説明

シート止用条材

【課題】伸性の如何に拘らず疵を生じさせることなくシートを係止することができると共に、伸性の大きいシートでは所謂多重張りを実施することができるシート止用条材を提供する。
【解決手段】シート止用条材の正面と平行をなす面内で、一方の側壁部3と底壁部2との角部の中央T1と、他方の側壁部3の基部31と中間部32との境界T2とを通る第1線分L1を定め、この第1線分L1上の前記境界T2の位置で第1線分L1と直交する第2線分L2を定める。そして、他方の側壁部3の中間部32は、前記第2線分L2より溝部4の内側へ傾斜させてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の骨材間に合成樹脂製のシートを展張してなる、所謂ビニルハウスにおいて、前記シートを止めるシート止用条材に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の骨材間に合成樹脂製のシートを展張してなる、所謂ビニルハウスにあっては、骨材間にシート止用条材を架設しておき、このシート止用条材にシートの一部を係止するようにしてある。
【0003】
図5は、従来のシート止用条材にシートを係止した状態を示す斜視図であり、図中、41はシート止用条材、Sは、農業用塩化ビニルといった伸性が比較的大きい合成樹脂製のシートである。図5に示した如く、シート止用条材41は、平帯状の底壁部42の両側縁から内側へ立ち上がるように側壁部43,43を延設して、端面視が縦断三角フラスコ底部形状に構成してある。この両側壁部43,43と底壁部42とがなす角の角度はそれぞれ、45°程度にしてある。また、両側壁部43,43の底壁部42に連接する角部はそれぞれ、円弧状に成形してあり、両側壁部43,43の先端部はそれぞれ外側へ略環状に丸め加工してある。
【0004】
そして、シート止用条材41の底壁部42及び両側壁部43,43で囲まれる溝部44内にシートSの一部を挿入させた後、その上から、面内交互台形波形状のスプリングPを溝部44の開口45から内部へ嵌入させることによって、シートSの一部をシート止用条材41に係止させてある。
【0005】
ところで、ビニルハウスにあっては、一つのシート止用条材に複数枚のシートを係止展張させる、所謂多重張りが実施される場合がある。かかる多重張りを実施する場合には、シート止用条材の溝部内に、その深さ方向へ複数本のスプリングを重積させるが、前述したシート止用条材41では、両側壁部43,43間の寸法が底壁部42から開口45へ向かって漸次狭くなっているため、重積させるスプリングPを溝部44内へ嵌入させる作業が困難な上に、外部からの衝撃によって、当該スプリングPが溝部44から抜出してしまうという問題があった。そのため、後記する特許文献1には次のようなシート止用条材が開示されている。
【0006】
図6は、従来の他のシート止用条材を示す斜視図であり、多重張りに適用し得るようにしてある。即ち、シート止用条材51は、図5に示した底壁部42と同じ寸法の底壁部52の両側縁に、図5に示した側壁部43,43の長さ寸法より長い長さ寸法の側壁部53,53がそれぞれ設けてある。これら側壁部53,53の底壁部52側である基部61,61は、図5に示したシート止用条材41の対応する部分と同様、基部61,61と底壁部52とがなす角の角度がそれぞれ45°程度にしてあり、両基部61,61の底壁部52に連接する角部はそれぞれ円弧状に成形してある。
【0007】
これら基部61,61から両側壁部53,53の先端側へ、中間部62,62がそれぞれ延設してあり、両中間部62,62は前記底壁部52に対して鉛直にしてある。そして、両側壁部53,53の先端部は、対応する中間部62,62に対してそれぞれ内側へ略直角に屈曲させて、両側壁部53,53の間の開口55に臨むフランジ状の縁部63,63にしてあり、両縁部63,63の先端は、更に内側へ180°屈曲させて2つ折にしてある。これによって、開口55の寸法を、図5に示したシート止用条材41の開口45の寸法と同じにしてある。
【0008】
このようにシート止用条材51には、両側壁部53,53に、相互間の距離が深さ方向で略等しい中間部62,62が設けてあるため、この中間部62,62の間にも他のスプリングを比較的容易に嵌入させることができる一方、外部からの衝撃によっても当該他のスプリングが、底壁部52と略平行な両縁部63,63に当接して溝部54から抜出することが防止される。