説明

シート裁断装置及び画像形成装置

【課題】 裁断屑の重さや大きさに関係なく、裁断屑の除去が円滑に行えるようにする。
【解決手段】 シート裁断装置100は、シートを搬送する搬送ローラ対106と、シートの搬送方向に沿ってシートを裁断する縦方向裁断装置101と、搬送方向に対して交差する方向にシートを裁断する横方向裁断装置102との少なくとも一方と、少なくとも一方の裁断装置によって裁断されたカットシートを搬送しながらカットシートと裁断除去部とを分離する分離ローラ109と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを所望のサイズに裁断するシート裁断装置、特に、所望のサイズに裁断されたカットシートと裁断屑を確実に分離するシート裁断装置と、このシート裁断装置を装置本体に備えた画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート裁断装置には、大サイズのシートを複数の小サイズのシートに裁断できるようになっているものがある(特許文献1,2参照)。
【0003】
また、近年、写真画像をはじめとする枠無し画像、またA4サイズ見開きのカタログでは枠無しA3サイズプリントが市場で要求されている。そのひとつの方法としてA3サイズより一回り大きい、いわゆるフルブリードシートにA3サイズより大きい画像のプリントをし、その後、そのプリントしたシートの4辺を所定量カットしてA3サイズとする方法が一般的である。オフセット印刷等の大量印刷の場合は高価なシート裁断装置を使用して、一度に数百枚の裁断を行っているものの、電子写真画像形成装置を利用したDTPでは、少量印刷が主であり、装置コストが安価なシート裁断装置の要求が高まっている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−32297号公報
【特許文献2】特開2003−071785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に記載のシート裁断装置によって、例えば、図14に示すように、上記フルブリードシートPFからA3サイズのシートP3をトリミングすると、4辺の分離した裁断屑Pa,Pb,Pc,Pdが生じる。そして、発生した4辺の裁断屑Pa,Pb,Pc,Pdは、先端を不図示の廃紙排出ガイドに当てられた後、ガイド曲面と裁断屑の自重とによって落下して除去されるようになっている。
【0006】
ところが、1辺当たりの裁断屑の重さが、軽いため、裁断屑を確実に除去することができないことがある。特に、同時に裁断するシートの重ね枚数が少ないときや、シートの重ね枚数が多くても裁断幅が狭いようなときには、裁断屑の重さが軽くなり、裁断屑が廃紙排出ガイドに詰まることがある。このため、従来のシート裁断装置は、裁断屑を確実に除去することができないことがある。
【0007】
このように、特許文献2に記載のシート裁断装置は、裁断屑の除去が不確実になることがあるため、連続して裁断を行うことが困難な場合がある。また、裁断屑が次のシートの裁断時に噛み込んで、次のシートに損傷を与えるという、裁断機能が低下することもある。
【0008】
また、シートに損傷を与えるシート裁断装置を備えた画像形成装置は、損傷を受けた分のシートだけ、再度、シートに画像を形成する必要があり画像形成効率が悪かった。
【0009】
本発明は、裁断屑の重さや大きさに関係なく、裁断屑の除去が円滑に行えるようにしたシート裁断装置を提供することを目的としている。
【0010】
本発明は、裁断屑の除去が円滑に行えるようにしたシート裁断装置を備えて、画像形成効率を向上させた画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のシート裁断装置は、シートを搬送するシート搬送手段と、シートの搬送方向に沿ってシートを裁断する搬送方向裁断手段と、前記搬送方向に対して交差する方向にシートを裁断する交差方向裁断手段との少なくとも一方と、前記少なくとも一方の裁断手段によって裁断されたカットシートを搬送しながら前記カットシートと裁断除去部とを分離するシート裁断分離手段と、を備えている。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって画像を形成されたシートを所望のサイズに裁断するシート裁断装置と、を備え、前記シート裁断装置が、上記いずれか1つのシート裁断装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシート裁断装置は、裁断動作によって発生する裁断屑と裁断された後のシートとの分離をシート裁断分離手段で行うようになっているので、裁断屑の重さや大きさに関係なく速やかに分離して、安定した状態で連続裁断を実現することができる。
