説明

シート排出装置

【課題】本発明は、冷却装置を大型化、複雑化することなく、冷却性能と積載性の両立を図ることができシート排出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るシート排出装置の代表的な構成は、画像が形成されたシートSを積載部3へ排出、積載するシート排出装置200において、積載部3に積載されたシートSを冷却する冷却エアAをシートSの上面側から送る冷却ファン6と、冷却ファン6が噴出した冷却エアAを積載部3に積載されたシートSの上面に導く排出補助手段51と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材上に画像形成を行なわれたシートを排出するシート排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術においても、排出部付近に冷却エアを案内し、排出シートの冷却を行っている。これは、例えば、連続両面記録、排出を行った場合、積載されたシート同士が、自身の熱により、トナー等が再溶融することによって、貼りついてしまうためである。
【0003】
しかし、高い冷却効果を必要とする高速機の場合は、片方面のみからの冷却では積載部での丸まりなどが生じ、排出シートの積載性は不安定になる。従って、特許文献1(特開平09-034321)にあるように、排出シートの上面及び下面からエアを吹き付け、冷却性能を確保し、かつシートの排出姿勢を安定させ、冷却性能と積載性の両立を図っている。
【0004】
【特許文献1】特開平09-034321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に記載の技術では、排出シートの上面及び下面より冷却を行うため、ファンやダクトを含めて冷却装置が大型化、複雑化することになる。そして、近年のプリンタ装置とリーダー部の間に積載部を持つ画像形成装置の場合には、装置の高さ上、そのような大型の冷却装置を搭載することは不可能な場合もある。
【0006】
そこで本発明は、冷却装置を大型化、複雑化することなく、冷却性能と積載性の両立を図ることができるシート排出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係るシート排出装置の代表的な構成は、画像が形成されたシートを積載部へ排出、積載する画像形成装置において、前記積載部に積載されたシートを冷却する冷却エアを前記シートの上面側から送る冷却手段と、前記冷却手段が噴出した冷却エアを前記積載部に積載された前記シートの上面に導く排出補助手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷却効果を最も高めるように冷却エアを導くことにより、結果的に少ないエアで冷却効果を出し、冷却装置を大型化、複雑化することなく、冷却性能と積載性の両立を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[第一実施形態]
本発明に係るシート排出装置を備えた画像形成装置の第一実施形態について、図を用いて説明する。
【0010】
(画像形成装置の構成)
図7はデジタル方式の画像形成装置の構成図である。図7に示すように、画像形成装置100は、リーダ1と、プリンタ2とを備えている。画像形成装置100は、画像形成されたシートをリーダ1とプリンタ2との間に排出する、いわゆる胴内排出構成のものである。
【0011】
リーダ1は、原稿の画像情報を読取り、デジタル信号で処理する。リーダ1は、コントロールパネル(不図示)、プラテンカバー105、画像走査機構106、コントローラ107を備えている。
【0012】
リーダ1は、コントロールパネルで画像形成装置100のオペレーションを行う。また、リーダ1は、プラテンカバー105でリーダ1の上面にセットされた原稿を押圧保持し、画像走査機構106で原稿の画像を走査する。画像走査機構106を走査して得られた原稿の画像情報をコントローラ107でデジタル信号で処理し、プリンタ2に送信する。
【0013】
プリンタ2は、リーダ1から送信された画像情報をもとにシートSに画像を形成する。プリンタ2は、書き込み装置(レーザースキャナ)112、画像形成部113、定着装置114、給送部104、手差し給送部117、シート排出装置200を備えている。
【0014】
レーザースキャナ112は、リーダ1から入力されるデジタル信号を受けて感光体ドラム113aにレーザービームを照射して画像の書き込みを行う。画像形成部113は、画像の書き込みによって感光体ドラム113aに形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー画像を形成し、このトナー画像をシートに転写する。定着装置114は、転写されたトナー画像の定着を行う。
【0015】
給送部104は、プリンタ2の下部に位置する。給送部104は、複数の給送カセット118a、給送ローラ119aを備えている。給送ローラ119aは、給送カセット18aに収納されたシートSを給送する。
【0016】
手差し給送部117はプリンタ2の側面に位置する。手差し給送部117は、手差しトレイ118、シート給送手段である給送ローラ119bを有している。
【0017】
(画像形成装置100の画像形成動作)
画像形成装置100の画像形成動作について説明する。まず、パソコン上からプリントアウト信号を出すか、コピースタートボタンを押す。すると、シートSが、給送部104または手差し給送部117から画像形成部113まで搬送される。画像形成部113に搬送されたシートSは、感光体ドラム113aに形成されたトナー画像を転写される。トナー画像を転写されたシートSは、定着装置114により加熱加圧されてトナー画像を定着される。トナー画像を定着されたシートSは、シート排出装置200によって画像形成装置100外へ排出される。
