説明

シート搬送装置および画像形成装置

【課題】第2の搬送経路から搬送される厚紙等の比較的剛性の高いシートのジャムや搬送不良を未然に防止して、安定したシート搬送動作を可能とするシート搬送装置および画像形成装置を実現し提供する。
【解決手段】搬送ガイド部材69Aは、第1搬送路P1と第2搬送路P2とが合流する、挟持部N以外に対向した搬送ガイド部材69Aの下流端69Aeの位置が、第1搬送路P1と第2搬送路P2とが合流する挟持部Nに対向した搬送ガイド部材69Aの下流端69dの位置よりも用紙搬送方向Zaの下流に位置する形状を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置、およびそのシート搬送装置を備えた電子写真複写機等を含む複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ等を含むプリンタ、孔版印刷機等を含む印刷機、インクジェット記録装置またはそれらのうちの少なくとも二つを組み合わせた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真複写機等のPPC(プレイン・ペーパ・コピア:普通紙複写機)を含む複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ等を含むプリンタ、孔版印刷機等を含む印刷機、インクジェット記録装置またはそれらのうちの少なくとも二つを組み合わせた複合機等の画像形成装置は、その装置全体の小型化を図るため、その画像が形成される媒体である被画像形成媒体あるいはシート状の記録媒体(以下、「シート」ともいう)を、シート収容手段あるいはシートを積載するシート積載手段から画像形成手段本体に搬送して供給するための搬送手段も小型化される傾向がある。
【0003】
上記画像形成装置に配置・接続されるシート給送手段としての複数の給紙部およびシート搬送装置としては、例えばシートが搬送される第1の搬送経路と、第1の搬送経路と対向する側からシートが搬送される第2の搬送経路と、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する合流搬送経路とを具備するものが知られている(例えば、特許文献1、3および4参照)。第1の搬送経路(以下、「第1搬送経路」ともいう)としては、例えば装置本体側に配置されたバンク給紙部とも呼ばれる多段給紙部のシート搬送装置に設けられるものが一般的である。第2の搬送経路(以下、「第2搬送経路」ともいう)としては、例えば装置本体の一側部に設けられ、シートサイズを含む多種多様で比較的少数枚のシートを給送するための手差し給紙部に設けられたり接続されたりするもの、あるいは例えば数千枚以上の大容量・多数枚のシートを給送するための大容量給紙部ないしは大量給紙部に接続されるものが一般的である。
このようなレイアウト構成の複数の給紙部およびシート搬送装置を具備した画像形成装置では、ユーザが装置本体に対向して種々の操作やシート補給等の作業を行う際の特に装置本体の幅方向、すなわち装置本体に対向しているユーザから見て装置本体の左右方向の小型化を図るために、通常、上記した合流搬送経路を設けている。上述した合流搬送経路を設けた技術を、以下、「前者の技術」という。
【0004】
一方、画像形成装置では、多様なシートサイズ(以下、例示的に「用紙サイズ」という)やシート種類(以下、例示的に「紙種」という)に対応した機種が一般的である。このような画像形成装置の機種では、例えば、いくつかの用紙サイズおよび紙種からなる用紙を、シート収容手段に予め収容しておき、ユーザが適宜選択したシート収容手段から用紙を、または画像形成装置が自動選択した用紙を給送できるようにしている。従って、このような構成の場合には、シート収容手段が画像形成装置内のスペースをより多く占めて消費するので、搬送手段を小型化する要求がより強まる。
【0005】
これらのことから、画像形成装置内におけるシート収容手段と画像形成手段本体との間に形成される搬送路は、両者の位置関係にもよるが、その搬送方向を大きく変更して、搬送路自体の占有スペースを削減するようにしている。その結果、搬送路上には、その搬送方向を連続的かつスムーズに変更するために、湾曲した形状からなる曲率部を設けて、この曲率部の曲率半径を、画像形成装置に通常使用されるシートとしての定型記録紙が搬送できる程度の比較的小さな半径に設定している。
このような画像形成装置におけるシート搬送装置としては、例えば特開2004−338923号公報に記載されている従来技術を挙げることができる(特許文献1参照)。すなわち、同公報の図6および図7に示されているように、画像形成手段本体の下側に、各段にそれぞれ所定のサイズや紙種のシートを所定枚数積載して収容したシート収容手段としての給紙トレイを配置し、給紙トレイと画像形成手段本体との間には、選択された段である給紙トレイの略水平方向に1枚のシートを引き出して上方の画像形成手段本体に向けて給送するシート搬送装置を設けた構成としている。
【0006】
以下、適宜、上記特開2004−338923号公報の各図に示されている符号に括弧を付して説明すると、給紙トレイ(1)内のシート(P)が周知のFRR分離方式で1枚に分離されて送り出され、上側ガイド板(8)および下側ガイド板(7)で形成された曲率部を備えた搬送経路を通過して画像形成手段本体へ搬送される。上記曲率部は、上側ガイド板(8)および下側ガイド板(7)からなる湾曲固定ガイド部材で形成されており、シート(P)は上記曲率部を通過する際に、下側ガイド板(7)に沿って搬送され、搬送が進むにつれて、シート(P)は、上側ガイド板(8)によって押さえ付けられるように経路が矯正され、下側ガイド板(7)の出口に位置する弾性変形可能な案内片(6)に沿って搬送ローラ対(5)に到達する。以下、上側ガイド板(8)および下側ガイド板(7)を、「湾曲固定ガイド部材」という。
けれども、上記のように構成したシート搬送装置では、厚紙等の記録紙や封筒のような剛性が高い特殊紙のシート(P)を搬送させようとすると、搬送経路の曲率部の曲率半径が小さいため、シート(P)がその曲率に従って撓みながら搬送されるときの抵抗が複写用の普通紙のようなシートと比べて格別に大きくなるため、高剛性の記録紙や特殊紙等のシート(P)を進行させることができず、ジャムや搬送不良を生じて安定した給送動作ができないという不具合があった。
【0007】
上記動作をさらに詳しく述べると、次のとおりである。シート(P)は、その搬送方向のシート(P)先端部(先端側)が、上側ガイド板(8)および下側ガイド板(7)からなる湾曲固定ガイド部材に至ると、この湾曲固定ガイド部材によって、シート(P)の先端側となる前半部分はその厚さ方向に湾曲される。このため、剛性の高いシート(P)を搬送するときには、この高剛性のシート(P)が湾曲に抗する力が増大して、その搬送を妨げる抵抗力も増大することとなる。従って、高剛性のシート(P)の先端部が下流側の搬送ローラ対(5)に到達せずに、上流側のローラ対(2a,2b)だけで高剛性のシート(P)を搬送して、高剛性のシート(P)が湾曲固定ガイド部材で湾曲されると、この上流側のローラ対(2a,2b)による搬送力だけでは、湾曲された高剛性のシート(P)から生じる抵抗力に対して、搬送方向に進める力として不足をきたすことになる。このため、高剛性のシート(P)の中心線が搬送経路の中心線に一致しなくなる斜行などの搬送不良や、高剛性のシート(P)が湾曲固定ガイド部材に引っ掛かって停止してしまう用紙ジャムが発生しやすくなる。
【0008】
そこで、上記特開2004−338923号公報では、第1の搬送手段から送り出されたシートを、その搬送方向下流側であって略垂直上方に位置する第2の搬送手段まで搬送する給紙装置において、第1の搬送手段と第2の搬送手段との間に一対の直線状ガイド部材を設け、この直線状ガイド部材の案内によってシートを搬送する給紙装置が提案されている。この給紙装置によれば、ガイド部材を湾曲形状ではなく直線形状の直線状ガイド部材としたので、搬送負荷を低く抑えること、つまり負荷の急激な上昇を抑制でき、紙詰まり、斜行等の搬送不良を防止できるとしている。
換言すれば、上記給紙装置によれば、搬送されるシート上の変形箇所を、湾曲ガイド部材による1箇所の湾曲に集中させずに、その搬送方向における直線状ガイド部材の前後端付近である2箇所での湾曲に分散でき、しかも、直線状ガイド部材を略中間角度の斜め姿勢に設置して、これらの2箇所における湾曲の程度を略均等な同程度にしているので、その搬送時には搬送負荷の急激な上昇を抑制できるとしている。すなわち、シートがその進行方向を変えるため、湾曲される箇所は、上流側のローラ対から直線状ガイド部材に受け渡す箇所と、直線状ガイド部材から下流側のローラ対に受け渡す箇所との2箇所になり、少なくとも、それぞれの湾曲の程度が小さくなり、これに伴い各箇所で湾曲させたことによって生じる抵抗力を低く保てるので、搬送負荷が急激に上昇することを回避できるというものである。
【0009】
上記特開2004−338923号公報(特許文献1)と概略同様に構成された第1,2の搬送手段を有して、第1の搬送手段と第2の搬送手段の間に、第2の搬送手段に至る傾斜面を形成した反転ガイド部材を設け、この反転ガイド部材は、第2の搬送手段に向けて可動するように構成された給紙装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
この給紙装置によれば、反転ガイド部材に用紙後端が接触するときには、用紙後端が接する方向と概略同様な方向に反転ガイド部材が変位して、この変位によって、用紙後端が接触した際のショックを吸収できるので、弾き音を低減できるとしている。
【0010】
また、シートを収容した複数のシート収容手段と、各シート収容手段にそれぞれ個別に設けた搬送路およびシート給送手段とを有し、これらの搬送路の末端を1つの共通搬送路に合流させた構成にするとともに、少なくとも、高剛性のシートを収容したシート収容手段に設けた搬送路は、その末端に設けた前記共通搬送路に合流する際の第1の曲率部の曲率半径を、他の搬送路が合流する際の他の曲率部の曲率半径よりも大きく設定したシート給送装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
このシート給送装置によれば、高剛性のシートは、その搬送時に、搬送路上を進んで曲率半径が大きい第1の曲率部を通過する際には、普通のシートと同程度に湾曲されることなく、普通シートに比べて、十分に緩やかに湾曲されて進み続けるので、その搬送時の抵抗が少なくでき、シートの停滞や遅延を生じることなく共通搬送路に到達させ搬送できるとしている。
【0011】
また、反転ローラ対と、この反転ローラ対により送り込まれたシートを搬送・ガイドするための反転搬送路とを有し、反転搬送路は、シートの搬送方向を変更するための方向変更部位を有し、この方向変更部位における内側に回転可能なローラをシート搬送方向に見て直角方向に配設することにより、反転搬送路に送り込まれたシートを前記ローラに当接させながら送り出すようにした画像形成装置に備えたシート反転手段が知られている(例えば、特許文献4参照)。
このシート反転手段によれば、送り込まれたシートは前記の方向変更部位でその内側の接触部位が、ローラに必ず接することになり、しかもこのローラがシートの搬送方向の進行に伴い従動回転するので、従来のガイド板に比べて、搬送抵抗を軽減でき、つまり固定されたガイド部材と移動するシートとの間に生じる摩擦抵抗を解消して、前記の方向変更部位での搬送方向を変更するガイドができるとしている。
上述した特許文献1ないし4の技術を、以下、「後者の技術」という。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前者の技術では、近年特に要求されている装置幅のさらなる小型化・コンパクト化を図るとともにシートサイズを含む多種多様のシートを第1および/または第2搬送経路から安定した搬送品質で搬送したいという要望には到底応えられないという問題点がある。
【0013】
一方、後者の技術では、次の不具合がある。すなわち、特許文献1記載のシート搬送装置では、所詮、搬送するシートのガイド用に固定部材を配置した構成であるため、移動体である搬送されるシートと、固定されたガイド部材との間の速度差は解消されず、ガイド部材の形状や設置姿勢に拘わりなく、両者の間には必ずシートの搬送を妨げる方向に作用する抵抗が生じてしまい、搬送負荷となるという問題点がある。
つまり、前記従来の構成では、上記の搬送不良やジャムを回避する効果が不十分であり、直線状のガイド部材では、たとえ搬送負荷の急激な上昇を抑制できても、搬送負荷を生じることには変わりがないといえる。特に、厚紙や封筒等の剛性の高い用紙(シート)を搬送する際には、上記の搬送不良やジャムおよび用紙後端のハネ音が顕著となってしまう。
【0014】
特許文献2記載の反転ガイド部材を設けた構成では、たとえ用紙後端が接する方向に変位可能であるという意味で可動部材であるとしても、該用紙の向きを変更するガイドとしては固定ガイド部材であり、同様に、その向きを変更してガイドする際には、用紙と反転ガイド部材との間での相対速度差が解消されておらず、搬送負荷が生じている。特に、厚紙や封筒等の剛性の高い用紙(シート)を搬送する際には、上記の搬送不良やジャムおよび用紙後端のハネ音が顕著となってしまう。
【0015】
また、特許文献3記載の技術のように、曲率半径を所定に大きく設定した専用の搬送路を設けた構成でも、この専用の搬送路上を進むシートが緩やかに湾曲されて、シートが搬送路から受ける搬送抵抗が少なくなるとしても、同様に搬送負荷が生じることには変わりない。特に、厚紙や封筒等の剛性の高い用紙(シート)を搬送する際には、上記の搬送不良やジャムが顕著となってしまう。
【0016】
また、特許文献4記載の技術のように、ローラなどの可動部材を、搬送路の方向変更部位における内側の搬送路部分の所定箇所に設けた構成では、その搬送過程において、内側のローラによって、シートの前後端の間の中間部分が支持された状態での両者間の摩擦抵抗を特に有効的に低減できても、このような状態になる前後の状態について、つまりその方向変更部位における外側の搬送路部分とシートとが接した場合の、搬送負荷についての配慮が欠けており、またその搬送過程でのシート先端やシート後端の挙動についても、特に言及されていない。特に、厚紙や封筒等の剛性の高い用紙(シート)を搬送する際には、上記の搬送不良やジャムおよび用紙後端のハネ音が顕著となってしまう。
【0017】
そこで、本出願人は、後者の技術の有する諸不具合を解決できる新規なシート搬送装置およびそのシート搬送装置を有する画像形成装置等を実現し提供することを目的とした発明を、平成18年8月7日付けの特願2006−214779号等(以下、「第1の先願発明」という)等にて提案した。この第1の先願発明等は、第1の搬送手段と第2の搬送手段との間に形成されるシート搬送経路の外郭方向に配置され、第2の搬送手段に向けてシートを移動案内する移動案内手段(具体的にはベルト搬送手段)を有することを特徴としたものである。この第1の先願発明等によれば、コンパクトで省スペースでありながら、簡単かつ低コストである構成で、シート種類(紙種)対応性に優れたシート搬送装置、該シート搬送装置を備えた画像読取装置、シート搬送装置および/または画像読取装置を備えた画像形成装置を実現し提供することができるものであった。
【0018】
