、シート切断装置の一部断面を示す側面図であり、(b)は、シート切断装置の一部断面を示す上面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るカッタハウジングがロール紙切断動作領域に復帰した状態を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るカッタハウジングの復路移行時の状態を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るカッタハウジングの復路移行時の状態を示す一部断面側面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るカッタハウジングの復路移動時の状態を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るカッタハウジングが復路からホームポジションに復帰するための動作を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るカッタハウジングのロール紙切断動作領域復帰時の状態を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るカッタハウジング、プラテン板および排紙ガイド板の分解斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るカッタユニットを示す図であって、(a)は、背面側から見た斜視図であり、(b)は、正面側から見た斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るカッタハウジングの復路移動時の様子を示す斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態に係るカッタハウジングの復路移動時の様子を示す一部断面側面図である。
【図15】本発明の実施の形態に係るカッタハウジングとプラテン板および排紙ガイド板との関係を示す斜視図である。
【図16】本発明の実施の形態に係るカッタハウジングの往路移動時の様子を示す斜視図である。
【図17】本発明の実施の形態に係るカッタハウジングの往路移動時の様子を示す一部断面側面図である。
【図18】本発明の実施の形態に係るカッタハウジングがシート搬送経路から退避した状態を示す図であって、(a)は、カッタホルダの取付時を示す図であり、(b)は、カッタホルダの取り外し時を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態に係るカッタホルダの斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態に係るカッタユニットの斜視図であって、カッタホルダを取り外した状態の斜視図である。
【図21】本発明の実施の形態に係る駆動コロの回転駆動力の伝達構造を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態に係るカッタホルダの着脱位置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0012】
図1〜図22は、本発明に係るシート切断装置および画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置をインクジェット式記録装置に適用した例を示している。
【0013】
図1および図2に示すように、画像形成装置としてのインクジェット式記録装置1は、インクジェットヘッドをシートの幅方向に走査させながら画像を形成し、1回あるいは複数回の走査が終了した後にシートを搬送し、次の記録ラインを形成する、いわゆるシリアル型インクジェット式記録装置である。なお、シリアル型に限らず、複数のノズルが略シートの幅方向全域に形成され、幅方向への走査を行わずにシートを搬送しながら記録する、いわゆるライン型のインクジェット式記録装置にも適用可能である。
【0014】
インクジェット式記録装置1は、画像形成手段としての画像形成部2と、シート搬送手段としてのシート搬送部3と、ロール紙収納部4と、シート切断装置5とを含んで構成され、これら各部は装置本体1aの内部に配置されている。
【0015】
画像形成部2は、図示しない両側板にガイドロッド13およびガイドレール14が掛け渡され、これらのガイドロッド13およびガイドレール14にキャリッジ15が矢印A方向に摺動可能に保持されている。ここで、摺動とは、キャリッジ15がガイドロッド13およびガイドレール14に接触しつつ、これらガイドロッド13およびガイドレール14上を矢印A方向に移動することをいう。
【0016】
キャリッジ15には、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のインク滴を吐出する液体吐出ヘッド(記録ヘッド)が搭載されている。各記録ヘッドには、図示を省略しているが、各記録ヘッドにインクを供給するサブタンクが一体的に設けられている。
【0017】
キャリッジ15は、主走査機構10によって主走査方向、すなわちシート幅方向(図中、矢印Aで示す方向)に移動走査されるようになっている。主走査機構10は、シート幅方向の一方側に配置される駆動モータ21と、駆動モータ21によって回転駆動される駆動プーリ22と、シート幅方向の他方側に配置された従動プーリ23と、駆動プーリ22と従動プーリ23との間に掛け回されたベルト部材24とを備えている。従動プーリ23は、図示しないテンションスプリングによって外方、すなわち駆動プーリ22に対して離間する方向にテンションがかけられている。ベルト部材24は、キャリッジ15の背面側に設けたベルト固定部に一部分が固定保持されていることで、シート幅方向にキャリッジ15を牽引する。
【0018】
また、キャリッジ15の主走査位置を検知するため、図示しないエンコーダシートがキャリッジ15のシート幅方向に沿って配置されている。キャリッジ15の主走査位置は、キャリッジ15に設けられた図示しないエンコーダセンサによってエンコーダシートが読取られることにより検知される。