【0018】
(シート排出装置200)
次に、シート排出装置200について図1〜図6を用いて説明する。
【0019】
図1、図2に示すように、シート排出装置200は、排出ローラ41、排出口42、冷却ファン6、排出補助手段(排出補助部材)51を有している。排出ローラ41は、トナー画像を定着されたシートSを排出口42から排出し、積載部3に積載する。冷却ファン6は、排出されるシートSに冷却エアAを送り、画像形成により高温になったシートSを冷却している。
【0020】
排出補助手段51は、冷却ファン6から送り出される冷却エアAを案内する平面を持つシート状の部材である。排出補助手段51は、その一端を排出口42の上部に設けられた回動軸52に回動可能に軸支されている。
【0021】
また、排出補助手段51は、満載検知手段、掻き落とし手段、風向板として機能している。満載検知手段は、排出されたシートの満載を検知するものである。掻き落とし手段は、排出シートを掻き落とすものである。風向板は、冷却ファン6から排出される冷却エアAの風向きを変えるものである。
【0022】
排出補助手段51は、下面で前記排出ローラによって排出されるシートを積載部3の方へ押圧することでシートの排出を補助する。また、排出補助手段51は、積載部3に積載されたシート束の枚数が多くなった場合には、シート束の後端側を積載部3側に押付けるように作用する。さらに、排出補助手段51は、シートSが積載部3上に所定の高さまで積載された場合に、満載を検知する。満載が検知された場合には、シートの排出をストップする。これにより、積載部3上に積載されたシートが排出口42を塞いでジャムが発生することを抑制できる。
【0023】
排出補助手段51は、図1に示すようにシートSが排出されていない状態では、第一の位置51a(ホームポジション)にある。この状態で、図3、図4に示すように、冷却エアAは排出補助手段51に当たり、シートSの中央部Saに導かれる。
【0024】
ここで、図4に示すように、シートSの搬送方向の中心をX、搬送方向と直交するシート幅方向の中心をYとする。すると、シートSの中央部Saは、熱がこもりやすいため、シートSのXとYの交差する中央部Saは、温度分布上、高い温度を示す高温部となっている。
【0025】
このように、温度が高い中央部Saに集中的に冷却エアAを送ることにより、排出積載されたシート束全体の温度が均一化され、シート同士の貼りつきを抑制できる。
【0026】
なお、中心Xの位置は、シートSの搬送方向の長さによって異なる。このため、排出するシートの長さによって、冷却ファン6の角度を、駆動手段(不図示)によって変える。なお、両面記録で最も用いるシート(一番温度が高くなるシート)の中心Xに冷却エアAが当たるように、冷却ファン6の角度を固定してもよい。
【0027】
上述のごとく、冷却補助手段51aを介して高温部Saを少ない風量で効率よく冷却することにより、50CPM(copy per minute)クラスのカラー複写機でも十分貼りつきを抑制できる。
【0028】
一方、図2に示すようにシートSが排出されると、排出補助手段51は、排出されているシートSにより先端を押し上げられ、回動軸52を中心として第二の位置51bまで回動する。なお、この際シートSは、排出補助手段51の先端により積載部3へ掻き落とされ、安定した積載性を実現している。
【0029】
また、シートSが排出されている状態で、冷却エアAは排出補助手段51に当たり、風向が積載部3の上面と略平行な方向に変更されてそのまま機外へ排出される。この際、積載部3にこもった高温の雰囲気を機外へ排出している。このように、シート排出の有無で、シートの冷却と積載部3にこもった高温の雰囲気の排出を繰り返すことが可能となり、冷却効果を安定させることができる。
【0030】
また、排出中のシートSは、積載部3に着地する前に冷却エアAを強く与えられると、シートSは丸まってしまい、積載性を損なってしまう。
【0031】
これに対して、本実施形態では、シート排出中は、冷却エアAはシートSに当たらずに機外に排出される。このため、シートの丸まりを抑制し、積載性の向上を図ることができる。
【0032】
また、シートSが積載部3へ落下していく際に、排出補助手段51が回動を開始し、冷却エアAが落下中のシートSに当たるようになる。しかし、前述のように、シートSの中央部Saに積極的にエアAを導き、高温部Saを積極的に冷却するため、冷却効果を維持したまま、従来より冷却エアAの風量をおさえることができる。これにより、シートの丸まりを抑制し、積載性の向上を図ることができる。
【0033】
(比較例)
図6に示すように、冷却ファン6を起こして位置6bに配置し、冷却ファン6bから直接、高温部Saへエアを吹付ける構成が考えられる。しかし、この場合には、冷却ファン6を起こした分(高さh1分)、リーダ1を上方へ移動させる必要があり、装置高さが高くなってしまう。
【0034】
また、冷却ファン6を高温部Saの上方の位置6cに配置し、冷却ファン6cから真下に向かって直接、高温部Saへエアを吹付ける構成が考えられる。しかし、この場合には、積載シート7aの取り出し高さが、冷却ファン6cの厚み分(h2−h3)狭くなる。このため、シートの取り出し性が悪くなってしまう。
【0035】
(効果)
これに対し、本実施形態の構成では、冷却ファン6を装置前面(排出口42)よりシート取り出し位置P側へ少し張り出した位置に設けている。そして冷却ファン6が噴出した冷却エアAを積載部3に積載されたシートSの上面に導く排出補助手段51を設けた。これにより、装置の高さをおさえることができ、シートの取り出し性もよくすることができる。
【0036】
