説明

シート貼付装置および貼付方法

【課題】被着体の両面に貼付する接着シートの貼付態様を多様化できるシート貼付装置および貼付方法を提供すること。
【解決手段】シート貼付装置1は、第1接着シートS1を繰り出す第1繰出手段2と、第2接着シートS2を繰り出す第2繰出手段3と、第1繰出手段2で繰り出された第1接着シートS1を被着体Wの一方の側から被着体Wに押圧して貼付する第1押圧手段6と、被着体Wを挟んで第1押圧手段6と対向配置され、第2繰出手段3で繰り出された第2接着シートS2を被着体Wを挟んだ他方の側から被着体Wに押圧して貼付する第2押圧手段7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被着体にラベル等の接着シートを貼付するシート貼付装置が利用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特許文献1に記載のシート貼付装置は、被着体の端部両面にラベルを貼付するものであり、ラベルを被着体からはみ出た状態で被着体の一方の面に貼付した後、ラベルのはみ出た部分を搬送路の途中に設けたガイド部材の形状に沿って折り返して被着体の他方の面に貼付するように構成されている。
特許文献2に記載のシート貼付装置は、被着体を搬送するベルトコンベアに沿って配置した2つの貼付ユニットにより、被着体に複数のラベルを順番に貼付するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−27520号公報
【特許文献2】特開平10−101005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシート貼付装置は、ラベルの剛性が高いとガイド部材でラベルを折り曲げることができず、ラベルの素材によっては被着体の端部両面にラベルを貼付することができないという問題がある。
一方、特許文献2に記載のシート貼付装置は、各貼付ユニットがベルトコンベアに沿って互いに離間して設けられているため、第1のラベルを被着体に貼付した後、ベルトコンベアで被着体を移動させてから第2のラベルを被着体に貼付しなければならず、ラベル同士を貼付するような貼付態様には利用できないという不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、被着体の両面に貼付する接着シートの貼付態様を多様化できるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する第1接着シートおよび第2接着シートを被着体に貼付するシート貼付装置であって、前記第1接着シートを繰り出す第1繰出手段と、前記第2接着シートを繰り出す第2繰出手段と、前記第1繰出手段で繰り出された第1接着シートを前記被着体の一方の側から当該被着体に押圧して貼付する第1押圧手段と、前記被着体を挟んで前記第1押圧手段と対向配置され、前記第2繰出手段で繰り出された第2接着シートを前記被着体を挟んだ他方の側から当該被着体に押圧して貼付する第2押圧手段とを備えていることを特長とする。
【0007】
本発明のシート貼付装置は、各接着シートの位置を検出し、これら接着シートの繰出方向における互いの先端位置を合わせて待機させるシート姿勢形成手段を備えていることが好ましい。
また、本発明のシート貼付装置において、前記第1押圧手段および前記第2押圧手段は、前記被着体の搬送に同期して回転しつつ各接着シートを押圧する押圧部材と、前記押圧部材を回転駆動する駆動手段とを備えていることが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、基材シートの一方の面に接着剤層を有する第1接着シートおよび第2接着シートを被着体に貼付するシート貼付方法であって、前記第1接着シートおよび前記第2接着シートを同時に繰り出し、繰り出された第1接着シートおよび第2接着シートを前記被着体を挟んで対向する位置から前記被着体に押圧して貼付することを特長とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、第1押圧手段および第2押圧手段が被着体を挟むように対向配置されているため、例えば、各接着シートを被着体の両面に同時に貼付したり、各接着シートを被着体に貼付する際に接着シート同士を貼付したりすることができる。従って、被着体の両面に貼付する接着シートの貼付態様を多様化することができる。
【0010】
