説明

シート状商品の自動払出装置におけるシート状商品の自動払出方法

【課題】シート状商品を迅速に一つずつ払い出すこと。
【解決手段】シート状商品を支持するテーブルと、吸引装置と、運搬装置と、前記テーブルと前記吸引装置との距離を変更する移動装置と、前記吸引装置、前記運搬装置及び前記移動装置の制御装置とを含むシート状商品の自動払出装置において、前記シート状商品の払出信号Pに基づいて前記吸引装置を作動させて前記最上位のシート状商品を前記吸引装置に吸着し、移動装置を作動させて前記吸引装置と前記テーブルとを低速で所定距離以上離し、運搬装置を作動させて前記吸引装置に吸着されたシート状商品を横方向に搬送し、吸引装置及び前記運搬装置の作動を停止すると共に前記移動装置を作動させて最上位のシート状商品が前記吸引装置によって吸着可能な位置まで前記吸引装置に近づけた状態で待機させることを特徴とするシート状商品の自動払出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
シート状商品を自動的に1つずつ送り出すためのシート状商品の自動払出方法に関する。
詳しくは、薄膜により形成したシート状袋にカード状商品を収納したシート状商品を一つずつ送り出すシート状商品の自動払出方法に関する。
さらに詳しくは、カードをシート状袋に封入したカード入りシート状商品を1つずつ送り出すためのシート状商品の自動払出方法に関する。
【0002】
本明細書で使用する「シート状商品」は、シート状袋に商品を封入したもの、及びカード等を含んでいる。
「シート状袋」は、材質が樹脂、アルミ箔、紙等であって、実質的に通気性を有しない封筒状の袋である。
「カード」は、テレフォンカード、プリペイドカード、キャラクターカード、ブロマイド、ICカード等を含んでいる。
【背景技術】
【0003】
本出願人は、積み上げられたカード入りシート状商品を損傷することなく払い出すため、米国特許第6311867号や特開2001−118137に開示された技術を提案した。その従来技術を以下に説明する。
積み上げられている最上位のシート状商品が、吸引装置によって吸着された後、吸着によって接触している運搬装置により送り出されるものである。
最上位のシート状商品が払い出された後、積み上げられたシート状商品は押し上げられる。
最上位のシート状商品がセンサによって検知されたとき、その押し上げが停止され、最上位のシート状商品と吸引装置との距離が一定にされ、次の払い出しに備える。
【0004】
最上位のシート状商品と吸引装置との距離を一定にする理由は、最上位のシート状商品を払い出した後、慣性で作動している吸引装置及び運搬装置によって次のシート状商品が送り出されることを防止するためである。
次にシート状商品の払出信号を受信したとき、吸引装置を作動させてシート状商品を吸着し、運搬装置によって前記同様に払い出す。
【0005】
ところで、図6に示す薄膜で形成したシート状袋1B内にカード1Cを封入したシート状商品1は、その内部に空気が残留し、或いは、シートの合わせ目が中央部に存在するため、全体的には中央部が膨らんだ枕形状をしている。
したがって、このシート状商品1を多数積み上げた場合、最上位のシート状商品1は、必然的に長手方向或いは幅方向に傾斜する。
【0006】
最上位のシート状商品1は、前述のように吸引装置との距離が適正になるよう、その位置をセンサにより検知され、位置制御されている。
しかし、前記センサによって検知されるシート状商品1の一部分の位置が適正であっても、前記傾斜により、他の部位と吸引装置との距離が適正値よりも大きくなることがある。
このため、最上位のシート状商品1が、吸引装置によって吸着されないことがある。
【0007】
また、シート状商品1が吸引装置により吸着された場合、シート状商品1は急速に吸い上げられるため、それに密着している下位のシート状商品1との間に生じる負圧によって付着力が発生し、一緒に吸い上げられることがある。
結果として、シート状商品1の二枚出しが発生する。
【0008】
【特許文献1】米国特許第6311867号
【特許文献2】特開2001−118137