これによって、底壁部52及び両側壁部53,53で囲まれる溝部54内に複数のスプリングを深さ方向へ重積させて、多重張りを実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−16154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図6に示した従来の後者のシート止用条材51にあっては、多重張りにおける最下層のシートを係止させる場合、又は溝部54に1枚のシートを係止させる場合、図7に示した如く、スプリングPを溝部54内の底部へ前記底壁部52と平行に嵌入させて、スプリングPの両側を溝部54の前記両角部に嵌合させるようにするが、この場合、溝部54内にスプリングPを、その一側が一方の側壁部53の角部に当接し、その他側が対応する縁部63を越えて他方の側壁部53の中間部62に当接するように嵌入させた後、スプリングPの他側を他方の側壁部53の角部へ、他方の側壁部53の中間部62及び基部61の内面を摺動させつつ降下させなければならい。そのため、溝部54へのスプリングPの嵌入作業が煩雑であるのに加え、前述したスプリングPの他側の降下作業中、スプリングPに大きな押圧を加えなければならず、スプリングPの他側によってシートに疵が生じるという問題があった。なお、図7中、図6に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してあり、また、シートは省略してある。
【0011】
ところで、ビニルハウスでは、前述した農業用塩化ビニル系のシートに代えて、農業用ポリオレフィン系のシートが用いられる場合がある。これは、前者のシートに比べて後者のシートの方が、透明度が高い上に寿命が長く、更に、後者のシートは、燃焼させても有害なガスを発生しないため焼却処理を行なうことができるからである。
【0012】
ところが、農業用ポリオレフィン系のシートを用いた場合、当該シートの伸性が小さいため、図5に示した従来の前者のシート止用条材41では、相隣るシート止用条材間に展張されるシートの引っ張り力によって、当該シート止用条材41の溝部44内にスプリングPをその底壁部42まで嵌入させることが困難であり、かかるシートSを係止させることができなかった。
【0013】
一方、図6に示した従来の後者のシート止用条材51では、農業用ポリオレフィン系のシートを用いた場合であっても、両縁部63,63内にスプリングを嵌入させることによって、当該シートを溝部54内に係止させることができるものの、前述した如く、農業用塩化ビニル系のシートを係止する場合に問題があった。
【0014】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、伸性の如何に拘らず疵を生じさせることなくシートを係止することができると共に、伸性の大きいシートでは所謂多重張りを実施することができるシート止用条材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載の本発明は、帯状の底壁部の両側にそれぞれ側壁部を立設してなる溝部を備え、両側壁部はそれぞれ、前記底壁部に連接し、溝部の外側へ凸状に曲成した角部を設けてなる基部と、前記溝部の開口に臨ませた縁部と、この縁部と基部との間に当該基部より立ち上げた姿勢で設けた中間部とを具備し、前記開口から溝部内にシートの一部を挿入させて当該シートを止めるシート止用条材において、前記中間部は、当該中間部と基部との境界と、当該中間部に対向する基部の角部とを結ぶ線分に直交する姿勢より溝部の内側へ傾斜させた姿勢にしてあることを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の本発明は、前記中間部と底壁部とのなす角は略65°以上74°以下の適宜角度にしてあることを特徴とする。
【0017】
請求項3記載の本発明は、前記縁部は、溝部の内側へ傾斜した姿勢であって、前記底壁部と平行をなす姿勢より立ち上げた姿勢にしてあることを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の本発明は、前記縁部と底壁部とのなす角は略10°以上30°以下の適宜角度にしてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の本発明では、帯状の底壁部の両側にそれぞれ側壁部を立設してなる溝部を備え、両側壁部はそれぞれ、前記底壁部に連接し、溝部の外側へ凸状に曲成した角部を設けてなる基部と、前記溝部の開口に臨ませた縁部と、この縁部と基部との間に当該基部より立ち上げた姿勢で設けた中間部とを具備し、前記開口から溝部内にシートの一部を挿入させて当該シートを止めるシート止用条材において、前記中間部は、当該中間部と基部との境界と、当該中間部に対向する基部の角部とを結ぶ線分に直交する姿勢より溝部の内側へ傾斜させた姿勢にしてある。これによって、溝部に挿入したシートを固定するスプリングを両基部の間に嵌入させることができると共に、両基部より立ち上げた姿勢で設けた両中間部の間にもスプリングを嵌入させることができる一方、両中間部の間の寸法は溝部の開口に向かうに従って狭くなっており、両中間部の間に嵌入させたスプリングが溝部から抜出することが防止されるため、伸性が大きいシートを用いて所謂多重張りを実施することができる。
【0020】