さらに、本出願人は、上記第1の先願発明等を、上記の合流搬送経路を備えたシート搬送装置および画像形成装置に適用し実用化する上で、従来と比べて装置を小型化しつつシートサイズを含む多種多様のシートを第1および/または第2の搬送経路から搬送可能とするか、または従来と同様の装置幅としながら第1および第2の搬送経路の一方の曲率半径を大きくすることで多種多様のシートを安定した搬送品質で搬送可能とするシート搬送装置および画像形成装置等を実現し提供することを主な目的とした発明を、平成19年2月26日付けの特願2007−46215号(以下、「第2の先願発明」という)にて提案した。この第2の先願発明は、シートが搬送される第1の搬送経路と、第1の搬送経路と対向する側からシートが搬送される第2の搬送経路と、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する合流搬送経路と、前記合流搬送経路における第1の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の外郭であって、前記合流搬送経路における第2の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の内郭に配置されたベルト搬送手段とを有することを特徴としたシート搬送装置である。
この第2の先願発明によれば、従来と比べて装置を小型化しつつシートサイズを含む多種多様のシートを第1および第2の搬送経路の双方から搬送可能となるか、または従来と同様の装置幅としながら第1および第2の搬送経路の一方の曲率半径を大きくすることで多種多様のシートを安定した搬送品質で搬送可能となり、これに伴い設計の自由度を広げることができるものであった。
【0019】
しかしながら、上記第2の先願発明を、上記の合流搬送経路を備えたシート搬送装置および画像形成装置に適用し実用化する試験等を進めていく中で、さらなる改良すべき問題のあることが判明した。具体的には、図10を参照して後述するが、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する部位に配置され、第1の搬送経路および第2の搬送経路から搬送されるシートを合流搬送経路に案内する第1のガイド部材の下流側において、ベルト搬送手段におけるシートの挟持部よりもシート幅方向の両端側で、特に第2の搬送経路から搬送される厚紙等の比較的剛性の高いシートの先端両端部が波打ち・垂れ下がる現象によって、シートを正常に進行させることができず、ジャムや搬送不良を生じて安定した搬送動作ができないという問題点があった。
したがって、本発明は、上記第2の先願発明に係るシート搬送装置およびこれを有する画像形成装置において、特に第2の搬送経路から搬送される厚紙等の比較的剛性の高いシートのジャムや搬送不良を未然に防止して、安定したシート搬送動作を可能とするシート搬送装置および画像形成装置を実現し提供することを主な目的としている。
その他、後述する請求項ごとの効果が得られるシート搬送装置、該シート搬送装置を有する画像形成装置を実現し提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、シートが搬送される第1の搬送経路の上流側に配置され、シートを搬送する第1の搬送手段と、第1の搬送経路と対向する側からシートが搬送される第2の搬送経路の上流側に配置され、シートを搬送する第2の搬送手段と、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する合流搬送経路に配置され、第1の搬送経路および第2の搬送経路から搬送されるシートを前記合流搬送経路の下流側に搬送する第3の搬送手段と、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する部位に配置され、第1の搬送経路および第2の搬送経路から搬送されるシートを前記合流搬送経路に案内する第1のガイド部材とを有し、第1の搬送手段、第2の搬送手段および第3の搬送手段のうちの少なくとも第3の搬送手段は、シートを挟持搬送する挟持部を形成する挟持搬送手段であり、前記挟持搬送手段の対向対の一方は、前記合流搬送経路における第1の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の外郭であって、前記合流搬送経路における第2の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の内郭に配置されたベルト搬送手段であるシート搬送装置であって、第1のガイド部材は、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する前記挟持部以外に対向した第1のガイド部材の位置が、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する前記挟持部に対向した第1のガイド部材の位置よりもシート搬送方向の下流に位置することを特徴とする。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のシート搬送装置において、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する前記挟持部以外に対向した位置の第1のガイド部材に、第2の搬送経路から搬送されてくるシートに接触して弾性変形可能な可撓性部材を用いたことを特徴とする。
【0022】
請求項3記載の発明は、シートが搬送される第1の搬送経路の上流側に配置され、シートを搬送する第1の搬送手段と、第1の搬送経路と対向する側からシートが搬送される第2の搬送経路の上流側に配置され、シートを搬送する第2の搬送手段と、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する合流搬送経路に配置され、第1の搬送経路および第2の搬送経路から搬送されるシートを前記合流搬送経路の下流側に搬送する第3の搬送手段と、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する部位に配置され、第1の搬送経路および第2の搬送経路から搬送されるシートを前記合流搬送経路に案内する第1のガイド部材とを有し、第1の搬送手段、第2の搬送手段および第3の搬送手段のうちの少なくとも第3の搬送手段は、シートを挟持搬送する挟持部を形成する挟持搬送手段であり、前記挟持搬送手段の対向対の一方は、前記合流搬送経路における第1の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の外郭であって、前記合流搬送経路における第2の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の内郭に配置されたベルト搬送手段であるシート搬送装置であって、第1のガイド部材は、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する第1のガイド部材の位置が、前記挟持部以外に対向した部位と該挟持部に対向した部位とで、シート搬送方向に対して異なることを特徴とする。
【0023】
請求項4記載の発明は、シートが搬送される第1の搬送経路の上流側に配置され、シートを搬送する第1の搬送手段と、第1の搬送経路と対向する側からシートが搬送される第2の搬送経路の上流側に配置され、シートを搬送する第2の搬送手段と、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する合流搬送経路に配置され、第1の搬送経路および第2の搬送経路から搬送されるシートを前記合流搬送経路の下流側に搬送する第3の搬送手段と、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する部位に配置され、第1の搬送経路および第2の搬送経路から搬送されるシートを前記合流搬送経路に案内する第1のガイド部材とを有し、第1の搬送手段、第2の搬送手段および第3の搬送手段のうちの少なくとも第3の搬送手段は、シートを挟持搬送する挟持部を形成する挟持搬送手段であり、前記挟持搬送手段の対向対の一方は、前記合流搬送経路における第1の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の外郭であって、前記合流搬送経路における第2の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の内郭に配置されたベルト搬送手段であるシート搬送装置であって、第1のガイド部材は、第2の搬送経路を搬送されるシートを案内する第1のガイド部材におけるシート搬送方向の下流端部の案内面の位置が、前記挟持部以外に対向した部位と該挟持部に対向した部位とで、前記シート搬送方向と直交する方向に対して異なることを特徴とする。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のシート搬送装置において、第1のガイド部材は、前記挟持部以外に対向した前記案内面の位置が、前記挟持部に対向した前記案内面の位置よりも前記シート搬送方向と直交する方向に突出していることを特徴とする。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項1、2または3記載のシート搬送装置において、第2の搬送経路を搬送されるシートを前記合流搬送経路に案内すべく、前記ベルト搬送手段に対向して第2の搬送経路の一方を形成すべく配置された第2のガイド部材と、第2の搬送経路を搬送されるシートを前記合流搬送経路に案内すべくその終点部に湾曲部分を形成され、第2のガイド部材に対向して第2の搬送経路の他方を形成すべく配置された第3のガイド部材とを有し、前記挟持部以外に対向した第1のガイド部材の下流端の位置は、第2の搬送経路を搬送されるシートの先端が前記湾曲部分の前記終点部に導かれるように設定されていることを特徴とする。
【0026】
請求項7記載の発明は、請求項1、2、3または6記載のシート搬送装置において、前記合流搬送経路の下流側から前記挟持部に対向するように上流側に延び、該合流搬送経路を搬送されるシートを前記下流側に案内する第4のガイド部材を有し、前記挟持部以外に対向した第1のガイド部材の下流端の位置が、第4のガイド部材の前記上流側に延びた延長線上に位置するように設定されていることを特徴とする。
【0027】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか一つに記載のシート搬送装置において、シート搬送方向と直交するシート幅方向における前記挟持搬送手段が、該シート幅方向のシートの一部と接触するように前記シート幅方向に断続的に構成されていることを特徴とする。
【0028】
請求項9記載の発明は、請求項8記載のシート搬送装置において、前記挟持搬送手段が、前記シートの一部である中央部と接触するように前記シート幅方向に断続的に構成されていることを特徴とする。
【0029】
請求項10記載の発明は、請求項1ないし9の何れか一つに記載のシート搬送装置において、前記挟持搬送手段の対向対の他方は、回転することにより駆動力を伝達可能な回転搬送駆動手段であり、前記対向対の一方は、前記回転搬送駆動手段に従動して、前記挟持部に向けて第2の搬送経路から搬送されてきたシート表面と接触することで搬送力を補助するベルトを備えた前記ベルト搬送手段であることを特徴とする。
【0030】
請求項11記載の発明は、請求項1ないし10の何れか一つに記載のシート搬送装置と、前記ベルト搬送手段の下流側に配置され、該ベルト搬送手段を経由して搬送されてきたシートに画像形成を行う画像形成手段とを有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、上記課題を解決して新規なシート搬送装置、該シート搬送装置を有する画像形成装置を実現し提供することができる。
以下、請求項記載の発明ごとに特有の効果を挙げれば、次のとおりである。すなわち、請求項1、8、9記載の発明によれば、第1のガイド部材は、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する挟持部以外に対向した第1のガイド部材の位置が、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する挟持部に対向した第1のガイド部材の位置よりもシート搬送方向の下流に位置することにより、狭持部以外で発生するシート種類の違いによる色々なシート波打ち状態に対して適性なガイドを形成することができるので、第2の搬送経路の曲率部の曲率半径を小さくした省スペースデザインでも高剛性のシートである厚紙や特殊紙を搬送させることができ、もってジャムや搬送不良の発生が著しく少ない、高い品質のシート搬送装置を実現し提供することができる。
【0032】
請求項2、8、9記載の発明によれば、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する挟持部以外に対向した位置の第1のガイド部材に、第2の搬送経路から搬送されてくるシートに接触して弾性変形可能な可撓性部材を用いたことにより、可撓性部材の材質として例えばPET等の剛性の低い部材を用いることで、剛性の高い部材を使用した場合に対し、第1のガイド部材をシート搬送方向の下流側に延ばした部分において柔軟性が確保できることによって搬送抵抗を低減することができ、第2の搬送経路の曲率部の曲率半径が小さくした省スペースデザインでも高剛性のシートである厚紙や特殊紙を搬送させることができ、もってジャムや搬送不良の発生が著しく少ない、高い品質のシート搬送装置を実現し提供することができる。
【0033】
請求項3、8、9記載の発明によれば、第1のガイド部材は、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する第1のガイド部材の位置が、挟持部以外に対向した部位と該挟持部に対向した部位とで、シート搬送方向に対して異なることにより、狭持部以外で発生するシート種類の違いによる色々なシート波打ち状態に対して適性なガイドを形成することができるので、第2の搬送経路の曲率部の曲率半径を小さくした省スペースデザインでも高剛性のシートである厚紙や特殊紙を搬送させることができ、もってジャムや搬送不良の発生が著しく少ない、高い品質のシート搬送装置を実現し提供することができる。
【0034】
請求項4、8、9記載の発明によれば、第1のガイド部材は、第2の搬送経路を搬送されるシートを案内する第1のガイド部材におけるシート搬送方向の下流端部の案内面の位置が、挟持部以外に対向した部位と該挟持部に対向した部位とで、シート搬送方向と直交する方向に対して異なることにより、狭持部以外で発生するシート種類の違いによる色々なシート波打ち状態に対して適性なガイドを形成することができるので、第2の搬送経路の曲率部の曲率半径を小さくした省スペースデザインでも高剛性のシートである厚紙や特殊紙を搬送させることができ、もってジャムや搬送不良の発生が著しく少ない、高い品質のシート搬送装置を実現し提供することができる。
【0035】
請求項5、8、9記載の発明によれば、第1のガイド部材は、挟持部以外に対向した案内面の位置が、挟持部に対向した案内面の位置よりもシート搬送方向と直交する方向に突出していることにより、狭持部以外で発生するシート種類の違いによる色々なシート波打ち状態に対して適性なガイドを形成することができるので、第2の搬送経路の曲率部の曲率半径を小さくした省スペースデザインでも高剛性のシートである厚紙や特殊紙を搬送させることができ、もってジャムや搬送不良の発生が著しく少ない、高い品質のシート搬送装置を実現し提供することができる。
【0036】