【0019】
このキャリッジ15における主走査領域のうち、記録領域では、ロール紙30がシート搬送部3によってシート幅方向と直交する方向、すなわちシート搬送方向(図中、矢印Bで示す方向)に間欠的に搬送される。
【0020】
また、シート幅方向のキャリッジ移動領域外、または主走査領域のうち一方の端部側領域には、記録ヘッドのサブタンクに供給する各色のインクを収容したメインカートリッジ18が装置本体1aに対して着脱自在に装着されている。さらに、上記主走査領域のうち他方の端部側領域には、記録ヘッドの維持回復を行う維持回復機構19が配置されている。
【0021】
ロール紙収納部4は、給紙手段であり、画像記録用のシートとしてロール紙30がセットされるようになっている。このロール紙収納部4には、シート幅方向のサイズが異なるロール紙がセット可能である。ロール紙30は、その紙軸に両側からフランジ31を装着し、このフランジ31をフランジ受け32に載置することによりロール紙収納部4に収容される。フランジ受け32の内部には、図示しない支持コロが設けられ、該支持コロがフランジ31の外周と当接することでフランジ31が回転し、シート30がシート搬送経路に送り出される。
【0022】
図2に示すように、シート搬送部3は、給紙ローラ対33と、レジストローラ34およびレジスト加圧ローラ35と、用紙吸引搬送機構36とを備えている。給紙ローラ対33は、ロール紙収納部4からロール紙30をシート搬送経路に給紙するようになっている。レジストローラ34およびレジスト加圧ローラ35は、画像形成部2のシート搬送方向下流に設けられ、給紙されたロール紙30を画像形成部2を介してシート切断装置5に搬送するようになっている。
【0023】
また、用紙吸引搬送機構36は、シート搬送経路を挟んで画像形成部2の下方に配置され、吸引動作を行うことにより、上面に配置された後述するプラテン板80(図11参照)上にロール紙30を吸い付けるようになっている。これにより、画像形成部2の下方に搬送されたロール紙30は、平面度が維持される。
【0024】
ロール紙収納部4から送り出されたシート30は、装置本体1aの後方(図中、右側)から前方(図中、左側)に向けて、シート搬送部3により画像形成部2の下部に位置する所定の記録領域へと搬送される。上記記録領域にロール紙30が搬送されると、キャリッジ15がシート幅方向に往復移動し、画像情報に応じて記録ヘッドによりインク滴が吐出される。さらに、ロール紙30を間欠的に搬送しながら記録ヘッドによるインク滴の吐出を繰り返し行うことにより、ロール紙上の各記録ラインに画像が形成される。最終的には、画像情報に応じた所望の画像がロール紙30上に形成される。
【0025】
画像形成後のロール紙30は、シート切断装置5によって所定の長さに切断され、図示しない排紙ローラを介して装置本体1aの前方側に配置された排紙トレイ(図示省略)に排出される。
【0026】
次に、図3〜図7を参照して、本実施の形態に係るシート切断装置5について、説明する。なお、図3は、装置本体1a(図1参照)の背面側からシート切断装置5を見た図である。
【0027】
図3および図4(a)、(b)に示すように、シート切断装置5は、画像形成部2のシート搬送方向下流側に配置され(図2参照)、カッタユニット40と、ガイド部材41とを含んで構成されている。シート切断装置5は、シート搬送経路を搬送されるロール紙30を所定の長さに切断するようになっている。
【0028】
カッタユニット40は、カッタ50が内蔵されたカッタハウジング51と、移動ユニット52とを備えている。
【0029】
カッタ50は、ロール紙30を介して互いに対向配置された円形刃物50a、50bからなり、カッタハウジング51に回転可能に保持されている。円形刃物50a、50bは、カッタハウジング51のシート幅方向(図3中、矢印Aで示す方向)の移動に応じて駆動力を得て回転するようになっている。すなわち、カッタ50は、円形刃物50a、50bが回転しながらロール紙30を切断するため、比較的厚さのあるロール紙などの切断にも対応できる。また、カッタ50は、円形刃物で構成されているため、固定刃のように所定箇所のみが集中して摩耗するといった不具合を防止することができる。なお、カッタ50を構成する円形刃物は、2枚に限らず、1枚あるいは3枚以上で構成されていてもよい。ただし、円形刃物を1枚で構成した場合には、カッタ50の移動方向に延在する直線状の固定刃を別途設けるのが好ましい。本実施の形態における円形刃物50a、50bは、本発明に係る刃部を構成している。
【0030】
カッタハウジング51は、後述する移動ユニット52によってシート幅方向に往復移動可能に構成されている。カッタハウジング51は、装置本体1a(図1参照)の他方側から一方側へ移動する往路ではカッタ50によりロール紙30を切断するようになっている。一方、カッタハウジング51は、装置本体1a(図1参照)の一方側から他方側へ移動する復路ではシート搬送経路からシート厚さ方向、すなわち鉛直方向の下方に退避した状態で元の位置(以下、ホームポジションという)に移動するようになっている。このため、復路では、カッタハウジング51がシート搬送経路から離隔し、シート搬送経路を塞ぐことがない。また、カッタハウジング51は、シート幅方向の両端に設置された図示しないマイクロスイッチなどの検出手段により位置検出され、制御される。カッタハウジング51の詳細な構成については、後述する。
【0031】
移動ユニット52は、駆動コロ55と、従動コロ56と、牽引部材57とからなり、カッタハウジング51をシート幅方向に移動させるようになっている。
【0032】
