説明

シート搬送機構およびそれを備えた画像形成装置

【課題】ジャム処理や定着装置等の処理ユニットの交換・メンテナンス等を容易に行うことが可能なシート搬送機構およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】シート搬送機構60は、シートを搬送するための主搬送路40と、主搬送路40から分岐し、シートを搬送するための分岐路41と、主搬送路40の一部を画定する部材であって、シートを主搬送路40にガイドする主搬送姿勢と、シート搬送経路を主搬送路40から分岐路41に切り替えて、シートを分岐路41にガイドする切替え姿勢と、主搬送路40から離間する離間姿勢との間で姿勢変更可能な切替え部材45と、切替え部材45を、主搬送姿勢、切替え姿勢および離間姿勢の間で姿勢変更させる姿勢変更機構70とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート上に画像を形成する画像形成装置に関し、特に、画像形成装置においてシートを搬送するためのシート搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置は、画像を形成する画像形成動作をシートに対して行う処理ユニットと、シートを搬送するシート搬送機構とを含む(例えば特許文献1)。
【0003】
シート搬送機構は、例えば処理ユニットである定着装置から排出された定着処理済のシートのシート搬送経路を、主搬送路および反転搬送路のうちのいずれか一方に選択的に切り替える切替え爪を含む。主搬送路は、シートを外部に排出するための搬送路であり、反転搬送路は、シートに対して両面印字を行うためにシートを転写部に再び送るための搬送路である。画像形成装置では、シートに対して画像形成動作を行うにあたり、シート搬送機構の切替え爪によってシート搬送経路の切替えが適宜行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−83612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成のシート搬送機構では、切替え爪は、主搬送路を塞ぐことでシート搬送路を反転搬送路に切り替える切替え姿勢を取る一方、反転搬送路を塞ぐことでシート搬送経路を主搬送路に切り替える主搬送姿勢を取る。切替え爪が主搬送姿勢を取っているときに主搬送路でジャムが発生した場合、主搬送路を覆って外部環境から隔離しているカバー部材が開けられる。そして、ユーザは排出路に手を入れてジャムしたシートを取り除く。
【0006】
しかしながら、上記構成のシート搬送機構では、主搬送姿勢を取っている切替え爪が邪魔になり、手を主搬送路内に入れることが難しい。そのため、ジャムしたシートの除去を円滑に行うことができない。
【0007】
また、処理ユニット、例えば定着装置がレイアウト的な制限等によって切替え爪の直上流側に配置されている場合、定着装置の交換やメンテナンス等のときに切替え爪が邪魔になって定着装置を画像形成装置から円滑に取り外すことが難しい。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、ジャム処理や定着装置等の処理ユニットの交換・メンテナンス等を容易に行うことが可能なシート搬送機構およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を解決するために、本発明に係るシート搬送機構は、シートを搬送するための主搬送路と、前記主搬送路から分岐し、前記シートを搬送するための分岐路と、前記主搬送路の一部を画定する部材であって、前記シートを前記主搬送路にガイドする主搬送姿勢と、シート搬送経路を前記主搬送路から前記分岐路に切り替えて、前記シートを前記分岐路にガイドする切替え姿勢と、前記主搬送路から離間する離間姿勢との間で姿勢変更可能な切替え部材と、前記切替え部材を、前記主搬送姿勢、前記切替え姿勢および前記離間姿勢の間で姿勢変更させる姿勢変更機構とを含む。
【0010】
本発明に係るシート搬送機構によれば、シートの搬送経路を切り替える切替え部材が用いられている。切替え部材は、主搬送姿勢を取っているとき、シートを主搬送路にガイドする一方、切替え姿勢を取っているとき、シートを分岐路にガイドする。そして、本発明に係るシート搬送機構では、切替え部材は、主搬送路から離間する離間姿勢をさらに取ることができる。切替え部材は、主搬送路の一部を画定する部材であるため、離間姿勢を取っているとき、主搬送路は開放された状態となる。したがって、主搬送路においてシートのジャムが発生した場合、主搬送路における開放された部分から主搬送路内に手を入れることが容易である。これにより、ジャムしたシートを主搬送路から除去することが容易となる。このように、本発明に係るシート搬送機構では、切替え部材が、主搬送姿勢および切替え姿勢に加え、離間姿勢を取ることができるように構成されているので、シートのジャム処理を容易に行うことができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、シート搬送機構は、さらに、前記分岐路の少なくとも一部を構成する第1面と、前記第1面とは反対側に位置し、外観の一部を構成する第2面とを有し、前記分岐路内の前記シートを前記第1面側においてガイドするガイド部材を含み、前記ガイド部材は開閉可能なカバー部材であり、前記切替え部材は、前記ガイド部材が開状態とされたとき、前記離間姿勢を取る一方、前記ガイド部材が閉状態とされたとき、前記主搬送姿勢を取る。
【0012】
この構成によれば、切替え部材は、カバー部材であるガイド部材が開けられたとき、離間姿勢を取る。したがって、ユーザはガイド部材を開けるだけで、シートのジャム処理を行うことができる。
【0013】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記姿勢変更機構は、前記切替え部材を付勢する付勢部材と、前記切替え部材を駆動する駆動機構とを含み、前記付勢部材は、前記切替え部材が前記主搬送姿勢から前記離間姿勢に姿勢変更するように前記切替え部材を常に付勢しており、前記駆動機構は、前記付勢部材の付勢力に抗しつつ前記切替え部材を駆動して、前記切替え部材を前記主搬送姿勢から前記切替え姿勢に切り替え、前記切替え部材は、前記主搬送姿勢を取っているとき、前記ガイド部材の前記第1面に当接している。
【0014】