一方、多重張りにおける最下層のシートを溝部に係止させる場合、又は溝部に伸性が大きい1枚のシートを係止させる場合、スプリングを両基部の角部間に嵌入させるが、後述する図2に示したように中間部32は、当該中間部32と基部31との境界と、当該中間部32に対向する基部31の角部とを結ぶ線分L1に直交する姿勢より溝部4の内側へ傾斜させた姿勢にしてあるため、中間部32の深さ方向の何れの位置にあっても、当該位置及び前記角部を結ぶ線分L1と当該中間部32とがなす底壁部2側の角Bの角度は、その補角である角Aの角度より大きい。従って、前記角部に一側を嵌入させ、他側を中間部32に当接させるように溝部4内に挿入させたスプリングの他側は、比較的小さな押力によって降下し、これによって、シートを疵付けることなく、スプリングの他側を基部31の角部へ嵌入させることができる。
【0021】
ところで、伸性が小さいシートを係止させる場合、両中間部の間にスプリングを嵌入させて当該シートを止めることができる。このとき、前述したように両中間部の間の寸法は溝部の開口に向かうに従って狭くなっているため、両中間部の間に嵌入させたスプリングが溝部から抜出することが防止される。
【0022】
請求項2記載の本発明では、前記中間部と底壁部とのなす角は略65°以上74°以下の適宜角度にしてあるため、開口を所要の寸法に保ちつつ、前述した効果を奏することができる。
【0023】
請求項3記載の本発明では、前記縁部は、溝部の内側へ傾斜した姿勢であって、前記底壁部と平行をなす姿勢より立ち上げた姿勢にしてあるため、両縁部は開口から外側へ逃げる姿勢となり、両縁部の間から溝部内へスプリングを挿入させる作業において両縁部が障害にならず、当該作業を円滑に行なうことができる。一方、両縁部は、溝部の内側へ傾斜しているため、溝部内に嵌入させたスプリングが両縁部に当接して、スプリングが溝部から抜出することが防止される。
【0024】
請求項4記載の本発明では、前記縁部と底壁部とのなす角は略10°以上30°以下の適宜角度にしてあるため、スプリングが溝部から抜出することを防止する効果と、溝部内へのスプリングの挿入作業の円滑化の効果とをバランスよく奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るシート止用条材を示す斜視図である。
【図2】図1に示した側壁部を構成する中間部を詳細に説明する説明図である。
【図3】図1に示したシート止用条材に伸性が小さいシートを係止させた状態を示す正面図である。
【図4】図1に示したシート止用条材に伸性が大きいシートを係止させた状態を示す正面図である。
【図5】従来のシート止用条材にシートを係止した状態を示す斜視図である。
【図6】従来の他のシート止用条材を示す斜視図である。
【図7】従来の他のシート止用条材にスプリングを嵌入させている状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本実施の形態に係るシート止用条材は、帯状の底壁部の両側にそれぞれ側壁部を立設してなる溝部を備え、両側壁部はそれぞれ、前記底壁部に連接し、溝部の外側へ凸状に曲成した角部を設けてなる基部と、前記溝部の開口に臨ませた縁部と、この縁部と基部との間に当該基部より立ち上げた姿勢で設けた中間部とを具備し、前記中間部は、当該中間部と基部との境界と、当該中間部に対向する基部の角部とを結ぶ線分に直交する姿勢より溝部の内側へ傾斜させた姿勢にしてある。
【0027】
この中間部と底壁部とのなす角は略65°以上略74°以下の適宜角度にしてあり、更に好ましくは略70°にしてある。
【0028】
また、縁部は、溝部の内側へ傾斜した姿勢であって、底壁部と平行をなす姿勢より立ち上げた姿勢にしてある。
【0029】
好ましくは、縁部と底壁部とのなす角は略10°以上略30°以下の適宜角度にしてあり、更に好ましくは略25°にしてある。
【0030】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。
【0031】
図1は、本発明に係るシート止用条材を示す斜視図である。図1に示した如く、シート止用条材は、金属製の平帯状板材の両側縁部をそれぞれ内側へ立ち上がるように屈曲させることによって、略平坦な底壁部2の両側に軸対象の側壁部3,3を設けて構成してあり、底壁部2及び両側壁部3,3で囲まれる溝部4内にシート(図示せず)の一部を挿入した後、当該シートの上から後述する如く、面内交互台形波形状のスプリングを嵌入させて、当該シートを係止するようにしてある。
【0032】
この底壁部2の幅方向の略中央軸上には一条の凹部21が設けてあり、底壁部2を貫通させる固定用螺子の底壁部2の幅方向の位置を決めるべく、当該固定用螺子の先端を前記凹部21内に嵌入させるようにしてある。
【0033】
また、前述した両側壁部3,3は、底壁部2側の基部31,31と、前記溝部4の開口5に臨む縁部33,33と、該縁部33,33と前記基部31,31との間を結ぶ中間部32,32とで構成してある。この基部31,31と底壁部2とがなす角の角度はそれぞれ、45°程度にしてあり、両基部31,31の角部はそれぞれ、円弧状に成形してある。