【0014】
本発明の画像形成装置は、裁断屑の除去を速やかに分離することのできるシート裁断装置を備えているので、画像形成効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態のシート裁断装置と画像形成装置とを図に基づいて説明する。
【0016】
図13は、本発明の実施形態のシート裁断装置を備えた画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【0017】
(画像形成装置)
画像形成装置1は、シートに画像を形成する装置本体1Aと、装置本体1Aの上部に設けた画像読取装置11と、装置本体1Aと画像読取装置11との間の空間ARに設けられたシート裁断装置100とを備えている。
【0018】
画像形成装置1は、画像読取装置11が原稿を読み取って得た画像情報に基づいて、原稿を複写する複写機の機能を備えている。また、画像読取装置11は、画像読取装置11の画像情報を他の画像形成装置に送信したり、他の画像形成装置からの画像情報を受信したりして、その画像をプリントアウトするファクシミリとしての機能も備えている。さらに、画像形成装置1は、他の画像読取装置やパソコンから送信されてきた画像情報に基づいてシートに画像をプリントアウトするプリンタとしての機能も備えている。すなわち、図13に示す画像形成装置1は、複写機、ファクシミリ、プリンタの機能を備えた複合機である。なお、画像形成装置は、主に、規格サイズのシートに画像を形成するようになっているが、本実施形態の画像形成装置は、画像形成したシートが、シート裁断装置100によって所望のサイズに切断されるようになっているので、規格外(ノビサイズ)のフルブリードシートにも画像を形成することができるようになっている。
【0019】
画像読取装置11は、ユーザが開閉蓋12を開いて原稿ガラス台13に載置した原稿に、光源14の光を照射して、反射光をミラー15,16,17、レンズ18を介してCCD19で受光し、画像信号に変換して、その画像信号を装置本体1Aに送る。
【0020】
装置本体1Aは、画像読取装置11からの画像情報に基づいて、レーザスキャナ20で画像形成部としての感光ドラム21に潜像を形成し、その潜像をトナー現像器22でトナー現像して、感光ドラム21にトナー像を形成する。同時に、装置本体1Aは、カセット23からピックアップローラ24によってフルブリードシートPFを1枚ずつ送り出し、搬送ローラ対25によって、感光ドラム21と転写ローラ26との間に送り込む。そして、装置本体1Aは、転写ローラ26によって、感光ドラム21のトナー像をフルブリードシートPFに転写して、定着器27によってトナー像をシートに定着し、フルブリードシートPFをシート排出路28から排出トレイ29に排出する。あるいは、装置本体1Aは、シート裁断装置100に送り込む。シート裁断装置100は、装置本体1AからのフルブリードシートPFを後述する動作に基づいて、所望のサイズに裁断する。なお、画像形成したシートをシート裁断装置100によって、所望のサイズに裁断する必要がないとき、装置本体1Aは、通常の規格サイズのシートに画像を形成する。
【0021】
(シート裁断装置)
図1乃至図12に基づいてシート裁断装置を説明する。
【0022】
図1は、シート裁断装置のシート搬送方向に沿った断面図である。シート裁断装置100は、装置本体100Aの入り口107からシート搬送方向の下流側に向けて、搬送ローラ対105、搬送ころ対103、規制板対104、第1先端検知センサ151、搬送ころ対112、搬送ローラ対113、第2先端検知センサ152、縦方向裁断装置101、横方向裁断装置102、搬送ローラ対106、分離ローラ109、ダストボックス116とが順に配列されている。なお、搬送ローラ対105、搬送ころ対103、搬送ころ対112、搬送ローラ対113、及び搬送ローラ対106は、シート搬送手段である。
【0023】
搬送ころ対103は、駆動ローラ103aと従動ローラ103bとで構成されている。従動ローラ103bは、駆動ローラ103aに対して、不図示のソレノイド(モータでも可)によって接離するようになっている。規制板対104は、シートの搬送方向に対して交差する方向に移動して、シートの搬送方向に沿った両側端を整合するようになっている。第1先端検知センサ151は、シートの先端を検知するようになっている。搬送ころ対112は、駆動ローラ112aと従動ローラ112bとで構成されている。従動ローラ112bは、駆動ローラ112aに対して、不図示のソレノイド(モータでもよい)によって接離するようになっている。第2先端検知センサ152も、シートの先端を検知するようになっている。