この構成によれば、切替え部材の姿勢変更は、付勢部材および駆動機構によって可能とされている。付勢部材は、切替え部材が主搬送姿勢から離間姿勢に姿勢変更するように切替え部材を常に付勢しており、切替え部材は、主搬送姿勢を取っているとき、ガイド部材の第1面に当接している。したがって、付勢部材を用いるという簡単な構成で切替え部材に離間姿勢を取らせることができる。一方、切替え部材が主搬送姿勢を取っているときに切替え部材をガイド部材の第1面に当接させることで、切替え部材が離間姿勢を取らないように容易に規制することができる。
【0015】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、シート搬送機構は、さらに、回動支点および前記回動支点とは反対側の自由端部を有し、前記回動支点回りに回動可能な回動片を含み、前記切替え部材は、前記回動片の前記自由端部に回動自在に連結されており、前記付勢部材は、前記切替え部材を前記自由端部に対して第1方向に回動させて、前記切替え部材が前記主搬送姿勢から前記離間姿勢に切り替わるように付勢力を作用させるものであり、前記駆動機構は、前記自由端部に連結されており、前記切替え部材を前記主搬送姿勢から前記切替え姿勢に切り替えるとき、前記自由端部を前記回動支点回りに回動させて、前記切替え部材を前記第1方向とは反対側の第2方向に回動させることにより、前記切替え部材を前記主搬送姿勢から前記切替え姿勢に切り替える。
【0016】
この構成によれば、回動片の自由端部に切替え部材を回動自在に連結させ、付勢部材および駆動機構によって回動片を回動させているので、簡単な構成で、切替え部材の姿勢変更を行うことができる。
【0017】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記駆動機構は、本体部と、前記本体部に対して往復運動可能であり、前記回動端部に連結された往復片とを有するソレノイドであり、前記往復片は、前記駆動機構が前記切替え部材を前記第2方向に回動させるとき、前記回動端部を引っ張って前記回動片を回動させる復運動を行う一方、前記付勢部材が前記切替え部材を前記第1方向に回動させるとき、前記付勢部材の付勢力にしたがって往運動を行う。
【0018】
この構成によれば、ソレノイドという一般的かつ安価な部材を用いているので、シート搬送機構のコスト低減を図ることができる。また、ソレノイドの往復片の往復距離(ストローク量)は小さいため、ソレノイドの動作により、切替え部材に切替え姿勢を取らせることはできても離間姿勢まで取らせることは難しい。しかしながら、本発明に係るシート搬送機構では、付勢部材を用いることで、その問題を解決し、ソレノイドという汎用されている部材を活用することができる。
【0019】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記付勢部材は、ばね部材である。
【0020】
この構成によれば、付勢部材としてばね部材が用いられているので、シート搬送機構の構成の簡単化およびシート搬送機構のコスト低減を図ることができる。
【0021】
本発明に係る画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体内に着脱自在に配置され、画像を形成する画像形成処理をシートに対して行う処理ユニットと、前記装置本体内に配置され、前記処理ユニットによって前記画像形成処理が施された前記シートを搬送するシート搬送機構と含み、前記シート搬送機構として、上記構成のシート搬送機構が用いられており、前記処理ユニットは、前記シート搬送機構の主搬送路に連通され、前記シートを該処理ユニットから排出するための排出路を有し、前記シート搬送機構の切替え部材は、前記排出路の直下流側に位置して、前記排出路を通る前記シートのシート搬送経路を、前記主搬送路または分岐路に切り替える。
【0022】
本発明に係る画像形成装置によれば、シート搬送機構の切替え部材は、処理ユニットの排出路の直下流側に位置しているが、主搬送路から離間する離間姿勢を取ることができるので、処理ユニットが交換やメンテナンスのために装置本体から取り外されるときに切替え部材に衝突しない。これにより、処理ユニットの取り外し作業を円滑に行うことができる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、画像形成装置は、さらに、前記シートが排出される排紙トレイと、前記画像を前記シート上に転写する転写部とを含み、前記主搬送路は、前記シートを外部に排出して前記排紙トレイに導くための搬送路であり、前記分岐路は、前記シートの両面に対して前記画像形成処理が行われるときに前記シートを前記転写部に導くための搬送路である。
【0024】
この構成によれば、シート搬送機構の切替え部材は上述したように離間姿勢を取ることができるので、シートが排紙トレイに排出されるまでにジャムした場合であってもジャム処理を容易に行うことができる。
【0025】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記処理ユニットは、定着部材および加圧部材を有し、前記シートを前記定着部材および前記加圧部材の間に挟みつつ加圧および加熱することにより、前記画像を前記シート上に定着させる定着装置である。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るシート搬送機構および画像形成装置によれば、切替え部材が、主搬送姿勢および切替え姿勢に加え、離間姿勢を取ることができるように構成されているので、シートのジャム処理を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の本実施形態に係る画像形成装置の内部構造を概略的に示す図である。
【図2】画像形成装置におけるシートの搬送系を説明するための断面図である。
【図3】画像形成装置の右カバー部材の閉姿勢および開姿勢を示す斜視図である。
【図4】シート搬送機構の斜視図である。
【図5】切替え部材の斜視図である。
【図6】切替え部材の主搬送姿勢を示す側面図である。
【図7】切替え部材の切替え姿勢を示す側面図である。
【図8】切替え部材の離間姿勢を示す側面図である。
【図9】姿勢変更機構のリンク部材を下方から見た斜視図である。
【図10】姿勢変更機構の駆動機構を下方から見た斜視である。
