説明

シート物受入装置

シート物の面から、参照フレーム(F2)との位置関係の範囲内に存在する標本採取フレーム(F1)の中に構成されている空間的データ標本列に対応するデータを得るためのセンサー(19)と、参照フレームと感知されたデータについての標本採取フレームとの関係を決定するためにそのデータを処理するように作動することができるとともに、参照フレームの中におけるデータに対応させるように、標本採取フレームからの感知ずみデータの所定領域(52,53,54)を変換し、かつ、変換されたデータと、上記参照フレームの中におけるシート物についての受入可能性基準を規定する、参照フレームの中における上記所定領域と上記比較の結果に応じたシート物とに対応する参照データとの比較を行うように作動することができる処理装置(22)とを備えてなる、銀行券のようなシート物のための受入装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、銀行券のようなシート物のための受入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行券受入装置は、自動販売機および賭博機に使用するためによく知られている。代表的な銀行券受入装置では、銀行券は、引入用長穴を通して挿入されるとともに、銀行券における1つ以上の面の特性を感知する横方向延出状のセンサー列を通る通路に沿って送られる。銀行券がそのセンサー列を通るときに銀行券の面から一連の連続状データ標本を検出するために、列状に配置された光学センサーを使用することは知られている。感知用装置は、銀行券を通して光をセンサー列へ透過させるために光学系光源が配置される透過モードにおいて作動することができる。代わりに、光源からの光は、銀行券の面から光学センサーへ反射することができる。
【0003】
センサーから得られたデータは、ディジタル化されて、受け入れ可能な銀行券に対応する参照データと比較される。この検出は、2つ以上の波長帯域において実行されてもよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
センサー列からのデータを参照データと比較するために、銀行券は所定の通路に沿って検出器列を通過する必要がある。過去においては、その通路に沿って延びるガイドレールが設けられていたので、検査中の連続状銀行券におけるそれぞれの側縁は、ガイドレールに当接しながら、通路に沿って移動した。このようにして、記憶装置の中に保存された受け入れ可能な銀行券についてのデータと比較することのできる一貫性のあるデータを、銀行券ごとに引き出すことができる。相異なる寸法の銀行券どうしを比較するために、過去においては、相異なる幅のある段付き入口通路を使用して、相異なる幅の銀行券を検出器列を通る通路に整合させる、という提案が行われた。しかしながら、このことは、しわの寄った銀行券あるいは傷んだ銀行券では充分に機能しない。また、相異なる幅の銀行券をガイドレールにあるいは通路の中央に押し付けるために、通路を横切って移動する、機械的に駆動されるガイドプレートが提案された。銀行券を整合させるためのこれらの機械的装置は、機構的に複雑であり、そのため、銀行券受入装置のコストがかなり増える。また、それらは、信頼性のないものであるうえ、銀行券を所望の通路に沿って正確に案内することができない。
【0005】
銀行券を走査するために、また、走査されたすべてのデータを計数目的で変換するために、米国特許出願第5680472号に記載されたような提案が行われたが、そのプロセスは、大量のデータを含んでいるため、計算が遅いものである。
【0006】
この発明は、これらの問題および不都合の克服を追求するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によれば、シート物の面から、参照フレームとの位置関係の範囲内に存在する標本採取フレームの中に構成されている空間的データ標本列に対応するデータを得るためのセンサーと、参照フレームと感知されたデータについての標本採取フレームとの関係を決定するためにそのデータを処理するように作動することができるとともに、参照フレームの中におけるデータに対応させるように、標本採取フレームからの感知ずみデータの所定領域を変換し、かつ、変換されたデータと、上記参照フレームの中におけるシート物についての受入可能性基準を規定する参照フレームの中における上記所定領域に対応する参照データとの比較を行うように作動することができる処理手段と、上記比較の結果に応じてシート物を受け入れるための受入手段とを備えてなるシート物受入装置が提供される。
【0008】
この発明による受入装置は、銀行券のようなシート物が、上記センサーによって感知されたときにガイドレールに沿って方位付けられる必要がない、という利点を有している。その結果、銀行券は、上記位置関係の範囲内でこの受入装置へ入ることができる。
【0009】
この発明はまた、処理装置と、既知の金種の参照シート物の面から上記空間的データ標本列を受けるとともにその可視的表示をもたらすように構成された表示装置と、ユーザーが上記データ標本列の中における少なくとも1つの選択箇所を画定することのできるユーザーインターフェイスとを備え、上記処理装置は、上記選択箇所に対応するデータと上記箇所からの標本に対応するデータとシート物の金種に対応するデータとからなる、この受入装置の中に保存するためのデータ組をもたらすように作動することができる、上記受入装置を選択的にプログラムする装置も含んでいる。
【0010】
この発明をいっそう充分に理解するために、その実施態様が、添付図面を参照しながら例示としてこれから説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図面に示されたこの発明の実施例は銀行券を受け入れるためのものであり、この明細書で使用されたように、用語「銀行券」は、お金として使用するために要求に応じて持参人へ支払うことができる、とりわけ中央銀行あるいは他の政府機関からの約束手形を意味するとともに、「紙幣」としても、米国では「通貨」あるいは「為替手形」としても知られているものを意味する。
【0012】
図1および図2によれば、この発明による銀行券受入装置が、銀行券1よりも幅の広い引入口2から銀行券1を受け入れ、銀行券は、点状輪郭線で示された通路3に沿って感知用ステーションSを経て排出口4まで進む。
【0013】
排出口4には、受け入れ可能な銀行券を、矢印6で示された受入通路に沿って導くために、あるいは受け入れることのできない銀行券を、点状輪郭線で示された位置へ反転させて、点状輪郭線で示された拒絶通路7に沿って導くために、ソレノイド作動式ゲート5が配置されている。この代わりに、受け入れることのできない銀行券は、以下でさらに詳しく説明されるように、それを反転させて引入口2から戻すことによって拒絶することができる。
【0014】
図2に示されたように、銀行券のための通路3は、本体8と、間隔を置いて配置されたパネル10によって覆われたプラテン9との間に、画定されている。図1に示されたように、プラテン9は、通路3の側縁を画定する直立状領域11,12で形成されている。銀行券1は、電動モータ(図示略)で駆動されるローラ13およびベルト・プーリ装置14により、通路3に沿って送られる。銀行券は、以下で明らかになるように、縁部領域11,12で案内する必要はない。
