説明

シート材搬送装置

【課題】低コストで高精度な搬送が可能なシート材搬送装置を実現すること。
【解決手段】複数の駆動伝達経路を有する副搬送ローラ56の駆動を駆動源と同一の回転方向でいずれも駆動することができ、記録用紙62の種類に応じて、同一駆動源で駆動する副搬送ローラ間の速度比を選択して記録用紙を搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材を搬送する主搬送ローラと副搬送ローラとが、同一の駆動源で駆動されるシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録装置(以下、単に記録装置ともいう)の進化はめざましく、高画質化が急速に進んできている。また記録ヘッドから吐出するインクの小ドット化が進み、記録媒体(以下、シート材ともいう)の搬送精度においても、よりいっそうの高搬送精度化が求められている。またUターン搬送等、搬送経路が長くなる構成では、複数の搬送ローラによってシート材を搬送する際にも、高い搬送精度が求められる。従来は、1つのモータからギア等の駆動伝達手段を介して複数の搬送ローラを駆動し、機械的に精度を保証する構成が採用されることが多かった。一方で、特許文献1のように、2つの搬送ローラをそれぞれ独立して駆動する2つのモータを備え、それらを制御することで高精度な複数の搬送ローラによるシート材搬送手段も提案されている。
【0003】
特許文献1では、記録媒体の搬送経路において、記録ヘッドにより近い下流側に配置された第1の搬送ローラ及び記録ヘッドから離れた上流側に配置された第2の搬送ローラと、2つの搬送ローラをそれぞれ独立して駆動する第1及び第2のモータとを備えている。そして第1及び第2のローラの回転量に基づいて、第1及び第2の駆動手段をそれぞれフィードバック制御するように構成している。第2の搬送ローラの動作が、第1の搬送ローラの動作に対して同時又は先行するように、第1及び第2の駆動手段をそれぞれ制御している。
【0004】
搬送するシート材は、その種類によって表面の摩擦係数、シートの厚み、剛性が異なる。また複数の搬送ローラで搬送する構成においては、それぞれローラのニップ圧や表面の摩擦係数、ローラ間の搬送経路の形状が異なる。例えば主搬送ローラと副搬送ローラとを有し、主搬送ローラはニップ圧や摩擦係数が高く、副搬送ローラは比較して低い構成の場合、それぞれのローラの速度を異ならせる必要がある。つまり、搬送時のスリップが少ない(摩擦係数が高い)シート材と搬送時のスリップが多い(摩擦係数が低い)シート材とでは、主搬送ローラニップ部でのスリップ量と副搬送ローラニップ部でのスリップ量が異なってくる。その為、主搬送ローラに対する副搬送ローラの速度比(回転数)は、シート材の種類によって異なってくる。
【0005】
特許文献1の構成によれば、搬送するシート材の種類や搬送経路の形状によって、ローラ間の最適な速度比が異なってくる際にも、あらかじめシート材の種類に応じて、2つのモータ間の回転数を変えることが可能である。これによりシート材の種類に応じたローラ間の速度比の設定が可能となり、より高精度な複数のローラ間のシート材搬送が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−036490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来例では以下のような技術的課題があった。その課題とは、従来の構成によると。高価格部品であるモータを複数持つ構成により、製品コストが一般的に高くなってしまう点である。従って、近年のインクジェット記録装置の低価格化が著しい状況下、低コストで高精度な搬送を実現することが難しくなってしまう。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低コストで高精度な搬送が可能なシート材搬送装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのため本発明のシート材搬送装置は、シートを搬送するための駆動力を発生する1つの駆動源と、前記駆動源から駆動力が伝達されて駆動する複数の搬送ローラと、前記駆動源から前記搬送ローラに駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、を備えたシート材搬送装置において、前記複数の搬送ローラのうち、主搬送ローラは、前記駆動源から伝達される駆動力について単一の駆動伝達経路を有し、前記複数の搬送ローラのうち、副搬送ローラは、前記駆動源から伝達される