請求項11記載の発明によれば、請求項1ないし10の何れか一つに記載のシート搬送装置と、ベルト搬送手段の下流側に配置され、該ベルト搬送手段を経由して搬送されてきたシートに画像形成を行う画像形成手段とを有することにより、請求項1ないし10の何れか一つに記載のシート搬送装置による効果を奏する画像形成装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を適用するカラープリンタの概略的な略中央断面図である。
【図2】本発明を適用する参考例の用紙搬送装置の要部を示す略中央断面図である。
【図3】図2の用紙搬送装置のベルトユニットを搬送ガイド部材に取り付け・組み付けた状態を、グリップローラ側から見たときの要部の斜視図である。
【図4】図2の用紙搬送装置のベルトユニット周りを、グリップローラ側から見たときの要部の斜視図である。
【図5】図2の用紙搬送装置のベルトユニット周りを、搬送ガイド部材の裏側から見たときの要部の斜視図である。
【図6】図2の用紙搬送装置のベルトユニットを搬送ガイド部材に取り付け・組み付けた状態を、搬送ガイド部材の裏側から見たときの要部の斜視図である。
【図7】(a)、(b)、(c)は、図2の用紙搬送装置において、手差し給紙路を介して搬送ガイド部材に搬送されてきた用紙の進行推移状態を説明する要部の正面図である。
【図8】(a)は従来例の用紙搬送装置の、(b)は、参考例に係る用紙搬送装置の、基本的なレイアウト構成をそれぞれ概念的・模式的に示す図である。
【図9】(a)は、図2に示す用紙搬送装置の小型化が図れることを、(b)に示す従来例の用紙搬送装置と比較して説明する要部の正面図である。
【図10】従来の課題を説明するための参考例の用紙搬送装置の要部を示す斜視図である。
【図11】第1の実施形態を示す用紙搬送装置周りの要部構成を開放して示す右側面図である。
【図12】第1の実施形態の搬送ガイド部材を示す斜視図である。
【図13】図12の搬送ガイド部材の正面図である。
【図14】変形例1の用紙搬送装置における搬送ガイド部材の要部を示す斜視図である。
【図15】第1の実施形態等の用紙搬送装置における搬送ガイド部材の作用を補説する要部の正面図である。
【図16】第2の実施形態を示す用紙搬送装置周りの要部構成を開放して示す右側面図である。
【図17】第2の実施形態の搬送ガイド部材を示す斜視図である。
【図18】図17の搬送ガイド部材の正面図である。
【図19】第3の実施形態の用紙搬送装置における搬送ガイド部材を示す斜視図である。
【図20】変形例2の用紙搬送装置における搬送ガイド部材の要部を示す斜視図である。
【図21】第4の実施形態の用紙搬送装置における搬送ガイド部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。上記先願発明を適用した用紙(シート)搬送装置およびそれを搭載した画像形成装置の例、実施形態や変形例、実施例等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。上記先願発明および公開特許公報等の構成要素をそのまま引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0039】
本発明の一実施形態を適用する画像形成装置は、いわゆるタンデム方式を採用したフルカラープリンタの例である。図1は、このフルカラープリンタ100の概略を示す中央断面図である。
まず、図1を参照して、フルカラープリンタ100(以下、単に「プリンタ100」ともいう)の内部構成について説明する。プリンタ100の装置の内部には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色の画像を形成するための画像形成手段として、4個の像担持体もしくは潜像担持体であるドラム状の感光体2Y,2M,2C,2Bkが図中左右方向に等間隔で離間させて並列に配設されている。これらの感光体2Y,2M,2C,2Bkは、プリンタ100の動作時に、不図示の駆動源により、矢印方向に回転する。
上記各感光体の周囲には、現像装置など、電子写真方式の画像形成装置に必要な部材、装置が配備され、4箇所に画像形成部として構成されているが、作像する画像のトナー色に対応させるよう、便宜上各作像装置を示す番号の末尾に、その色を表わすY(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Bk(ブラック)を添え字として付すことにする。特に一般的説明では、これらの添え字を省略する場合もある。
4個の画像形成部1Y、1C、1M、1Bkは、作像する画像のトナー色を除き、何れも同じ構成となっている。各画像形成部の感光体の周囲には、帯電装置4、現像装置5、クリーニング装置3が配設されている。感光体はベルト状のものを用いることも可能である。
なお、図1において、画像形成部1Yを代表して、作像する画像のトナー色を表す符号、すなわち帯電装置4Y、現像装置5Y、クリーニング装置3Yを付し、他の画像形成部1C、1M、1Bkについては、図の簡明化のため符号付与を省略している。
【0040】
図1に示すように、感光体2Y,2C,2M,2Bkの下方には、各色毎の画像データ対応のレーザビーム光8Y,8C,8M,8Bkを、帯電装置4によって一様に帯電済みの各感光体2の表面に走査し、静電潜像を形成するための露光装置8が設けられている。各帯電装置4と各現像装置5との間には、この露光装置8により照射するレーザ光が感光体に向けて入り込むように、細長いスペースが感光体2の回転軸の方向に確保されている。
図示例の露光装置8は、レーザ光源、ポリゴンミラー等を用いたレーザスキャン方式の露光装置で、不図示の4個の半導体レーザから、形成すべき画像データに応じて変調したレーザビーム光8Y,8C,8M,8Bkを出射する。露光装置8は、金属あるいは樹脂製の筐体により、光学部品、制御用部品を収納し、上面の出射口には、透光性の防塵部材を備えている。同図に示す例では、1個の筐体で構成されているが、複数の露光装置を、各画像形成部に個別に設けることもできる。上記レーザを採用する露光装置のほかに、公知のLEDアレイと結像手段とを組合せた露光装置も採用できる。
【0041】
イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色トナーは、各色を扱う各現像装置5で消費されると、不図示のトナー検知手段により検知され、プリンタ100の上部に備える各色のトナーを収納しているトナーカートリッジ40Y,40C,40M,40Bkから、不図示の供給手段により、各現像装置5に供給される。各色のトナーカートリッジ40が誤って装着されて別の色を扱う現像装置にトナーが補給されないよう、トナーカートリッジ収納部39とトナーカートリッジ40の形状が対をなすようにするなど、誤装着防止手段が設けてある。
【0042】
感光体2Y,2C,2M,2Bkの上部には、中間転写ユニット6が配備されている。複数のローラ6b,6c,6d、6eにより支持・張架された像担持体としての中間転写ベルト6aが矢印方向に走行するよう、支持ローラ6bが回転する。この中間転写ベルト6aは無端状で、各感光体の現像工程後の一部が接触するように張架、配置されている。中間転写ベルト6aの内周部には、各感光体に対向させて一次転写ローラ7Y,7C,7M,7Bkが設けられている。
中間転写ベルト6aの外周部には、ローラ6eに対向する位置にクリーニング装置6hが設けられている。このクリーニング装置6hは、中間転写ベルト6aの表面に残留する不要なトナーや、紙粉などの異物を拭い去る。クリーニング装置6hに対向するローラ6eは、中間転写ベルト6aにテンションを与える機構を備える。ローラ6eは、常に適切なベルトテンションを確保するため移動するが、対向するクリーニング装置6hも連動して移動が可能となっている。
【0043】
中間転写ベルト6aの外周で、支持ローラ6bの近傍には、2次転写ローラ14aが設けてある。中間転写ベルト6aと2次転写ローラ14aとの間に、シートあるいはシート状の記録媒体の一例としての用紙Sを通過させながら、バイアスを印加することで中間転写ベルト6aが担持するトナー画像が用紙Sに静電的に転写される。
シートあるいはシート状の記録媒体としては、上記用紙Sの他に、記録紙、転写紙、OHPフィルムなど複写画像を形成することができるものが含まれる。
【0044】
露光装置8の下方には複数段、例えば2段の給紙カセット9A,9Bが引出し可能に配設されている。給紙カセット9A内の給紙トレイ(底板)上に収納された用紙Sは、ピックアップローラ60の回転により送り出され、ピックアップローラ60により送り出された用紙Sを1枚に分離する分離給送手段としてのフィードローラ61およびリバースローラ62と、第3の搬送手段(挟持搬送手段)を構成するグリップローラ81およびベルト搬送手段58とにより、第1の搬送経路としての第1搬送路P1を経由して合流搬送経路としての合流搬送路P3に送られる。
【0045】
また、給紙カセット9B内の給紙トレイ(底板)上に収納された用紙Sは、ピックアップローラ60の回転により送り出され、ピックアップローラ60により送り出された用紙Sを1枚に分離する分離給送手段としてのフィードローラ61およびリバースローラ62と、第3の搬送手段(挟持搬送手段)を構成するグリップローラ81および搬送ローラ83とにより、第1の搬送経路としての第1搬送路P1を経由して合流搬送経路としての縦搬送路P9に送られる。
給紙カセット9A,9Bにおいて、各ピックアップローラ60、フィードローラ61およびリバースローラ62は、第1搬送路P1の上流側に配置され、用紙Pを搬送する第1の搬送手段を構成する。給紙カセット9Bにおいて、第3の搬送手段(挟持搬送手段)59’は、従来のシート搬送装置と同様の構成であり、グリップローラ81と搬送ローラ83とから構成されている。上述した構成は、後述する給紙装置50における給紙カセット9C,9Dの第3の搬送手段(挟持搬送手段)59’においても同様である。
【0046】
合流搬送路P3の下流には、2次転写部へ用紙Sを送り出す給送タイミングをとるための、一対のレジストローラ13が設けてある。用紙Sは、レジストローラ対13から、中間転写ベルト6aと2次転写ローラ14aで構成される2次転写部に向けて搬送される。
【0047】
図の右側に設けてある手差し給紙装置25は使用しないとき、所定角度回動、すなわち揺動させてプリンタ100の本体一部のフレームFに収納が可能である。手差し給紙装置25の給紙トレイに収納された最上位の用紙Sは、ピックアップローラ26の回転により送り出され、ピックアップローラ26により送り出された用紙Sを1枚に分離する分離給送手段としてのフィードローラ27およびリバースローラ28と、第3の搬送手段(挟持搬送手段)を構成するグリップローラ81およびベルト搬送手段58とにより、第2の搬送経路としての第2搬送路P2および合流搬送路P3を経由して上記一対のレジストローラ13に送られる。
【0048】
2次転写部の上方には、加熱手段を有する定着装置15が設けられている。この例では、ヒータを内蔵した加熱ローラ15aと加圧ローラ15bとから構成されているが、ベルトを採用したタイプ、また加熱の方式もIHを採用したものなど、適宜採用することができる。
切り換えガイド部材32は、所定の角度の範囲内で回動可能、すなわち軸を中心として揺動可能で、図示の状態では、定着の終了した用紙を排紙路P5に案内し、一対の排紙ローラ16により、プリンタ100上部で排紙トレイを形成している排紙スタック部33に排紙、スタックされる。
【0049】
図1のプリンタ100は、用紙の両面に自動的に画像を形成することができるよう、用紙の反転、再給紙のための搬送路やローラを備えている。具体的には、スイッチバック路P7を排紙部(排紙ローラ16等を具備する部位)の上部に設けたものである。給紙部(給紙カセット9A〜9D)の何れか1つより送られた用紙Pは2次転写部、定着装置15を経由して、片面に作像される。この時、切り換えガイド32は時計方向に揺動して、用紙ガイド部材30の左側面で一部を形成された搬送路P6を経由して、反転可能、すなわち正逆転可能な搬送ローラ18a、18bへ送られる。搬送ローラ18aにより、用紙Sはインナートレイ31で形成されるスイッチバック路P7に導かれる。
用紙ガイド部材30の搬送下流側先端を用紙の後端が抜けてから、搬送ローラ18aは反時計方向に回転し、用紙Pを再給紙路P8に導く。用紙Pは再給紙路P8中に配置された搬送ローラ対20,14dと搬送ローラ対21,14cとを経由して、反転可能なローラ22とローラ23が当接しており、用紙Pを挟持して、合流搬送路P3を経由して、レジストローラ13へ再給紙させる。
前述したように、反転可能な駆動ローラ22には、ローラ23が当接しており、このローラ22が時計方向に回転するとき、ローラ23と協働して手差し給紙装置25からの用紙搬送を行い、ローラ22が反時計方向に回転するとき、ローラ23と協働して、再給紙路P8からの再給紙の用紙Sをレジストローラ13の方向に搬送する。
【0050】
図1に示した装置は、下部に別の給紙装置50を備えている。この例では2個の給紙カセット9C、9Dを備えているが、さらに個数を増やしたタイプのものも採用でき、用紙収納数を多くした給紙カセットを内蔵したタイプでも勿論よい。
【0051】
図1において、55’は、プリンタ100が有するシート搬送装置としての用紙搬送装置の一例を示している。この用紙搬送装置55’は、上述の第2の先願発明(平成19年2月26日付けの特願2007−46215号)の第3の実施形態に係る段落「0156」〜「0177」に記載され、図24〜図32に示されている用紙搬送装置(5C)と略同様の、従来には無い新規な構成を有するものであるため、詳しく後述する。用紙搬送装置55’は、用紙搬送装置(5C)と比較して、分離手段がFRR方式である点が主に相違する。
【0052】
上述の構成に基づいて、用紙Sの片面に画像を形成する片面画像形成・記録時の動作について説明する。先ず、露光装置8の作動により半導体レーザ(図示せず)から出射されたイエロー用の画像データ対応のレーザビーム光8Yが、帯電装置4Yにより一様帯電された感光体2Yの表面に照射されることにより静電潜像が形成される。
この静電潜像は現像装置5Yによる現像処理を受けてイエロートナーで現像されて、可視像となり、感光体2Yと同期して移動する中間転写ベルト6a表面に一次転写ローラ7Yによる転写作用を受けて一次転写される。このような潜像形成、現像、一次転写動作は感光体2C,2M,2Bkでもタイミングをとって順次同様に行われる。
この結果、中間転写ベルト6aの表面上には、イエローY、シアンC、マゼンタM、およびブラックBkの各色トナー画像が、順次重なり合った4色トナー画像として担持され中間転写ベルト6aとともに矢印の方向に移動される。一方、感光体2の表面は、クリーニング装置3により、残存するトナーや異物がクリーニングされる。
【0053】
中間転写ベルト6a上に形成された4色のトナー画像は、中間転写ベルト6aと同期して搬送される用紙S上に、2次転写ローラ14aによる転写作用を受けて転写される。そして、中間転写ベルト6a側ではその表面が、ベルトクリーニング装置6hによりクリーニングされ、次の作像・転写工程に備える。画像が転写された用紙Sは、定着装置15による定着作用を受け、排紙ローラ16により排紙スタック部33に、画像面が下向き(フェースダウン)で排紙される。
【0054】
このような構成において、用紙Sの両面に画像を形成する両面画像形成・記録時の動作について説明する。上記のとおりの動作により、先ず用紙Sの片面に画像を中間転写ベルト6aから転写し、定着装置15を通過した用紙Sを、切り換えガイド部材32により搬送ローラ対18a,18bへ向けて案内する。用紙Sはインナートレイ31により構成されたスイッチバック路P7へ、搬送ローラ18aと18bで搬送されるが、反転可能の駆動ローラ18aは、用紙Sの後端が用紙ガイド部材30の先端を抜けたところで反時計方向に回転する。今まで用紙後端であった方を先端として、用紙Sはローラ対14d,20と14c,21とにより、ローラ対22,23に向け搬送させる。その後、用紙Sを上記のようにレジストローラ対13に到達させる。レジストローラ対13でタイミングをとって、片面に画像を有している用紙Sを再度、2次転写ローラ14aのある2次転写部に向けて搬送させることにより、中間転写ベルト6a上のトナー画像が用紙Sの他面側に転写される。