また、冷却ファン6は、冷却エアAをシート取り出し方向に送っている。このため、排出されるシートSは、冷却エアAによりシート取り出し方向に送り出される。これにより、シート取り出し位置Pに近づいた位置に積載され、シートの取り出し性もよくすることができる。
【0037】
また、冷却効果を最も高めるように冷却エアAを導き、結果的に少ないエアで冷却効果を出し、冷却装置を大型化、複雑化することなく、冷却性能と積載性の両立を図ることができる。
【0038】
[第二実施形態]
次に本発明に係る画像形成装置の第二実施形態について図を用いて説明する。図8は本実施形態に係る積載部の上面図である。上記第一実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
また、図8に示すように、排出補助手段51は、シート幅方向両側に2つ設けられている。従って、シート幅方向中央には、排出補助手段51が存在しないスペースWが形成される。
【0040】
これにより、冷却エアAは、シート排出中もシートSの先端から後端まで冷却し、冷却時間が長くなり、更に冷却効果を高めることができる。なお、スペースWの幅は、シートSが丸まらない程度となっている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第一実施形態に係るシートが排出されていない状態におけるシート排出装置の縦断面図である。
【図2】シートが排出されている状態におけるシート排出装置の縦断面図である。
【図3】シートが排出されていない状態における冷却エアとシートの関係を示すシート排出装置の縦断面図である。
【図4】積載部の上面図である。
【図5】シートが排出されている状態における冷却エアとシートの関係を示すシート排出装置の縦断面図である。
【図6】比較例のシート排出装置の縦断面図である。
【図7】画像形成装置の構成図である。
【図8】第二実施形態に係る積載部の上面図である。
【符号の説明】
【0042】
A…冷却エア、P…シート取り出し位置、S…シート、Sa…中央部、W…スペース、X、Y…中心、h1〜h3…高さ、1…リーダ、2…プリンタ、3…積載部、6…冷却ファン(冷却手段)、41…排出ローラ、42…排出口、51…排出補助手段、51a…第一の位置、51b…第二の位置、52…回動軸、100…画像形成装置、104…給送部、105…プラテンカバー、106…画像走査機構、107…コントローラ、112…レーザースキャナ、113…画像形成部、113a…感光体ドラム、114…定着装置、117…手差し給送部、118…手差しトレイ、118a…給送カセット、119a、119b…給送ローラ、200…シート排出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成されたシートを積載部へ排出、積載するシート排出装置において、
前記積載部に積載されたシートを冷却する冷却エアを前記シートの上面側から送る冷却手段と、
前記冷却手段が噴出した冷却エアを前記積載部に積載された前記シートの上面に導く排出補助手段と、を有することを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記排出補助手段は、シートが排出されていない状態で、前記冷却エアをシートの中央部に導く第一の位置と、シートが排出されている状態で、冷却エアをそのまま機外へ導く第二の位置に回動に回動可能であることを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記排出補助手段は、冷却エアを案内する平面を持つシート状の部材で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記排出補助手段は、シート幅方向中央は前記冷却エアを案内しないように、シート幅方向両側にのみ設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項5】
前記冷却手段は、冷却エアをシート取り出し方向に送ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項6】
前記積載部へ排出口を介してシートを排出する排出ローラを有し、
前記排出補助部材は前記排出口の上部に設けられた回動軸を中心に回動自在に設けられ、
前記冷却手段が噴出する冷却エアは前記排出補助部材の上方から噴出され、
前記排出補助手段は、前記排出ローラによって排出されるシートを前記積載部側へ押圧し、
前記排出補助手段は、前記積載部と反対側の面で前記冷却手段が噴出した冷却エアを前記積載部に積載されたシートの上面に導くことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート排出装置。
【請求項7】
前記排出補助手段は、前記排出ローラによって排出されているシートに押されて回動し、
シートが前記排出ローラによって排出されていない状態では、前記排出補助手段は、前記積載部と反対側の面で前記冷却手段が噴出した冷却エアを前記積載部に積載されたシートの上面に導く位置に位置し、シートが前記排出ローラによって排出されている状態では、前記排出補助手段は、前記シートに押されて回動することで前記反対側の面で前記冷却手段が噴出した冷却エアを機外へ導く位置に位置することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシート排出装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−241111(P2007−241111A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−66373(P2006−66373)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】