本発明において、各接着シートの位置を検出し互いの先端位置を合わせて待機させるようにすれば、待機位置から各接着シートを同時に繰り出すことにより、各接着シートを被着体の両面に同時に貼付することができる。
また、被着体の搬送に同期して押圧部材を回転駆動するようにすれば、押圧部材の回転駆動によって被着体を搬送しつつ各接着シートを被着体の両面に貼付することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート貼付装置の平面図。
【図2】図1のA矢視図。
【図3】シート貼付装置の動作説明図。
【図4】(A)はシート貼付装置の動作説明図。(B)はシート貼付形態の説明図。
【図5】(A)、(B)は他のシート貼付形態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および図2において、本実施形態のシート貼付装置1は、被着体Wにラベル等の第1および第2接着シートS1,S2を貼付するものである。ここで、各接着シートS1,S2は、それぞれ図示しない基材シートの一方の面に接着剤層が積層されるとともに、所定サイズの外形に予め切断されており、帯状の剥離シートRLに仮着された原反Rとして予め準備されている。
【0013】
シート貼付装置1は、第1接着シートS1を繰り出す第1繰出手段2と、第2接着シートS2を繰り出す第2繰出手段3と、第1繰出手段2によって繰り出された第1接着シートS1を一方の側から被着体Wに押圧して貼付する第1押圧手段6と、第2繰出手段3によって繰り出された第2接着シートS2を被着体Wを挟んだ他方の側から被着体Wに押圧して貼付する第2押圧手段7と、各接着シートS1,S2の位置を検出し互いの先端位置を合わせて待機させるシート姿勢形成手段8,9とを備え、被着体Wを搬送するベルトコンベア等の搬送装置10の上方に配置されている。
【0014】
各繰出手段2,3は、原反Rをロール状に巻回して支持する支持ローラ21,31と、剥離シートRLおよび各接着シートS1,S2を案内する2個のガイドローラ22,23,32,33と、ガイドローラ23,33から延びた剥離シートRLを折り返すことで、各接着シートS1,S2を剥離シートRLから剥離して繰り出す剥離板24,34と、駆動機器としてのモータM1,M2によって駆動する駆動ローラ25,35と、駆動ローラ25,35との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ26,36と、図示しない駆動機器によって剥離シートRLを回収する回収ローラ27,37とを備えている。
【0015】
第1押圧手段6および第2押圧手段7は、被着体Wを挟むように互いに対向配置されている。各押圧手段6,7は、各接着シートS1,S2を被着体Wに向かって押圧する押圧部材としての押圧ローラ61,71と、押圧ローラ61,71を回転駆動する駆動手段としての回動モータ62,72とを備えている。ここで、回動モータ62,72は、被着体Wの搬送に同期して(同じ速度で)押圧ローラ61,71を回転駆動することができるように構成されている。また、押圧ローラ61,71は、それぞれゴムや樹脂等の弾性部材で形成されている。
【0016】
シート姿勢形成手段8,9は、各接着シートS1,S2の繰出方向における先端位置(以下、単に「先端位置」という)を検出するセンサ81,91と、各押圧手段6,7を構成する押圧ローラ61,71および回動モータ62,72と、各繰出手段2,3を構成するモータM1,M2とからなり、各接着シートS1,S2が被着体Wに貼付される前に、これら接着シートS1,S2を所定姿勢に整えるようになっている。センサ81,91としては、透過型、反射型等の光センサや、接触型のセンサや、超音波センサ等が例示される。
【0017】
なお、第1繰出手段2、第1押圧手段6、およびシート姿勢形成手段8は、図示しない第1フレームに一体的に支持されて、搬送装置10に対する一方側(図1中上方)に設けられているのに対し、第2繰出手段3、第2押圧手段7、およびシート姿勢形成手段9は、図示しない第2フレームに一体的に支持されて、搬送装置10に対する他方側(図1中下方)に設けられている。各フレームは、それぞれ図示しない駆動機器を介して互いに近接離間可能に設けられるとともに、図示しない駆動機器を介して図2中上下方向に昇降可能に設けられ、被着体Wの幅(図1中上下方向の大きさ)に応じて互いの間隔が調節できるとともに、各接着シートS1,S2の貼付位置高さ(図2中上下方向の高さ)に応じてそれぞれの高さ位置が調節できるように構成されている。