駆動力について複数の駆動伝達経路を有し、前記駆動力伝達機構は、前記複数の駆動伝達経路を選択的に切り換える手段を有し、前記駆動源から前記副搬送ローラに駆動力を伝達する前記複数の駆動伝達経路は、各駆動伝達経路によって、前記主搬送ローラに対する前記副搬送ローラの速度比を異ならせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシート搬送装置において、複数の搬送ローラのうち、主搬送ローラは、駆動源から伝達される駆動力について単一の駆動伝達経路を有し、複数の搬送ローラのうち、副搬送ローラは、駆動源から伝達される駆動力について複数の駆動伝達経路を有する。そして、駆動力伝達機構は、複数の駆動伝達経路を選択的に切り換える手段を有する。さらに、駆動源から副搬送ローラに駆動力を伝達する複数の駆動伝達経路は、各駆動伝達経路によって、主搬送ローラに対する副搬送ローラの速度比を異ならせる。これによって、低コストで高精度な搬送が可能なシート材搬送装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)から(c)は、本実施形態における記録装置の給紙搬送部の模式的断面図である。
【図2】本発明の実第1の施形態における、駆動伝達部の模式的断面図である。
【図3】(a)から(c)は、本発明の実施形態における、駆動選択機構部の模式的断面図である。
【図4】本発明の実施形態における、一連の記録動作のフローチャートである。
【図5】本発明の実第3の施形態における、駆動伝達部の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1(a)から(c)は、本実施形態における記録装置の給紙搬送部(シート搬送装置)の模式的断面図であり、記録装置の給紙から記録、排紙までの記録用紙(以下、シート材ともいう)の一連の動作を説明するための図である。記録装置下部に設けられた記録用紙積載部61には、記録用紙(シート)62が収納される。この記録用紙62を記録装置内に給紙する為に、給紙ローラ54が設けられている。図1(a)の状態で、この給紙ローラ54が積載された記録用紙62に当接、回転することで記録用紙62は給紙され、その搬送方向下流にある分離部材58によって、記録用紙62は分離される。
【0013】
給紙ローラ54および分離部材58の下流側には、副搬送ローラ56と、バネ軸(不図示)によって副搬送ローラ56方向に付勢された副搬送ピンチローラ57によって形成されたニップ部がある。図1(b)のように、分離・搬送された記録用紙62は、副搬送ローラ56のニップ部に到達し、そのニップ部での搬送力によってさらに下流側に搬送される。そして、搬送された記録用紙62の先端は、紙端検知センサレバー38に接触する。紙端検知センサレバー38は、記録用紙62の搬送力によって回動し、そのレバー他端が紙端検知センサ(不図示)を透過、遮断することで記録用紙62の端部を検知する。記録用紙62を給紙搬送する給紙ローラ54は、記録用紙62先端が紙端検知センサレバー38と副搬送ローラ56との間にいるときに給紙力を解除する。こうすることで、給紙ローラ54と副搬送ローラ56、そして後述の主搬送ローラ31間のローラ表面での送り距離差や、不要なバックテンションによる紙端検知の精度悪化を回避する。よってこれ以降の搬送では、図1(b)に図示した記録用紙62よりも長い記録用紙が給紙搬送(シート材搬送)されたとしても、給紙ローラ54は記録用紙62の搬送精度にはほとんど影響を及ぼさない。
【0014】
次に搬送された記録用紙62は、主搬送ローラ(LFローラ)31と主搬送ピンチローラ33のニップ部でレジ取り作業が行われる。レジ取り作業は、記録用紙先端の斜行を矯正する作業であり、記録用紙62の先端が停止している主搬送ローラ31ニップ部に突き当てられることで行われる。このレジ取り作業は、他にも、一度主搬送ローラ31ニップ部から記録用紙62先端を出しておいて、主搬送ローラ31を逆搬送方向に回転させ、主搬送ローラ31ニップ部で行われたりする。またレジ取り作業が行われずにそのまま主搬送ローラニップ部へ搬送されることもある。
【0015】
図1(c)のように搬送された記録用紙62は、シート搬送における最終の搬送工程でプラテン34上に搬送される。プラテン34と対向する位置には、所定の空間を介して記録ヘッド1がキャリッジ(不図示)に取り付けられている。記録ヘッド1は、記録用紙62の搬送方向にたいして直角方向に往復走査する。記録ヘッド1が記録用紙62に画像形成する時は、画像形成する行位置(記録用紙62の搬送方向の位置)に主搬送ローラ31が記録用紙62を搬送すると共に、記録ヘッド1が画像形成する列位置(記録用紙62の搬送方向と垂直な位置)に移動する。これによって、記録ヘッド1を記録用紙62の画像形成位置に対向させる。その後、電気基板(不図示)からの信号により記録ヘッド1が記録用紙62に向けてインクを吐出して画像が形成される。画像形成された記録用紙62は、排紙ローラ36によって排紙され、一連の作業が完了する。