【0034】
この基部31,31から延設した中間部32,32は、前記底壁部2に対する鉛直軸より所要角度だけ少し内側へ傾斜した姿勢にしてある。
【0035】
図2は、図1に示したシート止用条材の正面図であり、この図2を用いて中間部32の傾斜姿勢の決定方法を説明する。なお、図中、図1に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してある。
【0036】
すなわち、シート止用条材の正面と平行をなす面内で、一方の側壁部3と底壁部2との角部の中央T1と、他方の側壁部3の基部31と中間部32との境界T2とを通る第1線分L1を定め、この第1線分L1上の前記境界T2の位置で第1線分L1と直交する第2線分L2を定める。そして、他方の側壁部3の中間部32は、前記第2線分L2より溝部4の内側へ傾斜させてある。
【0037】
これによって、当該中間部32の深さ方向の何れの位置にあっても、当該位置及び前記角部の中央T1を結ぶ線分と当該中間部32とがなす底壁部2側の角Bの角度は、その補角である角Aの角度より大きい。
【0038】
なお、一方の側壁部3の中間部32の傾斜姿勢も前同様に定めてある。
【0039】
このようなシート止用条材にあっては、後述するように溝部4に挿入したシートを固定するスプリングを両基部31,31の間に嵌入させることができると共に、両基部31,31より立ち上げた姿勢で設けた両中間部32,32の間にも他のスプリングを嵌入させることができる一方、両中間部32,32の間の寸法は開口5に向かうに従って狭くなっており、両中間部32,32の間に嵌入させたスプリングが溝部から抜出することが防止される。従って、伸性が大きいシートを用いて所謂多重張りを実施することができる。
【0040】
一方、多重張りにおける最下層のシートを溝部4に係止させる場合、又は溝部4に伸性が大きい1枚のシートを係止させる場合、スプリングを両基部31,31の角部の間に嵌入させるが、前述した如く中間部32は、角Bの角度が角Aの角度より大きいため、角部に一側を嵌入させ、他側を中間部32に当接させるように溝部4内に挿入させたスプリングの他側は、比較的小さな押力によって降下し、これによって、シートを疵付けることなく、スプリングの他側を基部31の角部へ嵌入させることができる。
【0041】
ところで、後述するように伸性が小さいシートを係止させる場合、両中間部32,32の間にスプリングを嵌入させて当該シートを止めることができる。このとき、前述したように両中間部32,32の間の寸法は開口5に向かうに従って狭くなっているため、両中間部32,32の間に嵌入させたスプリングが溝部4から抜出することが防止される。
【0042】
この中間部32,32と底壁部2とがなす角は、好ましくは略65°以上略74°以下にしてあり、更に好ましくは略70°にしてある。略65°未満にした場合は、多重張りを実施する場合、中間部32,32が傾倒した姿勢になるため両中間部32,32間にスプリングを嵌入させる作業が困難であり、略74°を超えるようにした場合は、両中間部32,32によって所要のスプリング抜出防止効果を得ることができない。一方、中間部32,32と底壁部2とがなす角を略70°にした場合、所要のスプリング抜出防止効果を得つつ、多重張りの際、中間部32,32間にスプリングを嵌入させる作業を容易に行なうことができる。また、開口5の寸法を従来のシート止用条材の開口の寸法と同じにすることができ、スプリング等のシート止用条材に適用させる従来の部品をそのまま適用させることができる。
【0043】
一方、図1に示した如く、両側壁部3,3の縁部33,33は、底壁部2の鉛直軸より溝部4の内側へ傾斜させた姿勢であって、前記鉛直軸と直交する軸より立ち上げた姿勢にしてある。すなわち、両縁部33,33と底壁部2とがなす角の角度が、好ましくは略10°以上略30°以下にしてあり、更に好ましくは、略25°にしてある。
【0044】
これによって、後述する如く溝部4の縁にスプリングを嵌入させた場合であっても、当該スプリングが縁部33,33に当接して、当該スプリングが溝部4から抜出することが防止される。一方、溝部4内へスプリングを嵌入させる場合、両縁部33,33が障害にならず、当該嵌入作業を円滑に実施することができる。
【0045】
縁部33,33と底壁部2とがなす角の角度が略10°未満の場合、溝部4からのスプリング抜出防止効果が低下し、縁部33,33と底壁部2とがなす角の角度が略30°を越える場合、溝部4へスプリングを嵌入させる作業において、両縁部33,33が障害になり易い。一方、縁部33,33と底壁部2とがなす角の角度が略25°の場合、かかる両効果がバランス良く奏される。
【0046】
なお、図1に示したシート止用条材は圧延成形によって形成してあるが、本発明はこれに限らず、押出し成形によって形成してもよいことはいうまでもない。
【0047】