【0055】
用紙Sの他面に形成すべき画像は、この用紙Sが所定のところまで搬送されたとき、開始される作像工程により順次形成される。この場合の作像工程もまた前述の片面印刷時のフルカラートナー画像形成と同様であり、このフルカラートナー画像を中間転写ベルト6a上に担持させる。ただし、用紙Sは再給紙路P8で前後が反転されているため、最初に作像されたときに対し、用紙搬送方向で逆から作像されるよう、露光装置8から出射される画像データの作成が制御、実行される。
【0056】
このようにして両面にフルカラートナー画像が転写された用紙Sは再度、定着装置15による定着処理を経て、排紙ローラ16により排紙スタック部33上に排紙される。両面作像の効率を上げるため、各搬送路には同時に数枚の用紙を搬送させることができる。また、用紙の表、裏に形成すべき画像の形成タイミングは制御手段(図示せず)により実行される。
【0057】
なお、これらの片面印刷、両面印刷動作に関して、フルカラー印刷を実行させる例で説明したが、ブラックによるモノクロ印刷時にあっては、使用されない感光体が存在する。使用されない感光体2Y、2C、2Mあるいは現像装置5Y,5C,5Mを稼動させないだけでなく、これらの使用されない感光体と中間転写ベルト6aとを非接触に保つための機構を備えている。本例では、ローラ6dと1次転写ローラ7Y、7Cおよび7Mを支持する内部フレーム6fを、軸6gを中心に所定角度回動可能、すなわち揺動可能に支持し、感光体から遠ざかる方向(図1で時計方向)に揺動させることにより、感光体2Bkだけが中間転写ベルト6aと接触し、かつ、中間転写ベルト6aを介して1次転写ローラ7Bkと対向・接触することで、作像工程を実行することによって、ブラックトナーによるモノクロ画像を作成する。このため、寿命向上の点で有利である。
【0058】
また、各搬送路でのジャム発生時にはフレームFを下方の回動軸Faを回動中心として、上方を開放可能な構造(図示せず)にしてある。開放に先立ち、図示していないロックレバーの操作により、開放させることにより、ほとんどの搬送路が開放できるため、ジャムした用紙の処置が容易にできる。
搬送路P4と再給紙路P8を両側に形成した2次転写ユニット14は、ローラ23の軸中心を揺動中心としており、フレームFを開放したとき、2次転写ローラ14aが中間転写ベルト6aから離れ、かつ、ローラ14cと14dがローラ21と20から離れるように、2次転写ユニット14に揺動習性を与えてある。この2次転写ユニット14は、内部に電源14bを備え、ケース外部は上述のように用紙Sの搬送機能を有したユニットとなっている。
【0059】
(参考例)
図2〜図9を参照して、本願発明の参考例(未公開の上記第2の先願発明に相当)に係る用紙搬送装置55を詳しく説明する。まず、図8を参照して、参考例の基本的なレイアウト構成を従来例と比較しながら説明する。
図8(a)、(b)は、装置本体の幅方向(図1や図2の左右方向)に相当する同図の左右方向に、用紙(シート)が搬送される第1の搬送経路としての第1搬送路P1(以下、図8において「左搬送路」ともいう)と、第1搬送路P1と対向する側から用紙(シート)が搬送される第2の搬送経路としての第2搬送路(以下、「手差し搬送路」ともいう、以下省略。図8において「右搬送路」ともいう)とを形成し、左・右搬送路を第3搬送手段(挟持搬送手段)59A,59’の手前で合流させることで、合流搬送経路としての合流搬送路P3を形成したことを概念的・模式的に示している。
図8(a)は、第3搬送手段(挟持搬送手段)59’をグリップローラ81と対向・接触する搬送ローラ状のプーリ83(以下、図8において「従動ローラ83」ともいう)とで構成した従来のもので、図8(b)は、第3搬送手段59をグリップローラ81とベルト搬送手段58Aとで構成した参考例に係るものである。
【0060】
図8(a)に示す従来例のレイアウト構成において、左搬送路におけるフィードローラ63の軸中心と、グリップローラ81と従動ローラ83とのニップ部中心とにおける水平方向の距離・間隔をB1とし、右搬送路におけるフィードローラ63Aの軸中心と、グリップローラ81と従動ローラ83とのニップ部中心とにおける水平方向の距離・間隔をC2とし、左右搬送路におけるそれぞれのフィードローラ63,63A間の水平方向の軸間距離・間隔をA1とする。さらに、右側の手差し給紙路P2の曲率半径をD1とする。
例えば、従来の構成では、左搬送路(第1搬送路P1)に比べて右搬送路(手差し搬送路P2)を搬送できる用紙Sのメートル坪量を大きく設定しており、そのために右搬送路の曲率半径を左搬送路に比べて大きくなるようにしている。
【0061】
一方、図8(b)に示す参考例に係るレイアウト構成では、上記第2の先願発明に係る第2の実施形態で開示したように、左搬送路(第1搬送路P1)の外郭に相当する部位にベルト搬送手段58Aを配置したことにより、換言すれば合流搬送路P3(合流搬送経路)における左搬送路からみたときの合流搬送路P3の外郭であって、該合流搬送路P3における右搬送路からみたときの該合流搬送路P3の内郭にベルト搬送手段58Aを配置したことにより、左搬送路の曲率半径を小さくしても種々の用紙を搬送することが可能となった。その結果、左搬送路においてフィードローラ63の軸中心と、グリップローラ81と従動ローラ83とのニップ部中心とにおける水平方向の距離・間隔B2を、図8(a)に示した従来例の距離・間隔B1に比べて小さく設定することができる。
そして、B2をB1に比べて小さく設定できたので、左・右搬送路におけるそれぞれのフィードローラ63,63Aの水平方向における軸間距離・間隔A2を、図8(a)に示した従来例の軸間距離・間隔A1に比べて小さく設定することができる。または、A2をA1と同じにすれば、右搬送路の曲率半径D2を、図8(a)に示した従来例の曲率半径D1に比べて大きく設定できるので、より安定して用紙を搬送できる。
【0062】
さらに、上記第2の先願発明に係る第1の実施形態で開示したように右搬送路(手差し搬送路P2)の内郭に相当する部位にベルト搬送手段58Aを配置したことにより、図8(a)に示した従来例の場合に比べて、右搬送路の曲率半径D2を小さくしても種々の用紙を搬送することが可能となった。
よって、右搬送路の曲率半径D2を、図8(a)に示した従来例のD1に比べて小さくすることも可能であり、その結果、グリップローラ81と従動ローラ83とのニップ部中心と、フィードローラ63Aの軸中心とにおける水平方向の距離・間隔C2を、図8(a)に示した従来例のC2に比べて小さく設定することができる。
【0063】
上述したとおり、左・右搬送路からの合流搬送路P3である第3搬送手段59にベルト搬送手段58Aを上記した状態で配置することにより、従来に比べて装置を小型化しつつ種々多様な用紙を左・右搬送路から搬送可能となるか、従来と同様の装置幅としながら左・右搬送路の何れか一方の曲率半径を大きくすることができるので、種々多様な用紙に対しより安定した搬送が実現できる。
【0064】
次に、図8(b)に示したレイアウト構成の概念をシート搬送装置および画像形成装置に適用した参考例を、図2〜図7、図9を参照して説明する。
参考例の用紙搬送装置55は、図1に示したプリンタ100に配設された用紙搬送装置55’と比較して、給紙カセット9A上の用紙Sが搬送される第1搬送路P1の上流側に配置され、給紙カセット9A上の用紙Sを搬送する第1搬送手段56、第1搬送路P1と対向する側から手差し給紙トレイ67上の用紙Sが搬送される第2搬送路P2の上流側に配置され、手差し給紙トレイ67上の用紙Sを搬送する第2搬送手段(手差し給送手段)57および合流搬送路P3に配置され、第1搬送路P1および第2搬送路P2から搬送される用紙Sを合流搬送路P3の下流側に搬送する第3搬送手段59に代えて、図2に示すように、第1搬送手段56A、第2搬送手段(手差し給送手段)57Aおよび第3搬送手段59Aを用いる点が主に相違する。この相違点以外の参考例は、図1に示したプリンタ100と同様である。
【0065】
より具体的には、参考例は、図1に示した例と比較して、図2〜図6に示すように、給送分離方式を戻し分離方式であるFRR方式から摩擦パッド方式に変更し(第1搬送手段56A)、これに伴い図1における左右の装置幅方向のスペースを小さくした点、同じく手差トレイ67の給送分離方式を摩擦パッド方式に変更した点(第2搬送手段(手差し給送手段)57A)、これに伴い手差トレイ67を図において左側に移動した点、第3搬送手段59に具備されていたベルト搬送手段58に代えて、第3搬送手段59Aとしてベルト搬送手段58Aを用いる点、ベルト搬送手段58Aの全体の姿勢(特には搬送ベルト82の搬送面82a)および用紙Sを搬送する方向を左斜め方向に傾斜して配置し、かつ、第1搬送手段56Aに近付けて配置した点、上記各変更に伴いベルト搬送手段58Aを備えた第3搬送手段59Aからレジストローラ対13までの合流搬送路P3が図において左に寄ったことにより、再給紙路P8と合流する合流搬送経路としての合流搬送路P10を図において左に移動した点、および手差トレイ67から搬送される用紙Sを案内する手差し搬送路P2の内郭にベルト搬送手段58Aのベルト搬送面82aが配置されるように変更した点が主に相違する。図2に示す参考例の用紙搬送装置55は、前記相違点の構成を除き、図1に示した用紙搬送装置55’と同様である。
【0066】
第1搬送手段56Aは、図1に示した第1搬送手段56と比較して、フィードローラ61およびリバースローラ62を除去しこれらに代えて、図2等に示すように、軸63aを介して用紙繰り出し方向に回転自在に支持された回転給送部材および第1の対向搬送部材としてのフィードローラ63と、フィードローラ63に押圧される摩擦部材としての摩擦パッド68と、摩擦パッド68をフィードローラ63に押し付け向きに付勢する付勢部材としてのバネ68B(圧縮バネ)等とから構成される分離給送手段に変更した点が主に相違する。フィードローラ63は、グリップローラ81を回転駆動する後述の駆動機構(22A)によって回転駆動される。
摩擦パッド方式の分離給送手段は、給紙カセット9Aの給紙トレイ上に積載された最上位の用紙Sを回転するフィードローラ63と摩擦パッド68との協働作用によって1枚ずつに分離・給送する機能を有する。すなわち、摩擦パッド方式では、フィードローラ63に摩擦パッド68を適宜の分離角度、バネ68Bによる分離圧でスライダを介して押し当て、これによって形成されるフィードローラ63と摩擦パッド68との間のニップに用紙Sを通過させるようにしている。従って、摩擦パッド方式を採用した給紙分離機構によれば、用紙Sが2枚重なった状態で引き出されても、下側の用紙Sは摩擦パッド68から受ける抵抗の方が、重なった用紙間摩擦による抵抗よりも大きいので、それ以上の用紙搬送方向への移動が阻止される。他方、上側の用紙Sは、フィードローラ63から受ける搬送力の方が、重なった用紙間摩擦による抵抗よりも大きく、かつ、摩擦パッド68から受ける抵抗よりも大きく設定されているので、結局、上側の用紙Sだけが用紙搬送方向に進み続けることになる。
【0067】
第2搬送手段(手差し給送手段)57Aは、図1に示したFRR方式の給紙ローラ67Aおよび分離ローラ67B,67Cを除去しこれらに代えて、図2等に示すように、軸63Aaを介して用紙繰り出し方向に回転自在に支持された回転給送部材としてのフィードローラ63Aと、フィードローラ63Aに押圧される摩擦部材としての摩擦パッド68Aと、摩擦パッド68Aをフィードローラ63Aに押し付け向きに付勢する付勢部材としての図示しないバネ(圧縮バネ)等とから構成される分離給送手段に変更した点のみ相違する。フィードローラ63Aは、図示しない駆動手段としての駆動モータ等によって回転駆動される。
手差しトレイ67、フィードローラ63A、摩擦パッド68A等は、手差し給紙部を構成している。
【0068】
用紙搬送装置55は、図2に示すように、用紙Sが搬送される第1搬送路P1と、第1搬送路P1と対向する側から用紙Sが搬送される手差し搬送路P2と、第1搬送路P1と手差し搬送路P2とが合流する合流搬送路P3と、合流搬送路P3における第1搬送路P1からみたときの合流搬送路P3の外郭であって、該合流搬送路P3における手差し搬送路P2からみたときの該合流搬送路P3の内郭にベルト搬送手段58Aを配置したことも特徴としている。以下、搬送ガイド部材69、74、75、76、ベルト搬送手段58Aおよび図1の説明で省略した構成について詳述する。
【0069】
図2において、搬送ガイド部材69は、第1搬送路P1と手差し搬送路でもある第2搬送路P2とが合流する部位である合流搬送路P3の手前側に配置され、第1搬送路P1および第2搬送路P2から搬送される用紙Sを第3搬送手段59Aの挟持部(ニップ部)および合流搬送路P3の下流側に案内する第1のガイド部材として機能する。
搬送ガイド部材69は、第1搬送路P1を形成するガイド面69a、縦搬送路P9を形成するガイド面69b(実際は別のガイド部材で形成されている)、および縦搬送路P9と第2搬送路P2とが合流する合流搬送路を形成するとともに、ベルト搬送面82aに対して所定の間隙をもって略平行に形成されたガイド面69cを備えている。搬送ガイド部材69の下流端69d(図において上端)は、グリップローラ81へ延び、グリップローラ81に近接して配置されている。
【0070】
搬送ガイド部材74は、搬送ガイド部材69のガイド面69aに対して所定の間隙をもって対向したガイド面74aを備えている。ガイド面74aは、略下方(外郭に設けられている搬送ガイド部材69側)に膨出した湾曲面として形成されており、その膨出の程度は、用紙Sの先端を必ず搬送ベルト82の搬送面82aに到達させるように、用紙Sを湾曲させる程度に設定されている。
搬送ガイド部材74は、合流搬送路P3の下流側から第3搬送手段59Aの挟持部Nに対向するように上流側に延び、該合流搬送路P3を搬送される用紙Sを該合流搬送路P3の下流側に案内する第4のガイド部材として機能する。
搬送ガイド部材75は、第2搬送路P2を搬送される用紙Sを合流搬送路P3に案内すべく、ベルト搬送手段58Aに対向して第2搬送路P2の一方を形成すべく配置された第2のガイド部材として機能する。搬送ガイド部材75は、下方の給紙カセット9B,9C,9Dから搬送されてきた用紙Sをベルト搬送面82aを経由して合流搬送路P3へ搬送するための縦搬送路(もしくは共通搬送路ないし合流搬送路)P9を形成するガイド面75aと、搬送ガイド部材76のガイド面76aと略平行に対向して第2搬送路P2を形成するガイド面75bとを備えている。
【0071】
搬送ガイド部材76は、第2搬送路P2を搬送される用紙Sを合流搬送路P3に案内すべくその終点部に湾曲部分を形成され、搬送ガイド部材75に対向して第2搬送路P2の他方を形成すべく配置された第3のガイド部材として機能する。
第2搬送手段(手差し給送手段)57Aのフィードローラ63Aからベルト搬送手段58Aにおけるプーリ84を経由して上方のプーリ83に至る湾曲した第2搬送路P2の内側には、これを形成するガイド面76aおよび補強を兼ねた搬送ガイドリブ76bを備えた搬送ガイド部材76が配設されている。搬送ガイド部材76は、詳しくは図3に示す形状となっている。