【0018】
以上のシート貼付装置1において、被着体Wに各接着シートS1,S2を貼付する手順について説明する。
先ず、第1および第2繰出手段2,3がモータM1,M2を駆動して各接着シートS1,S2を繰り出す。そして、各シート姿勢形成手段8,9は、センサ81またはセンサ91によって、先に第1接着シートS1または第2接着シートS2の先端位置を検出した方のモータM1またはモータM2の駆動を一旦停止し、図3(A)に示すように、各接着シートS1,S2の各先端位置が揃った時点で停止中のモータM1,M2の駆動を再開し、各接着シートS1,S2の先端側が同時且つ、同じ速度で剥離板24,34から剥離されるように、各モータM1,M2のそれぞれの回転速度を制御する。また、先に第1または第2接着シートS1,S2の先端位置を検出した方のモータM1,M2を停止することなく減速し、各接着シートS1,S2の先端位置が揃った時点で各接着シートS1,S2の先端側が同時且つ、同じ速度で剥離板24,34から剥離されるように、各モータM1,M2のそれぞれの回転速度を制御してもよい。この場合、各接着シートS1,S2の先端位置を揃えるには、例えば、各モータM1,M2のパルスによる位置合せや、センサ81,91とは別のセンサを使えばよい。
その後も各接着シートS1,S2の繰り出しを続行することで、図3(B)に示すように、各接着シートS1,S2は、それぞれの先端が揃った状態で繰り出され、回動モータ62,72の駆動により、互いの接着面が当接した状態で押圧ローラ61,71間に所定長さ挟み込まれた状態の所定姿勢に整えられて停止し、待機状態となる。
【0019】
次いで、搬送装置10によって被着体Wが搬送されてくると、図3(B)中二点鎖線で示すように、被着体Wの上部が、押圧ローラ61,71間で挟み込まれて停止している各接着シートS1,S2の間に入り込んだことが図示しないセンサによって検知され、各繰出手段2,3は、モータM1,M2を駆動して互いに同じ速度で接着シートS1,S2を再び繰り出す。このとき、各押圧手段6,7は、回動モータ62,72を駆動し、図3(C)に示すように、被着体Wの被着面部分が押圧ローラ61,71間を進んでいく。この際、押圧ローラ61,71は、弾性部材で形成されているため、図4(A)に示すように、被着体Wの被着面部分の厚さに応じて弾性変形しながら各接着シートS1,S2を被着体Wに押圧して貼付するとともに、各接着シートS1,S2の被着体Wからはみ出ている部分を互いに押圧して貼付する(図4(B)参照)。そして、各接着シートS1,S2が貼付された被着体Wは、搬送装置10によって別工程(図3(C)中左方向)へ搬送され、以降上記同様の動作が繰り返されることとなる。
【0020】
このようなシート貼付装置1において、異なったサイズの被着体Wに接着シートS1,S2を貼付する場合には、被着体Wの被着面部分の厚さに応じて、図示しない第1、第2フレームを相互に近接離間させる。また、各接着シートS1,S2の貼付位置高さを変更する場合にも、図示しない第1、第2フレームを昇降させることで対応が可能となっている。
【0021】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、シート貼付装置1は、押圧ローラ61,71が被着体Wを挟むように対向配置されているため、各接着シートS1,S2を被着体Wの両面に同時に貼付したり、各接着シートS1,S2を被着体Wに貼付する際に接着シートS1,S2同士を貼付したりすることができる。従って、被着体Wの両面に貼付する接着シートS1,S2の貼付態様を多様化することができる。
【0022】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0023】
例えば、前記実施形態では、第1接着シートS1および第2接着シートS2を被着体Wに同時に貼付していたが、シート貼付装置1により、各接着シートS1,S2の貼付位置をずらして被着体Wに貼付したり、いずれか一方の接着シートS1,S2のみを被着体Wに貼付したりしてもよい。
また、図5(A)に示すように、各接着シートS1,S2の被着体W1からはみ出ている部分を互いに貼付しないようにしてもよいし、図5(B)に示すように、各接着シートS1,S2を相互に接着しないように被着体W2に貼付してもよい。
さらに、押圧ローラ61,71を回転駆動する回動モータ62,72を備えた構成としたので、搬送装置10がなくても、被着体Wを搬送しつつ各接着シートS1,S2を被着体Wの両面に貼付することができる。