【0024】
搬送方向裁断手段としての縦方向裁断装置(以下、「縦方向カッタ」と言う。)101は、図2乃至図5に示すようにシートの幅方向(シート搬送方向に対して交差する方向)の中心に対して対称の位置に各1個ずつシートの幅方向に位置調節可能に配設されている。縦方向カッタ101は、搬送されて来るシートをシート搬送方向に沿って裁断するようになっている。
【0025】
縦方向カッタ101は、丸刃カッタ101cと、対向ローラ108等を有している。丸刃カッタ101cは、角軸101aに設けられているアーム101dの先端に回転自在に設けられている。角軸101aは、図2に示すモータ111によって、図3に示す位置と、図4に示す位置とに回転するようになっている。角軸101aの回転によって、丸刃カッタ101cは、図3に示す退避位置と、図4に示すシートをカットするカット(裁断)位置との2つのポジションをとるようになっている。
【0026】
アーム101dには、ピン101bが立設されている。ピン101bは、カッタホルダ122の長孔122aに係合している。長孔122aは、シート搬送方向に沿って形成されている。カッタホルダ122はリードスクリュ121に螺合している。リードスクリュ121のねじ部は、シートの幅方向の中心を基準にして右ねじと左ねじに形成されている。また、リードスクリュ121は、パルスモータ110によって、細かく回転するようになっている。
【0027】
したがって、パルスモータ110が回転すると、リードスクリュ121も回転し、図2に示す1対のカッタホルダ122が接近離間する方向に移動するようになっている。これにともなって、長孔122aとピン101bとを介して、アーム101dと丸刃カッタ101cとが、角軸101aを案内にして、カッタホルダ122と一体に移動するようになっている。すなわち、縦方向カッタ101は、シートの幅サイズに合わせた位置に丸刃カッタ101cを移動させるようになっている。
【0028】
対向ローラ108は、下降した丸刃カッタ101cに対向する位置に配設されている。対向ローラ108(図5参照)の表面は、硬質ゴム、又は硬質樹脂で覆われている。そして、対向ローラ108には、シートサイズに応じた位置に、丸刃カッタ101cを逃げるカッタ逃げ溝108aが、シートの幅方向の中心に対して対称の位置に複数形成されている。
【0029】
交差方向裁断手段としての横方向裁断装置(以下、「横方向カッタ」と言う。)102は、図2乃至図5に示すように、不図示の駆動源と、昇降自在なガイドレール117とによって、シートの幅方向(シート搬送方向に対して交差する方向)に沿って移動して、シートを裁断するようになっている。横方向カッタ102は、丸刃カッタ102aを回転自在に有しており、縦方向カッタ101と同様に、シートから離れた退避位置と、シートを裁断するカット(裁断)位置との間を昇降するようになっている。通常、横方向カッタ102は、退避位置に上昇退避し、かつ図2に示すようにシート裁断装置100の脇に退避している。
【0030】
搬送ローラ対106は、図6に示すように、不図示のモータによって回転する駆動ローラ106aと、従動ローラ106bとで構成されている。搬送ローラ対106は、シートの幅方向のほぼ全域に渡って延びて、シートの幅全体を確実に挟持して、横方向カッタ102によって、シートがカットされるとき、シートがずれるのを阻止するようになっている。
【0031】
シート裁断分離手段としての分離ローラ109は、カットシート搬送回転体としての基本ローラ109aと、裁断屑搬送回転体としての補助ローラ109b等を有している。基本ローラ109aは回転軸109cのほぼ中央に固定されている。補助ローラ109bは、基本ローラ109aの両側の回転軸109c上にリニアベアリング109dよって回動自在に設けられている。補助ローラ109bの外周面にはドライブローラ115が当接している。ドライブローラ115は不図示のモータによって正逆転するようになっている。ドライブローラ115の正逆転にともなって、補助ローラも正逆転するようになっている。回転軸109cは、軸方向に沿った任意な位置に移動できるようになっている。
【0032】
また、シート裁断装置100は、シート裁断装置100に送り込まれるフルブリードシートの幅寸法を記憶しておく制御部123を備えている。シート幅情報はパソコン(又は、装置本体1A)から制御部123にオンライン入力されるようになっている。また、同時に入力されたフルブリードシートサイズに対する裁断後のサイズ情報もパソコン(又は、装置本体1A)から制御部123にオンライン入力されるようになっている。
【0033】
次に、シート裁断装置100の裁断動作を説明する。
【0034】