駆動コロ55は、ゴムローラからなり牽引部材57に回転可能に保持されている。牽引部材57は、装置本体1aのシート幅方向両側に設けられた一対のプーリ58に架け渡されたワイヤ59に接続されている。また、ワイヤ59は、図示しない駆動モータにより回転するプーリ58を介してシート幅方向に回転移動するようになっている。したがって、駆動コロ55は、ワイヤ59の回転移動に応じて後述する上ガイドレール61上を回転駆動するようになっている。移動ユニット52は、駆動コロ55の回転駆動によりシート幅方向に移動可能とされる。また、駆動コロ55は、回転軸55aを介してカッタハウジング51に連結され、カッタハウジング51を保持するようになっている。
【0033】
図12(a)、(b)に示すように、牽引部材57は、回転軸55aを回転可能に支持することにより駆動ローラ55を回転可能に保持している。牽引部材57は、上ガイドレール61と後述する上ガイド板63との間にシート幅方向に移動可能に配置されている(図4参照)。また、牽引部材57には、補助ローラ57a、57bが設けられている。この補助ローラ57a、57bのうち、補助ローラ57bは、図示しない付勢部材により上方に向けて付勢、すなわち押し付けられている。補助ローラ57a、57bは、いずれも上ガイド板63(図4(a)参照)に当接し、駆動ローラ55を上ガイドレール61上に付勢、すなわち押し付けるようになっている。これにより、駆動ローラ55と上ガイドレール61との間に所定の摩擦抵抗を生じさせることで、牽引部材57の移動に応じて駆動ローラ55を回転させることができる。
【0034】
また、回転軸55aには、プーリ55bが一体回転可能に取り付けられている。一方で、カッタハウジング51には、カッタ50(図3参照)に回転駆動力を伝達するプーリ75が取り付けられており、これらプーリ55bおよびプーリ75間に無端ベルト76が掛け回されている。したがって、牽引部材57のシート幅方向への移動に応じて、回転軸55a、プーリ55b、無端ベルト76およびプーリ75を介して回転駆動力がカッタ50に伝達される。これにより、円形刃物50a、50bが回転するようになっている。
【0035】
図3および図4(a)、(b)に示すように、従動コロ56は、駆動コロ55とシート幅方向に離間した位置に回転自在に設けられている。従動コロ56は、カッタハウジング51の往路では後述する上ガイドレール61上を移動し、復路では後述する下ガイドレール62上を移動するようになっている。すなわち、従動コロ56は、カッタハウジング51の移動に際し、上ガイドレール61および下ガイドレール62に対してカッタハウジング51を位置決めする部材として機能する。なお、カッタハウジング51の位置決め用の部材としては、従動コロ56に限らず、例えば円弧状の突起であってもよい。
【0036】
また、カッタハウジング51は、往路と復路との切換時、駆動コロ55の回転軸55aを支点に鉛直方向に回動するようになっている。これにより、カッタハウジング51は、往路でロール紙30を切断する姿勢と、復路でシート搬送経路から退避した姿勢とが切り換わるようになっている。ここで、上記回動とは、カッタハウジング51が回転軸55aを支点に所定角度範囲で正逆方向に回転することをいう。
【0037】
ここで、図4(a)に示すように、駆動コロ55と従動コロ56とは、互いにシート搬送方向(図中、矢印Bで示す方向)にずらして配置されている。具体的には、従動コロ56が駆動コロ55よりシート搬送方向の上流側に配置される。このため、駆動コロ55を上ガイドレール61上に維持した状態で、従動コロ56を上ガイドレール61と下ガイドレール62との間で移動させることができ、上述したカッタハウジング51の回動を実現することができる。なお、図4(a)において矢印B方向に延在する破線は、シート搬送経路である。また、本実施の形態においては、図4(a)に示すように、カッタハウジング51がキャリッジ15のシート搬送方向の幅内に配置される構成としたが、これに限らず、例えばキャリッジ15に対してカッタハウジング51がシート搬送方向上流側あるいは下流側に離間した位置に配置される構成であってもよい。
【0038】
さらに、図3に示すように、カッタハウジング51は、シート搬送経路に対して鉛直方向に所定の角度で傾斜した傾斜面部51cを有している。この傾斜面部51cの傾斜角度は、カッタハウジング51が復路を移動する際にシート搬送経路と平行となる角度に設定されている。
【0039】
図3に示すように、ガイド部材41は、移動ユニット52がシート幅方向に移動するのをガイドする部材であって、シート幅方向に延在し、少なくともシート搬送幅よりも長く設定された上ガイドレール61と、上ガイドレール61に対してシート搬送経路より鉛直方向の下方に離間した下ガイドレール62とを備えている。また、図4(a)に示すように、ガイド部材41は、上ガイドレール61の上方に上ガイド板63を備えている。ガイド部材41は、上ガイドレール61上にカッタハウジング51の往路を形成し、下ガイドレール62上にカッタハウジング51の復路を形成している。上ガイドレール61と下ガイドレール62とは、同一部材で構成したが、これに限らず、それぞれ別部材で構成してもよい。
【0040】
上ガイドレール61は、図4(a)、図4(b)に示すように、シート搬送方向に並列に、駆動コロ55をシート幅方向に案内する駆動コロ案内領域61aと、カッタハウジング51が往路を移動するよう従動コロ56を案内する従動コロ案内領域61bとを有している。駆動コロ案内領域61aと従動コロ案内領域61bとは、上ガイドレール61の同一レールで構成したが、これに限らず、それぞれ別のレールで構成してもよい。
【0041】
従動コロ案内領域61bのシート幅方向の一方側には、カッタハウジング51の経路を往路から復路に切り換えるための第1連通路61cが形成されている。第1連通路61cは、図6に示すように、上ガイドレール61上の往路と下ガイドレール62上の復路とを連通するよう上ガイドレール61に形成されている。具体的には、上ガイドレール61がシート幅方向の一方側の所定箇所で切り欠かれるとともに、切り欠かれた端部が下方に向けて所定の角度で傾斜するよう折り曲げられることにより第1連通路61cが形成される。これにより、従動コロ56は、ロール紙切断後、上ガイドレール61から下ガイドレール62に移動可能となる。また、第1連通路61cに隣接する上ガイドレール61の下方側端部61dは、復路を移動する従動コロ56との接触を避けるため、上方に折り曲げられている。
