説明

シート印刷装置及びシート画像登録装置

【課題】 紙に手書きする利点はそのままに、簡単に服薬指導の内容を記録できるようにした調剤支援シートの印刷装置を提供する。
【解決手段】 手書き領域を含む複数の領域を有するシートを印刷するシート印刷装置であって、シートに印刷する情報を記憶するデータベースと、入力されたデータを2次元シンボルデータに変換して出力する2次元シンボル生成手段と、前記データベースからシートに印刷する情報を読み出して印刷データとして出力するとともに、前記手書き領域の位置情報を前記2次元シンボル生成手段に出力するシート出力制御手段と、前記シート出力制御手段と2次元シンボル生成手段が出力する印刷データ及び2次元シンボルデータとを入力しプリンタに出力して印刷する印刷制御手段とを備えた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調剤薬局等で薬剤師が患者に服薬指導する際に使用する調剤支援シートの印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
調剤薬局等において、薬剤師は調剤した医薬品を患者に手渡すとき、薬の飲みかた即ち用法や用量、また、薬の用途や効能などを説明する。これを服薬指導と呼んでいる。この服薬指導の内容を薬剤師が手書きしたものをイメージデータとして保存するシステムが特許文献1に記載されている。このシステムでは、コンピュータに接続したペンタブレットに服薬指導に係るコメントを薬剤師が手書き入力することで、そのイメージデータをシステムに記憶している薬歴簿に貼り付けて記録するものである。これにより、薬剤師は改めてキーボードを使わなくても手軽に指導内容をシステムに入力でき、また、文字だけでなく図も一緒に記録できるものである。そして、服薬指導においては口頭での言葉の説明だけでなく、図や絵を交えて説明することで患者の理解が高まることが期待できる。
【特許文献1】特開2002−297768
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
服薬指導にあたって薬剤師が図や絵を書く場合、現状、ペンタブレットは紙に比べて表現力が大きく劣っている。解像度が低いので細かな絵や文字が表現できないし、色を変えることもできない。また、薬剤師が複数いる場合、高価なペンタブレットを複数台用意することはコスト高であるし、簡単に移動させて使うこともできない。そこで、本願は、紙に手書きする利点はそのままに、簡単に服薬指導の内容を記録できるようにした調剤支援シートの印刷装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、手書き領域を含む複数の領域を有するシートを印刷するシート印刷装置であって、シートに印刷する情報を記憶するデータベースと、入力されたデータを2次元シンボルデータに変換して出力する2次元シンボル生成手段と、前記データベースからシートに印刷する情報を読み出して印刷データとして出力するとともに、前記手書き領域の位置情報を前記2次元シンボル生成手段に出力するシート出力制御手段と、前記シート出力制御手段と2次元シンボル生成手段が出力する印刷データ及び2次元シンボルデータとを入力しプリンタに出力して印刷する印刷制御手段とを備え、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、調剤支援シートの特定領域の画像データを自動的に切出してその患者の薬歴情報として登録するので、薬剤師はシートの今回服薬指導欄に指導内容を手書きして後からシートをスキャナに掛けるだけでよい。手書きした指導内容が画像データとして蓄積されるものである。よって薬剤師はキーボードを叩く必要もないし、また、手書きする際にも従来通り紙に鉛筆又はペンで記入することができ、高価なペンタブレット等を使う必要はない。手書きでよいので患者と対面したまま記入することができ、わざわざキーボードに向かう必要はない。また、図や絵を交えて記入することもできるし、色を変えることも任意である。また、忙しいときには窓口終了後にまとめてスキャナに掛けることも可能である。また、設定により2次元シンボルに記述する読取範囲やその領域の項目名を変更することができ、例えば患者特記欄あるいはその一部領域等も取込み対象とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施の形態における調剤支援装置1の構成を図1に示す。