【0015】
感知用ステーションSには、通路3の全幅にわたって延び、通路3の下側における本体8の中に取り付けられた、光学的放射線を放出するための光学系光源15が備わっている。光源15の一例は、異なった色付きの光学的放射線を放出するために近接状に一箇所に集められた列の中に配置された表面実装型LEDの列である。この代わりに、発光用ポリマーシートあるいは他の光源を使用することができる。ミラー17と扇状レンズ18とが備わった導光装置16によって、銀行券を通過する光が、この例ではCMOSチップからなる半導体光センサー19へ導かれる。その列の個々の画素はチップ19の上に間隔を置いて近接状に配置されているとともに、扇状レンズ18によって、それぞれの画素は、図1における破線20によって図示されたように、通路3を横断してA−A’ 線に沿って間隔を置いて配置されたそれぞれの標本採取箇所に応答することが保証される。
【0016】
本体8の中には、この装置の動作を制御するための処理回路装置21を取り付けることができる。処理回路装置21は、図3においてブロック図の形態に示されているとともに、チップ19の中における画素化光センサーからディジタル標本を受けるマイクロコントローラ22を備えている。これらのデータ標本は、記憶装置23に保存された受け入れ可能な銀行券についての対応標本と比較される。ゲート5は、図2に示されたように、受け入れ可能な銀行券が通路6に沿って進むことができるとともに、受け入れることのできない銀行券が通路7に沿って進むことができるように、駆動回路24によって駆動される。
【0017】
マイクロコントローラ22は、光源15を作動させるために駆動回路25の動作も制御する。マイクロコントローラ22は、銀行券1を図1および図2に示された通路3に沿って送るために、ローラ13およびプーリ装置14を作動させる駆動回路26をさらに制御する。駆動装置26は、銀行券の引入口2の中への挿入を検出する、図示されていないセンサーに応答して、マイクロコントローラ22の制御の下で作動されてもよい。また、銀行券を拒絶通路7において拒絶する代わりに、ローラ13およびプーリ装置14の駆動方向を反転させるために駆動装置26に指示を行うマイクロコントローラ22によって、受け入れることのできない銀行券を拒絶することができる。
【0018】
図4によれば、センサー19の列によって得られた画素化データ標本は、通路3の方向に対して直角に配置されたA−A’線に沿う標本採取箇所S1〜SNから得られたものである。図4に示されたように、通路3の幅よりも狭い幅の銀行券1は、通路3の側縁11,12に匹敵するある角度および間隔の範囲内で標本採取領域S1〜SNを反転することができる。銀行券1には、進路3の側縁11からある距離aだけ間隔が置かれるとともにA−A’線に対してある角度θ(T)で配置された前縁27がある。しかしながら、銀行券は、ある範囲の角度および位置で引入口2を通して装置へ入ることができる。銀行券1に関する他の2つの可能な構成は、銀行券1’および銀行券1’’として、点状輪郭線における例によって図示されている。銀行券1’は、側縁11からある間隔a’を置いて、ある角度θ’(T’)で配置されている。同様に、銀行券1’’は、側縁11からある間隔a’’を置いて、ある角度θ’’(T’’)で配置されている。このようにして、銀行券がA−A’線を横断すると、データ標本は、検査中の銀行券の角度θおよび間隔aに左右されるが、相異なる標本採取領域S1〜SNの1つで作成される。
【0019】
このため、その側縁28,29と後縁30との構成に左右されるが、列のセンサーのすべてが銀行券1からデータを検出するとは限らない。
【0020】
銀行券が標本採取領域S1〜SNを横断すると、データの標本の連続列は、作成され、センサー列19においてディジタル化され、図3に示されたマイクロコントローラ22へ送られる。このようにして、銀行券1に関して第1列の標本が得られ、全部の銀行券がA−A’を通過するまで第2列R2をたどり、それによって、銀行券のついてのある空間のデータ標本列が作り出される。
【0021】
銀行券1がセンサー列A−A1’へある角度θで到達すると、第1列のデータ標本には、データ標本の不完全な線が含まれており、この例では、標本採取位置Sp,Sp+1,Sp+2からの標本だけが作成される。同様に、列R2については、不完全な列が作り出されている。このことは、図5にいっそう詳しく示されており、図5では銀行券1の跡が破線で示されているとともに、対応する画素化標本列31も示されている。従って、2次元標本列31のデータ標本は、銀行券が図4に示された標本採取位置S1−SNの列へ到達すると、銀行券についての角度θおよび間隔aによって銀行券ごとに変化することがある銀行券標本フレームF1において付与される、ということはわかるであろう。しかしながら、記憶装置23に保持された受け入れ可能な銀行券についてのデータは、銀行券がそのセンサー列に到達するベクトルrおよび角度θと側壁11,12どうしの進路3の中におけるその位置とによって、フレームF1に関連がある参照フレームF2の中に保持されている。
【0022】
銀行券を受け入れるかあるいは拒絶するためにマイクロプロセッサーによって実行された一般的なプロセスは、図6のフローチャートに示されている。ステップS1では、画素化データの連続列Rは、先に説明したように銀行券標本フレームF1の中に捕捉されるとともに、マイクロコントローラ22の作動用記憶装置の中に保存される。
【0023】
次いで、銀行券標本フレームF1からのデータは、ステップS2において、参照フレームF2の中へ変換されるかあるいは斜行される。ステップS3では、変換されあるいは斜行修正されたデータは、記憶装置23の中に保存されて受け入れ可能な銀行券に対応する参照データと、マイクロコントローラ22によって比較される。ステップS4では、検査中の銀行券は、マイクロコントローラ22の制御の下で、受け入れられるかあるいは拒絶されるが、マイクロコントローラ22は、銀行券を受入通路6か拒絶通路7かのいずれかへ作動ゲート5によって導くために、ゲート駆動装置24を作動させる。これの代わりに、受け入れ可能な銀行券を前方へ送るか、あるいは拒絶された銀行券を反転させて引入口2から戻すために、ローラ13の駆動方向を制御することができる。
【0024】
データ変換ステップS2が、これからいっそう詳しく説明される。再び図5によれば、銀行券標本採取フレームF1の中における標本データの2次元画素化標本列31は、参照フレームF2の中における対応列31に変換される。後にいっそう詳しく説明されるように、データのすべてを変換することは必ずしも必要でない。しかしながら、説明を簡単にするために、この例ではそのようなデータがすべて変換されるということを初めに想定しておくことにする。図5に示されたように、銀行券標本採取フレームには、標本採取された銀行券の長さおよび幅に対して整合され、標本採取された銀行券の隅部に原点O1があるそれぞれの主軸が備わっている。標本採取フレームF1の中におけるこの位置の位置決めは、その標本採取フレームの中におけるデータ標本位置のいずれが原点O1に対応するかを決定することによって、行われる。このことは、標本のいずれが縁部標本に対応するかを決定することによって、行うことができる。先に、後に、また列の横側において生成される列からの標本には、完全透過に対応している値、すなわち銀行券自体を通る光の透過に比べて比較的高い値が備わっていて、それによって、縁部不連続性の表示がもたらされる、ということわかるであろう。このようにして、制御装置22は、ベクトルrに対応する、参照フレームF2の中における位置O2に対する位置O1を決定することができる。このことは、図7におけるステップS2.1で表示されている。