【0042】
一方で、図5に示すように、従動コロ案内領域61bのシート幅方向の他方側には、移動機構70が設けられている。移動機構70は、カッタハウジング51が図10の実線で示すホームポジションからシート幅方向の他方に移動したとき、従動コロ56を下ガイドレール62から上ガイドレール61に移動させる、すなわちカッタハウジング51をロール紙切断動作領域に復帰させるための機構である。
【0043】
移動機構70は、下ガイドレール62上の復路と上ガイドレール61上の往路とを連通させる第2連通路61eと、第2連通路61eに隣接して上ガイドレール61に設けられた切換爪71とを有している。
【0044】
第2連通路61eは、上ガイドレール61の他方側の所定箇所が切り欠かれることにより形成されている(図4(b)参照)。
【0045】
切換爪71は、復路と上記第2連通路61eとの間で回動自在に設けられ、先端部が下ガイドレール62に当接するよう、図示しないコイルばねなどの付勢部材により常時、下方側に付勢されている。したがって、図9に示すように、切換爪71は、カッタハウジング51が復路をシート幅方向の他方側に移動する際に、従動コロ56が接触することにより図中破線で示す通り、付勢部材の付勢力に抗して上方に回動するようになっている。そして、この状態から従動コロ56がさらにシート幅方向の他方側に移動すると、切換爪71は、従動コロ56との接触が解除され、付勢部材により元の位置すなわち図中実線で示す位置に復帰するようになっている。さらに、切換爪71は、図9中、実線で示す位置においては所定の角度で傾斜している。これにより、図10に示すように、カッタハウジング51が復路から往路に復帰する際に、切換爪71を介して従動コロ56を下ガイドレール62から上ガイドレール61に移動させることができる。なお、切換爪71は、板バネで構成されていてもよい。この場合には、上記付勢部材が不要となる。
【0046】
下ガイドレール62は、カッタハウジング51が復路を移動する際に従動コロ56を案内するようになっている。
【0047】
次に、図5〜図10を参照して、シート切断装置5の動作について説明する。
【0048】
まず、図10に示すように、ロール紙30の切断前においては、カッタハウジング51は、シート幅方向の他方側のホームポジション(図10中、実線で示す位置)に位置している。次いで、シート切断の指示を受けると、カッタハウジング51は、ワイヤ59(図3参照)を介して駆動コロ55が回転駆動することにより、ホームポジションからロール紙切断動作領域(図10中、破線で示す位置)に移動した後、往路をシート幅方向の一方側に移動する。このとき、カッタハウジング51の移動に応じてカッタ50により、ロール紙30が切断される。
【0049】
次いで、図6に示すように、カッタハウジング51がシート搬送経路を横断して往路をシート幅方向の一方まで移動すると、ロール紙30の切断が終了する。そして、シート幅方向の一方に移動したカッタハウジング51は、その移動経路を往路から復路へと切り換えるべく、駆動コロ55の回転軸55a(図4(a)参照)を支点に鉛直方向の下方に自重により回動する。具体的には、上ガイドレール61上を移動していた従動コロ56が第1連通路61cに達し、従動コロ56が第1連通路61cを介して上ガイドレール61から下ガイドレール62に移動する。このとき、図7に示すように、駆動コロ55は上ガイドレール61上に維持されたまま、従動コロ56のみがカッタハウジング51の自重により下ガイドレール62に移動する。これにより、図中、破線で示すシート搬送経路と重なっていたカッタハウジング51が回動し、復路を移動可能な姿勢、すなわちシート搬送経路から退避した姿勢(図6中、破線で示す姿勢)となる。
【0050】
その後、シート幅方向の一方に設けられた検出手段による位置検出に基づき、ワイヤ59(図3参照)の駆動が逆転され、駆動コロ55の回転駆動が往路のときと逆の回転駆動とされる。これにより、図8に示すように、カッタハウジング51は、シート搬送経路から退避した姿勢で復路をシート幅方向の他方側に向けて移動する。このとき、傾斜面部51cがシート搬送経路と平行であり、往路のときと異なりカッタハウジング51がシート搬送経路から下方に退避している。このため、カッタハウジング51が復路を移動中であっても、シート搬送経路を介してロール紙30を搬送可能であり、生産性を向上させることができる。また、カッタ50と切断済みのロール紙30との接触を回避でき、カットジャムなどの不具合を防止することができる。
【0051】
次いで、図9に示すように、カッタハウジング51がシート幅方向の他方側に移動し、移動機構70の近傍まで来ると、従動コロ56が切換爪71に接触する。そして、従動コロ56は、カッタハウジング51の移動に応じて図中、破線で示すように切換爪71を押し上げ、復路側(図9中、切換爪71の右側)からシート幅方向の他方側すなわち第2連通路61e側(図9中、切換爪71の左側)に移動する。従動コロ56が第2連通路61e側に移動すると、切換爪71は従動コロ56との接触が解除され、付勢部材により元の位置すなわち図中実線で示す位置に復帰する。
【0052】
これにより、カッタハウジング51のシート幅方向の一連の往復動作が終了する。また、後続するロール紙30がある場合には、上述した一連の往復動作を繰り返し実行する。
【0053】
次に、図11〜図17を参照して、本実施の形態に係るシート切断装置5の具体的な設置例について説明する。
【0054】
