説明

シート貼付装置および貼付方法

【課題】被着体に対して接着シートを所望の立ち上げ状態で確実に貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供すること。
【解決手段】繰出手段による原反Rの繰り出しに伴って起立部S2を立上手段3で立ち上げるとともに、突出補助手段7で立上維持部S4を突出させた接着シートSを被着体Wの被着面ASに貼付することで、貼付後の立上維持部S4を被着体Wの交差面W1に確実に接触させることができ、所定角度に立ち上げた起立部S2の立ち上げ状態を維持させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、POPラベル等の接着シートを容器等の被着体に貼付する貼付装置が提案されており(例えば、特許文献1参照)、この貼付装置で貼付する接着シートは、基材シートの片側略半分の領域に設けられて糊部(接着剤層)を有した接着部と、他の半分の領域に設けられた糊殺し部(非接着部)とを備え、接着部の接着剤層が剥離シートに仮着された原反として供給され、容器の天面(被着体の被着面)に貼付されるようになっている。
特許文献1に記載の貼付装置は、ラベル起し部の立上げ板によって非接着部を立ち上げ、ラベル二つ折り癖付け部の折曲げ板によって非接着部を接着部に向かって二つ折りにして癖付けしてから、剥離版によって剥離シートから接着シートを剥離し、剥離した接着シートを二つ折り状態のままで被着体の被着面に押圧して貼付する。このようにして被着面に貼付された接着シートは、折り曲げ部分の切れ目によって形成された支持脚片が接着部と反対側に突出し、基材シートの弾性によって初期状態に戻ろうとする非接着部の起き上がりに伴って支持脚片が被着面に当接することで、非接着部が接着部および被着面から立ち上がった状態が維持されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−222029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の従来の貼付装置では、接着シートの非接着部と接着部とを二つ折りにしなければ支持脚片が接着部と反対側に突出しないことから、ラベル二つ折り癖付け部が必須となり、装置構造が大型化してしまう。また、非接着部の糊殺し処理(不接着処理)が不十分であったり、糊部の接着剤が染み出ていたり、支持脚片の切り込みが不十分であったり等の原因で、支持脚片の突出が不完全であった場合には、接着シートを貼付した後に非接着部が基材シートの弾性で倒れてしまい、所望の状態で接着シートを貼付することができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、被着体に対して接着シートを所望の立ち上げ状態で確実に貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、接着部と起立部とを有する基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付装置であって、前記原反を繰り出す繰出手段と、前記接着シートにおける前記起立部に連設された立上維持部を前記接着部から離れる方向に突出させる突出補助手段と、前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、前記剥離された接着シートの接着部を被着体の被着面に押圧して貼付する押圧手段とを備える、という構成を採用している。
【0007】
この際、本発明のシート貼付装置は、前記繰出手段による原反の繰り出しに伴って前記接着シートの前記起立部を前記剥離シートの表面から所定角度まで立ち上げる立上手段を備えることが好ましい。
さらに、本発明のシート貼付装置は、前記原反を挟んで前記剥離手段の反対側に位置するとともに、前記突出補助手段による前記立上維持部の突出の際に前記接着シートの前記剥離シートへの仮着を維持する仮着維持手段を備えることが好ましい。