【0025】
ステップS2.2では、図5に示された列31の縁部不連続性を解析することによって、角度θが決定される。長さmは幅nに比べると角度θに依存していることと、mとnとの関係は画素の数の観点から決定することができ、それによって、標本採取フレームF1と参照フレームF2との間の角度θについての表示が付与されることとは、わかるであろう。
【0026】
次いで、ステップS2.3では、標本採取フレームの中における列31の個々のデータ標本が、ステップS2.1およびステップS2.2で決定されたrおよびθの値を利用するマッピング機能によって、参照列32の中における対応標本の中へ変換される。
【0027】
再び図5によれば、マイクロプロセッサー記憶装置23には、参照フレームの中における受け入れ可能な銀行券に対応するデータが含まれている。実際に、受け入れ可能な銀行券の所定部分だけに対応するデータは、記憶装置23の中に保持されたデータの量を減少させるために、保存することができる。1つの例は、参照フレームF2の中における銀行券の長さに沿うデータのストライプ33に対応している。ストライプ33に対応するデータの柱状グラフが図8に示されている。データ34は、検査中の銀行券についての、図5に示されたストライプ33に沿った、受け入れ可能な銀行券についての参照データ標本に対応しており、データ35は、参照フレームの中へ変換された標本データに対応している。データ34とデータ35との比較は、それぞれの連続状標本とその参照値との差の平方を合計するとともに、その合計が所定の閾値を超えるかどうかを決定することによって、実施することができる。データを比較する他の方法は、当業者にとって明らかであろう。この比較に基づいて、銀行券は、受け入れられるかあるいは拒絶される(ステップS4)。
【0028】
説明された装置に対する多くの改造および変更が可能である。例えば、図5を参照すると、標本採取フレームF1の中におけるデータは、必ずしもそのすべてを参照フレームの中へ変換する必要のない、この例では、ストライプ33に対応するデータだけを変換する必要がある。さらにまた、この発明は、特定の1つのストライプ33に限定されることがなく、また、変換ずみデータの相異なる区域は参照データに対して検査を受けてもよい。例えば、変換ずみデータの一部分における対角線状のストライプあるいは長方形の区域は、参照データと比較することができる。また、変換ずみデータの所定領域は、参照データとの比較から除外することができる。さらにまた、データを標本採取フレームから参照フレームへ変換する代わりの方法は、当業者にとって明らかであろう。例えば、全データ列31が列32に最もよく一致するまでその全データ列31を回転させるために、「ベストマッチ」プロセスを繰り返し実行することができる。
【0029】
代わりのセンサー装置がこの発明の範囲内にある。例えば、図1に対応する図9によれば、センサー装置には、銀行券通路3の幅をまとめて横断する3つの半導体センサー列が備わっている。2つの列36,37はA−A’線に沿って配置されており、これに対してセンサー38はA−A’線の側方に配置されている。このことには、プーリ装置14をセンサー36,37とセンサー38との間に配置することができ、それによって、データを通路3の全幅から得ることが保証される、という利点がある。
【0030】
図9の装置は、図10において断面で示されている。センサー列36〜38のそれぞれには、個々の光源15が設けられている。
【0031】
図11には、図10に示されたものに類似した代わりの装置が示されている。個々の半導体チップ39,40,41は、通路3の上方にある部材10の上に配置されており、そのそれぞれには、発光体と、銀行券1から反射された光を検出するための対応検出器との双方が含まれている。
【0032】
先の例では、参照フレームF2への標本採取フレームF1のマッピングは、2つのフレームの中におけるデータ列の隅部で設定されるフレームについての原点O1,O2で実行される。後に明らかになるように、このことは、銀行券が傷んでいて、O1に対応する隅部がないときであっても、行うことができる。また、これらのフレームについての原点は、互いに対応する列における他の箇所に、例えばそれらの中心に、配置することができる。
【0033】
図12および図13には、この発明による銀行券受入装置の別の実施形態が示されている。図12および図13の視点は、図1および図2の視点にほぼ類似しており、また、類似した構成要素は同じ参照符号で標記されている。図12および図13では、銀行券1は、矢印3の方向に、感知用ステーションSを通って右から左へ走行する。
【0034】
図13にはっきりと示されたように、検査中の銀行券は、それぞれの側面についてのその反射特性とその透過特性とを検査するために、相異なる3つの方法で図示することができる。銀行券の上面からの反射を検査するために、光源15−1は、プラテン9を横断状に越えて広がり、また、プラテン9の全幅を越える薄いビームで光学的放射線を下方へ導く。光学的放射線は、銀行券1によって平面状ミラー17−1へ向けて反射され、反射された放射線は、このミラーによってセンサー19−1へ向けて反射される。センサー19−1は、この例では、120画素のCCDセンサーの列が備わったTAOS装置からなっている。使用に際しては、製造中に生じる整列の変動を受け入れるために、画素の列の一部だけが使用され、例えば、銀行券を検出するときの信号処理のために、120画素の連続状行程102だけを使用することができる。光源15−1は、図1および図2を参照して説明されたように、半透明の拡散用シートによって覆われた、LEDの列が含まれているライトボックスからなっている。
【0035】
収束レンズ42−1と関連絞り43−1とが備わっているテレセントリックレンズ装置によって、ミラー17−1からの光は、センサー19−1の上へ導かれる。このテレセントリックレンズ装置は、図1に示された扇状レンズ18の代わりに使用され、また、感知用ステーションSの領域の中におけるレンズ42−1からの銀行券1の距離におけるどのような変化にもかかわらず、一定寸法の像がもたらされるという利点を有している。結像特性は、銀行券までの距離における変動とともに、わずかに変化するであろうが、像の大きさは変化しないであろう。絞り43−1のために小さい開口を使用すると、被写界深度が増大し、その結果、合焦誤差が重大ではないようになる。このレンズ系の利点は、結像系に対する銀行券の移動にもかかわらず、また装置の組み立てにおける組立誤差にもかかわらず、像の大きさがCCDセンサー列19−1における同数の画素を常にカバーするであろう、ということである。このことによって、銀行券が感知用ステーションSを通過する間に上方あるいは下方へ移動しても、走査における実際的な誤差はない、ということが保証される。さらにまた、平滑な紙幣に比べてしわの寄った紙幣に起因する位置の変化、あるいは受入装置ごとの位置の変化も、最小限にされる。その結果、受入装置は、装置の較正についての要件を減少させる、その光学系における広い許容誤差で構成することができる。ライトボックス15−1の高い光度によって、有効機能限界を超える露出時間を増大させることなく、絞り43−1のための小さい開口の使用が可能になる。
