説明

シート型物体を移動させるための装置

【課題】物体の注意深い取り扱いを構造的に簡単な態様で保証するシート型物体を移動させるための装置を提供する。
【解決手段】装置(1)は、物体(2)のためのホルダ(5)と、ホルダ(5)のための動作経路(7)を規定するムーバ(6)とを備える。動作経路(7)は、ホルダ(5)によって物体(2)を拾い上げるために、シート面に対して略垂直に延びる略直線状部分(7a)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート型物体を移動させるための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールおよび他の包装ブランク、単一シート、プラスチックバッグなどのシート型物体は、シート型物体の小さな材料強度に起因して、例えば段ボールブランクの場合、それらのブランクが2つ以上の層から成るものであっても、物体が損傷を受ける危険があるため、非常に注意深く扱われなければならない。この危険は、特に、例えば現在利用できる包装機械、例えばカバーボックス内に充填済み飲料バッグを梱包するための包装機械において物体が高速で取り扱われる場合に存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、シート型物体を高速でも確実に移動させることができる装置を提供するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は請求項1に規定される特徴を用いて達成される。
【0005】
本発明に係る実施形態は、物体が引き出されるときに横力または剪断力のそれぞれがホルダから物体へ伝えられないようにするとともに、物体を損傷させる可能性がある或いは物体をその適切な位置から外す可能性がある摩擦が生じないようにする。
【0006】
物体の堆積が略直線状部分で行なわれる場合にも同じ利点が得られる。
【0007】
軸周りの動きは、高速で且つ動作の確実な再現性を伴って行なうことができ、したがって、本装置にとって好ましい。
【0008】
2つの軸を使用すると、直線状部分でのホルダの動きが軸のうちの一方のみを中心として行なわれるという点で、直線状部分を簡単な方法で実現できる。
【0009】
両方の軸を中心とする回転動作は、ロッカーアームおよびロータによって実現されることが好ましい。この場合、ロータにはホルダが設けられる。好ましくは、ロータがロッカーアームに装着される。しかしながら、他の手段によって動きの結合を達成することもできる。
【0010】
本発明に係る装置の作動速度は、互いに反対側に配置され且つそれぞれがそれらの回転軸から距離を隔てた2つのホルダが設けられる場合に更に高めることができる。
【0011】
ロッキング動作および回転動作は、装置によって与えられる特定の状態と利用可能な空間とに適合されてもよい。
【0012】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る装置の概略図を示している。
【図1A】図1のコンベアの斜視図を示している。
【図2】図1の装置の動作処理中の一つの手続き状態を示している。
【図3】図1の装置の動作処理中の他の手続き状態を示している。
【図4】図1の装置の動作処理中の他の手続き状態を示している。
【図5】図1の装置の動作処理中の他の手続き状態を示している。
【図6】図1の装置の動作処理中の他の手続き状態を示している。
【図7】図1の装置の動作処理中の他の手続き状態を示している。
【図8】図1の装置の動作処理中の他の手続き状態を示している。
【図9】図1の装置の動作処理中の他の手続き状態を示している。
【図10】図1の装置の動作処理中の他の手続き状態を示している。
【図11】図1の装置の動作処理中の他の手続き状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、シート型物体2を第1の位置3から第2の位置4へと移動させるための装置1を非常に概略的な描写で示している。装置1は、殆どの様々な平坦なシート状物体を、単層または多層の状態で、折り畳んだ状態または折り畳まない状態等で移動させるために使用されてもよい。図示の実施形態において、装置1は、飲料容器、特に飲料バッグを包装するための段ボールブランクを移動させる役目を果たす。
【0015】
装置1は、殆どの様々なハンドリングデバイス間で、例えば貯蔵部から堆積場所へと、物体2を移動させるために設けられてもよい。図示の実施形態において、装置1は、物体2をマガジン3からコンベア4へと移動させる役目を果たし、コンベア4は、物体を、更なる処理ステージ、特に概略的にのみ示される段ボール用の成形または組立機20へと搬送する。
【0016】
マガジン3では、積層体の高さを制限してマガジン3のユーザフレンドリーな補充を可能にするため、物体2がほぼ縁部で受けられる。コンベア4は少なくとも2つの個々のベルト4a,4bを有するベルトコンベアを備えており、ベルトは、それらの間に図1の紙面と垂直な間隔Aを伴って並行に整列して配置されており、ベルト間の空間Aは自由にされたままである。図1Aに示されるように、個々のベルト4a,4bはチェーンコンベアとして具現化され、各チェーンコンベアは無端回転チェーン40a,40bを有し、該チェーンには、物体2の後縁を後側から把持するためにキャッチ41a,41bが設けられている。個々のコンベアのうちの少なくとも1つ、図示の実施形態ではコンベア4bを移動手段42によって移動させて空間Aの調整を行なうことができ、それにより、異なるサイズの物体2に対する適合が果たされる。