また、本発明のシート貼付装置では、前記剥離手段には、前記突出補助手段による前記立上維持部の突出を許容する突出許容部が設けられていることが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、接着部と起立部とを有する基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付方法であって、前記原反を繰り出し、前記接着シートの前記起立部に連設された立上維持部を前記接着部から離れる方向に突出させ、前記立上維持部が突出した接着シートを前記剥離シートから剥離し、剥離した接着シートを被着体の被着面に押圧して貼付することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、剥離シートから接着シートを剥離する前に立上維持部を突出させ、立上維持部が突出した接着シートを被着体の被着面に押圧して貼付することで、貼付後の立上維持部を被着体に接触させて起立部を立ち上げ状態とすることができる。この際、立上維持部が基材シートに予め形成した切り込みや孔、ミシン目等で構成された場合には、この立上維持部を突出補助手段で押し出したり引っ張ったりして突出させてもよいし、切り込み等に沿って再度切り込みを入れつつ突出させてもよい。さらに、立上維持部が基材シートに予め形成されていない場合であっても、突出補助手段で基材シートの一部に切り込みを入れるなどして立上維持部を形成し、形成した立上維持部を突出させるようにしてもよい。従って、立上維持部が不完全な状態であっても、あるいは予め形成されていなくても、突出補助手段によって立上維持部を確実に突出させることができ、起立部の倒れを防止して接着シートを所望の状態で確実に貼付することができる。
【0010】
この際、繰出手段による原反の繰り出しに伴って起立部を立上手段によって立ち上げるようにすれば、起立部が立ち上がりかつ立上維持部が突出した状態の接着シートを被着体に押圧して貼付することで、二つ折りにしなくても所定角度に立ち上げた起立部の立ち上げ状態を維持することができる。従って、塑性変形するような材質の基材シートであっても、起立部および立上維持部を所定の状態とした接着シートを被着体に貼付することができる。また、基材シートが弾性変形する材質で構成される場合でも、起立部を所定角度に立ち上げてから貼付することで、接着シートへのストレスを抑制することができ、破れや脱落などの貼付不良を防止することができる。
また、仮着維持手段によって接着シートの剥離シートへの仮着を維持するようにすれば、立上維持部を突出補助手段で押し出したり引っ張ったりして突出させる際に、突出補助手段から作用する外力に対して、剥離シートから接着シートが剥がれ落ちたり位置ずれしたりすることを防止できる。
さらに、剥離手段に突出許容部が設けられていれば、原反を挟んで剥離手段の反対側から突出補助手段で押し込んで立上維持部を突出させる際に、十分な押し込み距離が確保でき、立上維持部を確実に突出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るシート貼付装置の側面図。
【図2】図1のシート貼付装置の部分斜視図。
【図3】図1のシート貼付装置の動作説明図および変形例の図。
【図4】本発明の第2実施形態に係るシート貼付装置の部分斜視図。
【図5】図4のシート貼付装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0013】
〔第1実施形態〕
図1、図2において、本実施形態のシート貼付装置1は、接着部S1と起立部S2とを有する基材シートBSの当該接着部S1における一方の面の一部領域に接着剤層ADを備えた接着シートSを被着体Wに貼付する貼付装置であって、接着剤層ADを介して帯状の剥離シートRLに仮着された原反Rから接着シートSを剥離し、剥離した接着シートSの起立部S2を立ち上げた状態で被着体Wに貼付するように構成されている。このシート貼付装置1は、原反Rを繰出方向Aに向かって繰り出す繰出手段2と、繰り出された原反Rにおける接着シートSの起立部S2を剥離シートRLから立ち上げる立上手段3と、剥離シートRLを折り曲げて当該剥離シートRLから接着シートSを剥離する剥離手段4と、剥離シートRLから剥離した接着シートSの接着部S1を被着体Wの被着面ASに押圧して貼付する押圧手段5と、立上手段3の姿勢を変位可能な変位手段6と、接着シートSにおける起立部S2に連設された立上維持部S4を突出させる突出補助手段7とを備えて構成され、被着体Wを図1中左方向に移動させるベルトコンベアCV等の搬送手段8の上方に図示しないフレームを介して据え付けられている。
【0014】