【0016】
以上が記録の一連の動作になるが、画像形成動作中の各ローラによる記録用紙62の搬送についてより具体的に説明する。
【0017】
図1(c)にあるように、画像形成が行われる際、記録用紙後端が副搬送ローラ56ニップに挟持されている間は、副搬送ローラ56ローラ対と主搬送ローラ31ローラ対の両方で搬送されながら画像形成が行われる。そのため主搬送ローラ31ローラ対に対する副搬送ローラ対56のローラ表面での送り距離が短ければ、搬送中、記録用紙62は用紙搬送経路中でつっぱりぎみに搬送される。また逆に主搬送ローラ31ローラ対に対する副搬送ローラ56ローラ対のローラ表面での送り距離が長ければ、搬送中、記録用紙62は用紙搬送経路中でたわみぎみに搬送される。また実際の搬送では、駆動ギア列の減速比やローラ径を送り距離が一緒になるように設定していても、部品の寸法のバラつきや周囲の環境の違いによって主搬送ローラ31ローラ対に対する副搬送ローラ56ローラ対の送り量はばらつくことになる。
【0018】
また実際に搬送する記録用紙62の用紙種類で、主搬送ローラ31ローラ対に対する副搬送ローラ56ローラ対の送り量の最適な数値が異なることがある。記録用紙62は、用紙の種類によって、摩擦係数、剛性、厚み、用紙サイズが異なる。その為、実際の搬送精度に対して、主搬送ローラ31ローラ対に対する副搬送ローラ56ローラ対の送り量をどこに設定すれば、搬送精度の最適値になるのかは用紙の種類によって変わる。できるだけ記録用紙毎の搬送精度の最適値に近づけることで、部品のバラつきなどによる搬送精度の悪化を軽減し画像品位を維持することができる。本発明は、この記録用紙62の種類に応じた主搬送ローラ31ローラ対に対する副搬送ローラ56ローラ対の送り量を数種類持つことができる構成をとることに主旨を置いたものである。以下に上記構成を実現するための具体的な構成を図2、図3の模式的断面図と図4のフローチャートを用いて説明する。
【0019】
図2は、本発明の実施形態における、駆動伝達部の模式的断面図である(図を見やすくするために一部透明化している)。また図3は、本発明の実施形態における、駆動選択機構部(駆動力伝達機構)の模式的断面図である。図1では、記録用紙62の一連の動作について説明したが、ここでは駆動の伝達について記載する。駆動力を発生するモータ39(駆動源)のシャフトには、モータギア391が圧入されている。モータギア391はモータアイドラギア32に駆動連結し、モータアイドラギア32は排紙ローラギア361とLFギア311とに駆動連結する。排紙ローラ36は排紙ローラギア361に取り付けられており、これにより排紙ローラ36は駆動を伝達される。主搬送ローラ(LFローラ)31はLFギア311に取り付けられており、これにより主搬送ローラ31は駆動を伝達される。LFギア311は、主搬送ローラ31端部近傍に取り付けられているが、一方の他端近傍にはLFアウトプットギア312が取り付けられている。LFアウトプットギア312はLFアイドラギア35と駆動連結する。そしてLFアイドラギア35は駆動選択ギア42に駆動連結する。駆動選択ギア42には、駆動選択ギア45の取り付けられた駆動選択アーム46が図の奥行き前後方向に移動可能に取り付けられている。また駆動選択ギア42には、駆動選択アーム41も図の奥行き前後方向に移動可能に取り付けられている。駆動選択アーム46及び駆動選択ギア45は、駆動選択アーム41が駆動選択アーム押圧部411をキャリッジ(不図示)によって押圧され、図の奥行き後ろ方向に移動したとき駆動選択アーム41に追従して移動するように構成されている。駆動選択プレート44には4本の駆動選択ボス442,443、444、441(図3参照)が設けられており、駆動選択ギア45はこの4本のボスに入ることで位置が固定される。
【0020】
駆動選択アーム46は駆動選択アーム41に追従して移動したときに駆動選択ギア42と連結し、駆動選択ギア42の回転と連動して回転可能な構成となっている。駆動選択ギア45は、駆動選択アーム41に追従して移動しているときは、駆動選択ギア42と駆動連結していないが、4本のいずれかのボスに入ったときに、駆動選択ギア42と駆動連結される構成となっている。