シート裁断装置100に送り込まれるフルブリードサイズと、このフルブリードシートを裁断した後のシートサイズとの情報は、パソコン(又は、装置本体1A)から入力される。その後、画像形成装置1の装置本体1Aからトナー像形成済みのフルブリードシートが装置入り口107に送り込まれる。フルブリードシートは、搬送ローラ対105と搬送ころ対103によって規制板対104に送り込まれる。フルブリードシートの先端が、第1先端検知センサ151で検知されると、搬送ローラ対105は停止する。また、搬送ころ対103の従動ころ103bは、不図示のソレノイドによりフルブリードシートから離間する。そして、規制板対104が、フルブリードシートの側端に当接して幅整合をして、フルブリードシートの斜行を真っ直ぐに修正する。
【0035】
再び、搬送ころ対103が、フルブリードシートに当接する。フルブリードシートの先端は、搬送ころ対112を通過して、搬送ローラ対113に送られる。搬送ころ対112と搬送ローラ対113は、回転してフルブリードシートを搬送して、第2先端検知センサ152がフルブリードシートの先端を検知すると停止する。丸刃カッタ101cとアーム101dが、モータ111によって、図3に示す退避位置(離間状態)に退避する。そして、縦方向カッタ101全体が、予め、入力されている裁断後のシートサイズに対応した位置にパルスモータ110によって移動する。また、このとき、横方向カッタ102も退避位置に移動する。その後、再度、搬送ころ対112と搬送ローラ対113が回転して、フルブリードシートを搬送する。なお、搬送ころ対112と搬送ローラ対113は、必ずしも停止する必要は無い。
【0036】
フルブリードシートPFの先端PFaが、第2先端検知センサ152によって検知されてから所定時間経過すると、フルブリードシートの先端は、縦方向カッタ101を通過していることになる。そこで、縦方向カッタ101の丸刃カッタ101cは、モータ111の回転によって、図4に示すように、下降して、フルブリードシートに当接する。フルブリードシートは、搬送を継続されているため、丸刃カッタ101cによって、図12(a)に示すように、2本のスリットSa,Sbを形成される。2本のスリットSa,Sbの間隔は、裁断後のシート幅サイズに相当する間隔である。また、2本のスリットSa,Sbの下流側端は、裁断された後のシートの先端(下流側端)より、多少下流側に位置している。
【0037】
さらに、フルブリードシートPFの先端PFaが搬送ローラ対106を通過し、横方向カッタ102が裁断した後のシートの先端に相当する位置(先端カット位置)が、横方向カッタ102の真下にくると、搬送ころ対112、搬送ローラ対113、及び搬送ローラ対106は、回転を停止する。図7は、分離ローラ109にフルブリードシートPFの先端PFaが接触した位置と、裁断後のシートの先端位置(先端カット位置)とが同じ場合の図である。
【0038】
すると、横方向カッタ102が、図2に示す片側の位置で、かつフルブリードシートPFから離れた退避位置から、退避状態のまま、裁断後のシートの幅に相当する位置より僅か外側まで移動した後、図7に示すように下降して、フルブリードシートPFの幅方向へ移動する。
【0039】
そして、横方向カッタ102は、裁断後のシートの幅に相当する反対側の位置より僅か外側まで移動して、上昇し、最初の位置に戻る(図8参照)。この結果、フルブリードシートPFに、図12(b)に示すスリットScが形成される。スリットScの左右端の位置は、2本のスリットSa,Sbの下流側端より上流側で、かつ外側に位置している。これによって、裁断後のシートの先端両角が、確実に形成されたことになる。
【0040】
次に、図9に示すように、分離ローラ109の基本ローラ109aと補助ローラ109bは、ともに時計回り方向に回転して、フルブリードシートPFの先端PFaを下方に搬送する。このとき、搬送ローラ対106は同期してフルブリードシートPFを送り出している。
【0041】
次に、図10に示すように、裁断後のシートPAの先端に相当する先端PAa(図12の符号Scで示すスリットによって形成された先端PAa)が、分離ローラ109に到達する。このとき、裁断後のシート先端PAaは、分離ローラ109の基本ローラ109aのみに当接している。ここで、基本ローラ109aのみを反時計回りに回転させると、図11、図6に示すように、裁断後のカットシートとしてのシートPAは上方へ、フルブリードシートPFの裁断除去部としての裁断屑PFdは下方へと確実に分離される。
【0042】