ここで、接着シートSは、図2に示すように、繰出方向Aの上流側から下流側に向かって(以下「下流側に向かって」という)左側の略半分の領域に接着剤層ADが積層され、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLに仮着されている。また、接着シートSには、基材シートBSの略中央部であって、繰出方向Aに沿う方向に設けられた折曲線S3と、折曲線S3の両端側にそれぞれ設けられた略L字状の切り込みS5とが形成されている。折曲線S3としては、基材シートBSを型押しして形成した凹みや、ミシン目等によって折り曲げやすくしたものが例示できる。このような接着シートSにおいて、下流側に向かって右側の略半分の外縁と、折曲線S3と、折曲線S3の繰出方向Aへの延長線とで囲まれる領域が起立部S2とされ、折曲線S3の繰出方向Aへの各延長線と、各切り込みS5とで囲まれる領域が起立部S2の立ち上げ状態を維持させるための立上維持部S4とされ、それ以外の領域が接着部S1とされる。また、剥離シートRLは、下流側に向かって左側に設けられて接着シートSの接着部S1に対向する第1帯部RL1と、下流側に向かって右側に設けられて起立部S2に対向する第2帯部RL2と、これらの第1帯部RL1と第2帯部RL2とを分離可能に繰出方向Aに沿って設けられた切り込みRL3とを有して構成されている。
【0015】
繰出手段2は、その全体がベースフレーム20に支持され、このベースフレーム20には、原反Rをロール状に巻回して支持する支持ローラ21と、原反Rを案内する複数のガイドローラ22,23と、駆動機器である回動モータ24によって駆動される駆動ローラ25と、駆動ローラ25との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ26と、図示しない駆動機器によって剥離シートRLを回収する回収ローラ27とが設けられている。
【0016】
立上手段3は、変位手段6に支持された曲面板状の立上板31を備えて構成され、この立上板31は、繰出方向Aに沿って延び、剥離シートRLと接着シートSの起立部S2との間に挿入される立上先端部32と、この立上先端部32から繰出方向A下流側に連設して起立部S2を剥離シートRLから離間する立上方向に案内する立上案内部33と、この立上案内部33から繰出方向A下流側に連続するとともに、剥離シートRLと略平行に設けられて起立部S2を案内する立上後端部34と、を有して形成されている。
【0017】
剥離手段4は、ベースフレーム20によって図1中左下方に傾斜した姿勢で支持された剥離板41を備えて構成され、この剥離板41は、原反Rを剥離シートRLの側から案内する案内面42と、原反Rの繰出方向A下流側に設けられて第1帯部RL1を折り曲げ可能な下流側端縁43と、当該剥離板41の下流側にに向かって右側を切り欠いた突出許容部としての切欠き部44と、この切欠き部44の上流側に設けられて第2帯部RL2を折り曲げ可能な上流側端縁45とを有して形成されている。この剥離板41は、上流側端縁45で切り込みRL3によって第1帯部RL1から第2帯部RL2を分離するとともに、第2帯部RL2から起立部S2を剥離するようになっている。また、下流側端縁43で立上手段3を通過して折り曲げられた接着シートSの接着部S1を第1帯部RL1から剥離するようになっている。
【0018】
剥離板41の切欠き部44は、立上先端部32を受け入れ可能に構成され、受け入れた立上先端部32が上流側端縁45よりも下方かつ上流側に延び、案内面42の直交方向からの平面視で立上先端部32と上流側端縁45とが重なって設けられている。また、原反Rを挟んで案内面42に対向する位置には、下流側に向かって原反Rの左側を案内面42とで挟み込み、第1帯部RL1に向かって接着部S1を押さえることで、接着シートSの剥離シートRLへの仮着を維持する仮着維持手段としての押え板46が設けられている。この押え板46は、剥離板41の側面に固定されるとともに、立上先端部32よりも繰出方向A上流側の位置から下流側端縁43近傍の位置まで延びて設けられている。
【0019】
押圧手段5は、ゴムや樹脂等の弾性変形可能な押圧ローラ51と、剥離板41に支持されて押圧ローラ51を回転可能に支持するフレーム52とを備えて構成され、押圧ローラ51は、剥離板41先端から図1中左下方に突出した接着シートSを起立部S2が立ち上がった状態のままで接着部S1を被着体Wに向かって押圧するように構成されている。
【0020】