同装置1はコンピュータで構成しており、内部にはハードディスク装置等で構成した記憶手段10を備え、患者の氏名や生年月日、使用する保険に係る情報などの患者固有の情報を記憶する患者固有情報データベース11と、患者それぞれの処方せんに基づいて処方した薬剤の履歴を記憶する患者薬歴情報データベース12とを記憶している。13はシート出力制御手段であり、患者の最近の処方歴を患者薬歴情報データベース12から読み出し調剤支援シート40として出力するよう制御する。14は2次元シンボル生成手段であり、シート出力制御手段13から受け取ったデータを2次元シンボルに変換して出力する。2次元シンボルは2次元コードとも呼ばれ、本実施形態では例えばQRコード等を想定している。15は印刷制御手段であり、シート出力制御手段13から受け取った調剤支援シートのデータと、2次元シンボル生成手段14から受け取った2次元シンボルのイメージデータとをプリンタ16に出力する。以上がシート出力側の構成である。
【0007】
ここで、調剤支援シート40の印刷例を図4に示す。同シート40はB5版横またはA4版横サイズの紙製で、左半分には患者を特定する情報を印刷する患者特記欄41と、今回の服薬指導の内容を薬剤師が手書きするための今回服薬指導欄42とがある。右側には前回から前前々回まで過去3回分の処方歴を印刷する欄43、44、45が設けられている。そして、シート出力制御手段13は患者固有情報データベース11から患者の氏名、生年月日、性別、使用する保険、既往歴やアレルギー情報等を読み出して患者特記欄41に印刷するよう制御する。また、患者薬歴情報データベース12からは最近3回分の薬歴情報即ち当該薬局でその患者に処方した薬剤の記録を読み出してシートの右半分に印刷するよう制御する。薬剤師はこのシート40を見ながら、また患者に見せながら服薬指導を行なうものである。その際、薬剤師は、患者に対してした服薬指導の内容を今回服薬指導欄42に手書きする。手書きでよいので患者と対面したまま記入することができ、わざわざキーボードに向かう必要はない。また、図や絵を交えて記入することもできるし、色を変えることも任意である。
【0008】
シート出力制御手段13はさらに、患者固有情報データベース11から読み出した氏名や患者番号等の患者個人を特定できる情報と、シート40の各欄の名称とそれぞれの位置を表す情報である座標データとを2次元シンボル46に記述してシート40の一角に印刷するようにしている。これは後でシート40をスキャナに掛けて画像データを読み取り、記録する際にどの患者のデータとして記録するか、また、どの欄を切出して記録するかを指示する為のものである。具体的には、例えば、今回服薬指導欄42の名称とその読取座標と患者番号とを表すデータを2次元シンボルにして印刷しておき、今回服薬指導欄42に薬剤師が手書きした内容を画像データとして取込んでそれを「今回服薬指導欄」の名称とともにその患者の患者薬歴情報データベース12に記録するのである。
【0009】
図3に調剤支援装置1が調剤支援シート40を印刷する手順を示す。シート出力制御手段13は患者の固有情報と薬歴情報を両データベース11、12から読出し(ステップS11)、印刷データを生成して印刷制御手段15に送る(同S12)。さらに患者の氏名や患者番号等の患者個人を特定できる情報と、シート40の各欄の名称とそれぞれの座標データとを2次元シンボル生成手段14に渡す。2次元シンボル生成手段14はそれらデータを2次元シンボル化して印刷制御手段15に出力する(同S13)。印刷制御手段15は2次元シンボルのデータを含む印刷データをプリンタ16に送るので、プリンタ16は調剤支援シート40を印刷する(同S14)。
【0010】
図1に戻り、18はスキャナ等の画像読取手段であり、調剤支援シート40の画像データを読み取って出力する。19は画像読取手段18が出力する画像データを取り込んで記
憶する画像メモリ、20は2次元シンボル読出/解析手段であり、画像メモリ19に記憶されたシート画像から2次元シンボル46を探して読出し、それを解析して患者氏名や患者番号、座標データ等の元の情報に変換して出力する。21は画像切出し手段であり、画像メモリ19に記憶されたシート画像から、指示された領域の画像データを切出して出力する。22はシート読取制御手段であり、20が出力する座標データに従ってシート画像から切出す位置を決定し、画像切出し手段21に画像の切出しを指示する。そして、画像切出し手段21が出力する画像データを受け取ると、それに先だって2次元シンボル読出/解析手段20から受け取った患者の情報とを関係付けて出力する。23は薬歴登録手段であり、シート読取制御手段22が出力するデータを受け取り、患者の薬歴情報の一部として患者薬歴情報データベース12に追加して登録するものである。以上が薬歴情報登録側の構成である。