【図11】定着装置およびシート搬送機構の斜視図であり、主搬送路が外部に開放された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0029】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。画像形成装置1は、特に限定されず、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機である。画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体90を含む。装置本体90は、シートに対して画像形成処理を行う。
【0030】
装置本体90には、該装置本体90に対して開閉可能なカバー部材21(図1では、右カバー部材)が取り付けられている。右カバー部材21には、該右カバー部材21に対して開閉可能な手差しトレイ22が取り付けられている。また、装置本体90の上面は、画像が形成されたシートが排紙される排紙トレイ91として構成されている。
【0031】
装置本体90の内部には、上方から順に、トナーコンテナ900Y、900M、900C、900K、中間転写ユニット92、画像形成ユニット93、露光ユニット94、給紙カセット23、定着装置30およびシート搬送機構60が収容されている。中間転写ユニット92、画像形成ユニット93、露光ユニット94および定着装置30が、画像(トナー像)を形成する画像形成処理をシートに対して行う。定着装置30が本発明の処理ユニットの一例である。
【0032】
画像形成ユニット93は、フルカラーの画像を形成するために、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色の画像を形成する4つの画像形成ユニット93Y、93M、93C、93Kを含む。各画像形成ユニット93Y、93M、93C、93Kは、感光体ドラム17と、感光体ドラム17の周囲に配置された、帯電器16、現像装置10(10Y,10M,10C,10K)、一次転写ローラ19及びクリーニング装置18とを含む。
【0033】
感光体ドラム17は、その周面に静電潜像及び画像が形成される。帯電器16は、感光体ドラム17の周面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム17の周面は、露光ユニット94によって露光され、静電潜像が形成される。現像装置10は、感光体ドラム17上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム17の周面にトナーを供給する。
【0034】
一次転写ローラ19は、中間転写ユニット92の中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム17とニップ部を形成し、感光体ドラム17上の画像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置18は、画像転写後の感光体ドラム17の周面を清掃する。
【0035】
イエロー用トナーコンテナ900Y、マゼンタ用トナーコンテナ900M、シアン用トナーコンテナ900C、及びブラック用トナーコンテナ900Kは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、対応する現像装置10Y,10M,10C,10Kにトナーを供給する。
【0036】
中間転写ユニット92は、駆動ローラ922と、従動ローラ923と、駆動ローラ922および従動ローラ923間に張設された中間転写ベルト921とを含む。中間転写ベルト921上には、複数の感光体ドラム17から各色の画像が重ね塗りされる(一次転写)。重ね塗りされた画像は、給紙カセット23または手差しトレイ22から供給されるシートに、二次転写部98において二次転写される。
【0037】
給紙カセット23は、シート束が積載される積載板24を有する。積載板24は、一方の端部を支点として、他方の端部側が上下動可能に構成されている。積載板24の他方の端部の上方には、ピックアップローラ25が配設されている。ピックアップローラ25は、シート束における最上位のシートを給紙カセット23から取り出してシート給紙路28に送り出す。シート搬送方向におけるピックアップローラ25の下流側には、一対の第1給紙ローラ26およびリタードローラ27が配設されている。第1給紙ローラ26は、シートをシート搬送方向におけるさらに下流側に搬送する。リタードローラ27は、シートの重送を防止する。
【0038】
手差しトレイ22上に置かれたシートは、第2給紙ローラ29によってシート給紙路28に搬送される。シート給紙路28における第1給紙ローラ26および第2給紙ローラ29の下流側には、一対のレジストローラ33が配設されている。一対のレジストローラ33は、シートの姿勢を矯正すると共に、所定のタイミングでシートを二次転写部98に搬送する。
【0039】
二次転写部98は、中間転写ベルト921を挟んで駆動ローラ922に対向配置された二次転写ローラ981を含む。二次転写ローラ981は、中間転写ベルト921を駆動ローラ922と共に挟持した状態で駆動ローラ922との間でニップ部を形成している。ニップ部に搬送されてきたシートは、中間転写ベルト921から画像が二次転写される。
【0040】
二次転写されたシートは、定着装置30に搬送される。定着装置30は、装置本体90内に着脱自在に配置された装置であって、加熱ローラ31と、加熱ローラ31に対向配置された加圧ローラ32と、一対の第1排出ローラ34とを含む。加熱ローラ31と加圧ローラ32との間には、ニップ部が形成されている。二次転写が施されたシート上の画像は、そのニップ部において加熱および加圧されてシート上に定着される。定着処理が施されたシートは、一対の第1排出ローラ34によって定着装置30の外部に排出される。
【0041】
加熱ローラ31、加圧ローラ32および一対の第1排出ローラ34は、ハウジング35内で回転可能に支持されている。ハウジング35は、加熱ローラ31および加圧ローラ32間のニップ部に対応する位置に、二次転写処理が施されたシートが進入するための進入口37と、一対の第1排出ローラ34間のニップ部に対応する位置に、定着処理が施されたシートを定着装置30から排出するための排出口38とを有する。ハウジング35の上部には、シートの排出方向から見て一対の第1排出ローラ34よりも下流側の位置で排出コロ39が配設されている。排出コロ39は一対の第1排出ローラ34と共にシートを定着装置30から排出する。
【0042】
定着装置30から排出されたシートは、定着装置30の直下流側に配設されたシート搬送機構60に搬送される。
【0043】