【0024】
前記実施形態では、繰出手段2,3として剥離シートRLに複数の接着シートS1,S2が仮着された原反Rから当該接着シートS1,S2を供給するものを例示したが、これに限らず、枚葉の接着シートS1,S2を供給するものであってもよい。また、繰出手段2,3が有する原反Rは1つに限らず、複数の原反Rから複数種類の接着シートS1,S2を供給するようにしてもよい。また、1つの原反Rの剥離シートRLに複数種類の接着シートS1,S2が適宜な順序で並んで仮着されていてもよい。
【0025】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【0026】
また、前記実施形態では、被着体Wおよび接着シートS1,S2を具体的に例示していないが、本発明のシート貼付装置および貼付方法では、被着体Wおよび接着シートS1,S2の種別や材質などは、特に限定されず、例えば、被着体Wが適宜な物品(例えば、段ボールケースや樹脂容器等)であって、接着シートS1,S2がラベルであってもよく、被着体Wが半導体ウェハであって、接着シートS1,S2が保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムなどであってもよい。この際、半導体ウェハは、シリコン半導体ウェハや化合物半導体ウェハ等が例示でき、このようなウェハに貼付する接着シートは、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムに限らず、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等が適用できる。さらに、被着体Wが光ディスクの基板であって、接着シートS1,S2が記録層を構成する樹脂層を有したものであってもよい。以上のように、被着体Wとしては、ガラス板、鋼板、樹脂板等や、その他の板状部材のみならず、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。
【符号の説明】
【0027】
1 シート貼付装置
2 第1繰出手段
3 第2繰出手段
6 第1押圧手段
7 第2押圧手段
8,9 シート姿勢形成手段
61,71 押圧ローラ(押圧部材)
62,72 回動モータ(駆動手段)
S1 第1接着シート
S2 第2接着シート
W,W1,W2 被着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する第1接着シートおよび第2接着シートを被着体に貼付するシート貼付装置であって、
前記第1接着シートを繰り出す第1繰出手段と、
前記第2接着シートを繰り出す第2繰出手段と、
前記第1繰出手段で繰り出された第1接着シートを前記被着体の一方の側から当該被着体に押圧して貼付する第1押圧手段と、
前記被着体を挟んで前記第1押圧手段と対向配置され、前記第2繰出手段で繰り出された第2接着シートを前記被着体を挟んだ他方の側から当該被着体に押圧して貼付する第2押圧手段とを備えていることを特長とするシート貼付装置。
【請求項2】
各接着シートの位置を検出し、これら接着シートの繰出方向における互いの先端位置を合わせて待機させるシート姿勢形成手段を備えていることを特長とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記第1押圧手段および前記第2押圧手段は、
前記被着体の搬送に同期して回転しつつ各接着シートを押圧する押圧部材と、
前記押圧部材を回転駆動する駆動手段とを備えていることを特長とする請求項1または請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
基材シートの一方の面に接着剤層を有する第1接着シートおよび第2接着シートを被着体に貼付するシート貼付方法であって、
前記第1接着シートおよび前記第2接着シートを同時に繰り出し、
繰り出された第1接着シートおよび第2接着シートを前記被着体を挟んで対向する位置から前記被着体に押圧して貼付することを特長とするシート貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−86869(P2012−86869A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234751(P2010−234751)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】