説明

シート給送装置及び画像形成装置

【課題】シート積載部材が回動した場合でも、シートを確実に捌くことができるシート給送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】ファン3により、給紙カセット1に上下方向に回動可能に設けられたシート積載台2に支持されたシートSのシート給送方向下流端にエアを吹き付けると共に、ファン支持部材4とリンク部材5とにより構成される連動機構51により、シート積載台2の回動に連動してファン3から吹き出されるエアの方向を、シート積載台2に支持されたシートSの上面に沿った方向に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及び画像形成装置に関し、特にエアの吹き付けによりシートを捌いて給送するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真技術を応用した複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、画像形成部に設けられた感光体ドラム等の像担持体上にトナー像を形成し、このトナー像をシートに転写した後、定着手段によってシートに定着させるようにしている。そして、このような画像形成装置は、シート収納部に収納されたシートを1枚ずつ送り出すシート給送装置を備えており、シート給送装置から送り出された後、シートは、画像形成部へ搬送される。
【0003】
ところで、従来のシート給送装置としては、シート収納部内のシート積載部材に支持されたシート束にエアを吹き付け、シート束上部のシートを浮上させると共に最上位のシートと下方のシートを分離させるものがある(特許文献1参照)。そして、このようなエア分離機構を備えたシート給送装置として、水平なシート積載部材を水平に昇降させるようにしたものが広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−233488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような従来のシート給送装置の場合、シート積載部材を水平に昇降させるための機構が必要となるので装置が大型化し、コストが高くなることから、シート積載部材を回動可能とすることにより、小型化、低コスト化を図るようにしている。ところで、このようなシート給送装置の場合、シート積載部材に積載されているシートの量が減少すると、シート積載台が上方回動し、これに伴いシート積載部材上のシートも傾斜する。
【0006】
ここで、シート積載部材のシート給送方向下流側に送風手段があり、この送風手段により水平方向にエアを吹き付ける場合、シート積載部材が上方回動してシートが傾斜すると、シート面とエアの吹き出し方向が一致しなくなる。この場合、エアがシート間に入りにくくなってシートを捌くことができず、安定したシートの分離性能を得ることができない。
【0007】
また、シート積載部材のシート給送方向と直交する側方に送風手段がある場合、シート積載台が上方回動してシートが傾斜すると、送風手段のシートに臨む領域が減少し、シートに対して吹き付けられるエアの風量が少なくなる。そして、このようにシートを分離させるために十分な量のエアがシート間に入らなくなると、シートを捌くことができず、安定したシートの分離性能を得ることができない。
【0008】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、シート積載部材が回動した場合でも、シートを確実に捌くことができるシート給送装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シートを支持するシート積載部材を上下方向に上流を支点として回動可能に設けたシート収納部と、前記シート積載部材に支持されたシートのシート給送方向下流端にエアを吹き付けてシートを捌くエア吹き付け部と、前記シート積載部材の回動に連動して前記エア吹き付け部から吹き出されるエアの方向を、前記シート積載部材に支持されたシートの上面に沿った方向に変更する連動機構と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のように、シート積載部材の回動に連動してエア吹き付け部から吹き出されるエアの方向を、シート積載部材に支持されたシートの上面に沿った方向に変更することにより、シート積載部材が回動した場合でも、シートを確実に捌くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタ(LBP)の全体構成を示す図。
【図2】上記シート給送装置の構成を説明する図。
【図3】上記シート給送装置のシートが満載及び少載の時の状態を説明する第1の図。
【図4】上記シート給送装置のシートが満載及び少載の時の状態を説明する第2の図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図。
【図6】上記シート給送装置のシートが満載及び少載の時の状態を説明する第1の図。
【図7】上記シート給送装置のシートが満載及び少載の時の状態を説明する第2の図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図。