次に、図2を参照しながら、シート搬送機構60の構成について説明する。図2は、画像形成装置1におけるシートの搬送系を説明するための断面図である。シート搬送機構60は、定着処理されたシートを排紙トレイ91(図1)上に排紙すると共に、シートの両面に画像が形成される画像形成処理時(両面印字時)においてシートを二次転写部98にガイドすることが可能に構成されている。シート搬送機構60は、シートを排紙トレイ91に排紙するための主搬送路40と、シートを二次転写部98にガイドするための反転搬送路41とを有する。反転搬送路41は、主搬送路40から分岐する分岐路である。
【0044】
シート搬送機構60は、第1ガイド部材42、第2ガイド部材43、第3ガイド部材44および切替え部材45を含む。図2に示す実施形態では、シート搬送機構60は、実際には、定着装置30のハウジング35と共に主搬送路40を形成している。なお、図2では、ハウジング35の領域を明示するために、ハウジング35にハッチングをいれている。
【0045】
具体的には、ハウジング35は、一方の第1排出ローラ34(右側の第1排出ローラ34)を回転可能に支持する第1支持フレーム351と、他方の第1排出ローラ34(左側の第1排出ローラ34)を回転可能に支持する第2支持フレーム352と、第2支持フレーム352の左斜め上方に位置して、排出コロ39を上面において回転可能に支持する第3支持フレーム353とを有する。
【0046】
第1ガイド部材42は、第1支持フレーム351の直上方、つまり定着装置30から排出されるシートのシート排出方向から見て第1支持フレーム351よりも下流側の位置で略上下方向に延びている。第1ガイド部材42は、主搬送路40側に向く第1ガイド面421を有し、第1ガイド面421における下部において第2支持フレーム352と対向している。第1ガイド面421の下部と第2支持フレーム352との間には、排出口38と連通する排出路46が画定されている。排出路46は、定着処理が施されたシートが定着装置30から一対の第1排出ローラ34によって排出されて、主搬送路40にガイドされる前に通る搬送路である。排出路46は、主搬送路40と連通されている。
【0047】
主搬送路40は、シート搬送機構60側の切替え部材45、第2ガイド部材43および第3ガイド部材44と、定着装置30側のハウジング35の第3支持フレーム353との間で画定されている。
【0048】
切替え部材45は、排出路46の直下流側に配置され、排出路46を通ってくるシートのシート搬送経路を、主搬送路40および反転搬送路41のいずれか一方に選択的に切り替えるための部材である。切替え部材45は、主搬送路40の一部を画定する部材であって、主搬送路40に沿って延びる形状を有する。切替え部材45は、ハウジング35の第3支持フレーム353に支持されている排出コロ39と対向している。切替え部材45の形状は、切替え部材45が排出コロ39と対向した状態で排出コロ39との間でシートを円滑に搬送することが可能な形状に設定されている。切替え部材45と排出コロ39との間で主搬送路40の上流側部分が画定されており、上流側部分が排出路46と連通されている。
【0049】
切替え部材45は、シート搬送経路を主搬送路40に切り替えるとき、主搬送姿勢を取る一方、シート搬送経路を反転搬送路41に切り替えるとき、切替え姿勢を取る。切替え部材45の主搬送姿勢(図2において実線で示す姿勢)および切替え姿勢(図2において一点鎖線で示す姿勢)については後で詳述する。
【0050】
主搬送路40における切替え部材45よりも下流側の位置には、第2ガイド部材43が配設されている。第2ガイド部材43における上流側部分は、第3支持フレーム353の上面に対向すると共に、前記上面に沿って図2では左右方向に延びるように形状設定されている。第2ガイド部材43の上流側部分と第3支持フレーム353の上面における対向部分との間で主搬送路40の中流部分が画定されている。
【0051】
第3ガイド部材44は、主搬送路40における第3支持フレーム353よりも下流側に位置すると共に、第2ガイド部材43の下流側部分に対向している。第3ガイド部材44と第2ガイド部材43の下流側部分との間で主搬送路40の下流側部分が画定されている。
【0052】
シート搬送機構60は、さらに、主搬送路40の最下流端に配設された一対の第2排出ローラ47を含む。主搬送路40を通るシートは、一対の第2排出ローラ47によって排紙トレイ91(図1)上に排紙される。
【0053】
一方、両面印字時にシートが搬送される反転搬送路41は、進入経路411、第1反転経路412および第2反転経路413から構成されている。進入経路411、第1反転経路412および第2反転経路413は、略T字路を形成している。第1反転経路412および第2反転経路413は、進入経路411から、互いに反対方向に分岐している。
【0054】
進入経路411は、主搬送路40から分岐する経路であって、切替え部材45が切替え姿勢を取っているときに排出路46と連通可能となる。シートは、進入経路411が排出路46と連通されたときに反転搬送路41にガイドされる。進入経路411は、第1ガイド部材42の第1ガイド面421と、切替え姿勢を取っている切替え部材45との間で画定される。
【0055】
第1反転経路412は、一対の反転ガイド部材48間に画定されている。一対の反転ガイド部材48の形状は、進入経路411を通るシートが、まず、第2反転経路413ではなく、第1反転経路412にガイドされるような形状に設定されている。第1反転経路412の最下流側部分には、一対の反転ローラ49が配設されている。各反転ローラ49は、時計回りおよび反時計回りに回転可能である。進入経路411を通って第1反転経路412にガイドされたシートは、上側の反転ローラ49が図2では時計回りに回転すると共に、下側の反転ローラ49が図2では反時計回りに回転することで、先端部側から第1反転経路412から排出される。そして、シートの後端部が第1反転経路412にガイドされたタイミングで、上側の反転ローラ49が反時計回りに回転すると共に、下側の反転ローラ49が時計回りに回転することで、シートは、後端部側から、第2反転経路413に搬送される。また、進入経路411および第1反転経路412間の角部には、コロ50が配設されている。
【0056】
第2反転経路413は、該第2反転経路413を画定する一方の片面が右カバー部材21の裏面210によって形成されている。右カバー部材21が閉状態のとき、右カバー部材21の裏面210は、第1ガイド部材42における第1ガイド面421とは反対側に位置する第2ガイド面422と、定着装置30のハウジング35における加圧ローラを収容する部分と、反転搬送ユニットのフレーム51と対向している。つまり、第2反転経路413を画定する他方の片面は、第2ガイド面422、ハウジング35およびフレーム51によって形成されている。第2反転経路413は、装置本体90(図1)の上下方向に延び、シート給紙路28における一対のレジストローラ33よりも上流側の位置でシート給紙路28に合流する。