その後、図12(c)に示すように、フルブリードシートPFにおける裁断後のシートPAの後端PAbに相当する部分が、横方向カッタ102の真下までくると、裁断後のシートの先端PAaにスリットを入れたときと同様にして、フルブリードシートPFにスリットSdを形成する。この結果、フルブリードシートPFから、所望のサイズのシートPAがカットされたことになる。そして、スリットSdが搬送ローラ対106のニップを通過した時点で、分離ローラ109の基本ローラ109aのみ増速回転させる。すると、カットされたシートPAが、フルブリードシートPFの残存部である裁断屑PFdよりも増速されて、四角の枠状の裁断屑PFdから完全に分離される。そして、枠状の裁断屑PFdの後端部が分離ローラ109に到達すると、基本ローラ109aが、再び、補助ローラ109bと同じ時計回りに方向に回転して、裁断屑PFdを完全に分離する。
【0043】
最後、所望のサイズにカットされたシートPAは、排出トレイ30(図13参照)に排出され、裁断屑PFdは、ダストボックス116に排出される。
【0044】
このように、本実施形態のシート裁断装置100は、分離ローラ109によって、裁断屑PFdと、所望のサイズにカットしたシートPAとを強制的に分離するようになっているので、裁断屑の重さと大きさとに関係なく、速やかに分離することができる。
【0045】
また、本実施形態のシート裁断装置100は、図14に示す従来の4辺に形成されていた裁断屑Pa,Pb,Pc,Pdを一体化して、四角の枠状の裁断屑PFdにしたので、裁断屑PFdの重さを従来の裁断屑より重くすることができる。この結果、シート裁断装置100は、フルブリードシートPFの重ね枚数が少なかったり、カット幅が狭かったりしても、裁断屑PFdを、所望のサイズにカットしたシートPAから容易に分離することができる。
【0046】
ここで、本実施形態のシート裁断装置の特徴となる分離ローラ109と、フルブリードシートPFの先端カット幅と、搬送ころ対103のニップの位置との関係について説明する。
【0047】
図8に示すように、分離ローラ109の外周面から横方向カッタ102のカット位置までのフルブリードシートPFの先端搬送方向カット長さをaとし、分離ローラ109の外周面から搬送ころ対103のニップまでの距離をbとすると、
a>b
の関係が成り立つように各距離が、設定されているのが好ましい。
【0048】
このように、距離が設定されていると、フルブリードシートPFの先端部がカットされたとき、そのカットされた裁断屑が搬送ローラ対106に挟持されている状態で、分離ローラ109の外周に接していることになる。つまり、分離ローラ109の動作開始位置にフルブリードシートPFの先端PFaが突入しているので、裁断屑に搬送力が確実に伝達されて裁断屑が除去されることになる。
【0049】
仮に、上記不等式の関係が逆転した場合、搬送ローラ対106で、裁断屑を、分離ローラ109まで送りきることができない。すなわち、横方向カッタ102を、搬送ローラ対106と分離ローラ109との間に配設すると、図9に示すように、フルブリードシートPFが分離ローラ109で下側に案内している状態で、スリットScを入れることになる。このため、裁断後のシートPAの先端に相当する先端PAaが分離ローラ109の上に案内されることなく、そのまま、裁断屑とともに分離ローラ109の下側に案内されて、裁断後のシートPAと裁断屑とを確実に分離できない虞がある。
【0050】
以上の動作説明においては、フルブリードシートPFの先端部のカット長さが横方向カッタ102のカット位置から分離ローラ109までの長さに等しい場合を説明したが、先端部のカット位置が横方向カッタ102のカット位置から分離ローラ109までの長さより長い場合も機能するようになっている。実際の動作では、フルブリードシートPFの先端PFaが分離ローラ109に接触した時点で、分離ローラ109の基本ローラ109aと補助ローラ109bを時計回り方向に回転して、フルブリードシートPFの先端PFaを下方に送り、次に、フルブリードシートPFが先端カット位置に到達した時点で一旦すべてのローラを停止させて、横方向カッタ109を作動させれば良い。横方向のカット動作が完了した後の動作は上述と同じである。
【0051】
また、所望のサイズに裁断したシートを上方に、裁断屑を下方へ分離したが、所望のサイズに裁断したシートを下方に、裁断屑を上方へ分離してもよい。
【0052】
本発明の画像形成装置1は、裁断屑の除去を速やかに分離することのできるシート裁断装置100を備えているので、画像形成効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係るシート裁断装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図2】図1のシート裁断装置の平面図である。
【図3】図1のシート搬送装置の縦方向裁断装置と横方向裁断装置とが退避位置にいるときの正面図である。