【図9】上記シート給送装置のシートが満載及び少載の時の状態を説明する第1の図。
【図10】上記シート給送装置のシートが満載及び少載の時の状態を説明する第2の図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置の一例であるレーザビームプリンタ(LBP)の全体構成を示す図である。図1において、50はレーザビームプリンタ、50Aはレーザビームプリンタ本体(以下、プリンタ本体という)である。そして、このプリンタ本体50Aは、画像形成部50Bを備えると共に、プリンタ本体50Aの下部には給紙カセット1に積載収納された記録紙等のシートSを画像形成部50Bに給送するシート給送装置50Cが設けられている。
【0013】
ここで、画像形成部50Bは、感光体ドラム57a、帯電器57b、現像スリーブ57c、クリーナ57d等を備えたプロセスカートリッジ57を備えている。また、感光体ドラム57aの表面を露光して感光体ドラム57a上に静電潜像を形成する露光手段であるレーザスキャナ58を備えている。また、このプリンタ本体50Aは、感光体ドラム57aと当接し、感光体ドラム57aと共に転写部を構成する転写ローラ59、転写部にて転写されたトナー画像をシートSに定着させる定着部60等を備えている。
【0014】
シート給送装置50Cは、シート収納部である給紙カセット1に積載されたシートSを最上側より送り出すシート給送部である給紙ローラ6aを備えている。また、シート給送装置50Cは、フィードローラ6bと、不図示のトルクリミッタを介してフィードローラ6bによって搬送されるシートSを戻す方向へ所定のトルクで回転する、後述する図2に示すリタードローラ6cとを備えている。そして、このフィードローラ6bとリタードローラ6cとにより、給紙ローラ6aにより送り出されたシートSを一枚ずつ分離搬送するリタード分離方式の分離ローラ対が構成される。
【0015】
次に、このように構成されたレーザビームプリンタ50における画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず感光体ドラム57aは矢印方向に回転して表面が帯電器57bにより帯電され、この後、感光体ドラム57aに対し、レーザスキャナ58から画像情報に基づいてレーザ光が発光される。これにより、感光体ドラム上には静電潜像が形成される。次に、この静電潜像は、現像スリーブ57cの回転に伴い適度の帯電を受けたトナーが感光体ドラム57a上に供給されて静電潜像に付着することにより、現像されてトナー画像として可視化される。
【0016】
一方、このようなトナー像形成動作に並行してシート給送装置50Cの給紙ローラ6aが回転し、給紙カセット1上の最上位のシートSを送り出す。そして、このように給紙ローラ6aにより送り出されたシートSは、リタードローラ対6b,6cにより搬送され、停止しているレジストローラ対56で先端位置合わせ(斜行補正)が行われる。次に、画像形成部50Bにおいて感光体ドラム57aに形成される画像とタイミングを合わせるようにレジストローラ対56によりシートSが転写部に搬送され、転写ローラ59により感光体ドラム57aの画像がシートSに転写される。
【0017】
次に、このようにトナー画像が転写されたシートSは、定着部60に設けられた加熱ローラ60a及び加圧ローラ60bにより構成される定着ニップに搬送され、ここで未定着トナー像が加熱・加圧されてシート表面に定着される。なお、このようにしてトナー像が定着された後のシートSは、排紙ローラ61により排紙トレイ62上に排出される。
【0018】
ところで、図1及び図2に示すように、給紙カセット1内にはシートSを積載するシート積載部材であるシート積載台2が、シート積載台2の上流側(後方)に設けられた支点である回動軸2aを介して給紙カセット1に上下方向に回動可能に設けられている。なお、この上流を支点として上下方向に回動可能なシート積載台2は、不図示のリフタ手段により回動軸2aを支点としてシートSの残量に応じて上方に回動し、積載されているシートSを給紙ローラ6aに押し付けるようになっている。また、シート給送装置50Cは、プリンタ本体側に設けられ、シート積載台2に積載されているシートSのシート給送方向下流端である先端にエアを吹き付けてシートSを捌くエア吹き付け部であるファン3を備えている。なお、本実施の形態において、ファン3は給紙カセット1のシート給送方向下流側に配置されており、シート積載台2に積載されているシートSの先端部にエアを吹き付けるようになっている。
【0019】
なお、図1及び図2において、4はプリンタ本体側に設けられ、ファン3を支持し、上下方向に回動するファン支持部材であり、5は軸5aを支点としてプリンタ本体50に揺動自在に設けられ、シート積載台2とファン支持部材4を連結するリンク部材である。ここで、このリンク部材5の一方の揺動端には給紙カセット1がプリンタ本体50に装着された際、シート積載台2の側端に突設されたピン2bと係合する長丸穴5bが設けられている。これにより、シート積載台2が回動すると、ピン2bが長丸穴5b内を移動し、これに伴いリンク部材5が軸5aを支点として揺動する。
【0020】