【0057】
第2反転経路413には、4つの搬送ローラ対52が装置本体90の上下方向における適所に配設されている。第1反転経路412から第2反転経路413にガイドされたシートは、4つの搬送ローラ対52によって一対のレジストローラ33に向けて搬送される。
【0058】
上記構成の画像形成装置1では、シートの片面のみに印字が行われる場合、シートは、二次転写部98で画像が転写され、定着装置30によって定着処理が施された後、排出路46、主搬送路40の順に搬送されて、一対の第2排出ローラ47によって排紙トレイ91上に排紙される。
【0059】
一方、シートの両面に印字が行われる場合、シートは、片面に画像が二次転写され、定着処理が施された後、切替え部材45の後述する切替え姿勢によって排出路46から反転搬送路41にガイドされる。シートは、進入経路411、第1反転経路412、第2反転経路413の順に搬送される。シートは、第2反転経路413を通った後、シート給紙路28の一対のレジストローラ33にガイドされる。そして、シートは、レジストローラ33によって姿勢が矯正された後、所定のタイミングで二次転写部98に搬送され、他方の片面にも画像が二次転写される。シートは、定着装置30によって定着処理が施された後、切替え部材45の後述する主搬送姿勢によって排出路46から主搬送路40にガイドされ、一対の第2排出ローラ47によって排紙トレイ91上に排紙される。
【0060】
図3は、画像形成装置1の右カバー部材21の閉姿勢および開姿勢を示す斜視図である。右カバー部材21は、上述したとおり、装置本体90(図1)に対して開閉可能に取り付けられており、閉姿勢と開姿勢とを選択的に取ることができる。第2反転経路413の片面を画定する右カバー部材21の裏面210には、シートを円滑に搬送するために、装置本体90の上下方向に延びる複数のリブ211が形成されている。また、右カバー部材21の側面には、4つの搬送ローラ52に巻回されたベルト212が配置されている。ベルト212の駆動により、それらの搬送ローラ52が同時に回転される。
【0061】
第1ガイド部材42は、右カバー部材21の上部、かつシート搬送機構60に対向する位置で右カバー部材21の裏面210に一体的に取り付けられている。また、右カバー部材21の表面213側には、手差しトレイ22が右カバー部材21に対して開閉可能に取り付けられている。右カバー部材21の表面213は、画像形成装置1の外観の一部を構成する。本実施形態では、第1ガイド部材42の第1ガイド面421が、本発明のカバー部材の第1面の一例であり、右カバー部材21の表面213が、本発明のカバー部材の第2面の一例である。
【0062】
次に、図4〜図8を参照して、シート搬送機構60の切替え部材45について説明する。図4は、シート搬送機構60の斜視図である。図5は、切替え部材45の斜視図である。図6は、切替え部材45の主搬送姿勢を示す側面図である。図7は、切替え部材45の切替え姿勢を示す側面図である。図8は、切替え部材45の離間姿勢を示す側面図である。
【0063】
図4に示すように、シート搬送機構60は、切替え部材45、第2ガイド部材43、第3ガイド部材44、一対の反転ガイド部材48、一対の第2排出ローラ47、一対の反転ローラ49、コロ50等を収容するハウジング61を含む。ハウジング61は、主搬送路40においてシートの幅方向に対向する一対の側板62を含む。一対の側板62は、上部において、上側の反転ガイド部材48によって連結されており、下部において、第2ガイド部材43(図4では図示なし)によって連結されている。一方の側板62には、モータ63と、モータ63に連結されたギア群64とが配設されている。モータ63の駆動により、一対の反転ローラ49や一対の第2排出ローラ47等が回転される。
【0064】
ハウジング61における第1ガイド部材42の第1ガイド面421(図2)に対向する部分は、開放されており、その開放部分に、切替え部材45が姿勢変更可能に配設されている。
【0065】
切替え部材45は、爪部材451とリブ452とを有する。爪部材451は、ハウジング61の開放部分から突出すると共に、シートの幅方向に延びる板状の部材である。リブ452は、爪部材451の上面および下面の両方において、複数形成されている。リブ452は、爪部材451の延在方向に所定の間隔で形成されていると共に、爪部材451の延在方向とは直行する方向、つまりシートの搬送方向に延びている。リブ452は、シートの搬送を円滑にするために設けられている。
【0066】
切替え部材45は、図6に示す主搬送姿勢と、図7に示す切替え姿勢との間で姿勢変更可能に構成されている。本実施形態では、切替え部材45は、さらに、図8に示す離間姿勢を取ることができる。
【0067】
まず、図6を参照して、主搬送姿勢について説明する。切替え部材45は、定着装置30から排出されたシートが排紙トレイ91に搬送されるとき、主搬送姿勢を取って、シートを主搬送路40にガイドする。第1ガイド部材42の第1ガイド面421には、シートの幅方向に延びる段差423が形成されている。切替え部材45が主搬送姿勢を取っているとき、切替え部材45の爪部材451は、その先端部が図6では左斜め下方に向いて段差423に当接した状態となっている。段差423により、切替え部材45が主搬送姿勢を取っているときの位置決めがなされている。そして、この状態では、主搬送路40は開放されている一方、反転搬送路41の進入経路411は、切替え部材45によって塞がれている。図2では、切替え部材45の主搬送姿勢が実線で示されている。定着装置30から排出されたシートは、矢印Aで示すように、第1ガイド部材42の第1ガイド面421によってガイドされた後、切替え部材45のリブ452にガイドされ、排紙トレイ91に向けて搬送される。
【0068】