搬送ガイド部材69、75、76は、適宜の樹脂で一体的に形成されており、搬送ガイド部材74は、薄板状の金属である板金でできている。
【0072】
ベルト搬送手段58Aは、上記第2の先願発明の図1ないし4、図7に示したベルト搬送手段(8)と比較して、図3〜図6に示すように、3つに分割されたベルト搬送手段58Aがそれぞれ1本のプーリ軸83a,84aとともにハウジングケース105に予め組み込まれて、図2に示した開閉ガイド79(もしくは用紙搬送装置55本体側のハウジング(80)を備えた装置本体(78)に対して着脱自在なベルト搬送ユニット104を構成している点、および搬送ガイド部材(72)に代えた搬送ガイド部材76を用いる点が主に相違する。図3〜図6に示すベルト搬送手段58Aは、前記相違点以外は、上記第2の先願発明の図1〜図4、図7および実施例1に示したベルト搬送手段(8)と同様である。
【0073】
用紙幅方向Yの最外側に位置するプーリ83および搬送ベルト82の最外側端は、図2に示す用紙搬送装置55を備えたプリンタ100で使用される最小サイズ(用紙幅方向Yの用紙サイズ)の用紙Sより小さくなるように取り付け・設定されている。同様に、図3〜図6に図示しない用紙幅方向Yの最外側に位置するグリップローラ81の最外側端も、用紙搬送装置55を備えたプリンタ100で使用される最小サイズの用紙Sより小さくなるように取り付け・設定されている。
すなわち、用紙(シート)搬送方向と直交する用紙(シート)幅方向Yにおける挟持搬送手段59A(グリップローラ81とベルト搬送手段58Aとからなる)は、用紙幅方向Yの用紙Sの一部と接触するように、より具体的には用紙Sの一部である中央部分と接触するように用紙幅方向Yに断続的に構成されている。
【0074】
上記第2の先願発明の明細書の段落「0126」〜「0143」および図13〜図21に記載した第1の実施形態と同様に、本参考例における挟持搬送手段59Aの対向対の他方であるグリップローラ81は、回転することにより駆動力を伝達可能な回転搬送駆動手段であり、挟持搬送手段59Aの対向対の一方は、前記回転搬送駆動手段に従動して、グリップローラ81とベルト搬送手段58Aの搬送ベルト82との挟持部(ニップ部)に向けて第2搬送路(手差し搬送路)P2から搬送されてきた用紙表面と接触することで搬送力を補助する搬送ベルト82を備えたベルト搬送手段58Aであることを特徴としている。
グリップローラ81は、上記第2の先願発明の図14に示されている駆動機構(22A)と同様の駆動機構によって駆動される回転搬送駆動手段である。
【0075】
各ベルト搬送手段58Aのプーリ83,84は、例えば潤滑性能および耐摩耗性・耐久性が良好なポリアセタール樹脂等の樹脂で形成されていて、軽量化が図られている。各プーリ83は、プーリ軸83aを、各プーリ84はプーリ軸84aをそれぞれ挿通することが可能な程度の嵌合・寸法関係で製作され、各プーリ軸83a,84aにそれぞれ回転自在に組み付け・支持される。各プーリ軸83a,84aは、それぞれ上下に3個ずつ設けられたプーリ83,84の上記した図示しない挿通孔を貫通するそれぞれ1本の貫通軸となっている。
ハウジングケース105も、例えば潤滑性能および耐摩耗性・耐久性が良好なポリアセタール樹脂等の樹脂で一体的に形成されていて、軽量化が図られている。ハウジングケース105には、軸受を兼ねるホルダ部105aと、プーリ83および搬送ベルト82を仕切り・支持するベルト支持部105bと、ホルダ部105aおよびベルト支持部105b等を一体的に結合するとともに組み付け・操作する部位である本体部105cと、組み付け時に用紙幅方向Yの組み付け基準となる凸部105dと、図6に示す付勢手段・付勢部材もしくは弾性部材としてのバネ106(圧縮バネ)の一端を装着・係止するための左右一対のバネ台座105eとが一体的に形成されている。ハウジングケース105における用紙幅方向Yの両端部のベルト支持部105bには、プーリ軸84aを挿通し取り付けるための挿通孔105fが形成されている。
【0076】
一方、搬送ガイド部材76には、図6に示すように、ガイド面76aと、その裏面壁に形成され補強を兼ねるとともに、バネ106の他端を装着・係止するためのバネ係止部76fを備え、かつ、バネ106等の部品取り付け用の溝が形成された左右一対のリブ76dと、ベルト搬送ユニット104を組み付ける際に凸部105dと係合して用紙幅方向Yの組み付け基準となる左右一対の規制部76gとが、適宜の樹脂で一体的に形成されている。また、搬送ガイド部材76には、ベルト搬送ユニット104を組み付ける際にガイド面76aから第1搬送路P1、縦搬送路P9および第2搬送路P2側に該ベルト搬送ユニット104のベルト搬送面82aを臨ませるための開口部76cと、各リブ76dに開けられ、ベルト搬送ユニット104を組み付ける際にプーリ軸84aを挿通するための貫通孔76eとが一体的に形成されている。
【0077】
次に、ベルト搬送ユニット104を図2に示した開閉ガイド79に組み付ける際の組み付け手順を簡単に説明する。
先ず、上下の各プーリ83,84に搬送ベルト82を掛け回す。次いで、プーリ軸83aを各プーリ83に挿通するとともに、ハウジングケース105のベルト支持部105bの両端部に形成された挿通孔105fおよび各プーリ84に、プーリ軸84aを挿通する。これにより、その軸間距離を所定の寸法に保持された各プーリ83,84間に巻き掛けられた搬送ベルト82に対して、所定の張力が付与されるとともに、各プーリ83,84、各搬送ベルト82および各プーリ軸83a,84aがハウジングケース105に仮組みされて図4および図5に示すベルト搬送ユニット104が構成される。この際、左右のホルダ部105aから外側に突出したプーリ軸83aに、それぞれ図示しない止め輪を装着して取り付けることにより、プーリ軸83aがハウジングケース105のホルダ部105aにおいて用紙幅方向Yの移動が規制されて取り付け・支持される。
次いで、図6において、ベルト搬送ユニット104を開閉ガイド79の搬送ガイド部材76に組み付けるには、搬送ガイド部材76における左側のリブ76dに形成された貫通孔76eに、図において左側のベルト支持部105bから同図において左側に突出したプーリ軸84aの左端部を図中右から左に向かう矢印Y1方向に移動させて挿入させる。この際、ベルト搬送ユニット104の凸部105dが搬送ガイド部材76の規制部76gと干渉しないように、凸部105dを図6中の取り付け位置よりも矢印Z1方向に回転変位させ、傾けた状態とする。
【0078】
上述のようにベルト搬送ユニット104の凸部105dを傾けた状態を保ったまま、搬送ガイド部材76における右側のリブ76dに形成された貫通孔76eに、図において右側のベルト支持部105bから右側に突出したプーリ軸84aの右端部を図中左から右に向かう矢印Y2方向に移動させて挿入させる。次いで、ベルト搬送ユニット104の凸部105dの姿勢を、矢印Z2方向に回転変位させる。これにより、左右の凸部105dが左右の規制部76gに係合した状態となることで、ベルト搬送ユニット104の用紙幅方向Yの移動が規制される。次いで、バネ106を左右のバネ台座105eとバネ係止部76fとの間に取り付け・装着する。次いで、搬送ガイド部材76における左右のリブ76dから外側に突出したプーリ軸84aの両端部に、図示しない止め輪を装着して取り付けることにより、プーリ軸84aが搬送ガイド部材76における用紙幅方向Yの移動を規制された状態で、搬送ガイド部材76の左右のリブ76dに取り付け・支持される。
上述のとおり、ベルト搬送ユニット104は、その搬送ベルト82の搬送面82aが搬送ガイド部材76の開口部76cから所定の量(段差)だけ突出された状態を確保され、左右一対のバネ106の付勢力によって、プーリ軸84aを中心として上部の各プーリ83側が反時計回りに揺動する向きに付勢されることで、各プーリ83を介して各ベルト搬送面82aが図6には図示しないグリップローラに所定の圧接力をもって圧接されることとなる。図3に示すように、搬送ガイド部材76の第1搬送路P1および縦搬送路P9側に位置する表面には、搬送ガイド部材76を補強するとともに用紙を案内するガイド面としての機能を兼ねたリブ76bが形成されているが、第1搬送路P1および縦搬送路P9側に突出するリブ76bの寸法は、搬送ベルト82の搬送面82aがガイド面76aから突出する所定の段差よりも小さく形成されているため、ベルト搬送面82aに対する用紙の案内・搬送に支障を来すことはない。
【0079】
上述したとおり、参考例によれば、ベルト搬送手段58Aを有することによる後述の基本的な効果を奏することは元より、各プーリ83,84、各搬送ベルト82および各プーリ軸83a,84aがハウジングケース105に仮組みされて、開閉ガイド79に対して容易に着脱自在なベルト搬送ユニット104が構成されるので、取り付け・取り外しが容易となって、保守整備・清掃性が向上するとともに、搬送ベルト82毎の取り付け誤差および公差が上記第1の先願発明における図1〜図4、図13および図14等に示したものよりも小さくなるという利点・効果を奏する。
なお、参考例に適用可能なベルト搬送手段58Aは、これに限らず、上記第2の先願発明で提案したベルト搬送手段(8,8A)であってもよい。
【0080】
次に、図7を参照して、上述の相違点である搬送ガイド部材69における手差し搬送路P2を介して搬送されてきた用紙の推移状態について補足説明する。
図7(a)、(b)、(c)は、搬送ガイド部材69における下流端の高さ・位置を異ならせたときの用紙Sの先端の突入位置の違いを比較して示したものである。図7(a)は、プーリ84の外周またはプーリ84の外周面と接触している搬送ベルト82の表面と搬送ガイド部材69の下流端とを結んだ直線上に、グリップローラ81が配置されている状態を示している。この場合、第2搬送路P2を搬送される用紙Sは以下で説明するような挙動となり、搬送ガイド部材69の下流端(図において最上部ガイド面69c)を用紙Sの先端が通過すると、図7(a)のような位置に用紙Sが到達する。このとき、用紙Sは、グリップローラ81の外周面であって、グリップローラ81の中心軸とプーリ84の中心軸とを結んだ直線よりも搬送方向下流側の外周面に到達する。よって、駆動側のグリップローラ81の回転力により、用紙Sの先端は第3搬送手段59Aの挟持部(ニップ部)Nへ案内される。
【0081】
次に、図7(b)は、プーリ84の外周またはプーリ84の外周面と接触している搬送ベルト82の表面と搬送ガイド部材69の下流端とを結んだ直線上にグリップローラ81が配置されている状態を示している点では同図(a)に示すものと同じであるが、用紙Sの先端が突き当たるグリップローラ81の外周面の位置が異なる。この例では、用紙Sは、グリップローラ81の外周面であって、グリップローラ81の中心軸とプーリ84の中心軸とを結んだ直線よりも搬送方向上流側の外周面に到達する。この場合、図7(a)に示したと同様に、グリップローラ81により用紙Sの先端を下流側に移動することは可能であるが、用紙Sの表面がベルト搬送手段58Aにより搬送方向下流側に搬送されているため、用紙Sの表面がベルト搬送手段58と接触する位置より下流側の用紙Sが波うつ可能性がある。よって、用紙Sの先端を第3搬送手段59のニップ部へ案内することはできるが、グリップローラ81に対する用紙Sの到達位置は図7(a)に示したものの方がより好ましい。
【0082】
そして、図7(c)は、プーリ84の外周またはプーリ84の外周面と接触している搬送ベルト82の表面と搬送ガイド部材69の下流端とを結んだ線の延長線上にグリップローラ81の上流側に位置するガイド面74aが配置されている。この例では、用紙Sは搬送ガイド部材69の下流端を用紙Sの先端が通過すると、図7(c)に示すような位置に用紙Sが到達する。このような位置状態のガイド面74aは、ガイド面74aに到達した用紙Sの先端を第3搬送手段59Aのニップ部へ案内する機能を有していないことから、用紙Sの先端を第3搬送手段59Aのニップ部へ案内するにはフィードローラ63Aの搬送力を大きくしなければならない。また、用紙の腰がない場合は、用紙の先端が同図中左下に垂れ下がり、第3搬送手段59Aのニップ部へ案内することは困難となる。よって、このような用紙に対する搬送力を大きくすることのない図7(a)に示した搬送ガイド部材69の下流端を配置することが好ましい。
【0083】
以上説明したように、上記参考例によれば、第1搬送路P1と第2搬送路P2との合流搬送路P3における第1搬送路P1からみたときの合流搬送路P3の外郭であって、該合流搬送路P3における第2搬送路P2からみたときの該合流搬送路P3の内郭にベルト搬送手段58を配置したことにより、種々多様な紙種の用紙を第1搬送路P1および第2搬送路P2の双方から搬送することができる。
【0084】
さらに、ベルト搬送手段58を上記のように配置したことにより、第1搬送路P1および第2搬送路P2の一方の搬送経路の設計自由度が広がる。その一例を図9に示す。
図9(a)、(b)において、78aは装置本体78の手差し給紙部側の外装(外板パネル)を示す。本参考例および従来例ともに、手差しトレイ67を使用しないときには、両図に示す位置状態から図示しない揺動支軸を中心として手差しトレイ67を外装78a側に折りたたんで外装78a内に収納可能となっている周知の構成をなす。図9(a)は、本参考例を示すものであって、第3搬送手段59Aを構成するベルト搬送手段58を、第1搬送路P1を搬送される用紙搬送方向に対して折り返す方向へ用紙を案内するように左側に傾けて配置したことにより、ベルト搬送手段58の下流の合流搬送路P3およびレジストローラ対13を水平方向左側に距離E1分寄せることができる。これに伴いベルト搬送手段58の下流に配置した再給紙路P8と外装78aとを距離E1分だけ左側に寄せることができ、その寄せたスペース分だけ装置全体の装置幅を縮小して装置全体を小型化できる。
これに対して、図9(b)は、従来例を示すものであって、従来のように第3搬送手段59’の下流の合流搬送路P3が略鉛直方向に立ち上がり、それに伴い再給紙路P8と外装78aとが図において水平方向右側に距離E2=E1分だけ偏倚・張り出して配置されている状態を示している。
従来例として現状でコンパクトに配置する構成は、レジストローラ対13手前のたるみスペース部に再給紙路P8を合流させて合流搬送路を配置する構成が一般的である。図9(a)に示した参考例では、レジストローラ対13の位置と両面搬送ガイド部材(外装78a右近傍)との間隔で再給紙路P8の曲率半径が決定されることより、両面シートの搬送品質として曲率半径(大きい方が良い)を維持したまま左側に寄せることが可能となる結果、E2=E1として、E1分装置を小型化できることとなる。
【0085】
上述したとおり、第2の先願発明(以下、「先願技術」ともいう)における第1、第2の実施形態および第3の実施形態である上記参考例における用紙搬送装置55によれば、以下の特有の構成によって、以下の効果を奏するものであった。
すなわち、上記参考例では、用紙S(シート、以下同様)が搬送される第1搬送路P1(第1の搬送経路、以下同様)と、第1搬送路P1と対向する側からシートが搬送される第2搬送路P2(第2の搬送経路、以下同様)と、第1搬送路P1と第2搬送路P2とが合流する合流搬送路P3(合流搬送経路、以下同様)と、合流搬送路P3における第1搬送路P1からみたときの合流搬送路P3の外郭であって、合流搬送路P3における第2搬送路P2からみたときの合流搬送路P3の内郭に配置されたベルト搬送手段58Aとを有することを特徴とする用紙搬送装置55(シート搬送装置、以下同様)である。
上記参考例によれば、上記構成により、従来と比べて装置を小型化しつつシートサイズを含む多種多様の用紙Sを第1搬送路P1および第2搬送路P2の双方から搬送可能となるか、または従来と同様の装置幅としながら第1搬送路P1および第2搬送路P2の一方の曲率半径を大きくすることで多種多様の用紙Sを安定した搬送品質で搬送可能となり、これに伴い設計の自由度を広げることができる。