【0036】
銀行券の透過特性を検査するために、第2光源15−2が、プラテン9の幅を越えて広がっており、光学的放射線を透明窓44からミラー17−2へ向けて下方へ導くが、このミラー17−2で、その放射線は、テレセントリックレンズ42−2と関連絞り43−2とを通して第2のCCDセンサー列19−2へ反射される。
【0037】
銀行券の下側側面の反射特性は、光学的放射線を窓44の領域の中へ導く第3光源15−3を使用して検査されるが、この放射線は、銀行券によってミラー17−2へ向けて反射され、次いで、ミラー17−2とテレセントリックレンズ装置42−2,42−3とを介してセンサー19−2へ導かれる。
【0038】
このようにして銀行券は、両側面におけるその光学的反射特性に関して、またその透過特性に関して、解析することができる。適切なデータは、標本採取データを処理回路装置21へもたらすように、光源15−1,2,3の選択的使用によって集めることができる。銀行券は、受け入れ可能な銀行券を受入通路6に沿って導くとともに拒絶された銀行券を拒絶通路7に沿って導くためにゲート5を使用する、図1および図2を参照して説明された方法で、受け入れられるかあるいは拒絶される。代わりに、ベルト14は、銀行券1が感知用ステーションSを通して引入口2から完全に送り込まれた後に、それを引入口2から拒絶するために、逆向きに駆動することができる。
【0039】
初めに銀行券1が引入口2の中へ挿入されると、駆動ベルト14は、感知用ステーションSを通してその銀行券を徐々に移動させるので、図1および図2を参照して先に説明された方法で、銀行券の全表面領域を覆うセンサー42によって連続状の画素データ列が作成される。この例では、光源15−2あるいは15−3からの光学的放射線に応じてセンサー19−2で得られたデータへ等しく良好に適用されることが保証されるが、画素化データの列は、光源15−1および関連のCCD検出器19−1の使用から得られる、ということが想定されている。
【0040】
銀行券標本採取フレームF1から参照フレームF2への画素化データの斜行修正は、図14および図15を参照して、これから説明される。
【0041】
図14には、図3に示されたマイクロコントローラ22による斜行修正アルゴリズムランによって実行された処理ステップが示されている。銀行券が図13に示された感知用ステーションSを完全に通過すると、2次元の画素化データ列が作り出されて、図3に示された記憶装置23の中に保存される、ということはわかるであろう。2次元の画素化データ列の捕捉は、図14におけるステップS14.1で示されている。図15Aには、結果として生じた画素化データ列が模式的に示されている。この列は参照フレームF2の中で作り出される。画素化データによって画定されたような銀行券1の輪郭もまた示されており、それは銀行券標本採取フレームF1を画定している。銀行券標本採取フレームF1は、先に説明されたように参照フレームF2に対して斜行されるが、その理由は、プラテン9が銀行券1よりも幅が広いために、銀行券はある角度範囲の内部に入ることができるからである。参照フレームF2には、縦座標y2と横座標x2とがある。銀行券1の周辺が示されており、これには、長手寸法lと横幅寸法wとがある。銀行券の縁部は、参照フレームF2の縦座標y1と横座標x1とを画定している。
【0042】
銀行券1によって反射された光源15−1からの光学的放射線は一般に所定の閾値を超えるが、これに対して、銀行券を取り囲むプラテン9の領域からの光学的放射線は、それほど著しく反射されることがなく、それゆえ、CCDセンサー列19−1でより低い信号値を作成し、その結果、銀行券の縁部は、銀行券の縁部に対応する画素化データの値の中におけるステップ遷移を捜し出すことによって決定することができる。
【0043】
斜行修正アルゴリズムは、銀行券標本採取フレームF1を画定し、次いで銀行券からの選択データを保存データとの比較のために参照フレームF2の中へ変換し、それによって、銀行券の真正性を決定することができるようにするために、銀行券の縁部を認識するように構成されている。
【0044】
ステップ14.1での銀行券の走査によって大量のデータが作成され、また、斜行修正アルゴリズムは、データの有効な迅速処理を可能にし、それによって、銀行券の確実な認証を迅速に実施することができるように構成されている。
【0045】
ステップ14.2では、銀行券1の近似中心Mが位置決めされる。このことは、ステップ14.1で得られた画素化データを、列の水平中心線および鉛直中心線に沿って、図15Aに示されたp−p’線およびq−q’線に沿って解析することにより、実施される。これらの中心線に沿って存在している画素化データは、プラテン9の残り部分と比べて銀行券1に関連した反射特性の変化のために、銀行券1の縁部で値の急峻な遷移を受ける。位置p,p’,q,q’での銀行券縁部に関連した遷移は、このようにして位置決めされる。次いで、pとp’との中点pmは、qとq’との中点qmとともに算定される。これは、参照フレームF2の中における位置Mの座標に対応しており、ここでM=(pm,qm)である。
【0046】
この点Mは、銀行券1の中点の近似点である。中点Mは、銀行券1の中心で正確に位置決めされる必要はない。その目的は、これからいっそう詳しく説明されるように、銀行券1の周辺の周りに縁点を画定するために、一連の走査線を画素化データの中で解析することができることから、銀行券の周辺の内側に原点を設けることである。
【0047】
図15Bには、放射状に延びている走査線RL1,RL2,RL3の日輪としての走査線が示されており、これらは、画素化データの列を通って銀行券の中点Mから延びている。走査線RLは等しい角度間隔で配されているが、計算を簡素化するために、それらは、画素化データ列の周辺の周りに、所定の座標位置へ、例えば位置SB1,SB2などへ、延びていてもよい。画素化データがこれらの走査線のそれぞれに沿って走査されると、銀行券1の縁部に対応する箇所で、値の急峻な遷移が起き、それによって、縁点の検出が可能になる。走査は、走査線RLに沿ったいずれかの方向に実行することができる。
【0048】
図15Bに示されたように、縁点e1が走査線RL1に沿って位置決めされ、縁点e2が走査線RL2に沿って検出され、縁点e3が走査線RL3に沿って検出され、以下、同様にされる。この銀行券には点e3の領域に傷んだ縁があり、そのため、縁点e3は破線45によって示された銀行券の真正な直線縁の上に存在しない、ということに留意すべきである。同様に、この銀行券は1つの隅部において傷んでおり、そのため、縁点e4は銀行券の真正な周辺縁部の上に存在しない、ということに留意すべきである。