図11、図14および図17に示すように、本実施の形態に係るインクジェット式記録装置1は、プラテン板80および排紙ガイド板81を備えており、これらプラテン板80および排紙ガイド板81は上面にシート搬送経路を有する。プラテン板80は、カッタハウジング51に対してシート搬送方向(図中、矢印Bで示す方向)の上流側に配置されている。排紙ガイド板81は、カッタハウジング51に対してシート搬送方向の下流側に配置されている。すなわち、プラテン板80と排紙ガイド板81とは、カッタハウジング51を挟んでシート搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ配置されている。ここで、図11においては、説明の便宜上、プラテン板80および排紙ガイド板81をカッタハウジング51に対して離隔させた状態を示すが、実際には図13および図16に示すように、プラテン板80および排紙ガイド板81は、カッタハウジング51に対して近接するよう配置される。
【0055】
プラテン板80は、図14および図17に示すように、平板状に形成され、シート搬送方向の下流側に下流側端部80aを有している。この下流側端部80aは、カッタハウジング51とオーバラップするようになっている。
【0056】
排紙ガイド板81は、図14および図17に示すように、シート搬送方向の上流側に上流側端部81aを有している。この上流側端部81aは、カッタハウジング51とオーバラップするようになっている。また、排紙ガイド板81は、プラテン板80と同程度の高さに位置する平面部81bに対して、シート搬送方向の上流側に向かって傾斜したすくい部81cを有する。すくい部81cは、シート切断後に後続するロール紙30が排紙ガイド板81の内部に入り込まないようにするためのものである。なお、本実施の形態では、排紙ガイド板81は、すくい部81cを有する形状としたが、これに限らず、例えば平面部81bのみによって構成してもよい。ただし、この場合には、平面部81bがプラテン板80よりも低い位置となるよう排紙ガイド板81を配置するのが好ましい。また、排紙ガイド板81の平面部81bに排紙ローラを設ける構成としてもよい。
【0057】
また、図15に示すように、すくい部81cのシート幅方向(図中、矢印Aで示す方向)の両端には、所定の切欠き部81dが設けられている。図15においては、シート幅方向の一端のみを図示しているが、すくい部81cの反対側のシート幅方向の端部にも、同様に切欠き部81dが設けられている。この切欠き部81dは、上流側端部81aのシート幅方向の長さを平面部81bおよびすくい部81cのシート幅方向の長さより短くすることによって形成されている。上流側端部81aのシート幅方向の長さは、プラテン板80のシート幅方向の長さと同一、あるいは図3に示すシート搬送幅と同一に設定されている。具体的には、上流側端部81aのシート幅方向の両端のうち、ホームポジション側の端部は、カッタハウジング51が図5に示すロール紙切断動作領域復帰時の位置にあるとき、傾斜面部51cと接触しないよう傾斜面部51よりロール紙30の切断方向(図5中、右方向)下流側に位置している。一方、ホームポジション側と反対側の端部は、図6に示すように、往路から復路に移行するカッタハウジング51の回動軌跡と重複しないよう、該回動軌跡よりロール紙30の切断方向(図6中、右方向)上流側に位置している。
【0058】
これにより、カッタハウジング51は、往路から復路、復路から往路に姿勢を切り換える際に切欠き部81dを通ることにより、上流側端部81aとカッタハウジング51とがオーバラップしている場合であっても、排紙ガイド板81と接触せずに排紙ガイド板81の下方と上方との間で回動可能とされる。なお、本実施の形態では、切欠き部81dを設けることによりカッタハウジング51の回動を可能としたが、これに限らず、例えばすくい部81cおよび平面部81bのシート幅方向の長さを上述した上流側端部81aのシート幅方向の長さと同一とすることにより、カッタハウジング51の回動を可能としてもよい。
【0059】
本実施の形態におけるプラテン板80および排紙ガイド板81は、本発明に係る搬送ガイド板を構成している。
【0060】
カッタハウジング51は、プラテン板80の下流側端部80aと排紙ガイド板81の上流側端部81aとの間に配置されている。また、カッタハウジング51は、その一部が下流側端部80aおよび上流側端部81aに対してシート搬送方向にオーバラップするように配置されている。
【0061】
具体的には、図12(a)、(b)に示すように、カッタハウジング51は、往路および復路を移動する際に下流側端部80aおよび上流側端部81aとオーバラップする第1の逃げ部91、第2の逃げ部92および第3の逃げ部93の各種の逃げ部を有する。
【0062】
図14および図15に示すように、カッタハウジング51が復路を移動する際には、第1の逃げ部91と下流側端部80aとがオーバラップし、かつ第2の逃げ部92と上流側端部81aとがオーバラップするようになっている。このため、下流側端部80aおよび上流側端部81aをカッタ50の切断位置近傍まで近づけることができ、ロール紙30の搬送とシート切断動作とを安定して行うことが可能となる。
【0063】
本実施の形態では、上述した第1の逃げ部91および第2の逃げ部92は、いずれもテーパ形状としたが、これに限らず、例えば段形状としてもよいし、カッタハウジング51の内方側に湾曲する曲面形状であってもよい。
【0064】
また、図17に示すように、カッタハウジング51が往路を移動する際には、第3の逃げ部93と下流側端部80aとがオーバラップするようになっている。第3の逃げ部93は、凹状の溝として形成されている。このため、下流側端部80aをカッタ50の切断位置近傍まで近づけることができ、ロール紙30の搬送とシート切断動作とを安定して行うことが可能となる。
【0065】
また、図17に示すように、カッタハウジング51は、往路移動時の上流側端部81aより上側部分のシート搬送方向の幅Wに対して、上流側端部81aより下側部分のシート搬送方向の幅Wが小さく設定されている(W>W)。したがって、カッタハウジング51が往路を移動する際に、排紙ガイド板81の上流側端部81aが接触しないようになっている。
【0066】