【0086】
上記参考例では、第1搬送路P1の上流側に配置され用紙Sを搬送する第1搬送手段56A(第1の対向搬送手段、以下同様)と、第2搬送路P2の上流側に配置され用紙Sを搬送する第2搬送手段57A(第2の対向搬送手段、以下同様)と、合流搬送路P3の下流側に配置され用紙Sを挟持搬送する挟持部N(ニップ部N)を形成する第3搬送手段59A(挟持搬送手段、以下同様)とを有し、装置本体の幅方向における第1搬送手段56Aと第2搬送手段57Aとの間の距離を一定とした場合、ベルト搬送手段58Aが配置されていないときにおける第2搬送路P2の曲率半径よりも、ベルト搬送手段58Aが配置されているときにおける第2搬送路P2の曲率半径を大きくすることが可能であることを特徴としていた。
上記参考例によれば、上記構成により、従来と同様の装置幅を確保しながら第2搬送路P2の曲率半径を大きくすることができるので、多種多様のシートを第2搬送路P2から安定した搬送品質で搬送可能となる。
【0087】
上記参考例では、合流搬送路P3の下流側に配置され、用紙Sを挟持搬送する挟持部Nを形成する第3搬送手段59Aを有し、第3搬送手段59Aの対向対の一方は、回転することにより駆動力を伝達可能なグリップローラ81(回転搬送駆動手段、以下同様)であり、対向対の他方は、グリップローラ81に従動して、挟持部Nに向けて第2搬送路P2から搬送されてきた用紙S表面と接触することで搬送力を補助する搬送ベルト82を備えたベルト搬送手段58Aであることを特徴としていた。
上記参考例によれば、上記構成により、ベルト搬送手段82Aの搬送ベルト82が第2搬送路P2から搬送されてきた用紙S表面と接触することでその用紙Sに対する搬送力を補助するので、比較的用紙(シート)の腰がある例えば厚紙等の搬送品質を安定化することができる。
【0088】
上記参考例では、ベルト搬送手段58Aは、第2搬送路P2の曲率半径よりも第1の搬送経路の曲率半径が小さくなるように配置されていることを特徴としていた。
従って、上記参考例によれば、上記構成によるベルト搬送手段58Aの配置によって、第2搬送路P2の曲率半径よりも第1搬送路P1の曲率半径が小さくなることにより、第2搬送路P2はシートサイズを含む多種多様の用紙Sを搬送する手差し給送等に使用される場合が多く、その曲率半径を大きく設定できるので、比較的用紙S(シート)の腰がある例えば厚紙等の搬送品質をさらに安定化することができる。
【0089】
上記参考例では、ベルト搬送手段58Aは、第1搬送路P1を搬送される用紙(シート)搬送方向に対して折り返す方向へ用紙Sを案内するように配置されていることを特徴としていた。
従って、上記参考例によれば、上記構成により、第2搬送路P2の曲率半径を大きく設定できるので、第2搬送路P2から搬送されるシートサイズを含む多種多様の用紙Sの搬送品質をさらに安定化することができる。
【0090】
上記参考例では、第1搬送路P1は、用紙Sの先端部がベルト搬送手段58Aに対して鋭角の突入角度をもって進入するように案内する搬送ガイド部材69、74で構成されていることを特徴としていた。
従って、上記参考例によれば、上記構成により、第1搬送路P1から比較的シートの腰がある例えば厚紙(例えば従来搬送できなかったメートル坪量が256〜300g/mの用紙S(シート))等を安定して搬送することができる。このように、上記参考例では、上記第1の先願発明におけると略同様の第1搬送路P1、第1搬送手段56A、第3搬送手段59Aおよび搬送ガイド部材69、74で構成されていることにより、その明細書の段落「0137」〜「0147」および図4、図5に記載されている実施例1と同様の試験結果および効果が得られることは無論である。
【0091】
上記参考例では、合流搬送路P3の下流側に配置され、用紙Sを挟持搬送する挟持部Nを形成する第3搬送手段59Aを有し、第3搬送手段59Aの対向対の一方は、回転することにより駆動力を伝達可能なグリップローラ81(回転搬送駆動手段、以下同様)であり、対向対の他方は、グリップローラ81に従動して、挟持部Nに向けて第2搬送路P2から搬送されてきた用紙S表面と接触することで搬送力を補助する搬送ベルト82を備えたベルト搬送手段58Aであり、ベルト搬送手段58Aは、グリップローラ81に搬送ベルト82を介して対向し連れ回るローラ状のプーリ83(第1のベルト保持回転部材、以下同様)と、ローラ状のプーリ83より第2搬送路P2の上流側に配置された少なくとも1つのプーリ84(第2のベルト保持回転部材、以下同様)との間に搬送ベルト82を掛け回して構成されており、第2搬送路P2は、その内郭が用紙Sを案内するガイド面76aを備えた搬送ガイド部材76で構成されており、プーリ84よりも上流側の第2搬送路P2には、用紙Sを搬送するフィードローラ63A(第2の対向搬送部材、以下同様)が配置されており、ガイド面76aは、ローラ状のプーリ83とプーリ84との外周端同士を結ぶ接線と、プーリ84の外周端とフィードローラ63Aの外周端とを結ぶ接線よりも内側に配置されていることを特徴としていた。
従って、上記参考例によれば、上記構成により、従来、第2搬送路P2に配設されていた連れ回りローラ(図示せず)を搬送ベルト82で置き換えることが可能となり、第2搬送路P2を搬送される用紙Sがガイド面76aと擦れることがなくなったので、用紙Sに傷をつけたりシワ等を発生する虞がなくなった。
【0092】
上記参考例では、プーリ84は、プーリ84の外周端と搬送ガイド部材76のガイド面76aとで形成される角度が鈍角となるように配置されていることを特徴としていた。
従って、上記参考例によれば、上記構成により、用紙Sの先端がカールしていても、その先端が搬送ベルト82表面に突き当たって先端折れ等が発生することなく搬送品質を安定化することができる。
【0093】
上記参考例では、用紙Sが搬送される湾曲した第1搬送路P1の下流側に配置され、用紙Sを挟持搬送する挟持部Nを形成する第3搬送手段(挟持搬送手段)59Aを有し、第3搬送手段59Aの対向対の一方は、回転することにより駆動力を伝達可能なグリップローラ81(回転搬送駆動手段、以下同様)であり、対向対の他方は、グリップローラ81に従動して、挟持部Nに向けて第2搬送路P2から搬送されてきた用紙S表面と接触することで搬送力を補助する搬送ベルト82を備えたベルト搬送手段58Aであり、第1搬送路P1の少なくとも一部は、ベルト搬送手段58Aとこれに対向して配置された搬送ガイド部材69とで構成されていることを特徴としていた。
【0094】
従って、上記参考例によれば、上記構成により、例えば厚紙等の比較的剛性の高い・腰の強い用紙S(例えば従来搬送できなかったメートル坪量が256〜300g/mの用紙S(シート))を搬送する際の搬送抵抗を低減することができ、もって第1搬送路の下流側への用紙S送りの際に発生する斜行・ジャム等の搬送不良を未然に防止することができる。
【0095】
上記参考例では、装置本体の一側部に配置され、セットされた用紙Sを該装置本体に搬送する第2搬送手段(手差し給送手段)57Aとを具備するプリンタ100(画像形成装置、以下同様)であって、第2搬送手段(手差し給送手段)57Aは、第2搬送路P2側に設けられていることを特徴としていた。
従って、上記参考例によれば、上述した効果を、第2搬送手段(手差し給送手段)57Aが第2搬送路P2側に設けられている画像形成装置で奏する。
【0096】
上記参考例では、上述の用紙搬送装置55と、ベルト搬送手段58Aの下流側に配置され、該ベルト搬送手段58Aを経由して搬送されてきた用紙Sに画像形成を行う画像形成部1Y,1C,1M,1Bk(画像形成手段、以下同様)と、画像形成部1Y,1C,1M,1Bkで画像形成された用紙Sを表裏反転する再給紙路P8(反転搬送経路、以下同様)とを具備するプリンタ100であって、再給紙路P8は、第2搬送路P2側と合流するように配置されていることを特徴としていた。
従って、上記参考例によれば、上述の用紙搬送装置55を具備することによる効果を、再給紙路P8が第2搬送路P2側と合流するように配置されている画像形成装置で奏する。
【0097】
上記参考例では、上記用紙搬送装置55と、ベルト搬送手段58Aの下流側に配置され、該ベルト搬送手段58Aを経由して搬送されてきた用紙Sに画像形成を行う画像形成部1Y,1C,1M,1Bkと、画像形成部1Y,1C,1M,1Bkで画像形成された用紙Sを表裏反転する再給紙路P8(反転搬送経路、以下同様)とを具備するプリンタ100であって、再給紙路P8は、ベルト搬送手段58Aよりも下流側の合流搬送路P3に合流するように配置されていることを特徴としていた。
【0098】
従って、上記参考例によれば、上記用紙搬送装置55を具備することによる効果を奏するとともに、例えば厚紙等の比較的剛性の高い(例えば従来搬送できなかったメートル坪量が256〜300g/mの用紙Sであっても、装置を大型化することなく画像形成部1Y,1C,1M,1Bk側に配設されている例えばレジストローラ対13(レジスト手段)に問題なく搬送することができるとともに、ベルト搬送手段58Aよりも下流側の合流搬送路P3からレジストローラ対13までの距離およびスペースを大きくとって、用紙Sの先端部を撓ませるためのスペースを確保することができる。
【0099】
なお、上記説明では、手差しトレイ67による第2搬送路P2内にベルト搬送手段58Aを適用したが、この形態に限られることはない。例えば、上記第2の先願発明に係る第1の実施形態に示したと同様に、給紙装置(3)のフィードローラ(63)から第2搬送手段(7)までの第1搬送路(A)の内郭や、反転搬送路(R3)の搬送方向変更位置の内郭、自動原稿搬送装置(ADFやARDF)の搬送方向変更位置の内郭等、搬送方向変更位置の内郭にベルト搬送手段(8B(8,8A))を適用可能である。
【0100】
次に、図2〜図9に示した参考例の用紙搬送装置55において、種々多様な用紙を搬送すべく試験等を進めていく中で、発明が解決しようとする課題の欄に記載した改良すべき問題のあることが判明した。これを、参考例の用紙搬送装置55を示す図10を参照して説明する。図10は、図2に示した参考例の用紙搬送装置55において、図6に示したベルト搬送ユニット104を構成する搬送ガイド部材76を除去して、3つのベルト搬送手段58Aを露出させ、第2搬送路P2から第3搬送手段(挟持搬送手段)59Aに搬送される用紙S先端部が搬送ガイド部材69により案内搬送される状態を見やすいように示したものである。なお、搬送ガイド部材69は、図7(a)に示した好ましいレイアウト構成および形状をもって配置されている。
【0101】
図2〜図9(a)および図10に示す用紙搬送装置55において、第1搬送路P1と第2搬送路P2とが合流する部位に配置され、第1搬送路P1および第2搬送路P2から搬送される用紙Sを合流搬送路P3に案内する搬送ガイド部材69(第1のガイド部材)の下流側において、図2に示した第2搬送手段57Aにより第2搬送路P2を経由して搬送され、特に厚紙等の比較的剛性の高い用紙S(例えばメートル坪量が256〜300g/m)の下流先端部が、第3搬送手段59Aにおける挟持部(ニップ部)Nよりも外側の用紙幅方向Yの両端側で、ガイド面69cに対して波打ちないし撓み・垂れ下がる現象によって、搬送ガイド部材74の曲率部に引っ掛かってしまい、用紙Sを正常に案内進行させることができず、ジャム等の搬送不良を生じて安定した搬送動作ができないという問題点があった。図10において、87は、第3搬送手段59Aにおける挟持部Nの最外側の範囲(以下、「挟持部最外側範囲」という)を指している。
【0102】
特に厚紙等の比較的剛性の高い用紙S(例えばメートル坪量が256〜300g/m)を使用して複数回の通紙試験を繰り返しても、図10に示した現象が発生し、上記搬送不良が確認された。しかしながら、比較的剛性の低い薄紙や普通紙を使用した通紙試験ではジャムに至る搬送不良は発生しなかった。上記搬送不良の一因としては、次のことが想定される。すなわち、特に厚紙等のような腰のある用紙Sが挟持部(ニップ部)Nに入った瞬間を考えると、グリップローラ81の硬さよりも搬送ベルト82のゴムの硬さが相対的に柔らかく、かつ、用紙Sに対する摩擦係数も高く設定されている(従来のグリップローラ81とローラ状のプーリ83(搬送ローラ83と同じ)との組み合わせでニップ部Nを形成する場合には、用紙Sの搬送方向をニップ部Nの形成位置で変えないときには、通常、同程度の硬さの材料が使用される)ことにより、用紙Sの腰の強さによって用紙Sが搬送ベルト82側に巻き付き・なじむような状態となり、用紙Sに対して摩擦係数の高いゴムで形成された搬送ベルト82の搬送力がグリップローラ81のそれと比べて相対的に落ち込んでしまい、挟持部最外側範囲87よりも外側の用紙幅方向Yの用紙Sの下流先端両端側で波打ったり撓んだりするものと考えられる。
【0103】
そこで、本発明の後述する実施形態等では、特に厚紙等の比較的剛性の高い用紙S(例えばメートル坪量が256〜300g/m)が、合流搬送路P3に配置された搬送ガイド部材69の下流端69d位置において、挟持部最外側範囲87よりも外側の用紙幅方向Yの下流先端両端側で波打ったり撓んだりする現象に着目するとともに、これを最も簡単な構成、かつ、安価に対策できるものとして搬送ガイド部材69に着目し、搬送ガイド部材69側でいわゆる現象対策を実施することとした。
【0104】
(第1の実施形態)
図11〜図13を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。図11は、図1に示す回動軸Faを中心としてフレームFおよび図2に示す開閉ガイド79を開放して、グリップローラ81とベルト搬送手段58Aとを離間・開放させ、図2の右側から見た側面図を表している。
第1の実施形態は、図2〜図9に示した参考例の搬送ガイド部材69を備えた用紙搬送装置55に代えて、図11に示すように、搬送ガイド部材69に代えた搬送ガイド部材69Aを備えた用紙搬送装置55Aを用いる点のみ相違する。この相違点以外は、第1の実施形態は図2〜図9に示した用紙搬送装置55を有するプリンタ100(図1参照)と同様である。
【0105】
第1のガイド部材としての搬送ガイド部材69Aは、参考例の搬送ガイド部材69と比較して、図11〜図13に示すように、第1搬送路P1と第2搬送路P2とが合流する、挟持部N以外に対向した搬送ガイド部材69Aの下流端69Aeの位置が、第1搬送路P1と第2搬送路P2とが合流する挟持部Nに対向した搬送ガイド部材69Aの下流端69dの位置(参考例における搬送ガイド部材69の用紙搬送方向Zaの下流端69dの位置と同じ)よりも用紙搬送方向Zaの下流に位置する形状を有していることのみ相違する。この相違点以外は、搬送ガイド部材69Aは図2等に示した搬送ガイド部材69と同様である。
ここで、「挟持部N以外に対向した搬送ガイド部材69A」とは、本実施形態では挟持部最外側範囲87以外に対向した搬送ガイド部材69Aと同義である。また、「「挟持部Nに対向した搬送ガイド部材69A」とは、本実施形態では挟持部最外側範囲87に対向した搬送ガイド部材69Aと同義である。
参考例における搬送ガイド部材69の用紙搬送方向Zaの下流端69dの位置は、用紙搬送方向Zaに同一の位置を保持しつつ用紙幅方向Yに一直線上に延びてストレート状に形成されていた(図12に括弧を付して示す69d参照)。
【0106】