【0017】
装置1は、搬送されるべき物体2を自動的に拾い上げて確実に運ぶことができるホルダ5を備えている。図示の実施形態において、ホルダ5は、1つ以上の吸引ヘッド5aを備え、吸引ヘッド5aに真空を加えることができ、吸引ヘッド5aは吸引によって物体2を拾い上げて保持する。吸引ヘッド5aの真空は別々に制御される。ホルダ5は、装置1を改変することなく、大判の領域(ブランクサイズ)にわたって物体2の取り扱いを可能にする。
【0018】
装置1は、ホルダ5をマガジン3からコンベア4へ移動させるためのムーバ6を更に備える。ムーバ6は、ホルダ5のための動作経路7、したがって、ホルダ5によって運ばれる物体2のための動作経路7を規定するようになっている。動作経路7は、第1の軸8および第2の軸9の周りでのホルダ5の動きから成る。
【0019】
ムーバ6は第1のキャリア要素10を備えており、この第1のキャリア要素10は、細長いロッドの形状を成すとともに、第1のキャリア要素10の一端に設けられる第1の軸8を中心に回転する。キャリア要素10は、角度範囲αにわたる往復動作Hのため、クランク11a(クランクホイール)と接続ロッド11bとを含むクランク機構11のロッカーアームとして構成される。接続ロッド11bは、枢着部11cを介してクランク11aに接続されるとともに、クランク11aの外周をロッカーアーム10の部分に、第1の軸8と距離を隔てて接続する。クランク11aは第1のドライブによってK方向に駆動される。
【0020】
ムーバ6は、ホルダ5と共に設けられる第2のキャリア要素12を更に備える。第2のキャリア要素12も、細長いロッドとして形成され、第2の軸9を中心に矢印Dの方向に回転できる。この場合、上記第2の軸9は、第1のキャリア要素10の他端の第1の軸8と距離を隔てて配置される。第2のキャリア要素12は、第1のキャリア要素10の第1のドライブとは別個に制御される第2のドライブによって回転方向Dに駆動される。図示の実施形態において、第2のキャリア要素12は、第2の軸9を中心とする方向Dの回転(全回転)のため、ロータとして具現化される。また、第2のキャリア要素12には2つのホルダ5が設けられており、これらのホルダ5は、互いに反対側に配置されて、側方に反転されるとともに、軸9からの距離が同じである。第2のホルダは第1のホルダと同じ構造を成している。
【0021】
本発明に係る実施形態は、物体2のための低い供給高さにマガジン3を配置することにより人間工学に基づくローディングができるようにするため、深いレベルの動作中心を伴う低い構造を可能にする。
【0022】
図2〜図11を用いて本実施形態に係る装置1の動作形態について説明する。ここで、図2は、先と同様、図1に係る位置を縮小して示している。図2は開始位置を示しており、この開始位置では、ホルダ5の一方が物体2を拾い上げるのに適した位置でマガジン3に位置付けられる。また、この開始位置では、クランク機構11がロッカーアーム10の左反転位置H1を規定する位置にある。すなわち、クランク11aおよび接続ロッド11bが直線を形成し、クランク11a上の接続ロッド11bの枢着部11cがロッカーアーム10に最も近い点に位置される。
【0023】
ホルダ5が物体2を拾い上げたら、クランク機構11が始動してクランク11aをクランク方向Kに移動させ、それにより、接続ロッド11bの枢着部11cが最初に平行線からロッカーアーム10の方へ僅かにだけ偏位する領域にわたって移動する。すなわち、ロッカーアーム10は、最初に、左端位置H1から方向Hで最小の動作を行なう。この場合、動作は、軸9の軌道部分にわたって方向Hに沿って行なわれ、この軌道部分は、マガジン3内の物体2の位置に対して略垂直に延びる。これは、マガジン3内のシート型物体2に対して或いは物体のシート面に対してそれぞれ略垂直に延びる動作経路7の略直線状の部分7aをもたらす。このようにすると、物体2を引き出すときに物体2に損傷を引き起こす場合がある剪断力または横力のそれぞれ及び摩擦が物体2に作用しない。どちらかと言えば、物体2は積層方向に正確に持ち上げられる。
【0024】
用語“略直線状”または“略長方形”は、第1の軸8を中心に第2の軸9によって果たされる軌道の曲率半径を無限に大きくできないことに起因する僅かな湾曲を包含しようとするものである。しかしながら、第1の軸8を中心とする第2の軸9の動きの曲率半径は、前述したように大きな剪断力が物体に作用しないように十分に大きく選択されるべきである。
【0025】