【0049】
走査線RLの日輪型構成を利用する利点は、処理すべきデータの量が、参照フレームF2の中における長方形画素化列の中のすべてのデータを解析するときに比べて減少することである。すべての画素化データが銀行券縁部遷移のために走査されるときには、処理時間の大部分は、有用なデータがまったく発見されることがなく、時間の浪費である、銀行券を取り囲んでいるプラテン9の領域の走査に費やされるであろうし、また、その処理を好ましくなく遅らせるであろう。さらに、走査線RLは、銀行券1の周辺縁部を、参照フレームF2の中のCCDセンサー列19−1により作成された画素化データの列xよりも斜めの度合いが小さい状態で横断するが、これによって、銀行券のより短い横断縁に沿った検出縁点eの位置精度が改善される。
【0050】
走査線RLの数は、マイクロコントローラ22の処理能力に応じて選択され、また、その処理能力によって概算することができる。
【0051】
このようにして、一連の点e1−enが認識されるが、これらのそれぞれは、銀行券1の縁位置の参照フレームF2の中における座標に対応している。その後、縁点eのそれぞれに関連した傾きが、例えばそれぞれの縁点eとその次の隣接点との間の傾斜を考慮することによって、決定される。縁点eのそれぞれに関連した傾きは、2つの母集団の1つに納まる。第1母集団の縁点は、銀行券1の長手側縁lに沿った縁点に関連した比較的低い傾きを有している。第2母集団の縁点は、銀行券1の横断側縁wに沿った縁点に関連した比較的高い傾きを有している。プラテン9に対する銀行券1の進入角は銀行券ごとに限定量、例えば15度変化するだけであるので、母集団についての傾きの実効値が進入角によって変化しても、母集団分布の関係は常に真正である。
【0052】
第1母集団の点に関連した傾きのモード値あるいは他の平均は、その後、ステップS14.4で算定される。このモード値は、参照フレームF2の中における銀行券1の長手側縁の傾斜の概算値である。次いで、プロセッサー23が、図15Cにおけるパッチ線46によって図示された傾斜に対応する任意の線をシミュレートする。その後、線46から点e10までの距離ynが、第1母集団の内部の点について算定される。ynの最大値を有している点が、銀行券の縁部の最良概算値として選択され、これらの点は、図15Cでは円で囲まれている。このようにして、傷んだ縁、例えば領域45に存在する点を拒絶することができる。次いで、ステップS14.6で、y=mx+cの形態の直線を長手側着目縁点の最良概算値へ適合させることができる。長手縁についてのy=mx+cの形態にある最良適合線が参照フレームF2の中で画定されることはわかるであろう。
【0053】
その後、このプロセスは、ステップS14.7〜S14.9で、銀行券1の横断縁wに関連する縁点の第2母集団に関して、繰り返される。最良の適合横断縁点が、図15Dに示されたように、ステップS14.8で、斜め線47によって表示された概算傾斜度から最大距離xmの縁点を選択することによって、作り出される。
【0054】
次に、図15Eに示されたように、ステップS14.10で、銀行券1の4つの側縁を描く最良一致線の交差する点を算定することによって、銀行券の隅部が評価される。そして、4つの隅部における点の座標が参照フレームF2において算定される。銀行券1の右上隅部に示されたように、傷んだ隅部の効果は、銀行券1に関する位置データを混同させたり、格下げしたりすることがない。
【0055】
このようにして、銀行券1の位置は、参照フレームF2の中でこれから画定される。ステップS14.11で、銀行券の中の選択箇所についての画素化データは、その参照フレームの中へ変換される。例えば、図15Fに示されたように、銀行券の上縁から25%下がっていて、その長さの80%の箇所を調べることが望まれるときには、この箇所は、参照フレームF2の中における標本採取された銀行券の隅部および側縁についての知見から、参照フレームF2において算定することができる。その後、銀行券における選択箇所の中の画素は、ステップS14.12で、マイクロコントローラ22によって図3の記憶装置23の内部に保存された対応参照データと比較することができる。この銀行券は次いで、ステップS14.13で実施された比較に基づいて、受け入れられあるいは拒絶される。
【0056】
変換、比較および受け入れのステップS14.11〜S14.13は、図16を参照して、これからいっそう詳しく説明される。ステップS14.10での銀行券1の隅部の箇所についての概算が終わると、銀行券の寸法を決定することができる。その後、図16を参照して、検出された銀行券の寸法が、記憶装置23に保持された受け入れ可能な銀行券の寸法の保存値と比較される。これらの保存値は、銀行券受入装置によって受け入れることのできる銀行券の個々の金種に関連した長さ寸法および幅寸法の窓状範囲からなっていてもよい。この窓状範囲によって、受入装置および銀行券における小さい製造許容誤差を許容することが可能になる。この比較は、銀行券の金種の初期指示をもたらすために、図16におけるステップS16.1で実施される。ステップS16.2でどのような一致も発見されないときには、銀行券はステップS16.3で拒絶される。しかしながら、一致が発見されると、銀行券の特定金種についての銀行券における所定箇所に対応する保存データが、銀行券の検出寸法によって示された金種に基づいて、記憶装置23から取り出される。個々の銀行券金種について、特に際立っていて銀行券金種の良好な特性をもたらし、データ処理を簡単にするとともにスピードアップする銀行券の全表面区域からのすべての画素データを調べる必要性をなくす銀行券の領域がある、ということがわかった。これらの領域に対応する位置データが、個々の各金種について銀行券の寸法に対応するデータに関連して記憶装置23の中に保存される。
【0057】
その後、ステップS16.5で、ステップS14.1の間に捕捉された銀行券1についての画素データが、ステップ16.4で、特定の金種について記憶装置から取り出された銀行券における上記箇所について、参照フレームF2の中へ選択的に変換される。
【0058】
銀行券の選択箇所からの変換画素データはその後、記憶装置23から取り出された特定の金種についての対応保存データと比較される。これらの画素データは、銀行券の特定画素区域、例えば1−256グレースケールにおける区域からの反射光の強度に対応している。これらの画素は実際には画素群からなっていてもよい。記憶装置23に保持されたデータには、受け入れ可能な銀行券を表すために、検出された画素値が納まる必要のあるデータ範囲あるいはデータウィンドウが備わっていてもよい。受入可能性がステップS16.7で検査され、銀行券1からの変換ずみデータが記憶装置23から取り出された画素データに一致しているときには、その銀行券は、ステップS16.8で受け入れられるが、そうでないときには、ステップS16.3で拒絶される。受入可能性は、図8を参照して説明された平均二乗加算法によって決定することができる。
【0059】