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の目的は、シート状商品が確実に払い出されるようにすることである。
本発明の第2の目的は、シート状商品の二枚だしを防止することである。
本発明の第3の目的は、シートの払出装置を安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため本発明は、一列に並べたシート状商品1を支持するテーブル41と、前記シート状商品の吸引装置15と、前記吸引装置に吸着された前記シート状商品の運搬装置16と、前記テーブルと前記吸引装置との距離を変更する移動装置42と、前記吸引装置、前記運搬装置及び前記移動装置の制御装置70とを含むシート状商品の自動払出装置において、前記シート状商品の払出信号Pに基づいて前記吸引装置を作動させて前記最上位のシート状商品を前記吸引装置に吸着し、次いで前記移動装置を作動させて前記吸引装置と前記テーブルとを低速で所定距離以上離し、次いで前記運搬装置を作動させて前記吸引装置に吸着されたシート状商品を横方向に搬送し、次いで前記吸引装置及び前記運搬装置の作動を停止すると共に前記移動装置を作動させて最上位のシート状商品が前記吸引装置によって吸着可能な位置まで前記吸引装置に近づけた状態で待機させることを特徴とするシート状商品の自動払出方法である。
【0011】
この構成において、シート状商品はテーブルによって吸引装置に近づけられ、最位置のシート状商品は吸引装置の作動によって吸着される関係にある。
払出信号に基づいて、吸引装置が作動され、最のシート状商品は吸引装置によって吸着される。
その後、テーブルは移動装置によって吸引装置から所定距離以上離される。
したがって、吸引装置によって吸引されたシート状商品とテーブルに支持されている最のシート状商品とは、完全に分離される。
【0012】
このとき、テーブルの移動、したがってテーブルに支持されているシート状商品の移動は低速であるので、吸着されたシート状商品との間に負圧による付着力は発生せず、テーブルに支持されているシート状商品は、テーブルの移動と共に吸引装置から離れる。
この状態において、運搬装置が作動され、吸引装置に吸着されているシート状商品が横方向に送られて払い出される。
この払出後、吸引装置及び運搬装置の作動は停止される。
【0013】
シート状商品が払い出された後、移動装置を作動させてテーブルにより、最のシート状商品が吸引装置の吸着範囲に位置するように移動され、次の払出に備える。
結果として、最のシート状商品のみが前記運搬装置によって払い出される。
次に払出信号が出力され吸引装置が作動された場合、シート状商品は吸引装置の吸着範囲にあるため、直ぐさま吸着され、前述のように払い出される。
【0014】
本発明は、シート状商品の側に固定されている前記吸引装置及び前記運搬装置と、シート状商品の側に位置する前記テーブルを吸引装置側へ移動させる移動装置を備えることが好ましい。
この構成において、回転手段等を備える吸引装置や運搬装置が固定され、払い出されるべきシート状商品は移動装置によって吸引装置との間隔を所定の間隔に保たれる。
したがって、機構が複雑な吸引装置や運搬装置を移動させないので、構造が簡単になり、故障やメンテナンスが極小になると共に安価である。
【0015】
本発明は、移動装置が、制御装置によって一方向に回転された後、反対方向へ回転される電気モータを含むことが好ましい。
この構成において、シート状商品の位置を制御する移動装置は、電気モータの回転方向によって、移動方向が変更される。
換言すれば、シート状商品と吸引装置との間隔は、一つの電気モータの回転方向によって変更される。
したがって、電気モータの回転方向を変更する構成によりシート状商品と吸引装置との距離を変更できるので、簡単な構成であり、安価である。
【0016】
本発明は、シート状商品を載せて上下方向に移動可能なテーブルと、テーブルの上方に位置し、かつ、前記シート状商品を吸着する吸引装置と、前記吸引装置で吸着した前記シート状商品を吸引方向に対し横方向に搬送する運搬装置と、払出信号に基づいて前記吸引装置を作動させてシート状商品を吸着した後、前記テーブルを下降させて前記吸引装置から離間させることが好ましい。