また、リンク部材5の他方の揺動端には扇ギア5cが設けられており、ファン支持部材4には、リンク部材5の扇ギア5cと噛合する扇ギア4aが設けられている。これにより、シート積載台2が回動し、これに伴いリンク部材5が軸5aを支点として揺動すると、扇ギア4a,5cを介してファン支持部材4が上下方向に回動する。そして、このようにファン支持部材4が上下方向に回動すると、ファン3の送風出口からのエアの吹き出し方向が変化する。
【0021】
このように、ファン支持部材4とリンク部材5とにより、シート積載台2の回動に連動してファン3から吹き出されるエアの方向を変更する連動機構51が構成される。そして、本実施の形態においては、この連動機構51により、シート積載台2の回動によりシート面が傾斜した場合でも、傾斜したシート面とファン3の送風出口からのエアの吹き出し方向が一致するようにエアの吹き出し方向を変更している。なお、本実施の形態において、シート積載台2の回動軸2aとリンク部材5の軸5aを直線でつないだ2分の1のところにシート積載台2のピン2bが位置するようにシート積載台2にリブ2cを垂設し、このリブ2cにピン2bを設けるようにしている。
【0022】
これにより、簡単な構成でシート積載台2とファン支持部材4が係合できるようになり、シート積載台2が回動しても精度よくシート面とファン3の送風出口からのエアの吹き出し方向を一致させることができる。
【0023】
次に、このような構成のシート給送装置50Cのシート給送動作について説明する。まず、シートが満載状態の給紙カセット1が挿入されると、図3の(a)に示すように、シート積載台2のピン2bがリンク部材5の長丸穴5bに入り込み、シート積載台2とリンク部材5とが係合する。次に、給紙カセット1のシート給送方向下流側に設けられているファン3によりシート積載台2に積載されているシートSの先端にエアを吹き付けてシートSを捌く。
【0024】
なお、シートが満載状態のとき、図4の(a)に示すようにシートSの上面はほぼ水平となっている。そして、本実施の形態においては、このときファン支持部材4も、ほぼ水平となるように設定されている。この結果、矢印で示すファン3の送風出口からのエアの吹き出し方向は、シート積載台2上のシート面に沿った方向、すなわち積載されているシート間にエアが入り込みやすい方向となる。これにより、最上位のシートSaを確実に捌くことができ、下方のシートから分離させることができる。
【0025】
次に、このようにファン3からのエアにより最上位のシートSaを捌いて下方のシートSから分離した後、給紙ローラ6aにより、順次給紙カセット1上のシートSを送り出す。この後、シートSが減少して少載状態となり、これを不図示のシート面検知手段が検知すると、不図示の制御部は、リフタ手段を作動させる。これにより、図3の(b)に示すように、シート積載台2が上方回動し、シート上面を給紙ローラ6aによるシートの給送が可能な一定の高さ位置(給送位置)に維持することができる。
【0026】
ここで、シート積載台2が上方に回動すると、図4の(b)に示すように、その回動角度分、シート積載台2のピン2bがリンク部材5の長丸穴5bをスライドし、これに伴いリンク部材5は軸5aを支点として揺動する。そして、このリンク部材5の揺動が扇ギア4a,5bを介してファン支持部材4に伝わり、ファン支持部材4はシート積載台2のシート面と沿う方向に回動する。これにより、矢印で示すファン3の送風出口からのエアの吹き出し方向は、シート積載台2上のシート面に沿った方向となり、最上位のシートSaを確実に捌くことができ、下方のシートから分離させることができる。
【0027】
以上説明したように、本実施の形態においては、シート積載台2の回動に連動してファン3の送風出口から吹き出されるエアの方向をシート面と同じにすることにより、エアをシートSの間に確実に入り込ませことができ、安定した分離性能が得られる。つまり、本実施の形態のように、シート積載台2の回動に連動してファン3から吹き出されるエアの方向を、シート積載台2に支持されたシートの上面に沿った方向に変更することにより、シート積載台2が上方回動した場合でも、シートを確実に捌くことができる。
【0028】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図5は、本実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図である。なお、図5において、既述した図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0029】
図5において、7はファン3からのエアをシートに向けて吹き出すためのノズル、8はノズル7を支持するためのノズル支持部材、8aはノズル支持部材8に設けられた扇ギアである。10はプリンタ本体側に設けられ、シート積載台2の回動軸2aに係合する回転部材であり、この回転部材10はシート積載台2が回動する際、シート積載台2と一体に回動軸2aが回転すると、回動軸2aと共に回転する。
【0030】
9はプリンタ本体側に設けられ、軸9aを支点として揺動する揺動ギアであり、この揺動ギア9はノズル支持部材8に設けられた扇ギア8aと噛合する。11は回転部材10のシート積載台2の回動角度に応じた回転を揺動ギア9に伝達するベルトである。このように、本実施の形態においては、回転部材10と、ベルト11と、揺動ギア9とにより、ノズル7の向きを変えてシート積載台2の回動に連動してファン3から吹き出されるエアの方向をシートの上面に沿った方向に変更する連動機構52が構成される。
【0031】