改変例では、ステップS16.9で、ユーザーが銀行券の拒絶をオーバーライドしてそれを受け入れることができるように、ユーザー操作可能なオーバーライドが設けられてもよい。これは、金銭登録機オペレーターが、装置にとっては受け入れることができないが、それにもかかわらずオペレーターにとっては受け入れることのできる破損銀行券を手で点検する店頭装置では有用である。このオーバーライドは、認定された職員についてだけ利用することができ、また、消費者が破損銀行券を差し出すとともに他に支払いの便宜的手段がない精算列における停滞をオペレーターが防止するためには、有用である。
【0060】
特定金種を認証するために使用される銀行券の選択領域は、詐欺師にとって再現するのが困難である特定領域を識別の目的のために使用することができるように、試行および実験によって決定することができる。選択区域は、図3に示されたプログラミングツールを用いて、銀行券受入装置の中へプログラムすることができる。このプログラミングツールは、ワークステーションあるいはこの分野で使用するための携帯型注文製プログラミングツールのような他の同様な装置であってもよいが、この例では、ラップトップコンピュータ49からなるプロセッサー・ディスプレイスクリーンからなっている。このラップトップコンピュータは、リード線50を介して、あるいは無線接続によって、マイクロコントローラ22へ一時的に接続されている。
【0061】
選択区域をプログラムするために、特定金種の受け入れ可能な銀行券が銀行券受入装置の引入口2の中へ送り込まれる。その銀行券に対応する画素化データが、図14に関して殺菌剤供給源47に説明されたように捕捉され、次いで、先に説明した斜行修正アルゴリズムを使用して斜行修正される。そして、ステップ14.1〜14.10は、先に説明したように実行される。その後、銀行券の選択箇所を変換する代わりに、その銀行券についてのすべての画素化データが、図18のステップS18.1で示されたように、参照フレームF2の中へ変換される。その結果得られたデータは、図17に示されたような表示をもたらすために、次に、図3に示されたコンピュータ49のスクリーンの上に表示される。その後、コンピュータのマウスあるいは他の制御装置を使用して、点状輪郭線で図示された選択領域51が、コンピュータ49に表示されたように、その銀行券の選択領域と同じ広がりになるように操作される。
【0062】
その後、ステップS18.3で、選択領域の座標が保存される。加えて、選択領域52の内部の画素データが、その銀行券の金種とその金種に対応するデータといっしょに保存される。このようにして、図16に説明された認証プロセスに使用されたデータは、記憶装置の中に保存することができ、また、この認証プロセスを改善するために向上した箇所選定を実施することができるように、異なる認証体験を考慮に入れるために、ある期間にわたって適用することもできる。例えば、図17に示された相異なる領域53,54は、特定の金種の銀行券についての選択領域52に関して追加するかあるいは置き換えることができる。これらの領域は、異なった形状および寸法のものであってもよい。例えば、選択領域53は画素化データのほぼ円形の領域であるのに対し、領域54は、銀行券1における相異なるで配置された当該領域どうしの間に延びているスラローム構成のものである。領域52,53および54はそれぞれ、全体として銀行券1の周縁の内側で同周縁から間隔を置いて配置されている。また、図5に関して説明されたストライプ33は、領域52〜54と組み合わせて、あるいは同領域52〜54の代わりに使用することができる。
【0063】
この発明による銀行券受入装置は、個々にプログラムされていて更新される必要がない。その代わりに、図17および図18に示された選択プロセスは、まとめて実施することができ、また、例えばネットワークを通して、またはプラグインフラッシュメモリーかあるいは他の適切な技術によって、個々の受入装置のグループへダウンロードされたその結果のデータは、当業者に開かれている。
【0064】
この発明の説明された実施形態には、入ってくる銀行券を感知用ステーションSに対して特定の方位に揃えるために、どのような機械的装置も必要でない、という利点がある。また、この装置は異なった寸法の銀行券を受け入れるとともに拒絶することができる。この目的のために、データ標本の処理には、標本採取されたデータ列の次元に対応する銀行券の候補金種に対応するデータを単に選択するように、記憶装置23からの参照データのどれが変換ずみデータ列と比較されるかを選択するために、標本採取されたデータ列の長さおよび幅を概算することが含まれていてもよい。
【0065】
この発明のいくつかの例が銀行券に関して説明されてきたが、この発明は、帰属可能な瞬間値を必ずしも有していない代用貨幣およびシートのような他のシート物で使用することもまた可能である。例えば、この装置は、一般的な印刷によってあるいはバーコードのような機械読取可能特性によって用意されたシート物を受け入れたり拒絶したりするように作動することができる。シート物の他の例は、バーコードでコード化することのできる銀行小切手、クーポンおよび代用貨幣である。
【0066】
その光源15あるいはそれぞれの光源15について、異なった型の光源を使用することができる。広帯域光源からの光学的放射線を利用するよりはむしろ、広帯域光源を濾過することによるか、あるいは外部フィルタでそれら自体が濾過されるそれぞれの狭帯域を放射する個々の光源を設けることにより、1つ以上の狭帯域を利用することができる。この明細書で使用されたように、用語「光学的放射線」には、可視放射線と紫外線および赤外線のような不可視放射線とが含まれている。濾過は、その光源あるいはそれぞれの光源、センサー列またはどこか他の箇所の近傍で実行することができる。
【0067】
また、感知用ステーションSについて異なったセンサー装置を使用することができる。例えば、光学的放射線を感知ステーションへ導くためとデータ標本を得るためとの両方のために、光ファイバーを透過の際にあるいは反射について使用することができる。
【0068】
さらにまた、相異なる波長範囲を個々に処理することができるように、画素化列は副画素を含んでいてもよく、その結果、例えば原色におけるデータ標本について解析を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、この発明による受入装置の模式的平面図である。
【図2】図2は、図1に示された装置の模式的断面図である。
【図3】図3は、図1および図2に示された装置の模式的ブロック図である。
【図4】図4は、ガイドレールに当接することなく、かつ、異なった角度・位置関係の範囲で感知用ステーションを経由する銀行券の通過を模式的に示している。
【図5】図5は、標本採取フレーム、参照フレーム、およびこれらのフレームの中における一連のデータを示している。
【図6】図6は、シート物を受け入れるプロセスのフローチャートである。
【図7】図は、図6のステップ2をいっそう詳しく示している。
【図8】図8は、受け入れ可能なシート物についての対応データと比較される参照フレームの中の変換ずみデータを図示しているグラフである。
【図9】図9は、この装置の代わりの型の模式的平面図である。