図11〜図13を参照して、上記相違点を具体的に表現すると、搬送ガイド部材69Aは、第1搬送路P1と第2搬送路P2とが合流する挟持部最外側範囲87以外に対向した搬送ガイド部材69Aにおける用紙搬送方向Zaの下流端69Aeの位置が、搬送ガイド部材69における用紙搬送方向Zaの下流端69dの位置よりも用紙搬送方向Zaの下流側にh1ほど延びて高く形成されている点にある。h1の長さは、使用するシート種類にもよるが、おおよそ数mm〜10mmの範囲で設定される。
【0107】
本実施形態の搬送ガイド部材69Aによれば、第1搬送路P1と第2搬送路P2とが合流する挟持部最外側範囲87以外の用紙搬送方向Zaの下流端69Aeの位置が、搬送ガイド部材69の用紙搬送方向Zaの下流端69dの位置よりも用紙搬送方向Zaの下流側にh1ほど延びて高く形成されているので、搬送ガイド部材69Aの用紙搬送方向Zaの下流に延びた下流端69Aeで適正なガイドが形成されることで、搬送路の曲率部の曲率半径を小さくした省スペースデザインでも、厚紙等の比較的剛性の高い用紙S(例えばメートル坪量が256〜300g/m)や特殊紙が第2搬送路P2から合流搬送路P3に向けて搬送されてきても、挟持部最外側範囲87よりも外側の用紙幅方向Yの用紙Sの下流先端両端側での波打ちや撓みが矯正案内されつつ第3搬送手段59Aによって正常に合流搬送路P3の下流側に搬送されるので、ジャム等の搬送不良の発生を未然に防止することができ、搬送不良発生が著しく少なくなった。
また、シート種類の違いによる様々な波打ち状態に対してもジャム等の搬送不良の発生を未然に防止することができ、搬送不良発生が著しく少なくなった。
【0108】
ここで、第1の実施形態を上位概念的に表現すると、第1のガイド部材(搬送ガイド部材69A)は、第1の搬送経路(第1搬送路P1)と第2の搬送経路(第2搬送路P2)とが合流する第1のガイド部材(搬送ガイド部材69A)の位置が、挟持部N以外に対向した部位(挟持部最外側範囲87以外に対向した部位)と挟持部Nに対向した部位(挟持部最外側範囲87に対向した部位)とで、シート搬送方向(用紙搬送方向Za)に対して異なると表現できる。
ここで、「…が合流する第1のガイド部材(搬送ガイド部材69A)の位置が、…中略…シート搬送方向(用紙搬送方向Za)に対して異なる」とは、本発明の課題を解決する機能、すなわちジャム等の搬送不良の発生を低減できる第1のガイド部材(搬送ガイド部材69A)の下流端位置・形状であるならば、多少の凹凸やギザギザあるいは逃げ等の形状も含む広い概念を意味する。
本実施形態では、搬送ガイド部材69Aは、その下流端69Aeを含めて例えば樹脂の成型で一体的に形成されていて、部品点数が実質的に1つで安価に形成できるという利点があるが、この利点をそれ程望まなくてもよいのであれば、例えば下流端69Aeを別体に形成した後、適宜のネジ等の結合手段や接着剤あるいは熱融着等で固着したものであってもよい。
【0109】
(第1の実施形態の変形例1)
図14に、第1の実施形態の変形例1を示す。変形例1は、第1の実施形態の搬送ガイド部材69Aを備えた用紙搬送装置55Aに代えて、同図に示すように、搬送ガイド部材69Aに代えた搬送ガイド部材69Bを備えた用紙搬送装置55Bを用いる点のみ相違する。この相違点以外は、変形例1は図11〜図13に示した用紙搬送装置55Aを有するプリンタ100(図1参照)と同様である。
【0110】
第1のガイド部材としての搬送ガイド部材69Bは、第1の実施形態の搬送ガイド部材69Aと比較して、同図に示すように、第1搬送路P1と第2搬送路P2とが合流する、挟持部N以外に対向した搬送ガイド部材69Bの下流端69Beの位置が、用紙幅方向Yの両側端部に行くにつれて用紙搬送方向Zaの下流に徐々に傾斜して高くなる形状を有している(h2>h1)ことのみ相違する。この相違点以外は、搬送ガイド部材69Bは図11〜図13に示した搬送ガイド部材69Aと同様である。
【0111】
本変形例の搬送ガイド部材69Bによれば、第1の実施形態の搬送ガイド部材69Aと同様の作用効果が得られるほか、より多くの多種多様なシートサイズおよび腰の強弱を含むシート種類に対応することができる。
【0112】
図15を参照して、第1の実施形態の搬送ガイド部材69Aおよび変形例1の搬送ガイド部材69Bについて補説する。
第3搬送手段59Aの挟持部N以外に対向した搬送ガイド部材69A、69Bの下流端69Ae、69Beの位置は、第2搬送路P2を搬送される用紙Sの先端が搬送ガイド部材76の湾曲部分の終点部に導かれるように設定されている。これにより、第2搬送路P2を搬送される用紙Sを合流搬送路P3の下流側により安定した搬送品質状態で搬送できる。
【0113】
また、第3搬送手段59Aの挟持部N以外に対向した搬送ガイド部材69A、69Bの下流端69Ae、69Beの位置が、搬送ガイド部材74のガイド面74aの上流側に延びた延長線92上(図中破線で示す)に位置するように設定されている。これにより、第2搬送路P2を搬送される用紙Sを合流搬送路P3の下流側により一層安定した搬送品質状態で搬送できる。これは、後述の第2の実施形態の搬送ガイド部材69Cにも適用できる。
【0114】
(第2の実施形態)
図16〜図18を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。図16は、図11と同様に、図1に示す回動軸Faを中心としてフレームFおよび図2に示す開閉ガイド79を開放して、グリップローラ81とベルト搬送手段58Aとを離間・開放させ、図2の右側から見た側面図を表している。
第2の実施形態は、図2〜図9に示した参考例の搬送ガイド部材69を備えた用紙搬送装置55に代えて、図16に示すように、搬送ガイド部材69に代えた搬送ガイド部材69Cを備えた用紙搬送装置55Cを用いる点のみ相違する。この相違点以外は、第2の実施形態は図2〜図9に示した用紙搬送装置55を有するプリンタ100(図1参照)と同様である。
【0115】
第1のガイド部材としての搬送ガイド部材69Cは、参考例の搬送ガイド部材69と比較して、図16〜図18に示すように、第1搬送路P1と第2搬送路P2とが合流する挟持部N以外に対向した搬送ガイド部材69Cに、第2搬送路P2から搬送されてくる用紙Sに接触して弾性変形可能な可撓性部材としてのマイラー90を用いたことのみ相違する。この相違点以外は、搬送ガイド部材69Cは図2等に示した搬送ガイド部材69と同様である。
マイラー90は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等でできた適宜の厚さの薄板状の剛性の低いシート部材であり、搬送ガイド部材69Cの下流端69dの下部に両面テープ91を用いて貼着・固定されている。
ここで、「挟持部N以外に対向した搬送ガイド部材69C」とは、本実施形態では挟持部最外側範囲87以外に対向した搬送ガイド部材69Cと同義である。また、「「挟持部Nに対向した搬送ガイド部材69C」とは、本実施形態では挟持部最外側範囲87に対向した搬送ガイド部材69Cと同義である。
【0116】
上記相違点を端的に表現すると、図16〜図18に示すように、搬送ガイド部材69Cは、第1搬送路P1と第2搬送路P2とが合流する挟持部最外側範囲87以外に対向した搬送ガイド部材69Cにおける用紙搬送方向Zaの下流端部の部材にマイラー90を用い、このマイラー90における用紙搬送方向Zaの下流端の位置が、搬送ガイド部材69における用紙搬送方向Zaの下流端69dの位置よりも用紙搬送方向Zaの下流側に延びて高く形成されている点にある。マイラー90における用紙搬送方向Zaの下流端の位置は、通常、第1の実施形態における搬送ガイド部材69Aの下流端69Aeの位置・高さh1よりも用紙搬送方向Zaの下流に延びて形成される。
【0117】
本実施形態の搬送ガイド部材69Cによれば、第1搬送路P1と第2搬送路P2とが合流する挟持部最外側範囲87以外の用紙搬送方向Zaの下流端部の搬送ガイド部材69Cに、第2搬送路P2から搬送されてくる用紙Sに接触して弾性変形可能な可撓性部材としての剛性の低いマイラー90を用いたので、剛性の高い部材を使用した場合に対し、搬送ガイド部材69Cを下流側に延ばした部分において柔軟性が確保することができることによる搬送抵抗を低減することができ、搬送路の曲率部の曲率半径を小さくした省スペースデザインでも、厚紙等の比較的剛性の高い用紙S(例えばメートル坪量が256〜300g/m)や特殊紙が第2搬送路P2から合流搬送路P3に向けて搬送されてきても、挟持部最外側範囲87よりも外側の用紙幅方向Yの用紙Sの下流先端両端側での波打ちや撓みが矯正案内されつつ第3搬送手段59Aによって正常に合流搬送路P3の下流側に搬送されるので、ジャム等の搬送不良の発生を未然に防止することができるとともに、搬送不良発生を著しく少なくすることができる。
また、シート種類の違いによる様々な波打ち状態に対してもジャム等の搬送不良の発生を未然に防止することができることで、搬送不良発生を著しく少なくすることができる。
【0118】
(第3の実施形態)
図19を参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は、図2〜図9に示した参考例の搬送ガイド部材69を備えた用紙搬送装置55に代えて、図19に示すように、搬送ガイド部材69に代えた搬送ガイド部材69Dを備えた用紙搬送装置55Dを用いる点のみ相違する。この相違点以外は、第3の実施形態は図2〜図9に示した用紙搬送装置55を有するプリンタ100(図1参照)と同様である。
【0119】
第1のガイド部材としての搬送ガイド部材69Dは、参考例の搬送ガイド部材69と比較して、図19に示すように、第2搬送路P2を搬送される用紙Sを案内する搬送ガイド部材69Dにおける用紙搬送方向Zaの下流端部の案内面としてのガイド面69Deの位置が、第3搬送手段59Aの挟持部N以外に対向した部位と挟持部Nに対向した部位とで、用紙搬送方向Zaと直交するXa方向に対して異なる形状を有していることのみ相違する。この相違点以外は、搬送ガイド部材69Dは図2等に示した搬送ガイド部材69と同様である。
ここで、「挟持部N以外に対向した搬送ガイド部材69D」とは、本実施形態では挟持部最外側範囲87(図10等参照)以外に対向した搬送ガイド部材69Dと同義である。また、「「挟持部Nに対向した搬送ガイド部材69D」とは、本実施形態では挟持部最外側範囲87(図10等参照)に対向した搬送ガイド部材69Dと同義である。
ここで、「搬送ガイド部材69Dにおける用紙搬送方向Zaの下流端部の案内面としてのガイド面69Deの位置が、第3搬送手段59Aの挟持部N以外に対向した部位と挟持部Nに対向した部位とで、用紙搬送方向Zaと直交するXa方向に対して異なる」とは、本発明の課題を解決する機能、すなわちジャム等の搬送不良の発生を低減できる第1のガイド部材(搬送ガイド部材69D)の下流端部のガイド面69Deの位置・形状であるならば、多少の凹凸やギザギザあるいは逃げ等の形状も含む広い概念を意味する。
【0120】
図19を参照して上記相違点を具体的に表現すると、搬送ガイド部材69Dは、第3搬送手段59Aの挟持部最外側範囲87(図10等参照)以外に対向した用紙搬送方向Zaの搬送ガイド部材69Dの下流端部のガイド面69Deの位置が、挟持部最外側範囲87に対向した搬送ガイド部材69Dのガイド面69cの位置よりもXa方向に突出して形成されている点にある。従来の搬送ガイド部材69のガイド面69cのXa方向の厚さをb1としたとき、搬送ガイド部材69Dのガイド面69cのXa方向厚さb2の方が厚く形成されている(b2>b1)。
搬送ガイド部材69DのXa方向への突出量(b2−b1)は、使用するシート種類にもよるが、おおよそ数mm〜10mmの範囲で設定される。
【0121】
本実施形態の搬送ガイド部材69Dによれば、搬送ガイド部材69Dは、第3搬送手段59Aの挟持部最外側範囲87(図10等参照)以外に対向した用紙搬送方向Zaの搬送ガイド部材69Dの下流端部のガイド面69Deの位置が、挟持部最外側範囲87に対向した搬送ガイド部材69Dのガイド面69cの位置よりもXa方向に突出して形成されているので、これにより適正なガイドが形成されることで、搬送路の曲率部の曲率半径を小さくした省スペースデザインでも、厚紙等の比較的剛性の高い用紙S(例えばメートル坪量が256〜300g/m)や特殊紙が第2搬送路P2から合流搬送路P3に向けて搬送されてきても、挟持部最外側範囲87よりも外側の用紙幅方向Yの用紙Sの下流先端両端側での波打ちや撓みが矯正案内されつつ第3搬送手段59Aによって正常に合流搬送路P3の下流側に搬送されるので、ジャム等の搬送不良の発生を未然に防止することができ、搬送不良発生が著しく少なくすることができる。
また、シート種類の違いによる様々な波打ち状態に対してもジャム等の搬送不良の発生を未然に防止することができ、搬送不良発生が著しく少なくすることができる。
本実施形態では、搬送ガイド部材69Dは、その下流端部のガイド面69Deを含めて例えば樹脂の成型で一体的に形成されていて、部品点数が実質的に1つで安価に形成できるという利点があるが、この利点をそれ程望まなくてもよいのであれば、例えば下流端部のガイド面69Deを別体に形成した後、適宜のネジ等の結合手段や接着剤あるいは熱融着等で固着したものであってもよい。
【0122】
(第3の実施形態の変形例2)
図20に、第3の実施形態の変形例2を示す。変形例2は、第3の実施形態の搬送ガイド部材69Dを備えた用紙搬送装置55Dに代えて、同図に示すように、搬送ガイド部材69Dに代えた搬送ガイド部材69Eを備えた用紙搬送装置55Eを用いる点のみ相違する。この相違点以外は、変形例2は図19に示した用紙搬送装置55Dを有するプリンタ100(図1参照)と同様である。
【0123】
第1のガイド部材としての搬送ガイド部材69Eは、第3の実施形態の搬送ガイド部材69Dと比較して、同図に示すように、第3搬送手段59Aの挟持部最外側範囲87(図10等参照)以外に対向した用紙搬送方向Zaの搬送ガイド部材69Dの下流端部のガイド面69Eeの位置が、用紙幅方向Yの両側端部に行くにつれてXa方向に徐々に傾斜して厚くなる形状を有している(b3>b2>b1)ことのみ相違する。この相違点以外は、搬送ガイド部材69Eは図19に示した搬送ガイド部材69Dと同様である。
【0124】
本変形例の搬送ガイド部材69Eによれば、第3の実施形態の搬送ガイド部材69Dと同様の作用効果が得られるほか、より多くの多種多様なシートサイズおよび腰の強弱を含むシート種類に対応することができる。
【0125】
(第4の実施形態)
図21を参照して、本発明の第4の実施形態を説明する。第4の実施形態は、図11〜図13に示した第1の実施形態の搬送ガイド部材69Aと図19に示した第3の実施形態の搬送ガイド部材69Dとを組み合わせた搬送ガイド部材69Fを備えた用紙搬送装置55Fを用いる点のみ相違する。この相違点以外は、第4の実施形態は図2〜図9に示した用紙搬送装置55を有するプリンタ100(図1参照)と同様である。
【0126】
第1のガイド部材としての搬送ガイド部材69Fは、図11〜図13に示した第1の実施形態の搬送ガイド部材69Aと図19に示した第3の実施形態の搬送ガイド部材69Dとを組み合わせたものに相当し、図21に示すように、第1搬送路P1と第2搬送路P2とが合流する挟持部最外側範囲87(図11参照)以外に対向した搬送ガイド部材69Fにおける用紙搬送方向Zaの下流端69Feの位置が、従来の搬送ガイド部材69における用紙搬送方向Zaの下流端69dの位置よりも用紙搬送方向Zaの下流側にh3ほど延びて高く形成され(h3<h1)、かつ、第2搬送路P2を搬送される用紙Sを案内する搬送ガイド部材69Fにおける挟持部最外側範囲87以外に対向した用紙搬送方向Zaの下流端部のガイド面69Feの位置が、挟持部最外側範囲87に対向した搬送ガイド部材69Fのガイド面69cの位置よりもXa方向にb3だけ突出して形成されている(b3<b2)。