また、図14および図17に示すように、排紙ガイド板81とガイド部材41とは、シート厚さ方向にオーバラップするように配置される。これにより、ガイド部材41に加えて排紙ガイド板81を有する場合であっても、ガイド部材41の設置箇所に関わらず、排紙ガイド板81をカッタハウジング51に近接させることができる。このため、装置本体1a(図1参照)のシート搬送方向の幅を縮小することができ、装置本体1aの小型化を図ることができる。なお、本実施の形態では、ガイド部材41をカッタハウジング51に対してシート搬送方向の下流側に配置した構成としたが、ガイド部材41をカッタハウジング51に対してシート搬送方向の上流側に配置する構成であってもよい。この場合には、プラテン板80とガイド部材41とをシート厚さ方向にオーバラップするように配置する。これにより、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
次に、図18(a)、(b)〜図21を参照して、カッタハウジング51の詳細な構成について説明する。
【0068】
図18(a)に示すように、カッタハウジング51は、カッタホルダ101と、カッタベース102とを含んで構成されている。これらカッタホルダ101とカッタベース102とは、図18(b)に示すように、カッタハウジング51を2分割するよう構成されている。
【0069】
カッタホルダ101は、カッタ50を内部に収容している。カッタホルダ101は、例えばネジやボルトなどの固定部材103によりカッタベース102に固定されている。固定部材103は、カッタホルダ101をカッタベース102に対して固定するものである。本実施の形態における固定部材103は、本発明に係る固定手段を構成する。
【0070】
カッタホルダ101は、固定部材103による固定を解除することによりカッタベース102から取り外し可能とされている。カッタホルダ101は、固定部材103による固定が解除されると、図18(b)に示すように、支点100Aを中心に回転させることができるようになっている。
【0071】
具体的には、図18(a)および図19に示すように、カッタホルダ101は、取付部101aと、固定部101bとを有している。取付部101aは、支点100Aに近接するシート幅方向(図18(a)中、矢印Aで示す方向)の一端に設けられている。取付部101aは、後述する軸状の保持部102aに沿うよう湾曲した爪形状となっている。したがって、取付部101aは、保持部102aに保持されることによりカッタベース102に対して回転可能に取り付けられるようになっている。
【0072】
固定部101bは、取付部101aに対してシート幅方向に離隔した位置に設けられている。つまり、固定部101bは、取付部101aよりも支点100Aから離隔した位置に設けられる。この固定部101bは、固定部材103が取り付けられるよう、固定部材103が貫通可能な大きさの孔で構成されている。
【0073】
また、固定部101bは、カッタハウジング51がシート搬送経路に対して退避した状態であるとき、すなわちカッタハウジング51が傾斜した姿勢にあるとき、プラテン板80および排紙ガイド板81(図15参照)に対して取付部101aよりも近接するよう配置されている。これにより、ユーザは、カッタホルダ101の着脱時、固定部材103に容易にアクセスすることができる。このため、カッタ50の交換時の作業性が向上する。
【0074】
また、カッタホルダ101は、固定部101bを介して固定部材103がカッタベース102に締結されることにより、カッタベース102に取り付け可能となっている。
【0075】
このように、カッタホルダ101は、カッタベース102に対して着脱自在に構成されている。
【0076】
また、図18(b)および図19に示すように、カッタホルダ101は、固定部101bと隣接した位置に、取付状態でカッタベース側に突出した突起部101cを有している。この突起部101cは、カッタホルダ101のカッタベース102への取付時、後述する位置決め孔102cに嵌まることによって、カッタホルダ101をカッタベース102に対して位置決めする機能を有する。本実施の形態における突起部101cは、本発明に係る位置決め部を構成する。
【0077】
カッタベース102は、軸状に形成された保持部102aを有している。この保持部102aは、カッタホルダ101の取付部101aを回転可能かつ着脱可能に保持するようになっている。つまり、カッタベース102は、保持部102aで取付部101aを保持することにより、カッタホルダ101を保持するようになっている。ここで、上述した支点100Aは、軸状の保持部102aの軸線と一致する。
【0078】
また、カッタベース102には、固定部材103が締結される締結孔102bが形成されている。また、この締結孔102bに隣接するように、突起部101cが嵌まる位置決め孔102cが形成されている。
【0079】
このように構成されたカッタハウジング51においては、カッタホルダ101の交換は、次のように行われる。
【0080】
すなわち、カッタホルダ101の交換時は、まず図18(a)に示す状態において固定部材103の固定を解除する。次いで、図18(b)に示すように、支点100Aを中心にカッタホルダ101を回転させる。その後、カッタホルダ101を図中、矢印で示す着脱方向に引っ張り上げる。これにより、カッタホルダ101がカッタベース102から取り外せる。ここで、着脱方向は、シート搬送経路(図14参照)に対して垂直方向である。したがって、シート搬送方向に十分なスペースがない場合であっても、プラテン板80あるいは排紙ガイド板81を取り外さずに、カッタホルダ101を着脱することができる。
【0081】
一方、カッタホルダ101の取付時は、図18(b)に示すように、取付部101aが保持部102aに保持されるように、カッタホルダ101をカッタベース102に対して接続させる。次いで、カッタホルダ101を交換時とは逆の方向に回転させて図18(a)に示す状態とする。このとき、突起部101cによりカッタホルダ101がカッタベース102に対して位置決めされる。その後、固定部材103を締結してカッタホルダ101の取り付けが終了する。
【0082】