【図10】図10は、図9に示された装置の断面図である。
【図11】図11は、この発明による装置のさらに別の実施形態の断面図である。
【図12】図12は、この発明による別の受入装置の模式的平面図である。
【図13】図13は、図12に示された装置の模式的断面図である。
【図14】図14は、銀行券を受け入れるかあるいは拒絶するための像データ収集・斜行修正プロセスの模式的ブロック図である。
【図15】図15A−Fはそれぞれ、図14に関連して記載された斜行修正プロセスを説明するための画素化データ列の模式図である。
【図16】図16は、図15に関連して記載された斜行修正・認証プロセスのいっそう詳しいフロー図である。
【図17】図17は、この銀行券受入装置のためのプログラミングツールによって設けられたディスプレイの模式図である。
【図18】図18は、プログラミングツールを使用してこの銀行券受入装置をプログラムするためのプロセスのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート物の面から、参照フレームとの位置関係の範囲内に存在する標本採取フレームの中に構成されている空間的データ標本列に対応するデータを得るためのセンサーと、
参照フレームと感知されたデータについての標本採取フレームとの関係を決定するためにそのデータを処理するように作動することができるとともに、参照フレームの中におけるデータに対応させるように、標本採取フレームからの感知ずみデータの所定領域を変換し、かつ、変換されたデータと、前記参照フレームの中におけるシート物についての受入可能性基準を規定する、参照フレームの中における前記所定領域に対応する参照データとの比較を行うように作動することができる処理手段と、
前記比較の結果に応じてシート物を受け入れるための受入手段と
を備えてなるシート物受入装置。
【請求項2】
センサーは、シート物からの複数のデータ標本列を標本採取するように構成された検出器列からなっている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
シート物のための引入口と、この引入口から感知用ステーションを通って延びていて、シート物が感知用ステーションを通過すると、前記センサーがシート物から複数のデータ標本列を標本採取するように作動することができる通路とを含んでいる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
処理手段は、参照フレームの中における対応箇所に対して、標本採取フレームの中における標本採取データ列の中で所定箇所を認識するように作動することができる、請求項1〜3のいずれか1つに記載の装置。
【請求項5】
ほぼ対称的な四辺形周縁が備わったシート物を受け入れるように作動することができ、また、前記の認識された箇所は、シート物の隅部に対応している、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
処理手段は、参照フレームに対する標本採取フレームの中における標本採取データ列の方位を認識するように作動することができる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
前記方位は、前記データ標本列の縁部領域の解析によって認識される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
処理手段は、前記の認識された箇所および/または前記の認識された方位を使用して、前記標本採取データを参照フレームの中へ変換するように作動することができる、請求項4〜7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
センサーは、光学センサーである、請求項1〜8のいずれか1つに記載の装置。
【請求項10】
シート物を介して前記センサーへ光学的放射線を透過させる光源を含んでいる、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
シート物から前記センサーへ反射される光学的放射線を透過させる光源を含んでいる、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
光学的放射線をシート物から前記センサーへ導くためのテレセントリックレンズ装置を含んでいる、請求項9〜11のいずれか1つに記載の装置。
【請求項13】
センサーは、空間的センサー素子列からなっている、請求項1〜12のいずれか1つに記載の装置。
【請求項14】
前記標本データは、前記列の中におけるいくつかのセンサー素子だけから得られる、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
処理手段は、
感知されたシート物についての特定金種の初期決定を行い、次いで、この決定の結果に基づいて、
前記特定金種のシート物における所定箇所に対応する参照フレームの中における保存情報と、前記所定箇所についての保存された参照データ値とを取得し、
シート物についての感知されたデータを標本フレームから前記所定箇所についての参照フレームへ変換し、さらに、
感知されたシート物の真正性を決定するために、変換されたデータを前記の保存された参照データ値と比較する
ように作動することができる、請求項1〜14のいずれか1つに記載の装置。
【請求項16】
処理手段は、前記データ標本による走査を実行して、シート物の縁部に対応する箇所を認識し、次いで、シート物の認識された箇所に基づいて標本フレームと参照フレームとの空間的関係を決定するように作動することができる、請求項1〜15のいずれか1つに記載の装置。
【請求項17】
処理手段は、シート物の周辺の内部における近似中間箇所を認識し、この近似中間箇所から外方へ延びている走査線とシート物の縁部に対応する反転箇所とを画定し、次いで、シート物の縁部に対応する箇所を認識するために前記走査線に沿ってデータ標本を走査するように作動することができる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記中間箇所は、前記参照フレームの中におけるデータ標本列の中点に対応している、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
処理手段は、縁点について、シート物の縁部の傾きに対応するデータをもたらすように作動することができる、請求項16、17または18に記載の装置。
【請求項20】
処理手段は、前記傾斜データに基づいてシート物の特定縁部に対応するように、認識された縁点をグループ化するように作動することができる、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
処理手段は、標本採取されたシート物の縁部を画定するために、縁点によって縁線を適合させるように作動することができる、請求項17〜20のいずれか1つに記載の装置。
【請求項22】