従って、搬送ガイド部材69Fにおける下流端69Feの位置は、第1の実施形態の搬送ガイド部材69Aの用紙搬送方向Zaの下流端69Aeの高さh1ほど用紙搬送方向Zaの下流側に延びておらず、かつ、搬送ガイド部材69Fにおける用紙搬送方向Zaの下流端部のガイド面69Feの位置が、第3の実施形態の搬送ガイド部材69Dにおける用紙搬送方向Zaの下流端部のガイド面69Deの突出量b2ほど突出していない点から、搬送ガイド部材69Fは両ガイド部材69A,69Dの各機能を具備しているとみなすことができる。
【0127】
本実施形態の搬送ガイド部材69Fによれば、第1の実施形態の搬送ガイド部材69Aと第3の実施形態の搬送ガイド部材69Dとの各作用効果を奏するものであり、設計上の制約がある場合等において、適宜両ガイド部材69A,69Dの各機能を取り入れることで、設計の自由度を広げることができる。
上述した点から、図14に示した変形例1と図20に示した変形例2とを上記同様組み合わせた搬送ガイドを構成することも無論可能である。
【0128】
以上説明したとおり、各用紙搬送装置55A〜55Fのベルト搬送手段58Aは、第1搬送路P1側から搬送される用紙Sに対しては、第3搬送手段(挟持搬送手段)59Aの対向対の一方が、用紙の先端ないし先端部(先端、先端面、先端の角部・エッジを含む広い意味合いの用語である)と接触・当接した状態を保持しつつ、用紙の剛性程度によってはその接触面積を徐々に広げながらグリップローラ81とのニップ部(挟持部)に向けて用紙を移動・案内する移動案内手段の一例であるといえる。
【0129】
第1ないし第4の実施形態等では、分離給送手段(給紙分離機構)として、摩擦パッド方式を採用したが、これに限られることなく、摩擦により所定に重送された用紙を分離して1枚の用紙だけを搬送方向に進み続けさせる分離機構であれば、適宜の摩擦分離方式を採用してよく、例えば上記したフィードローラに対して、摩擦パッドの代わりに、分離爪等を用いてもよい。
本発明は、カラープリンタに限らず、例えば、モノクロの複写機や、モノクロのレーザプリンタやインクジェットプリンタ、インク転写リボンを用いるプリンタ等を含むプリンタに係る画像形成装置に関して、本発明に係るシート搬送装置を応用・適用可能である。カラー複写機では、転写体で用紙(シート)を搬送しながら順次転写して重ね合わせる直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置や、無端ベルト状の感光体が単一の画像形成装置においても同様に適用し実施することができる。また、本発明は、孔版印刷機等を含む印刷装置において、シート収容手段(給紙トレイ)やシート積載手段(給紙台)からシート(用紙)を印刷部本体に搬送して供給するシート搬送装置にも適用してもよい。
【0130】
さらには、本発明は、画像形成装置として複写機に限られることなく、ファクシミリ、プリンタ、インクジェット記録装置、印刷装置等またはそれらのうちの少なくとも二つを組み合わせた複合機等に適用してもよい。何れにしても、多種多様な紙種としてのシート種類を搬送対象にして、このシートの搬送経路上で省スペース化を図りながら、そのシート搬送方向を変更する必要がある機器や装置において、最適なシート搬送装置とすることができる。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するための手段の欄に記載した請求項1ないし10の何れか一つに記載のシート搬送装置を有することを特徴とする画像形成装置であってもよい。
【0131】
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した第1〜第4の実施形態や変形例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【符号の説明】
【0132】
1 画像形成部(画像形成手段、プロセスカートリッジ)
2Y,2C,2M,2Bk 感光体(像・潜像担持体)
3 クリーニング装置
4 帯電装置
5 現像装置
6 中間転写ユニット
6a 中間転写ベルト(像担持体)
6b,6c、6d,6e ローラ
6f 内部フレーム
6g 軸
6h ベルトクリーニング装置
7 一次転写ローラ
8 露光装置
8Y,8C,8M,8Bk レーザビーム光
9A,9B 給紙カセット
13 レジストローラ対
14 2次転写ユニット
14a 2次転写ローラ
14b 電源
14c,14d 搬送用ローラ
15 定着装置
16 排紙ローラ対
18,20,21,22,23 搬送用ローラ
25 手差し給紙装置
26 ピックアップローラ
27 フィードローラ(分離給送手段)
28 リバースローラ(分離給送手段)
40 トナーカートリッジ
50 給紙装置(バンク)
55A,55B,55C,55D,55E,55F 用紙搬送装置(シート搬送装置)
56A 第1搬送手段(第1の搬送手段)
57A 第2搬送手段(第2の搬送手段・手差し給送手段)
58A ベルト搬送手段
59A 第3搬送手段(第3の搬送手段・挟持搬送手段)
60 ピックアップローラ
63 フィードローラ(分離給送手段)
63A フィードローラ(分離給送手段)
67 手差しトレイ
68,68A 摩擦パッド(摩擦部材)
69A,69B,69C,69D,69E,69F 搬送ガイド部材(第1のガイド部材)
74 搬送ガイド部材(第4のガイド部材)
75 搬送ガイド部材(第2のガイド部材)
76 搬送ガイド部材(第3のガイド部材)
76a ガイド面(案内面)
76c ガイド面(案内面)
81 グリップローラ(第3の搬送手段の対向対の一方、回転搬送駆動手段、回転搬送駆動部材)
82 搬送ベルト(第3の搬送手段の対向対の他方としてのベルト)
82a 搬送ベルトの搬送面
83 プーリ(第1のベルト保持回転部材)
84 プーリ(第2のベルト保持回転部材)
F フレーム
Fa 回動軸
P1 第1搬送路 (第1の搬送経路)
P2 第2搬送路・手差し搬送路 (第2の搬送経路)
P3 合流搬送路(合流搬送経路)
P4 搬送路
P5 排紙路
P6 搬送路
P7 スイッチバック路
P8 再給紙路
P9 縦搬送路、共通搬送路・合流搬送路
P10 合流搬送路
S 用紙(シート・シート状の記録媒体)
Y 用紙幅方向(シート幅方向)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0133】
【特許文献1】特開2004−338923号公報(第1〜3頁、図1〜図7)
【特許文献2】特開2005−89008号公報(第2〜3頁、図4,5)
【特許文献3】特開平10−129883号公報(第1〜2頁、図1)
【特許文献4】特開2005−1771号公報(第1〜2頁、図1)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが搬送される第1の搬送経路の上流側に配置され、シートを搬送する第1の搬送手段と、
第1の搬送経路と対向する側からシートが搬送される第2の搬送経路の上流側に配置され、シートを搬送する第2の搬送手段と、
第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する合流搬送経路に配置され、第1の搬送経路および第2の搬送経路から搬送されるシートを前記合流搬送経路の下流側に搬送する第3の搬送手段と、
第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する部位に配置され、第1の搬送経路および第2の搬送経路から搬送されるシートを前記合流搬送経路に案内する第1のガイド部材とを有し、
第1の搬送手段、第2の搬送手段および第3の搬送手段のうちの少なくとも第3の搬送手段は、シートを挟持搬送する挟持部を形成する挟持搬送手段であり、
前記挟持搬送手段の対向対の一方は、前記合流搬送経路における第1の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の外郭であって、前記合流搬送経路における第2の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の内郭に配置されたベルト搬送手段であるシート搬送装置であって、
第1のガイド部材は、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する前記挟持部以外に対向した第1のガイド部材の位置が、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する前記挟持部に対向した第1のガイド部材の位置よりもシート搬送方向の下流に位置することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する前記挟持部以外に対向した位置の第1のガイド部材に、第2の搬送経路から搬送されてくるシートに接触して弾性変形可能な可撓性部材を用いたことを特徴とする請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項3】
シートが搬送される第1の搬送経路の上流側に配置され、シートを搬送する第1の搬送手段と、
第1の搬送経路と対向する側からシートが搬送される第2の搬送経路の上流側に配置され、シートを搬送する第2の搬送手段と、
第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する合流搬送経路に配置され、第1の搬送経路および第2の搬送経路から搬送されるシートを前記合流搬送経路の下流側に搬送する第3の搬送手段と、
第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する部位に配置され、第1の搬送経路および第2の搬送経路から搬送されるシートを前記合流搬送経路に案内する第1のガイド部材とを有し、
第1の搬送手段、第2の搬送手段および第3の搬送手段のうちの少なくとも第3の搬送手段は、シートを挟持搬送する挟持部を形成する挟持搬送手段であり、
前記挟持搬送手段の対向対の一方は、前記合流搬送経路における第1の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の外郭であって、前記合流搬送経路における第2の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の内郭に配置されたベルト搬送手段であるシート搬送装置であって、
第1のガイド部材は、第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する第1のガイド部材の位置が、前記挟持部以外に対向した部位と該挟持部に対向した部位とで、シート搬送方向に対して異なることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項4】
シートが搬送される第1の搬送経路の上流側に配置され、シートを搬送する第1の搬送手段と、
第1の搬送経路と対向する側からシートが搬送される第2の搬送経路の上流側に配置され、シートを搬送する第2の搬送手段と、
第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する合流搬送経路に配置され、第1の搬送経路および第2の搬送経路から搬送されるシートを前記合流搬送経路の下流側に搬送する第3の搬送手段と、
第1の搬送経路と第2の搬送経路とが合流する部位に配置され、第1の搬送経路および第2の搬送経路から搬送されるシートを前記合流搬送経路に案内する第1のガイド部材とを有し、
第1の搬送手段、第2の搬送手段および第3の搬送手段のうちの少なくとも第3の搬送手段は、シートを挟持搬送する挟持部を形成する挟持搬送手段であり、
前記挟持搬送手段の対向対の一方は、前記合流搬送経路における第1の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の外郭であって、前記合流搬送経路における第2の搬送経路からみたときの該合流搬送経路の内郭に配置されたベルト搬送手段であるシート搬送装置であって、
第1のガイド部材は、第2の搬送経路を搬送されるシートを案内する第1のガイド部材におけるシート搬送方向の下流端部の案内面の位置が、前記挟持部以外に対向した部位と該挟持部に対向した部位とで、前記シート搬送方向と直交する方向に対して異なることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
第1のガイド部材は、前記挟持部以外に対向した前記案内面の位置が、前記挟持部に対向した前記案内面の位置よりも前記シート搬送方向と直交する方向に突出していることを特徴とする請求項4記載のシート搬送装置。
【請求項6】
第2の搬送経路を搬送されるシートを前記合流搬送経路に案内すべく、前記ベルト搬送手段に対向して第2の搬送経路の一方を形成すべく配置された第2のガイド部材と、
第2の搬送経路を搬送されるシートを前記合流搬送経路に案内すべくその終点部に湾曲部分を形成され、第2のガイド部材に対向して第2の搬送経路の他方を形成すべく配置された第3のガイド部材とを有し、
前記挟持部以外に対向した第1のガイド部材の下流端の位置は、第2の搬送経路を搬送されるシートの先端が前記湾曲部分の前記終点部に導かれるように設定されていることを特徴とする請求項1、2または3記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記合流搬送経路の下流側から前記挟持部に対向するように上流側に延び、該合流搬送経路を搬送されるシートを前記下流側に案内する第4のガイド部材を有し、
前記挟持部以外に対向した第1のガイド部材の下流端の位置が、第4のガイド部材の前記上流側に延びた延長線上に位置するように設定されていることを特徴とする請求項1、2、3または6記載のシート搬送装置。
【請求項8】
シート搬送方向と直交するシート幅方向における前記挟持搬送手段が、該シート幅方向のシートの一部と接触するように前記シート幅方向に断続的に構成されていることを特徴とする請求項1ないし7の何れか一つに記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記挟持搬送手段が、前記シートの一部である中央部と接触するように前記シート幅方向に断続的に構成されていることを特徴とする請求項8記載のシート搬送装置。
【請求項10】
前記挟持搬送手段の対向対の他方は、回転することにより駆動力を伝達可能な回転搬送駆動手段であり、
前記対向対の一方は、前記回転搬送駆動手段に従動して、前記挟持部に向けて第2の搬送経路から搬送されてきたシート表面と接触することで搬送力を補助するベルトを備えた前記ベルト搬送手段であることを特徴とする請求項1ないし9の何れか一つに記載のシート搬送装置。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか一つに記載のシート搬送装置と、
前記ベルト搬送手段の下流側に配置され、該ベルト搬送手段を経由して搬送されてきたシートに画像形成を行う画像形成手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−246150(P2012−246150A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−207443(P2012−207443)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【分割の表示】特願2008−11711(P2008−11711)の分割
【原出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】