【0011】
図2に調剤支援装置1が薬歴を登録する手順を示す。調剤支援シート40がセットされるとそれに応じて画像読取手段18がシート全体の画像データをスキャンして画像メモリ19に記憶するので、2次元シンボル読出/解析手段20が2次元シンボル46を探して読出し、元の患者情報や座標情報に戻して出力する。シート読取制御手段22はそれを受けて画像切出し手段21に座標を指定して画像の切出しを指示する。画像切出し手段21は指定された領域の画像データを画像メモリ19から切出して出力する。シート読取制御手段22はそれを受け取り、患者の固有情報と切出した画像情報を関係付けて薬歴情報を生成し、出力する。そして、薬歴登録手段23がその薬歴情報を当該患者の患者薬歴情報データベース12に登録する。
【0012】
2次元シンボル46に含まれる情報としては、患者の氏名や患者番号等の患者固有の情報、これらは患者の識別情報としても機能するものである、と、シート各欄の名称と、それぞれの読取範囲を示す座標の情報とを含む。具体的には、今回服薬指導欄42の名称と座標が記述されていた場合、画像切出し手段21がシート画像の今回服薬指導欄42部分を切出し、「今回服薬指導欄」の項目名称とともにその患者の患者薬歴情報データベース12に記録するのである。
【0013】
このように本実施形態によれば、調剤支援シート40の特定領域の画像データを自動的に切出してその患者の薬歴情報として登録するので、薬剤師はシート40の今回服薬指導欄42に指導内容を手書きして後からシート40をスキャナ18に掛けるだけでよい。手書きした指導内容が画像データとして蓄積されるものである。よって薬剤師はキーボードを叩く必要もないし、また、窓口終了後にまとめてスキャナに掛けることも可能である。また、手書きする際にも従来通り紙に鉛筆又はペンで記入することができ、高価なペンタブレット等を使う必要はない。また、設定により2次元シンボル46に記述する読取範囲やその領域の項目名を変更することができ、例えば患者特記欄41あるいはその一部領域等も取込み対象とすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態の調剤支援装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態の調剤支援装置が薬歴を登録する手順を示すフローチャートである。
【図3】実施形態の調剤支援装置が調剤支援シートを印刷する手順を示すフローチャートである。
【図4】調剤支援シートの印刷例を示す図である。
【符号の説明】
【0015】
1 調剤支援装置
10 記憶手段
11 患者固有情報データベース
12 患者薬歴情報データベース
13 シート出力制御手段
14 2次元シンボル生成手段
15 印刷制御手段
16 プリンタ
18 画像読取手段
19 画像メモリ
20 2次元シンボル読出/解析手段
21 画像切出し手段
22 シート読取制御手段
23 薬歴登録手段
40 調剤支援シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手書き領域を含む複数の領域を有するシートを印刷するシート印刷装置であって、
シートに印刷する情報を記憶するデータベースと、
入力されたデータを2次元シンボルデータに変換して出力する2次元シンボル生成手段と、
前記データベースからシートに印刷する情報を読み出して印刷データとして出力するとともに、前記手書き領域の位置情報を前記2次元シンボル生成手段に出力するシート出力制御手段と、
前記シート出力制御手段と2次元シンボル生成手段が出力する印刷データ及び2次元シンボルデータとを入力しプリンタに出力して印刷する印刷制御手段と、を備えたシート印刷装置。
【請求項2】
前記シート出力制御手段はさらに、前記データベースから読み出した情報の一部と前記手書き領域の名称をあらわすデータとを手書き領域の位置情報とともに前記2次元シンボル生成手段に出力するものである、請求項1に記載のシート印刷装置。