【0021】
駆動選択ギア45が図2の位置にいるとき(駆動選択ボス441に入っているとき)、LFモータ39の駆動は、以降の駆動ギア列には伝達されない。図3(a)のように駆動選択ギア45が駆動選択ボス442に入っているとき、LFモータ39の駆動は、駆動経路ギア列51と駆動連結する。最終的に駆動経路ギア列51は、駆動経路ギア列52に合流し、副搬送ローラギア55と駆動連結する。副搬送ローラギア55は、副搬送ローラ56に取り付けられており、モータ39の駆動力が副搬送ローラ56に駆動伝達されることになる。図3(b)のように駆動選択ギア45が駆動選択ボス443に入っているとき、LFモータ39の駆動は、駆動経路ギア列52と駆動連結する。最終的に駆動経路ギア列52は、副搬送ローラギア55と駆動連結する。副搬送ローラギア55は、副搬送ローラ56に取り付けられており、モータ39の駆動力が副搬送ローラ56に駆動伝達されることになる。図3(c)のように駆動選択ギア45が駆動選択ボス444に入っているとき、LFモータ39の駆動は、駆動経路ギア列53と駆動連結する。最終的に駆動経路ギア列53は、駆動経路ギア列52に合流し、副搬送ローラギア55と駆動連結する。副搬送ローラギア55は、副搬送ローラ56に取り付けられており、モータ39の駆動力が副搬送ローラ56に駆動伝達されることになる。このように、選択的に駆動力の伝達経路を切り換えることができるように構成されている。
【0022】
前述した駆動経路ギア列51中のギアのうち、駆動経路ギア列52と連結するギアと、駆動経路ギア列53中のギアのうち駆動経路ギア列52と連結するギアは、それぞれ2段ギアとなっている。この2段ギアの歯数をどう設定するかにより、どの駆動経路ギア列から副搬送ローラ56を回転させるかで、主搬送ローラ31に対する副搬送ローラ56の速度比を変えることができる。
【0023】
本実施形態では、ギア列51から駆動伝達されたときは、主搬送ローラ31に対して副搬送ローラ56の速度比は減速設定(2段ギアの初段の歯数を次段よりも多くする)としている。また、ギア列52から駆動伝達されたときは、主搬送ローラ31に対して副搬送ローラ56の速度比は同速設定としている。また、ギア列C53から駆動伝達されたときは、主搬送ローラ31に対して副搬送ローラ56の速度比は増速設定(2段ギアの初段の歯数を次段よりも少なくする)としている。
【0024】
また駆動経路ギア列51、52、53は、モータ39が主搬送ローラ31を紙搬送方向に回転させる時と同一回転方向で、副搬送ローラ56を紙搬送方向に回転させる構成となっている。つまり、どのギア列を介して副搬送ローラを回転させても、主搬送ローラ31を紙搬送方向に回転させるときと同一の回転方向で副搬送ローラ56を回転させることができる。また給紙ローラ54は不図示のギア列からモータ39の駆動力を伝達しており、本発明の主旨である副搬送ローラ56の駆動伝達構成によらない為、駆動伝達の詳細は省略する。
【0025】
次に図4を用いて副搬送ローラの伝達経路の選択について説明する。図4は、本発明の実施形態における、一連の記録動作のフローチャートである。ユーザの記録開始操作を受けると、ステップS001でホスト装置から記録装置に記録データが送られる。ホスト装置と記録装置を電気的に接続するI/Fを介して、記録データ等を展開する領域であるRAM上にデータを格納する。そしてCPUが記録動作開始指令を出してROMに書き込まれた制御データなどにより記録動作が開始する。ステップS002では、あらかじめ記録用紙の紙種をその搬送特性から3種類の紙種群に分けておき、受信した記録データに応じて副搬送ローラ56の伝達経路を駆動経路ギア列51、52、53のいずれかにするかを選択する。本実施形態では、紙種群Aを選択した場合は、ステップS003に移行して、紙種群Bを選択した場合は、ステップS004に移行して、紙種群Cを選択した場合は、ステップS005に移行する。そしてステップS006からは、先に説明した給紙を行い、ステップS007で記録用紙の搬送、ステップS008で記録、ステップS009で排紙のように一連の動作を行う。
【0026】
このように本実施形態によれば、複数の駆動伝達経路を有する副搬送ローラ56の駆動を駆動源と同一の回転方向でいずれも駆動することができる。そして記録用紙62の種類に応じて、同一駆動源で駆動する副搬送ローラ間の速度比を選択することができる。そのため、記録用紙の最適な搬送を行うことができる。また主搬送ローラと副搬送ローラの記録用紙搬送方向への駆動は、いずれも単一の駆動源で行うことが出来るため、駆動源の有効活用が可能となる。