次に、図7を参照して、切替え姿勢について説明する。切替え部材45は、定着装置30から排出されたシートに対して両面印字が行われるとき、切替え姿勢を取って、シートを反転搬送路41にガイドする。切替え部材45が切替え姿勢を取っているとき、切替え部材45の爪部材451は、第1ガイド部材42の段差423から離間した状態となっている。図2では、切替え部材45の切替え姿勢が一点鎖線で示されている。この状態では、爪部材451の先端部が下方に向いて定着装置30のハウジング35の第3支持フレーム353の上面に当接しており、主搬送路40は、切替え部材45によって塞がれている一方、反転搬送路41の進入経路411は開放されている。定着装置30から排出されたシートは、矢印Bで示すように、第1ガイド部材42の第1ガイド面421によってガイドされた後、第1ガイド面421と切替え部材45との間の進入経路411に進入する。そして、シートは、上述したように、第1反転経路412を通り、一対の反転ローラ49に到達した後、第2反転経路413に送り出される。
【0069】
なお、第1ガイド部材42は、右カバー部材21の裏面210に対して回動可能に構成されている。第1ガイド部材42は、その最下端部において回動支点部424を有する。第1ガイド部材42を回動支点部424回りに回動させることで、第1ガイド部材42の第2ガイド面422が右カバー部材21の裏面210に対して接離する。第2ガイド面422が右カバー部材21の裏面210に最接近した状態で、第2反転経路413が画定される。
【0070】
次に、図8を参照して、離間姿勢について説明する。切替え部材45は、シートが主搬送路40および反転搬送路41において搬送されない非搬送時において、離間姿勢を取ることができる。切替え部材45は、ユーザが後述するように主搬送路40におけるジャム処理や定着装置30の交換をおこなうときに離間姿勢を取るように構成されている。切替え部材45が離間姿勢を取っているとき、爪部材451は、主搬送姿勢および切替え姿勢のときと異なり、略水平方向に向く。
【0071】
切替え部材45の姿勢変更は、姿勢変更機構70によって行われる。姿勢変更機構70は、図4〜図8に示すように、付勢部材71、リンク部材72および駆動機構73から構成されている。図9は、姿勢変更機構70のリンク部材72を下方から見た斜視図である。図10は、姿勢変更機構70の駆動機構73を下方から見た斜視である。
【0072】
図9に示すように、爪部材451は、一方の長手方向端部において、爪部材451の長手方向に突出する突出部453が延設されている。突出部453における爪部材451とは反対側の端部には、切替え部材45が主搬送姿勢を取っている状態で装置本体90の略上下方向に延びると共に、爪部材451の長手方向と直交する方向に延びる略楕円型の連結板454が一体に形成されている。連結板454の上端部には、係止孔455が形成されている。また、連結板454の下端部には、連結板454を挟んで突出部453とは反対側の位置で爪部材451の長手方向に突出するボス状の連結ピン456が一体に形成されている。
【0073】
リンク部材72は、切替え部材45と駆動機構73とを機械的に連結するための部材であって、装置本体90の略上下方向に延びると共に、爪部材451の長手方向と直交する方向に延びている。リンク部材72は回動可能に構成されている。具体的には、リンク部材72は、上端部において回動支点部721を有する。回動支点部721には、爪部材451の長手方向に沿って延びる支持軸65が挿通される貫通孔722が形成されている。したがって、リンク部材72は、支持軸65に支持された状態で回動可能である。なお、支持軸65は、ハウジング61における適所に固定されている。
【0074】
リンク部材72は、さらに、回動支点部721とは反対側に位置する自由端部723を有する。自由端部723は、切替え部材45と駆動機構73とを機械的に連結する連結部として構成されている。自由端部723の底面には、連結板454の連結ピン456が収容されるピン収容溝724が形成されている。ピン収容溝724は、下方に開放されており、連結ピン456が回転可能、つまり爪部材451がリンク部材72の自由端部723に対して回動可能となるように形状および寸法が設定されている。
【0075】
付勢部材71は、ばね部材であり、その一端が連結板454の係止孔455に係止されていると共に、その他端がハウジング61における図略の係止孔に係止されている。付勢部材71は、切替え部材45が、リンク部材72の自由端部723に対して図5〜図8では時計回り(第1方向)に回動するように付勢力を切替え部材45に対して常に作用させている。これにより、切替え部材45は、主搬送姿勢から離間姿勢に姿勢変更するように常に付勢力を受けている。
【0076】
自由端部723の底面には、さらに、ピン収容溝724を挟んで連結板454とは反対側の位置に、下方に垂下する垂下片725が形成されている。垂下片725には、下縁から上方に切り欠かれた切り欠き部726が形成されている。切り欠き部726に、以下に説明する駆動機構73が連結される。リンク部材72は、本発明の回動片の一例である。
【0077】
駆動機構73は、本実施形態では、ソレノイドから構成されている。ソレノイド73は、本体部731と、本体部731に対して往復運動可能な往復片732(プランジャ)とを有する。本体部731は往復片732が移動可能に挿通される挿通孔733と、往復片732の周囲で巻回された図略の電磁コイルを有する。往復片732は、その一部が本体部731内に収容され、他の部分が挿通孔733から外部に突出している。電磁コイルに電流が流されると、往復片732は本体部731に向けて吸引される(復運動する)。
【0078】
往復片732は、リンク部材72の垂下片725に連結されている。往復片732の先端部734は、垂下片725を両側から挟み込む形態となるように二股に分かれている。往復片732の先端部734は、該往復片732の往復方向に直行する方向に延びる連結孔735が形成されている。往復片732の二股状の先端部734が垂下片725を挟み込んだ状態で、抜け止めピン736を、一方の連結孔735、垂下片725の切り欠き部726、他方の連結孔735に通すことで、往復片732は垂下片725に対して抜け止めされた状態となり、駆動機構73とリンク部材72との間の連結、ひいては駆動機構73と切替え部材45との間の連結が行われる。
【0079】
次に、姿勢変更機構70による切替え部材45の姿勢変更動作について説明する。まず、切替え部材45を、図6に示す主搬送姿勢と図7に示す切替え姿勢との間で姿勢変更させる動作について説明する。図6に示す主搬送姿勢では、切替え部材45は、付勢部材71の付勢力(切替え部材45を図6では時計回り(第1方向)に回動させようとする力)によって第1ガイド部材42の第1ガイド面421の段差423に押し付けられている。シートが両面印字される場合、シートが切替え部材45に到達する前の所定のタイミングでソレノイド73の電磁コイルに電流が流される。これにより、ソレノイド73の往復片732が本体部731に向けて吸引される(復運動する)。このとき、往復片732は、付勢部材71の付勢力に抗しつつ、リンク部材72の自由端部723を復運動方向に引っ張って、リンク部材72を、回動支点部721回りに図6では反時計回り(第1方向とは逆の第2方向)に回動させる。その結果、切替え部材45は第1ガイド面421の段差423から離間して図7に示す切替え姿勢を取り、シートは反転搬送路41にガイドされる。