また、図21に示すように、カッタホルダ101およびカッタベース102には、それぞれ第1のギヤ111、第2のギヤ112がそれぞれ設けられている。
【0083】
第1のギヤ111は、カッタホルダ101に設けられ、円形刃物50aに対して一体回転可能に取り付けられている。したがって、第1のギヤ111は、カッタ50に回転駆動力を伝達可能に構成されている。
【0084】
第2のギヤ112は、カッタベース102に設けられ、プーリ75に対して一体回転可能に取り付けられている。また、第2のギヤ112は、カッタホルダ101がカッタベース102に取り付けられた状態で第1のギヤ111と噛み合うようになっている。これにより、第2のギヤ112は、第1のギヤ111に回転駆動力を伝達可能となる。
【0085】
これら第1のギヤ111と第2のギヤ112とは、カッタホルダ101のカッタベース102への取付時、突起部101cが位置決め孔102cに嵌まることにより、互いに噛み合うように位置決めされる。したがって、カッタホルダ101がカッタベース102に取り付けられた状態では、図21に示すように、駆動コロ55の回転に応じて第2のギヤ112から第1のギヤ111に回転駆動力が伝達される。そして、第1のギヤ111に回転駆動力が伝達されると、これに応じて円形刃物50a、50bが回転することとなる。
【0086】
次に、図22を参照して、カッタホルダ101の着脱位置について説明する。
【0087】
まず、本実施の形態では、前述したようにプラテン板80および排紙ガイド板81に対して、カッタハウジング51の一部がシート搬送方向にオーバラップするよう構成されている(図14、図17参照)。このため、図22に示すカッタ移動可能領域のうち、シート切断領域では、図14、図17に示すように、カッタホルダ101を取り外そうとすると、プラテン板80および排紙ガイド板81と接触してしまう。したがって、このシート切断領域では、カッタホルダ101をカッタベース102から取り外すことができない。
【0088】
そこで、本実施の形態では、カッタホルダ101は、プラテン板80および排紙ガイド板81のシート幅方向(図22中、左右方向)の両側に設けられた着脱位置すなわちカッタ交換位置においてカッタベース102に対して着脱されるよう構成されている。カッタ交換位置は、排紙ガイド板81のシート幅方向の両側に形成された切欠き部81dによって、カッタホルダ101がプラテン板80および排紙ガイド板81と接触せずに着脱可能な領域とされる。したがって、このカッタ交換位置では、カッタホルダ101をプラテン板80および排紙ガイド板81と接触させることなく、容易にカッタ50の交換作業を行うことができる。換言すれば、このカッタ交換位置では、カッタホルダ101の着脱のためにプラテン板80あるいは排紙ガイド板81を取り外さなくとも、カッタ50の交換作業を行うことができる。
【0089】
以上のように、本実施の形態に係るシート切断装置は、カッタハウジング51がシート搬送経路からシート厚さ方向に退避する構成によりシート搬送方向に十分なスペースを確保できない場合であっても、カッタホルダ101を容易に着脱できる。したがって、本実施の形態に係るシート切断装置は、カッタ50の交換を容易に行うことができる。
【0090】
また、本実施の形態に係るシート切断装置は、固定部材103の固定を解除するだけでカッタホルダ101が取り外せるので、カッタ50の交換時の作業性がよい。さらに言えば、固定部材103の固定を解除した後、カッタホルダ101を回転させて着脱方向に引っ張り上げるだけでカッタベース102から容易に取り外せるので、シート搬送方向に十分なスペースがなくともカッタ50の交換を容易に行うことができる。
【0091】
また、本実施の形態に係るシート切断装置は、カッタホルダ101の取付時、突起部101cにより第1のギヤ111と第2のギヤ112とが噛み合うよう互いに位置決めされる構成である。したがって、本実施の形態に係るシート切断装置は、カッタホルダ101を着脱自在な構成としても、第1のギヤ111と第2のギヤ112とを正確に噛み合わせることができる。
【0092】
なお、本実施の形態では、取付部101aを爪形状とし、保持部102aを軸形状としたが、これに限らず、取付部101aを軸形状とし、保持部102aを爪形状としてもよい。
【0093】
また、本実施の形態では、カッタホルダ101に突起部101cを設け、カッタベース102に位置決め孔102cを設けたが、これに限らず、カッタホルダ101に位置決め孔を設け、カッタベース102に突起部を設けた構成でもよい。
【0094】
また、本実施の形態では、プラテン板80および排紙ガイド板81に対してカッタハウジング51の一部をシート搬送方向にオーバラップさせる構成としたが、プラテン板80と排紙ガイド板81との間隔(カッタハウジング51の移動を確保するためのシート搬送方向の幅)を広げて、プラテン板80および排紙ガイド板81とカッタハウジング51とがオーバラップしないような構成としてもよい。この場合、図22に示すように、シート切断領域外のカッタ交換位置に限らず、カッタ移動可能領域のいずれの位置においてもカッタホルダ101を交換することができる。
【0095】
また、本実施の形態においては、カッタハウジング51が第1の逃げ部91、第2の逃げ部92および第3の逃げ部93を有する構成としたが、これに限らず、例えばプラテン板80および排紙ガイド板81の形状や位置に応じて、前述した各逃げ部のうち少なくともいずれか一の逃げ部のみを有する構成であってもよい。
【0096】
また、本実施の形態に係るカッタハウジング51においては、駆動コロ55をシート幅方向の一方側に設け、従動コロ56をシート幅方向の他方側に設けたが、これに限らず、例えば駆動コロ55と従動コロ56の配置を入れ替えた構成としてもよい。この場合、カッタハウジング51の回動方向も本実施の形態と逆になる。したがって、傾斜面部51cの配置も上記回動方向に応じて変更される。
【0097】