処理手段は、前記縁線が参照フレームの中におけるシート物の縁部の箇所を認識するように横断する演算を行うように作動することができる、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記比較の結果に関係なくシート物を受け入れるために、受入装置を選択的に作動させるオーバーライド制御を含んでいる、請求項1〜22のいずれか1つに記載の装置。
【請求項24】
シート物の面からの空間的データ標本列に対応していて、参照フレームとの位置関係の範囲内に存在する標本採取フレームの中に構成されているデータを得るためのセンサーを含んでいるシート物受入装置の処理装置用プログラムであって、
このプログラムは、標本データを処理して参照フレームと標本採取フレームとの関係を決定し、参照フレームの中におけるデータに対応させるように、標本採取フレームからの感知ずみデータの所定領域を変換し、かつ、変換されたデータと、前記参照フレームの中におけるシート物についての受入可能性基準を規定する、参照フレームの中における所定領域に対応する参照データとの比較を行うために、前記処理装置を制御するように作動することができる、シート物受入装置の処理装置用プログラム。
【請求項25】
シート物の面から、参照フレームとの位置関係の範囲内に存在する標本採取フレームの中に構成されている空間的データ標本列に対応するデータを得て、
参照フレームと感知されたデータについての標本採取フレームとの関係を決定するために、かつ、参照フレームの中におけるデータに対応させるように、標本採取フレームからの感知ずみデータの中における少なくとも所定箇所を変換するために、かつ、変換されたデータと、前記参照フレームの中におけるシート物の所定箇所についての受入可能性基準に対応する参照データとの比較を行うために、そのデータを処理し、
前記比較の結果に応じてシート物を受け入れる
ことからなる、シート物を受け入れる方法。
【請求項26】
シート物を機械式ガイドに事前配置することなく前記の標本採取データを得ることを含んでいる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
感知されたシート物についての特定金種の初期決定を行い、次いで、この決定の結果に基づいて、
前記特定金種のシート物における所定箇所に対応する参照フレームの中における保存情報と、前記所定箇所についての保存された参照データ値とを取得し、
シート物についての感知されたデータを標本フレームから前記所定箇所についての参照フレームへ変換し、さらに、
感知されたシート物の真正性を決定するために、変換されたデータを前記の保存された参照データ値と比較する
ことを含んでいる、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記データ標本による走査を実行して、シート物の縁部に対応する箇所を認識し、次いで、シート物の認識された箇所に基づいて標本フレームと参照フレームとの空間的関係を決定することを含んでいる、請求項25〜27のいずれか1つに記載の方法。
【請求項29】
シート物の周辺の内部における中間箇所を認識し、この中間箇所から外方へ延びている走査線とシート物の縁部に対応する反転箇所とを画定し、次いで、シート物の縁部に対応する箇所を認識するために前記走査線に沿ってデータ標本を走査することを含んでいる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
縁点について、シート物の縁部の傾きに対応するデータをもたらすことを含んでいる、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記傾斜データに基づいてシート物の特定縁部に対応するように、認識された縁点をグループ化することを含んでいる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
標本採取されたシート物の縁部を画定するために、縁点によって縁線を適合させることを含んでいる、請求項28〜31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
前記縁線が参照フレームの中におけるシート物の隅部の箇所を認識するように横断する演算を含んでいる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記比較の結果に関係なくシート物を選択的に受け入れることを含んでいる、請求項27〜33のいずれか1つに記載の方法。
【請求項35】
請求項25〜34のいずれか1つに記載された、銀行券の受入方法。
【請求項36】
請求項25〜35のいずれか1つに記載された方法を実行するために作動することのできるコンピュータプログラム。
【請求項37】
処理装置と、既知の金種の参照シート物の面から前記空間的データ標本列を受けるとともにその可視的表示をもたらすように構成された表示装置と、ユーザーが前記データ標本列の中における少なくとも1つの選択箇所を画定することのできるユーザーインターフェイスとを備え、前記処理装置は、前記選択箇所に対応するデータと前記箇所からの標本に対応するデータとシート物の金種に対応するデータとからなる、この受入装置の中に保存するためのデータ組をもたらすように作動することができる、請求項1〜22のいずれか1つに記載されたシート物受入装置を選択的にプログラムする装置。
【請求項38】
既知の金種の参照シート物の面から前記空間的データ標本列を受け、
その可視的表示をもたらし、
前記データ標本列の中における少なくとも1つの選択箇所を画定し、さらに
前記選択箇所に対応するデータと前記箇所からの標本に対応するデータとシート物の金種に対応するデータとからなる、この受入装置の中に保存するためのデータ組をもたらす
ことからなる、請求項1〜22のいずれか1つに記載されたシート物受入装置を選択的にプログラムする方法。
【請求項39】
請求項38に記載された方法を実行するために処理装置によって実行されるコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図15B】
image rotate

【図15C】
image rotate

【図15D】
image rotate

【図15E】
image rotate

【図15F】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公表番号】特表2008−524683(P2008−524683A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546047(P2007−546047)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056757
【国際公開番号】WO2006/064008
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(506101425)マネー コントロールズ リミテッド (8)
【氏名又は名称原語表記】Money Controls Limited
【住所又は居所原語表記】Coin House,New Coin Street,Royton,Oldham OL2 6JZ,United Kingdom
【Fターム(参考)】