【図4】図1のシート搬送装置の縦方向裁断装置がカット位置にいて、横方向裁断装置が退避位置にいるときの正面図である。
【図5】対向ローラをシート搬送方向の下流側から見た図である。
【図6】図1に示す、搬送ローラ対と分離ローラとの外観斜視図である。
【図7】フルブリードシートの先端が、分離ローラに当接して、横方向裁断装置がフルブリードシートにスリットを入れている状態の図である。
【図8】図7の状態から、横方向裁断装置がフルブリードシートから退避した状態の図である。
【図9】図8の状態から、フルブリードシートを排出している状態の図である。
【図10】図9の状態から、所望のサイズにカットしたシートと、裁断屑とを分離し始めるときの図である。
【図11】図10の状態から、所望のサイズにカットしたシートと、裁断屑とを完全に分離したときの図である。
【図12】フルブリードシートから、所望のサイズのシートをカットする順序を示す図である。
【図13】本発明の実施形態のシート裁断装置を備えた画像形成装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図14】従来のシート裁断装置がフルブリードシートから所望のサイズのシートをカットしたときに生じる、裁断屑の状態図である。
【符号の説明】
【0054】
P シート
PF フルブリードシート
PFa フルブリードシートの先端
PFd 裁断屑(裁断除去部)
PA 裁断後のシート(カットシート)
PAa 裁断後のシートの先端
PAb 裁断後のシートの後端
1 画像形成装置
1A 画像形成装置の装置本体
21 感光ドラム(画像形成部)
100 シート裁断装置
100A シート裁断装置の装置本体
101 縦方向裁断装置(搬送方向裁断手段)
101a 角軸
101c 丸刃カッタ
101d アーム
102 横方向裁断装置(交差方向裁断手段)
102a 丸刃カッタ
103 搬送ころ対(シート搬送手段)
105 搬送ローラ対(シート搬送手段)
106 搬送ローラ対(シート搬送手段)
109 分離ローラ(シート裁断分離手段)
109a 基本ローラ(カットシート搬送回転体)
109b 補助ローラ(裁断屑搬送回転体)
112 搬送ころ対(シート搬送手段)
113 搬送ローラ対(シート搬送手段)
116 ダストボックス
121 リードスクリュ
123 制御部
151 第1先端検知センサ
152 第2先端検知センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送するシート搬送手段と、
シートの搬送方向に沿ってシートを裁断する搬送方向裁断手段と、前記搬送方向に対して交差する方向にシートを裁断する交差方向裁断手段との少なくとも一方と、
前記少なくとも一方の裁断手段によって裁断されたカットシートを搬送しながら前記カットシートと裁断除去部とを分離するシート裁断分離手段と、
を備えたことを特徴とするシート裁断装置。
【請求項2】
前記シート搬送手段が、前記少なくとも一方の裁断手段と前記シート裁断分離手段との間に備えられていることを特徴とする請求項1に記載のシート裁断装置。
【請求項3】
前記少なくとも一方の裁断手段が前記交差方向裁断手段であり、
シートのシート搬送方向の下流端と前記交差方向裁断手段による裁断位置との間の長さよりも、前記シート搬送手段と前記シート裁断分離手段との間の距離を短く設定されていることを特徴とする請求項2に記載のシート裁断装置。
【請求項4】
前記少なくとも一方の裁断手段が前記搬送方向裁断手段であり、
前記シート裁断分離手段が、前記カットシートに当接するカットシート搬送回転体と、前記裁断除去部に当接する裁断屑搬送回転体とを同軸上に有し、
前記カットシート搬送回転体が、前記カットシートに当接したとき、前記裁断屑搬送回転体とは逆方向に回転可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート裁断装置。
【請求項5】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像を形成されたシートを所望のサイズに裁断するシート裁断装置と、を備え、
前記シート裁断装置が、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート裁断装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−326718(P2006−326718A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−150791(P2005−150791)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】