【0080】
そして、シートの後端部がシートセンサ36(図2)によって検知され、シートが確実に切替え部材45を通過したタイミングで、ソレノイド73への電流の印加が停止される。これにより、往復片732による自由端部723に対する引っ張り動作が停止するので、リンク部材72は、付勢部材71の付勢力に従い、回動支点部721回りに図7では反時計回り(第1方向)に回動する。このとき、往復片732は、リンク部材72の回動に伴い、往運動を行う。その結果、切替え部材45は、第1ガイド面421の段差423に再び当接した状態、つまり、主搬送姿勢を取る。反転搬送路41を通り、両面に画像が形成されたシートは、主搬送姿勢を取っている切替え部材45によって主搬送路40にガイドされ、排紙トレイ91上に排紙される。
【0081】
なお、切替え部材45の連結ピン456が回動自在に収容されているピン収容溝724は、自由端部723の底面において、往復片732の往復運動方向に対向する一対の壁部間に画定されている。そのため、ソレノイド73の往復片732の引っ張り動作によって連結ピン456がピン収容溝724から抜け出ることはない。また、往復片732の引っ張り動作中、切替え部材45は自由端部723に対して回動しない。
【0082】
次に、切替え部材45を、図6に示す主搬送姿勢と図8に示す離間姿勢との間で姿勢変更させる動作について説明する。切替え部材45は、シートが主搬送路40および反転搬送路41において搬送されない非搬送時、例えば、主搬送路40においてシートのジャムが発生した場合や、定着装置30の交換、メンテナンスが必要な場合に離間姿勢を取る。
【0083】
具体的には、ジャム処理や定着装置30の交換が行われるとき、右カバー部材21が図3に示すように開放される。第1ガイド部材42は、右カバー部材21に取り付けられているので、右カバー部材21の開放動作に伴って主搬送路40および反転搬送路41から離間する。これに伴い、第1ガイド部材42の第1ガイド面421に当接した状態で主搬送姿勢を取っている切替え部材45は、第1ガイド面421による規制から自由となり、付勢部材71の付勢力に従って時計回り(第1方向)に回動する。これにより、図8に示すように、爪部材451が略水平方向に延在する状態となる、つまり切替え部材45が離間姿勢を取る。
【0084】
切替え部材45は、主搬送路40の一部を画定する部材であるため、離間姿勢を取っているとき、主搬送路40が、図11に示すように外部に開放される。また、第1支持フレーム351〜第3支持フレーム353も外部に露出する。主搬送路40の開放の程度は、ユーザが開放部分から主搬送路40内に手を入れることが容易となるように設定されている。そのため、主搬送路40においてジャムが発生した場合、ジャムしたシートを主搬送路40から除去することが容易である。
【0085】
また、切替え部材45が離間姿勢を取ったとき、主搬送路40は開放されるので、定着装置30を装置本体90から容易に取り外すことができる。具体的には、切替え部材45が離間姿勢を取ることができない構成の場合、定着装置30は、右カバー部材21が開放された後、装置本体90の開放部分から取り出される。このとき、切替え部材45は主搬送姿勢を取っているので、図2から明らかなように、定着装置30の取り外しに伴い、ハウジング35の第3支持フレーム353が切替え部材45に衝突する。そのため、定着装置30の取り外し作業を円滑に行うことができない。
【0086】
しかしながら、本実施形態では、切替え部材45は、離間姿勢を取っているとき、第3支持フレーム353が延在する面上から退避している、つまり、定着装置30の排出路46から退避している。そのため、定着装置30が取り外されるとき、ハウジング35の第3支持フレーム353が切替え部材45に衝突することが防止されている。これにより、定着装置30の取り外し作業を円滑に行うことができる。なお、切替え部材45が離間姿勢を取っているとき、爪部材451は略水平方向に延在しているが、シート搬送機構60や定着装置30の設計事項に応じて、爪部材451がさらに上方に向くようにしてもよい。
【0087】
以上説明した本実施形態に係る画像形成装置1によれば、シート搬送機構60の切替え部材45は、主搬送姿勢を取っているとき、シートを主搬送路40にガイドする一方、切替え姿勢を取っているとき、シートを反転搬送路41にガイドする。しかも、切替え部材45は、主搬送路40を外部に開放させる離間姿勢を取ることができるので、主搬送路40内で発生したシートのジャム処理を容易に解決することができると共に、定着装置30を装置本体90から容易に取り外すことができる。
【0088】
また、本実施形態に係る画像形成装置1では、切替え部材45は、第1ガイド部材42が取り付けられた右カバー部材21が開けられたとき、離間姿勢を取る。したがって、ユーザは右カバー部材21を開けるだけで、シートのジャム処理や定着装置30の取り外し作業を行うことができる。
【0089】
さらに、本実施形態に係る画像形成装置1では、切替え部材45の姿勢変更は、付勢部材71およびソレノイド73を有する姿勢変更機構70によって可能とされている。付勢部材71は、切替え部材45が主搬送姿勢から離間姿勢に姿勢変更するように切替え部材45を常に付勢しており、切替え部材45は、主搬送姿勢を取っているとき、第1ガイド部材42の第1ガイド面421に当接している。したがって、付勢部材71を用いるという簡単な構成で切替え部材45に離間姿勢を取らせることができる。一方、切替え部材45が主搬送姿勢を取っているときに切替え部材45を第1ガイド部材42の第1ガイド面421に当接させることで、切替え部材45が離間姿勢を取らないように容易に規制することができる。
【0090】
さらに、本実施形態に係る画像形成装置1では、姿勢変更機構70は、リンク部材72をさらに含む。そして、切替え部材45をリンク部材72の自由端部723に連結ピン456を介して回動自在に連結させ、付勢部材71によって切替え部材45を第1方向に回動させると共に、ソレノイド73によって切替え部材45を第1方向とは逆の第2方向に回動させているので、簡単な構成で、切替え部材45の姿勢変更を行うことができる。