変位手段6は、図2に示すように、立上板31の上方に取り付けられたシャフトサポータ61と、シャフト62と、シャフト62をシャフトサポータ61の反対側で支持する駆動機器としての多関節ロボット63とを備える。多関節ロボット63は、繰出方向A、繰出方向Aおよび剥離シートRLの表面に直交する方向B、繰出方向Aに直交する剥離シートRLの面方向C、繰出方向Aを軸芯とする回転方向D、前記方向Bを軸芯とする回転方向Eおよび、前記方向Cを軸芯とする回転方向Fに立上板31を変位可能に設けられている。多関節ロボット63としては公知の6軸ロボット等が例示できる。これにより、接着シートS、剥離シートRL、接着部S1、起立部S2、立上維持部S4、接着剤層AD、基材シートBS等の形状やA、BおよびC方向に沿う寸法等に応じて立上板31の姿勢や位置を変位させることができる。
【0021】
突出補助手段7は、図3(A)にも示すように、剥離板41の上流側端縁45よりも下流側かつ立上板31の立上案内部33に隣り合って設けられ、図示しないフレーム等に支持された駆動機器としての直動モータ71と、この直動モータ71の出力軸71A先端に固定された連結部72と、この連結部72に取り付けられた押出し板73とを有して構成されている。押出し板73は、下端縁が凹状に切り欠かれるとともに、その両端部から下方に突出する一対の突出部74を有して形成されている。これら一対の突出部74は、接着シートSの立上維持部S4に対応して設けられ、直動モータ71によって押出し板73が下方に移動されることで、各突出部74が立上維持部S4に当接するとともに、各立上維持部S4を案内面42よりも下方の切欠き部44内に突出させるようになっている。なお、突出補助手段7は、図3(B)に示すように、図示しない気体供給装置に接続された一対の気体吹出ノズル75を有し、これらの気体吹出ノズル75から吹き出した気体(エア)の圧力によって、立上維持部S4を突出させるような構成を採用してもよい。
【0022】
以上のような本実施形態のシート貼付装置1において、立上手段3は、以下の構成を備えている。
立上板31は、剥離板41の上方に対向するとともに繰出方向Aに沿った断面が上向き凸の曲部を有した一枚の板材から形成されている。すなわち、立上板31は、繰出方向A上流側の立上先端部32から立上案内部33にかけて剥離板41から上方に離れる方向に傾斜し、立上案内部33から立上後端部34にかけて剥離板41に接近する方向に傾斜してから、立上後端部34が剥離板41と略平行に延びて形成されている。また、立上先端部32は、案内面42よりも下方の切欠き部44内にて、上流側端縁45よりも繰出方向A上流側に位置する先端縁35を有して形成され、上流側端縁45によって第2帯部RL2から剥離された起立部S2が垂れ下がったとしても、この起立部S2が剥離板41の立上先端部32上に案内されるようになっている。このような立上先端部32は、その上面にて起立部S2を上方に付勢することで、原反Rの繰り出しに伴って起立部S2を立ち上がらせることができるように構成されている。
【0023】
立上板31の立上先端部32から立上案内部33にかけては、第2帯部RL2から剥離した起立部S2を立ち上がらせる案内傾斜端縁36が形成されている。この案内傾斜端縁36は、平面視で下流側に向かって接着シートSの起立部S2側(右側)から接着部S1側(左側)に所定の角度で傾斜して形成されており、原反Rの繰り出しに伴って起立部S2を徐々に立ち上がらせ、第1帯部RL1の表面から略90°の立上角度まで立ち上げ可能に構成されている。また、立上後端部34には、剥離板41の案内面42と略平行かつ所定間隔を介して設けられるとともに、立ち上げた起立部S2の立上角度を維持したままで押圧手段5へ案内する案内平行端縁37が形成されている。
【0024】
以上のシート貼付装置1で被着体Wに接着シートSを貼付する手順としては、繰出手段2によって原反Rを繰り出させることによって、剥離シートRLおよび接着シートSが剥離板41の案内面42で案内されて繰出方向A下流側に送られる。そして、接着シートSが切欠き部44に達した時点で、上流側端縁45によって第2帯部RL2を折り返すとともに、この第2帯部RL2を切り込みRL3で第1帯部RL1から分離することで、第2帯部RL2から起立部S2を剥離する。このように剥離した起立部S2の下側に立上先端部32を挿入し、立上案内部33によって起立部S2を立ち上がらせる。この際、接着シートSには第2帯部RL1から離れる方向に剥離力が作用するが、この剥離力に対しては、押え板46が接着部S1を押さえ付けていることから、接着部S1の仮着が維持され、第1帯部RL1から接着シートSがずれないようになっている。
【0025】