【0017】
この構成において、シート状商品は重力によってテーブル上に位置しているので、テーブルの移動によって吸引装置との間隔が制御される。
払出信号に基づいて、吸引装置が作動されて最上位のシート状商品が吸引装置に吸着された後、制御装置によってテーブルが下降されて吸引装置から離される。
これにより、吸引装置に吸着されたシート状商品とテーブル上に乗っているシート状商品とは完全に分離される。
【0018】
次に、運搬装置が作動され、吸着されているシート状商品が運搬装置によって横方向へずらされて払い出される。
したがって、シート状商品はその重量によりテーブルの移動にしたがって位置が定められるので、構造が簡単であり、小型にできるとともに安価である。
【0019】
本発明は、制御装置が、前記吸引装置の作動後、前記テーブルを所定量下降させるプレ制御装置を含むことが好ましい。
この構成において、シート状商品はテーブル上に上下方向に積み重ねられる。
吸引装置が作動されて最上位のシート状商品が吸引装置に吸着される。
【0020】
その後、テーブルが昇降装置によって下方に移動され、その上に載っているシート状商品も重力によって一緒に下方へ移動し、前記吸着されたシート状商品とテーブルに乗っているシート状商品とが分離される。
その後、運搬装置が作動され、吸引装置によって吸着されているシート状商品は運搬装置によって払い出される。
したがって、構造が簡単であり、小型にできると共に安価である。
【0021】
本発明は、前記制御装置が、シート状商品の前記運搬装置による払出後、前記テーブルを所定の位置に上昇するよう昇降装置を制御することが好ましい。
この構成において、シート状商品が払い出された後、昇降装置が作動され、最上位のシート状商品がどのような状態にあっても吸引装置によって吸着可能な位置に移動される。
したがって、次に払出信号が出力された場合、すぐさま吸引装置を作動してシート状商品を前記と同様に吸着できるので、払出作業が迅速に行われる。
【実施例】
【0022】
図1は、実施例のシート状商品の自動払出方法を実施するためのシート状商品の自動払出装置の斜視図である。
図2は、実施例のシート状商品の自動払出方法を実施するためのシート状商品の自動払出装置の左サイドカバーを除去した状態の斜視図である。
図3は、実施例のシート状商品の自動払出方法を実施するためのシート状商品の自動払出装置の送り出し装置の要部断面図である。
図4は、実施例のシート状商品の自動払出方法を実施するための制御装置のブロック図である。
図5は、実施例のシート状商品の自動払出方法の作動説明用のフローチャートである。
【0023】
図1において、シート状商品1の自動払出装置10は、払出部11と貯留部12を備える。
図3に示すように、払出部11は払出ユニット13と二枚出し検知装置14を備える。
払出ユニット13は、吸引装置15および運搬装置16を含んでいる。
【0024】
吸引装置15は、シート状商品1を吸引気流で吸着する機能を有している。
吸引装置15は、誘導筒17と吸引気流生成装置18を備える。
誘導筒17は、中空部が上下方向に延びる矩形筒型であり、サイドフレーム19に固定されている。
誘導筒17の下端開口が吸引口20である。
【0025】
吸引気流生成装置18は、吸引口20から吸引する気流を生成する。
吸引気流生成装置18は、出力軸にファンを固定した電気モータ21を備える。
電気モータ21は、誘導筒17の上端部に固定されている。
モータ21が回転したとき、ファンによって誘導筒17内に上方へ向かう気流が生成され、吸引口20から空気を吸込む。
吸引気流生成装置18は、エジェクタ効果により吸引気流を生成する方式を採用することができる。
さらに、吸引気流生成装置18はエアモータによりファンを回転させてもよい。
【0026】
次に運搬装置16を説明する。
運搬装置16は、吸引装置15に吸着されているシート状商品1を横方向に搬送する機能を有する。
運搬装置16は、誘導筒17内に配置された第1運搬装置22と、誘導筒17の側方に配置された第2運搬装置23を備える。
【0027】