次に、このような構成のシート給送装置50Cのシート給送動作について説明する。まず、シートが満載状態の給紙カセット1が挿入されると、図6の(a)に示すように、シート積載台2の回動軸2aに回転部材10が係合する。次に、給紙カセット1のシート給送方向下流側に設けられているファン3によりシート積載台2に積載されているシートSの先端にエアを吹き付けてシートSを捌く。
【0032】
なお、シートが満載状態のとき、図7の(a)に示すようにシートSの上面はほぼ水平となっている。そして、本実施の形態においては、このときノズル支持部材8も、ほぼ水平となるように設定されている。この結果、矢印で示すノズル7のエアの吹き出し方向は、シート積載台2上のシート面に沿った方向、すなわち積載されているシート間にエアが入り込みやすい方向となり、最上位のシートSaを確実に捌くことができ、下方のシートから分離させることができる。
【0033】
次に、このようにファン3からのエアにより最上位のシートSaを捌いて下方のシートから分離した後、給紙ローラ6aにより、順次給紙カセット1上のシートSを送り出す。この後、シートSが減少して少載状態となり、これを不図示のシート面検知手段が検知すると、不図示の制御部は、リフタ手段を作動させる。これにより、図6の(b)に示すように、シート積載台2が上方に回動し、シート上面を一定の高さ位置(給送位置)に維持することができる。
【0034】
ここで、シート積載台2が上方に回動すると、回動軸2aと共に回転部材10が回転し、この回転部材10の回転はベルト11を介して揺動ギア9に伝達され、揺動ギア9は図7の(b)に示すように、その回動角度分、軸9aを支点として揺動する。そして、この揺動ギア9の揺動が扇ギア8aを介してノズル支持部材8に伝わり、ノズル支持部材8はシート積載台2のシート面と沿う方向に回動し、これに伴いノズル7の向きもシート面と沿う方向に変更される。これにより、矢印で示すノズル7のエアの吹き出し方向は、シート積載台2上のシート面に沿った方向となり、最上位のシートSaを確実に捌くことができ、下方のシートから分離させることができる。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態においては、シート積載台2の回動に連動してノズル7の向きをシート面と同じにすることにより、エアをシートSの間に確実に入り込ませことができ、安定した分離性能が得られる。つまり、本実施の形態のように、シート積載台2の回動に連動してノズル7の向きをシート面と同じとなるように変更することにより、シート積載台2が上方回動した場合でも、シートを確実に捌くことができる。
【0036】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図8は、本実施の形態に係るシート給送装置の構成を説明する図である。なお、図8において、既述した図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0037】
図8において、30はシート積載台2に積載されているシートSのシート給送方向と直交する側端に向けてエアを吹き付けるファン、70はファン30からエアを吹き出すためのノズルである。ここで、本実施の形態において、図9に示すように、給紙カセット1の側壁面には切り欠き1aが設けられており、この切り欠き1aに面してノズル70が配置されている。ここで、本実施の形態において、少なくともノズル70は、この切り欠き1aに沿って上下方向に移動可能となっている。そして、このように上下方向に移動した場合でも、ファン30からエアをノズル70に導くことができるように、ファン30とノズル70との間にはファン30から吹き出されたエアをノズル70に導くダクト40が設けられている。
【0038】
なお、図10に示すように、ノズル70の側面にはラック70aが形成されている。また、図9及び図10に示すように、プリンタ本体側には、シート積載台2の回動軸2aと係合して回動する扇ギア20が設けられている。この扇ギア20はシート積載台2が回動する際、シート積載台2と一体に回動軸2aが回転すると、回動軸2aと共に回転する。また、扇ギア20とノズル70のラック70aとの間にはピニオンギア21が設けられている。
【0039】
これにより、扇ギア20が回転すると、ピニオンギア21及びラック70aを介してノズル70は、切り欠き1aに沿って上下方向に移動する。このように、本実施の形態においては、扇ギア20と、ピニオンギア21と、ラック70aにより、ノズル70の上下方向の位置を変更する連動機構53が構成される。
【0040】
次に、このような構成のシート給送装置50Cのシート給送動作について説明する。まず、シートが満載状態の給紙カセット1が挿入されると、シート積載台2の回動軸2aに扇ギア20が係合する。次に、給紙カセット1の側方に設けられているファン30によりシート積載台2に積載されているシートSの側端にエアを吹き付けてシートSを捌く。
【0041】
なお、シートが満載状態のとき、図9の(a)及び図10の(a)に示すようにシートSの上面はほぼ水平となっている。そして、本実施の形態においては、このときノズル70は最も高い位置にとなるように設定されている。この結果、ノズル7のエアの吹き出し方向は、シート積載台2上のシート面に沿った方向、すなわち積載されているシート間にエアが入り込みやすい方向となり、最上位のシートSaを確実に捌くことができ、下方のシートから分離させることができる。