【0091】
さらに、本実施形態に係る画像形成装置1では、駆動機構として、ソレノイド73という一般的かつ安価な部材を用いているので、シート搬送機構60、ひいては画像形成装置1のコスト低減を図ることができる。また、ソレノイド73の往復片732の往復距離(ストローク量)は小さいため、ソレノイド73の動作により、切替え部材45に切替え姿勢を取らせることはできても離間姿勢まで取らせることは難しい。しかしながら、シート搬送機構60では、付勢部材71を用いることで、その問題を解決し、ソレノイド73という汎用されている部材を活用することができる。
【0092】
さらに、本実施形態に係る画像形成装置1では、付勢部材71としてばね部材が用いられているので、シート搬送機構60の構成の簡単化およびシート搬送機構60のコスト低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 画像形成装置
21 右カバー部材
30 定着装置
35 定着装置のハウジング
40 主搬送路
41 反転搬送路(分岐路)
45 切替え部材
60 シート搬送機構
70 姿勢変更機構
71 付勢部材
72 リンク部材
73 駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するための主搬送路と、
前記主搬送路から分岐し、前記シートを搬送するための分岐路と、
前記主搬送路の一部を画定する部材であって、前記シートを前記主搬送路にガイドする主搬送姿勢と、シート搬送経路を前記主搬送路から前記分岐路に切り替えて、前記シートを前記分岐路にガイドする切替え姿勢と、前記主搬送路から離間する離間姿勢との間で姿勢変更可能な切替え部材と、
前記切替え部材を、前記主搬送姿勢、前記切替え姿勢および前記離間姿勢の間で姿勢変更させる姿勢変更機構と、
を備えたシート搬送機構。
【請求項2】
請求項1に記載のシート搬送機構において、
さらに、前記分岐路の少なくとも一部を構成する第1面と、前記第1面とは反対側に位置し、外観の一部を構成する第2面とを有し、前記分岐路内の前記シートを前記第1面側においてガイドするガイド部材を備え、
前記ガイド部材は開閉可能なカバー部材であり、
前記切替え部材は、前記ガイド部材が開状態とされたとき、前記離間姿勢を取る一方、前記ガイド部材が閉状態とされたとき、前記主搬送姿勢を取るシート搬送機構。
【請求項3】
請求項2に記載のシート搬送機構において、
前記姿勢変更機構は、前記切替え部材を付勢する付勢部材と、前記切替え部材を駆動する駆動機構とを備え、
前記付勢部材は、前記切替え部材が前記主搬送姿勢から前記離間姿勢に姿勢変更するように前記切替え部材を常に付勢しており、
前記駆動機構は、前記付勢部材の付勢力に抗しつつ前記切替え部材を駆動して、前記切替え部材を前記主搬送姿勢から前記切替え姿勢に切り替え、
前記切替え部材は、前記主搬送姿勢を取っているとき、前記ガイド部材の前記第1面に当接しているシート搬送機構。
【請求項4】
請求項3に記載のシート搬送機構において、
さらに、回動支点および前記回動支点とは反対側の自由端部を有し、前記回動支点回りに回動可能な回動片を備え、
前記切替え部材は、前記回動片の前記自由端部に回動自在に連結されており、
前記付勢部材は、前記切替え部材を前記自由端部に対して第1方向に回動させて、前記切替え部材が前記主搬送姿勢から前記離間姿勢に切り替わるように付勢力を作用させるものであり、
前記駆動機構は、前記自由端部に連結されており、前記切替え部材を前記主搬送姿勢から前記切替え姿勢に切り替えるとき、前記自由端部を前記回動支点回りに回動させて、前記切替え部材を前記第1方向とは反対側の第2方向に回動させることにより、前記切替え部材を前記主搬送姿勢から前記切替え姿勢に切り替えるシート搬送機構。
【請求項5】
請求項4に記載のシート搬送機構において、
前記駆動機構は、本体部と、前記本体部に対して往復運動可能であり、前記回動端部に連結された往復片とを有するソレノイドであり、
前記往復片は、前記駆動機構が前記切替え部材を前記第2方向に回動させるとき、前記回動端部を引っ張って前記回動片を回動させる復運動を行う一方、前記付勢部材が前記切替え部材を前記第1方向に回動させるとき、前記付勢部材の付勢力にしたがって往運動を行うシート搬送機構。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一項に記載のシート搬送機構において、
前記付勢部材は、ばね部材であるシート搬送機構。
【請求項7】
装置本体と、
前記装置本体内に着脱自在に配置され、画像を形成する画像形成処理をシートに対して行う処理ユニットと、
前記装置本体内に配置され、前記処理ユニットによって前記画像形成処理が施された前記シートを搬送するシート搬送機構と、
を備え、
前記シート搬送機構として、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシート搬送機構が用いられており、
前記処理ユニットは、前記シート搬送機構の主搬送路に連通され、前記シートを該処理ユニットから排出するための排出路を有し、
前記シート搬送機構の切替え部材は、前記排出路の直下流側に位置して、前記排出路を通る前記シートのシート搬送経路を、前記主搬送路または分岐路に切り替える画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、
さらに、前記シートが排出される排紙トレイと、前記画像を前記シート上に転写する転写部とを備え、
前記主搬送路は、前記シートを外部に排出して前記排紙トレイに導くための搬送路であり、
前記分岐路は、前記シートの両面に対して前記画像形成処理が行われるときに前記シートを前記転写部に導くための搬送路である画像形成装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の画像形成装置において、
前記処理ユニットは、加熱部材および加圧部材を有し、前記シートを前記加熱部材および前記加圧部材の間に挟みつつ加圧および加熱することにより、前記画像を前記シート上に定着させる定着装置である画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−153521(P2012−153521A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16263(P2011−16263)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】