第1運搬装置22の周面は、吸引口20に吸着されたシート状商品1を第2運搬装置23に搬送するため、吸引口20から僅かに下方へ突出している。
実施例において、第1運搬装置22は、誘導筒17の側壁に水平に回転自在に取り付けられた回転軸25に固定した第1ローラ26である。
【0028】
第1ローラ26は、シート状商品1とのスリップを少なくするため、周面がゴムで覆われている。
第1運搬装置22は、ローラに代えて第2運搬装置23方向に移動するベルトを用いることができる。
【0029】
第2運搬装置23は、第1運搬装置22から送られたシート状商品1を払出口24に搬送する。
実施例において、第2運搬装置23は一対のローラを含んでいる。
サイドフレーム19に回転自在に支持され、回転軸25と並行に配置した第2回転軸27に第2ローラ28が固定されている。
第2ローラ28の周面は、シート状商品1とのスリップを少なくするため、周面がゴムで覆われている。
【0030】
第2ローラ28の下方に、第3ローラ29が配置されている。
第3ローラ29は、サイドフレーム19に固定された固定軸30に回動可能なレバー31に両端を支持されている軸32に回転自在に取り付けられている。
レバー31は、スプリング(図示せず)により回動され、第3ローラ29を第2ローラ28に接触させる。
第2電気モータ32は、回転軸25および第2回転軸27の上方に配置され、サイドフレーム19に固定されている。
【0031】
第2電気モータ32の出力軸に固定したプーリおよび回転軸25および第2回転軸27に固定したプーリにベルト33を巻きかけてある。
ベルト33は、図3において半時計方向へ回動する。
第2運搬装置23は、一対のベルトの間にシート状商品1を挟んで搬送するようにしてもよい。
第2ローラ28の側方に払出検知センサ34が取り付けられ、その接触子35がシート状商品1の移動経路に位置している。
【0032】
二枚出し検知装置14は、レバー31の位置が所定位置にあるときに二枚出し信号を出力する。
すなわち、一度に2枚のシート状商品1が第2ローラ28と第3ローラ29との間に挟まれた場合、レバー31が通常よりも時計方向に回動されることを図示しないセンサによって検知し、二枚出し信号を出力する。
【0033】
第2固定軸36に回動自在に支持されるシャッタ37は、第2運搬装置23と払出口24との間の移動経路に配置されている。
シャッタ37は、通常、図示しないスプリングにより図3において反時計方向に回動され、シート状商品1の移動経路上に位置している。
シート状商品1が移動経路上を進行する場合、シャッタ37はシート状商品1により押されて時計方向へ回動され、移動経路から外れる。
そして、シート状商品1は払出口24へ到達する。
【0034】
次にシート状商品1の貯留部12を説明する。
貯留部12は、上下方向に延びる貯留室40と、シート状商品1を移動させるテーブル41と、テーブル41の移動装置42を備える。
貯留室40は、サイドフレーム19により囲まれ、吸引装置15の下方において縦方向に伸びる角柱状空間である。
蓋43の下端部が、サイドフレーム19に回動可能、かつ、着脱可能に取り付けられ、その上端部がロック装置44によってサイドフレーム19にロックされる。
シート状商品1は、蓋43を外してテーブル41に積み上げられる。
【0035】
テーブル41は、矩形板状であり、貯留室40内の誘導筒17の下方において誘導筒17に接近及び離隔するよう移動可能である。
すなわち、テーブル41は上下方向に移動可能である。
テーブル41上のシート状商品1は、テーブル41の移動によって、誘導筒17に近づけられ、かつ、離隔される。
テーブル41は、シート状商品1を吸引装置15に近づけ及び離す機能を有している。
したがって、この機能を有していれば、他の機構を採用することができる。
【0036】
次に移動装置42を説明する。
移動装置42は、駆動装置45と伝達装置46を備える。
駆動装置45は、吸引装置15の側方に配置され、かつ、サイドフレーム19に固定された減速機47と、減速機47に固定され、かつ、減速機47を駆動する第3電気モータ48と、減速機47の出力軸に固定された駆動ギヤ(図示せず)と、サイドフレーム19に回転自在に支持された回転軸49と、この回転軸49に固定され、かつ、前記駆動ギヤに噛み合う被動ギヤ50と、回転軸49のサイドフレーム19から突出した左右端部に固定したギヤ51を有する(右側のギヤは図示されていない)。