【0027】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
【0028】
第1の実施形態では、主搬送ローラ31に対する副搬送ローラ56の速度比を3種類としているが、本実施形態は、主搬送ローラ31に対する副搬送ローラ56の速度比を、2種類、あるいは4種類以上の構成とするものである。このような構成でも、記録用紙62の種類に応じて、同一駆動源で駆動する搬送ローラ間の速度比を選択することができるため、記録用紙の最適な搬送を行うことができる。
【0029】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
【0030】
第1の実施形態では、副搬送ローラ56の主搬送ローラ31に対する速度比を、駆動経路ギア列51、53中の2段ギアによって変えているが本発明はその限りではない。例えば、図5に示した駆動伝達部の模式的断面図のように、副搬送ローラギア55を三段ギアにしてもよい。このように、それぞれの駆動経路ギア列51,52,53をその副搬送ローラギア55の歯数の違う三段のギアに連結させることで、減速比を変えて、副搬送ローラの主搬送ローラに対する速度比を変更する構成でもよい。
【0031】
(第4の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第4の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
【0032】
本実施形態は、同一駆動源で駆動する主搬送ローラ31と副搬送ローラ56において、駆動源直結の主搬送ローラ31に対して、副搬送ローラ56は駆動源からの駆動伝達経路を複数有している。本発明は、その複数の駆動伝達経路のどの経路でも、主搬送ローラと同じ駆動源の回転方向で記録用紙の搬送が可能であることが特徴であるため、途中の駆動伝達部の構成は、いかなる構成であってもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
31 主搬送ローラ
39 モータ
42 駆動選択ギア
51 駆動経路ギア列
52 駆動経路ギア列
53 駆動経路ギア列
56 副搬送ローラ
62 記録用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するための駆動力を発生する1つの駆動源と、前記駆動源から駆動力が伝達されて駆動する複数の搬送ローラと、前記駆動源から前記搬送ローラに駆動力を伝達する駆動力伝達機構と、を備えたシート材搬送装置において、
前記複数の搬送ローラのうち、主搬送ローラは、前記駆動源から伝達される駆動力について単一の駆動伝達経路を有し、
前記複数の搬送ローラのうち、副搬送ローラは、前記駆動源から伝達される駆動力について複数の駆動伝達経路を有し、
前記駆動力伝達機構は、前記複数の駆動伝達経路を選択的に切り換える手段を有し、
前記駆動源から前記副搬送ローラに駆動力を伝達する前記複数の駆動伝達経路は、各駆動伝達経路によって、前記主搬送ローラに対する前記副搬送ローラの速度比を異ならせることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記副搬送ローラは、前記シートの搬送工程における最終の搬送工程を行なう前記主搬送ローラと、前記シートの搬送工程で前記シートの搬送を開始する給紙ローラとの間での搬送を行なうことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記駆動源から前記副搬送ローラに駆動力を伝達する前記複数の伝達経路は、搬送する前記シートの種類によって前記駆動力伝達機構が選択することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記複数の伝達経路は、少なくとも1つの経路は、前記主搬送ローラに対する前記副搬送ローラの速度が増速するように構成され、少なくとも1つの経路は、前記主搬送ローラに対する前記副搬送ローラの速度が減速するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のシート搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−236708(P2012−236708A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108309(P2011−108309)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】