【請求項3】
シート表面の画像データを読み取る画像読取手段と、
読み取った画像データを記憶する画像記憶手段と、
画像記憶手段に記憶されたシート画像から2次元シンボルを読み出して元の情報に変換して出力する2次元シンボル読出解析手段と、
画像記憶手段に記憶されたシート画像から指定された領域の画像データを切出して出力する画像切出し手段と、
画像データを含む情報を記憶するデータベースと、
入力されたデータを前記データベースに登録する登録手段と、
前記2次元シンボル読出解析手段が出力する情報に従ってシート画像から切出す位置を決定し、前記画像切出し手段に画像の切出しを指示するとともに、画像切出し手段が出力する画像データを取り込み前記登録手段に出力して画像データの登録を指示する制御手段と、を備えたシート画像登録装置。
【請求項4】
手書き領域を含む複数の領域を有する調剤支援シートを印刷するシート印刷装置であって、
患者の薬歴を記憶する患者薬歴情報データベースと、
患者の氏名等の固有情報を記憶する患者固有情報データベースと、
入力されたデータを2次元シンボルに変換して出力する2次元シンボル生成手段と、
前記データベースから患者固有情報及び患者薬歴情報を読み出して印刷データとして出力するとともに、前記手書き領域の位置情報を前記2次元シンボル生成手段に出力するシート出力制御手段と、
前記シート出力制御手段と2次元シンボル生成手段が出力する印刷データ及び2次元シンボルデータとを入力してプリンタに出力し、調剤支援シートを印刷する印刷制御手段と、を備えたシート印刷装置。
【請求項5】
患者氏名等の固有情報と患者の薬歴情報の少なくともいずれか一方の情報と、薬剤師の手書きの情報とが記載され、さらに手書き領域の位置情報が少なくともデータ化された2次元シンボルが記載された調剤支援シートの画像データを読み取る画像読取手段と、
読み取った画像データを記憶する画像記憶手段と、
画像記憶手段に記憶されたシート画像から2次元シンボルを読み出して少なくとも手書き領域の位置情報を含む元の情報に変換して出力する2次元シンボル読出解析手段と、
画像記憶手段に記憶されたシート画像から指定された領域の画像データを切出して出力する画像切出し手段と、
画像データを含む薬歴情報を記憶する薬歴情報データベースと、
入力されたデータを前記薬歴情報データベースに登録する登録手段と、
前記2次元シンボル読出解析手段が出力する情報に従ってシート画像から切出す位置を決定し、前記画像切出し手段に画像の切出しを指示するとともに、画像切出し手段が出力する画像データを取り込み前記登録手段に出力して画像データの登録を指示する制御手段と、を備えたシート画像登録装置。
【請求項6】
手書き領域を含む複数の領域を有する調剤支援シートを印刷する方法であって、
患者の氏名等の固有情報を記憶する患者固有情報データベースから患者情報を読み出すステップと、
データベースから読み出した患者情報と、シートの手書き領域の位置を表す情報とを2次元シンボルに変換するステップと、
患者の薬歴を記憶する患者薬歴情報データベースから薬歴情報を読み出すステップと、
前記読み出した患者の薬歴情報と、前記変換した2次元シンボルデータとをプリンタに送ってシートを印刷するステップと、
を有することと特徴とする調剤支援シートの印刷方法。
【請求項7】
患者氏名等の固有情報と患者の薬歴情報の少なくともいずれか一方の情報と、薬剤師の手書きの情報とが記載され、さらに手書き領域の位置情報と患者の固有情報の少なくとも一部がデータ化された2次元シンボルが記載された調剤支援シートの画像データを読み取る画像読取ステップと、
読み取った画像データを記憶する画像記憶ステップと、
前記記憶されたシート画像から2次元シンボルを読み出して手書き領域の位置情報を含む元の情報に変換して出力する2次元シンボル読出解析ステップと、
前記記憶されたシート画像から前記2次元シンボルで指定された位置の画像データを切出す画像切出しステップと、
前記切出したシート画像を前記2次元シンボルで指定された患者の情報として患者の薬歴情報を記憶する薬歴情報データベースに登録する登録ステップと、
を有することを特徴とするシート画像登録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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