【0037】
駆動装置45は、伝達装置46を介してテーブル41を吸引装置15に接近させたり、離したりする機能を有している。
したがって、この機能を有していれば、他の機構を採用することができる。
【0038】
次に伝達装置46を説明する。
サイドフレーム19の左右に同一構造の伝達装置46が配置されているが、図示されている左側の伝達装置46の構造を説明する。
テーブル41から側方に突出するステー52に、ラック53の下端がピン54によって回転自在に取り付けられている。
【0039】
ラック53は、フレキシブルな樹脂により成型され、可撓性を有している。
ラック53の中間部は、ギヤ51に噛み合っている。
ラック53は、サイドフレーム19から突出する固定軸54に回転自在に支持されるピンチローラ55により背面を押され、ギヤ51との噛み合いを保持される。
ラック53の先端部は、サイドフレーム19の側面に固定された倒立J字状のパイプ56に挿入され、テーブル41側に戻される。
フレキシブルなラック53を使用してJ又はU状に配置することにより、伝達装置46をコンパクトに構成でき、小型化に適している。
【0040】
実施例における移動装置42は、テーブル41を上下動させるので、昇降装置56である。
移動装置42は、吸引装置15とシート状商品1との間の距離を所定値に変更する機能を有していればよい。
したがって、テーブル41が固定され、払出ユニット13を移動可能にしてもよい。
【0041】
しかし、払出ユニット13を移動させた場合、払出口24の位置が変わるので、テーブル41を移動させることが好ましい。
また、駆動装置45と伝達装置46を一体化することができる。
例えば、リニアモータのマグネットプレートをサイドフレーム19の側方に立設し、コイルプレートにテーブルを連結して移動装置42を構成してもよい。
【0042】
次に位置センサ60を説明する。
位置センサ60は、サイドフレーム19の間に水平に配置されているベースボード62に固定されている。
位置センサ60の接触子61は、貯留室40の上部空間に配置され、その下端は吸引口20よりも下位に位置している。
シート状商品1によって接触子61が僅かに押し上げられたとき、位置センサ60がon信号を出力する。
【0043】
このとき、最上位のシート状商品1が吸引口20に接触するよう接触子61の位置が定められる。
すなわち、最上位のシート状商品1がどのような姿勢であっても、吸引装置15による吸引が可能な位置においてon信号を出力するよう定められている。
具体的には、最上位のシート状商品が吸引口20に密着したときにon信号を出力するよう定められている。
【0044】
したがって、位置センサ60は、図3において上下方向に位置調整可能に取り付けられている。
位置センサ60は、光電式センサ等、他方式のセンサを使用することができる。しかし、実施例のように接触子61を用いるメカニカルセンサを用いることにより、定期クリーニング等のメンテナンスを必要とせず、かつ、安価である。
【0045】
次に、プレ制御装置63を説明する。
本実施例において、プレ制御装置63は、ソフトウエアで構成されているので、まず、図4を参照して制御装置70を説明する。
制御装置70は、例えばマイクロプロセッサであって、ROM71に記憶されたプログラムに基づいてCPU72がRAM73とデータをやり取りしながら所定の処理を行う。すなわち、払出指示信号P、払出検知センサ34の払出信号F、二枚出しセンサ14の二枚出し信号D、位置センサ60の上位置信号Uに基づいて、電気モータ21、第2電気モータ32、第3電気モータ48の作動を制御する。
【0046】
次に、図5に示すフローチャートに基づいてプレ制御装置63の作動を説明する。
待機状態において、最上位のシート状商品1は接触子61を押し上げ、位置センサ60がonの状態にある。
すなわち、最上位のシート状商品1の少なくとも接触子61近傍の部分は、吸引口20に密着している。