さらに、原反Rを繰り出して接着シートSを繰出方向A下流側に送ることで、起立部S2が案内傾斜端縁36に沿って立ち上がり、第1帯部RL1の表面から略90°の立上角度まで立ち上がった起立部S2は、案内平行端縁37に案内されて立上角度が維持される。ここで、案内傾斜端縁36は、起立部S2における所定の位置に接しながら起立部S2を略90°の立上角度まで立ち上げて案内する。このように起立部S2を立ち上げた接着シートSを剥離板41の先端位置まで送り、下流側端縁43で折り返した第1帯部RL1から部分的に剥離した状態において、繰出手段2による原反Rの繰り出しを一旦停止して待機状態となる。この待機状態における上流側において、前述のように立上案内部33によって起立部S2が立ち上げられる途中の接着シートSに対し、突出補助手段7が直動モータ71を駆動して押出し板73を下降させ、突出部74によって立上維持部S4を案内面42よりも下方に突出させる。このように突出された立上維持部S4は、起立部S2の立ち上げに伴って下方に回動し、接着シートSが下流側端縁43まで繰り出された状態では、被着面ASと交差する被着体Wの交差面W1よりも繰出方向A下流側に向かって右側に位置するようになっている。
【0026】
次に、搬送手段8で搬送されてきた被着体Wが押圧ローラ51の下方所定位置に達すると、図示しないセンサによって検知され、繰出手段2が回動モータ24を駆動して原反Rを被着体Wの搬送速度と同じ速度で繰り出し、かつ回収ローラ27で第1帯部RL1および第2帯部RL2を回収する。これにより、下流側端縁43で部分的に第1帯部RL1から剥離した状態で停止していた接着シートSは、当該第1帯部RL1から剥離され、起立部S2の立上状態のまま接着部S1が押圧ローラ51で押圧され、接着部S1の接着剤層ADが被着体Wの被着面ASに押圧されて貼付される。このとき、立上維持部S4は、被着面ASと交差する交差面W1に沿うように配置される。このようにして接着シートSが被着体Wに貼付されると、原反Rの繰り出し動作が再度停止されて待機状態となり、接着シートSが貼付された被着体Wは次工程に搬送され、以降上記同様の動作を繰り返す。なお、被着体Wに貼付された接着シートSは、基材シートBSの弾性によって接着シートSが元の平板状に戻ろうとするものの、立上維持部S4が交差面W1に当接することで、起立部S2が立ち上がった状態を維持するようになっている。
【0027】
本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、繰出手段2による原反Rの繰り出しに伴って起立部S2を立上手段3で立ち上げるとともに、突出補助手段7で立上維持部S4を突出させた接着シートSを被着体Wの被着面ASに貼付することで、貼付後の立上維持部S4を被着体Wの交差面W1に確実に接触させることができ、所定角度に立ち上げた起立部S2の立ち上げ状態を維持させることができる。すなわち、接着シートSにおいて、切り込みS5が不完全であったり、接着剤層ADの接着剤が切り込みS5に入り込んでいたりなど、立上維持部S4が接着部S1から分離しにくい状態であったとしても、突出補助手段7によって立上維持部S4を下方に突出させることにより、立上維持部S4を接着部S1から完全に分離して交差面W1に接触させることができ、起立部S2の立ち上げ状態を確保することができる。
【0028】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を図4、図5に基づいて説明する。
本実施形態のシート貼付装置1Aは、前記第1実施形態と立上手段3A、剥離手段4Aおよび突出補助手段7Aの構成が主に相違するとともに、立上手段3Aによって接着シートSを二つ折りにしてから被着体Wに貼付し、被着体Wした接着シートSの立上維持部S4を被着面ASに接触させることで起立部S2の立ち上げ状態を維持する点が第1実施形態と相違している。また、剥離シートRLは、切り込みRL3を有さず、その全幅が剥離板41の下流側端縁43で折り返されて接着シートSが剥離され、接着シートSは、繰出方向Aに沿った幅方向の略中央1箇所に立上維持部S4が形成されている点が第1実施形態と相違している。以下、相違点を詳しく説明する。
【0029】
立上手段3Aの立上板31は、立上案内部33から立上後端部34にかけて原反Rの幅寸法と略同一になるように拡幅されており、案内傾斜端縁36に連続して接着部S1側の端縁に向かってさらに傾斜し、立ち上がらせた起立部S2を接着部S1側に折り曲げる折曲傾斜端縁38が形成され、この折曲傾斜端縁38によって起立部S2が接着部S1に近づく状態まで折り曲げ可能に構成されている。また、立上後端部34の繰出方向A下流側端部には、剥離板41の案内面42と略平行かつ所定間隔を介して設けられ、折り曲げた起立部S2を接着部S1に向かって押圧する押圧面部39が形成され、この押圧面部39によって二つ折りにされた接着シートSに折り癖が付けられるようになっている。押圧手段5は、接着シートSを折れ曲がった状態のまま被着体Wに向かって押圧するようになっている。