図3は、図1に示したシート止用条材に伸性が小さいシートを係止させた状態を示す正面図であり、図中、1はシート止用条材、S1は伸性が小さいシート、Pはスプリングである。なお、図中、図1に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0048】
図3に示した如く、シート止用条材1の開口5を覆ったシートS1の上方から面内交互台形波形状のスプリングPを当該シートS1の一部と共に溝部4内に、スプリングPの両側縁がシート止用条材1の両側壁部3,3に設けた縁部33,33の内面に当接するように嵌入させて、シートS1の一部がシート止用条材1の溝部4に係止してある。このように伸性が小さいシートS1であっても、溝部4の縁にスプリングPを嵌入することによって、当該シートS1をシート止用条材1に係止させることができる。
【0049】
このとき、両縁部33,33は、前述したように、両縁部33,33と底壁部2とがなす角の角度が、好ましくは略21°以上略29°以下にしてあり、更に好ましくは、略25°にしてあるため、溝部4へスプリングを嵌入させる作業中、両縁部33,33が障害になり難い一方、溝部4の縁にスプリングPを嵌入させた場合であっても、当該スプリングPが縁部33,33に当接して、当該スプリングPが溝部4から抜出することが防止される。
【0050】
図4は、図1に示したシート止用条材に伸性が大きいシートを係止させた状態を示す正面図であり、図中、1はシート止用条材、S2は伸性が大きいシート、Pはスプリングである。なお、図中、図1に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0051】
図4に示した如く、シート止用条材1の溝部4に伸性が大きいシートS2を係止させる場合、溝部4の底部までスプリングPを嵌入させる。この場合、スプリングPを溝部4内に、当該スプリングPの一側を溝部4の一方の角部に嵌入させ、スプリングPの他側を溝部4の他方の側壁部3の中間部32に当接させるように挿入させた後、このスプリングPの他側を溝部4の他方の角部に嵌入させる。このとき、図2に示した如く側壁部3の中間部32は、角Bの角度が角Aの角度より大きいため、スプリングPの他側は、比較的小さな押力によって降下し、これによって、シートS2を疵付けることなく、スプリングPの他側を他方の角部へ嵌入させることができる。
【0052】
一方、このスプリングPに加えて、両側壁部3,3の中間部32,32の間にも他のスプリングを嵌入させることができる。このとき、両中間部32,32の間の寸法は開口5に向かうに従って狭くなっており、両中間部32,32の間に嵌入させた他のスプリングが溝部4から抜出することが防止される。従って、所謂多重張りを実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 シート止用条材
2 底壁部
3 側壁部
31 基部
32 中間部
33 縁部
4 溝部
5 開口
L1 線分
L2 線分
A 角
B 角
T1 中央
T2 境界
S シート
P スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の底壁部の両側にそれぞれ側壁部を立設してなる溝部を備え、両側壁部はそれぞれ、前記底壁部に連接し、溝部の外側へ凸状に曲成した角部を設けてなる基部と、前記溝部の開口に臨ませた縁部と、この縁部と基部との間に当該基部より立ち上げた姿勢で設けた中間部とを具備し、前記開口から溝部内にシートの一部を挿入させて当該シートを止めるシート止用条材において、
前記中間部は、当該中間部と基部との境界と、当該中間部に対向する基部の角部とを結ぶ線分に直交する姿勢より溝部の内側へ傾斜させた姿勢にしてあることを特徴とするシート止用条材。
【請求項2】
前記中間部と底壁部とのなす角は略65°以上74°以下の適宜角度にしてある請求項1記載のシート止用条材。
【請求項3】
前記縁部は、溝部の内側へ傾斜した姿勢であって、前記底壁部と平行をなす姿勢より立ち上げた姿勢にしてある請求項1又は2記載のシート止用条材。
【請求項4】
前記縁部と底壁部とのなす角は略10°以上30°以下の適宜角度にしてある請求項1から3のいずれかに記載のシート止用条材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−131032(P2010−131032A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57234(P2010−57234)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【分割の表示】特願2005−85819(P2005−85819)の分割
【原出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(597088591)佐藤産業株式会社 (30)
【出願人】(503423317)
【Fターム(参考)】