したがって、シート状商品1が傾斜状態にあっても、吸引装置15の作動によって吸着可能である。
【0047】
ステップS1において、自動販売機の払出指示信号Pが判別される。
払出指示信号Pがある場合、ステップS2に進み、吸引気流生成装置18の電気モータ21が回転される。
電気モータ21の回転により、図示しないファンが回転され、吸引口20から吸い込む吸引気流が発生する。
最上位のシート状商品1が前記吸引気流によって吸引され、吸引口20に吸着される。
【0048】
ステップS3において、この吸着に十分な時間を計時した後、ステップS4に進む。
ステップS4において、第3モータ48が逆転される。
第3モータ48の逆転により、減速機47、被動ギヤ50および回転軸49を介してギヤ51が図3において時計方向へ回転される。
【0049】
これにより、ラック53が下方へ移動されるので、テーブル41及びテーブル41上の吸引装置15に吸着されているシート状商品1を除くシート状商品1も緩速度で下降する。
この下方動によって、吸引装置15に吸着されているシート状商品1とテーブル41上の最上位のシート状商品1とは、所定距離離れる。
【0050】
また、テーブル41の移動は緩速度であるので、吸着されたシート状商品1との間に負圧による付着力が発生しない。
したがって、吸着されたシート状商品1と密着していた下位のシート状商品1はテーブル41の下降と共に下方へ移動し、吸着されたシート状商品1のみが吸引装置15に継続して吸着される。
【0051】
前記所定距離は、吸引装置15に吸着されたシート状商品1が送り出された後、テーブル41の最上位のシート状商品1が吸着されない値である。
この離隔に十分な時間ステップS5において計時された後、ステップS6において第3モータ48の回転が停止される。
これにより、吸着されたシート状商品1とテーブル41上の最上位のシート状商品1との離隔状態が保持される。
【0052】
次にステップS7において、運搬装置16の第2電気モータ32が回転される。
第2電気モータ32の回転により、ベルト33及び回転軸25を介して第1運搬装置22のローラ26及び回転軸27を介して第2運搬装置23の第2ローラ28が図3において反時計方向へ回転される。
吸着されているシート状商品1は、ローラ26との摩擦接触によって吸引口20との間の摩擦抵抗に打ち勝って第2運搬装置23へ送られる。
【0053】
送られたシート状商品1は、第2運搬装置23の第2ローラ28と第3ローラ29との間に進入し、第2ローラ28によって払出口24へ搬送される。
シート状商品1が第2ローラ28と第3ローラ29との間に位置するとき、第3ローラ29は、シート状商品1の厚みにより下方へ移動される。
すなわち、レバー31が図3において時計方向へ回動される。
【0054】
シート状商品1が一枚の場合、レバー31の回動量は所定の量以内であり、シート状商品1が二枚重なっている場合、所定量以上回動される。
したがって、レバー31の所定量以上の回動を検知した場合、二枚出しであるので二枚出し信号Dが出力される。
制御装置70は、この異常信号に基づいて払出停止信号Sと、アラーム信号Aを出力する。
これらの信号により、自動払出装置10は停止され、かつ、アラームを発する。
【0055】
さらに、シート状商品1は第2運搬装置23を通過する際に接触子35を押し上げるので、払出センサ34は払出信号Fを出力する。
シート状商品1が第2運搬装置23を通過したとき、接触子35が下方へ移動し、払出センサ34はoff信号を出力する。
ステップS8において、このoff信号を判別したとき、ステップS9に進む。
【0056】
ステップS9において、モータ21及び第2モータ32が停止される。
すなわち、吸引流生成装置18が停止し、吸引装置15の吸引機能が停止する。
また、第1ローラ26及び第2ローラ28の回転が停止する。
換言すると、運搬装置16の搬送機能が停止する。
モータ21の慣性回転により吸引装置15の吸引機能が残っていても、テーブル41上の最上位のシート状商品1は吸引装置15から十分離れているので、吸着されることはない。
すなわち、シート状商品は、余分に慣性回転により送り出されることがない。