【0030】
剥離手段4Aは、原反Rの全幅よりも若干大きな幅寸法を有した剥離板41Aで構成されるとともに、この剥離板41Aには、立上板31の立上先端部32を受け入れ可能に当該剥離板41Aの一部を切り欠いて案内面42よりも凹んだ突出許容部としての凹部47が形成されている。そして、立上板31は、その先端縁35によって案内面42よりも下方の凹部47内にて接着シートSと反対側に剥離シートRLを変位させ、剥離シートRLと接着シートSの起立部S2との間に挿入されることで、原反Rの繰り出しに伴って剥離シートRLから起立部S2を浮き上がらせるように構成されている。また、剥離板41Aには、凹部47の下流側に連続して案内面42から凹むとともに、下流側に向かって案内面42に近づく方向に傾斜した底面を有した案内溝48が形成されている。
【0031】
突出補助手段7Aの押出し板73Aは、その下端縁が凸状に形成されて略中央部から下方に突出する1つの突出部74Aを有して形成されている。この突出部74Aは、接着シートSの立上維持部S4に対応して設けられ、立上維持部S4を案内面42よりも下方の凹部47内に突出させるようになっている。この突出補助手段7Aによって下方に突出された立上維持部S4は、繰出手段2の繰り出しに伴って剥離板41Aの案内溝48に受け入れられて案内され、立上手段3による起立部S2の立ち上がりおよび折り曲げに伴って、接着部S1と反対側に突出するようになっている。
以上の本実施形態のシート貼付装置1Aでは、立上手段3Aで接着シートSの起立部S2を立ち上げるとともに二つ折りにする際に、突出補助手段7Aで立上維持部S4を下方に突出させるとともに、接着部S1と反対側に立上維持部S4を突出させてから、二つ折りの接着シートSを押圧手段5で被着体Wの被着面ASに押圧して貼付する。このように貼付された接着シートSは、基材シートBSの弾性によって起立部S2が立ち上がるとともに、それに伴って立上維持部S4が被着面ASに接触することで、立ち上がった起立部S2の立ち上げ状態が維持されるようになっている。
【0032】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は前記記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され且つ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状などの詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は本発明に含まれるものである。
【0033】
例えば、前記実施形態では、突出補助手段7,7Aによって立上維持部S4を剥離手段4側に突出させるようにしたが、立上維持部S4の突出方向としては、接着部S1から離れる側であればよく、例えば、剥離手段4と反対側(上方)に吸引して立上維持部S4を突出させてもよいし、剥離板41の案内面42に平行な面内に沿って立上維持部S4を突出させてもよい。
また、前記実施形態では、接着シートSに予め設けた切り込みS5によって立上維持部S4が形成されていたが、突出補助手段に切断手段を設けることによって立上維持部S4を形成し、形成した立上維持部S4を突出させるようにしてもよい。さらに、立上維持部S4は、切り込みS5によって形成されるものに限らず、基材シートBSの角部や端部を折り曲げて立上維持部が構成されていてもよい。
【0034】
また、前記実施形態では、シート貼付装置1,1Aに立上手段3,3Aが設けられ、起立部S2を立ち上げるか二つ折りにした接着シートSを被着体Wに貼付する構成であったが、立上手段が省略されていてもよく、その場合には、被着体Wに貼付した後に、手動や他の装置を用いた自動などによって起立部S2を立ち上げるようにすればよい。このようにシート貼付装置における一連の動作において起立部S2を立ち上げない場合であっても、突出補助手段によって立上維持部を適宜な方向に突出させてから、接着シートSを被着体に貼付することで、後から立ち上げた起立部S2の立ち上げ状態を良好に維持することができるようになる。