例えば図3に示されるように、拾い上げられた物体2を伴うホルダ5が貯蔵部3内の後続の物体2から僅かに離間されると、第2のキャリア要素12のドライブが係合して、第2のキャリア要素12が第2の軸9を中心に回転し始める。ここで、ロッカーアーム10のロッキング動作Hとロータ12の回転動作Dとが重なり合っている。したがって、ホルダ5は、図4に示されるようにコンベア4の2つの個々のコンベアベルト4a,4b間の位置の上側、または、図5に示されるようにコンベア4の上側に移動する。この場合、物体2は、それがコンベア4に到達する前に、平らな近道曲線を通過する。その後、第2の軸9が第1の軸8を中心に下方へ傾斜するその軌道部分に達し、また、図6に示されるように物体がコンベア4と平行に位置されると直ぐに第2のキャリア要素12のドライブが停止される。ロッカーアーム10が右端位置H2へと更に回転すると、物体を伴うロータ12は、図7に示されるように物体2がコンベア4上に位置し且つホルダ5が解放されるまで、動作経路7の次の略直線状の略垂直な部分7bで下方へ移動し、それにより、平坦な供給曲線にもかかわらず、物体2が略垂直に下げられる。
【0026】
ホルダ5を解放すると、ロッカーアーム10が更に下方へ移動し、一方、ロータ12用のドライブは、ホルダ5が物体2から解放されるまで依然としてブロックされる。物体2は、その後、図8に示される段ボールの成形および組立機20に向かってコンベア4上を搬送される。右端位置H2に達すると(図9)、第2のキャリア要素12のドライブが再び係合され、また、ロッカーアーム10が左端位置H1に戻る。この場合、第2のキャリア要素12の回転速度が第1のキャリア要素10の速度に調整され、それにより、第2のホルダ5は、図10および図11に示される位置を経て、図1および図2に示される位置、すなわち、貯蔵部3の引き出し位置へ至る。その後、今度は第2のホルダを用いて前述したサイクルが新たに開始する。
【0027】
前述して図示した実施形態の変形例では、キャリア要素のドライブが異なって実現されてもよい。また、キャリア要素は、細長いロッド状の形状以外の形状を有していてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1…装置、2…物体、5…ホルダ、6…ムーバ、7…動作経路、8…第1の軸、9…第2の軸、10…第1のキャリア要素、12…第2のキャリア要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート型物体(2)を移動させるための装置(1)であって、物体(2)のためのホルダ(5)と、ホルダ(5)のための動作経路(7)を規定するムーバ(6)とを備え、前記動作経路(7)が、ホルダ(5)によって物体(2)を拾い上げるために、シート面に対して略垂直に延びる略直線状部分(7a)を含む、装置(1)。
【請求項2】
前記動作経路(7)が、ホルダ(5)によって物体(2)を堆積させるために、シート面に対して略垂直に延びる略直線状部分(7b)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ホルダ(5)の動作経路(7)が、互いに離間される第1および第2の軸(8,9)を中心とする回転動作から成ることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記直線状部分(7a,7b)でのホルダ(5)の動きが、軸のうちの一方(8)のみを中心として行なわれることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ムーバ(6)が、第1の軸(8)を中心に移動できる第1のキャリア要素(10)と、第2の軸(9)を中心に移動でき且つホルダ(5)を備える第2のキャリア要素(12)とを備えることを特徴とする、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の軸(9)が、第1の軸(8)と距離を隔てて第1のキャリア要素(10)上に配置されることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記第2のキャリア要素(12)が、第2の軸(9)の両側に配置される2つのホルダ(5)を備えることを特徴とする、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のキャリア要素(12)が、第2の軸(9)を中心とする全回転(D)のため、ロータとして具現化されることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のキャリア要素(10)が、第1の軸(8)を中心とする往復ロッキング動作(H)のため、ロッカーアームとして具現化されることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
第1および第2のキャリア要素(10,12)の動きを互いに独立に制御できることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−215069(P2009−215069A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−12009(P2009−12009)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(506125834)インダク ゲゼルシャフト フィーア インドゥーストリーベダルフ エムベーハー オント カンパニー ベトリーブズ カーゲー (3)
【Fターム(参考)】