また、本実施の形態においては、カッタハウジング51が鉛直方向の下方に退避する構成としたが、例えばシート切断装置5が装置本体1aに対して水平に設置されていない場合には、シート切断装置5の傾きに応じてロール紙30の厚さ方向に退避する構成としてもよい。さらに、カッタハウジングを鉛直方向の上方に退避する構成としてもよい。この場合、ガイド部材をシート搬送経路の上方に配置し、カッタハウジングの往路を下ガイドレール上に設け、復路を上ガイドレール上に設ける。したがって、カッタハウジングは、シート切断動作時に往路上を移動した後、本実施の形態における移動機構70に相当する図示しない移動機構を介して従動コロが上ガイドレール上に移動する。これにより、カッタハウジングは、シート搬送経路から退避した姿勢となり、復路上を移動可能となる。復路上を移動したカッタハウジングは、本実施の形態における第1連通路61cに相当する図示しない連通路を介して従動コロが下ガイドレール上に移動することにより、シート切断可能な姿勢となる。また、本構成の場合には、本実施の形態における傾斜面部51cに相当する傾斜面部は、カッタハウジングの下端に位置することとなる。したがって、第1の逃げ部91および第2の逃げ部92についても、カッタハウジングの下端側に設けられる。このような構成とすることにより、上記構成においても本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0098】
1 インクジェット記録装置(画像形成装置)
2 画像形成部(画像形成手段)
3 シート搬送部(シート搬送手段)
5 シート切断装置
30 ロール紙(シート)
50 カッタ
50a、50b 円形刃物(刃部)
51 カッタハウジング
57 牽引部材
80 プラテン板(搬送ガイド板)
81 排紙ガイド板(搬送ガイド板)
81d 切欠き部
100A 支点
101 カッタホルダ
101a 取付部
101b 固定部
101c 突起部(位置決め部)
102 カッタベース
102a 保持部
102b 締結孔
102c 位置決め孔
103 固定部材(固定手段)
111 第1のギヤ
112 第2のギヤ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】特開2004−268225号公報
【特許文献2】特開2001−71293号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路を搬送されるシートを所定の長さに切断するシート切断装置であって、
前記シートを介して互いに対向配置された刃部からなるカッタを収容するカッタホルダと、前記カッタホルダを保持するカッタベースとを有し、前記シートの搬送方向と直交する幅方向に移動可能なカッタハウジングを備え、
前記カッタハウジングは、シート切断後、前記搬送経路に対して前記シートの厚さ方向に退避した状態で前記幅方向に移動可能に構成され、
前記カッタホルダは、前記カッタベースに対して着脱自在に構成されていることを特徴とするシート切断装置。
【請求項2】
前記カッタホルダを前記カッタベースに対して固定する固定手段を備え、
前記カッタホルダは、前記固定手段による固定を解除することにより前記カッタベースから取り外し可能とされることを特徴とする請求項1に記載のシート切断装置。
【請求項3】
前記カッタホルダは、前記カッタベースに対して回転可能に取り付けられる取付部と、前記取付部に対して前記幅方向に離隔して設けられ、前記固定手段が取り付けられる固定部とを有し、
前記カッタベースは、前記取付部を回転可能かつ着脱可能に保持する保持部を有し、
前記保持部を中心に前記カッタホルダを回転させることにより、前記カッタホルダが前記カッタベースから取り外し可能とされることを特徴とすることを特徴とする請求項2に記載のシート切断装置。
【請求項4】
前記固定部は、前記カッタハウジングが前記搬送経路に対して前記退避した状態であるとき、前記搬送経路を有する搬送ガイド板に対して前記取付部よりも近接するよう配置されていることを特徴とする請求項3に記載のシート切断装置。
【請求項5】
前記カッタホルダは、前記カッタに回転駆動力を伝達可能な第1のギヤを有し、
前記カッタベースは、前記第1のギヤに回転駆動力を伝達可能な第2のギヤを有することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のシート切断装置。
【請求項6】
前記カッタホルダは、前記カッタベースへの取付時、前記第1のギヤと前記第2のギヤとが互いに噛み合うよう位置決めする位置決め部を有することを特徴とする請求項5に記載のシート切断装置。
【請求項7】
前記カッタホルダの着脱方向は、前記搬送経路に対して垂直方向であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のシート切断装置。
【請求項8】
前記搬送ガイド板に対して、前記カッタホルダの一部が前記搬送方向にオーバラップするよう構成され、
前記カッタホルダは、前記搬送ガイド板の前記幅方向の両側に設けられた着脱位置において前記カッタベースに対して着脱されるよう構成され、
前記着脱位置は、前記カッタホルダが前記搬送ガイド板と接触せずに着脱可能な領域とされることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のシート切断装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載のシート切断装置を備えた画像形成装置であって、
シート上に画像を形成する画像形成手段と、
前記画像が形成されたシートを前記シート切断装置に搬送するシート搬送手段と、
前記搬送ガイド板と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−86235(P2013−86235A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230915(P2011−230915)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】