さらに、立上手段3としては、前記実施形態のように1枚の板状部材で構成したものに限らず、例えば、立上先端部32、立上案内部33および立上後端部34をそれぞれ別部材で構成してもよいし、それぞれを適宜に組み合わせて構成してもよい。その場合には、各部材が板状部材でもよいし線状部材でもよいし、その他の適宜な形状を有した部材でもよい。
【0035】
また、接着部S1および起立部S2の配置は前記実施形態に限定されない。すなわち、接着部S1と起立部S2とが前記実施形態に対して左右逆に配置されてもよいし、幅方向の中央側に接着部S1が設けられて、その左右両側に起立部S2が設けられていてもよい。そして、左右両側に起立部S2が設けられた場合には、これに対応して立上手段3も左右に一対で設けられていればよい。また、接着シートとしては、折曲線S3および立上維持部S4は必須ではなく、いずれか1つまたは両方が省略されていてもよい。
また、接着シートSは、起立部S2や立上維持部S4における一方の面の一部領域に接着剤層ADを備えた構成であってもよいし、基材シートBSにおける一方の面の全領域に接着剤層ADを備えた構成であってもよい。これらの場合、立上手段3における少なくとも接着剤層ADが接触する領域に、接着剤層ADが接着しないフッ素樹脂やシリコン樹脂等の不接着処理を施しておけばよい。
【0036】
また、前記実施形態では、原反Rは、帯状の剥離シートRLに枚葉の接着シートSを適宜な間隔で仮着したものであったが、原反としては、帯状の剥離シートRLに帯状の接着シートが仮着されたものでもよく、この場合、原反を繰り出す途中で帯状の接着シートに所定の閉ループ形状の切り込みを設け、当該切り込みの内側を接着シートSとするような構成であってもよい。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0037】
1,1A シート貼付装置
2 繰出手段
3,3A 立上手段
4,4A 剥離手段
5 押圧手段
7,7A 突出補助手段
44 切欠き部(突出許容部)
46 押え板(仮着維持手段)
47 凹部(突出許容部)
AD 接着剤層
BS 基材シート
R 原反
RL 剥離シート
S 接着シート
S1 接着部
S2 起立部
S4 立上維持部
W 被着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着部と起立部とを有する基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付装置であって、
前記原反を繰り出す繰出手段と、
前記接着シートにおける前記起立部に連設された立上維持部を前記接着部から離れる方向に突出させる突出補助手段と、
前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段と、
前記剥離された接着シートの接着部を被着体の被着面に押圧して貼付する押圧手段とを備えることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記繰出手段による原反の繰り出しに伴って前記接着シートの前記起立部を前記剥離シートの表面から所定角度まで立ち上げる立上手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記原反を挟んで前記剥離手段の反対側に位置するとともに、前記突出補助手段による前記立上維持部の突出の際に前記接着シートの前記剥離シートへの仮着を維持する仮着維持手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記剥離手段には、前記突出補助手段による前記立上維持部の突出を許容する突出許容部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート貼付装置。
【請求項5】
接着部と起立部とを有する基材シートの一方の面に接着剤層を備えた接着シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反から、当該接着シートを剥離して被着体に貼付するシート貼付方法であって、
前記原反を繰り出し、前記接着シートの前記起立部に連設された立上維持部を前記接着部から離れる方向に突出させ、
前記立上維持部が突出した接着シートを前記剥離シートから剥離し、剥離した接着シートを被着体の被着面に押圧して貼付することを特徴とするシート貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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