【0042】
次に、このようにファン30からのエアにより最上位のシートSaを下方のシートから分離した後、給紙ローラ6aにより、順次給紙カセット1上のシートSを送り出す。この後、シートSが減少して少載状態となり、これを不図示のシート面検知手段が検知すると、不図示の制御部は、リフタ手段を作動させる。これにより、図9の(b)及び図10の(b)に示すように、シート積載台2が上方回動し、シート上面を一定の高さ位置(給送位置)に維持することができる。
【0043】
ここで、シート積載台2が上方に回動すると、回動軸2aと共に扇ギア20が回動し、この扇ギア20の回動はピニオンギア21を介してノズル70のラック70aに伝達され、ノズル70が下降する。これにより、ノズル70のエア吹き出し口70bは図10の(b)に示すように、シート積載台2上のシートSの側面に臨む領域が広くなる位置に移動する。この結果、シートSの間に入り込むエアの量を確保できるようになるので最上位のシートSaを確実に捌くことができ、下方のシートから分離させることができる。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態においては、シート積載台2の回動に連動してノズル70の高さ方向の位置を変更することにより、シートSの間に入り込むエアの量を確保できるので、安定した分離性能が得られる。つまり、本実施の形態のように、シート積載台2の回動に連動してノズル70の高さ方向の位置を変更することにより、シート積載台2が上方回動した場合でも、シートを確実に捌くことができる。
【0045】
なお、本実施の形態においては、シート積載台2の回動に連動してノズル70の高さ方向の位置を変更することにより、シートSの間に入り込むエアの量を確保するようにしている。しかし、本発明は、これに限らず、ノズル70とファン30を一体的に上下方向に移動可能とし、シート積載台2の回動に連動してノズル70とファン30の高さ方向の位置を変更することにより、シートSの間に入り込むエアの量を確保するようにしても良い。
【符号の説明】
【0046】
1…給紙カセット、2…シート積載台、3,30…ファン、4…ファン支持部材、5…リンク部材、6a…給紙ローラ、7,70…ノズル、8…ノズル支持部材、9…揺動ギア、10…回転部材、11…ベルト、20…扇ギア、21…ピニオンギア、50…レーザビームプリンタ、50A…レーザビームプリンタ本体、50B…画像形成部、50C…シート給送装置、51〜53…連動機構、S…シート、Sa…最上位のシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを支持するシート積載部材を上下方向に上流を支点として回動可能に設けたシート収納部と、
前記シート積載部材に支持されたシートのシート給送方向下流端にエアを吹き付けてシートを捌くエア吹き付け部と、
前記シート積載部材の回動に連動して前記エア吹き付け部から吹き出されるエアの方向を、前記シート積載部材に支持されたシートの上面に沿った方向に変更する連動機構と、を備えたことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記エア吹き付け部を上下方向に回動可能に設け、
前記連動機構は、前記シート積載部材の回動に連動して前記エア吹き付け部を回動させてエアの方向を変更することを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記エア吹き付け部をファンと、前記ファンからのエアをシートに向けて吹き出す上下方向に回動可能なノズルとにより構成し、
前記連動機構は、前記シート積載部材の回動に連動して前記ノズルを回動させてエアの方向を変更することを特徴とする請求項1記載のシート給送装置。
【請求項4】
シートを支持するシート積載部材を上下方向に回動可能に設けたシート収納部を備え、前記シート積載部材に支持されたシートの端部にエアを吹き付けてシートを捌いた状態で給送するシート給送装置において、
前記シート積載部材に支持されたシートのシート給送方向と直交する側端にエアを吹き付けるエア吹き付け部と、
前記シート積載部材の回動に連動して前記エア吹き付け部の上下方向の位置を変更する連動機構と、を備えたことを特徴とするシート給送装置。
【請求項5】
前記エア吹き付け部をファンと、前記ファンからのエアをシートに向けて吹き出すノズルとにより構成し、かつ少なくとも前記ノズルを上下方向に移動可能とし、
前記連動機構は、前記シート積載部材の回動に連動して少なくとも前記ノズルの上下方向の位置を変更することを特徴とする請求項4記載のシート給送装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート給送装置と、前記シート給送装置から送り出されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−18563(P2013−18563A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150963(P2011−150963)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】