次にステップS10において、第3モータ48は正転される。
【0057】
この正転により、ギヤ51が図3において反時計方向へ回転されるので、ラック53が上方へ移動し、結果としてテーブル41が上方へ移動される。
テーブル41の上方動により、シート状商品1が上昇し、接触子61を押し上げ、位置センサ60がonになり上位置信号Uを出力する。
ステップS11において、この上位置信号Uを判定すると、ステップS12に進み、第3モータ48が停止される。
これによりテーブル41、したがって、最上位のシート状商品1の少なくとも接触子61の近傍部分は、吸引口20に接触し、吸引装置15に吸引されうる待機位置になる。
【0058】
上記説明から明らかなように、ステップS4からステップS6がプレ制御装置63である。
すなわち、プレ制御装置63は、シート状商品1を吸引装置15で吸着した後、シート状商品1と吸引装置15とを離す機能を有している。
プレ制御装置63をソフトウエアで構成することにより、新たな部品が増えないので、安価である。
また、プレ制御装置63は、テーブル41と移動装置42と共に位置調整装置を構成している。
【0059】
なお、上記説明中の上下及び左右の用語は、説明の便宜のために用いたものである。
したがって、実施例装置を横倒しにして使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、実施例のシート状商品の自動払出方法を実施するためのシート状商品の自動払出装置の斜視図である。
【図2】図2は、実施例のシート状商品の自動払出方法を実施するためのシート状商品の自動払出装置の左サイドカバーを除去した状態の斜視図である。
【図3】図3は、実施例のシート状商品の自動払出方法を実施するためのシート状商品の自動払出装置の送り出し装置の要部断面図である。
【図4】図4は、実施例のシート状商品の自動払出方法を実施するための制御装置のブロック図である。
【図5】図5は、実施例のシート状商品の自動払出方法の作動説明用のフローチャートである。
【図6】図6は、シート状商品の斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1 シート状商品
15 吸引装置
16 運搬装置
41 テーブル
42 移動装置
48 電気モータ
56 昇降装置
60 位置センサ
63 プレ制御装置
70 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に並べたシート状商品(1)を支持するテーブル(41)と、
前記シート状商品の吸引装置(15)と、
前記吸引装置に吸着された前記シート状商品の運搬装置(16)と、
前記テーブルと前記吸引装置との距離を変更する移動装置(42)と、
前記吸引装置、前記運搬装置及び前記移動装置の制御装置(70)とを含むシート状商品の自動払出装置において、
前記シート状商品の払出信号(P)に基づいて前記吸引装置を作動させて前記最上位のシート状商品を前記吸引装置に吸着し、
次いで前記移動装置を作動させて前記吸引装置と前記テーブルとを低速で所定距離以上離し、
次いで前記運搬装置を作動させて前記吸引装置に吸着されたシート状商品を横方向に搬送し、
次いで前記吸引装置及び前記運搬装置の作動を停止すると共に前記移動装置を作動させて最上位のシート状商品が前記吸引装置によって吸着可能な位置まで前記吸引装置に近づけた状態で待機させることを特徴とするシート状商品の自動払出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−107847(P2009−107847A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1224(P2009−1224)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【分割の表示】特願2002−322420(P2002−322420)の分割
【原出願日】平成14年11月6日(2002.11.6)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】